JP4442676B2 - 光定着用カラートナー及びその製造方法、並びに、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

光定着用カラートナー及びその製造方法、並びに、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、光定着用カラートナー及びその製造方法、並びに、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ、印刷機などで広く普及している電子写真方式では、一般的に画像形成は以下のように行われる。まず、感光体ドラムの光導電性絶縁体表面に正または負の静電荷を与える帯電工程の後、光導電性絶縁体表面に例えばレーザ光を照射し、絶縁体表面上の静電荷を部分的に消去して画像情報に応じた静電潜像を形成する。次いで、例えば光導電性絶縁体上の静電荷の残った潜像部分にトナーと呼ばれる現像剤の微粉体を付着させ、潜像をトナー像に可視化する。このようにして得られたトナー像を印刷物となすため、一般的に、記録紙などの記録媒体に静電的に転写し、その後トナー像は記録媒体に定着される。
上記転写後のトナー像の定着には、加圧、加熱あるいはこれらを併用した方法によってトナーを溶融させた後に固化定着させる方法、もしくは光エネルギーを照射してトナーを溶融させた後に固化定着させる方法などがあるが、加圧や加熱による弊害のない光を利用した光定着法が注目を集めている。この光定着法には、キセノンランプを用いたフラッシュ定着法や高輝度レーザを用いたレーザ定着法が知られている。
すなわち、光定着法では、トナーの定着に際してトナーを加圧する必要がないことから、定着ローラなどと接触(加圧)させる必要がなく、定着工程での画像解像度(再現性)の劣化が少ないといった利点がある。また、熱源などにより加熱する必要がないことから、電源を投入してから熱源(定着ローラなど)が所望の温度に昇温(プリヒート)されるまで印字を行なえないといったことはなく、電源投入直後から印字を行なえる。さらに、高温熱源を必要としないことから、装置内の温度上昇を回避できるといった利点があり、またシステムダウンにより定着器内において記録紙詰まりが生じた場合などであっても、熱源からの熱によって記録紙が変質したり発火してしまうこともない。
上記光定着法に関しては、一般の熱ロール定着用のカラートナーを光定着に使用した場合には、カラートナーの低い光吸収効率のため、通常の黒トナー(ブラックトナー)の定着に比べて定着性が低くなる。そこで、赤外線吸収剤をカラートナーに添加することで定着性向上を図ることが多数提案されている(例えば、特許文献1〜10参照)。これらの提案においては、赤外線領域の光を吸収する材料を赤外線吸収剤としてトナーに添加することで、トナー溶融性低下の課題を解消し、カラー化と光定着性とを両立しようとしている。
また、公知のトナー用の赤外線吸収剤は、黒、茶色や緑色を有していることから、トナーの色調に大きく影響し、定着後の画像の色調が変動してしまうことがあったが、これらの問題を解消する方法として、消色可能なホウ素系の染料添加しこれを消色する技術が開示されている(例えば、特許文献11参照)。
特開昭60−63545号公報 特開昭60−57858号公報 特開昭60−131544号公報 特開昭61−132959号公報 特開平7−191492号公報 特開平10−39535号公報 特開平11−38666号公報 特開平11−65167号公報 特開平11−125930号公報 特開2000−35689号公報 特開2000−352835号公報
本発明の目的は、光定着における定着性を向上させるとともに、定着後の画像の色調変動を改善させる光定着用カラートナー及びその製造方法、並びに、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することである。
上記課題は、以下の本発明により達成される。
すなわち本発明の請求項1に係る発明は、結着樹脂と、着色剤と、定着助剤としてロイコ染料、顕色剤及び消色剤と、を含み、
光照射後の波長900nmにおける吸光度が、光照射前の同波長における吸光度に対して減少する光定着用カラートナーである。
請求項2に係る発明は、前記ロイコ染料が、発色状態で800nm以上1000nm以下に吸収ピークを有する請求項1に記載の光定着用カラートナーである。
請求項3に係る発明は、前記ロイコ染料が、下記一般式(I)で示される構造を有する請求項1または2に記載の光定着用カラートナーである。
Figure 0004442676
上記式中、Rは炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、Rは炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、置換基として塩素原子、臭素原子及び炭素数1以上4以下のアルキル基から選択される1種以上を有することもあるベンジル基、並びに、置換基として塩素原子、臭素原子及び炭素数1以上4以下のアルキル基から選択される1種以上を有することもあるフェニル基のうちのいずれかを表す。またX、Xは、それぞれ独立に炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びそれらの組み合わせを表し、m、nはそれぞれ0以上3以下の整数を表す。
請求項4に係る発明は、前記消色剤の融解温度が100℃以上250℃以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光定着用カラートナーである。
請求項5に係る発明は、内部が相分離構造を有し、前記ロイコ染料及び顕色剤と消色剤とが各々異なる相に含まれる請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光定着用カラートナーである。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光定着用カラートナーの製造方法であって、
少なくとも加熱工程を有し、該加熱工程における最高温度が、トナーに含まれる消色剤の融解温度より低い光定着用カラートナーの製造方法である。
請求項7に係る発明は、トナーを含み、該トナーが請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光定着用トナーである静電荷像現像剤である。
請求項8に係る発明は、現像剤保持体を少なくとも備え、請求項7に記載の静電荷像現像剤を収めるプロセスカートリッジである。
請求項9に係る発明は、トナーを含む現像剤により記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該トナー像を光により記録媒体に定着させる定着手段とを有し、
前記現像剤が、請求項7に記載の静電荷像現像剤である画像形成装置である。
本発明の請求項1に係る発明によれば、定着助剤の光吸収による光定着における高い定着性と共に、定着後の定着助剤の十分な消色により画像の色調変動を改善させる光定着用カラートナーを提供することができる。
請求項2に係る発明によれば、キセノンフラッシュランプや半導体レーザを用いた光定着装置によっても、高い定着性を有する光定着用カラートナーを得ることができる。
請求項3に係る発明によれば、キセノンフラッシュランプや半導体レーザを用いた光定着装置によっても、高い定着性を有する光定着用カラートナーを得ることができる。
請求項4に係る発明によれば、製造工程の影響を受けずに消色作用が有効に発揮される光定着用カラートナーを得ることができる。
請求項5に係る発明によれば、光定着における定着性の向上や定着後の画像の色調変動改善のために、定着助剤の機能をより有効に発揮させる光定着用カラートナーを得ることができる。
請求項6に係る発明によれば、光定着における定着性の向上や定着後の画像の色調変動の改善に有効な定着助剤の機能を低下させることなく光定着用カラートナーを製造することができる。
請求項7に係る発明によれば、光定着における定着性が高く、定着後の色調にも優れたトナー画像を形成することができる。
請求項8に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、光定着における定着性が高く、定着後の色調にも優れた画像を形成できる静電荷像現像剤の取り扱いを容易にし、種々の構成の画像形成装置への適用性を高めることができる。
請求項9に係る発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、フラッシュ光に対して十分な定着性を有し、定着後の色調にも優れた画像形成を維持することができる。
以下、本発明を実施形態により詳細に説明する。
<光定着用カラートナー及びその製造方法>
本実施形態の光定着用カラートナー(以下、単に「トナー」という場合がある)は、結着樹脂と、着色剤と、定着助剤としてロイコ染料、顕色剤及び消色剤と、を含み、光照射後の波長900nmにおける吸光度が、光照射前の同波長における吸光度に対して減少することを特徴とする。
前記のように、光定着法においてカラートナーを使用した場合には、カラートナーの低い光吸収効率のため、通常の黒トナー(ブラックトナー)の定着に比べて定着性が低くなるという問題がある。これに対し、光定着用カラートナーの光吸収性を向上させるために、トナー中に波長800nm以上1200nm以下程度の範囲に少なくとも1つ以上の吸収ピークを有する赤外線吸収剤を添加すれば、トナーにおける光吸収率が向上し定着性を改善することができる。しかし、前記赤外線吸収剤の光吸収領域が幅広い(ブロードな)ため、これらが600nm以上750nm以下の光も吸収し、定着されたカラートナー画像の色調が変動してしまうことがあった。また、特定の消色効果を有する染料を加えた場合でも十分に消色しない場合があった。
したがって、光定着用カラートナーとしては、光定着の際には光定着用ランプ等の光波長領域に有効な吸収を有し、定着後は必要な着色剤の吸収のみを残して消色する定着助剤、特に定着時の光照射により消色する定着助剤があれば良い。
本発明者等は、上記消色可能な定着助剤について種々の探索を行った結果、後述するように、ロイコ染料を発色剤としこれに作用する顕色剤と消色剤とをトナー中に分離配置させることにより、前記望ましい消色特性を示す光定着用の定着助剤となることを見出した。
