JP6891861B2 - 付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物及び電子写真式画像形成部材 - Google Patents

付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物及び電子写真式画像形成部材 Download PDF

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本発明は、付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物及び電子写真方式を利用した画像形成装置に使用される電子写真式画像形成部材、特には現像ロール又は現像ベルト(事務機用ロール又は事務機用ベルト)に関する。
従来、電気絶縁性を示すゴム状物質に導電性材料を配合した導電性ゴムが種々知られており、例えば、導電性材料としてカーボンブラック等を配合した導電性ゴムが広い分野で応用されている。一方、電気絶縁性ゴム状物質の一つであるシリコーンゴムは、耐熱性、耐寒性、耐候性に優れ、電気絶縁性ゴムとして多く利用されているが、他のゴム状物質と同様に導電性材料を添加することで、導電性ゴムとしても実用化されている。
この場合、導電性シリコーンゴムに添加する導電性材料としては、例えば、カーボンブラックやグラファイト、銀,ニッケル,銅等の各種金属粉、各種非導電性粉体や短繊維表面を銀等の金属で処理したもの、炭素繊維,金属繊維などを混合したものが、ゴムが持つ特異な特性を損なうことなく、その導電性材料の種類及び充填量によりシリコーンゴムの体積抵抗率を低下させ得ることから頻繁に使用されている。
特に、液状付加硬化タイプのシリコーンゴムは、カーボンブラックなどの導電性付与材を配合しても低粘度で成形性に優れることや、短時間での硬化が可能であることからロール材として広く使用されている。
しかしながら、液状シリコーンゴムにケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンブラックを配合しただけではシリコーンゴムの強度が不十分で、ロールとして電子写真装置に組み込んだ時に、長期間使用しているとゴム破壊が生じてしまう。これを改良するためにカーボンブラックを増量したり、ヒュームドシリカを多量に加えたりすると硬化物の機械的強度が悪化してしまう。
上記要求に対して、特定の物性を有する無機充填剤を添加することで、圧縮永久歪の改良を図ったシリコーンゴム組成物及び現像ローラが提案されている(特開2008−074912号公報:特許文献1)。また、低分子シロキサンの含有量を規定することで、圧縮永久歪の改良を図った現像ローラ用シリコーンゴム組成物が提案されている(特開2008−074913号公報:特許文献2)。また、ビニル基を2個以上有し、構成単位が4官能性又は3官能性の少なくとも一方を含むレジンセグメントと2官能性のオイルセグメントとを含有する、レジン状オルガノポリシロキサンを少なくとも有するポリシロキサン混合物の硬化物を有する弾性体が提案されている(特開平05−214250号公報:特許文献3)。更に、SiO4/2単位及びR123SiO1/2単位の構成単位からなり、R1、R2、R3はメチル基又はビニル基であり、一分子中に珪素原子に結合したビニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサンを含有する混合物を硬化させてなる導電性シリコーンゴムである現像部材が提案されている(特開2013−045013号公報:特許文献4)。しかしながら、アルケニル基を2官能性のR12SiO2/2単位(D単位、式中、R1は炭素数2〜8のアルケニル基であり、R2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、及び炭素数7〜13のアラルキル基から選ばれる基である。)にのみ有するオルガノポリシロキサンについては全く触れられていない。
特開2008−074912号公報 特開2008−074913号公報 特開平05−214250号公報 特開2013−045013号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、損失正接が良好な硬化物を与える電子写真式画像形成部材用の付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物及び該組成物の硬化物を弾性層として有する電子写真式画像形成部材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、後述する(A)〜(E)成分を含む付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物において、特に(B)成分のアルケニル基が2官能性のシロキサン単位のみに結合し、該アルケニル基量が0.05〜0.15mol/100gである三次元網状オルガノポリシロキサンレジンを所定量配合したものを用いることにより、これを加熱硬化して得られる硬化物が、良好な損失正接を有し、現像ロール及び現像ベルト等の電子写真式画像形成部材に好適であることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物及び電子写真式画像形成部材を提供する。
1.(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個含有する液状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)アルケニル基が2官能性のR12SiO2/2単位(D単位、式中、R1は炭素数2〜8のアルケニル基であり、R2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、及び炭素数7〜13のアラルキル基から選ばれる基である。)のみに結合し、該アルケニル基量が0.05〜0.15mol/100gである三次元網状オルガノポリシロキサンレジン:1〜50質量部、
