JP4204397B2 - アダマンタン誘導体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なアダマンタン誘導体に関する。詳しくは、レジスト添加剤、樹脂添加剤等として有用なアダマンタン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
アダマンタン誘導体は、非芳香族性ありかつ剛直であるという特異な構造を有しており、重合性基を有するアダマンタン誘導体から得られる硬化体は、光学特性および耐熱性等に優れた特徴を有する。このため、アダマンタン誘導体はプラスチックレンズモノマーや光ファイバー材料として注目されている。
【0003】
また、KrF、ArFレーザー等の遠紫外光用レジスト用モノマーとしてアダマンタン誘導体を使用することも検討されており、そのときに得られる硬化体は耐エッチング性、透光性等に優れていることが知られている(特許文献1)。
【0004】
さらに、エステル結合に由来する酸感応性基を有するアダマンタン誘導体については、上記のようなアダマンタン骨格を有することによる特徴に加え、レジスト材料と同様に酸を作用させることにより分解させることが可能であるため、フォトレジストのエッチング耐性や耐熱性を向上させるための添加剤として使用することが検討されている。そして、このようなレジスト添加剤用のアダマンタン誘導体としては、ビスアダマンチル化合物(特許文献2および特許文献3参照)やトリスアダマンタン化合物(特許文献4参照)等が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特許2881969号明細書
【特許文献2】
特開2001−72645号公報
【特許文献3】
特開2002−55450号公報
【特許文献4】
特開2003−73339号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レジスト添加剤用アダマンタン誘導体の開発は緒に就いたばかりであり、十分な効果を有するレジスト添加剤は未だ得られていない。たとえば、上記した化合物は、酸感応性の点で十分ではなく、また耐熱性の点でも課題がある。レジスト用添加剤としては、酸感応性、耐熱性のほかにも化合物自体の特性として耐エッチング性が高いことやレジスト材料或いはレジスト溶媒に対する溶解性が高いこと等が求められ、さらに添加剤が添加されたレジスト材料についてもラインエッジラフネスが小さく、形成されるレジスト膜が均一であるといった優れた特性を示すことが要求される。そこで、本発明は、このような要求を満足するレジスト添加剤として好適な新規なアダマンタン誘導体を提供することを目的とする。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達するため鋭意検討を行った。その結果、アダマンタノールから誘導される新規なアダマンタン化合物が、合成が容易であるとともに、光学物性、酸感応性、耐熱性等に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記式(1)
【0009】
【化4】
Figure 0004204397
【0010】
{式中、Aは、下記
【0011】
【化5】
Figure 0004204397
に示される何れかの構造を有する3価の基(但し、当該3価の基において、遊離原子価が出ている3個の炭素原子の位置は任意である。)であり、R は、水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、mは0〜3の整数である。}
で表されるアダマンタン誘導体である。
【0012】
上記本発明のアダマンタン誘導体は分子内に3つのアダマンタン骨格が存在する3核体であり、従来レジスト用添加剤としての用途が知られているアダマンタン誘導体とは全く異なる特異な構造を有している。そして、このような特異な構造の化合物がレジスト材料として有用であることは本発明者によって初めて見出されたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のアダマンタン誘導体は、前記式(1)で表される。該式(1)中の基Aは、耐熱性および合成しやすさの観点から下記に示される何れかの構造を有する3価の基である。
【0014】
【化6】
Figure 0004204397
【0015】
なお、上記構造を有する3価の基において、遊離原子価(結合手)が出ている3個の炭素原子の位置は任意である。しかしながら、合成が容易であるという理由から、例えばシクロヘキサン構造を有する場合には1、3及び5位、ノルボルネン構造を有する場合には2、3及び6位、ビシクロノナン骨格を有する場合には2,3及び9位、アダマンタン骨格を有する場合には1、3及び5位、1、3及び6位又は2、4及び6位であるのが好ましい。
【0016】
前記式(1)中のRは水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子を挙げることができ、特にフッ素原子が好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル、2,2−ジメチルプロパン基等のアルキル基を挙げることができる。またmは0〜3の整数であり、好ましくは0または1の整数である。R1の結合位置は特に限定されないが、合成が容易、酸感受性が高いという理由から2位(メチレン炭素の位置)であるのが好適である。
【0017】
前記式(1)で示されるアダマンタン誘導体の中でも、合成が容易という理由から下記式(3)で示される化合物が特に好適である。
【0018】
【化7】
Figure 0004204397
【0019】
{式中、Aは前記式(1)におけるAと同義であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、nは0〜2の整数である。}
