JP4437458B2 - イオン導電性ゴム組成物およびそれを用いたイオン導電性ゴムロール - Google Patents
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Description
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個と、アルキレン結合を介してケイ素原子に結合したポリエーテル基とを有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:
本成分に含まれるケイ素原子に結合した水素原子のモル数が、(A)成分中のアルケニル基1モル当たり0.1〜10モルとなる量、
(C)ヒドロシリル化反応用触媒: 有効量、
(D)イオン導電性化合物: (A)成分と(B)成分との合計量に対して0.1〜30質量%、および、
(E)フェノール系酸化防止剤: (A)成分と(B)成分との合計量に対して0.1〜15質量%、
を含有してなるイオン導電性ゴム組成物を提供する。
また、芯金と、該芯金の周囲に被覆された上記イオン導電性ゴム組成物の硬化物からなるイオン導電性ゴム層とを有するイオン導電性ゴムロールが得られる。
−O(R2O)xR1 (1)
[式中、R1は水素原子またはアルキル基であり、R2は、同一または異なり、アルキレン基であり、xは2以上の整数である]
で表される1価の基もしくは構造、または、下記構造式(2):
−O(R2O)x− (2)
[式中、R2およびxは、上記の定義と同じである]
で表される2価の基もしくは構造を意味する。また、「室温」とは25℃を意味する。
(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上、より好ましくは4〜10個有し、本発明の組成物の主剤(ベースポリマー)または架橋剤となる成分である。なお、前記アルケニル基の個数は、複数あるアルケニル基含有オルガノポリシロキサンにおける平均の個数である。前記ケイ素原子に結合したアルケニル基が1分子中に2個未満の場合、硬化物がゲル状となり、ゴムとしての機能が得られない。
(B)成分のケイ素原子に結合した水素原子(即ち、Si−H基で表されるヒドロシリル基)を1分子中に少なくとも2個と、アルキレン結合を介してケイ素原子に結合したポリエーテル基とを有し、好ましくは、(A)成分と相溶性であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、主剤(ベースポリマー)または架橋剤として作用するとともに、本発明の組成物から得られる硬化物にポリエーテル構造を導入する成分である。
(上記式中、n、mおよびpは各々2以上、好ましくは2〜500の整数である)
上記(b1)成分は、上記付加反応生成物の1分子中にケイ素原子に結合した水素原子が少なくとも2個残存するとの条件を満足すれば、1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
本発明に用いられる(C)成分は、(A)成分中のアルケニル基と、(B)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)との付加反応を促進するものであればいかなる触媒を使用してもよい。例えば、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィン類、ビニルシロキサンまたはアセチレン化合物との配位化合物、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム等が使用されるが、好ましくは、ビニルシロキサン配位化合物等の白金系化合物である。上記ヒドロシリル化反応用触媒は、1種単独でも2種以上組み合わせても使用することができる。
本発明に使用される(D)成分は、得られる硬化物にイオン導電性を付与するためのものであり、(D−1)アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩、または、(D−2)イオン性液体である。ここで、イオン性液体とは、室温で液体である溶融塩であり、常温溶融塩とも呼ばれるものであり、特に、融点が50℃以下、好ましくは-100〜30℃、より好ましくは-50〜20℃のものをいう。このようなイオン性液体は、蒸気圧がない(不揮発性)、高耐熱性、不燃性、化学的安定である等の特性を有するものである。
(E)成分はフェノール系酸化防止剤であり、その具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス(3−メチル−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トコフェロール等が挙げられる。上記フェノール系酸化防止剤は、1種単独でも2種以上組み合わせても用いることもできる。
本発明の組成物には、上記(A)〜(E)成分以外にも、必要に応じて、任意の成分として、反応制御剤、無機充填剤、耐熱性付与剤、難燃性付与剤、チクソ性付与剤、顔料、染料、シリコーンゴムパウダー、シリコーンレジンパウダー等を配合してもよい。
上記反応制御剤は、付加反応触媒に対して硬化抑制効果を持つ化合物であり、公知の反応制御剤を使用することができる。該反応制御剤の具体例としては、トリフェニルホスファイト、トリフェニルホスフィン等のリン含有化合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール等の窒素含有化合物;チウラムモノスルフィド、テトラメチレンスルホキシド等の硫黄含有化合物;3−メチル−1−ブチン−3−オール、1−エチニルシクロヘキサノール等のアセチレン系化合物;メチルビニルシクロテトラシロキサン、トリアリルイソシアヌレート等のアルケニル基を2個以上含む化合物;メチルエチルケトンハイドロパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド等のハイドロパーオキシ化合物;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジアリル等のマレイン酸誘導体等が挙げられる。
