JP3607682B2 - 消色可能な画像形成材料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプリンター、複写機、FAX、熱転写記録、筆記具、印刷などに用いて画像を形成でき、かつ熱履歴の制御または溶媒との接触により消色可能な画像形成材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
地球環境の保護およびCOによる温室効果を抑制するためには森林の保護が重要な条件となる。新たな伐採を最低限に維持し、植林を含めた森林再生とのバランスを保って森林を保護するためには、現在すでに保有している紙資源を如何に効率よく利用していくかが大きな課題となっている。現在の紙資源の再利用は、画像形成材料を剥離させる脱墨工程を経た紙繊維を質の悪い紙に漉き直して目的別に使い分ける「リサイクル」であり、脱墨工程のコスト高の問題や廃液の処理による新たな環境汚染の可能性などが指摘されている。
【0003】
これまでにも、鉛筆に対してケシゴムを用い、筆記インキに対して修正液を用いて、画像を修正して紙を再利用することが行われてきた。また、最近ではハードコピー用紙のリユースを目的とした特殊紙リライタブルペーパーなどが提案されている。ここで、紙質の劣化を極力防ぎ同一の目的に複数回使用する「リユース」は、紙質を落としながら他の目的に使用する「リサイクル」とは異なる概念であり、紙資源の保護の観点からみればより重要な概念である。最終的な「リサイクル」の前段階として有効な「リユース」が行われれば新たな紙資源の浪費を最小限に抑えることができる。
【0004】
本発明者らはすでに、呈色性化合物と顕色剤との相互作用が増大すると発色状態となり、相互作用が減少すると消色状態になることに着目して、呈色性化合物および顕色剤を含有する組成系に新たに顕色剤を捕獲する消色剤を加えることにより、室温付近の温度で発色状態が安定に存在し、かつ、熱や溶媒による処理で、実用温度において長期に消色状態を固定できる画像形成材料(たとえば特開平10−88046号公報,特開平11−212295号公報,特開平11−272133号公報)および画像消色プロセス(たとえば特開平11−268409号公報)を提案している。これらの画像形成材料は、画像の発色・消色状態の安定性が高く、加えて材料も安全性が高く、また電子写真用トナー、液体インク、インクリボン、筆記用具の全てに対応可能であり、更に大規模消色処理が可能であるという従来の技術にないメリットを有している。このため、これらの画像形成材料を用いれば、現行のリサイクル技術に代わる有効な紙のリユース技術を実現でき、紙ゴミを著しく減少できることから、省資源に大きな効果がある。
【0005】
本発明者らは更に、この消色可能な画像形成材料の特性向上を検討する過程で、画像記録媒体が紙などの極性高分子で顕色剤捕獲能力を有し、かつ画像形成材料のバインダーが温度上昇または溶剤の接触により染料捕獲量が高まる性質を有する非極性材料である場合には、顕色剤捕獲型の消色剤を画像形成材料に添加しなくても、少数回ならば画像の消色ができることを発見し、顕色剤を捕獲する消色剤を含まない画像形成材料とその消色方法についても開発した(特開2000−284520)。この組成系の画像形成材料は、画像記録媒体に制約を受ける反面、樹脂含有量をより多くできるため、例えばトナーの耐オフセット特性を向上できるという長所がある。
【0006】
しかし、この組成系の開発を進める途上で、さらに改善すべき課題が明確になってきた。第1の課題は、熱消色における発色と消色のコントラストの限界である。上記の組成系では、発色も消色も軟化したバインダー内での染料と顕色剤の作用の平衡によって定まる。そのため、発色と消色のコントラストはバインダー内での平衡定数の温度依存性の影響を受ける。具体的には、画像形成材料の製造プロセス温度と消色プロセス温度によってコントラストの限界値が定まる。第2の課題は、「再発色」の問題である。再発色とは、一度消色した画像が画像上または画像の近傍で再び発色する現象であり、特に溶剤を用いた消色プロセスで生じやすい。この現象は、一度は分離した染料と顕色剤が再び会合し、両者の相互作用が復活するために起こり、「画像の流れ」のような消色不良となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、鮮明な画像を形成でき、かつ品質の良好な消色状態が得られる消色可能な画像形成材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の一態様に係る消色可能な画像形成材料は、呈色性化合物と、顕色剤と、バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂中に相分離状態で共存するスチレン/α−メチルスチレンオリゴマーとを含有する。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に、本発明の一実施形態に係る消色可能トナーを模式的に示す。図1において、バインダー樹脂1内には、呈色性化合物(ロイコ染料)と顕色剤とが会合した発色材料2、バインダー樹脂1と相分離した消色剤樹脂3(たとえばオリゴマーの結晶)に加えて、離型剤4、帯電制御剤5(CCA)、ならびに少量の分子状の呈色性化合物および顕色剤が分散している。
