JP4443120B2 - 被覆剤組成物およびそれを用いた床面維持管理方法 - Google Patents

被覆剤組成物およびそれを用いた床面維持管理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被覆剤組成物およびそれを用いた床面維持管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
木質系床材、合成樹脂からなる化学床材、コンクリートや大理石等の石床等の床材には、床材の美観を保つともに、床面の保護を目的として、フロアーポリッシュ用組成物による皮膜が形成されている。上記フロアーポリッシュ組成物としては、溶剤を使用する油性タイプのもの、水性または乳化状態のものが一般的で、その分類については、「JFPA(日本フロアーポリッシュ工業会)規格−00」、フロアーポリッシュ試験方法通則の用語の定義に規定されている。
【0003】
この規格にあるフロアーポリッシュのうち、主流となっているものは、水性のポリマータイプのものである。この水性ポリマータイプのフロアーポリッシュは、通常、アクリル系共重合物のエマルジョン、ポリエチレンワックスエマルジョン、アルカリ可溶性樹脂、可塑剤、その他の成分からなることが、特公昭44−24407合公報(特許文献1参照)、特公昭49−1458号公報(特許文献2参照)、Cosmetic Chemical Specialities,61(9),86(1985)(非特許文献1参照)等に示されている。
【0004】
そして、特定のアクリル系共重合体の水溶液からなり、ツヤ出し効果が良好で、洗浄性、耐水性に優れたツヤ出し洗浄剤組成物が、特公昭61−18958号公報にある(特許文献3参照)。
【0005】
また、防水処理を施す工程と、床を水洗浄する工程と、前記水洗浄の汚水を除去し床を乾燥させる工程と、床の表面を研磨する工程と、床にウレタン系塗料を塗布・乾燥する工程とを含む、木質または樹脂製の床の洗浄再生方法が、特開2001−225035号公報にある(特許文献4参照)。
【0006】
さらに、ウレタン系樹脂コーティング剤を用いて塗布されている木質系床の表面を再塗装する方法において、木質系床に塗布されているウレタン系樹脂コーティング剤の塗装面を洗浄水で洗浄し、その後、水性ウレタン系樹脂コーティング剤で仕上げる木質系床の再塗装方法が、特開2001−25704号公報にある(特許文献5参照)。
【0007】
一方、汚物およびワックスの除去、特に隅、すそ板、階段等掃除の不自由な場所からの汚物およびワックス等を除去するための洗浄組成物が、特公昭58−42239号公報にある(特許文献6参照)。
【0008】
また、特定のグリコール系水溶性有機溶剤、ベンジルアルコ−ルおよびアミン類を主要成分としてなる、水性ポリマータイプフロアーポリッシュの皮膜の除去性に優れ、水拭作業が簡単で、不快臭なく安全な水性ポリマ−タイプフロア−ポリッシュ用剥離剤が、特開平9−241687号公報にある(特許文献7参照)。
【0009】
そして、特定の溶剤、キレート化合物、界面活性剤および水を含有し、pHを特定範囲にすることにより、床材質を傷めず、隣接しているカーペットを損傷、変色させることがなく、しかも剥離性に優れたフロアーポリッシュ除去剤が、特開平10−298593号公報にある(特許文献8参照)。
【0010】
【特許文献1】
特公昭44−24407号公報
【特許文献2】
特公昭49−1458号公報
【非特許文献1】
Cosmetic Chemical Specialities,61(9),86(1985)
【特許文献3】
特公昭61−18958号公報
【特許文献4】
特開2001−225035号公報
【特許文献5】
特開2001−25704号公報
【特許文献6】
特公昭58−42239号公報
【特許文献7】
特開平9−241687号公報
【特許文献8】
特開平10−298593号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報等に記載されたフロアーポリッシュ組成物等では、それらの皮膜からなる床面の維持管理のための作業が煩雑で、環境負荷が大きいものが多い。特に、特公昭61−18958号公報に見られる従来の組成物においては、耐粉化性に乏しく、歩行時に滑りを生じる恐れがあるといった課題を有している。耐粉化性を改善するために、可塑剤や皮膜形成助剤を増量しても、満足のいくレベルまで改善することは困難で、しかも乾燥被膜がべたついたものとなる。また、溶剤を増量した場合には、組成物の貯蔵安定性に乏しいものとなり、好ましくないという問題がある。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、床面維持管理作業時の環境負荷や作業労力を軽減することができ、美観にも優れた床面皮膜を形成しうる被覆剤組成物と、その床面維持管理方法の提供を、その目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、床面の被覆に用いられる被覆剤組成物であって、ガラス転移温度(Tg)70〜140℃、酸価(Av)50〜300、および平均分子量(Mw)4,000〜45,000であるアルカリ可溶性樹脂(R)が、塗布後の被覆剤組成物乾燥皮膜中に25〜95質量%含有されるよう配合されているとともに、ガラス転移温度(Tg)−30〜11℃、平均分子量(Mw)50,000〜1,000,000である水性樹脂分散体(P)が、塗布後の被覆剤組成物乾燥皮膜中に5〜75質量%含有されるよう配合されており、かつ上記アルカリ可溶性樹脂(R)と水性樹脂分散体(P)の配合割合(R:P)が、固形分比で9:1〜に設定されている被覆剤組成物を第1の要旨とする。
【0014】
また、本発明は、上記被覆剤組成物のなかでも、特に、上記アルカリ可溶性樹脂が、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体,スチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ロジン変性マレイン酸から選ばれる少なくとも一種を含有するものである被覆剤組成物を第2の要旨とする。
【0015】
さらに、本発明は、これらの被覆剤組成物のなかでも、特に、上記水性樹脂分散体における各単量体の割合が、全単量体の合計量を基準として下記の割合に設定されている被覆剤組成物を第3の要旨とする。
(a)α,β−カルボン酸単量体2〜40質量%。
(b)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体20〜90質量%。
(c)上記(a)および(b)単量体と共重合可能な単量体0〜78質量%。
【0016】
また、本発明は、これらの被覆剤組成物のなかでも、特に、滑り調整剤が、塗布後の被覆剤組成物乾燥皮膜中に5〜40質量%含有されるよう配合されている被覆剤組成物を第4の要旨とし、そのなかでも、特に、上記滑り調整剤が、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックスから選ばれる少なくとも一種である被覆剤組成物を第5の要旨とする。
【0017】
さらに、本発明は、これらの被覆剤組成物のなかでも、特に、原液におけるpH(JIS−Z−8802:1984「pH測定方法」)が、25℃で8〜10に設定され、かつ、外観が透明〜乳白色である被覆剤組成物を第6の要旨とする。
