JP2005015356A - アダマンタン誘導体 - Google Patents
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Abstract
【課題】遠紫外光用レジスト用レジスト材料の耐エッチング性や耐熱性を改良するための添加剤として有用な新規なアダマンタン誘導体を提供する。
【解決手段】1−アダマンタン酢酸−1−アダマンチルエステルのような、分子内にアルキレン基が結合したエステル結合を介してアダマンタン骨格と炭素数1〜12の1価の鎖状炭化水素基または脂環式炭化水素基が結合した構造を有する、下記式(1)で示されるアダマンタン誘導体。
【化1】
{式中、R1は夫々特定の置換基を有していてもよい1価の鎖状若しくは脂環式の炭化水素基であり、R2は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基などの置換基であり、R3は、水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜3の整数である。}
【選択図】 なし
【解決手段】1−アダマンタン酢酸−1−アダマンチルエステルのような、分子内にアルキレン基が結合したエステル結合を介してアダマンタン骨格と炭素数1〜12の1価の鎖状炭化水素基または脂環式炭化水素基が結合した構造を有する、下記式(1)で示されるアダマンタン誘導体。
【化1】
{式中、R1は夫々特定の置換基を有していてもよい1価の鎖状若しくは脂環式の炭化水素基であり、R2は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基などの置換基であり、R3は、水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、mは0〜3の整数であり、nは1〜3の整数である。}
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なアダマンタン誘導体に関する。より詳しくは、レジスト添加剤、樹脂添加剤等として有用なアダマンタン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
アダマンタン誘導体は、非芳香族性ありかつ剛直であるという特異な構造を有しており、重合性基を有するアダマンタン誘導体から得られる硬化体は、光学特性および耐熱性等に優れた特徴を有する。このため、アダマンタン誘導体はプラスチックレンズモノマーや光ファイバー材料として注目されている。
【0003】
また、KrF、ArFレーザー等の遠紫外光用レジスト用モノマーとしてアダマンタン誘導体を使用することも検討されており、そのときに得られる硬化体は耐エッチング性、透光性等に優れていることが知られている(特許文献1)。
【0004】
さらに、エステル結合に由来する酸感応性基を有するアダマンタン誘導体については、上記のようなアダマンタン骨格を有することによる特徴に加え、レジスト材料と同様に酸を作用させることにより分解させることが可能であるため、フォトレジストのエッチング耐性や耐熱性を向上させるための添加剤として使用することが検討されている。そして、このようなレジスト添加剤用のアダマンタン誘導体としては、ビスアダマンチル化合物(特許文献2および特許文献3参照)やトリスアダマンチル化合物(特許文献4参照)等が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特許2881969号明細書
【特許文献2】
特開2001−72645号公報
【特許文献3】
特開2002−55450号公報
【特許文献4】
特開2003−73339号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レジスト添加剤用アダマンタン誘導体の開発は緒に就いたばかりであり、十分な効果を有するレジスト添加剤は未だ得られていない。たとえば、上記した化合物は、酸感応性の点で十分ではなく、また耐熱性、溶解性の点でも課題がある。レジスト用添加剤としては、酸感応性、耐熱性のほかにも化合物自体の特性として耐エッチング性が高いことやレジスト材料或いはレジスト溶媒に対する溶解性が高いこと等が求められ、さらに添加剤が添加されたレジスト材料についてもラインエッジラフネスが小さく、形成されるレジスト膜が均一であるといった優れた特性を示すことが要求される。そこで、本発明は、このような要求を満足するレジスト添加剤として好適な新規なアダマンタン誘導体を提供することを目的とする。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達するため鋭意検討を行った。その結果、アダマンタン酢酸等から誘導される新規なアダマンタン誘導体が、合成が容易であるとともに、光学物性、溶解性、耐熱性等に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記式(1)
【0009】
【化4】
【0010】
〔式中、R1は、夫々置換基として炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基及びハロゲン原子から成る群より選ばれる置換基の少なくとも1種を有していてもよい、炭素数1〜12(但し、当該炭素数には置換基の炭素数は含まない)の1価の鎖状炭化水素基または炭素数3〜12(但し、当該炭素数には置換基の炭素数は含まない)の1価の脂環式炭化水素基であり、
R2は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または下記式(2)
【0011】
【化5】
【0012】
{式中、R4は前記R1と同義であり(但し、R4とR1とは互いに異なっていてもよい。)、pは0〜2の整数である。}
で示される基であり、
R3は、水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、
mは0〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、oは0〜3の整数である。〕