(C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(C)成分に含まれるケイ素原子と結合した水素原子の数が、前記(A)及び(B)成分に含まれるケイ素原子と結合したアルケニル基1個に対して0.5〜10個となる量、
(D)付加反応触媒としての白金族金属系触媒:前記(A)〜(C)成分の合計質量に対し白金族金属換算で0.5〜1,000ppmとなる量、
(E)カーボンブラック:1〜50質量部
を含むことを特徴とする付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物。
2.(B)成分中の3官能性のR3SiO3/2単位(T単位、式中、R3は独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、及び炭素数7〜13のアラルキル基から選ばれる基である。)及び/又は4官能性のSiO4/2単位(Q単位)の分岐鎖状シロキサン単位に対する単官能性のR3 3SiO1/2単位(M単位、式中、R3は上記と同じである。)の比[(M単位)/(T及び/又はQ単位)]が0.65〜1.40であることを特徴とする上記1記載の付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物。
3.上記1又は2に記載の付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物の硬化物からなる弾性層を有することを特徴とする電子写真式画像形成部材。
4.電子写真式画像形成部材が、現像ロール及び現像ベルトから選ばれる部材であることを特徴とする上記3記載の電子写真式画像形成部材。
本発明によれば、損失正接が良好な硬化物を与える電子写真式画像形成部材用の付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物及び該組成物の硬化物を弾性層として有する電子写真式画像形成部材が得られる。
以下、本発明に関して更に詳しく説明する。
<付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物>
本発明の付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物は、下記(A)〜(E)成分を含むことを特徴とする。
[(A)成分]
(A)成分は、1分子中にケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上含有する25℃で液状のオルガノポリシロキサンであり、本発明にかかる組成物のベースポリマー(主剤)である。
(A)成分の分子構造としては、例えば、直鎖状、環状、分岐鎖状等が挙げられるが、主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のジオルガノポリシロキサンが好ましい。なお、後述する(B)成分のような三次元網状(樹脂状)構造は含まない。また、(A)成分のオルガノポリシロキサンの分子構造が直鎖状又は分岐鎖状である場合、該オルガノポリシロキサンの分子中においてアルケニル基が結合するケイ素原子の位置は、分子鎖末端(即ち、トリオルガノシロキシ基)及び分子鎖途中(即ち、分子鎖非末端に位置する2官能性のジオルガノシロキサン単位又は3官能性のモノオルガノシルセスキオキサン単位)のどちらか一方でも両方でもよい。(A)成分として、特に好ましくは、少なくとも分子鎖両末端のケイ素原子に結合したアルケニル基を含有する直鎖状のジオルガノポリシロキサンである。
(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基としては、例えば、通常、炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜4のものが挙げられる。その具体例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等が挙げられ、特にビニル基であることが好ましい。
(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の含有量は、ケイ素原子に結合した1価の有機基(即ち、非置換もしくは置換の1価炭化水素基)全体に対して0.001〜10mol/100gであることが好ましく、特に0.01〜5mol/100gであることが好ましい。
(A)成分のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する1価の有機基としては、例えば、互いに同一又は異種の炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜10の1価炭化水素基が挙げられる。1価の有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基などが挙げられ、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えば、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などを用いてもよい。これらの中でも、特に、メチル基であることが好ましい。なお、(A)成分はエポキシ基を含有しない。
(A)成分の25℃における粘度は、好ましくは50〜500,000mPa・s、より好ましくは600〜200,000mPa・sである。粘度がこの範囲内にあると、得られる導電性シリコーンゴム組成物の取り扱い作業性が良好であり、また、得られる導電性シリコーンゴム組成物の硬化物の機械的特性が良好である。なお、本明細書において粘度とは、25℃においてJIS K 7117−1:1999に記載の方法で回転粘度計により測定した値を指す。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジビニルメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。中でも2種以上を併用することが、本発明の組成物を好ましい粘度範囲に調整することが容易になるので好ましい。