【0018】
また、本発明は、床面に、上記第1〜第6の要旨である被覆剤組成物のいずれかを塗布・乾燥することにより被覆剤皮膜を形成し、上記被覆剤皮膜の摩耗・汚れに応じて、その皮膜を形成しうる被覆剤組成物を含ませたモップ類で上記被覆剤皮膜の汚れをこすり取りながら、同時に上記被覆剤皮膜に新たな被覆剤組成物を供給して被覆剤皮膜を再生するようにした床面維持管理方法を第7の要旨とする。
【0019】
そして、本発明は、上記床面維持管理方法のなかでも、特に、上記床面が、水性フロアーポリッシュ組成物が塗布された床面である床面維持管理方法を第8の要旨とし、上記床面が、紫外線硬化塗料,シリコーン塗料,ウレタン塗料,アクリル塗料から選ばれる一種の塗料が塗布された床面である床面維持管理方法を第9の要旨とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
まず、本発明の被覆剤組成物は、特定のアルカリ性可溶性樹脂(R)と、特定の水性樹脂分散体(P)とが、特定割合ずつ配合されている組成物である。
【0022】
上記被覆剤組成物に用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体,スチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ロジン変性マレイン酸、シェラック等があげられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
そして、上記アルカリ可溶性樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が70〜140℃、酸価(Av)が50〜300、平均分子量(Mw)が4,000〜45,000でなければならない。特に、被覆剤組成物および得られる皮膜への着色を防ぎ(非着色性)、他成分との組み合わせの容易性の点から、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体,スチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体を用いることが好適である。
【0024】
なお、上記アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度(Tg)が、70℃未満である場合には、被覆剤組成物の乾燥皮膜が柔らかかったり、べたついたりするため、耐久性の乏しいものとなる。一方、140℃を超えると、耐粉化性に劣ったものとなる。また、酸価(Av)が、50未満である場合には、自己再分散性に乏しく、一方、300を超えると、耐水性に劣ったものとなる。そしてまた、平均分子量(Mw)が、4,000未満である場合には、耐水性に劣り、逆に、45,000を超えると、自己再分散性に劣ったものとなる。このため、ガラス転移温度(Tg)、酸価(Av)および平均分子量(Mw)は、上記の範囲に設定することが必要である。
【0025】
上記アルカリ可溶性樹脂は、上記被覆剤組成物中において、塗布後の乾燥皮膜固形分中において25〜95質量%の割合となるように配合される。すなわち、25質量%未満では、剥離性に乏しく、一方、95質量%を超えると耐水性に劣るからである。なかでも、特に、被覆剤皮膜の耐ブラックヒールマーク(BHM)性、耐スカッフ性、耐久性、耐水性を向上させるために配合する他成分とのバランスから、塗布後の乾燥皮膜固形分中において40〜80質量%の範囲となるように配合することが好ましい。
【0026】
上記アルカリ可溶性樹脂の製造方法については、特に制限はないが、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法を採用することが好ましい。
【0027】
乳化重合法によりアルカリ可溶性樹脂を製造するには、以下に述べるような乳化剤、重合開始剤等を使用して行われる。
【0028】
上記乳化剤としては、ジアルキルコハク酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物等のアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン界面活性剤、スチレンスルホン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホ琥珀酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルグリセリンエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェノールアルキルグリセリンエーテルサルフェート等の反応性乳化剤、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、水溶性アクリル酸エステル共重合体、水溶性メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体およびその塩、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体およびそれらの塩、ポリアクリルアミド共重合体、ポリメタクリルアミド共重合体等の高分子界面活性剤等が使用でき、これらは単独でまたは2種以上併用して使用することができる。
【0029】
上記乳化剤の望ましい使用量は、通常単量体100質量部当たり0.05〜5質量部である。乳化剤の使用量が0.05質量部未満では乳化性に乏しく、一方5質量部を超えると耐水性に劣ることがある。
【0030】
また、上記重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルヒドロキシペルオキシド等の過酸化物などが使用できる。これらは亜硫酸水素ナトリウム、ピロ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等の還元剤を併用したレドックス系として使用してもよい。
【0031】
より具体的には、例えば、水性媒体中に上記単量体、乳化剤、重合開始剤、還元剤、連鎖移動剤、キレート化剤、pH調整剤等を添加し、温度30〜100℃で1〜30時間程度重合反応を行うこと等によりアルカリ可溶性樹脂を得ることができる。
【0032】
また、本発明の被覆剤組成物において、上記アルカリ可溶性樹脂とともに用いられる水性樹脂分散体は、α,β−不飽和カルボン酸単量体(a成分)、アクリル酸エステル単量体およびメタクリル酸エステル単量体の少なくとも一方(b成分)、上記(a)成分および(b)成分と共重合可能な単量体(c成分)とで構成されるものである。
【0033】
上記(a)成分であるα,β−不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、 メタクリル酸、 フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸などがあげられ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸が用いられる。これらのα,β−不飽和カルボン酸単量体は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用することができる。