上記式(3)中のAは前記式(1)におけるAと同義であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、nは0〜2の整数である。Rとしてはメチル基、エチル基、イソプロピル、2,2−ジメチルプロパン基等のアルキル基を挙げることができ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。Rのハロゲン原子及び炭素数1〜6のアルキル基はRのそれらと同義である。またnは0〜2の整数であり、特に好ましくは0または1であるのが好ましい。
【0020】
本発明において特に好ましいアダマンタン誘導体を具体的に例示すると、以下に示される化合物を挙げることができる。
【0021】
【化8】
Figure 0004204397
【0022】
【化9】
Figure 0004204397
【0023】
【化10】
Figure 0004204397
【0024】
本発明のアダマンタン誘導体は、例えば次のような手段によってその構造を同定、確認することができる。
【0025】
(ア)元素分析により、炭素、水素の各重量%を測定することにより、化合物の組成式を決定することができる。
【0026】
(イ)質量スペクトル(MASS,EI法、EPS法など)により、化合物の分子量を知ることができる。
【0027】
(ウ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(H−NMR)を測定することにより、単量体中に存在する水素原子の結合様式を知ることができる。
【0028】
(エ)赤外吸収スペクトル(IR)を測定することにより、各化合物毎にエステル結合等の特性吸収を観察することが出来る。
【0029】
本発明のアダマンタン誘導体の製造方法は特に限定されず、一般的な3級エステルの合成法を用いることができる。即ち、原料のトリカルボン酸(即ち、前記Aで示される3価の基の遊離原子価を有する3つ炭素原子の全てにカルボキシル基が結合した化合物。以下原料トリカルボン酸ともいう。)とアダマンタノール類との酸触媒反応、あるいは原料のトリカルボン酸トリハライド(即ち、前記Aで示される3価の基の遊離原子価を有する3つ炭素原子の全てに−C(=O)−Xが結合した化合物。但し、Xはハロゲン原子である。以下原料トリカルボン酸ハライドともいう。)とアダマンタノール類のアルコラートとの反応により、本発明のアダマンタン誘導体を得ることができる。以下これらの方法について詳しく説明する。
【0030】
先ず、原料トリカルボン酸とアダマンタノール類との酸触媒反応について説明する。該反応は、(i)シクロヘキサントリカルボン酸、アダマンタントリカルボン酸等の原料トリカルボン酸、(ii)1−アダマンタノール、2−アダマンタノール等のアダマンタノール類及び(iii)酸触媒を反応溶媒中で混合し、反応させることにより本発明のアダマンタン化合物を得ることができる。
【0031】
このとき、アダマンタノール類はトリカルボン酸1モルに対して、2〜30モル、特に3〜6モル用いるのが好適である。酸触媒としては、塩酸、硫酸等の鉱酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、三フッ化ホウ素エーテラート等のルイス酸、ヘテロポリ酸等を用いることができる。酸触媒の使用量はトリカルボン酸およびアダマンタノール類の種類、反応温度にもよるが、一般的には原料であるアダマンタノール類に対しての0.01〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0032】
また、反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒等を挙げることができる。用いる溶媒種は反応に用いるトリカルボン酸およびアダマンタノール類の種類によって適宜選択すればよい。一般的な溶媒の使用量は、原料となるアダマンタノール類の濃度が1.0〜50倍重量%程度の量である。
【0033】
このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には20〜200℃であり、好ましくは70〜150℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から48時間、好ましくは1時間から24時間の範囲である。また、オートクレーブ等の加圧反応装置を用いることにより、反応を溶媒の沸点以上の温度で行うことも可能である。
【0034】
次に、原料トリカルボン酸トリハライドとアダマンタノール類のアルコラートとの反応の方法について説明する。該反応では、シクロヘキサントリカルボン酸、アダマンタントリカルボン酸等の原料トリカルボン酸とハロゲン化剤とを反応させ原料トリカルボン酸ハライドとした後、1−アダマンタノール、2−メチル−2−アダマンタノール等のアダマンタノール類から調製したアルコラートと混合反応させることにより、目的物を得ることができる。
【0035】
ここでハロゲン化剤としては、塩化チオニル、臭化チオニル、オキザリルクロリド等のハロゲン化剤を用いることができる。ハロゲン化剤は原料トリカルボン酸に1モル対して、3〜30モル、特に3.3〜6モル用いるのが好適である。また反応促進のためにジメチルホルムアミド等の触媒を必要に応じて用いることができる。反応に際しては反応を均一に行うために、溶媒を用いることができる。反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は反応に用いるトリカルボン酸の種類によって適宜選択していけばよい。一般的な溶媒の使用量は、原料となるトリカルボン酸の濃度が1.0〜50重量%となる程度の量である。
【0036】
このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には20〜200℃であり、好ましくは70〜150℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分〜48時間、好ましくは1時間〜24時間の範囲である。また、オートクレーブ等の加圧反応装置を用いることにより、反応を溶媒の沸点以上の温度で行うことも可能である。
【0037】
反応後、反応溶液から残存するハロゲン化剤および溶媒等を減圧留去し、トリカルボン酸トリハライドの粗生成物を得ることができる。
【0038】
得られたトリカルボン酸トリハライドの粗生成物とアダマンタノール類のアルコラートとを反応させることにより、本発明のアダマンタン化合物を得ることができる。
【0039】
アダマンタノール類のアルコラートの調製は、1位または2位の水酸基を有する原料のアダマンタノール類の場合には、水素化ナトリウム、水素化リチウム等の金属水素化物、または水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性化合物と反応させることにより得ることができる。また2位の水酸基を有するアダマンタノール類のアルコラートの場合には、対応するアダマンタノン類をアルキルマグネシウムハライド、アルキルリチウム等のアルキル金属化合物と処理することにより得ることができる。
【0040】
1位または2位の水酸基を有する原料のアダマンタノール類からアルコラートを調製する際には、用いる金属水素化物および塩基性化合物の量は、原料のアダマンタノール類に対して、1〜10当量、好ましくは1.2〜3当量用いる。反応に際しては反応を均一に行うために、溶媒を用いることができる。反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は反応に用いるトリカルボン酸の種類によって適宜選択していけばよい。
【0041】
このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には−70〜100℃であり、好ましくは−20〜50℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から24時間の範囲である。
【0042】
アダマンタノン類から対応する2位アルコールのアルコラートを調製する際には、用いるアルキル金属化合物の量は、原料のアダマンタノン類に対して、1〜10当量、好ましくは1.2〜3当量用いる。アルキルマグネシウムハライド、アルキルリチウム等のアルキル金属化合物としては、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド等のアルキルマグネシウムハライド、メチルリチウム、エチルリチウム等のアルキルリチウムを用いることができる。反応は、一般には溶媒を用いて行う。反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は反応に用いるトリカルボン酸の種類によって適宜選択していけばよい。
【0043】
このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には−70〜100℃であり、好ましくは−20〜60℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から24時間の範囲である。
【0044】
次に、このようにして得られたアルコラートに前記粗トリカルボン酸トリハライドを添加して反応を行う。添加の方法について特に制限はないが、副反応を抑えるために、一般にはアルコラートに粗トリカルボン酸トリハライドを添加することが好ましい。用いるアルコラートの量は、トリカルボン酸トリハライドに対して、3〜30当量、好ましくは1.2〜2当量用いる。反応は、一般には溶媒を用いて行う。反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は反応に用いるトリカルボン酸トリハライドの種類によって適宜選択していけばよい。このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には−20〜130℃であり、好ましくは0〜80℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から24時間の範囲である。
【0045】
得られた反応混合物に水を加えて中和後、有機溶媒で抽出することにより、粗生成物が得られる。このようにして得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の後処理を行うことにより、本発明のアダマンタン化合物を得ることができる。
【0046】
本発明のアダマンタン誘導体は、耐熱性が高く酸感応性を有するためレジスト用添加剤として好適である。本発明のアダマンタン誘導体からなるレジスト添加剤を使用することにより、レジストの耐エッチング性および耐熱性を改良することができる。本発明のアダマンタン誘導体をレジスト用添加剤として使用する場合、添加の対象となるレジスト剤は特に限定されないが、その添加効果の観点から、特許2881969に開示されているような遠紫外光用レジスト用レジスト材に対して使用するのが好適である。このとき本発明のアダマンタン誘導体からなるレジスト添加剤の添加量は、添加するレジスト剤の種類により適宜決定すればよいが、通常はレジスト剤100重量部に対して1〜30重量部の範囲である。
【0047】
以上、本発明のアダマンタン誘導体の有用性について、レジスト添加剤を例に説明したが、該化合物の用途はこれに限定されるものではなく、樹脂用の添加剤、コーティング材料としても有用である。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を説明するために、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
