JP3103286B2 - 場所打ちコンクリート杭の造成方法 - Google Patents

場所打ちコンクリート杭の造成方法

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JP3103286B2
JP3103286B2 JP06338786A JP33878694A JP3103286B2 JP 3103286 B2 JP3103286 B2 JP 3103286B2 JP 06338786 A JP06338786 A JP 06338786A JP 33878694 A JP33878694 A JP 33878694A JP 3103286 B2 JP3103286 B2 JP 3103286B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は建築物等の基礎を形成す
る場所打ちコンクリート杭の造成方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来から、地中に場所打ちコンクリート
杭を造成するには、孔壁安定液12によって孔壁の崩壊を
防止しながらリバースサーキュレーションやケーソン工
法等によって縦孔11を掘削したのち、図4、図5に示す
ように掘削された縦孔11の周壁面に沿って鉄筋13を円筒
状に建て込み、しかるのち、地上より縦孔11の中心部に
トレミー管14を挿入して該トレミー管14を通じて縦孔11
内にコンクリート15を打設することにより造成してい
る。
【0003】このコンクリート15を縦孔11内に打設する
に際して、該縦孔11の底部には、縦孔11の掘削時に地上
まで搬出中の土砂の一部が漏出して水中に拡散したりし
て地上に回収できなかった掘削土砂がスライム16として
沈澱しており、このスライム16は打設するコンクリート
15よりも比重が小さく且つ粘性が低いために、コンクリ
ート15を縦孔11内に打設するに従って該打設コンクリー
ト面15a 上に堆積した状態で上昇することになる。そし
て、地上まで上昇したスライム16は、打設コンクリート
15の硬化後に、該スライム16を含むコンクリート部分を
削り取って除去している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来技術によれば、トレミー管14により縦孔11内にコン
クリート15を打設する場合、トレミー管14の下端開口部
を打設コンクリート15内に没入させた状態を維持しなが
ら打設コンクリート15の高さが上昇するに従ってトレミ
ー管14を徐々に引き上げていくが、トレミー管14を縦孔
11の中心部に挿入した状態でコンクリート15の打設作業
を行っているため、打設したコンクリート15の上面は縦
孔11の中心部においては高く、縦孔11の周壁11a に向か
って下方に傾斜した略円錐形状の傾斜面15a となる。
【0005】従って、スライム16はその傾斜面15a の最
低部、即ち、縦孔11の周壁11a 側に集合され、この状態
でコンクリート15の打設に従って上昇する。一方、鉄筋
13は縦孔11の周壁11a に沿って建て込まれているので、
スライム16がコンクリート15の打設に従ってこの鉄筋13
を伝うように上昇して鉄筋13に付着し、その状態でコン
クリート15が硬化することになる。そのため、築造され
たコンクリート杭は、コンクリート15と鉄筋13とが完全
に密着しておらず、杭体としての品質が低下し、所要の
強度を得ることができないという問題点があった。
【0006】本発明はこのような問題点に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところはコンクリートの打設
時に縦孔内に残留しているスライムを縦孔の中心部に集
合させた状態でコンクリートの打設に従って上昇させ、
縦孔の周壁に沿って建て込んだ鉄筋に付着させることな
く所要の強度を有するコンクリート杭を造成し得る場所
打ちコンクリート杭の造成方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の場所打ちコンクリート杭の造成方法は、
水、泥水等の孔壁安定液が充満している縦孔内に該縦孔
の壁面に沿って円筒状の鉄筋を建て込んだのち縦孔内に
トレミー管を挿入し、このトレミー管を通じてコンクリ
ートを打設することによりコンクリート杭を造成する方
法において、上記トレミー管を縦孔内に建て込んだ上記
円筒状の鉄筋の近傍部に沿って挿入し、その状態でコン
クリートを打設することによりコンリートの打設上面を
上記円筒状の鉄筋側から縦孔の中心部に向かって下方に
傾斜させて縦孔の中心部にスライムを滞留させる凹部を
形成し、該凹部にスライムを集合させた状態でコンクリ
ートの打設高さの上昇に従って地上まで一体に上昇させ
ることを特徴とするものである。又、請求項2に記載し
た発明は、上記方法において、コンクリートを打設する
トレミー管を上記鉄筋の近傍部に沿って、複数本、挿入
することを特徴とするものである。
【0008】
【作用】縦孔内に建て込んだ鉄筋の近傍部に沿って挿入
しているトレミー管を通じて縦孔内にコンクリートを打