ここで、前記「光照射により消色する定着助剤」とは、少なくとも当該定着助剤の吸収波長領域の光を照射することによって、該定着助剤の最大吸収ピークが減少するものを意味し、本実施形態では前記定着助剤を含むトナーにおいて、前記光照射後の900nmにおける吸光度が光照射前の同波長における吸光度に対して減少する必要がある。
前記トナーに照射される光の波長域は、特にフラッシュ定着の際の光照射で消色することが望ましいことから、ピーク波長が700以上1500nm以下の範囲であることが好適である。また、光の照射時間は0.5msec以上10msec以下とすることが望ましい。光照射後の900nmにおける吸光度は、光照射前の吸光度に対して50%以下となることが望ましく、20%以下となることがより好適である。
なお、上記光照射による900nmにおける吸光度の減少は、以下の方法により確認できる。
まず、厚さ100μmのPETベース上にトナー載り量が6g/mとなるようにべた画像を形成し、これを消色剤の融解温度より低い150℃以下の温度でホットプレートにより熱定着させる。このシートについて、紫外可視分光光度計U−4000(日立社製)により900nmにおける吸光度を測定する。次いで、このシートに対して前記所定の光を照射後、再度同条件にて900nmにおける吸光度を測定し、前記光照射前の吸光度との比較を行うことにより減少度を求めた。
本実施形態の光定着用カラートナーは、結着樹脂及び着色剤に加えて、上記光照射により消色する定着助剤を含んでなり、具体的には、該定着助剤としてロイコ染料、顕色剤及び消色剤を含む。そして、好適なロイコ染料の選択と、顕色剤及び消色剤のトナー中の配置制御により、前記定着性と色再現性とを両立することができる。この場合、赤外線吸収剤は必ずしも含まなくてもよいが、定着後の色調に影響しない範囲であれば含んでいてもかまわない。
以下、まず本実施形態の光定着用カラートナーの構成について詳細に説明する。
(定着助剤)
前記光照射により消色する定着助剤は、ロイコ染料、顕色剤及び消色剤である。
−ロイコ染料−
本実施形態におけるロイコ染料は、結着樹脂等に対する分散性に優れトナー特性に悪影響を与えるものでなければ特に制限されないが、ロイコ染料はそれ自体無色あるいは淡色の染料前駆体であり、後述する顕色剤と相互作用して発色状態となるものである。
ロイコ染料としては、例えば従来より公知のトリフェニルメタンフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、フルオレン系化合物など各種の化合物を使用できる。
前記フタリド類の具体例は、米国再発行特許第23,024号明細書、米国特許第3,491,111号明細書、同第3,491,112号明細書、同第3,491,116号明細書および同第3,509,174号明細書、フルオラン類の具体例は、米国特許第3,624,107号明細書、同第3,627,787号明細書、同第3,641,011号明細書、同第3,462,828号明細書、同第3,681,390号明細書、同第3,920,510号明細書、同第3,959,571号明細書、スピロジピラン類の具体例は、米国特許第3,971,808号明細書、ピリジン系およびピラジン系化合物類の具体例は、米国特許第3,775,424号明細書、同第3,853,869号明細書、同第4,246,318号明細書、フルオレン系化合物の具体例は、特開昭63−94878号公報等に各々記載されている。
これらの具体例を開示すれば、トリアリールメタン系化合物としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(l,3−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、等があり、ジフェニルメタン系化合物としては、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等があり、キサンテン系化合物としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトリノ)ラクタム、2−(ジベンジルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピペリジノアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3,4−ジクロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、等があり、チアジン系化合物としては、ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等があり、スピロ系化合物としては3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)−スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等がある。
これらのうちで、本実施形態に好適に用いられるロイコ染料は、顕色剤との相互作用した場合、800nm以上1200nm以下に吸収を持つ近赤外線吸収ロイコ染料である。また、該近赤外線吸収ロイコ染料は、赤外線吸収剤のほか、可視で発色するロイコ染料などと併用してもよい。
顕色剤と相互作用した場合に800nm以上1200nm以下に吸収するロイコ染料を用いることが好ましい理由は、例えば光定着装置としてキセノンフラッシュランプを用いた場合、その発光波長領域は主に800nm以上であり、また、レーザ定着法の場合には、光定着装置として800nm以上1000nm以下に輝度を有する半導体レーザを用いることが好ましいためである。
前記ロイコ染料としては、発色状態で800nm以上1000nm以下に吸収ピークを有することが望ましく、820nm以上910nm以下に吸収ピークを有することがより望ましい。
吸収ピークが上記範囲にあることにより、可視域に主な吸収を有する通常のカラートナーの場合でも、前記キセノンフラッシュランプ等を用いた光定着装置により十分な定着性を得ることができる。
前記発色状態で800nm以上1000nm以下に吸収ピークを有するロイコ染料としては、下記、一般式(I)で示される化合物を用いることが好ましい。
Figure 0004442676






上記式中、Rは炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、Rは炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、置換基として塩素原子、臭素原子及び炭素数1以上4以下のアルキル基から選択される1種以上を有することもあるベンジル基、並びに、置換基として塩素原子、臭素原子及び炭素数1以上4以下のアルキル基から選択される1種以上を有することもあるフェニル基のうちのいずれかを表す。またX、Xは、それぞれ独立に炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びそれらの組み合わせを表し、m、nはそれぞれ0以上3以下の整数を表す。
上記一般式(I)で示される化合物の具体例としては、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−フェニルエテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メチルフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−エトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(m,p−ジメチルフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(o−メチル−p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−プロポキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノ−o−メチルフェニル)−2−フェニルエテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノ−o−クロロフェニル)−2−(p−メチルフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノ−m−メチルフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノ−o−エチルフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−クロロフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(o,p−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(m,p−ジメトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(m−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジエチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジプロピルアミノフェニル)−2−(p−メチルフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジブチルアミノ−o−メチルフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジヘキシルアミノフェニル)−2−フェニルエテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−メチルブチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−オクチルフェニルエテニル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、 3,3−ビス〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−ヘキシルオキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−メチルシクロヘキシルアミノフェニル)−2−(p−メチルフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−エチルベンジルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2−(p−エチルトリルアミノフェニル)−2−フェニルエテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等が挙げられる。