で表されるアダマンタン誘導体である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のアダマンタン誘導体は前記式(1)で表される。該式(1)中のR1は、夫々置換基として炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基及びハロゲン原子から成る群より選ばれる置換基の少なくとも1種を有していてもよい、炭素数1〜12(但し、当該炭素数には置換基の炭素数は含まない)の1価の鎖状炭化水素基または炭素数3〜12(但し、当該炭素数には置換基の炭素数は含まない)の1価の脂環式炭化水素基である。なお、これら基を構成する炭素数(置換基の炭素数は含まない)が13以上の場合には、酸感応性が低くなってしまう。
【0014】
上記R1における非置換の炭素数1〜12の1価の鎖状炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基等を挙げることができる。また、非置換の炭素数3〜12の1価の脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基のほか、デカリン、アダマンタン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルピナン、ビシクロオクタン、ビシクロノナン等から誘導される1価の脂環式炭化水素基が例示される。
【0015】
また、これら1価の基に置換基として結合してもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、2,2−ジメチルプロパン基等が例示されるが、メチル基が特に好適である。また、同置換基としての炭素数1〜6のアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基等が例示さる。また、同置換基としてのハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子を挙げることができるが、特にフッ素原子が好ましい。これら置換基の結合位置は特に限定されない。
【0016】
R1として好適な基としては下記式で示される骨格を有する1価の基を挙げることができる。
【0017】
【化6】
【0018】
なお、上記式中のR5は上記した置換基(即ち、水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基)であり、qは0〜3の整数、好適には0又は1である。なお、これら1価の基において、遊離原子価(結合手)が出ている炭素原子の位置は任意である。しかしながら、合成が容易であるという理由から、ノルボルネン構造を有する場合には2位又は5位、ビシクロノナン骨格を有する場合には2位又は9位、アダマンタン骨格を有する場合には1位又は2位であるのが好ましい。上記式で示される基の中でも合成し易さの観点から、下記に示される何れかの基、とりわけアダマンタン骨格を有するものが特に好適である。
【0019】
【化7】
【0020】
前記式(1)においてR2は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または前記式(2)で示される置換基である。炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル、2,2−ジメチルプロパン基等のアルキル基を挙げることができ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。前記式(2)においてR4は前記式(2)におけるR1と同義であり(但し、R4とR1とは互いに異なっていてもよい)、pは0〜2の整数であり、耐熱性の点から0または1が好ましい。
【0021】
また、前記式(1)においてmは0〜3の整数であり、nは1〜3の整数である。なお、nが2又は3であるとき、複数存在する−C(R2)H−(CH2)m−CO2−R1で示される基は互いに異なっていてもよい。また、上記基の結合位置は特に限定されないが、合成が容易であるという理由から1位であるのが好適である。mは、耐熱性の点から0または1であるのが特に好ましく、nは合成が容易であるという観点から1または2の整数であるのが特に好ましい。本発明のアダマンタン誘導体においては−CO2−R1で示される基がアダマンタン環に直接結合せず、−C(R2)H−(CH2)m−で示される基を介して結合しているため、レジスト用添加剤として使用するときレジスト材料に対する溶解性が高くなっており、高濃度に添加できるという特徴を有する。
【0022】
また、前記式(1)中のR3は水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子を挙げることができ、特にフッ素原子が好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、2,2−ジメチルプロパン基等のアルキル基を挙げることができる。またoは0〜3の整数であり、好ましくは0または1である。R3の結合位置は特に限定されないが、合成が容易、酸感受性が高いという理由から2位(メチレン炭素の位置)であるのが好適である。
【0023】
本発明において特に好ましいアダマンタン誘導体を具体的に例示すると、以下に示される化合物を挙げることができる。
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
【0026】
【化10】
【0027】
【化11】
【0028】
【化12】
【0029】
本発明のアダマンタン誘導体は、例えば次のような手段によってその構造を同定、確認することができる。
【0030】
(ア)元素分析により、炭素、水素の各重量%を測定することにより、誘導体の組成式を決定することができる。
【0031】
(イ)質量スペクトル(MASS,EI法、ACPI法など)により、誘導体の分子量を知ることができる。
【0032】
(ウ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR)を測定することにより、単量体中に存在する水素原子の結合様式を知ることができる。
【0033】
(エ)赤外吸収スペクトル(IR)を測定することにより、各誘導体毎にエステル結合等の特性吸収を観察することが出来る。
【0034】
本発明のアダマンタン誘導体の製造方法は特に限定されず、一般的なエステルの合成法を用いることができる。即ち、原料のカルボン酸(必要によりR3が導入されたアダマンタン骨格を有しカルボキシル基を1〜6個含有するカルボン酸、以下原料カルボン酸ともいう。)と原料のアルコール(鎖状炭化水素基または脂環式炭化水素基を有するアルコール、以下アルコール類ともいう)との酸触媒反応、あるいは原料のカルボン酸ハライド(即ち、原料カルボン酸が全てハロゲン化され、酸クロリドとなった化合物。以下原料カルボン酸ハライドともいう。
