JP2014115562A - 消色型電子写真トナー - Google Patents

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英樹 池田
Hideyoshi Niinuma
英好 新沼
Toshiaki Kanemura
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Abstract

【課題】消色後の視認が困難な画像を形成することが可能な消色型電子写真トナーを提供すること。
【解決手段】本発明の消色型電子写真トナーは、結着樹脂と、消色可能な着色剤と、蛍光顔料とを含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、消色型電子写真トナーに係り、特に、消色後の視認が困難な画像を形成し得る消色型電子写真トナーに関する。
消色型電子写真トナーとしては、ロイコ色素を用いたトナーや近赤外線吸収色素を用いたトナーなどがある。このような消色型電子写真トナーを用いて複写機やプリンタにより文字などの画像を形成した印刷物は、熱や光によって画像を消去させることができる。従って、用紙を再生させることが可能である(例えば、特許文献1参照)。
そのような用途で使用する画像形成装置は、装置内部又は外部にトナーの消色部を備えている。この装置は、印刷物が不要となった場合、その画像を消色部において消色して、用紙を再使用可能とする。
昨今、この技術には、省エネルギーかつ高速オンデマンドで画像を完全に消すことが要求されている。消色後の画像の視認を困難とするには、トナーが高い消色性を有し、画像を消色した部分の色が用紙の他の部分の色とほぼ等しいことが必要である。
しかしながら、従来の消色型電子写真トナーには、消色が十分でなく色味が残るか、消色した後に黄変するという問題があった。色味が残るか又は黄変を生じた場合、消色後においても画像が認識できてしまう。そのため、再生した用紙の上に新たな画像を形成すると、消したはずの画像と新たな画像とが重なり合って、後者の視認性や美観が損なわれることがある。また、消したはずの画像が視認可能であると、情報の漏洩に繋がることもある。
特開2000−19770号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、消色後の視認が困難な画像を形成することが可能な消色型電子写真トナーを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の一側面によると、結着樹脂と、消色可能な着色剤と、蛍光顔料とを含むことを特徴とする消色型電子写真トナーが提供される。
本発明によると、消色後の画像の色を被転写媒体の色とほぼ等しくすることができるため、消色後の画像の視認を困難とすることができる。
本発明の一実施形態に係る消色型電子写真トナーを用いて被転写媒体上に画像を形成するため、及び、この画像を消色して被転写媒体を再使用可能とするための消色機能付プリンタを示す図である。 実施例及び比較例に係るトナーを用いて形成した画像サンプルを示す図である。 図2に示す画像サンプルを図1に示す消色機能付プリンタにより消色して得た画像サンプルを示す図である。
以下、本発明の種々の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係る消色型電子写真トナーは、結着樹脂、消色可能な着色剤、及び蛍光顔料、並びに、典型的には消色剤及び帯電制御剤などを、混合、溶融混練、及び粉砕してなるものである。このトナーは、蛍光顔料を、上記の溶融混練の際に添加したものであってもよい。或いは、このトナーは、蛍光顔料の一部を上記の混合の際に添加し、蛍光顔料の残りを上記の溶融混練の際に添加したものであってもよい。
結着樹脂としては、トナー用結着樹脂として公知のものを含む広い範囲から選択することができる。具体的には、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、およびスチレン−ブタジエン共重合体などのスチレン系樹脂をはじめ、飽和ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、クマロン樹脂、キシレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂などが例示でき、これらの樹脂を単独で用いてもよく、二種類以上組み合わせて用いてもよい。なお、これらの樹脂のうち、ポリエステル系樹脂が好ましい。
結着樹脂の量は、好ましくは、トナー質量の50乃至99質量%であり、より好ましくは、70乃至95質量%である。
なお、「トナー質量」は、結着樹脂、着色剤、消色剤、帯電制御剤、蛍光顔料及びワックスなどの、所謂「内添剤」と呼ばれる物質の合計質量である。即ち、「トナー質量」は、シリカなどの「外添剤」の質量は含んでいない。
着色剤としては、近赤外線吸収色素を用いてもよく、又は、ロイコ色素を用いてもよい。但し、ロイコ色素を用いた消色方式では、通常、ヒータが断熱構造によって囲まれている箱型の熱消去装置を用い、まとまった枚数の用紙を数時間かけて消色するため、オンデマンドで消色することは難しい。