なお、これらの化合物の合成方法は、特開昭62−243653号公報に記載されている。
これらのロイコ染料は単独で用いることもできるが、色調や画像濃度の調整、静電特性の調整、消色特性の調整などの理由により、2種以上を混合して用いることもできる。
ロイコ染料の添加量としては、トナー100質量部に対し、0.5質量部以上10.0質量部以下が望ましく、2.0質量部以上4.0質量部以下である。
−顕色剤−
本実施形態における顕色剤としては、前記ロイコ染料を相互作用して発色させるものであれば特に制限されないが、例えばフェノール誘導体、含硫フェノール誘導体、有機のカルボン酸誘導体(例えば、サリチル酸、ステアリン酸、レゾルシン酸等)、及びそれらの金属塩等、スルホン酸誘導体、尿素もしくはチオ尿素誘導体等、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等が挙げられる。
これらの例は、紙パルプ技術タイムス(1985年)49〜54頁及び65〜70頁に記載の他、特公昭40−9309号公報、同45−14039号公報、特開昭52−140483号公報、同48−51510号公報、同57−210886号公報、同58−87089号公報、同59−11286号公報、同60−176795号公報、同61−95988号公報等に記載されている。
これらの具体例としては、p−(ドデシルチオ)フェノール、p−(テトラデシルチオ)フェノール、p−(ヘキサデシルチオ)フェノール、p−(オクタデシルチオ)フェノール、p−(エイコシルチオ)フェノール、p−(ドコシルチオ)フェノール、p−(テトラコシルチオ)フェノール、p−(ドデシルオキシ)フェノール、p−(テトラデシルオキシ)フェノール、p−(ヘキサデシルオキシ)フェノール、p−(オクタデシルオキシ)フェノール、p−(エイコシルオキシ)フェノール、p−(ドコシルオキシ)フェノール、p−(テトラコシルオキシ)フェノール、p−ドデシルカルバモイルフェノール、p−テトラデシルカルバモイルフェノール、p−ヘキサデシルカルバモイルフェノール、p−オクタデシルカルバモイルフェノール、p−エイコシルカルバモイルフェノール、p−ドコシルカルバモイルフェノール、p−テトラコシルカルバモイルフェノール、没食子酸ヘキサデシルエステル、没食子酸オクタデシルエステル、没食子酸エイコシルエステル、没食子酸ドコシルエステル、没食子酸テトラコシルエステル等のフェノール、フェノール金属塩類;
α−ヒドロキシドデカン酸、α−ヒドロキシテトラデカン酸、α−ヒドロキシヘキサデカン酸、α−ヒドロキシオクタデカン酸、α−ヒドロキシペンタデカン酸、α−ヒドロキシエイコサン酸、α−ヒドロキシドコサン酸、α−ヒドロキシテトラコサン酸、α−ヒドロキシヘキサコサン酸、α−ヒドロキシオクタコサン酸、2−クロロオクタデカン酸、ヘプタデカフルオロノナデカン酸、2−ブロモヘキサデカン酸、2−ブロモヘプタデカン酸、2−ブロモオクタデカン酸、2−ブロモエイコサン酸、2−ブロモドコサン酸、2−ブロモテトラコサン酸、3−ブロモオクタデカン酸、3−ブロモエイコサン酸、2,3−ジブロモオクタデカン酸、2−フルオロドデカン酸、2−フルオロテトラデカン酸、2−フルオロヘキサデカン酸、2−フルオロオクタデカン酸、2−フルオロエイコサン酸、2−フルオロドコサン酸、2−ヨードヘキサデカン酸、2−ヨードオクタデカン酸、3−ヨードヘキサデカン酸、3−ヨードオクタデカン酸、パーフルオロオクタデカン酸、2−オキソドデカン酸、2−オキソテトラデカン酸、2−オキソヘキサデカン酸、2−オキソオクタデカン酸、2−オキソエイコサン酸、2−オキソテトラコサン酸、3−オキソドデカン酸、3−オキソテトラデカン酸、3−オキソヘキサデカン酸、3−オキソオクタデカン酸、3−オキソエイコサン酸、3−オキソテトラコサン酸、4−オキソヘキサデカン酸、4−オキソヘプタデカン酸、4−オキソオクタデカン酸、4−オキソドコサン酸、ドデシルリンゴ酸、テトラデシルリンゴ酸、ヘキサデシルリンゴ酸、オクタデシルリンゴ酸、エイコシルリンゴ酸、ドコシルリンゴ酸、テトラコシルリンゴ酸、ドデシルチオリンゴ酸、テトラデシルチオリンゴ酸、ヘキサデシルチオリンゴ酸、オクタデシルチオリンゴ酸、エイコシルチオリンゴ酸、ドコシルチオリンゴ酸、テトラコシルチオリンゴ酸、ドデシルジチオリンゴ酸、テトラデシルジチオリンゴ酸、ヘキサデシルジチオリンゴ酸、オクタデシルジチオリンゴ酸、エイコシルジチオリンゴ酸、ドコシルジチオリンゴ酸、テトラコシルジチオリンゴ酸、
ドデシルブタン二酸、トリデシルブタン二酸、テトラデシルブタン二酸、ペンタデシルブタン二酸、オクタデシルブタン二酸、エイコシルブタン二酸、ドコシルブタン二酸、2,3−ジヘキサデシルブタン二酸、2,3−ジオクタデシルブタン二酸、2−メチル−3−ドデシルブタン二酸、2−メチル−3−テトラデシルブタン二酸、2−メチル−3−ヘキサデシルブタン二酸、2−エチル−3−ドデシルブタン二酸、2−プロピル−3−デシルブタン二酸、2−オクチル−3−ヘキサデシルブタン二酸、2−テトラデシル−3−オクタデシルブタン二酸、ドデシルマロン酸、テトラデシルマロン酸、ヘキサデシルマロン酸、オクタデシルマロン酸、エイコシルマロン酸、ドコシルマロン酸、テトラコシルマロン酸、ジドデシルマロン酸、ジテトラデシルマロン酸、ジヘキサデシルマロン酸、ジオクタデシルマロン酸、ジエイコシルマロン酸、ジドコシルマロン酸、メチルオクタデシルマロン酸、メチルエイコシルマロン酸、メチルドコシルマロン酸、メチルテトラコシルマロン酸、エチルオクタデシルマロン酸、エチルエイコシルマロン酸、エチルドコシルマロン酸、エチルテトラコシルマロン酸、2−ドデシル−ペンタン二酸、2−ヘキサデシル−ペンタン二酸、2−オクタデシル−ペンタン二酸、2−エイコシル−ペンタン二酸、2−ドコシル−ペンタン二酸、2−ドデシル−ヘキサン二酸、2−ペンタデシル−ヘキサン二酸、2−オクタデシル−ヘキサン二酸、2−エイコシル−ヘキサン二酸、2−ドコシル−ヘキサン二酸等のカルボン酸、カルボン酸金属塩類;
ドデシルホスホン酸、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、エイコシルホスホン酸、ドコシルホスホン酸、テトラコシルホスホン酸、ヘキサコシルホスホン酸、オクタコシルホスホン酸等の有機リン酸化合物類、ベンゾフェノン、スルホン酸、スルホン酸塩、などの酸性材料が挙げられ、特に、結晶性に優れたものが好ましく用いられる。
これらは単独で用いることができるが、消色特性の調整などの理由により、場合によっては2種以上を混合して用いることができる。特に、ロイコ染料として前記一般式(I)で示される化合物を用いる場合には、顕色剤としては没食子酸ヘキサデシルエステル、没食子酸オクタデシルエステル、没食子酸エイコシルエステル、没食子酸ドコシルエステル、没食子酸テトラコシルエステル等のフェノール、フェノール金属塩類などを用いることが望ましい。
顕色剤の添加量としては、トナー100質量部に対し、0.3質量部以上20.0質量部以下が望ましく、1.0質量部以上10.0質量部以下がより好適であり、1.0質量部以上3.0質量部以下がさらに好適である。
また後述するように、顕色剤はトナー製造時に前記ロイコ染料と同一の相中に配置され製造後はロイコ染料が発色状態となるが、良好な発色状態となるためには、ロイコ染料の添加量Aと顕色剤の添加量Bとの質量比(A/B)は、2/0.3〜2/20の範囲とすることが望ましい。
−消色剤−
本実施形態で用いられる消色剤としては、ロイコ染料と顕色剤の結合状態を弱める作用をするもので、顕色剤と相互作用できるロイコ結合を切断するような相互作用できるコール酸、リトコール酸、テストステロンおよびコルチゾン、ならびにこれらの誘導体化合物等が有効である。
これらの具体例としては、デンプン、デキストリン、マンナン、アミロース、グリコゲン、キチン、ペクチンなどの多糖類;D−グルコース、D−マンノース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ソルボース、L−ラムノース、L−フコース、D−リボデソース、α−D−グルコース=ペンタアセテート、アセトグルコース、ジアセトン−D−グルコース、D−グルクロン酸、D−ガラクツロン酸、D−グルコサミン、D−フルクトサミン、D−イソ糖酸、ビタミンC、エルトルビン酸、トレハロース、サッカロース、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース、スタキオース、メチル=α−グルコピラノシド、サリシン、アミグダリン、オイキサンチン酸、1,2:5,6−ジイソプロピリデン−D−マンニトールなどの糖類;コラーゲン、タカアミラーゼA、カゼイン、胚芽糖蛋白質、卵白アルブミンなどの蛋白質類;ポリビニルアルコール、ポリビニルピリジン、ポリビニルアセタール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロール、ポリビニルカルバゾールなどの高分子材料;コレステロール、ラノステロール、ラノスタジエール、アグノステロール、コレスタノール、コプロスタノール、オストレアステロール、アクチニアステロール、スポンゴステロール、クリオナステロール、コラン酸、コール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、コール酸メチルエステル、コール酸ナトリウム、リトコール酸メチルエステル、リトコール酸ナトリウム、ヒオデオキシコール酸、ヒオデオキシコール酸メチルエステル、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、グリコリトコール酸ナトリウム、グリコウルソデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、テストステロン、メチルテストステロン、11α−ヒドロキシメチルテストステロン、ヒドロコルチゾン、コレステロールメチルカーボネート、α−コレスタノール、ステグマステロール、α−シトステロール、β−シトステロール、γ−シトステロール、ブラシカステロール、ビタミンD、エルゴステロールなどが挙げられる。
