JP4433516B2 - ビニル基含有アルコキシアミンおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラジカル発生剤、ビニルモノマーの重合開始剤、エチレン系ポリマーの酸化防止剤またはエチレン系ポリマーを加熱して架橋させる際のスコーチ防止剤として有用な、分子内にビニル基を有する新規なアルコキシアミン、およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
分子内にビニル基を有するアルコキシアミンは既に知られており、例えば特公平5−6537及びAngew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, 1456-1459 (1995)にその技術の開示がある。
即ち、特公平5−6537号公報に記載のアルコキシアミンは、分子内に水酸基を持つ特殊なアゾ系化合物を用いてアルコキシアミンを得た後、水酸基を(メタ)アクリル酸クロライドと反応させてエステル化することにより得られるものである。
また、Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 34, 1456-1459 (1995)に記載のアルコキシアミンは、ニトロキシド化合物存在下、スチレン溶液中で過酸化ベンゾイルを熱分解する。得られる生成物を加水分解して分子内に水酸基をもつアルコキシアミンを合成した後、それをクロロメチルスチレンと反応させてビニル基をアルコキシアミンに導入することにより得られるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記、従来技術に開示されているビニル基含有アルコキシアミンは、水酸基などの官能基を有するアルコキシアミンを一旦合成した後、イオン反応により他のビニル化合物と結合させている。そのため、その結合部分がイオン反応に対して弱く、解離してビニル基を持たないアルコキシアミンに戻りやすい欠点があった。
また、前記、従来の方法では、いずれもビニル基含有アルコキシアミンを得るのに少なくとも2段階以上の反応を必要としている点で非常に煩雑であり、工業的に好ましくなかった。
本発明の目的は、イオン反応に対して安定な骨格であり、かつラジカル発生剤等として有用な新規なビニル基含有アルコキシアミン、およびその簡便な製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記従来法の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、工業的に入手可能でかつ安価な原料を用い、かつ1段の簡便な方法により、新規ビニル基含有アルコキシアミンを得ることができるとの知見を得て本発明を完成した。
即ち、本発明の第1の発明は下記一般式 (1)で表されるビニル基含有アルコキシアミンである。
【0005】
【化5】
……(1)
【0006】
(式中、R1はR 2 O基を表わし、R2は炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、メトキシブチル基、エトキシエチル基又は炭素数の合計が6〜10のシクロアルキル基を表わす。R3及びR4はそれぞれ炭素数4〜6の第3級アルキル基、又はR3とR4が連結した環式構造であり、環式構造の場合にはピペリジニル基、ピロリジニル基およびイソインドリル基から選ばれる窒素含有基であって、当該窒素含有基は窒素原子に隣接する2つの炭素原子にそれぞれ2つのメチル基を有するとともに、オキソ基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基もしくはアルコキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の炭素数の合計は、4つのメチル基および置換基の炭素を含めて8〜16である。)
【0007】
本発明の第2の発明は、ジビニルベンゼンとニトロキシド化合物とペルオキシジカーボネートとを、ペルオキシジカーボネートの熱分解温度まで加熱処理することを特徴とする下記一般式(1)で表されるビニル基含有アルコキシアミンの製造方法。
【0008】
【化6】
……(1)
【0009】
(式中、R1はR 2 O基を表わし、R2は炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、メトキシブチル基、エトキシエチル基又は炭素数の合計が6〜10のシクロアルキル基を表わす。R3及びR4はそれぞれ炭素数4〜6の第3級アルキル基、又はR3とR4が連結した環式構造であり、環式構造の場合にはオキソ基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基およびアルコキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい2´,2´,6´,6´−テトラメチルピペリジニル基、もしくは前記置換基を有していてもよい2´,2´,5´,5´−テトラメチルピロジニル基であるとともに、環式構造の炭素数の合計は、置換基の炭素を含めて8〜16である。)
【0011】
更に、本発明者らは、官能基の導入を可能にする目的、または開環重合の開始剤として利用する目的のため、上記の安定なビニル基含有アルコキシアミンの特定部位を水酸基に変換することが有用であるとの知見を得た。即ち、第3の発明は、下記一般式 (2)で表される、水酸基を有するビニル基含有アルコキシアミンである。
【0012】
【化7】
……(2)
【0013】