)とアルコール類のアルコラートとの反応により、原料カルボン酸または原料カルボン酸ハライドにR1及びR2が前記式(2)で示される基である場合のR4を導入して本発明のアダマンタン誘導体を得ることができる。
【0035】
まず、原料カルボン酸とアルコール類との酸触媒反応について説明する。該反応は、(i)アダマンタン酢酸、アダマンタン−1,3−ジ酢酸、1−メチルアダマンタン−3−酢酸等のカルボン酸、(ii)シクロヘキサノール、1−アダマンタノール、2−メチル−2−アダマンタノール等のアルコール類及び(iii)酸触媒を反応溶媒中で混合し、反応させることにより本発明のアダマンタン誘導体を得ることができる。
【0036】
このとき、原料カルボン酸のカルボキシル基の当量数として1当量に対して、アルコール類に含まれるエステル化反応に関与する水酸基の当量数が、1〜10倍量、特に1.1〜3倍量となるような比率で、原料カルボン酸とアルコール類を用いるのが好適である。酸触媒としては、塩酸、硫酸等の鉱酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、三フッ化ホウ素エーテラート等のルイス酸、ヘテロポリ酸等を用いることができる。酸触媒の使用量は原料カルボン酸およびアルコール類の種類、反応温度にもよるが、一般的にはアルコール類に対しての0.01〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0037】
反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒等を挙げることができる。用いる溶媒種は反応に用いる原料カルボン酸およびアルコール類の種類によって適宜選択していけばよい。一般的な溶媒の使用量は、アルコール類の濃度が1.0〜50倍重量%程度の量である。
【0038】
このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には20〜200℃であり、好ましくは70〜150℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から48時間、好ましくは1時間から24時間の範囲である。また、オートクレーブ等の加圧反応装置を用いることにより、反応を溶媒の沸点以上の温度で行うことも可能である。
【0039】
次に原料カルボン酸ハライドとアルコール類のアルコラートとの反応の方法について説明する。該反応では、1−アダマンタン酢酸、1,3−アダマンタンジ酢酸等の原料カルボン酸とハロゲン化剤とを反応させ原料カルボン酸ハライドとした後、1−アダマンタノール、2−メチル−2−アダマンタノール等のアルコール類から調製したアルコラートと混合反応させることにより、目的物を得ることができる。
【0040】
ここでハロゲン化剤としては、塩化チオニル、臭化チオニル、オキザリルクロリド等のハロゲン化剤を用いることができる。ハロゲン化剤は原料カルボン酸のカルボキシル基の当量数に対して、1〜10モル倍量、好ましくは1.1〜2倍当量用いることができる。また反応促進のためにジメチルホルムアミド等の触媒を必要に応じて用いることができる。反応に際しては反応を均一に行うために、溶媒を用いることができる。反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は反応に用いる原料カルボン酸の種類によって適宜選択していけばよい。一般的な溶媒の使用量は、原料となるカルボン酸の濃度が1.0〜50倍重量%となる程度の量である。
【0041】
このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には20〜200℃であり、好ましくは70〜150℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から48時間、好ましくは1時間から24時間の範囲である。また、オートクレーブ等の加圧反応装置を用いることにより、反応を溶媒の沸点以上の温度で行うことも可能である。
【0042】
反応後、反応溶液から残存するハロゲン化剤および溶媒等を減圧留去し、原料カルボン酸ハライドの粗生成物を得ることができる。
【0043】
得られた原料カルボン酸ハライドの粗生成物にアルコール類のアルコラートとを反応させることにより、本発明のアダマンタン誘導体を得ることができる。
【0044】
アルコール類のアルコラートの調製は、1位または2位の水酸基を有する原料のアルコール類の場合には、水素化ナトリウム、水素化リチウム等の金属水素化物、または水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性化合物と反応させることにより得ることができる。また2位の水酸基を有するアルコール類のアルコラートの場合には、対応するケトン類(例えば、シクロヘキサノン、2−アダマンタノン)をアルキルマグネシウムハライド、アルキルリチウム等のアルキル金属誘導体と処理することにより得ることができる。
【0045】
原料のアルコール類からアルコラートを調製する際には、用いる金属水素化物および塩基性化合物の量は、原料のアルコール類に対して、1〜10当量、好ましくは1.2〜3当量用いる。反応に際しては反応を均一に行うために、溶媒を用いることができる。反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は反応に用いる原料カルボン酸の種類によって適宜選択していけばよい。
【0046】
このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には−70〜100℃であり、好ましくは−20〜50℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から24時間の範囲である。
【0047】