本実施形態では、消色剤はトナー中で定着時の光照射までロイコ染料や顕色剤とは作用しないように設計されるため、用いられる消色剤はトナーの製造時に融解しないことが望ましい。すなわち、消色剤の融解温度は、後述するトナー製造時の最高加熱温度より高いことが望ましく、具体的には融解温度(Tm)は100℃以上250℃以下であることが望ましく、150℃以上210℃以下であることがより望ましい。
前記の消色剤のうちで上記好適な融解温度を有する消色剤としては、例えば、タウロデオキシコール酸ナトリウム(Tm:160℃)、リトコール酸(Tm:180℃)、コール酸(Tm:200℃)、グリココール酸ナトリウム(Tm:230℃)、テストステロン(Tm:150℃)プロピオン酸テストステロン(Tm:110℃)、β−シトステロール(Tm:140℃などが挙げられる。
前記消色剤は単独で用いることができるが、消色特性や静電特性や溶融粘度特性の調整などの理由により、2種以上を混合して用いることができる。特に、ロイコ染料として前記一般式(I)で示される化合物を用いる場合には、消色剤としてはタウロデオキシコール酸ナトリウム(Tm:160℃)、リトコール酸(Tm:180℃)、コール酸(Tm:200℃)、β−シトステロール(Tm:140℃)などを用いることが望ましい。
消色剤の添加量としては、トナー100質量部に対し、0.2質量部以上20.0質量部以下が望ましく、1.0質量部以上10.0質量部以下がより望ましく、1.0質量部以上4.0質量部以下がさらに好適である。
また後述するように、消色剤はトナー製造時には前記ロイコ染料と別の相中に配置され、光照射によりロイコ染料−顕色剤に作用することにより消色状態となるが、良好な消色状態を得るためには、顕色剤の添加量Cと消色剤の添加量Dとの質量比(C/D)は、3/0.2〜2/20の範囲とすることが望ましい。
以上のようにロイコ染料、顕色剤及び消色剤を選択し、所定量ずつ配合した本実施形態のトナーにおいて、光照射前の900nmにおける吸光度は0.2以上2以下であることが望ましく、0.4以上0.8以下であることがより好適である。
なお、上記吸光度、消色速度は、前述の900nmにおける吸光度の減少の確認に用いたものに準じたシートを使用して確認することができる。
以下、上記光照射により消色する定着助剤を含めた本実施形態の光定着用カラートナーの詳細について、その製造方法と共に説明する。
(結着樹脂)
本実施形態における結着樹脂としては、公知のバインダー樹脂を使用することができる。結着樹脂の主成分としては、ポリエステル、ポリオレフィンが好ましいが、スチレンとアクリル酸またはメタクリル酸との共重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂、ポリエーテルポリオール樹脂等などを単独または併用することができる。耐久性や透光性等の点から、ポリエステル系樹脂またはノルボルネンポリオレフィン樹脂を使用することが好ましい。
本実施形態に好ましく用いられるポリエステル樹脂についてさらに説明すると、かかるポリエステル樹脂において用いられる酸成分は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、又はこれらの無水物等を包含し、好適にはテレフタル酸/イソフタル酸である。これらの酸成分は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。なお、フラッシュ定着の臭いが問題にならない範囲で、他の酸成分を上記酸成分に組み合わせて使用できる。他の酸成分として、例えば、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸等が挙げられ、更には、n−ブチルコハク酸、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等のアルキルまたはアルケニルコハク酸、またはこれらの酸の無水物、低級アルキルエステル、その他の二価のカルボン酸も挙げられる。また、ポリエステル樹脂に架橋を施すためには、三価以上のカルボン酸成分も他の酸成分として混合使用可能である。三価以上のカルボン酸成分としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、その他のポリカルボン酸、及びこれらの無水物を挙げることができる。
また、前記ポリエステル樹脂は、通常、アルコール成分中の80モル%以上がビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物からなるものであり、望ましくは90モル%以上、さらに好適には95モル%以上である。ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物の量が80モル%未満であると、相対的に臭いの発生原因となるモノマー使用量が多くなるため、好ましくない。
上記ビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等を挙げることができる。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本実施形態で結着樹脂として使用するポリエステル樹脂において、必要に応じて、他のアルコール成分を上記のアルコール成分に組み合わせて使用してもよい。他のアルコール成分として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のジオール類、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等、その他の二価のアルコールを挙げることができる。
また、他のアルコール成分として、三価以上のアルコールも好適である。かかるアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、その他の三価以上のアルコールを挙げることができる。
さらに、かかるポリエステル樹脂を合成する反応の際には、その反応を促進せしめるため、通常使用されているエステル化触媒、例えば酸化亜鉛、酸化第一錫、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジラウレート等を有利に使用することができる。
なお、以上述べたトナーに使用される結着樹脂のTg(ガラス転移温度)は、好適には50℃以上70℃以下の範囲である。
(着色剤)
着色剤としては、下記に示すものをトナーの色彩に対応させて選択して用いることができる。
例えばシアントナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントブルー1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同23、同60、同65、同73、同83、同180、C.I.バットシアン1、同3、同20等や、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルーの部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCのシアン顔料、C.I.ソルベントシアン79、162等のシアン染料などを用いることができる。これらの中では、C.I.ピグメントブルー15:3が有効である。
また、マゼンタトナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同13、同14、同15、同16、同17、同18、同19、同21、同22、同23、同30、同31、同32、同37、同38、同39、同40、同41、同48、同49、同51、同52、同53、同54、同55、同57、同58、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同163、同184、同202、同206、同207、同209等、ピグメントバイオレット19のマゼンタ顔料や、C.I.ソルベントレッド1、同3、同8、同23、同24、同25、同27、同30、同49、同81、同82、同83、同84、同100、同109、同121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ベーシックレッド1、同2、同9、同12、同13、同14、同15、同17、同18、同22、同23、同24、同27、同29、同32、同34、同35、同36、同37、同38、同39、同40等のマゼンタ染料等、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ロータミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどを用いることができる。
また、イエロートナーにおいては、その着色剤として、例えば、C.I.ピグメントイエロー2、同3、同15、同16、同17、同74、同97、同180、同185、同139等のイエロー顔料などを用いることができる。
本実施形態の光定着用カラートナーにおける各着色剤の添加量は、結着樹脂等との混合により作製された最終的なトナー粒子100質量部中に2質量部以上15質量部以下の範囲であることが好ましい。さらに、望ましくは3質量部以上7質量部以下の範囲である。2質量部より少ないと、トナーの着色力が低下してしまう場合がある。15質量部より多いと、透明性低下で、中間色の再現性が低下してしまう場合がある。
(その他の成分)
本実施形態の光定着用カラートナーには、前記ロイコ染料等のほかに、定着助剤として一般に公知の赤外線吸収剤を併用させることができる。ここで赤外線吸収剤とは、分光光度計等により測定した際に800nm以上1200nm以下の近赤外領域に少なくとも1つ以上の強い光吸収ピークを有する材料を指し、有機物であっても無機物であって使用可能である。