(式中、R3及びR4はそれぞれ炭素数4〜6の第3級アルキル基、又はR3とR4が連結した環式構造であり、環式構造の場合にはピペリジニル基、ピロリジニル基およびイソインドリル基から選ばれる窒素含有基であって、当該窒素含有基は窒素原子に隣接する2つの炭素原子にそれぞれ2つのメチル基を有するとともに、オキソ基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基もしくはアルコキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の炭素数の合計は、4つのメチル基および置換基の炭素を含めて8〜16である。)
【0014】
また、第4の発明は、前述の一般式(1)で表されるビニル基含有アルコキシアミンを加水分解することを特徴とする下記一般式(2)で表されるビニル基含有アルコキシアミンの製造方法である。
【0015】
【化8】
……(2)
【0016】
(式中、R3及びR4はそれぞれ炭素数4〜6の第3級アルキル基、又はR3とR4が連結した環式構造であり、環式構造の場合にはピペリジニル基、ピロリジニル基およびイソインドリル基から選ばれる窒素含有基であって、当該窒素含有基は窒素原子に隣接する2つの炭素原子にそれぞれ2つのメチル基を有するとともに、オキソ基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基もしくはアルコキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の炭素数の合計は、4つのメチル基および置換基の炭素を含めて8〜16である。)
【0017】
【発明実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明の請求項1から請求項2に係るビニル基含有アルコキシアミンは、一般式(1)で表される化合物である。一般式(1)において、R1はR 2 O基を表わし、R2は炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、メトキシブチル基、エトキシエチル基又は炭素数の合計が6〜10のシクロアルキル基を表わす。
R3及びR4はそれぞれ炭素数4〜6の第3級アルキル基、又はR3とR4が連結した環式構造であり、環式構造の場合にはピペリジニル基、ピロリジニル基およびイソインドリル基から選ばれる窒素含有基であって、当該窒素含有基は窒素原子に隣接する2つの炭素原子にそれぞれ2つのメチル基を有するとともに、オキソ基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基もしくはアルコキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の炭素数の合計は、4つのメチル基および置換基の炭素を含めて8〜16である。
【0018】
本発明の一般式(1)で表されるビニル基含有アルコキシアミンの具体的な化合物としては、2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(3'−ビニルフェニル)エタン、2−(n−プロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−(2'−エトキシエチルオキシカルボニルオキシ)−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−(3'−メトキシブチルオキシカルボニルオキシ)−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−(2'−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−(4'−t−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4'−ベンゾイルオキシ−2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4'−アセトキシ−2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4'−ヒドロキシ−2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2',2',5',5'−テトラメチル−1'−ピロリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタン、2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(ジ−t−ブチルニトロキシル)−1−(4'−ビニルフェニル)エタンなどが挙げられる。
【0019】
本発明の一般式(1)で表わされるビニル基含有アルコキシアミンは、ジビニルベンゼン、ニトロキシド化合物及びペルオキシジカーボネートからなる混合物を加熱処理してオキシラジカルを生成させ、これがジビニルベンゼンに付加して生成した炭素中心ラジカルを、ニトロキシド化合物に捕捉させることにより、製造することができる。
【0020】
前記、ニトロキシド化合物として、具体的には、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、1,1,3,3−テトラメチルイソインドリン−2−オキシル、ジ−t−ブチルニトロキシドなどが挙げられる。
【0021】
前記、ぺルオキシジカーボネートとしては、特に限定されるものではない。熱により分解しオキシラジカルを選択的に発生させるものが好ましい。また、アルコキシアミンの分解を避けるため、120℃以下で分解するペルオキシジカーボネートが好ましい。
【0022】