ケトン類から対応するアルコラートを調製する際には、用いるアルキル金属化合物の量は、原料のケトン類に対して、1〜10当量、好ましくは1.2〜3当量用いる。アルキルマグネシウムハライド、アルキルリチウム等のアルキル金属化合物としては、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド等のアルキルマグネシウムハライド、メチルリチウム、エチルリチウム等のアルキルリチウムを用いることができる。反応は、一般には溶媒を用いて行う。反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は反応に用いる原料カルボン酸ハライドの種類によって適宜選択していけばよい。
【0048】
このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には−70〜100℃であり、好ましくは−20〜60℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から24時間の範囲である。
【0049】
次に、このようにして得られたアルコラートに前記粗原料カルボン酸ハライドを添加して反応を行う。添加の方法について特に制限はないが、副反応を抑えるために、一般にはアルコラートに粗原料カルボン酸ハライドを添加することが好ましい。用いるアルコラートの量は、原料カルボン酸ハライドに含まれる酸ハライド基1当量に対して、1〜30当量、好ましくは1.2〜2当量用いる。反応は、一般には溶媒を用いて行う。反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は反応に用いる原料カルボン酸ハライドの種類によって適宜選択していけばよい。このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には−20〜130℃であり、好ましくは0〜80℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から24時間の範囲である。
【0050】
得られた反応混合物に水を加えて中和後、有機溶媒で抽出することにより、粗生成物が得られる。このようにして得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の後処理を行うことにより、本発明のアダマンタン誘導体を得ることができる。
【0051】
本発明のアダマンタン誘導体は、耐熱性が高く酸感応性を有するためレジスト用添加剤として好適である。本発明のアダマンタン誘導体からなるレジスト添加剤を使用することにより、レジストの耐エッチング性および耐熱性を改良することができる。本発明のアダマンタン誘導体をレジスト用添加剤として使用する場合、添加の対象となるレジスト剤は特に限定されないが、その添加効果の観点から、特許2881969号明細書に開示されているような遠紫外光用レジスト用レジスト材に対して使用するのが好適である。このとき本発明のアダマンタン誘導体からなるレジスト添加剤の添加量は、添加するレジスト剤の種類により適宜決定すればよいが、通常はレジスト剤100重量部に対して1〜30重量部の範囲である。
【0052】
以上、本発明のアダマンタン誘導体の有用性について、レジスト添加剤を例に説明したが、該化合物の用途はこれに限定されるものではなく、樹脂用の添加剤、コーティング材料としても有用である。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を説明するために、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
実施例1 下記式で示される1−アダマンタン酢酸−2−エチル−2−アダマンチルエステルの合成
【0055】
【化13】
【0056】
(1) 1−アダマンタン酢酸クロライドの合成
温度計および窒素ラインを有した三方コックを備え付けた100mlの三つ口フラスコに1−アダマンタン酢酸1.94g(10mmol)、トルエン4ml、N,N−ジメチルホルムアミド0.1mlを仕込み、窒素を0.1ml/minの流速で気流した。15℃に冷却した後、オキサリルクロライドを2ml(23.4mmol)滴下した。滴下終了後、室温に戻して2時間攪拌した後、トルエン、オキサリルクロライドをロータリーエバポレーターにより留去すると、微淡黄色の1−アダマンタン酢酸クロライドの結晶が2.11g(収率99.3%)得られた。
【0057】
(2) 2−エチル−2−アダマンチルアルコキシリチウムの合成
温度計および窒素ラインを有した三方コックを備え付けた100mlの三つ口フラスコに2−アダマンタノン1.53g(10.2mmol)、テトラヒドロフラン6ml、臭化エチル1.33g(12.2mmol)を仕込み、窒素を0.1ml/minの流速で気流した。30℃で攪拌しながら金属リチウム0.14g(20.4mmol)を添加し、40℃で2時間攪拌し、少量サンプリングした反応溶液を水にあけ、テトラヒドロフランで抽出したものをガスクロマトグラフィーにより分析した。2−エチル−2−アダマンタノールが2−アダマンタノンに対して97%以上であることを確認し、反応を終了とし、5℃に冷却した。この反応液を次の合成にそのまま使用した。
【0058】
(3) 1−アダマンタン酢酸−2−エチル−2−アダマンチルエステルの合成
(2)で得られた5℃の2−エチル−2−アダマンチルアルコキシリチウムの反応溶液に、(1)で得られた微淡黄色の1−アダマンタン酢酸クロライドの結晶2.11gを5mlのジクロロメタンに溶解した溶液を発熱に気をつけながら滴下した。室温に戻し、3時間攪拌した後、反応液に水20ml添加し、反応を終了とした。水を分液後、飽和食塩水20mlで3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去すると、オレンジ色のオイル状生成物を4.5g得た。カラムクロマトグラフィーにより精製すると無色液体が2.5g(収率70%)得られた。次いで、得られた上記無色液体について核磁気共鳴スペクトル(NMR)分析、赤外吸収スペクトル(IR)分析、質量スペクトル分析及び元素分析を行なった。その結果を以下に示す。
【0059】
NMR分析結果(重クロロホルム中):
1HNMR(500MHz);δ(ppm)=0.80(t,3H,エチル基中のメチル水素),1.66(d,20H),1.95,2.00,2.02,2.06,2.15(q,2H,エチル基のメチレン水素),2.33(d,2H)
13CNMR(125MHz);δ(ppm)=7.15(エチル基中のメチル炭素),24.8,27.3,28.8,33.8,34.4,37.0,38.6,42.6,50.1,89.1(アダマンタン骨格の4級炭素),171.2(エステル基の炭素)