[(B)成分]
(B)成分は、アルケニル基が2官能性のR12SiO2/2単位(D単位、式中、R1は炭素数2〜8のアルケニル基であり、R2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、及び炭素数7〜13のアラルキル基から選ばれる基である。)のみ結合した三次元網状オルガノポリシロキサンレジンであって、そのアルケニル基量は、0.05〜0.15mol/100gであり、好ましくは0.08〜0.12mol/100gである。
アルケニル基量がこの範囲から外れると導電性シリコーンゴム組成物の硬化物の機械的特性が悪化することがある。
アルケニル基量の測定方法
ここで、三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンレジン中のケイ素原子に結合したアルケニル基量は、以下のようにして求めることができる。
即ち、三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンレジン50質量部をキシレン50質量部に溶解させた溶液を三角フラスコなどの容器に量り取り、四塩化炭素を30mL加える。その後、25mLのハヌス液(臭化ヨウ素1質量部と酢酸+60質量部の混合液)を加え、60分間攪拌する。その後、10質量%のヨウ化カリウム水溶液を20mL加え、5分間以上攪拌する。その後、0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム水溶液で、サンプル溶液の色が褐色から無色になるまで滴定を行う。また、オルガノポリシロキサンレジンを加えないこと以外は同一の工程でブランクの滴定を行い、下記の式よりアルケニル基量を測定することができる。
Figure 0006891861
前記D単位に加えて、(B)成分中の3官能性のR3SiO3/2単位(T単位、式中、R3は独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、及び炭素数7〜13のアラルキル基から選ばれる基である。)及び/又は4官能性のSiO4/2単位(Q単位)の分岐鎖状シロキサン単位に対する単官能性のR3 3SiO1/2単位(M単位、式中、R3は上記と同じである。)の比[(M単位)/(T及び/又はQ単位)]は0.65〜1.40である。
[(M単位)/(T及び/又はQ単位)]の比の測定方法
三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンレジンの3官能性のR3SiO3/2単位(T単位)と4官能性のSiO4/2単位(Q単位)から選ばれる少なくとも1種の分岐鎖状シロキサン単位と単官能性のR3 3SiO1/2単位(M単位)との比[(M単位)/(T及び/又はQ単位)]は、29Si−NMRから求めることができる。
29Si−NMRのサンプルの調製方法は特に制限されないが、例えば、オルガノポリシロキサンレジン1質量部を重クロロホルム3質量部に溶解させることで測定することができる。
ここで、[(M単位)/(T及び/又はQ単位)]の比は、0.65〜1.40であり、好ましくは0.7〜1.0である。[(M単位)/(T及び/又はQ単位)]の比が0.65よりも小さいと導電性シリコーンゴム組成物の粘度が高くなり、金型注型や塗布作業が困難になることがあり、1.40よりも大きいと十分な導電性シリコーンゴム組成物の硬化物の機械的強度の改善効果が得られないことがある。
三次元網状オルガノポリシロキサンレジンにおいて、R1は炭素数2〜8のアルケニル基であり、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等などが挙げられ、特に、ビニル基であることが好ましい。
2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、及び炭素数7〜13のアラルキル基から選ばれる基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基、ビニル基であることが好ましい。
3は独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、及び炭素数7〜13のアラルキル基から選ばれる基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、特に、メチル基であることが好ましい。
(B)成分の三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンレジンの重量平均分子量としては、2,000〜12,000が好ましく、4,000〜8,000がより好ましい。重量平均分子量の測定方法としては、例えば、下記に示すような条件で測定したTHFを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の重量平均分子量として求めることができる。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:0.6mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:TSK Guardcolumn SuperH−L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料作製条件:オルガノポリシロキサンレジンの50%キシレン溶液1質量部をTHF1,000質量部に溶解し、メンブレンフィルターでろ過
試料注入量:10μL
(B)成分の配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜100質量部であり、より好ましくは5〜50質量部である。
配合量が少なすぎると十分な物性の向上が得られないことがあり、配合量が多すぎるとシリコーンゴムの機械的特性が悪化し、また組成物の粘度が高くなり、ロールを作製する際の成形性、コーティング性などの作業性が悪化することがある。