近赤外線吸収色素としては、従来公知のものを用いることができる。そのような近赤外線吸収色素として、例えば、特開平4−362935号公報及び特開平5−119520号公報に記載されているものがある。具体的な近赤外線吸収色素の例として、例えば、下記式に示すようなIRT(商品名、昭和電工(株)製)を挙げることができる。
Figure 2014115562
式中、X及びYは、いずれもN(Cを表し、Zは下記式に示す対イオンである。
Figure 2014115562
消色剤としては、例えば、従来公知の4級アンモニウムホウ素錯体を用いることができる。そのような4級アンモニウムホウ素錯体として、例えば、特開平4−362935号公報及び特開平5−119520号公報に記載されているものがある。具体的な4級アンモニウムホウ素錯体の例として、下記式に示すP3B(商品名、昭和電工(株)製)を挙げることができる。
Figure 2014115562
蛍光顔料は、一般に、太陽光中の紫外線及び可視光線中の紫色乃至緑色の光線、例えば波長350乃至600nmの光線を受けて、それよりも長波長の蛍光を発するものである。蛍光顔料は、通常の染料や顔料とは異なり、可視域全体に亘って吸収率が小さく、主に発光によって発色する。蛍光顔料については、後で詳しく説明する。
帯電制御剤は、トナーの帯電量及び帯電速度を調節するために添加する。帯電制御剤としては、通常、電子写真用トナーに使用される任意のものを使用可能である。
この消色型電子写真トナーは、離型材を更に含むことができる。離型剤は、熱ローラ定着などの接触加熱定着によりトナーを被転写媒体に定着させる際に、トナーの一部が分断し、加熱面に付着するオフセット現象を防ぐために添加する。離型剤としては、通常、電子写真用トナーに使用される任意のものを使用可能である。
着色剤として近赤外線吸収色素を採用した消色型電子写真トナーを用いて、電子写真プロセスにより文字などの画像を印刷すると、この画像は、可視光下では高い印刷濃度であるが、近赤外線を照射すると消色する。これは、次のような現象に基づく。
すなわち、印字又は画像に近赤外線を照射すると、トナー中の近赤外線吸収色素が励起状態になり、消色剤と反応し、消色現象が生ずる。その結果、印字又は画像が消色し、消色型電子写真トナーが転写された印刷用紙及びOHPシート等の被転写媒体を再使用することが可能となる。
なお、消色反応は、近赤外線吸収色素のカチオンが、消色剤のアルキル基と結合することにより生ずる。また、消色型電子写真トナーにおける近赤外線吸収色素と消色剤との比率は、消色反応後に未反応の近赤外線吸収色素が残留しないように適宜選択される。
消色型電子写真トナーを用いると、消色後の画像の色を被転写媒体の色とほぼ等しくすることができる。それ故、消色後の画像の視認を困難とすることができる。これについて、以下に説明する。
一般的な消色型電子写真トナーを用いて形成した画像は、消色後において、通常、結着樹脂及び色素の色に起因して僅かに黄ばんで見える。そのため、一般的な消色型電子写真トナーには、消色後においても画像が認識できてしまうという問題があった。
上記の通り、蛍光顔料は、通常の染料や顔料とは異なり、可視域全体に亘って吸収率が小さく、主に発光によって発色する。それ故、蛍光顔料を添加すると、消色後の画像の明度を十分に高くするとともに、その色相を調節することができる。従って、蛍光顔料を用いて消色後の画像の色相を適宜調節することにより、消色後の画像の視認を困難とすることができる。
赤色乃至青色に、典型的には紫又は青紫色に発光する蛍光顔料、例えば、波長380乃至500nmの範囲内に蛍光スペクトルの最大ピークを有している蛍光顔料を使用する。この場合、色相環 (カラーサイクル) で正反対に位置する関係の色の組合せである、赤と青緑、橙と青、黄色と青紫等の補色のうち、その蛍光色は黄色と補色の関係にあるため、黄ばみが目立たなくなる。実際に、そのような蛍光顔料を使用したところ、消色後の黄変を抑制することができ、消色後における画像の視認が困難となることを確認できた。
なお、増白効果を有する物質としては、酸化チタンや酸化亜鉛が知られている。しかしながら、これらを用いて黄ばみを目立たなくするには、多量の添加が必要である。これら物質を多量に添加すると、帯電性や定着性が悪化する。従って、これらは、消色後の黄変を抑制するための物質としては適当ではない。なお、蛍光顔料は、酸化チタンや酸化亜鉛を含んでいない。
また、蛍光顔料の代わりに蛍光染料を使用した場合においても、上記と同様の効果が得られると考えられる。しかしながら、実際には、蛍光染料を使用した場合、蛍光顔料を使用した場合ほどの効果は得られない。これは、一般に、蛍光染料は、蛍光顔料と比較して、熱や光に対する耐性が低いことに起因していると考えられる。
この蛍光顔料としては、例えば、シンロイヒ株式会社製 FA−257(Violet)、FX−327(Magenta)、SX−147 Violet、SX−157、Blue Violet、日本蛍光化学社製 NKP−8328(BLUE)、NKP−8377(Violet)、NKP−8367(Violet)、NKP−9238(Blue)、NKP−460(Violet)等を使用することができる。これら蛍光顔料は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