【0034】
そして、上記(a)成分は、水性樹脂分散体中に2〜40質量%の割合で配合されることが好ましい。すなわち、2質量%未満では、耐久性に乏しく、一方、40質量%を超えて配合した場合にはレベリング性に劣り、好ましくない。なかでも、貯蔵安定性の点から、5〜25質量%の割合で共重合されることが好ましい。
【0035】
また、上記(b)成分であるアクリル酸エステル単量体およびメタクリル酸エステル単量体の少なくとも一方としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸n−アミル、アクリル酸i−アミル、アクリル酸へキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸i−ノニル、アクリル酸デシル、ヒドロキシメチルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシアミルアクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸n−アミル、メタクリル酸i−アミル、メタクリル酸へキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸i−ノニル、メタクリル酸デシル、ヒドロキシメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシアミルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルメタクリレート等があげられる。なかでも、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシルが、好適に用いられる。これらのアクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用することができる。
【0036】
そして、上記(b)成分は、水性樹脂分散体中に20〜90質量%の割合で配合されることが好ましい。すなわち、20質量%未満では、耐水性、耐候性に乏しく、一方、90質量%を超えて配合した場合には光沢度に劣り、好ましくない。なかでも、貯蔵安定性の点から、40〜80質量%の割合で共重合されることが特に好ましい。
【0037】
さらに、上記(c)成分、すなわち上記(a)および(b)の単量体と共重合可能な単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−エトキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロー3−メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジクロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、1−ビニルナフタレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル単量体、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、アルキルフェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、アルキルフェノールエチレンオキシドアクリレート、アルキルフェノールプロピレンオキシドアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、エチレングリコールアクリレートモノフタレート、エチレングリコールアクリレートヒドロキシエチルフタレート等のポリエステルアクリレート類、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、アルキルフェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシボリエチレングリコールメタクリレート、アルキルフェノールエチレンオキシドメタクリレート、アルキルフェノールプロピレンオキシドメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールメタクリレートモノフタレート、エチレングリコールメタクリレートヒドロキシエチルフタレート等のポリエステルメタクリレート類、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、メチルグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルグリシジルメタクリレート等のエポキシ化合物、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレー卜、ペンタエリスリト ールテトラアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレー卜、ペンタエリスリト ールテトラメタクリレート等の多官能性単量体、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミド、N,N′−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等の酸アミド化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、脂肪酸ビニルエステルなどのビニル化合物、トリフルオロエチルアクリレート、ペンタデカフルオロオクチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ペンタデカフルオロオクチルメタクリレート等のフッ素原子含有単量体、γ−メタクリロイルプロパントリメトキシシラン、チッソ社製のサイラプレーンFMO711等の反応性シリコーン等のシリコーン化合物、アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ブチルアミノエチルアクリレート等のエチレン系不飽和カルボン酸のアミノアルキルエステル、アミノエチルアクリルアミド、ジメチルアミノメチルメタクリルアミド、メチルアミノプロピルメタクリルアミド等のエチレン系不飽和カルボン酸のアミノアルキルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル系単量体等があげられ、好ましくは、スチレンが用いられる。
【0038】
これら(c)成分の単量体は、単独で用いてもよく、あるいは2種以上を併用することができる。そして、水性樹脂分散体中に0〜78質量%の割合で配合されることが好ましい。すなわち、78質量%を超えて配合した場合には耐久性が劣り、好ましくないからである。なかでも、耐粉化性、滑りにくさの点から、0〜50質量%の割合で共重合されることが好ましい。
【0039】
そして、上記(a)〜(c)成分を単量体単位として構成された水性樹脂分散体は、上記被覆剤組成物中において、塗布後の乾燥皮膜固形分中に5〜75質量%の範囲となるように配合される。なかでも、剥離性、分散性の点から、8〜50質量%の割合で配合することが、特に好ましい。
【0040】
上記水性樹脂分散体は、以下に述べるような乳化剤、重合開始剤を使用して、広く知られている乳化重合法により製造することが好ましい。