(B)成分の三次元網状オルガノポリシロキサンレジンは、上記の条件を満たしたものであれば、1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
[(C)成分]
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(A)及び(B)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化付加反応し、架橋剤(硬化剤)として作用するものであり、その分子構造に特に制限はなく、従来製造されている、例えば直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状(樹脂状)構造等各種のものが使用可能であるが、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合した水素原子(SiHで表されるヒドロシリル基)を有する必要があり、また実質的に分子中にケイ素原子に結合した水酸基(即ち、シラノール基)を含有しないものである。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(1)で示されるものを用いることができる。
4 abSiO(4-a-b)/2 (1)
上記式(1)中、R4は互いに同一又は異種の、アルケニル基等の脂肪族不飽和結合を除く、好ましくは炭素数1〜10の、ケイ素原子に結合した1価炭化水素基であり、このR4における1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基などが挙げられ、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等を用いてもよい。R4の1価炭化水素基として、好ましくはアルキル基、アリール基であり、より好ましくはメチル基である。また、aは0.7〜2.1、bは0.001〜1.0で、かつa+bが0.8〜3.0を満足する正数であり、好ましくは、aは1.0〜2.0、bは0.01〜1.0、a+bが1.5〜2.5を満足する正数である。
1分子中に少なくとも2個含有するSiH基は、分子鎖末端、分子鎖途中のいずれに位置していてもよく、またこの両方に位置するものであってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐鎖状、三次元網状構造のいずれであってもよいが、1分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は、通常2〜300個、好ましくは3〜150個、より好ましくは4〜100個程度のものが望ましく、25℃における粘度が、通常0.1〜1,000mPa・s、好ましくは0.5〜500mPa・s程度の、25℃で液状のものが使用される。なお、重合度は、例えば、トルエンを展開溶媒としてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(数平均分子量)又は重量平均重合度(重量平均分子量)等として求めることができる。
このような(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)メチルシラン、トリス(ハイドロジェンジメチルシロキシ)フェニルシラン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサンや、これらの各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基で置換されたもの、式:R5 3SiO1/2で示されるシロキサン単位と式:R5 2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R5 2HSiO1/2で示されるシロキサン単位と式:SiO4/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、式:R5HSiO2/2で示されるシロキサン単位と式:R5SiO3/2で示されるシロキサン単位もしくは式:HSiO3/2で示されるシロキサン単位からなるオルガノシロキサン共重合体、及びこれらのオルガノポリシロキサンの2種以上からなる混合物が挙げられる。なお、前記R5は炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜12のアリール基から選ばれる基であり、特にメチル基であることが好ましい。
(C)成分の配合量は、(A)及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1個(又はモル)に対して(C)成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5〜10個(又はモル)であり、好ましくは0.6〜5個(又はモル)、さらに好ましくは0.7〜2.0個(又はモル)となる量である。
(A)及び(B)成分中のケイ素原子結合アルケニル基1個に対して(C)成分中のケイ素原子結合水素原子が0.5個未満であると、導電性シリコーンゴム組成物は十分に硬化せず、目的の強度が得られないことがある。またこれが10個を超えると、導電性シリコーンゴム組成物の硬化物の耐熱性が極端に悪化することがある。
[(D)成分]
(D)成分の付加反応触媒としての白金族金属系触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、塩化白金酸とビニル基含有(ポリ)シロキサンとの錯体等の白金族金属系触媒が挙げられる。
(D)成分の配合量は、通常、白金族金属(質量換算)として、(A)〜(C)成分の合計質量に対して、0.5〜1,000ppmであり、特に1〜500ppm程度である。添加量が少なすぎると硬化性の低下を起こし、添加量が多すぎるとコストが高くなり、不経済となる。
[(E)成分]