設すると、コンクリートの打設上面は縦孔の孔壁側が高
く、中心部に向かって下方に傾斜した状態となる。従っ
て、打設コンクリートよりも比重の小さいスライムは、
この傾斜したコンクリート打設上面の最低部、即ち、縦
孔の中心部に集合してこの状態でコンクリートの打設に
従って上昇する。そのため、孔壁に沿って建て込んでい
る鉄筋にスライムが付着するのをなくし得る。
【0009】また、請求項2に記載したように、複数本
のトレミー管を縦孔の孔壁に沿って建て込んだ鉄筋の近
傍部に沿って周方向に所望間隔毎に挿入し、これらのト
レミー管を通じて縦孔内にコンクリートを打設すると、
コンクリートの打設上面は夫々のトレミー管の周囲にお
いて最も高く、トレミー管の挿入位置から四方に向かっ
て下方に傾斜した略円錐状態となり、周方向に隣接する
トレミー管の該円錐状打設面が互いに重複しあってその
重複部分が縦孔の中心に向かうに従って低くなる。従っ
て、打設面上に堆積しているスライムは確実に縦孔の中
心部に集合させられて孔壁側の鉄筋に付着する虞れがな
く、所望強度のコンクリート杭を造成し得るものであ
る。
【0010】
【実施例】本発明の実施例を図面について説明すると、
場所打ちコンクリート杭を造成する場合、まず、掘削機
械によって地盤を掘削して所望径と深さを有する縦孔1
を形成する。この縦孔1の掘削は、リバースサーキュレ
ーションドリルやオープンケーソン等のように掘削縦孔
1内に水や泥水等の孔壁安定液2を充満させた状態にし
て孔壁1aの崩壊を防止しながら行われる。所望径と深さ
の縦孔1が掘削されると、この縦孔1内に該孔壁1aに沿
って鉄筋3を円筒状に建て込む。
【0011】次いで、孔壁安定液2が充満している縦孔
1内に建て込まれた円筒状鉄筋3の内周面近傍部に沿っ
て複数本、例えば、図2に示すように4本のトレミー管
4を同心円上に略等間隔毎に挿入し、その開口下端を縦
孔1の底面に近接させると共に地上側に突出した上端開
口部にコンクリート打設装置(図示せず)によってコン
クリート5を供給し、これらのトレミー管4を通じて縦
孔1内にコンクリートを打設する。
【0012】縦孔1の底部には、縦孔掘削時に掘削土砂
を地上まで搬出する際に、その掘削土砂の一部が漏れて
泥水中に拡散し、スライム6として沈澱、堆積してい
る。そして、スライム6はコンクリート5よりも比重が
小さく且つ粘性が低いので、縦孔1内にコンクリート5
を打設すると、コンクリート5が縦孔1の底部側に、ス
ライム6が該コンクリート5の打設上面5a上に堆積した
状態となる。なお、トレミー管4はその開口下端を常に
打設コンクリート5の上部内に没入させた状態にし、打
設コンクリート5の上昇に従って上方に引き上げながら
コンクリートの打設を行う。
【0013】これらのトレミー管4の開口下端から四方
に流出、拡散するコンクリート5の打設上面5aはトレミ
ー管4の周囲において盛り上がり、トレミー管4の挿入
部分を頂点として四方に向かって徐々に傾斜した略円錐
形状の打設面を形成する。従って、周方向に隣接するト
レミー管4、4の該円錐状打設上面5a、5aが互いに重複
しあってその重複部分の谷部が縦孔の中心に向かうに従
って低くなる。
【0014】即ち、各トレミー管4の挿入位置は縦孔1
の中心よりも近い縦孔1の孔壁1a側に近接した状態で配
設されているため、トレミー管4から打設されるコンク
リート5は縦孔1の中心側に向かって何らの規制を受け
ることなく拡散するが、孔壁1a側に対しては該孔壁1aに
よって拡散が阻止され、従って、孔壁1a側ではコンクリ
ート5が滞留して打設上面が上昇し、図に示すよう
に、トレミー管4の挿入部分から縦孔1の中心部に向か
って下方に傾斜した打設上面5aとなり、該打設上面5aが
縦孔1の中心部において凹部5bを形成して該凹部5bにス
ライム6を堆積させた状態でコンクリート5の打設高さ
の上昇に従って地上まで一体的に上昇するものである。
【0015】このように、トレミー管4からの打設コン
クリート5は、その打設上面5aを縦孔1の孔壁1a側から
中心部に向かって下方に傾斜させた状態を維持しながら
上昇するので、スライム6はその打設上面5aの中心部に
集合させられ、従って、孔壁1aに沿って建て込んでいる
鉄筋3に付着することがなく、所望強度のコンクリート
杭を造成し得るものである。なお、コンクリート5の打
設上面5aの上昇に従って上方に押し上げられる孔壁安定
液2は地上において排除される。
【0016】上記実施例においては、4本のトレミー管
4を鉄筋3の内面に沿って略等間隔毎に配設したが、ト
レミー管4の使用本数は、上記のようにコンクリート5
の打設上面5aが縦孔1内に挿入した円筒形状の鉄筋3側
から縦孔1中心部に向かって下方に傾斜して中心部にス
ライム6を滞留させる凹部5bを形成するように、杭の造
成径とトレミー管4の内径とを考慮して設定される。そ
のためには、図3に示すように少なくとも3本以上のト
レミー管4を縦孔1の周方向に等間隔毎に配設すること
が望ましい。
【0017】しかしながら、1本のトレミー管4によっ
ても上記のように、コンクリート5の打設上面5aを鉄筋
3側から縦孔1の中心部に向かって下方に傾斜させた状