実施例1 下記構造式で示されるシクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸−トリス(2−エチル−2−アダマンチルエステル)の合成
【0050】
【化11】
Figure 0004204397
【0051】
(1) シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸クロライドの合成
温度計および窒素ラインを有した三方コックを備え付けた100mlの三つ口フラスコにシクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸3g(13.9mmol)、トルエン4ml、N,N−ジメチルホルムアミド0.3mlを仕込み、窒素を0.1ml/minの流速で気流した。15℃に冷却した後、オキサリルクロライドを8ml(93.4mmol)滴下した。滴下終了後、室温に戻して2時間攪拌した後、トルエン、オキサリルクロライドをロータリーエバポレーターにより留去すると、微淡黄色のシクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸クロライドの結晶が3.75g(収率99.6%)得られた。
【0052】
(2) 2−エチル−2−アダマンチルアルコキシリチウムの合成
温度計および窒素ラインを有した三方コックを備え付けた100mlの三つ口フラスコに2−アダマンタノン5.85g(39mmol)、テトラヒドロフラン23ml、臭化エチル5.1g(46.8mmol)を仕込み、窒素を0.1ml/minの流速で気流した。30℃で攪拌しながら金属リチウム0.54g(78mmol)を添加し、40℃で2時間攪拌し、反応溶液を水にあけ、テトラヒドロフランで抽出したものをガスクロマトグラフィーにより分析した。2−エチル−2−アダマンタノールが2−アダマンタノンに対して97%以上であることを確認し、反応を終了とし、5℃に冷却した。この反応液を次の合成にそのまま使用した。
【0053】
(3) シクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸−トリス(2−エチル−2−アダマンチルエステル)の合成
(2)で得られた5℃の2−エチル−2−アダマンチルアルコキシリチウムの反応溶液に、(1)で得られた微淡黄色のシクロヘキサン−1,3,5−トリカルボン酸クロライドの結晶3.75gを5mlのジクロロメタンに溶解した溶液を発熱に気をつけながら滴下した。室温に戻し、3時間攪拌した後、反応液に水20ml添加し、反応を終了とした。水を分液後、飽和食塩水20mlで3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去すると、オレンジ色のオイル状生成物を9.7g得た。カラムクロマトグラフィーにより精製し、生成物をヘキサンで晶析すると白色結晶が1.95g(収率20%)得られた。次いで、得られた白色結晶について核磁気共鳴スペクトル(NMR)分析、赤外吸収スペクトル(IR)分析及び元素分析を行なった。その結果を以下に示す。
【0054】
NMR分析結果(重クロロホルム中):
HNMR(500MHz);δ(ppm)=0.75(t,9H,エチル基中のメチル基の水素),1.50(t,6H,アダマンタン中の3級炭素上の水素),1.68(d,18H,アダマンタン中の2級炭素上の水素),1.83(d,12H,アダマンタン中の2級炭素上の水素),2.00(s,6H,アダマンタン中の3級炭素上の水素)2.16(q,6H,エチル基のメチレン基の水素),2.33(d,6H,シクロヘキサン中の2級炭素上の水素),2.65(t,3H,シクロヘキサン中の3級炭素上の水素)
13CNMR(125MHz);δ(ppm)=6.72(エチル基中のメチル基の炭素),24.6,27.0,27.1,29.4,32.0,33.1,33.3,33.6,33.7,34.2,38.3,40.2,88.9(アダマンタン中の4級炭素),173.5(エステル基の炭素)
IR測定結果:1720cm−1(C=O)
元素分析結果値:
計算値; C:H=76.88%:9.46%(C4566として)
実測値; C:H=76.54%:9.29%
以上の結果から上記白色結晶が前記構造を有する目的物であることが確認された。
【0055】
【発明の効果】
本発明のアダマンタン誘導体は、透光性、耐熱性、酸感応性、耐水性、耐エッチング性、溶解性等の物性に優れる新規な化合物であり、レジスト添加剤、樹脂添加剤、コーティング材料等として有用である。

Claims (2)

  1. 下記式(1)
    Figure 0004204397
    {式中、Aは、下記
    Figure 0004204397
    に示される何れかの構造を有する3価の基(但し、当該3価の基において、遊離原子価が出ている3個の炭素原子の位置は任意である。)であり、Rは、水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、mは0〜3の整数である。}
    で表されるアダマンタン誘導体。
  2. 下記式(3)
    Figure 0004204397
    {式中、Aは前記式(1)におけるAと同義であり、Rは炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、nは0〜2の整数である。}
    で表される請求項1に記載のアダマンタン誘導体。
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