(E)成分のカーボンブラックは、特定領域の導電性(あるいは体積抵抗率)を得るために必要なもので、公知の製法、種類の黒色カーボンブラックを使用することができる。ここで、「特定領域の導電性」とは、具体的には、得られた導電性シリコーンゴム組成物の硬化物の体積抵抗率が、通常0.1〜10,000,000Ω・m、好ましくは1〜10,000,000Ω・m、より好ましくは10〜1,000,000Ω・mであるように設計される。カーボンブラックは、その製造方法により導電性が異なるが、本発明においては、配合、混練した際に所望の導電性を得るものであればいずれのものでも使用し得る。
カーボンブラックとしては、特に限定されるものでないが、例えば、アセチレンブラック、コンダクティブファーネスブラック(CF)、スーパーコンダクティブファーネスブラック(SCF)、エクストラコンダクティブファーネスブラック(XCF)、コンダクティブチャンネルブラック(CC)、1,500〜3,000℃程度の高温で熱処理されたファーネスブラックやチャンネルブラック、カーボンナノ粒子、カーボンナノファイバー等を挙げることができ、これらのうち、1種を単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
具体的に、アセチレンブラックとしては、デンカブラック(デンカ社製)、シャウニガンアセチレンブラック(シャウニガンケミカル社製)等が、コンダクティブファーネスブラックとしては、コンチネックスCF(コンチネンタルカーボン社製)、バルカンC(キャボット社製)等が、スーパーコンダクティブファーネスブラックとしては、コンチネックスSCF(コンチネンタルカーボン社製)、バルカンSC(キャボット社製)等が、エクストラコンダクティブファーネスブラックとしては、旭HS−500(旭カーボン社製)、バルカンXC−72(キャボット社製)等が、コンダクティブチャンネルブラックとしては、コウラックスL(デグッサ社製)等が例示され、また、ファーネスブラックの一種であるケッチェンブラックEC−350及びケッチェンブラックEC−600JD(ケッチェンブラックインターナショナル社製)や、オイル燃焼反応停止工程に水による急冷工程を含まないオイル燃焼法で製造されるENSACO260G、ENSACO250Gや電池用グレードのSUPER P Li(IMERYS社製)を用いることもできる。
ファーネス法で製造されるカーボンブラックは、不純物、特に硫黄や硫黄化合物の量が硫黄元素の濃度で6,000ppm以下、より好ましくは3,000ppm以下が望ましい。なお、アセチレンブラックや、カーボン結晶化度が高いオイルファーネス法カーボンは、不純物含有率が少ないため、本発明において特に好適に用いられる。
(E)カーボンブラックの配合量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して1〜50質量部であり、好ましくは1〜30質量部である。
カーボンブラックの配合量が多すぎると導電性シリコーンゴム組成物の硬化物の機械的特性が悪化することがあり、また導電性シリコーンゴム組成物の粘度が高くなり、ロールを作製する際の成形性、コーティング性などの作業性が悪化することがある。カーボンブラックの配合量が少なすぎると目的物の導電性が得られない場合がある。
このカーボンブラックの添加・混合方法は、(A)〜(D)成分と同時に添加・混合することも可能であるが、好ましくは、より粘度の高い状態で予め分散させた状態のものに、液状オイル((A)成分の液状オルガノポリシロキサン)を添加して成形し易いように粘度を調整する方法が好ましい。
具体的には、まず(E)成分のカーボンブラックの全量に、(A)成分の液状オルガノポリシロキサンの一部を添加、混合し、カーボンブラックを十分に分散させる。なお、この時、表面処理剤を加えたり、100〜180℃くらいの加熱をしながら混合してもよい。混合後、残りの(A)成分、及び(B)、(C)、(D)成分を加え、再度十分に攪拌することにより、所望の粘度を有する液状のシリコーンゴム組成物を得ることができる。
導電性シリコーンゴム組成物の硬化物(弾性層)に更に導電性を付与するために、必要に応じて他の導電剤を(E)のカーボンブラックと併せて使用することもできる。このような他の導電剤として、例えば、グラファイト、アルミニウム、銅、錫、ステンレス鋼のような各種導電性金属又は合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化チタン、酸化錫−酸化アンチモン固溶体などを各種導電化処理した金属酸化物が挙げられる。
[補強性シリカ微粉末]
本発明にかかるシリコーンゴム組成物への上述した(A)〜(E)成分以外の無機質充填剤の添加は任意であり、補強性シリカ微粉末を添加することが可能である。
補強性シリカ微粉末は、機械的強度の優れたシリコーンゴム組成物を得るために、その比表面積(BET吸着法)は10m2/g以上、特に50〜300m2/gであることが好ましい。補強性シリカ微粉末としては、煙霧質シリカ(乾式シリカ)、沈殿シリカ(湿式シリカ)が例示され、中でも煙霧質シリカ(乾式シリカ)が好ましい。
これらの使用可能な補強性シリカ微粉末を市販品で例示すると、エアロジル130,200,300(日本エアロジル社製商品名)、Cab−O−sil MS−5,MS−7,HS−5,HS−7(キャボット社製商品名)、SantocelFRC,CS(モンサント社製商品名)、ニップシルVN−3(日本シリカ工業社製商品名)などが挙げられる。また、これらの表面をオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等で疎水化処理してもよい。これらのシリカは単独でも2種以上併用してもよい。
上記補強性シリカ微粉末は、圧縮永久歪を悪化させ、体積抵抗率の経時上昇変化に大きな影響を与えるため、導電性シリコーンゴム組成物への添加量は少ない方が望ましい。
体積抵抗率や圧縮永久歪に影響なく、上記補強性シリカ微粉末を配合するには、導電性シリコーンゴム組成物中のオルガノポリシロキサンとオルガノポリシロキサンレジンの合計((A)+(B)成分)100質量部に対して0〜5質量部、特に0〜3質量部の配合量とすることが好ましい。なお、配合量の下限値は、0.1質量部以上とすることができる。