ペルオキシジカーボネートとして、具体的には、ジ−イソプロピルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルペルオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシルペルオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ビス−(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネートなどが挙げられる。また、これらのペルオキシジカーボネートの分解方法としては、熱又は光により分解する方法、また促進剤などを併用することによるレドックス的な分解方法などがあり、特に限定されるものではない。
【0023】
本発明において、一般式(1)で表わされるビニル基含有アルコキシアミンを得る際に用いるニトロキシド化合物とペルオキシジカーボネートの配合比は、ニトロキシド化合物/ペルオキシジカーボネート=0.3〜4.0(モル比)が好ましく、より好ましくは0.6〜2.0の範囲である。0.3未満では、ニトロキシド化合物による炭素中心ラジカルの補捉が十分ではなく、重合物が生成してしまうため好ましくはない。また、4.0を超える場合にはニトロキシド化合物に対する収率が低下し、経済的に不利になるため好ましくない。
【0024】
本発明の一般式(1)で表わされるビニル基含有アルコキシアミンを得る際に用いるジビニルベンゼンは、メタ体(1,3−ジビニルベンゼン)、パラ体(1,4−ジビニルベンゼン)、又はメタ体とパラ体の混合物のいずれでもよい。
またその使用量は、ジビニルベンゼン/ニトロキシド化合物=1〜100(モル比)が好ましく、より好ましくは3〜20の範囲である。1未満ではジビニルベンゼンの一方のビニル基だけにアルコキシアミンを導入することが難しくなり、2官能のアルコキシアミンが生成する傾向にある。一方、100を超える場合には未反応ジビニルベンゼンが多量に残存する傾向となる。
【0025】
本発明のビニル基含有アルコキシアミンを合成する際の反応温度は、好ましくは10〜120℃であり、更に好ましくは40〜100℃である。10℃未満ではペルオキシジカーボネートの分解速度が小さくなって不利であり、120℃を超える場合には生成したビニル基含有アルコキシアミンが分解を起したり重合を起こす傾向がある。
【0026】
本発明の請求項3および請求項4に係る、水酸基を有するビニル基含有アルコキシアミンは、一般式(2)で表される化合物である。一般式(2)において、R3及びR4はそれぞれ炭素数4〜6の第3級アルキル基、又はR3とR4が連結した環式構造であり、環式構造の場合にはピペリジニル基、ピロリジニル基およびイソインドリル基から選ばれる窒素含有基であって、当該窒素含有基は窒素原子に隣接する2つの炭素原子にそれぞれ2つのメチル基を有するとともに、オキソ基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基もしくはアルコキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の炭素数の合計は、4つのメチル基および置換基の炭素を含めて8〜16である。
【0027】
本発明に係る水酸基を有するビニル基含有アルコキシアミンの具体的な化合物としては、2−ヒドロキシ−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−ヒドロキシ−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタン、2−ヒドロキシ−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−ヒドロキシ−1−(4’−ベンゾイルオキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−ヒドロキシ−1−(2’,2’,5’,5’−テトラメチル−1’−ピロリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタン、2−ヒドロキシ−1−(ジ−t−ブチルニトロキシル)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンなどが挙げられる。
【0028】
本発明の一般式(2)で表される水酸基を有するビニル基含有アルコキシアミンは、前述の一般式(1)で表されるビニル基含有アルコキシルアミンのエステル結合(カルボニルジオキシ基)部位を加水分解することにより、製造することができる。
【0029】
前記エステル結合(カルボニルジオキシ基)の加水分解方法としては、特に限定されるものではないが、例えば水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリを添加して加熱するなどの通常の方法で行うことができる。
【0030】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<参考例1:2−(ベンゾイルオキシ)−1−(2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタンの合成>2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル1.56g (10mmol)を1,4−ジビニルベンゼン15.0gに溶解させた後、過酸化ベンゾイル1.86g(7.69mmol)を加え、窒素気流下、95℃で3.5時間加熱した。
次に、溶液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル上、溶出液としてジクロロメタン/n−ヘキサン混合溶液(1/1)を使用)により、目的物1.72gを収率42.3%で得た。