上記赤外線吸収剤としては公知の材料を用いることが可能であるが、具体例としては、例えば、シアニン化合物、メロシアニン化合物、ベンゼンチオール系金属錯体、メルカプトフェノール系金属錯体、芳香族ジアミン系金属錯体、ニッケル錯体化合物、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム化合物、アミニウム化合物、ジイモニウム化合物等を用いることができる。
これらの中では、前記消色可能な定着助剤と組み合わせる場合には、ナフタロシアニン系化合物、クロコニウム化合物、アミニウム化合物、ジイモニウム化合物を用いることがより好ましい。
さらに、ニッケル金属錯体系赤外線吸収剤(三井化学社製、商品名:SIR−130、SIR−132)、ビス(ジチオベンジル)ニッケル(みどり化学社製、商品名:MIR−101)、ビス[1,2−ビス(p−メトキシフェニル)−1,2−エチレンジチオレート]ニッケル(みどり化学社製、商品名:MIR−102)、テトラ−n−ブチルアンモニウムビス(シス−1,2−ジフェニル1,2−エチレンジチオレート)ニッケル(みどり化学社製、商品名:MIR−1011)、テトラ−n−ブチルアンモニウムビス[1,2−ビス(p−メトキシフェニル)−1,2−エチレンジチオレート]ニッケル(みどり化学社製、商品名:MIR−1021)、ビス(4−tert−1,2−ブチル−1,2−ジチオフェノレート)ニッケル−テトラ−n−ブチルアンモニウム(住友精化社製、商品名:BBDT−NI)、可溶性フタロシアニン(日本触媒社製:TX−305A)、無機材料系(信越化学社製、商品名:イッテルビウムUU−HP;住友金属社製、インジュームチンオキサイド)などが挙げられる。これらは2種以上併用することができる。
また、本実施形態においては、後述するようにトナーをマスターバッチを作製して製造することが好ましいことから、熱的に安定なものを用いることが好ましい。具体例としては、クロコニウム系化合物(富士写真フィルム社製、商品名:ST−173)、ナフタロシアニン化合物(山陽色素社製、商品名:SnNc FT−1)等が挙げられる。
これらの赤外線吸収剤は、前記のように添加によってカラートナーの色調に大きく影響するため、赤外線吸収剤の添加量は少なくすることが望ましい。したがって、前記光照射により消色する定着助剤と併用される赤外線吸収剤の添加量は、トナー構成成分全体量中の0.01質量%以上1質量%以下の範囲とすることが好ましい。
また、本実施形態の光定着用カラートナーには、必要に応じて帯電制御剤やワックスを用いることができる。
帯電制御剤としては、公知のカリックスアレン、ニグロシン系染料、四級アンモニウム塩、アミノ基含有のポリマー、含金属アゾ染料、サリチル酸の錯化合物、フェノール化合物、アゾクロム系、アゾ亜鉛系などが使用できる。 その他、トナーには鉄粉、マグネタイト、フェライト等の磁性材料を混合し磁性トナーでも使用できる。特に、カラートナーの場合には公知の白色の磁性粉(例えば日鉄鉱業社製)を用いることができる。
本実施形態の光定着用カラートナーに含有させるワックスとしては、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンとポリプロピレンの共重合物が好ましく、ポリグリセリンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、カルナバワックス、サゾールワックス、モンタン酸エステルワックス、脱酸カルナバワックス、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、ブランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸などの不飽和脂肪酸類、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベフェニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類などの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドなどの、不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
前記ワックスは、トナー中で結着樹脂等と相分離しているため、後述するようにこの相分離したワックス中に例えば消色剤のみを分散させることが好適である。その観点から、本実施形態の光定着用カラートナーに用い得るワックスとしては、エステルワックス、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエチレンとポリプロピレンの共重合物などが好ましい。
これらのワックスは1種類または2種類以上併用して用いることができる。本実施形態におけるワックスの添加量は、最終的に製造されたトナー粒子100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下の範囲であることが好ましく、1質量部以上4質量部以下の範囲であることがより好ましい。
上記本実施形態の光定着用カラートナーを製造するにあたっては、一般に使用されている混練粉砕法や湿式造粒法等を利用することができる。ここで、湿式造粒法としては、懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、ソープフリー乳化重合法、非水分散重合法、in−situ重合法、界面重合法、乳化分散造粒法等を用いることができる。
本実施形態のトナーでは、光照射前において発色状態のロイコ染料(顕色剤と相互作用しているロイコ染料)と消色剤とを相互作用させないために、トナー中に相分離構造を形成し、ロイコ染料及び顕色剤と消色剤とを該相分離構造における異なる相に含ませることが望ましい。このため、本実施形態のトナーの製造に際しては、まずトナー中に少なくとも2種以上の相からなる相分離構造を形成できる配合、製造工程とし、さらにその各々にロイコ染料及び顕色剤と、消色剤とを、別々配置できるようにすることが望ましい。
具体的に、まずトナー中に相分離構造を形成するには、例えば樹脂同士の相分離構造は、ある程度溶解性パラメーターの異なる樹脂同士(例えば結晶性樹脂及び非晶性樹脂)を用いることにより乾式の溶融混練法でも分離した樹脂層を形成することが可能である。また、溶解性パラメーターが近似する樹脂であっても、例えば乳化凝集法等により樹脂粒子添加順を工夫すれば、コアシェル構造等による相分離構造を形成することができる。
また、樹脂同士でない場合には、例えば通常溶解性パラメーターが解離しており非相溶の結着樹脂と離型剤(ワックス)とを溶融混練することにより樹脂中にワックス相が分散した相分離構造を得ることができる。
本実施形態における前記相分離構造については、明確に定義できるものではないが、少なくとも作製されたトナーの断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したときに境界が確認できる程度の分離した相構造を有していればよく、その大きさ、形状は特に制限されない。例えば、トナー中に海島構造の相分離構造を有する場合には、島部分の最大径は0.1μm以上4μm以下であることが望ましい。なお、前記TEMによる断面観察においては、観察をしやすくするため染色処理等を行ってもよい。
一方、分離された各相中にロイコ染料及び顕色剤と消色剤とを別々に配置するには、例えば相分離させる複数の樹脂あるいは樹脂及びワックスの各々に、予めロイコ染料及び顕色剤と消色剤とを別々に混合して、ロイコ染料含有相形成成分(発色相成分)及び消色剤含有相形成成分(消色相成分)を作製し、これらをさらに併せて混合することにより、前記相分離構造の形成と共に各相に定着助剤を別々に分離配置することができる。
上記発色相成分及び消色相成分を作製して、これらを併せて混合することによる各相中への前記定着助剤の分離配置は、乾式の混練粉砕法でも湿式の乳化凝集法等でもいずれも方法によっても行うことができる。
上記方法のうち、相分離構造を従来の作製法でも効率的に形成することができ、しかも光照射後の消色剤による消色効果が有効に発揮できるという点で、相分離形成成分として樹脂及びワックスを用い、前記発色相成分及び消色相成分を作製して定着助剤を各々の成分に分離配置することがより好適である。
またこの場合には、トナー中で主成分となる樹脂成分をロイコ染料を含む発色相成分とすることが、光吸収効率を高める観点から望ましい。
前記混練粉砕法で本実施形態の光定着用カラートナーを作製するには、基本的に、前記発色相成分及び消色相成分等を混合してトナー組成物を作製する工程、及び該トナー組成物を溶融混練(加熱工程)、冷却後、粉砕してトナー粒子とする混練粉砕工程を含む工程を経る。そして本実施形態では、この混練粉砕法に、前記発色相形成成分及び消色相形成成分を作製する工程が加えられる。
通常、前記混練粉砕法では、結着樹脂、赤外線吸収剤、酸化防止剤、ワックス、帯電制御剤、着色剤としての顔料または染料、及びその他の添加剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分混合し、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類を互いに相溶せしめた中に、赤外線吸収剤、酸化防止剤、顔料、染料、磁性体等を分散または溶解せしめたトナー組成物を作製し、これを冷却固化後粉砕及び分級を行ってトナーを得ることができる。
本実施形態においては、前述のように、定着助剤成分を各相に分離配置するため、前記トナー組成物の作製に先立ってあらかじめ結着樹脂またはワックス成分に対しロイコ染料及び顕色剤と消色剤とを別々に含有させた発色相成分及び消色相成分を作製し、これらを他のトナー成分と混合して所望濃度の赤外線吸収剤を含有するトナー組成物を得る。なおこの場合、例えば結着樹脂を含む成分を発色相形成成分とする場合には、該発色相形成成分中に着色剤や赤外線吸収剤等を共に含ませてもよい。
前記のように、本実施形態において発色相成分、消色相成分の形成には、結着樹脂とワックスとを用いることが望ましい。そしてこの場合、両者の量比の関係から結着樹脂を含む成分を発色相成分、ワックスを含む成分を消色剤成分とすることが好適である。
なお、結着樹脂とワックスとをトナー成分として用いる場合には、混合比(結着樹脂/ワックス)は、100/0.01〜100/5の範囲とすることが好ましい。