[その他の無機質充填剤など]
また、前記補強性シリカ微粉末以外の無機質充填剤としては、珪藻土、パーライト、マイカ、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、中空フィラーなどが挙げられる。
これら無機質充填剤は、シラン系カップリング剤又はその部分加水分解物、アルキルアルコキシシラン又はその部分加水分解物、有機シラザン類、チタネート系カップリング剤、オルガノポリシロキサンオイル、加水分解性官能基含有オルガノポリシロキサン等により表面処理されたものであってもよい。これらの処理は、無機質充填剤自体を予め処理しても、あるいはオイルとの混合時に処理を行ってもよい。
配合量は、シリコーンゴム組成物中のオルガノポリシロキサンとオルガノポリシロキサンレジンの合計((A)+(B)成分)100質量部に対して0〜30質量部程度とすることが好ましい。
更に、熱伝導性の付与を目的として、熱伝導性フィラー粉末(例えば、金属珪素粉末、アルミナ、アルミニウム、炭化珪素、窒化珪素、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、グラファイト、繊維状グラファイト等)を配合することは任意である。
また、必要に応じて、窒素含有化合物やアセチレン化合物、リン化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート、錫化合物、水銀化合物、硫黄化合物等のヒドロシリル化反応制御剤、各種添加剤、難燃剤、耐熱剤等を配合することも任意である。
[導電性シリコーンゴム組成物の調製及びその成形]
本発明の導電性シリコーンゴム組成物は、ニーダー、プラネタリーミキサー等の通常の混合攪拌器、混練器等を用いて、上記(A)〜(E)成分の他、必要に応じてその他の成分(補強性シリカ微粉末及びその他の無機質充填剤)を均一に混合することにより調製することができる。
導電性シリコーンゴム組成物の成形方法は、注型成形、射出成形、コーティングなどの方法があり、硬化条件としては100〜300℃の温度で10秒〜1時間の範囲のプレスキュアーが好適に採用される。また、圧縮永久歪を低下させる原因となる低分子シロキサン成分を低減させる等の目的で、成形後、更に120〜250℃のオーブン内で30分〜70時間程度のポストキュアー(2次キュアー)を行ってもよい。
こうして得られる導電性シリコーンゴム組成物の硬化物からなる弾性層(シリコーンゴムシート)の厚さは、通常0.1mm〜20mm、好ましくは1mm〜2mmである。
このようなシリコーンゴムシートは、例えば、ユービーエム社製動的粘弾性特定装置Rheogel−E4000HPを用いて、その損失正接(tanδ)を測定することによって、評価することができる。
一般に、損失正接(tanδ)は、材料の力学物性に対する粘性の寄与を弾性の寄与で割ったもので、0に近いほど弾性体に近く、大きいほど粘性体に近いことを示すが、上記シリコーンゴムシートの損失正接(tanδ)は、通常0.01〜0.25、好ましくは0.01〜0.18、より好ましくは0.01〜0.15であるように設計される。これは、損失正接(tanδ)が大きいとき、ゴムの復元力が小さくなるので、電子写真式画像形成部材として用いたとき、画質が悪化することがあるためである。
本発明により得られる導電性シリコーンゴム組成物の硬化物は、特に電子写真式画像形成部材(特に現像ロール、現像ベルトなど)として有用である。
例えば、芯金の外周面に上記導電性シリコーンゴム組成物の硬化物であるシリコーンゴム層を被覆した単層のロールや、耐熱性樹脂又は金属からなる基材の表裏面上に上記導電性シリコーンゴム組成物の硬化物であるシリコーンゴム層を被覆した単層のベルトとして使用してもよいし、あるいはポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素系樹脂などの樹脂を更にシリコーンゴム層の上に被覆したロールやベルトとして使用してもよい。その場合のシリコーンゴム層は表面(外周面)に1層のみの被覆でもよいし、2層以上の複層コーティングであってもよい。中でもロールやベルトの最表面にウレタン樹脂やフッ素系樹脂などを被覆したものが、耐摩耗性などの耐久性の点から好ましい。
ここで、芯金又は基材の材質としては、鉄、ステンレススチール、アルミニウム、ポリアミド/ポリイミド樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)から選ばれるものであることが好ましい。
また、フッ素系樹脂としては、フッ素系樹脂コーティング材やフッ素系樹脂チューブなどを用いることができ、フッ素系樹脂コーティング材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)のラテックスや、ダイエルラテックス(ダイキン工業社製、フッ素系ラテックス)等が挙げられ、またフッ素系樹脂チューブとしては、市販品を使用し得、例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体樹脂(PFA)、フッ化エチレン−ポリプロピレン共重合体樹脂(FEP)、ポリフッ化ビニリデン樹脂(PVDF)、ポリフッ化ビニル樹脂などが挙げられるが、これらのうちで特にPFA、PTFEラテックスが好ましい。
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、以下に記載の粘度とはJIS K 7117−1:1999に記載の回転粘度計によって測定された25℃における数値である。
〔実施例1〕