この物質を同定するため1H−核磁気共鳴( 1H−NMR)分析、マススペクトル(MS)分析及び元素分析を行い、結果を以下に示した。これらの分析結果から、得られた物質が下記式
【0031】
【化9】
【0032】
の構造の2−(ベンゾイルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンであることを確認した。
1H−NMR(ppm、重クロロホルム(CDCl3)/テトラメチルシラン(TMS)):
0.70〜1.52(18H)、4.54(1H)、4.84(1H)、5.01(1H)、5.25(1H)、5.76(1H)、6.74(1H)、7.25〜7.95(9H)
MS(FAB,m/e):408 [M+H]+
元素分析(C, H, Nとして):
【0033】
<実施例2:2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンの合成>
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル1.56g(10mmol)を1,4−ジビニルベンゼン15.0gに溶解させた後、0℃に冷却した。
次にジ−イソプロピルペルオキシジカーボネート2.08g(10mmol)を加え、窒素気流下、55℃で5時間加熱した。
そして溶液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル上、溶出液としてジクロロメタン/n−ヘキサン混合溶液(1/1)を使用)により、目的物2.96gを収率76.1%で得た。この物質を同定するため1H−NMR分析、13C−核磁気共鳴(13C−NMR)分析、MS分析、元素分析を行い、結果を以下に示した。これらの分析結果から、得られた物質が下記式
【0034】
【化10】
【0035】
の構造の2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンであることを確認した。
1H−NMR(ppm、CDCl3/TMS):
0.70〜1.50(24H)、4.31(1H)、4.64(1H)、4.76(1H)、4.92(1H)、5.22(1H)、5.74(1H)、6.70(1H)、7.25〜7.40(4H)
13C−NMR(ppm、CDCl3/TMS):
16.97、20.15、21.54、33.80、34.09、40.26、59.91、68.74、71.67、83.44、113.48、125.78、127.78、136.49、136.78、139.70、154.38
MS(FAB,m/e):390 [M+H]+
元素分析(C,H,Nとして):
【0036】
<実施例3:2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタンの合成>
1,4−ジビニルベンゼンの代わりに1,3−ジビニルベンゼンを用いた以外は実施例2に準じて反応を行い、目的物2.74gを収率70.5%で得た。
この物質を同定するため1H−NMR、13C−NMR分析、MS分析、元素分析を行い、結果を以下に示した。これらの分析結果から、得られた物質が下記式
【0037】
【化11】
【0038】
の構造の2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタンであることを確認した。
1H−NMR(ppm、CDCl3/TMS):
0.70〜1.50(24H)、4.31(1H)、4.65(1H)、4.76(1H)、4.93(1H)、5.24(1H)、5.75(1H)、6.72(1H)、7.20〜7.40(4H)
13C−NMR(ppm、CDCl3/TMS):
16.96、20.15、21.50、33.78、34.07、40.26、59.88、68.74、71.64、83.61、113.62、125.29、125.58、127.08、128.08、136.74、137.09、140.33、154.35
MS(FAB,m/e): 390 [M+H]+
元素分析(C,H,Nとして):
【0039】
<実施例4:2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンと2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタン混合物の合成>
1,4−ジビニルベンゼンの代わりに1,3−ジビニルベンゼンと1,4−ジビニルベンゼンの混合物(新日鐵化学社、製品名:DVB−960)を用いた以外は実施例2に準じて反応を行い、目的物2.77gを収率71.3%で得た。
この物質を同定するため1H−NMR分析、13C−NMR分析、液体クロマトグラフィ−マススペクトル(LC−MS)分析、元素分析を行った結果、2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンと2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタンの混合物であることを確認した。
【0040】
<実施例5:2−(n−プロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンの合成>
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル1.56g(10mmol)を1,4−ジビニルベンゼン15.0gに溶解させた後、0℃に冷却した。
次にジ−n−プロピルペルオキシジカーボネート2. 08g(10mmol)を加え、窒素気流下、55℃で5時間加熱した。