前記発色相成分及び消色相成分を作製する場合には、各々の成分に添加する定着助剤の量は、最終的にトナーとしたときに前記ロイコ染料、顕色剤及び消色剤の好適な添加量となるように配合する。したがって、例えばワックスの配合量がトナー全体の5質量%の場合には、ワックス中にはトナー中に含有させる消色剤濃度の20倍の濃度の消色剤を予め配合させて消色成分とする必要がある。
発色相成分及び消色相成分の作製は、定着助剤成分と結着樹脂またはワックスとを、前記好ましい割合となるように配合し、種々の方法を採択して行い得る。以下にその態様をいくつか例示するが、本実施形態の趣旨に反しない限り、以下の記載される方法に限定されるものではない。
例えば、定着助剤と結着樹脂またはワックスを含む成分とを、1〜2軸押出機、3本ロール、ニーダー、バンバリミキサーなど溶融混練機で溶融混練する方法、定着助剤成分を予め溶剤などに溶解し樹脂成分等に添加して前記溶融混練機で溶融混練しながら溶剤を除去する方法、または定着助剤成分を予め溶剤にサンドミル、コロイドミル、ボールミルなどの湿式分散機で微分散した後、樹脂成分等に添加して前記溶融混練機で溶融混練しながら溶剤を除去する方法等を挙げることができる。
また、発色相成分及び消色相成分は上記溶融混練による方法のみならず、重合法によって調製することも可能である。なお、重合性単量体、溶剤等の液状物への定着助剤成分の微分散方法は、例えば、ホモミキサー、バイオミキサー、エバラマイルダー等の高速剪断型分散機、コロイドミル、ホモミックラインミル等の摩砕型の分散機、ボールミル、サイドグラインドミル、パールミル、アトライター等のメディアミル等を用いる方法が例示できる。
さらに、結着樹脂等への分散方法としては、例えば、ロールミル、ニーダー、加圧ニーダー、バンバリミキサー、ラボプラストミル、1軸あるいは2軸の混練押出機等を用い、結着樹脂等と赤外線吸収剤とを溶融混練し、結着樹脂等の固形状物に定着助剤成分を微分散する方法が例示できる。
定着助剤成分の微分散処理の程度は、それらを添加して分散処理を行う重合性単量体、溶剤、水系媒体、樹脂等の種類によっても左右されるが、例えば、消色相成分中で分散された消色剤の粒径が0.5μm程度以下、より好適には0.01μm以上0.3μm以下の範囲程度とすることが望ましい。
この場合、上記一定以上の分散性を得るため、例えば前記溶融混練条件は、バンバリーミキサ、MS式加圧ニーダーなどでの加圧処理が好ましい。
本実施形態における発色相成分及び消色相成分は、前記のように、トナー中に配合される結着樹脂成分等をマトリックスとして、このマトリックス中に前記定着助剤成分が、溶解ないし微分散化されたものであるが、前記のようにこの発色相成分及び消色相成分中には、最終的に製造しようとする光定着用カラートナー中に配合されるその他の添加剤、例えば、電荷制御剤、着色剤等を配合しておくことも可能である。
また、得られた発色相成分及び消色相成分の形態としても、特に限定されるものではなく、塊状、粉末状、鱗片状、ペレット状等任意の形態を取り得るが、好適には粉末状、ペレット状などである。
次いで、作製した発色相成分及び消色相成分と、前述した各トナー成分とを混合してトナー組成物を作製する。
なお、前記トナー組成物における各トナー成分の配合量は、前記発色相成分及び消色相成分がそのマトリックスとして結着樹脂成分等を有するものであるため、該結着樹脂成分等がトナー中に配合された場合にどのような機能を発揮するものであるかを考慮して調整すべきである。例えば、前記結着樹脂成分等が結着樹脂として機能する場合には、トナー組成物中における結着樹脂の総量は、当然に例えば発色相成分の結着樹脂成分量と、別途結着樹脂として添加される樹脂の量を合算したものとなる。
前記トナー組成物は、前記発色相成分及び消色相成分と他のトナー成分とを、例えば前記溶融混練して得られたものであってもよいし、次工程の溶融混練に用いるための粉末状の発色相成分及び消色相成分と他のトナー成分との混合物であってもよい。
本実施形態のトナーの製造方法において、トナー組成物を溶融混練する際に用いられる装置としては、特に限定されるものではないが、例えば、ロールミル、ニーダー、加圧ニーダー、バンバリミキサー、ラボプラストミル、1軸あるいは2軸の混練押出機等を用いることができる。また、前記溶融混練に先立ち、必要に応じてヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブルブレンダー等を用いて予備混合する工程を設けることも可能である。
前記溶融混練時の加熱温度としては、最高温度が定着助剤成分として用いる消色剤の融解温度より低くなるように設定する。このように設定しないと、溶融混練中に消色剤が融解してしまい、トナー中に相分離構造を形成しても融解した消色剤が発色相中に混入し、光照射前に消色作用を起こしてしまうためである。具体的には、溶融混練時の最高温度は用いる消色剤の融解温度より5℃以上低くすることが望ましい。
溶融混練されたトナー組成物は、冷却後、粉砕することによりトナー粒子とする。粉砕方法は、特に限定されるものではなく、公知の手法を用いることができるが、例えば、溶融混練物の粗砕した後、マイクロナイザー、ウルマックス、JET−O−マイザー、KTM(クリプトン)、ターボミージェット等により行うことができる。更には、その後工程として、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)等を用いて、機械的外力を加えることで粉砕後のトナー形状を変化させることができる。また、熱風による球形化も挙げることができる。さらには、風力分級機等により分級処理を施してトナー粒度分布を調整しても良い。
一方、前記湿式造粒法としては、例えば乳化重合法で作製する場合には、例えばまず、過硫酸カリウムなどの水溶性重合開始剤を溶解させた水中に、スチレン、ブチルアクリレート、2エチルヘキシルアクリレートなどのモノマーを加え、さらに、ロイコ染料及び顕色剤、必要に応じてドデシル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加し、攪拌を行いながら加熱することにより重合を行い、樹脂粒子(発色相成分)を得る(樹脂粒子形成工程)。これに準じて、ワックスについてもこれに消色剤を加えて水中で加熱し、ワックス粒子(消色相成分)を得る。
その後、これらを混合した分散液に前述の着色剤に加えて、さらに必要に応じて、赤外線吸収剤、帯電制御剤などの粉末を樹脂粒子等が分散したサスペンション中に添加し、サスペンションのpH、攪拌強度、温度などを調整することにより樹脂粒子と、着色剤粉末およびワックス粒子などをヘテロ凝集させてヘテロ凝集体を得る(凝集工程)。さらに、反応系を樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱して、ヘテロ凝集体を融着させ着色粒子を得る(融合(加熱)工程)。その後、この着色粒子の洗浄、乾燥を行い、必要に応じて外添剤を添加して本実施形態の光定着用カラートナーを得ることができる。なお、この場合においても融合工程の最高温度は、消色剤の融解温度より低く設定する。
なお、本実施形態においては、前述のように結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いることが好ましく、このポリエステル樹脂を結着樹脂として湿式法によりトナー粒子を形成する場合には、前記乳化凝集法を採用することができる。この場合には、前記樹脂粒子形成工程を、例えば、水系媒体と、スルホン化等したポリエステル樹脂および必要に応じて着色剤等を含む混合液(ポリマー液)と、を混合した溶液に、剪断力を与えることにより乳化粒子(液滴)を形成する乳化粒子形成工程とすることにより、着色粒子を作製することができる。トナーの形状は、真球状からぶどうの房状まで形状を変えることができる。
以上の製造方法によって得られるトナー粒子は、その体積平均粒径D50vが3μm以上15μm以下の範囲が好ましく、5μm以上15μm以下の範囲がより好ましく、5μm以上10μm以下の範囲内であることが特に好ましい。
トナー粒子の体積平均粒子径が15μmを越えると、トナーの粒子径が大きく充分な解像度の画像が得られない場合がある。逆に3μm未満であると、得られる画像の解像度は良好であるが、流動性が低いため、カブリ、クリーニング不良の原因ともなる場合がある。
また、その個数平均粒径D50pに対する体積平均粒径Dvの比(D50v/D50p)が1.0以上1.25以下の範囲であることが好ましい。そして、このように小粒径で粒径の揃ったトナーを使用することにより、トナーの帯電性能のバラツキが抑制されて、形成される画像におけるカブリが低減されると共に、トナーの定着性を向上させることができる。また、形成される画像における細線再現性やドット再現性も向上させることができる。
また、トナー粒子の平均円形度は0.955以上とすることが好ましく、0.960以上とすることがより好ましい。また、円形度の標準偏差を0.040以下とすることが好ましく、0.038以下にすることがより好ましい。このようにすることで、記録媒体上に各トナーを密な状態で重ね合わせることができるので、記録媒体上のトナーの層厚が薄くなり、定着性を向上させることができる。また、このようにトナーの形状を揃えることにより、形成される画像におけるカブリ、細線再現性及びドット再現性も向上する。
なお、上記トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像解析装置(シメックス社製、FPIA2000)を用い、水分散系でトナー粒子の投影像の周囲長(周囲長)と、トナー粒子の投影面積に等しい円の円周長(円相当周囲長)とを求め、(円相当周囲長/周囲長)により計算される。
本実施形態の光定着用カラートナーは、流動性向上剤等のためトナー粒子に白色の無機粒子を混合して用いることもできる。トナー粒子に混合される割合はトナー粒子100質量部に対し0.01質量部以上5質量部以下の範囲であり、好適には0.01質量部以上2.0質量部以下の範囲である。上記無機粉末としては例えば、シリカ粉末、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化硅素、窒化硅素などが挙げられるが、シリカ粉末が特に好ましい。また、シリカ、チタン、樹脂微粉、アルミナ等の公知の材料を併用できる。さらにクリーニング活剤として、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子粉末を添加してもよい。