分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、アルケニル基量が0.015mol/100g、粘度が600mPa・sのジメチルポリシロキサン(A1)30質量部、アセチレンブラック(デンカブラック、デンカ株式会社製)(E)6質量部をプラネタリーミキサーで30分混合した後、3本ロールに2回通した。これをプラネタリーミキサーに戻した後、更に分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、粘度が600mPa・sのジメチルポリシロキサン(A1)120質量部、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、アルケニル基量が0.0035mol/100g、粘度が30,000mPa・sのジメチルポリシロキサン(A2)30質量部、(CH33SiO1/2単位と(CH3)(CH2=CH)SiO2/2単位とSiO4/2単位からなり、M単位/Q単位の比が0.80であり、アルケニル基量が0.10mol/100g、重量平均分子量5,000である三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)20質量部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(C)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0058mol/g)5.3質量部、1−エチニルシクロヘキサノール0.1質量部、塩化白金酸/1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体を白金原子含有量として1質量%含有するジメチルポリシロキサン溶液(D)0.22質量部、無機質充填剤として珪藻土10質量部を室温にてプラネタリーミキサーで30分間混合して、組成物A((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比:SiH/SiVi=0.7)を調製した。次に、調製した組成物Aを120℃で10分プレスキュアーによって2mm厚のシリコーンゴムシートにした後、200℃で4時間の第2次熱処理を行い、このシートについてアスカーC硬さをJIS S 6050:2008規定に従って測定を行い、JIS K 6249:2003に従って切断時伸びを測定した結果を表1に示す。
次に、上記同様にシリコーンゴムシートを作製し、下記に従って動的粘弾性を測定した結果を表1に示す。
以下の条件で損失正接(tanδ)を測定した。
装置:ユービーエム社製動的粘弾性測定装置Rheogel−E4000HP
測定サンプル:シリコーンゴムシートから、幅5mm、厚み2mm、クランプ間距離20mmになるように試料片を切り出した。
測定モード:引張
測定温度:23℃
加振周波数:30Hz
測定歪み:0.1%
〔実施例2〕
実施例1において、3本ロールに2回通し、プラネタリーミキサーに戻した後に加える分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、粘度が600mPa・sのジメチルポリシロキサン(A1)120質量部を、分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、粘度が600mPa・sのジメチルポリシロキサン(A1)100質量部、及び分子鎖両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖され、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、アルケニル基量が0.010mol/100g、粘度が15,000mPa・sの側鎖にビニル基を有するジメチルポリシロキサン(A3)20質量部に置き換えたこと以外は全て同一の処方で組成物Bを調製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
〔実施例3〕
実施例1において、三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)を、(CH33SiO1/2単位と(CH3)(CH2=CH)SiO2/2単位とSiO3/2単位からなり、M単位/T単位の比が0.80であり、アルケニル基量が0.10mol/100gであり、水酸基量が0.10mol/100gである三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B2)に同質量部で置き換えたこと以外は全て同一の処方で組成物Cを調製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
〔実施例4〕
実施例1において、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(C)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0058mol/g)5.3質量部を4.6質量部に置き換えたこと以外は全て同一の処方で、組成物D((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比:SiH/SiVi=0.6)を調製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1において、三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)を、(CH33SiO1/2単位と(CH31(CH2=CH)SiO2/2単位とSiO4/2単位からなり、M単位/Q単位の比が0.80であり、アルケニル基量が0.20mol/100g、重量平均分子量5,000である三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B3)に同質量部置き換え、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(C)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0058mol/g)5.3質量部を5.2質量部に置き換えたこと以外は全て同一の処方で組成物E((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比:SiH/SiVi=0.5)を調製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