上記無機充填剤は、得られる組成物の補強性を高めるための成分であり、従来、シリコーンゴム組成物に通常使用されるものを用いることができる。具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、結晶性シリカ、沈降性シリカ、中空フィラー、シルセスキオキサン、ヒュームド二酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、層状マイカ、ケイ藻土、ガラス繊維等、または、これらの充填剤をオルガノアルコキシシラン化合物、オルガノクロロシラン化合物、オルガノシラザン化合物、低分子量シロキサン化合物等の有機ケイ素化合物により表面を疎水化処理したものが挙げられる。ヒュームドシリカや沈降性シリカは、補強性の点からBET比表面積が50〜500m2/gであることが好ましく、特に100〜400m2/gであることがより好ましい。
上記耐熱性付与剤としては、酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化鉄(ベンガラ)、酸化チタン等を使用することができる。
上述した本発明の組成物は、電子写真式画像形成装置等におけるロール用の材料等として使用されるものである。具体的には、例えば、電子写真式プリンター、複写機、ファクシミリ等における感光体の周りの帯電ロール、現像ロール、トナー供給ロール、転写ロールが挙げられる。該ロールとしては、例えば、芯金と、該芯金の周囲に被覆された上記ゴム組成物の硬化物からなるイオン導電性ゴム層とを有するイオン導電性ゴムロールが挙げられる。このようなイオン導電性ゴムロールの製造方法は公知であり、例えば、以下の工程により製造される。なお、ここでは好ましい形態の液状付加硬化型ゴム組成物を例に説明する。
<合成例1>
攪拌棒、滴下ロート、温度計および冷却管が設けられたフラスコに、(b1)下記構造式:
で表される両末端アリル基封鎖ポリオキシプロピレン100g、(b2)1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン27gおよびトルエン80gを仕込んだ。フラスコを65〜70℃に加熱し、塩化白金酸−ビニルシロキサン錯体(白金金属含有量:0.5質量%)0.1gを前記トルエン溶液に添加した。70℃で3時間反応させた後、80℃、2kPaの条件にてトルエンおよび過剰の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを留去し、粘度が3.9Pa・s、水素原子含有量が0.13質量%の下記構造式:
で表される片末端アリル基封鎖ポリオキシエチレン100gを用い、(b2)1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンの量を27gから80gに変更した以外は、合成例1と同様にして、粘度が0.35Pa・s、水素原子含有量が0.44質量%の下記構造式:
(A)1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン11質量部、(B)化合物G−1:100質量部((A)成分中のビニル基1モルに対するB)成分中のSi−H基のモル数は約1.0モルである)、(C)塩化白金酸−ビニルシロキサン錯体(白金金属含有量:0.5質量%)2質量部、1−エチニルシクロヘキサノール0.3質量部、(D)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム2質量部(即ち、(A)+(B)成分に対して1.8質量%)、および、(E)ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]5質量部(即ち、(A)+(B)成分に対して4.5質量%)を均一になるように混合して、組成物1を調製した。得られた組成物1を120℃で、10分間加熱して硬化することにより、硬度40の硬化物1を得た。なお、硬度は厚さ6mmのシート状硬化物を試験片として2枚重ね、アスカーC型硬度計を使用して測定した(以下、同じである)。
(D)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム2質量部の代わりにエトキシエチルメチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド10質量部(即ち、(A)+(B)成分に対して9.0質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、組成物2を調製した。得られた組成物2を120℃で、10分間加熱して硬化することにより、硬度40の硬化物2を得た。
(A)CH2=CH(CH3)2SiO1/2単位:6.7モル%と、(CH3)2SiO単位:63.3モル%と、(C6H5)2SiO単位:30モル%とからなり、粘度が0.7Pa・sであるオルガノポリシロキサン100質量部、(B)化合物G−1:43質量部((A)成分中のビニル基1モルに対する(B)成分中のSi−H基のモル数は約1.0モルである)、1−エチニルシクロヘキサノール0.25質量部、(C)塩化白金酸−ビニルシロキサン錯体(白金金属含有量:0.5質量%)2質量部、(D)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム2質量部(即ち、(A)+(B)成分に対して1.4質量%)、および、(E)オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート1質量部(即ち、(A)+(B)成分に対して0.7質量%)を均一になるように混合することにより、組成物3を調製した。得られた組成物3を120℃で、10分間加熱して硬化させることにより、硬度17の硬化物3を得た。