【0011】
本発明の実施形態に係る消色可能な画像形成材料において、バインダー樹脂中に相分離状態で共存する無極性樹脂、または相分離したポリマーアロイの少数相を構成する無極性樹脂は、呈色性化合物(ロイコ染料)を捕獲(相溶)する性質を有する。以下、このような無極性樹脂を消色剤樹脂という。本明細書において、「相溶」とは、熱軟化状態または溶媒による膨潤状態になった消色剤樹脂中に呈色性化合物分子が拡散可能であることを意味する。また、消色剤樹脂という用語を用いたのは、その内部に捕獲された呈色性化合物分子に立体障害または相互作用を及ぼして再び拡散・離脱するのを困難にして消色状態を良好に保存できるためである。このような消色剤樹脂を含む消色可能な画像形成材料では、以下のような原理で発色・消色が起こる。
【0012】
消色剤樹脂は、画像形成材料の製造プロセス温度ではバインダー(またはポリマーアロイの主成分)と相分離状態にあり、ほとんど呈色性化合物を捕獲(相溶)しないため、呈色性化合物と顕色剤との相互作用を増加させて発色させる。一方、消色剤樹脂は、消色プロセス温度ではバインダー(またはポリマーアロイの主成分)と相溶し、呈色性化合物を捕獲(相溶)する性質を発揮するため、呈色性化合物と顕色剤との相互作用を減少させて消色させる。このとき、相溶の開始と同時に、呈色性化合物と顕色剤との間の平衡は、より分離状態に偏る。この結果、発色・消色コントラストが向上する。また、消色剤樹脂は呈色性化合物を選択的に捕獲し、画像記録媒体(紙)中へ移動する顕色剤と空間的に分離できるため、再発色を生じにくくするというメリットも有する。消色性樹脂の具体的な材料については後述する。
【0013】
以下、本発明の実施形態に係る消色可能な画像形成材料に含まれる各種の成分を説明する。
【0014】
本発明の実施形態において用いられる呈色性化合物(ロイコ染料)としては、ロイコオーラミン類、ジアリールフタリド類、ポリアリールカルビノール類、アシルオーラミン類、アリールオーラミン類、ローダミンBラクタム類、インドリン類、スピロピラン類、フルオラン類等の電子供与性有機物が挙げられる。具体的には、クリスタルバイオレットラクトン(CVL)、マラカイトグリーンラクトン、2−アニリノ−6−(N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ)−3−メチルフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−(N−メチル−N−プロピルアミノ)フルオラン、3−[4−(4−フェニルアミノフェニル)アミノフェニル]アミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、2−アニリノ−6−(N−メチル−N−イソブチルアミノ)−3−メチルフルオラン、2−アニリノ−6−(ジブチルアミノ)−3−メチルフルオラン、3−クロロ−6−(シクロヘキシルアミノ)フルオラン、2−クロロ−6−(ジエチルアミノ)フルオラン、7−(N,N−ジベンジルアミノ)−3−(N,N−ジエチルアミノ)フルオラン、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4’−ニトロ)アニリノラクタム、3−ジエチルアミノベンゾ[a]−フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−キシリジノフルオラン、3−(4−ジエチルアミノ−2−エソキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−ジエチルアミノ−7−クロロアニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7,8−ベンゾフルオラン、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,6−ジメチルエソキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシ−7−アミノフルオラン、DEPM、ATP,ETAC、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、クリスタルバイオレットカルビノール、マラカイトグリーンカルビノール、N−(2、3−ジクロロフェニル)ロイコオーラミン、N−ベンゾイルオーラミン、ローダミンBラクタム、N−アセチルオーラミン、N−フェニルオーラミン、2−(フェニルイミノエタンジリデン)−3,3−ジメチルインドリン、N−3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン、8’−メトキシ−N−3,3−トリメチルインドリノベンゾスピロピラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−ベンジルオキシフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、3,6−ジ−p−トルイジノ−4,5−ジメチルフルオラン、フェニルヒドラジド−γ−ラクタム、3−アミノ−5−メチルフルオランなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。