そして溶液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル上、溶出液としてジクロロメタン/n−ヘキサン混合溶液(1/1)を使用)により、目的物2.90gを収率74.4%で得た。この物質を同定するため1H−NMR分析、13C−NMR分析、MS分析、元素分析を行い、結果を以下に示した。これらの分析結果から、得られた物質が下記式
【0041】
【化12】
【0042】
の構造の2−(n−プロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンであることを確認した。
1H−NMR(ppm、CDCl3/TMS):
0.70〜1.50(23H)、3.95(2H)、4.31(1H)、4.65(1H)、4.93(1H)、5.22(1H)、5.73(1H)、6.72(1H)、7.22〜7.40(4H)
MS(FAB, m/e):390 [M+H]+
元素分析(C,H,Nとして):
【0043】
<実施例6:2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンの合成>
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル1.56g(10mmol)を1,4−ジビニルベンゼン15.0gに溶解させた後、0℃に冷却した。
次に、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート3.85g(10mmol)を加え、窒素気流下、55℃で5時間加熱した。
そして溶液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル上、溶出液としてジクロロメタン/n−ヘキサン混合溶液(1/1)を使用)により、目的物3.20gを収率69.6%で得た。
この物質を同定するため1H−NMR分析、MS分析、元素分析を行い、結果を以下に示した。これらの分析結果から、得られた物質が下記式
【0044】
【化13】
【0045】
の構造の2−(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンであることを確認した。
1H−NMR(ppm、CDCl3/TMS):
0.70〜1.72(33H)、3.90(2H)、4.30(1H)、4.65(1H)、4.92(1H)、5.21(1H)、5.72(1H)、6.71(1H)、7.22〜7.39(4H)
MS(FAB,m/e):460 [M+H]+
元素分析(C,H,Nとして):
【0046】
<実施例7:2−(4’−t−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンの合成>
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル1.56g(10mmol)を1,4−ジビニルベンゼン(15. 0g)に溶解させた後、0℃に冷却した。
次に、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート4.20g(10mmol)を加え、窒素気流下、57℃で5時間加熱した。
そして溶液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル上、溶出液としてジクロロメタン/n−ヘキサン混合溶液(1/1)を使用)により、目的物3.46gを収率71.4%で得た。この物質を同定するため1H−NMR分析、MS分析、元素分析により測定を行い、結果を以下に示した。これらの分析結果から、得られた物質が下記式
【0047】
【化14】
【0048】
の構造の2−(4’−t−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンであることを確認した。
1H−NMR(ppm、CDCl3/TMS):
0.69〜1.98(36H)、4.29(1H)、4.34〜4.43(1H)、4.65(1H)、4.92(1H)、5.22(1H)、5.73(1H)、6.70(1H)、7.22〜7.38(4H)
MS(FAB,m/e):486 [M+H]+
元素分析(C,H,Nとして):
【0049】
<実施例8:2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−ベンゾイルオキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンの合成>
4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル 2.76(10mmol)を1,4−ジビニルベンゼン15.0gに溶解させた後、0℃に冷却した。
次にジ−イソプロピルペルオキシジカーボネート2.08g(10mmol)を加え、窒素気流下、55℃で5時間加熱した。
そして溶液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル上、溶出液としてジクロロメタン/n−ヘキサン混合溶液(1/1)を使用)により、目的物3.16gを収率62.1%で得た。この物質を同定するため1H−NMR分析、MS分析、元素分析により測定を行い、結果を以下に示した。これらの分析結果から、得られた物質が下記式
【0050】
【化15】
【0051】
の構造の2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−ベンゾイルオキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンであることを確認した。
1H−NMR(ppm、CDCl3/TMS):
0.70〜1.95(22H)、4.28(1H)、4.60(1H)、4.75(1H)、4.87(1H)、5.15(1H)、5.20(1H)、5.71(1H)、6.68(1H)、7.25〜7.95(9H)