(A)1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン 24.4質量部、(B)化合物G−1:50質量部、(B)化合物G−2:50質量部((A)成分中のビニル基1モルに対する(B)成分である化合物G−1および化合物G−2中の合計Si−H基のモル数は約1モルである)、(C)塩化白金酸−ビニルシロキサン錯体(白金金属含有量:0.5質量%)2質量部、(D)メチルトリn−オクチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド5質量部(即ち、(A)+(B)成分に対して4.0質量%)、および、(E)トコフェロール1質量部(即ち、(A)+(B)成分に対して0.8質量%)を均一になるように混合することにより、組成物4を調製した。得られた組成物4を120℃で、10分間加熱して硬化させることにより、硬度80の硬化物4を得た。
(A)上記合成例1に記載の両末端アリル基封鎖ポリオキシプロピレン(平均重合度:90)100質量部、(B)化合物G−1:30質量部((A)成分中のビニル基1モルに対する(B)成分中のSi−H基のモル数は約1モルである)、1−エチニルシクロヘキサノール0.25質量部、(C)塩化白金酸−ビニルシロキサン錯体(白金金属含有量:0.5質量%)2質量部を均一になるように混合することにより、組成物C1を調製した。得られた組成物C1を120℃で、10分間加熱して硬化させることにより、硬度12の硬化物C1を得た。この硬化物は、その表面に強い粘着性が認められた。
(E)ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を使用しなかった以外は、実施例1と同様にして、組成物C2を調製した。得られた組成物C2を120℃で、10分間加熱して硬化させることにより、硬度40の硬化物C2を得た。
表面タック性およびオイルブリードの測定用試験片は、ゴム組成物1〜4、C1およびC2をそれぞれ金型の間に注入し、その金型を120℃に加熱し、次いで、その温度のまま10分間保持し、プレス硬化することにより、直径29mm、厚さ12.5mmのシート状硬化ゴム試験片1〜4、C1およびC2を作成した。抵抗値の測定用試験片は、厚さ6mmとした以外は同様にして作成した。これらの試験片を用いて、下記の測定基準に従って、表面タック性、オイルブリードの有無および抵抗値を測定した。その結果を表1に示す。
1.表面タック性
硬化ゴム試験片を25%圧縮した状態で、70℃で72時間放置した後に、その表面のタックの有無を指触により確認した。得られた結果を、以下のとおり、評価した。
B:タックが少々認められた。
C:タックが著しく認められた。
2.オイルブリード
硬化ゴム試験片を25%圧縮した状態で、70℃で72時間放置した後に、その表面のオイルブリードの有無を目視により確認した。得られた結果を、以下のとおり、評価した。
A:オイルブリードは認められなかった。
B:オイルブリードが少々認められた。
C:オイルブリードが著しく認められた。
3.抵抗値
図1に示すように、硬化ゴム試験片1を電極2と芯金3との間に挟み、電極2と芯金3との間の抵抗値を測定した。電極2は2本からなり、切り替えリレー5にて電極を変えることで、1試験片あたり2箇所の抵抗値を測定し、平均値を求めた。抵抗値の測定には、超抵抗計4((株)アドバンテストデジタル製、商品名:R8340)を用いて、電圧を1V、100Vとしたときの各抵抗値を測定し、電圧変化に対する抵抗値変化(電圧依存性)を測定した。
実施例1〜4の組成物は、本発明の要件を満たすものであり、表面タックおよびオイルブリードは認められず、電圧の変化に対する抵抗値の変化も小さいものであった。一方、比較例1の組成物は、(D)成分のイオン導電性化合物および(E)成分のフェノール系酸化防止剤を配合しなかったものであり、初期状態で表面タックが認められ、70℃で72時間放置した後の硬化物に、表面タックおよびオイルブリードが認められた。さらに、電圧変化に対する抵抗値変化も大きいものであった。比較例2の組成物は、(E)成分のフェノール系酸化防止剤を配合しなかったものであり、70℃で72時間放置した後の硬化物に、表面タックおよびオイルブリードが認められた。
2.電極
3.芯金
4.測定装置
5.切り替えリレー
Claims (4)
- (A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に少なくとも2個と、アルキレン結合を介してケイ素原子に結合したポリエーテル基とを有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:
本成分に含まれるケイ素原子に結合した水素原子のモル数が、(A)成分中のアルケニル基1モル当たり0.1〜10モルとなる量、
(C)ヒドロシリル化反応用触媒: 有効量、
(D)イオン導電性化合物: (A)成分と(B)成分との合計量に対して0.1〜30質量%、および、
(E)フェノール系酸化防止剤: (A)成分と(B)成分との合計量に対して0.1〜15質量%、
を含有してなるイオン導電性ゴム組成物。 - 前記(D)成分のイオン導電性化合物が、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩である請求項1に記載のイオン導電性ゴム組成物。
- 前記(D)成分のイオン導電性化合物が、イオン性液体である請求項1に記載のイオン導電性ゴム組成物。
- 芯金と、該芯金の周囲に被覆された請求項1〜3のいずれか一項に記載のイオン導電性ゴム組成物の硬化物からなるイオン導電性ゴム層とを有するイオン導電性ゴムロール。
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