蛍光顔料の添加量は、トナー質量に対して、例えば0.001乃至3.0質量%であり、典型的には0.001乃至1.0質量%であり、好ましくは0.005乃至0.1質量%であり、より好ましくは0.007乃至0.009質量%である。蛍光顔料を使用した場合、その添加量が比較的少ない場合であっても、黄ばみを目立たなくする効果を得ることができる。但し、添加量が少なすぎると、黄ばみを目立たなくする効果が不十分となることがある。
以下、図面を参照して、上記の消色型電子写真トナーを用いて被転写媒体上に画像を形成するための、及び、この画像を消色して再使用可能とするための消色機能付プリンタについて説明する。
図1に示すプリンタは、市販されているプリンタ(N3500:カシオ計算機(株)製)を改造したものである。このプリンタでは、印字ベルト1の周囲に、消色型電子写真トナー現像器2、消色用ヒータ3、消色用LEDヘッド4、転写部5、及び定着部6が配置されている。このプリンタの底部には、消色型電子写真トナーを用いて画像が印刷された被転写媒体Pを収納するカセット7が設置され、上部には、消色型電子写真トナーを用いて画像が再印刷された被転写媒体を排出する排紙部8が設けられている。なお、消色型電子写真トナー現像器2には、消色型電子写真トナーを収納するトナーカートリッジ9が取り付けられている。
図1に示すプリンタは、次のようにして動作する。
最初に、カセット7から消色型電子写真トナーを用いて印刷された被転写媒体Pが取り出され、被転写媒体経路に沿って各部を通る。被転写媒体Pは、紙等の用紙、OHP用紙を含む。即ち、被転写媒体Pは、消色用ヒータ3及び消色用LEDヘッド4により熱が加えられるとともに近赤外線が照射され、印刷が消色される。次いで、印刷が消色された被転写媒体は転写部5において、現像された消色型電子写真トナーの画像が転写される。現像された消色型電子写真トナーの画像は、トナーカートリッジ9から供給された消色型電子写真トナーを用いて、消色型電子写真トナー現像器により現像された画像であり、印字ベルト1により転写部5に送られたものである。
転写部5において転写された消色型電子写真トナーの画像は、被転写媒体経路10に沿って更に定着部に送られ、そこで定着処理が行われ、その後、排紙部8に排紙され、操作が完了する。
以上のプリンタを動作させる際には、例えば、ハロゲンランプヘッドの出力は50mW/cm、消色用ヒータ3の温度設定は100℃とする。被転写媒体経路10は、任意の設定速度に変更可能である。
以下に、本発明の実施例と比較例とを示し、本発明の効果について具体的に説明する。
(実施例1)
消色型電子写真トナーを以下のようにして製造した。
波長817nmに感度を持つ赤外線感光色素「IRT」(昭和電工(株)製)1.5質量部、有機ホウ素化合物消色剤「P3B」(昭和電工(株)製)7.5質量部、トナー用ポリエステル結着樹脂(花王(株)製)100質量部、負電荷調整剤「LR−147」(日本カーリット(株)製)1.5質量部、「カルナバWAX1号」粉末(日本ワックス(株)製)2.5質量部、及び蛍光顔料「NKP−8377」(日本蛍光化学(株)製)0.9質量部からなる原料を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山(株)製)に投入し、混合した。
続いて、この混合物を二軸混錬機で溶融混錬した。次いで、得られた混錬物をロートプレックス(ホソカワミクロン(株)製)で粗砕して、粗砕物を得た。得られた粗砕物を衝突式粉砕機にて、平均粒径が9μmになるように粉砕した。得られた粉砕物100質量部に外添剤としてシリカ「R972」(日本アエロジル(株)製)を2質量部添加し、ヘンシェルミキサーで混合して、消色型電子写真トナーを得た。
(実施例2)
蛍光顔料として、「NKP−8377」(日本蛍光化学(株)製)0.9質量部に替えて、「FA−257(シンロイヒ(株)製)」0.9質量部を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(実施例3)
蛍光顔料として、「NKP−8377」(日本蛍光化学(株)製)0.9質量部に替えて、「FX−327」(シンロイヒ(株)製)1.0質量部を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(実施例4)
以下の事項を除いて、実施例1と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。蛍光顔料については、「NKP−8377」(日本蛍光化学(株)製)の量を0.9質量部から0.8質量部へと変更した。着色剤としては、「IRT」(昭和電工(株)製)に替えて、「CVL」(山田化学(株)製)3.5質量部及び「S−205」(山田化学(株)製)0.5質量部を使用した。樹脂としては、「トナー用結着樹脂」(花王(株)製)に替えて、「PTR7734」(エリオケム社製)80質量部及び「Nipol 2057SS」(日本ゼオン(株)製)20質量部とした。ワックスとしては、「カルナバWAX1号」(日本ワックス(株)製)に替えて、「NP056」(三井化学(株)製)2.5質量部を使用した。消色剤である「P3B」(昭和電工(株)製)は使用しなかった。顕色剤としては、「ジスライザー」(三協化成(株)製)2.0質量部及び「没食子酸プロピル」(和光純薬工業(株)製)1.0質量部を使用した。