赤外吸収スペクトル(cm−1):1720(C=O)
質量スペクトル:ACPI法 (m/e):357(M+H)
元素分析値(重量%):
計算値; C:H=80.85:10.18(C24H36O2として)
実測値; C:H=80.24:10.06
【0060】
【発明の効果】
本発明のアダマンタン誘導体は、透光性、耐熱性、酸感応性、耐水性、耐エッチング性、溶解性等の物性に優れる新規な化合物であり、レジスト添加剤、樹脂添加剤、コーティング材料等として有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は新規なアダマンタン誘導体に関する。より詳しくは、レジスト添加剤、樹脂添加剤等として有用なアダマンタン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】
アダマンタン誘導体は、非芳香族性ありかつ剛直であるという特異な構造を有しており、重合性基を有するアダマンタン誘導体から得られる硬化体は、光学特性および耐熱性等に優れた特徴を有する。このため、アダマンタン誘導体はプラスチックレンズモノマーや光ファイバー材料として注目されている。
【0003】
また、KrF、ArFレーザー等の遠紫外光用レジスト用モノマーとしてアダマンタン誘導体を使用することも検討されており、そのときに得られる硬化体は耐エッチング性、透光性等に優れていることが知られている(特許文献1)。
【0004】
さらに、エステル結合に由来する酸感応性基を有するアダマンタン誘導体については、上記のようなアダマンタン骨格を有することによる特徴に加え、レジスト材料と同様に酸を作用させることにより分解させることが可能であるため、フォトレジストのエッチング耐性や耐熱性を向上させるための添加剤として使用することが検討されている。そして、このようなレジスト添加剤用のアダマンタン誘導体としては、ビスアダマンチル化合物(特許文献2および特許文献3参照)やトリスアダマンチル化合物(特許文献4参照)等が知られている。
【0005】
【特許文献1】
特許2881969号明細書
【特許文献2】
特開2001−72645号公報
【特許文献3】
特開2002−55450号公報
【特許文献4】
特開2003−73339号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、レジスト添加剤用アダマンタン誘導体の開発は緒に就いたばかりであり、十分な効果を有するレジスト添加剤は未だ得られていない。たとえば、上記した化合物は、酸感応性の点で十分ではなく、また耐熱性、溶解性の点でも課題がある。レジスト用添加剤としては、酸感応性、耐熱性のほかにも化合物自体の特性として耐エッチング性が高いことやレジスト材料或いはレジスト溶媒に対する溶解性が高いこと等が求められ、さらに添加剤が添加されたレジスト材料についてもラインエッジラフネスが小さく、形成されるレジスト膜が均一であるといった優れた特性を示すことが要求される。そこで、本発明は、このような要求を満足するレジスト添加剤として好適な新規なアダマンタン誘導体を提供することを目的とする。
【0007】
【発明を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達するため鋭意検討を行った。その結果、アダマンタン酢酸等から誘導される新規なアダマンタン誘導体が、合成が容易であるとともに、光学物性、溶解性、耐熱性等に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、下記式(1)
【0009】
【化4】
【0010】
〔式中、R1は、夫々置換基として炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基及びハロゲン原子から成る群より選ばれる置換基の少なくとも1種を有していてもよい、炭素数1〜12(但し、当該炭素数には置換基の炭素数は含まない)の1価の鎖状炭化水素基または炭素数3〜12(但し、当該炭素数には置換基の炭素数は含まない)の1価の脂環式炭化水素基であり、
R2は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または下記式(2)
【0011】
【化5】
【0012】
{式中、R4は前記R1と同義であり(但し、R4とR1とは互いに異なっていてもよい。)、pは0〜2の整数である。}
で示される基であり、
R3は、水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、
mは0〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、oは0〜3の整数である。〕
で表されるアダマンタン誘導体である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のアダマンタン誘導体は前記式(1)で表される。該式(1)中のR1は、夫々置換基として炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基及びハロゲン原子から成る群より選ばれる置換基の少なくとも1種を有していてもよい、炭素数1〜12(但し、当該炭素数には置換基の炭素数は含まない)の1価の鎖状炭化水素基または炭素数3〜12(但し、当該炭素数には置換基の炭素数は含まない)の1価の脂環式炭化水素基である。なお、これら基を構成する炭素数(置換基の炭素数は含まない)が13以上の場合には、酸感応性が低くなってしまう。
【0014】
上記R1における非置換の炭素数1〜12の1価の鎖状炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基等を挙げることができる。また、非置換の炭素数3〜12の1価の脂環式炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基のほか、デカリン、アダマンタン、ノルボルナン、ノルボルネン、ノルピナン、ビシクロオクタン、ビシクロノナン等から誘導される1価の脂環式炭化水素基が例示される。
【0015】