態にしながら、コンクリート5の打設を行うことが可能
である。即ち、トレミー管4の下端部を常に打設コンク
リート5内に没入させた状態にして、該トレミー管4を
縦孔1内に挿入した円筒形状の鉄筋3の内周面に沿って
周方向に移動させながらコンクリート5を打設していけ
ば、上述した複数本のトレミー管4による打設状態と同
様に、縦孔1の中心部を最も低い打設面とすることがで
きる。
【0018】こうして、縦孔1内に地上部まで達するコ
ンクリート5の打設が完了し、打設上面の中央部に滞留
しているスライム6を吸引装置(図示せず)によって排
除するか、或いは、コンクリートが硬化してコンクリー
ト基礎杭が築造されたのち、ブレーカ等の適宜な破砕機
によって破砕、除去される。なお、以上の実施例におい
ては、トレミー管4を鉄筋3の内周面側に挿入している
が、孔壁1aと鉄筋3との間にトレミー管4が挿入可能な
幅の隙間がある場合にはトレミー管4をその隙間、即
ち、鉄筋3の外周面に沿って挿入してコンクリート5を
打設することが望ましい。
【0019】
【発明の効果】以上のように本発明の場所打ちコンクリ
ート杭の造成方法によれば、水、泥水等の孔壁安定液が
充満している縦孔内に該縦孔の壁面に沿って鉄筋を建て
込んだのち縦孔内にトレミー管を挿入し、このトレミー
管を通じてコンクリートを打設することによりコンクリ
ート杭を造成する方法において、上記トレミー管を縦孔
内に建て込んだ上記鉄筋の近傍部に沿って挿入し、その
状態でコンクリートを打設することを特徴とするもので
あるから、コンクリートの打設上面を縦孔の孔壁側が高
く、中心部に向かって下方に傾斜した状態とすることが
できる。
【0020】従って、コンクリートよりも比重の小さい
縦孔底面に沈澱しているスライムをこの傾斜したコンク
リート打設上面の最低部、即ち、縦孔の中心部に集合、
滞留させることができ、孔壁に沿って建て込んでいる鉄
筋にスライムが付着するのを防止することができてコン
クリートと鉄筋とを完全に密着させることができ、所望
強度を有するコンクリート杭を造成することができるも
のである。
【0021】また、請求項2に記載したように、複数本
のトレミー管を縦孔の孔壁に沿って建て込んだ鉄筋の近
傍部に沿って周方向に所望間隔毎に挿入し、これらのト
レミー管を通じて縦孔内にコンクリートを打設すること
によって、コンクリートの打設上面を夫々のそれトレミ
ー管の周囲において最も高く、トレミー管の挿入位置か
ら四方に向かって下方に傾斜した略円錐状態とすること
ができ、これらの円錐状打設面が互いに重複しあってそ
の重複部分が縦孔の中心に向かうに従って低くなり、従
って、打設面上に堆積しているスライムを鉄筋側に残留
させることなく確実に縦孔の中心部に集合、堆積させる
ことができて鉄筋に対する付着をなくし得るものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】コンクリート杭を打設している状態を示す簡略
縦断側面図、
【図2】その簡略横断面図、
【図3】本発明の別な実施例を示す簡略横断面図、
【図4】従来例を示す簡略縦断側面図、
【図5】その簡略横断面図。
【符号の説明】
1 縦孔 1a 孔壁 2 孔壁安定液 3 鉄筋 4 トレミー管 5 打設コンクリート 5a 打設上面 6 スライム
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−58723(JP,A) 特開 昭55−98525(JP,A) 特開 昭57−36212(JP,A) 特開 平1−182410(JP,A) 特開 昭57−92217(JP,A) 実開 昭61−187855(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 5/18 - 5/72

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水、泥水等の孔壁安定液が充満している
    縦孔内に該縦孔の壁面に沿って円筒状の鉄筋を建て込ん
    だのち縦孔内にトレミー管を挿入し、このトレミー管を
    通じてコンクリートを打設することによりコンクリート
    杭を造成する方法において、上記トレミー管を縦孔内に
    建て込んだ上記円筒状の鉄筋の近傍部に沿って挿入し、
    その状態でコンクリートを打設することによりコンリー
    トの打設上面を上記円筒状の鉄筋側から縦孔の中心部に
    向かって下方に傾斜させて縦孔の中心部にスライムを滞
    留させる凹部を形成し、該凹部にスライムを集合させた
    状態でコンクリートの打設高さの上昇に従って地上まで
    一体に上昇させることを特徴とする場所打ちコンクリー
    ト杭の造成方法。
  2. 【請求項2】 コンクリートを打設するトレミー管は、
    縦孔内に建て込んだ円筒状の鉄筋の近傍部に沿って、複
    数本、挿入されていることを特徴とする請求項1記載の
    場所打ちコンクリート杭の造成方法。
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