MS(FAB,m/e):510 [M+H]+
元素分析(C,H,Nとして):
【0052】
<実施例9:2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−アセトキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンの合成>
4’−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル2. 14g(10mmol)を1,4−ジビニルベンゼン15. 0gに溶解させた後、0℃に冷却した。
次にジ−イソプロピルペルオキシジカーボネート2.08g(10mmol)を加え、窒素気流下、55℃で5時間加熱した。
そして溶液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル上、溶出液としてジクロロメタン/n−ヘキサン混合溶液(1/1)を使用)により、目的物3.27gを収率73.0%で得た。この物質を同定するため1H−NMR分析、13C−NMR分析、MS分析、元素分析により測定を行い、結果を以下に示した。これらの分析結果から、得られた物質が下記式
【0053】
【化16】
【0054】
の構造の2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−アセトキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンであることを確認した。
1H−NMR(ppm、CDCl3/TMS):
0.70〜1.90(22H)、2.00(3H)、4.29(1H)、4.64(1H)、4.77(1H)、4.88〜5.04(2H)、5.23(1H)、5.74(1H)、6.70(1H)、7.25〜7.40(4H)
13C−NMR(ppm、CDCl3/TMS):
20.93、21.19、21.51、21.54、33.72、33.93、44.45、44.56、60.15、60.47、66.33、 68.56、71.77、83.70、113.69、125.86、127.83、136.37、137.01、139.21、154.35、 170.44
MS(FAB,m/e):448 [M+H]+
元素分析(C,H,Nとして):
【0055】
<実施例10:2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(ジ−t−ブチルニトロキシル)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンの合成>
ジ−t−ブチルニトロキシド1.44g(10mmol)を1,4−ジビニルベンゼン15. 0gに溶解させた後、0℃に冷却した。
次に、ジ−イソプロピルペルオキシジカーボネート2.08g(10mmol)を加え、窒素気流下、55℃で5時間加熱した。
そして溶液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル上、溶出液としてジクロロメタン/n−ヘキサン混合溶液(1/1)を使用)により、目的物2.01gを収率53.2%で得た。この物質を同定するため1H−NMR分析、MS分析、元素分析により測定を行い、結果を以下に示した。これらの分析結果から、得られた物質が下記式
【0056】
【化17】
【0057】
の構造の2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(ジ−t−ブチルニトロキシル)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンであることを確認した。
1H−NMR(ppm、CDCl3/TMS):
1.13(9H)、1.31〜1.39(15H)、4.33(1H)、4.68(1H)、4.77(1H)、4.94(1H)、5.24(1H)、5.76(1H)、6.71(1H)、7.23〜7.40(4H)
MS(FAB,m/e):378 [M+H]+
元素分析(C,H,Nとして):
【0058】
<実施例11:2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−4’−アセトキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンと2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−アセトキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタン混合物の合成>
1,4−ジビニルベンゼンの代わりに1,3−ジビニルベンゼンと1,4−ジビニルベンゼンの混合物(新日鐵化学社、製品名:DVB−960)を用いた以外は実施例9に準じて反応を行い、目的物3.16gを収率70.5%で得た。
この物質を同定するため1H−NMR、13C−NMR、LC−MS、元素分析により測定した結果2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−アセトキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンと2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−アセトキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタンの混合物であることを確認した。
【0059】
<実施例12:2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンの合成>