【0041】
まず、乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキル流酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸ナトリウム、ジアルキルスルホ琥珀酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物等のアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン界面活性剤、スチレンスルホン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホン酸ナトリウム、アルキルアリルスルホ琥珀酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルアリルグリセリンエーテルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェノールアルキルグリセリンエーテルサルフェート等の反応性乳化剤、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、水溶性アクリル酸エステル共重合体、水溶性メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体およびそれらの塩、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体およびそれらの塩、ポリアクリルアミド共重合体、ポリメタクリルアミド共重合体等の高分子界面活性剤等が使用でき、これらは単独でまたは2種以上併用して使用することができる。乳化剤の望ましい使用量は、通常単量体100質量部当たり0.05〜5質量部である。乳化剤の使用量が0.05質量部未満では乳化性に乏しく、一方5質量部を超えると耐水性に劣ることがある。
【0042】
また、重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化水素、ベンゾイルペルオキシド、t−ブチルヒドロキシペルオキシド等の過酸化物などが使用できる。これらは亜硫酸水素ナトリウム、ピロ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート等の還元剤を併用したレドックス系として使用してもよい。
【0043】
そして、重合反応の温度は、20〜95℃が好ましく、特に40〜90℃であることが好ましい。また、重合時間は1〜10時間であることが好ましい。
【0044】
上記水性樹脂分散体は、ガラス転移温度(Tg)が、−30〜11℃、平均分子量(Mw)が50,000〜1,000,000に設定されたものでなければならない。すなわち、水性樹脂分散体のガラス転移温度が−30℃未満の場合では、被覆剤皮膜にべとつきを生じやすく、逆に30℃を超える場合には、耐粉化性が乏しくなる。また、平均分子量が50,000未満の場合では、耐粉化性に乏しく、1,000,000を超えると重合が困難になるからである。
【0045】
したがって、水性樹脂分散体の設計にあたっては、前記(a)〜(c)成分の単量体単位のそれぞれ1種または2種以上を、得られる共重合体のガラス転移温度(Tg)が上記範囲内に設定されるよう選択して共重合させなければならない。本発明にて用いるガラス転移温度(Tg)は、次に示されるFoxの式(1)で求められる。
【0046】
【数1】
Figure 0004443120
【0047】
上式において、ホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度(Tg)については、ポリマーハンドブックなどに記載されている値を用いることができる。例えば、ポリメタクリル酸メチル:105℃、ポリアクリル酸n−ブチル:−54℃、ポリアクリル酸2−エチルへキシル:−50℃、ポリアクリル酸シクロヘキシル:19℃、ポリメタクリル酸:228℃、ポリメタクリル酸シクロヘキシル:66℃、ポリアクリル酸:106℃、ポリスチレン:100℃、ポリα−メチルスチレン:168℃等である。
【0048】
上記水性樹脂分散体は、例えば、固形分量10〜70質量%濃度の水性分散液として得られ、本発明の被覆剤組成物中に、塗布後の乾燥皮膜中の含有割合が5〜75質量%の範囲となるよう配合することが好ましい。
【0049】
また、上記アルカリ可溶性樹脂(R)と水性樹脂分散体(P)とは、自己再分散性の点から、被覆剤組成物中において、9:1〜の割合(固形分比)で配合することが必要である。すなわち、アルカリ可溶性樹脂が上記範囲よりも多すぎると、耐水性、滑りにくさに劣り、逆に、水性樹脂分散体が上記範囲よりも多すぎると、剥離性に劣るからである。
【0050】
また、本発明の被覆剤組成物には、上記アルカリ可溶性樹脂および水性樹脂分散体以外の成分として、滑り調整剤、可塑剤、皮膜形成助剤、濡れ性向上剤、多価金属化合物等を配合することができる。
【0051】
上記滑り調整剤としては、キャンデリラワックス、カルナバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油等の植物系ワックス、蜜蝋、ラノリン、鯨ロウ等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等の合成ワックス等をあげることができる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
なかでも、特に、耐ブラックヒールマーク(BHM)性、耐スカッフ(SM)性、滑りにくさの点から、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックスを用いることが好ましい。
【0053】
上記滑り調整剤は、塗布後における被覆剤組成物の乾燥皮膜中に5〜40質量%の範囲となるように配合することが好ましい。
【0054】
また、本発明の被覆剤組成物に用いることのできる可塑剤としては、クエン酸アセチルトリブチル等のクエン酸エステル類、リン酸トリブチル、リン酸トリ2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシル、リン酸トリブトキシエチル等のリン酸エステル類、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル等の脂肪族二塩基酸エステル類、ペンタジオールのイソブチルエステル誘導体、塩素化パラフィン等があげられる。
【0055】
さらに、本発明の被覆剤組成物に用いることのできる皮膜形成助剤としては、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール等の多価アルコール類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−2−メチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル等のグリコールエーテル類、α−アミノアルコール、β−アミノアルコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノイソヘキシルアルコール、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、N,N−ブチルエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール等のアミン化合物等があげられる。