上記無機粒子、さらに必要に応じ所望の添加剤を、ヘンシェルミキサー等の混合機により充分混合し、本実施形態のトナーを得ることができる。
<静電荷像現像剤>
本実施形態の光定着用カラートナーを含む静電荷像現像剤(以下、「現像剤」と略す場合がある)は、前記トナーからなる1成分現像剤、あるいは、キャリアと前記トナーとからなる2成分現像剤のいずれであってもよい。
2成分現像剤として用いる際のキャリアとしては、例えば芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリアを挙げることができる。上記芯材としては、公知のマグネタイト、フェライト、鉄粉を用いることができる。キャリアのコート剤としては、特に制限されないが、シリコーン樹脂系が特に望ましい。
キャリア芯材の平均粒径としては、一般的には10μm以上100μm以下が好ましく、20μm以上80μm以下がより好ましい。
前記二成分現像剤におけるトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100〜30:100程度の範囲であり、3:100〜20:100程度の範囲がより望ましい。
<プロセスカートリッジ、画像形成装置>
本実施形態の画像形成装置は、前述の光定着用カラートナーを含む現像剤を用いて、記録媒体上にカラートナーを含むトナーを用いてフルカラー画像を形成できるものであれば特に限定されないが、具体的には以下に述べる、少なくとも記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段及びトナー像を記録媒体に光定着させる定着手段を有するものである。
前記画像の形成は、静電荷像保持体として電子写真感光体を利用した場合、例えば、以下のように行うことができる。まず、電子写真感光体の表面を、コロトロン帯電器、接触帯電器等により帯電した後、露光し、静電荷像を形成する。次いで、表面に現像剤層を形成させた現像ロールと接触若しくは近接させて、静電荷像にトナーを付着させ、電子写真感光体上にトナー像を形成する。形成されたトナー像は、コロトロン帯電器等を利用して紙等の記録媒体表面に転写される。さらに、記録媒体表面に転写されたトナー像は、定着器により定着され、記録媒体に画像が形成される。
なお、この画像形成装置において、例えば前記現像ロールを含む部分が、画像形成装置本体に対して脱着可能なカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、該プロセスカートリッジとしては、現像剤保持体を少なくとも備え、本実施形態の静電荷像現像剤を収容するプロセスカートリッジが好適に用いられる。
前記電子写真感光体としては、一般に、アモルファスシリコン、セレンなど無機感光体、ポリシラン、フタロシアニンなどを電荷発生材料や電荷輸送材料として使用した有機感光体を用いることができるが、特に、長寿命であることからアモルファスシリコン感光体が好ましい。
前記定着器としては、光により定着を行うことができるものであればよく、本実施形態の光定着用カラートナーを用いる場合には、光定着器(フラッシュ定着器)が用いられる。
上記光定着器に用いられる光源としては、通常のハロゲンランプ、水銀ランプ、フラッシュランプ、赤外線レーザ等があるが、フラッシュランプによって瞬時に定着させることでエネルギーを節約することができ最適である。フラッシュランプの発光エネルギーが1.0J/cm以上7.0J/cm以下の範囲であることが好ましく、2J/cm以上5J/cm以下の範囲であることがより好ましい。
ここで、キセノンのランプ強度を示すフラッシュ光の単位面積当りの発光エネルギーは以下の式(1)で表される。
S=((1/2)×C×V)/(u×L)×(n×f) ・・・ 式(1)
上記式(1)中、nは一度に発光するランプ本数(本)、fは点灯周波数(Hz)、Vは入力電圧(V)、Cはコンデンサ容量(F)、uはプロセス搬送速度(cm/s)、Lはフラッシュランプの有効発光幅(通常は最大用紙幅、cm)、Sはエネルギー密度(J/cm)を表す。
光定着の方式としては、複数のフラッシュランプを時間差を設けて発光させるディレイ方式であることが好ましい。このディレイ方式は、複数のフラッシュランプを並べ、各々のランプを0.01ms以上100ms以下程度ずつ遅らせて発光を行い、同じ箇所を複数回照らす方式である。これにより一度の発光でトナー像に光エネルギーを供給するのではなく分割して供給できるため、定着条件をマイルドにすることができ耐ボイド性と定着性とを両立することができるものである。
ここで、複数回トナーに対しフラッシュ発光を行う場合、前記フラッシュランプの発光エネルギーは、発光1回ごとの前記単位面積に与える発光エネルギーの総和量を指すこととする。
本発明においては、フラッシュランプの本数は1本以上20本以下の範囲であることが好ましく、2本以上10本以下の範囲であることがより好ましい。また、複数のフラッシュランプ間の各々の時間差は0.1msec以上20msec以下の範囲であることが好ましく、1msec以上3msec以下の範囲であることがより好ましい。
さらに、フラッシュランプ1本の1回の発光による発光エネルギーは、0.1J/cm以上1J/cm2以下の範囲であることが好ましく、0.4J/cm以上0.8J/cm2以下の範囲であることより好ましい。
以下、本実施形態のカラートナーが光定着される光定着器を備えた画像形成装置の一例について図面を用いて説明する。
図1は、上記画像形成装置の一例について示す概略模式図である。図1は、シアン、マゼンタ、イエローの3色にブラックを加えたトナーによりトナー像形成を行うものを示す。
図1中、1a〜1dは帯電手段、2a〜2dは露光手段、3a〜3dは静電荷像保持体(感光体)、4a〜4dは現像手段、5a〜5dは発色手段、10はロール媒体15から矢印方向に送り出される記録用紙(記録媒体)、20はシアン現像ユニット、30はマゼンタ現像ユニット、40はイエロー現像ユニット、50はブラック現像ユニット、70a〜70dは転写手段(転写ロール)、71、72はロール、80は転写電圧供給手段、90は光定着手段を各々表す。
図1に示す画像形成装置は、帯電手段、露光手段、感光体、および現像手段を含む符号20、30、40、50で示される各色の現像ユニット(トナー像形成手段)と、記録用紙10に接して配置され、記録用紙10を搬送するロール71、72と、各現像ユニットの感光体を押圧するように記録用紙10を介してその反対側に接するように配置された転写ロール70a、70b、70c、70dと、これら3つの転写ロールに電圧を供給する転写電圧供給手段80と、感光体と転写ロールとの圧接部分を図中の矢印方向に通過する記録用紙10の感光体と接触する側に光を照射する光定着器90と、から構成されている。
また、図1においては、現像手段4a〜4dだけでなく現像ユニット20〜50も前記プロセスカートリッジとなり得る。
なお、シアン現像ユニット20は、感光体3aの周囲には時計回りに帯電手段1a、露光手段2a、現像手段4aが配置された構成を有する。また、感光体3aにおける現像手段4aの配置位置から時計回りの帯電手段1aの配置位置間に感光体3a表面に接するように、記録用紙10を介して転写ロール70aが対向配置されている。
他の色の現像ユニットもこの構成に準ずる。なお、本実施形態の画像形成装置においては、シアン現像ユニット20の現像手段4a内に前記シアントナーを含む現像剤が収納され、他の現像ユニットの現像手段には、各々の色に対応した光定着用カラートナーが収納される。
次に、この画像形成装置を用いた画像形成について説明する。まず、ブラック現像ユニット50において、感光体3dを時計回り方向に回転させつつ、帯電手段1dにより感光体3dの表面を帯電する。次に帯電された感光体3dの表面を露光手段2dにより露光することにより、複写しようとする元の画像のイエロー色成分の画像に対応した潜像が感光体3d表面に形成される。さらに、この潜像上に現像手段4d内に収納されたブラックトナーを付与することによりこれを現像してブラックトナー像を形成する。イエロー現像ユニット40、マゼンタ現像ユニット30、シアン現像ユニット20においてもこれに準じたプロセスが行なわれ、それぞれ現像ユニットの感光体表面にそれぞれの色のトナー像が形成される。
感光体表面に形成された各色のトナー像は、転写ロール70a〜70dによる転写電位の作用により、矢印方向に搬送される記録用紙10上に順次転写され、元の画像情報に対応するように記録用紙10の表面に積層されて、最上層からシアン、マゼンタ及びイエローの順に積層されたフルカラーの積層トナー画像が形成される。
次に、この記録用紙10上の積層トナー画像が、光定着手段90のところまで搬送され、そこで光定着手段80から光の照射を受けて、溶融し、記録用紙10に光定着されフルカラー画像が形成される。そして、例えばこの時点で消色剤が作用し、ロイコ染料を発色状態から消色状態とすることができる。
本実施形態の光定着用カラートナーは、例えば、新聞、サービスビューロー、バーコード印刷、ラベル印刷、タグ印刷、カールソン方式あるいはイオンフロー方式等のプリンター及びコピー等の各種の用途に好適に使用できるものであり、特にカラー化した実施形態においても安価にて良好なフラッシュ定着性を発揮する製品を提供できるために、これらの用途における画像のカラー化の要望に容易に対応できるものである。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<トナーの製造>
本実施例では、ロイコ染料として前記一般式(I)で示されるものを用いた。表1に用いた化合物Noとその構造(置換基の特定等)をまとめて示す。
なお、表1において、X、Xに関するm、nは欄中「−」の場合は0、「o」「p」の場合は1、「m、p」の場合は2であることを示す。また、λmaxは活性白土により各ロイコ染料を発色させたときの、メタノール塩化第二スズ中での吸収ピーク波長を示す。
Figure 0004442676
(発色相成分、消色相成分の作製)