4’−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル1.72g(10mmol)を1,4−ジビニルベンゼン15.0gに溶解させた後、0℃に冷却した。
次にジ−イソプロピルペルオキシジカーボネート2.08g(10mmol)を加え、窒素気流下、55℃で5時間加熱した。
そして溶液を減圧下で濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル上、溶出液として酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶液(1/3)を使用)により、目的物1.66gを収率41.0%で得た。この物質を同定するため1H−NMR、13C−NMR、MS、元素分析により測定した結果を以下に示した。これにより下記式
【0060】
【化18】
【0061】
の構造の2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンであることを確認した。
1H−NMR(ppm,CDCl3/TMS):
0.70〜1.85(22H)、3.93(1H)、4.29(1H)、4.63(1H)、4.77(1H)、4.92(1H)、5.23(1H)、5.74(1H)、6.70(1H)、7.27〜7.39(4H)
13C−NMR(ppm,CDCl3/TMS):
21.08、21.54、33.81、34.01、48.62、60.20、60.49、62.86、68.62、71.78、83.64,113.66, 125.86,127.83,136.40,136.98,139.32,154.37
MS(FAB,m/e):406[M+H]+
元素分析(C,H,Nとして):
【0062】
<実施例13:2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンと2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタン混合物の合成>
1,4−ジビニルベンゼンの代わりに1,3−ジビニルベンゼンと1,4−ジビニルベンゼンの混合物(新日鐵化学社、製品名:DVB−960)を用いた以外は実施例12に準じて反応を行い、目的物1.64gを収率40.5%で得た。
この物質を同定するため1H−NMR、13C−NMR、LC−MS、元素分析により測定した結果、下記式
【0063】
【化19】
【0064】
の2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4'−ヒドロキシ−2',2',6',6'−テトラメチル−1'−ピペリジニルオキシ)−1−(4'−ビニルフェニル)エタンと2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4 ' −ヒドロキシ−2 ' ,2 ' ,6 ' ,6 ' −テトラメチル−1 ' −ピペリジニルオキシ)−1−(3 ' −ビニルフェニル)エタンの混合物であることを確認した。
【0065】
<実施例14:2−ヒドロキシ−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンと2−ヒドロキシ−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタン混合物の合成>
実施例11で得られた(2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−アセトキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンと2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(4’−アセトキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタン混合物2.24g(5mmol)をエタノール50.0gに溶解させた。
次に10%水酸化ナトリウム水溶液8.0gを加え、2時間還流した。減圧下で濃縮後、ジエチルエーテル100gを加え、水50gで3回洗浄を繰り返した。
無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶液を濃縮し、酢酸エチルとn−ヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより、目的物1.13gを収率71.0%で得た。
この物質を同定するため1H−NMR、MS、元素分析により測定した結果を以下に示した。これにより下記式
【0066】
【化20】
【0067】
の構造の2−ヒドロキシ−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンと2−ヒドロキシ−1−(4’−ヒドロキシ−2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタン混合物であることを確認した。
1H−NMR(ppm,CDCl3/TMS):
1.15〜2.00(16H)、3.70〜3.80(1H)、3.90〜4.05(1H)、4.15〜4.25(1H)、5.20〜5.30(2H)、5.70〜5.80(1H)、6.60〜6.80(1H)、7.20〜7.45(4H)
MS(FAB,m/e):320[M+H]+
元素分析(C,H,Nとして):
【0068】
<実施例15:2−ヒドロキシ−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンと2−ヒドロキシ−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタン混合物の合成>