【0056】
また、本発明の被覆剤組成物に用いることのできる濡れ性向上剤としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、高級アルコール硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミドなどの脂肪酸アルカノールアミド類、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤、ラウリルベタインなどのアルキルベタイン型両性界面活性剤、ラウロイルアミドプロピルベタイン等のアミドベタイン型両性イオン界面活性剤、2−アルキル−N−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタイン、2−アルキル−N−カルボキシエチルイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン型両性イオン界面活性剤、アルキルスルホベタイン型両性イオン界面活性剤、ヤシ脂肪酸アミドジメチルヒドロキシプロピルスルホベタインなどのアミドスルホベタイン型両性界面活性剤、N−アルキル−β−アミノプロピオン酸塩、N−アルキル−β−イミノジプロピオン酸塩、β−アラニン型両性界面活性剤等の両性界面活性剤があげられる。
【0057】
また、本発明の被覆剤組成物に用いることのできる多価金属化合物としては、酸化亜鉛、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸亜鉛アンモニア、炭酸カルシウムエチレンジアミン−アンモニア、酢酸亜鉛アンモニア、アクリル酸亜鉛アンモニア、リンゴ酸亜鉛アンモニア、アラニンカルシウムアンモニア等の金属架橋を形成するための多価金属化合物(重金属等)等を用いることができる。なお、ここでいう多価金属とは、2価以上の金属であり、具体的には、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、マンガン、銅、カドミウム、鉛、ビスマス、バリウム、アンチモン、ジルコニウム等があげられ、多価金属化合物とは、これらの多価金属を含有する化合物である。
【0058】
また、本発明の被覆剤組成物には、上記各成分以外に、適宜、アンモニア,アミン等のpH調整剤、防腐剤、消泡剤、抗菌剤、香料、染料、ウレタン樹脂、コロイダルシリカ、蛍光増白剤、紫外線吸収剤等を用いることもできる。
【0059】
本発明の被覆剤組成物において、上記任意成分もを含めた塗布後の乾燥皮膜固形分量は、被覆剤組成物全体中において3〜35質量%程度に設定されることが好ましい。
【0060】
そして、本発明の被覆剤組成物は、例えば、水に、可塑剤、皮膜形成助剤、界面活性剤、溶剤を添加した後、合成ワックス、水性樹脂分散体、アルカリ可溶性樹脂等を混合することにより、好適に製造することができる。ただし、混合の順序は適宜変更できるものであり、上記順序に限定されるものではない。また、得られる被覆剤組成物は、通常、原液におけるpH(JIS−Z−8802:1984「pH測定方法」)が、25℃で8〜10に設定され、かつ、外観が透明〜乳白色のものが好適である。
【0061】
本発明の被覆剤組成物は、ビニル系、合成樹脂塗り床などのプラスチック系床、石床、セメント系床、フローリング(木床)等を被覆して保護するのに有効である。
【0062】
本発明の被覆剤組成物は、スプレー塗布、ローラー塗布、ブラシ塗布、刷毛塗り、モップによる塗布などの通常の方法により、対象とする床面に塗布される。その場合、上記被覆剤組成物は、装置および塗布条件に応じて水、水混和性溶剤等の溶剤で希釈して使用することもできる。その他の塗布条件としての温度、湿度等の調節は、適宜乾燥機、送風機、エアコンディショナー等によって行うことができる。
【0063】
本発明の被覆剤組成物を塗布し、常温(5〜35℃)で、より好適には20〜25℃前後で乾燥することにより、被覆剤皮膜を形成することができる。なお、皮膜の形成過程において水分の蒸発を促進させるために、送風,加熱又は両者の併用等の水分除去手段を適宜用いるようにしてもよい。これにより、皮膜の形成時間を調製することが容易となるが、加熱手段は、あくまでも水分の蒸発のためのものであって、皮膜形成のために加熱を必須構成要件とするものではない。
【0064】
このようにして得られる被覆剤皮膜は、滑りにくさ、皮膜のべとつき、耐水性、貯蔵安定性、耐ブラックヒールマーク(BHM)性、耐スカッフ(SM)性、光沢度優れるとともに、特に、耐粉化性、自己再分散性にも優れるという特徴を有する。
【0065】
つぎに、本発明の床面維持管理方法について説明する。本発明の床面維持管理方法は、上記被覆剤組成物を用いて被覆皮膜が形成された既設の床面はもとより、新設または張替施工された直後の床材に対して行うことができる。
【0066】
そして、その手順は、例えばつぎのようにして行われる。すなわち、まず、上記のようにして床面に形成された被覆剤皮膜に対し、その摩耗・汚れに応じて、その皮膜を形成しうる被覆剤組成物を含ませたモップ類で上記被覆剤皮膜の汚れをこすり取りながら、同時に上記被覆剤皮膜に新たな被覆剤組成物を供給して被覆剤皮膜を再生するようにするのである。なお、上記「モップ類」とは、モップに限らず、モップのように被覆剤組成物を含ませて床面をこすることのできるものを、全て含む趣旨で用いている。
【0067】
上記床面は、従来から用いられている各種床材の表面そのものであってもよいが、床材の上に、水性フロアーポリッシュ組成物がベースコートとして塗布された床面であっても、紫外線硬化塗料,シリコーン塗料,ウレタン塗料,アクリル塗料から選ばれる一種の塗料がベースコートとして塗布された床面であってもよい。
【0068】
ここで用いられる水性フロアーポリッシュ組成物としては、例えば、商品名:ベーシックコート(ジョンソン・プロフェッショナル社製)等があげられる。
【0069】
また、紫外線硬化型塗料としては、例えば、商品名:トップコートT(ウィンテック社製)、商品名:ウルトラレジン(アシレ社製)等があげられ、シリコーン塗料としては、例えば、商品名:光触媒ニューリスタコート(九州リフォーム技術社製)等が挙げられる。そして、ウレタン塗料としては、例えば、商品名:ワシンフロア(和信化学工業社製)、商品名:ジムフィニッシュ(ジョンソン・プロフェッショナル社製)等があげられ、また、アクリル塗料としては、商品名:VONCORT EC−100(大日本インキ化学工業社製)等があげられる。
【0070】
本発明の床面維持管理方法を初めて導入する場合であって、水性フロアーポリッシュ組成物をベースコートとして塗布する場合には、次のような作業手順で行われる。
(1)床用剥離剤(例えば、商品名:ニュースーパーオールゴー、ジョンソン・プロフェッショナル社製、商品名:ゲットオフ、ジョンソン・プロフェッショナル社製等)を用いて、古い皮膜を完全に剥離し、汚水除去・すすぎ・水拭き等の処理をした後、床面を乾燥させる。