また、これら1価の基に置換基として結合してもよい炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、2,2−ジメチルプロパン基等が例示されるが、メチル基が特に好適である。また、同置換基としての炭素数1〜6のアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基等が例示さる。また、同置換基としてのハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子を挙げることができるが、特にフッ素原子が好ましい。これら置換基の結合位置は特に限定されない。
【0016】
R1として好適な基としては下記式で示される骨格を有する1価の基を挙げることができる。
【0017】
【化6】
【0018】
なお、上記式中のR5は上記した置換基(即ち、水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基)であり、qは0〜3の整数、好適には0又は1である。なお、これら1価の基において、遊離原子価(結合手)が出ている炭素原子の位置は任意である。しかしながら、合成が容易であるという理由から、ノルボルネン構造を有する場合には2位又は5位、ビシクロノナン骨格を有する場合には2位又は9位、アダマンタン骨格を有する場合には1位又は2位であるのが好ましい。上記式で示される基の中でも合成し易さの観点から、下記に示される何れかの基、とりわけアダマンタン骨格を有するものが特に好適である。
【0019】
【化7】
【0020】
前記式(1)においてR2は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または前記式(2)で示される置換基である。炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル、2,2−ジメチルプロパン基等のアルキル基を挙げることができ、中でもメチル基、エチル基が好ましい。前記式(2)においてR4は前記式(2)におけるR1と同義であり(但し、R4とR1とは互いに異なっていてもよい)、pは0〜2の整数であり、耐熱性の点から0または1が好ましい。
【0021】
また、前記式(1)においてmは0〜3の整数であり、nは1〜3の整数である。なお、nが2又は3であるとき、複数存在する−C(R2)H−(CH2)m−CO2−R1で示される基は互いに異なっていてもよい。また、上記基の結合位置は特に限定されないが、合成が容易であるという理由から1位であるのが好適である。mは、耐熱性の点から0または1であるのが特に好ましく、nは合成が容易であるという観点から1または2の整数であるのが特に好ましい。本発明のアダマンタン誘導体においては−CO2−R1で示される基がアダマンタン環に直接結合せず、−C(R2)H−(CH2)m−で示される基を介して結合しているため、レジスト用添加剤として使用するときレジスト材料に対する溶解性が高くなっており、高濃度に添加できるという特徴を有する。
【0022】
また、前記式(1)中のR3は水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基を示す。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子を挙げることができ、特にフッ素原子が好ましい。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、2,2−ジメチルプロパン基等のアルキル基を挙げることができる。またoは0〜3の整数であり、好ましくは0または1である。R3の結合位置は特に限定されないが、合成が容易、酸感受性が高いという理由から2位(メチレン炭素の位置)であるのが好適である。
【0023】
本発明において特に好ましいアダマンタン誘導体を具体的に例示すると、以下に示される化合物を挙げることができる。
【0024】
【化8】
【0025】
【化9】
【0026】
【化10】
【0027】
【化11】
【0028】
【化12】
【0029】
本発明のアダマンタン誘導体は、例えば次のような手段によってその構造を同定、確認することができる。
【0030】
(ア)元素分析により、炭素、水素の各重量%を測定することにより、誘導体の組成式を決定することができる。
【0031】
(イ)質量スペクトル(MASS,EI法、ACPI法など)により、誘導体の分子量を知ることができる。
【0032】
(ウ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR、13C−NMR)を測定することにより、単量体中に存在する水素原子の結合様式を知ることができる。
【0033】
(エ)赤外吸収スペクトル(IR)を測定することにより、各誘導体毎にエステル結合等の特性吸収を観察することが出来る。
【0034】
本発明のアダマンタン誘導体の製造方法は特に限定されず、一般的なエステルの合成法を用いることができる。即ち、原料のカルボン酸(必要によりR3が導入されたアダマンタン骨格を有しカルボキシル基を1〜6個含有するカルボン酸、以下原料カルボン酸ともいう。)と原料のアルコール(鎖状炭化水素基または脂環式炭化水素基を有するアルコール、以下アルコール類ともいう)との酸触媒反応、あるいは原料のカルボン酸ハライド(即ち、原料カルボン酸が全てハロゲン化され、酸クロリドとなった化合物。以下原料カルボン酸ハライドともいう。
)とアルコール類のアルコラートとの反応により、原料カルボン酸または原料カルボン酸ハライドにR1及びR2が前記式(2)で示される基である場合のR4を導入して本発明のアダマンタン誘導体を得ることができる。
【0035】
まず、原料カルボン酸とアルコール類との酸触媒反応について説明する。該反応は、(i)アダマンタン酢酸、アダマンタン−1,3−ジ酢酸、1−メチルアダマンタン−3−酢酸等のカルボン酸、(ii)シクロヘキサノール、1−アダマンタノール、2−メチル−2−アダマンタノール等のアルコール類及び(iii)酸触媒を反応溶媒中で混合し、反応させることにより本発明のアダマンタン誘導体を得ることができる。
【0036】