呈色性化合物を適宜選択すれば多様な色の発色状態が得られることからカラー対応も容易である。これらのうち、特にトリフェニルメタン系、フルオラン系、フェニル−インドール−フタリド系のものが好適である。
【0015】
本発明の実施形態において用いられる顕色剤としては、フェノール類、フェノール金属塩類、カルボン酸金属塩類、ベンゾフェノン類、スルホン酸、スルホン酸塩、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類などが挙げられる。具体的には、没色子酸、および没色子酸メチル、没色子酸エチル、没色子酸n−プロピル、没色子酸i−プロピル、没色子酸ブチルなどの没色子酸エステル、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチルなどのジヒドロキシ安息香酸およびそのエステル、2,4−ジヒドロキシアセトフェノン、2,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,6−ジヒドロキシアセトフェノン、3,5−ジヒドロキシアセトフェノン、2,3,4−トリヒドロキシアセトフェノンなどのヒドロキシアセトフェノン類、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類、2,4’−ビフェノール、4,4’−ビフェノールなどのビフェノール類、4−[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4−[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,6−ビス[(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−1,2,3−ベンゼントリオール、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(ベンゼン−1,2,3−トリオール)]、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)ビス(1,2−ベンゼンジオール)]、4,4’,4’’−エチリデントリスフェノール、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、メチレントリス−p−クレゾールなどの多価フェノール類が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上混合して用いることができる。これらのうち、特に没食子酸エステル系、ヒドロキシベンゾフェノン系、ヒドロキシアセトフェノン系のものが好適である。
【0016】
本発明の実施形態において用いられるバインダー樹脂について説明する。バインダー樹脂として、水素結合に寄与する極性基(アクリル基、カルボニル基、エーテル基、ケトン基、ヒドロキシル基、アミド基など)を多量に含むものは不適である。その理由は、極性基を多量に含む樹脂はフェノール性顕色剤との相溶性が高く、製造プロセスの混練過程において呈色性化合物(ロイコ染料)と顕色剤の平衡を分離(消色)側に偏らせるため、画像形成材料の発色濃度が低下させるためである。たとえば、スチレンブチルアクリレート樹脂をバインダー樹脂として用い、フルオラン系ロイコ染料と没食子酸エステルとを含有する消色可能トナーを調製する場合、バインダー樹脂中のブチルアクリレート含有量を10wt%以下にすることが好ましい。したがって、バインダー樹脂としては、無極性樹脂または極性の小さい樹脂が好ましい。
【0017】
バインダー樹脂に用いられる無極性樹脂としては、スチレン系樹脂(スチレン系モノマーの具体例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルステレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、P−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレンなど)、オレフィン系樹脂(オレフィンモノマーの具体例としては、エチレン、プロピレン、メチルペンテン、ブタジエン、ノルボルネン誘導体など)などが挙げられる。無極性樹脂としてこれらの共重合体を用いることもできる。
【0018】