(実施例5)
蛍光顔料として、「NKP−8377」(日本蛍光化学(株)製)0.8質量部に替えて、「FA−257」(シンロイヒ(株)製)0.9質量部を使用したことを除いて、実施例4と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(実施例6)
蛍光顔料として、「NKP−8377」(日本蛍光化学(株)製)0.8質量部に替えて、「FX−327」(シンロイヒ(株)製)1.0質量部を使用したことを除いて、実施例4と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(実施例7)
以下の事項を除いて、実施例4と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。蛍光顔料については、「NKP−8377」(日本蛍光化学(株)製)の量を0.8質量部から0.9質量部へと変更した。色素については、「S−205」(山田化学(株)製)を使用せず、「CVL」(山田化学(株)製)の量を2.0質量部とした。樹脂としては、「PTR7734」(エリオケム社製)80質量部及び「Nipol 2057SS」(日本ゼオン(株)製)20質量部に替えて、「SB−130」(三洋化成工業(株)製)100質量部を使用した。顕色剤については、「ジスライザー」(三協化成(株)製)は使用せず、「没食子酸プロピル」(和光純薬工業(株))の量を2.0質量部とした。
(実施例8)
蛍光顔料として、「NKP−8377」(日本蛍光化学(株)製)0.9質量部に替えて、「FA−257」(シンロイヒ(株)製)0.8質量部を使用したことを除いて、実施例7と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(実施例9)
蛍光顔料として、「NKP−8377」(日本蛍光化学(株)製)0.9質量部に替えて、「FX−327」(シンロイヒ(株)製)0.9質量部を使用したことを除いて、実施例7と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例1)
蛍光顔料を用いなかったことを除いて、実施例1と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例2)
原料に、補色剤として、「OPLAS VIOLET 730」(オリエント化学工業(株)製)0.03質量部を加えたことを除いて、比較例1と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例3)
原料に、補色剤として、「AIZEN」(保土谷化学工業(株)製)0.04質量部を加えたことを除いて、比較例1と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例4)
原料に、補色剤として、「クロモファインPV−19」(大日精化工業(株)製)0.08質量部を加えたことを除いて、比較例1と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例5)
原料に、補色剤として、「TAF−520」(富士チタン工業(株)製)8.0質量部を加えたことを除いて、比較例1と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例6)
蛍光顔料を使用しなかったことを除いて、実施例4と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例7)
原料に、補色剤として、「OPLAS VIOLET 730」(オリエント化学工業(株)製)0.03質量部を加えたことを除いて、比較例6と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例8)
原料に、補色剤として、「AIZEN」(保土谷化学工業(株)製)0.04質量部を加えたことを除いて、比較例6と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例9)
原料に、補色剤として、「クロモファインPV−19」(大日精化工業(株)製)0.06質量部を加えたことを除いて、比較例6と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例10)
原料に、補色剤として、「TAF−520」(富士チタン工業(株)製)8.0質量部を加えたことを除いて、比較例6と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例11)
蛍光顔料を使用しなかったことを除いて、実施例7と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例12)
原料に、補色剤として、「OPLAS VIOLET 730」(オリエント化学工業(株)製)0.03質量部を加えたことを除いて、比較例11と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例13)