表2に示した配合に基づき、ロイコ染料(化合物1〜8)及び顕色剤と結着樹脂とを混合し、また消色剤とワックスとを混合し、各々エクストルーダー(池貝社製、PCM−30)により135℃で溶融混練(混合)して、各々発色相成分、消色相成分を作製した。表中の「部」は「質量部」の略である。
なお、ロイコ染料の顕色剤としては、下記構造式1に示す構造の化合物(TG−SA、日本化薬社製)を、消色剤としてはリトコール酸(融解温度:180℃、ナカライテクス(株)製)を各々用いた。
Figure 0004442676
次に、最終的なトナー中での組成が表2に示した組成となるように、前記発色相成分及び消色相成分、さらに帯電制御剤、赤外線吸収剤及び着色剤からなるトナー原料を、ヘンシェルミキサーに投入し、予備混合を行った後、エクストルーダー(池貝社製、PCM−30)により135℃(CT−26のみ230℃)、250rpmにて混練した。次いでハンマーミルにて粗粉砕し、ジェットミルにて微粉砕した後、気流分級機にて分級を行い、体積平均粒径が4.6μmの各トナー粒子を得た。
これらのトナー粒子について、トナー粒子をエポキシ樹脂に包埋したのちにミクロトームによりスライスした試料を作製し、TEMにより粒子の断面を観察したところ、少なくとも結着樹脂中に最大径が1.5μm程度のワックス相が分散した相分離構造が確認された。
次いで、これらの各トナー粒子98質量部に対し、疎水性シリカ粒子(TG820F、キャボット社製)2.0質量部をヘンシェルミキサーにより外添処理して、各実施例に用いた光定着用カラートナー(CT−2〜6、8〜11、13〜26)及び比較例に用いた光定着用カラートナー(CT−1、7、12)を得た。
Figure 0004442676
<現像剤の作製>
得られたトナーを用い2成分現像剤を作製した。上記の各トナーと混合させるキャリアとしては、シリコーン樹脂をコーティングした汎用の体積平均粒径が40μmのフェライトキャリアを用いた。各トナー5部に対しキャリアを95部混合し、2時間、10Lのボールミルにて混合し、各現像剤100部を作製した。
<実施例1〜23、比較例1〜3>
作製したカラートナーCT−1〜CT−26及びそれらを含む現像剤について、下記のように光照射前後の900nmにおける吸光度の測定及び実機特性評価を行った。
(トナーの吸光度測定)
前述の測定方法に従い、各トナーについて測定試料を作製し、まず光照射前の900nmにおける吸光度A1を測定した。次いで、各々の測定試料に対し3.5mJ/cmの条件のフラッシュランプにより1msecの光照射を行い、上記に準じて光照射後の吸光度A2を測定し、光照射前後の吸光度比(A2/A1、%)を求めた。
結果を表3にまとめて示す。
(実機特性評価)
表3に示すトナーを含む各現像剤を用い、定着性、色再現性を含めた画像評価を行った。評価装置としては、光定着器としてキセノンフラッシュランプを搭載した富士ゼロックス社製Fuji Xerox 490/980 Continuous Feedプリンタの改造機(概略構成は図1に準ずる)を用いた。なお、フラッシュランプの発光エネルギーは3.5J/cmとした。
−定着性評価−
記録媒体として普通紙(NIP−1500LT、小林記録紙)を用い、前記画像形成装置により1inch四方(2.54cm×2.54cm)の画像を形成した。具体的には、表3に示す各光定着用カラートナーを用い、トナーの付着量(記録媒体上のトナー載り量)は単色で0.5mg/cmとなるように調整して画像出しを行った。
次に、得られた1inch四方の画像の定着率について以下のように評価した。まず、画像の各色に対応するステータスA濃度(OD1)を測定し、その後、この画像上に粘着テープ(スコッチメンディングテープ、住友3M製)を貼り、その後、粘着テープを引き剥がし、剥離後の画像のステータスA濃度(OD2)を測定した。なお、光学濃度の測定には(X−rite938)を使用した。次に、得られた光学濃度の値を用いて下式(2)より定着率を算出した。
定着率(%)=(OD2/OD1)×100 ・・・ 式(2)
定着性の評価は、式(2)から算出される定着率において以下の判断基準により評価した。
◎:定着率が90%以上である。
○:定着率が80%以上90%未満である。
△:定着率が70%以上80%未満である。
×:定着率が70%未満(使用することが難しいレベル)である。
−色再現性の評価−
前記各トナーを用いて、トナーの付着量を0.48〜0.52mg/cmとし、0から100%まで5%ごとにトナードット率を変化させた階調サンプルを形成し、定着後トナードット率80%の部分の色再現性測定値(L、a、b)をそれぞれ評価した。なお、画像は定着後1分経過後のものを用い、上記L、a、bの各数値は、分光計(938 Spectrodentitometer、X−Rite社)で測定した。これらの測定値とジャパンカラーの色再現性目標値との差異を色差ΔEにより評価した。ここで該ΔE(色差)は、{(L −L +(a −a +(b −b 1/2を意味する。また、L *、a *、b *はジャパンカラーの色再現性目標値、L *、a *、b *はトナー画像の測定値を示す。
なお、上記ジャパンカラーの色再現性目標値は、シアントナーの場合(L:59、a:−24、b:−41)、マゼンタトナーの場合(L:54、a:55、b:−1)、イエロートナーの場合(L:89、a:−7、b:71)である。
また、前記測定方法は、「Graphic Tecnology (印刷技術)における標準化、(社)日本印刷産業機械工業会、ISO/TC130国内委員会、(社)日本印刷学会、2003年8月改定」を参考にし、前記各数値は当該文献p.7表4中の上質紙のL、a、b値である。
これらより、以下の判断基準により色再現性を評価した。
◎:ΔE≦3
○:3<ΔE≦8
△:8<ΔE≦15
×:15<ΔE
以上の評価結果をまとめて表3に示す。
Figure 0004442676
<実施例24>
実施例3に用いたトナー(CT−4)と同一の配合で、予め発色相成分及び消色相成分を作製することなく、トナー原料をすべて一度にヘンシェルミキサーに投入した以外は、実施例2に準じて溶融混練、粉砕を行いトナーを作製した。
上記トナーについて、実施例1に準じて評価を行ったところ、900nmにおける光照射後の吸光度比は40%程度であり、また実機評価においては定着性が73%となり、他の実施例に比べて定着性が劣るものであった。
表3に示すように、実施例の光照射により消色する定着助剤を含有させたトナーによる画像では、高い光定着性が得られると共に、良好な色再現性を示すことがわかる。一方、前記定着助剤を用いていない比較例のトナーの場合は、前記の特性のいずれかにおいて問題が発生した。
実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1a,1b,1c,1d 帯電手段
2a,2b,2c,2d 露光手段
3a,3b,3c,3d 感光体
4a,4b,4c,4d 現像手段
5a,5b,5c,5d 発色手段
10 記録用紙(記録媒体)
20 シアン現像ユニット
30 マゼンタ現像ユニット
40 イエロー現像ユニット
50 ブラック現像ユニット
70a,70b,70c,70d 転写ロール
71,72 ロール
80 転写電圧供給手段
90 光定着手段(定着手段)

Claims (9)

  1. 結着樹脂と、着色剤と、定着助剤としてロイコ染料、顕色剤及び消色剤と、を含み、
    光照射後の波長900nmにおける吸光度が、光照射前の同波長における吸光度に対して減少することを特徴とする光定着用カラートナー。
  2. 前記ロイコ染料が、発色状態で800nm以上1000nm以下に吸収ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の光定着用カラートナー。
  3. 前記ロイコ染料が、下記一般式(I)で示される構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の光定着用カラートナー。
    Figure 0004442676
    (上記式中、Rは炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、Rは炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、置換基として塩素原子、臭素原子及び炭素数1以上4以下のアルキル基から選択される1種以上を有することもあるベンジル基、並びに、置換基として塩素原子、臭素原子及び炭素数1以上4以下のアルキル基から選択される1種以上を有することもあるフェニル基のうちのいずれかを表す。またX、Xは、それぞれ独立に炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びそれらの組み合わせを表し、m、nはそれぞれ0以上3以下の整数を表す。)
  4. 前記消色剤の融解温度が100℃以上250℃以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光定着用カラートナー。
  5. 内部が相分離構造を有し、前記ロイコ染料及び顕色剤と消色剤とが各々異なる相に含まれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光定着用カラートナー。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光定着用カラートナーの製造方法であって、
    少なくとも加熱工程を有し、該加熱工程における最高温度が、トナーに含まれる消色剤の融解温度より低いことを特徴とする光定着用カラートナーの製造方法。
  7. トナーを含み、該トナーが請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光定着用トナーであることを特徴とする静電荷像現像剤。
  8. 現像剤保持体を少なくとも備え、請求項7に記載の静電荷像現像剤を収めることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  9. トナーを含む現像剤により記録媒体上にトナー像を形成するトナー像形成手段と、該トナー像を光により記録媒体に定着させる定着手段とを有し、
    前記現像剤が、請求項7に記載の静電荷像現像剤であることを特徴とする画像形成装置。
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