バインダー樹脂に用いられる極性の小さい樹脂としては、上記の無極性モノマーと少量の極性モノマーとの共重合体が挙げられる。上述したように極性モノマーの含有量は10wt%であることが好ましい。無極性モノマーと共重合可能な極性モノマーとしてはアクリル系モノマー、たとえばn−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノプロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート−N−(エトキシメチル)アクリルアミド、エチレングリコールメタクリレート、4−ヘキサフルオロブチルメタクリレートなどが挙げられる。これらのアクリル系モノマーは1種類だけ用いて共重合させてもよいし、2種類以上用いて共重合させてもよい。無極性モノマーと共重合可能なその他の極性モノマーとしてはビニル系モノマー、たとえば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルおよびイソブチルエーテルなどが挙げられる。
【0019】
本発明の実施形態において用いられる染料捕獲型の消色剤樹脂について説明する。本発明の実施形態では、トリフェニルメタン系やフルオラン系の呈色性化合物(ロイコ染料)と、没食子酸エステル系やヒドロキシベンゾフェノン系の顕色剤を使用するため、消色剤樹脂としてはそれらと相溶性の高いベンゼン骨格を有する無極性材料が適している。具体的には、スチレンまたはスチレン誘導体(スチレン系モノマーの具体例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレンなど)の単独重合体または共重合体のオリゴマーまたはポリマーが挙げられる。また、スチレンまたはスチレン誘導体とオレフィンとの共重合体を用いることもできる。より具体的には、スチレン/α−メチルスチレンオリゴマーなどが挙げられる。また、消色剤樹脂として機能する少数相の無極性樹脂を含む相分離したポリマーアロイとしては、スチレン/ブタジエンゴムなどが挙げられる。
【0020】
ただし、消色剤樹脂は、使用するバインダー樹脂に対して、熱的な物性値(特に粘弾性)を比較して、適宜選択することが好ましい。具体的には、消色剤樹脂は、バインダー樹脂と比較して、ガラス転移点が高く軟化点が低いという熱的特性を有することが好ましい。このような組み合わせのバインダー樹脂と消色剤樹脂を選択すれば、製造プロセスの混練過程においては消色剤樹脂がバインダー樹脂中に相分離して残り、消色プロセスにおいては両者を完全に相溶させることができる。
【0021】
表1に、バインダー樹脂として用いられる三洋化成製ポリスチレンSB150、消色剤樹脂の候補材料である3種のスチレン系オリゴマー(三井化学製FTR0140、FTR2140、FMR0150)の物性をまとめて示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003607682
【0023】
上記の3種のスチレン系オリゴマー(FTR0140、FTR2140、FMR0150)のうちFTR2140は、バインダー樹脂と比較して、ガラス転移点の差が最も大きく(プラス27℃)、軟化点の差も最も大きい(マイナス7℃)。このため、FTR2140が最良の消色剤樹脂と推定される。実際に、これらの材料を混練して調製したトナーを評価した結果、FTR2140を用いた場合に最も優れた発消色性能が得られた。なお、評価データは実施例の項に示す。
【0024】
また、予め調製された多相のポリマーアロイ、すなわち相分離構造を有するポリマーアロイを、相分離した消色剤樹脂を含むバインダー樹脂の代わりに使用することもできる。代表的なポリマーアロイとしては、ポリスチレン相とブタジエンゴム相とが相分離した構造を有するスチレン−ブタジエンゴム、スチレン−エチレン−プロピレンターポリマー、スチレン−(エチレン−ブチレン)−スチレン、プロピレン−エチレン−プロピレンゴム、プロピレン−ブタジエンゴム、プロピレン−スチレン−ブタジエンゴム、α−メチルスチレン・スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−フェニレンエーテルなどが挙げられる。これら多相構造のポリマーアロイを用いて画像形成材料の製造する場合は、混練時に樹脂の相分離状態が保持されるような条件に設定する。
【0025】
消色可能トナーに用いられる帯電制御剤は、消色した際に色が残らないように無色であることが好ましい。一般に使われる帯電制御剤のうち、負帯電制御剤としてはオリエント化学のE−84(サリチル酸亜鉛化合物)、日本化薬のN−1、N−2、N−3(ともにフェノール系化合物)、藤倉化成のFCA−1001N(スチレンースルホン酸系樹脂)などが、正帯電制御剤としては保土谷化学のTP−302(CAS#116810−46−9)、TP−415(同117342−25−2)、オリエント化学のP−51(4級アミン化合物)、AFP−B(ポリアミンオリゴマー)、藤倉化成のFCA−201PB(スチレン/アクリル四級アンモニウム塩系樹脂)などが挙げられる。また、アクリル系微粒子を帯電制御剤として用いることもできる。たとえば、負帯電制御剤としては、綜研化学製アクリル微粒子MP−1451、MP−2200、MP−1000、スチレン/アクリル共重合体微粒子MP−2701などが、正帯電制御剤としては、綜研化学製アクリル微粒子MP−2701、スチレン/アクリル共重合体微粒子MP−5500などが挙げられる。