(2)ベースコートとして、水性フロアーポリッシュ組成物(例えば、商品名:ベーシックコート、ジョンソン・プロフェッショナル社製等)をモップ等に充分含ませて、塗り残しのないように2〜6回塗布する。
(3)ベースコートが完全に乾燥したら、本発明の被覆剤組成物をモップに充分含ませて1回塗布して仕上げる。
【0071】
塗布後における日常管理は、次のような作業手順で行われる。
(1)ハイジーンモップ・ダストキーパーで処理されたダストモップ・自在ぼうき等で砂やホコリを取り除く。また、必要に応じて、固く絞ったきれいな水モップで拭きあげる。
(2)被覆剤組成物の皮膜が汚れてきたり、光沢が低下したら、ダストモップで砂やホコリを除去し、モップで水拭き後、本発明の被覆剤組成物をモップ等に充分含ませて、汚れをこすり取りながら塗布する。これにより、傷んだ被覆剤塗膜は溶解し、被膜の汚れをモップ等に吸着・こすり取られる。同時に、モップ等に含んだ被覆剤組成物が新たに被覆剤皮膜面に供給され、清浄かつ美麗な被覆剤皮膜が再生される。
【0072】
なお、上記被覆剤皮膜は、半年〜1年に1回、剥離剤(例えば、商品名:パワフルビカ[ジョンソン・プロフェッショナル社製]、商品名:ニュー・スーパーオールゴー[ジョンソン・プロフェッショナル社製])や、アルカリクリーナー(例えば、商品名:無リンフォワード[ジョンソン・プロフェッショナル社製]、商品名:フォワード・ノンリンス[ジョンソン・プロフェッショナル社製]、商品名:バンノークリーナー[ティーポール社製]、サニタリークリーナー[ティーポール社製])を用いて剥離洗浄し、フロアースクイジーまたはウエットバキュームで汚水を除去し、水拭き後、床面を乾燥させた後、本発明の被覆剤組成物を塗布して仕上げることが好適である。
【0073】
【実施例、参考例、比較例】
以下に、本発明の実施例、参考例および比較例を説明する。なお、以下の記載において「部」は質量部を意味し、「%」は質量%を意味する。また、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0074】
<被覆剤組成物>
(1)アルカリ可溶性樹脂
まず、被覆剤組成物に用いられるアルカリ可溶性樹脂の単量体組成(部)を、後記の表1、表2に示す(R1〜R10)。
【0075】
(1−1)アルカリ可溶性樹脂の調製
乳化重合または溶液重合により、表1、表2に示す単量体混合物を共重合させ、水−アンモニア水溶液で中和し、固形分20〜30%のアルカリ可溶性樹脂の水溶液を得た。なお、各例における重合方法、ガラス転移温度(℃)、酸価、固形分(%)を、表1、表2に併せて示した。
【0076】
ただし、後記の表1、表2において、CHAはシクロヘキシルアクリレート、CHMAはシクロヘキシルメタクリレート、nBAはアクリル酸n−ブチル、2EHAはアクリル酸2−エチルヘキシル、AAはアクリル酸、MAAはメタクリル酸、MMAはメタクリル酸メチル、STはスチレン、AMSはα−メチルスチレン、Tgはガラス転移温度、Avは酸価、Mwは平均分子量、固形分はアルカリ可溶性樹脂中における重合体の有効成分量をそれぞれ示す。
【0077】
【表1】
Figure 0004443120
【0078】
【表2】
Figure 0004443120
【0079】
(2)水性樹脂分散体
つぎに、上記アルカリ可溶性樹脂とともに、被覆剤組成物に用いられる水性樹脂分散体の単量体組成(部)を、後記の表3〜表5に示す(P1〜12)。
【0080】
(2−1)水性樹脂分散体の調製
攪拌機、還流冷却器、2個の滴下ロート、温度計、窒素導入管を備えた反応容器内に水60部およびラウリル硫酸ナトリウム0.5部を仕込み85℃に昇温した。そして、表3〜表5に示す単量体混合物に、ラウリル硫酸ナトリウム0.5部および水35部を加えて乳化させた。得られた単量体乳化液および5%過硫酸アンモニウム水溶液10部をそれぞれ別の滴下ロートにより3時間かけて連続的に反応容器内に滴下して乳化重合させた。滴下終了から1時間後に系を冷却して重合を終了させて、水性樹脂分散体を得た。
【0081】
なお、各例におけるガラス転移温度(℃)と固形分(%)を、表3〜表5に併せて示した。
【0082】
なお、表3〜表5において、CHAはシクロヘキシルアクリレート、CHMAはシクロヘキシルメタクリレート、nBAはアクリル酸n−ブチル、2EHAはアクリル酸2−エチルヘキシル、AAはアクリル酸、MAAはメタクリル酸、MMAはメタクリル酸メチル、STはスチレン、AMSはα−メチルスチレン、Tgはガラス転移温度、固形分は水性樹脂分散体中における重合体の有効成分量をそれぞれ示す。
【0083】
【表3】
Figure 0004443120
【0084】
【表4】
Figure 0004443120
【0085】
【表5】
Figure 0004443120
【0086】
【実施例1〜18参考例1,2、比較例1〜15】
上記表1、表2のアルカリ可溶性樹脂と、表3〜表5の水性樹脂分散体を用い、後記の表6〜表12に示す組成により、実施例1〜18、参考例1,2および比較例1〜15の被覆剤組成物を調製した。ただし、これらの表において、各成分の組成を示す数字は、有り姿の質量%を示すものであり、各成分の詳細は以下に示すとおりである。
【0087】
滑り調整剤1 :ハイテックE−4000(東邦化学工業社製、ポリエチレンワックスエマルション純分40%)
滑り調整剤2 :ハイテックP−5060(東邦化学工業社製、ポリプロピレンワックスエマルション純分40%)
アミン類1 :トリエタノールアミン
アミン類2 :N−メチルジエタノールアミン
可塑剤 :トリブトキシエチルフォスフェート(大八化学工業社製)
皮膜形成助剤1:ジエチレングリコールモノエチルエーテル
皮膜形成助剤2:ジプロピレングリコールモノエチルエーテル
皮膜形成助剤3:エタノール
多価金属化合物:酸化亜鉛アンモニウム錯体水溶液(ZnO 12%)
消泡剤 :SE−21(WSC社製、純分17%)
防腐剤 :スラオフWB(武田薬品工業社製)
界面活性剤 :サンモリンOT−70(三洋化成工業社製、純分70%)と、S−100(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製)を9:1で混合したもの。
【0088】
【表6】
Figure 0004443120
【0089】
【表7】
Figure 0004443120
【0090】
【表8】
Figure 0004443120
【0091】
【表9】
Figure 0004443120
【0092】
【表10】
Figure 0004443120
【0093】
【表11】
Figure 0004443120
【0094】
【表12】
Figure 0004443120
【0095】
そして、得られた各種被覆剤組成物について、耐粉化性、自己再分散性、滑りにくさ、皮膜のべとつき、耐水性、貯蔵安定性、耐ブラックヒールマーク(BHM)性、耐スカッフ(SM)性、光沢度の試験項目について、以下の試験方法と判定基準により評価し、その結果を後記の表13〜表19に併せて示した。
【0096】
(1)耐粉化性
〔試験方法〕
マイクロ・スライドガラス(76×26mm)に供試被覆剤組成物を0.5mL塗り広げ、温度5℃−湿度75%恒温恒湿機中に一晩置き、さらに室温中に一日置いた。得られた皮膜を針で引っ掻いて、以下の判定基準により、その壊れ方を目視で評価した。ここで、「粉化」とは、皮膜がもろくなり、皮膜表面から皮膜が粉状になって剥がれて、皮膜表面の滑りにつながる現象をいう。