原料に、補色剤として、「AIZEN」(保土谷化学工業(株)製)0.04質量部を加えたことを除いて、比較例11と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例14)
原料に、補色剤として、「クロモファインPV−19」(大日精化工業(株)製)0.07質量部を加えたことを除いて、比較例11と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
(比較例15)
原料に、補色剤として、「TAF−520」(富士チタン工業(株)製)8.0質量部を加えたことを除いて、比較例11と同様の方法で消色型電子写真トナーを作成した。
下記表1、表2及び表3に、上記実施例及び比較例で用いたトナー組成を示す。
Figure 2014115562
Figure 2014115562
Figure 2014115562
上記実施例及び比較例において得られた消色型電子写真トナーをカートリッジに詰め、このカートリッジを図1に示すプリンタに設置した。このプリンタでは、印字要求に対して、消色型電子写真トナー現像器2において消色型電子写真トナーにより現像された像を、転写部5にて被転写媒体に転写し、定着部6にて定着する、通常の印刷を行った。その結果、図2に示すような印刷物が得られた。被転写媒体としては、P紙(富士ゼロックス(株)製)を用いた。
次に、実施例1乃至9及び比較例1乃至15のサンプルを消色した。まず、図1に示すプリンタのカセット7へ印刷済み被転写媒体Pをセットした。プリンタの消色用LEDヘッド4と消色用ヒータ3とを点灯し、印刷済み被転写媒体Pを経路10に通過させて消色した。その後、被転写媒体Pを機外へ排出した。得られた消色済み画像サンプルを図3に示す。
得られた画像サンプルを、X−rite938(X−rite(株)製)により測定した。測定項目は、図3に示す印刷部及び非印刷部のL*、a*、b*である。
以上の測定項目を用いて、各例の視認性を評価した。
図3に示す印刷部10及び非印刷部11について得られたデータから、消色値ΔEを下記の計算式により求めた。
ΔE={(印刷部のL*−非印刷部のL*)2+(印刷部のa*−非印刷部のa*)2+(印刷部のb*−非印刷部のb*)2}1/2
消色値ΔEが小さいほど、消色した印刷部の色と非印刷部の色との差は小さい。ここでは、消色した画像の視認困難性を、以下の基準で評価した。
3.0未満 :○優れている。
3.0以上5.0未満 :△実用上問題ない。
5.0以上 :×使用に耐えない。
以上の評価方法にて得られた結果を下記表4に示す。
Figure 2014115562
上記表4に示すように、蛍光顔料の量がトナー質量の0.001乃至1%である実施例1乃至9に係る消色型電子写真トナーは、いずれも十分なレベルの視認困難性を達成した。なお、種類が異なる被転写媒体を使用する場合には、蛍光顔料の量などを調整することにより、上記と同様の効果を得ることができる。
これに対し、蛍光顔料を添加していない比較例1乃至4、6乃至9、及び11乃至14に係るトナーは、十分な視認困難性を達成できなかった。また、補色剤として酸化チタンを用いた比較例5、10及び15に係るトナーは、消色値ΔEは十分に小さかったが、カブリを起こしたことと、定着性が不十分であったこととに起因して、使用不可能であった。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらはいずれも特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]結着樹脂と、消色可能な着色剤と、蛍光顔料とを含むことを特徴とする消色型電子写真トナー。
[2]前記蛍光顔料は、波長380乃至500nmの領域内に蛍光スペクトルの最大ピークを有していることを特徴とする[1]に記載の消色型電子写真トナー。
[3]前記蛍光顔料の添加量は、トナー質量の0.001乃至1.0%であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の消色型電子写真トナー。
[4]
更に消色剤を含み、前記着色剤は近赤外線吸収色素を含むことを特徴とする[1]乃至[3]の何れか1項に記載の消色型電子写真トナー。
1…印字ベルト、2…消色型電子写真トナー現像器、3…消色用ヒータ、4…消色用LEDヘッド、5…転写部、6…定着部、7…カセット、8…排紙部、9…消色型電子写真トナーカートリッジ、10…被転写媒体経路、11…印刷部、12…非印刷部。

Claims (4)

  1. 結着樹脂と、消色可能な着色剤と、蛍光顔料とを含むことを特徴とする消色型電子写真トナー。
  2. 前記蛍光顔料は、波長380乃至500nmの領域内に蛍光スペクトルの最大ピークを有していることを特徴とする請求項1に記載の消色型電子写真トナー。
  3. 前記蛍光顔料の添加量は、トナー質量の0.001乃至1.0%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の消色型電子写真トナー。
  4. 更に消色剤を含み、前記着色剤は近赤外線吸収色素を含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の消色型電子写真トナー。
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