〔比較例2〕
実施例1において、三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)を、(CH33SiO1/2単位と(CH32(CH2=CH)SiO1/2単位とSiO4/2単位からなり、M単位/Q単位の比が0.80であり、アルケニル基量が0.09mol/100g、重量平均分子量5,000である三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B4)に同質量部置き換え、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(C)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0058mol/g)5.3質量部を5.8質量部に置き換えたこと以外は全て同一の処方で組成物F((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比:SiH/SiVi=0.8)を調製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
〔比較例3〕
実施例1において、三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B1)を、(CH33SiO1/2単位とSiO4/2単位からなり、M単位/Q単位の比が0.80であり、アルケニル基を含有しておらず、重量平均分子量5,000である三次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン(B5)に同質量部置き換え、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(C)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0058mol/g)5.3質量部を4.6質量部に置き換えたこと以外は全て同一の処方で組成物G((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比:SiH/SiVi=1.1)を調製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
〔比較例4〕
比較例2において、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され、側鎖にケイ素原子結合水素原子を有するジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体(C)(ケイ素原子結合水素原子含有量=0.0058mol/g)5.8質量部を5.1質量部に置き換えたこと以外は全て同一の処方で組成物H((A)成分及び(B)成分中のケイ素原子結合ビニル基に対する(C)成分中のSiH基のモル比:SiH/SiVi=0.7)を調製し、実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
Figure 0006891861

Claims (4)

  1. (A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を1分子中に少なくとも2個含有する液状のオルガノポリシロキサン:100質量部、
    (B)アルケニル基が2官能性のR12SiO2/2単位(D単位、式中、R1は炭素数2〜8のアルケニル基であり、R2は炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基、及び炭素数7〜13のアラルキル基から選ばれる基である。)のみに結合し、該アルケニル基量が0.05〜0.15mol/100gである三次元網状オルガノポリシロキサンレジン:1〜50質量部、
    (C)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合した水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(C)成分に含まれるケイ素原子と結合した水素原子の数が、前記(A)及び(B)成分に含まれるケイ素原子と結合したアルケニル基1個に対して0.5〜10個となる量、
    (D)付加反応触媒としての白金族金属系触媒:前記(A)〜(C)成分の合計質量に対し白金族金属換算で0.5〜1,000ppmとなる量、
    (E)カーボンブラック:1〜50質量部
    を含むことを特徴とする付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物。
  2. (B)成分中の3官能性のR3SiO3/2単位(T単位、式中、R3は独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、及び炭素数7〜13のアラルキル基から選ばれる基である。)及び/又は4官能性のSiO4/2単位(Q単位)の分岐鎖状シロキサン単位に対する単官能性のR3 3SiO1/2単位(M単位、式中、R3は上記と同じである。)の比[(M単位)/(T及び/又はQ単位)]が0.65〜1.40であることを特徴とする請求項1記載の付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の付加硬化型液状導電性シリコーンゴム組成物の硬化物からなる弾性層を有することを特徴とする電子写真式画像形成部材。
  4. 電子写真式画像形成部材が、現像ロール及び現像ベルトから選ばれる部材であることを特徴とする請求項3記載の電子写真式画像形成部材。
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