〔判定基準〕
◎:針の通った傷のみ出来る(実用上、高い耐粉化性を有する)
○:針の通った傷の形が残り、極わずか付近の皮膜が剥がれる(実用上の耐粉化性を有する)
△:針の通った周辺の皮膜が剥がれる(実用上の耐粉化性に劣る)
×:針の通った周辺まで粉になって砕ける(耐粉化性に乏しい)
【0097】
(2)滑りにくさ
〔試験方法〕
JIS K 3920(フロアーポリッシュ試験方法)に準拠し、静摩擦係数を測定した。コンポジションビニルタイル(東リ社製、ニューマチコV No.33)に、下地剤として、ベーシックコート(ジョンソン・プロフェッショナル社製)を15g/m2 の塗布量の割合で2回塗布した後、供試被覆剤組成物を、15g/m2 の塗布量の割合で1回塗布した。室温で3日放置させた後、ASTM D2047に規定されているジェームスマシーンを用いて静摩擦係数を測定し、以下の判定基準により評価した。
〔判定基準〕
○:0.5以上であり、歩行に支障はない
×:0.5未満であり、歩行に支障をきたすおそれがある
【0098】
(3)皮膜のべとつき
〔試験方法〕
コンポジションビニルタイル(東リ社製、ニューマチコV No.33)の床に、ベースコートとして水性フロアーポリッシュ組成物(商品名:ベーシックコート、ジョンソン・プロフェッショナル社製)を15g/m2 の塗布量の割合で2回塗布・硬化した後、供試被覆剤組成物を15g/m2 の塗布量の割合で1回塗布し、常温にて1時間乾燥させた。
得られた皮膜を指で押しつけた後、持ち上げて、そのべとつき感を評価した。
〔判定基準〕
○:べとつかず、指に張りつき感がない
△:少しべとついて、指にわずかに張りつき感がある
×:べとつきがあり、指にはっきりとした張りつき感がある
【0099】
(4)耐水性
〔試験方法〕
コンポジションビニルタイル(東リ社製、ニューマチコV No.33)に、ベースコートとして水性フロアーポリッシュ組成物(商品名:ベーシックコート、ジョンソン・プロフェッショナル社製)を15g/m2 の塗布量の割合で2回塗布・硬化した後、供試被覆剤組成物を15g/m2 の塗布量の割合で1回塗布し、常温にて一昼夜乾燥させた。
一晩乾燥させた後、0.2mLの水滴を滴下し、さらに1時間静置したときのタイル表面の皮膜状態を評価した。
〔判定基準〕
◎:白化を認めない
○:わずかにスポット跡が残る
△:白化を認める
×:白化し、さらに皮膜が剥がれる
【0100】
(5)自己再分散性
〔試験方法〕
ホモジニアスビニルタイル(東リ社製、MSプレーン MS5626)に、ベースコートとして水性フロアーポリッシュ組成物(商品名:ベーシックコート、ジョンソン・プロフェッショナル社製)を15g/m2 の塗布量の割合で2回塗布・硬化した後、供試被覆剤組成物を15g/m2 の塗布量の割合で1回塗布し、常温にて一昼夜乾燥させた。そして、3日後、供試被覆剤組成物を床面に滴下し、布製モップ(商品名:Jコーター、ジョンソン・プロフェッショナル社製)で古い皮膜を溶かしながら塗り重ねをし、古い皮膜の溶け具合を評価した。
〔判定基準〕
◎:極めて早く溶ける
○:溶ける
△:少し溶ける
×:溶けない
【0101】
(6)貯蔵安定性
〔試験方法〕
JISK3920(フロアーポリッシュ試験方法)に準拠し、供試被覆剤組成物を容器(ポリエチレン製、300ml容量)に入れて密栓し、50℃に保った恒温槽(いすず製作所社製、型式;KAX−730)で14日間保持した。その後の試料の状態をゲル化、相分離、固形分の沈殿等の有無を以下の判定基準に従って、目視で判定した。
〔判定基準〕
○:問題が見られない
×:問題が見られる
【0102】
(7)耐ブラックヒールマーク(BHM)性
〔試験方法〕
JISK3920(フロアーポリッシュ試験方法)に準拠し、ホモジニアスビニルタイル(東リ社製、マチコSプレーンNo. 5626)に、ベースコートとして水性フロアーポリッシュ組成物(商品名:ベーシックコート、ジョンソン・プロフェショナル社製)を15g/m2 の塗布量の割合で2回塗布・硬化した後、供試被覆剤組成物を15g/m2 の塗布量の割合で1回塗布し、常温にて一昼夜乾燥させたものをヒールマーク試験機にて試験し、目視にて10段階で判定した。
〔判定基準〕
10:極めて高い耐BHM性を示す。
6〜9:適度な耐BHM性を有し、実用性を備えている。
2〜5:耐BHM性に欠け、実用性にも欠ける。
1:極めて耐BHM性に欠ける。
【0103】
(8)耐スカッフ(SM)性
〔試験方法〕
JISK3920(フロアーポリッシュ試験方法)に準拠し、ホモジニアスビニルタイル(東リ社製、マチコSプレーンNo. 5626)に、ベースコートとして水性フロアーポリッシュ組成物(商品名:ベーシックコート、ジョンソン・プロフェッショナル社製)を15g/m2 の塗布量の割合で2回塗布・硬化した後、供試被覆剤組成物を15g/m2 の塗布量の割合で1回塗布し、常温にて一昼夜乾燥させたものをヒールマーク試験機にて試験し、目視にて10段階で判定した。
〔判定基準〕
10:極めて高い耐スカッフ性を示す。
6〜9:適度な耐スカッフ性を有し、実用性を備えている。
2〜5:耐スカッフ性に欠け、実用性にも欠ける。
1:極めて耐スカッフ性に欠ける。
【0104】
(9)光沢度
〔試験方法〕
JISK3920(フロアーポリッシュ試験方法)に準拠し、ホモジニアスビニルタイル(東リ社製、商品名:マチコSプレーンNo. 5626)に、ベースコートとして水性フロアーポリッシュ組成物(商品名:ベーシックコート、ジョンソン・プロフェッショナル社製)を15g/m2 の塗布量の割合で2回塗布・硬化した後、供試被覆剤組成物を15g/m2 の塗布量の割合で1回塗布後、1時間乾燥させたものの光沢度を鏡面光沢度計(日本電色工業社製、型式:PG−1M)を用いて測定した。
【0105】
【表13】
Figure 0004443120
【0106】
【表14】
Figure 0004443120
【0107】
【表15】
Figure 0004443120
【0108】
【表16】
Figure 0004443120
【0109】
【表17】
Figure 0004443120
【0110】
【表18】
Figure 0004443120
【0111】
【表19】
Figure 0004443120
【0112】
上記実施例1〜18の評価結果から、耐粉化性、自己再分散性、滑りにくさ、皮膜のべとつき、耐水性、貯蔵安定性、耐ブラックヒールマーク(BHM)性、耐スカッフ(SM)性、光沢度のいずれの試験項目においても良好な結果であることがわかる。
【0113】
また、供試被覆剤組成物をスライドガラス上に塗布・乾燥し、pH8、pH10、pH12、pH14のアルカリ水溶液に浸漬し、皮膜の溶解(可溶化)、分散を観察したところ、いずれもスライドガラス上に被膜が除去できずに残るものはなかった。
【0114】
【実施例19
この例は、本発明の床面の清浄・美観の維持管理方法を初めて導入する場合であり、水性フロアーポリッシュ組成物をベースコートとして塗布した場合の作業手順と結果である。
(1)床用剥離剤として、商品名:ニュースーパーオールゴー、ジョンソン・プロフェショナル社製の5倍希釈液を用いて、古い皮膜を完全に剥離し、汚水除去・すすぎ・水拭き等の処理をした後、床面を乾燥させた。