このとき、原料カルボン酸のカルボキシル基の当量数として1当量に対して、アルコール類に含まれるエステル化反応に関与する水酸基の当量数が、1〜10倍量、特に1.1〜3倍量となるような比率で、原料カルボン酸とアルコール類を用いるのが好適である。酸触媒としては、塩酸、硫酸等の鉱酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸、三フッ化ホウ素エーテラート等のルイス酸、ヘテロポリ酸等を用いることができる。酸触媒の使用量は原料カルボン酸およびアルコール類の種類、反応温度にもよるが、一般的にはアルコール類に対しての0.01〜10重量%であり、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0037】
反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒等を挙げることができる。用いる溶媒種は反応に用いる原料カルボン酸およびアルコール類の種類によって適宜選択していけばよい。一般的な溶媒の使用量は、アルコール類の濃度が1.0〜50倍重量%程度の量である。
【0038】
このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には20〜200℃であり、好ましくは70〜150℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から48時間、好ましくは1時間から24時間の範囲である。また、オートクレーブ等の加圧反応装置を用いることにより、反応を溶媒の沸点以上の温度で行うことも可能である。
【0039】
次に原料カルボン酸ハライドとアルコール類のアルコラートとの反応の方法について説明する。該反応では、1−アダマンタン酢酸、1,3−アダマンタンジ酢酸等の原料カルボン酸とハロゲン化剤とを反応させ原料カルボン酸ハライドとした後、1−アダマンタノール、2−メチル−2−アダマンタノール等のアルコール類から調製したアルコラートと混合反応させることにより、目的物を得ることができる。
【0040】
ここでハロゲン化剤としては、塩化チオニル、臭化チオニル、オキザリルクロリド等のハロゲン化剤を用いることができる。ハロゲン化剤は原料カルボン酸のカルボキシル基の当量数に対して、1〜10モル倍量、好ましくは1.1〜2倍当量用いることができる。また反応促進のためにジメチルホルムアミド等の触媒を必要に応じて用いることができる。反応に際しては反応を均一に行うために、溶媒を用いることができる。反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は反応に用いる原料カルボン酸の種類によって適宜選択していけばよい。一般的な溶媒の使用量は、原料となるカルボン酸の濃度が1.0〜50倍重量%となる程度の量である。
【0041】
このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には20〜200℃であり、好ましくは70〜150℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から48時間、好ましくは1時間から24時間の範囲である。また、オートクレーブ等の加圧反応装置を用いることにより、反応を溶媒の沸点以上の温度で行うことも可能である。
【0042】
反応後、反応溶液から残存するハロゲン化剤および溶媒等を減圧留去し、原料カルボン酸ハライドの粗生成物を得ることができる。
【0043】
得られた原料カルボン酸ハライドの粗生成物にアルコール類のアルコラートとを反応させることにより、本発明のアダマンタン誘導体を得ることができる。
【0044】
アルコール類のアルコラートの調製は、1位または2位の水酸基を有する原料のアルコール類の場合には、水素化ナトリウム、水素化リチウム等の金属水素化物、または水酸化ナトリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性化合物と反応させることにより得ることができる。また2位の水酸基を有するアルコール類のアルコラートの場合には、対応するケトン類(例えば、シクロヘキサノン、2−アダマンタノン)をアルキルマグネシウムハライド、アルキルリチウム等のアルキル金属誘導体と処理することにより得ることができる。
【0045】
原料のアルコール類からアルコラートを調製する際には、用いる金属水素化物および塩基性化合物の量は、原料のアルコール類に対して、1〜10当量、好ましくは1.2〜3当量用いる。反応に際しては反応を均一に行うために、溶媒を用いることができる。反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は反応に用いる原料カルボン酸の種類によって適宜選択していけばよい。
【0046】
このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には−70〜100℃であり、好ましくは−20〜50℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から24時間の範囲である。
【0047】
ケトン類から対応するアルコラートを調製する際には、用いるアルキル金属化合物の量は、原料のケトン類に対して、1〜10当量、好ましくは1.2〜3当量用いる。アルキルマグネシウムハライド、アルキルリチウム等のアルキル金属化合物としては、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド等のアルキルマグネシウムハライド、メチルリチウム、エチルリチウム等のアルキルリチウムを用いることができる。反応は、一般には溶媒を用いて行う。反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は反応に用いる原料カルボン酸ハライドの種類によって適宜選択していけばよい。
【0048】
このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には−70〜100℃であり、好ましくは−20〜60℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から24時間の範囲である。
【0049】