【0026】
消色可能トナーには、必要に応じて、定着性を制御するためのワックス類などを配合してもよい。ワックス類は、高級アルコール、高級ケトン、高級脂肪族エステルなどの成分を含むものが好ましい。ワックス類は、酸価が10以下であることが好ましい。また、ワックス類は、重量平均分子量が10〜10であることが好ましい。重量平均分子量が上記の範囲であれば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリブチレン、低分子量ポリアルカンなどを用いることもできる。ワックス類の添加量は0.5〜10重量部が好ましい。
【0027】
【実施例】
実施例1
呈色性化合物として3−(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド3.56重量部、顕色剤として没食子酸n−プロピル2重量部、ワックス成分としてポリプロピレンワックス2重量部、帯電制御剤(日本カーリット社、LR−147)1重量部を用意した。また、バインダー樹脂として分子量65000のポリスチレン(三洋化成製、SB150)を、消色剤樹脂としてスチレン/αメチルスチレン系オリゴマー(FTR2140)を用意し、樹脂の総量が91.44重量部になるように秤量した。バインダー樹脂と消色剤樹脂の配合比率は、100:0(SB150を単独で配合)、80:20、および0:100(FTR2140を単独で配合)の3通りとした。これらの原料を、密閉式ニーダーを用いて十分に混練して分散させた後、混練物を粉砕・分級して平均粒径約10μmの粉体を得た。得られた粉体に対して疎水性シリカを1wt%外添して青色の電子写真用トナーを調製した。
【0028】
これらのトナーを用いて、PPC(東芝製プリマージュ38)によりコピー紙(NEUSIEDLER製中性紙500BLATT)上に、画像濃度の異なる複数の評価エリア(ベタ画像)を配した画像評価パターンを転写した。ミノルタ製色彩色差計(CR300)を用いて、画像の初期反射濃度(画像濃度)を測定した。
【0029】
次に、恒温乾燥機を用いて、画像を熱消色した。消色温度は、120℃、130℃または140℃に設定し、200枚の紙の束を2時間で消色した。200枚の束のうち、上から10枚目、100枚目および190枚目のものを測定用のサンプルとして取り出した。再びミノルタ製色彩色差計(CR300)を用いて、画像の熱消色後の反射濃度(残像濃度)を測定した。
【0030】
発色・消色コントラストを以下のようにして評価した。
画像濃度:Dp=[ベタ画像の初期反射濃度]−[白紙部反射濃度]
残像濃度:Da=[ベタ画像の熱消色後の反射濃度]−[白紙部反射濃度]
発色・消色コントラスト:C=Dp/Da。
【0031】
図2に、130℃、2時間で熱消色試験を行った結果を示す。図2において、横軸は初期の画像濃度、縦軸は消色後の残像濃度である。発色・消色コントラストの代表値は、原点を通り各プロットを通る直線を作成したとき、その直線の傾きの逆数で表される。図2から、バインダー樹脂(SB150)と消色剤樹脂(FTR2140)の配合比率を80:20としたトナーが最も良好な発色・消色コントラストを示すことがわかる。
【0032】
図3に、上記と同様にして各組成のトナーを用い、紙上に画像評価パターンを転写した後、120℃、130℃、140℃の設定温度で消色した場合の、発色・消色コントラスト値を示す。図3からも、SB150とFTR2140の配合比率を80:20としたトナーが最も良好な発色・消色コントラストを示すことがわかる。二種の樹脂を併用することで、単独の樹脂それぞれが示す発色・消色コントラスト特性値の間の範囲に入らない良好な特性値を得たことになる。この結果から、二種の樹脂には発色・消色コントラスト特性に影響する相乗効果があるといえる。
【0033】
ここで、消色剤樹脂であるFTR2140を単独で用いた場合に発色・消色コントラストが低くなる理由について説明する。発色・消色コントラストは、初期の画像濃度と消色後の残像濃度の比であり、前者は画像形成材料の製造プロセス温度に依存し、後者は消色プロセス温度に依存する。FTR2140はガラス転移点が高いため、トナーの製造プロセス温度が高くなる。このため、バインダー樹脂のマトリクス内で呈色性化合物と顕色剤との解離が進み、結果として呈色濃度が下がる。同じ転写量でも、トナーの発色率が低いため、初期画像濃度は相対的に低くなり、発色・消色コントラストは小さくなる。
【0034】