(2)ベースコートとして、水性フロアーポリッシュ組成物;商品名:ベーシックコート、ジョンソン・プロフェッショナル社製を、モップに充分含ませて、塗り残しのないように3回塗布した。
(3)ベースコートが完全に乾燥したら、前記実施例1の被覆剤組成物をモップに充分含ませて1回塗布して仕上げた。
塗布後における日常管理を、次のような作業手順で行なった。
(4)ハイジーンモップ・ダストキーパーで処理されたダストモップ・自在ぼうき等で砂やホコリを取り除く。また、必要に応じて、固く絞ったきれいな水モップで拭きあげる。
(5)被覆剤組成物の皮膜が汚れてきたり、光沢が低下したら、ダストモップで砂やホコリを除去し、モップで水拭き後、前記実施例1の被覆剤組成物をモップに充分含ませて、汚れをこすり取りながら塗布した。
(6)(4)〜(5)の作業を繰り返す毎に、上記評価方法および判定基準に準じて、皮膜のべとつき、耐水性、自己再分散性、光沢度を評価したところ、いずれも良好な結果を示した。特に、光沢度にあっては85を下回ることはなかった。
【0115】
【実施例2
この例は、本発明の床面の清浄・美観の維持管理方法を初めて導入する場合であり、紫外線硬化塗料をベースコートとして塗布した場合の作業手順と結果である。
(1)床用剥離剤として、商品名:ニュースーパーオールゴー、ジョンソン・プロフェショナル社製の5倍希釈液を用いて、水性フロアーポリッシュ組成物の古い皮膜を完全に剥離し、汚水除去・すすぎ・水拭き等の処理をした後、床面を乾燥させた。
(2)ベースコートとして、紫外線硬化塗料;試作品1、ジョンソン・プロフェショナル社製を、モップに充分含ませて、40g/m2 の塗布量の割合で塗布し、紫外線照射装置を用いて硬化させる。
(3)ベースコート上に、前記実施例1の被覆剤組成物を、モップに充分含ませて15g/m2 の塗布量の割合で1回塗布して仕上げた。
塗布後における日常管理を、次のような作業手順で行なった。
(4)ハイジーンモップ・ダストキーパーで処理されたダストモップ・自在ぼうき等で砂やホコリを取り除く。また、必要に応じて、固く絞ったきれいな水モップで拭きあげる。
(5)被覆剤組成物の皮膜が汚れてきたり、光沢が低下したら、ダストモップで砂やホコリを除去し、モップで水拭き後、前記実施例1の被覆剤組成物をモップに充分含ませて、汚れをこすり取りながら塗布した。
(6)(4)〜(5)の作業を繰り返す毎に、上記評価方法および判定基準に準じて、皮膜のべとつき、耐水性、自己再分散性、光沢度を評価したところ、いずれも良好な結果を示した。特に、光沢度にあっては90を下回ることはなかった。
【0116】
【発明の効果】
本発明の被覆剤組成物によれば、各種床面に対し、滑りにくさ、皮膜のべとつき、耐水性、貯蔵安定性、耐ブラックヒールマーク(BHM)性、耐スカッフ(SM)性、光沢度の諸特性に優れ、特に、耐粉化性、自己再分散性に優れた被覆剤皮膜を形成することができる。
【0117】
また、本発明の床面維持管理方法によれば、各種床材表面、水性フロアーポリッシュ組成物が塗布されている床面、紫外線硬化塗料,シリコーン塗料,ウレタン塗料,アクリル塗料のうちのいずれかが塗布されている床面等に対し、予め本発明の被覆剤組成物で被覆剤皮膜を形成しておき、汚れ・磨耗が生じるごとに、モップ類に上記被覆剤組成物を含ませて塗布するという簡単な作業だけで、短時間で床面を清浄かつ美麗に回復させることができる。したがって、保護皮膜を、切削や研磨により清浄にする場合のように粉塵が生じたり、アルカリ洗浄液で洗浄除去して再塗装する場合のようにアルカリ廃液が生じたりすることがなく、環境負荷が小さいという利点を有する。

Claims (9)

  1. 床面の被覆に用いられる被覆剤組成物であって、ガラス転移温度(Tg)70〜140℃、酸価(Av)50〜300、および平均分子量(Mw)4,000〜45,000であるアルカリ可溶性樹脂(R)が、塗布後の被覆剤組成物乾燥皮膜中に25〜95質量%含有されるよう配合されているとともに、ガラス転移温度(Tg)−30〜11℃、平均分子量(Mw)50,000〜1,000,000である水性樹脂分散体(P)が、塗布後の被覆剤組成物乾燥皮膜中に5〜75質量%含有されるよう配合されており、かつ上記アルカリ可溶性樹脂(R)と水性樹脂分散体(P)の配合割合(R:P)が、固形分比で9:1〜に設定されていることを特徴とする被覆剤組成物。
  2. 上記アルカリ可溶性樹脂が、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体,スチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、スチレン−αメチルスチレン−メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、アクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸エステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸エステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ジイソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ロジン変性マレイン酸から選ばれる少なくとも一種を含有するものである請求項1記載の被覆剤組成物。
  3. 上記水性樹脂分散体における各単量体の割合が、全単量体の合計量を基準として下記の割合に設定されている請求項1または2記載の被覆剤組成物。
    (a)α,β−カルボン酸単量体2〜40質量%。
    (b)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体20〜90質量%。
    (c)上記(a)および(b)単量体と共重合可能な単量体0〜78質量%。
  4. 滑り調整剤が、塗布後の被覆剤組成物乾燥皮膜中に5〜40質量%含有されるよう配合されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の被覆剤組成物。
  5. 上記滑り調整剤が、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックスから選ばれる少なくとも一種である請求項4記載の被覆剤組成物。
  6. 原液におけるpH(JIS−Z−8802:1984「pH測定方法」)が、25℃で8〜10に設定され、かつ、外観が透明〜乳白色である請求項1〜5のいずれか一項に記載の被覆剤組成物。
  7. 床面に、上記請求項1〜6のいずれか一つに記載された被覆剤組成物を塗布・乾燥することにより被覆剤皮膜を形成し、上記被覆剤皮膜の摩耗・汚れに応じて、その皮膜を形成しうる被覆剤組成物を含ませたモップ類で上記被覆剤皮膜の汚れをこすり取りながら、同時に上記被覆剤皮膜に新たな被覆剤組成物を供給して被覆剤皮膜を再生するようにしたことを特徴とする床面維持管理方法。
  8. 上記床面が、水性フロアーポリッシュ組成物が塗布された床面である請求項7記載の床面維持管理方法。
  9. 上記床面が、紫外線硬化塗料,シリコーン塗料,ウレタン塗料,アクリル塗料から選ばれる一種の塗料が塗布された床面である請求項7記載の床面維持管理方法。
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