次に、このようにして得られたアルコラートに前記粗原料カルボン酸ハライドを添加して反応を行う。添加の方法について特に制限はないが、副反応を抑えるために、一般にはアルコラートに粗原料カルボン酸ハライドを添加することが好ましい。用いるアルコラートの量は、原料カルボン酸ハライドに含まれる酸ハライド基1当量に対して、1〜30当量、好ましくは1.2〜2当量用いる。反応は、一般には溶媒を用いて行う。反応溶媒として好適に使用されるものを例示すれば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒を挙げることができる。これらの溶媒は反応に用いる原料カルボン酸ハライドの種類によって適宜選択していけばよい。このときの反応温度は、用いる原料や溶媒の種類によって異なるが、一般的には−20〜130℃であり、好ましくは0〜80℃である。反応時間も原料の種類によって異なるが、通常10分から24時間の範囲である。
【0050】
得られた反応混合物に水を加えて中和後、有機溶媒で抽出することにより、粗生成物が得られる。このようにして得られた粗生成物を、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の後処理を行うことにより、本発明のアダマンタン誘導体を得ることができる。
【0051】
本発明のアダマンタン誘導体は、耐熱性が高く酸感応性を有するためレジスト用添加剤として好適である。本発明のアダマンタン誘導体からなるレジスト添加剤を使用することにより、レジストの耐エッチング性および耐熱性を改良することができる。本発明のアダマンタン誘導体をレジスト用添加剤として使用する場合、添加の対象となるレジスト剤は特に限定されないが、その添加効果の観点から、特許2881969号明細書に開示されているような遠紫外光用レジスト用レジスト材に対して使用するのが好適である。このとき本発明のアダマンタン誘導体からなるレジスト添加剤の添加量は、添加するレジスト剤の種類により適宜決定すればよいが、通常はレジスト剤100重量部に対して1〜30重量部の範囲である。
【0052】
以上、本発明のアダマンタン誘導体の有用性について、レジスト添加剤を例に説明したが、該化合物の用途はこれに限定されるものではなく、樹脂用の添加剤、コーティング材料としても有用である。
【0053】
【実施例】
以下、本発明を説明するために、実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
実施例1 下記式で示される1−アダマンタン酢酸−2−エチル−2−アダマンチルエステルの合成
【0055】
【化13】
【0056】
(1) 1−アダマンタン酢酸クロライドの合成
温度計および窒素ラインを有した三方コックを備え付けた100mlの三つ口フラスコに1−アダマンタン酢酸1.94g(10mmol)、トルエン4ml、N,N−ジメチルホルムアミド0.1mlを仕込み、窒素を0.1ml/minの流速で気流した。15℃に冷却した後、オキサリルクロライドを2ml(23.4mmol)滴下した。滴下終了後、室温に戻して2時間攪拌した後、トルエン、オキサリルクロライドをロータリーエバポレーターにより留去すると、微淡黄色の1−アダマンタン酢酸クロライドの結晶が2.11g(収率99.3%)得られた。
【0057】
(2) 2−エチル−2−アダマンチルアルコキシリチウムの合成
温度計および窒素ラインを有した三方コックを備え付けた100mlの三つ口フラスコに2−アダマンタノン1.53g(10.2mmol)、テトラヒドロフラン6ml、臭化エチル1.33g(12.2mmol)を仕込み、窒素を0.1ml/minの流速で気流した。30℃で攪拌しながら金属リチウム0.14g(20.4mmol)を添加し、40℃で2時間攪拌し、少量サンプリングした反応溶液を水にあけ、テトラヒドロフランで抽出したものをガスクロマトグラフィーにより分析した。2−エチル−2−アダマンタノールが2−アダマンタノンに対して97%以上であることを確認し、反応を終了とし、5℃に冷却した。この反応液を次の合成にそのまま使用した。
【0058】
(3) 1−アダマンタン酢酸−2−エチル−2−アダマンチルエステルの合成
(2)で得られた5℃の2−エチル−2−アダマンチルアルコキシリチウムの反応溶液に、(1)で得られた微淡黄色の1−アダマンタン酢酸クロライドの結晶2.11gを5mlのジクロロメタンに溶解した溶液を発熱に気をつけながら滴下した。室温に戻し、3時間攪拌した後、反応液に水20ml添加し、反応を終了とした。水を分液後、飽和食塩水20mlで3回洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去すると、オレンジ色のオイル状生成物を4.5g得た。カラムクロマトグラフィーにより精製すると無色液体が2.5g(収率70%)得られた。次いで、得られた上記無色液体について核磁気共鳴スペクトル(NMR)分析、赤外吸収スペクトル(IR)分析、質量スペクトル分析及び元素分析を行なった。その結果を以下に示す。
【0059】
NMR分析結果(重クロロホルム中):
1HNMR(500MHz);δ(ppm)=0.80(t,3H,エチル基中のメチル水素),1.66(d,20H),1.95,2.00,2.02,2.06,2.15(q,2H,エチル基のメチレン水素),2.33(d,2H)
13CNMR(125MHz);δ(ppm)=7.15(エチル基中のメチル炭素),24.8,27.3,28.8,33.8,34.4,37.0,38.6,42.6,50.1,89.1(アダマンタン骨格の4級炭素),171.2(エステル基の炭素)
赤外吸収スペクトル(cm−1):1720(C=O)
質量スペクトル:ACPI法 (m/e):357(M+H)
元素分析値(重量%):
計算値; C:H=80.85:10.18(C24H36O2として)
実測値; C:H=80.24:10.06
【0060】
【発明の効果】
本発明のアダマンタン誘導体は、透光性、耐熱性、酸感応性、耐水性、耐エッチング性、溶解性等の物性に優れる新規な化合物であり、レジスト添加剤、樹脂添加剤、コーティング材料等として有用である。
Claims (2)
- 下記式(1)
R2は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基または下記式(2)
R3は、水酸基、ハロゲン原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、
mは0〜3の整数であり、nは1〜3の整数であり、oは0〜3の整数である。〕で表されるアダマンタン誘導体。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081014 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090330 |