次に、溶剤消色の評価結果を示す。消色試験は、より現実に近い状態で評価するため、I&J FISNER Inc.の文具パーツ(FV−0200)に消色溶媒を入れて、消色後の残像を評価した。消色溶媒としてアセトンを用いた。SB150単独で含むトナーでは、発色・消色コントラストは27であったが、SB150とFTR2140を80:20の割合で含むトナーでは発色・消色コントラストは81まで向上した。ただし、FTR2140単独を含むトナーでは、SB150とFTR2140の配合比率が80:20であるトナーと比較して、発色・消色コントラストが同等かそれ以上であった。
【0035】
実施例2
呈色性化合物として3−(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド3.56重量部、顕色剤として没食子酸n−プロピル2重量部、ワックス成分としてポリプロピレンワックス2重量部、帯電制御材(日本カーリット社、LR−147)1重量部を用意した。また、バインダー樹脂として分子量65000のポリスチレン(三洋化成製SB150)を、消色剤樹脂として3種のスチレン系オリゴマー(三井化学製FTR0140、FTR2140、またはFMR0150)を、樹脂の総量が91.44重量部になるように秤量した。バインダー樹脂と消色剤樹脂の配合比率は80:20に固定した。これらの原料を、密閉式ニーダーを用いて十分に混練して分散させた後、混練物を粉砕・分級して平均粒径約10μmの粉体を得た。得られた粉体に対して疎水性シリカを1wt%外添して青色の電子写真用トナーを調製した。
【0036】
また、比較のために、バインダー樹脂としてSB150を単独で用いてトナーを調製した。
【0037】
実施例1と同様にして、発色・消色コントラストを評価した。図4に、120℃、130℃、140℃の設定温度で消色した各トナーの発色・消色コントラスト値を示す。SB150を単独で含むトナーと比較して、SB150とFTR2140を80:20で含むトナーは全温度範囲で発色・消色コントラストが高い。これに対して、SB150とFTR0140を80:20で含むトナーは、低温側では発色・消色コントラストが高いが、140℃では有意差がみられない。このことから、FTR0140の添加効果は、FTR2140よりも劣ることがわかる。また、SB150とFMR0150を80:20で含むトナーでは、有意な改善が認められなかった。したがって、上記の3種の消色剤樹脂のうちではFTR2140が最も良好な特性を示すことが判る。この結果は、上述した消色剤樹脂の選定指針を支持している。
【0038】
実施例3
呈色性化合物として3−(4−ジメチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド3.56重量部、顕色剤として没食子酸n−プロピル2重量部、ワックス成分としてポリプロピレンワックス2重量部、帯電制御材(日本カーリット社、LR−147)1重量部、ポリマーアロイ樹脂としてスチレン−ブタジエンゴム樹脂(GOOD YEAR CHEMICAL製、Pliotone樹脂:PTR−7716)を91.44重量部配合した。これらの原料を、密閉式ニーダーを用いて十分に混練して分散させた後、混練物を粉砕・分級して平均粒径約10μmの粉体を得た。得られた粉体に対して疎水性シリカを1wt%外添して青色の電子写真用トナーを調製した。
【0039】
また、比較のために、バインダー樹脂としてSB150を単独で用いてトナーを調製した。
【0040】
実施例1と同様にして、発色・消色コントラストを評価した。図5に、120℃、130℃、140℃の設定温度で消色した各トナーの発色・消色コントラスト値を示す。スチレン−ブタジエンゴム樹脂(PTR−7716)を含むトナーは、SB150を単独で含むトナーと比較して、130℃以上の温度範囲で発色・消色コントラストが大幅に改善されていることがわかる。
【0041】
【発明の効果】
以上記述したように本発明に係る消色可能な画像形成材料は、紙のリユースに重要な画像の消色特性を改善できるため、その工業的価値は大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る消色可能トナーを模式的に示す図。
【図2】実施例1におけるトナーを130℃、2時間で熱消色した結果を示す図。
【図3】実施例1におけるトナーを120℃、130℃、140℃の設定温度で消色した場合の発色・消色コントラスト値を示す図。
【図4】実施例2におけるトナーを120℃、130℃、140℃の設定温度で消色した場合の発色・消色コントラスト値を示す図。
【図5】実施例3におけるトナーを120℃、130℃、140℃の設定温度で消色した場合の発色・消色コントラスト値を示す図。
【符号の説明】
1…バインダー樹脂
2…発色材料
3…消色剤樹脂
4…離型剤
5…帯電制御剤(CCA)

Claims (2)

  1. 呈色性化合物と、顕色剤と、バインダー樹脂と、前記バインダー樹脂中に相分離状態で共存するスチレン/α−メチルスチレンオリゴマーとを含有することを特徴とする消色可能な画像形成材料。
  2. 前記バインダー樹脂は、ポリスチレン単独重合体であることを特徴とする請求項1に記載の消色可能な画像形成材料。
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