実施例4で得られた(2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンと2−(イソプロピルオキシカルボニルオキシ)−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタン混合物1.95g(5 mmol)をエタノール50.0gに溶解させた。
次に10%水酸化ナトリウム水溶液8.0gを加え、2時間還流した。減圧下で濃縮後、ジエチルエーテル100gを加え、水50gで3回洗浄を繰り返した。
無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶液を濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル上、溶出液として酢酸エチル/n−ヘキサン混合溶液(1/3)を使用)により、目的物1.06gを収率70.0%で得た。
この物質を同定するため1H−NMR、MS、元素分析により測定した結果を以下に示した。これにより下記式
【0069】
【化21】
【0070】
の構造の2−ヒドロキシ−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(4’−ビニルフェニル)エタンと2−ヒドロキシ−1−(2’,2’,6’,6’−テトラメチル−1’−ピペリジニルオキシ)−1−(3’−ビニルフェニル)エタン混合物であることを確認した。
1H−NMR(ppm,CDCl3/TMS):
0.70〜1.70(17H)、3.72〜3.82(1H)、4.17〜4.27(1H)、5.20〜5.30(2H)、5.70〜5.80(1H)、6.60〜6.80(1H)、7.20〜7.45(4H)
MS(FAB,m/e):304[M+H]+
元素分析(C,H,Nとして):
【発明の効果】
第1に、本発明の一般式(1)で表されるビニル基含有アルコキシアミンは新規化合物であり、ラジカル発生剤、ビニルモノマーの重合開始剤、エチレン系ポリマーの酸化防止剤またはエチレン系ポリマーを加熱して架橋させる際のスコーチ防止剤として有用である。
第2に、上記化合物は、ビニル基が強固な炭素−炭素結合により結合しているためイオン反応に対して安定であり、工業的利用価値が高い。
第3に、上記化合物は、工業的に入手可能で安価な原料を用いて製造することができ、かつ1段の簡便な製造方法により製造できる。
第4に、上記化合物の一部を水酸基に変換することにより、官能基の導入や開環重合の開始に有用な、水酸基を有するビニル基含有アルコキシアミンを得ることができる。
Claims (4)
- 下記一般式 (1)で表されるビニル基含有アルコキシアミン。
(式中、R1はR 2 O基を表わし、R2は炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、メトキシブチル基、エトキシエチル基又は炭素数の合計が6〜10のシクロアルキル基を表わす。R3及びR4はそれぞれ炭素数4〜6の第3級アルキル基、又はR3とR4が連結した環式構造であり、環式構造の場合にはピペリジニル基、ピロリジニル基およびイソインドリル基から選ばれる窒素含有基であって、当該窒素含有基は窒素原子に隣接する2つの炭素原子にそれぞれ2つのメチル基を有するとともに、オキソ基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基もしくはアルコキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の炭素数の合計は、4つのメチル基および置換基の炭素を含めて8〜16である。) - ジビニルベンゼンとニトロキシド化合物とペルオキシジカーボネートとを、ペルオキシジカーボネートの熱分解温度まで加熱処理することを特徴とする下記一般式(1)で表されるビニル基含有アルコキシアミンの製造方法。
(式中、R1はR 2 O基を表わし、R2は炭素数1〜12の直鎖若しくは分岐のアルキル基、メトキシブチル基、エトキシエチル基又は炭素数の合計が6〜10のシクロアルキル基を表わす。R3及びR4はそれぞれ炭素数4〜6の第3級アルキル基、又はR3とR4が連結した環式構造であり、環式構造の場合にはピペリジニル基、ピロリジニル基およびイソインドリル基から選ばれる窒素含有基であって、当該窒素含有基は窒素原子に隣接する2つの炭素原子にそれぞれ2つのメチル基を有するとともに、オキソ基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基もしくはアルコキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の炭素数の合計は、4つのメチル基および置換基の炭素を含めて8〜16である。) - 前記請求項1または請求項2のいずれかに記載されたビニル基含有アルコキシアミンを加水分解することを特徴とする下記一般式(2)で表されるビニル基含有アルコキシアミンの製造方法。
(式中、R 3 及びR 4 はそれぞれ炭素数4〜6の第3級アルキル基、又はR 3 とR 4 が連結した環式構造であり、環式構造の場合にはピペリジニル基、ピロリジニル基およびイソインドリル基から選ばれる窒素含有基であって、当該窒素含有基は窒素原子に隣接する2つの炭素原子にそれぞれ2つのメチル基を有するとともに、オキソ基、ヒドロキシル基、アシルオキシ基もしくはアルコキシ基の何れかにより置換されていてもよく、環式構造の炭素数の合計は、4つのメチル基および置換基の炭素を含めて8〜16である。)
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