JP4425157B2 - ウエットシート用シート基材 - Google Patents

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Description

本発明は、清拭用ウエットシートに用いられるシート基材に関する。
シート基材に液体を含浸させてなるウエットシートを複数枚重ねて容器中に保存すると、重力の影響で液体は下の方に移動する傾向にあり、液体の含有量がシート毎に異なってしまう場合がある。これに起因して、ウエットシートの使用時に、液体の性能が十分に発揮されないことがある。また液体の含有量が少ないことによる使用感の低下も起こりやすい。更に、場合によっては、容器の底に液体が溜まってしまい、液が無駄になってしまう。例えばウエットシートがメイク落としシートの場合、重ねたシートのうちの上の方のシートは乾燥して液量感が少なく、洗浄性に劣り、下の方のシートはべたついて感触が悪くなる。また、メイク落としシートには、少なく洗浄回数でメイクを落とすことができ、メイク落としに時間が掛からず、しかも皮膚を刺激しないことも求められている。更に、シートがしなやかであることが、顔の起伏に追従しやすくなる点から好ましい。シートがしなやかであると、特に、しわなどが多い高齢者の場合、メイク落としが一層楽になる。
ウエットシートを複数枚重ねて保存しても液体の移動が起こらないようにするために、坪量が15〜200g/m2であるポリオレフィン樹脂のメルトブローン不織布を用いることが提案されている(特許文献1参照)。このメルトブローン不織布は、孔の少なくとも65%が、20〜60μmのサイズを持つ孔で占められていることを特徴としている。
これとは別に、吸水性を高めることを目的として、分割型複合繊維を用いた布帛が提案されている(特許文献2参照)。この布帛は、構成する繊維の太さが互いに相違している複数の繊維層で構成され、表面層を構成する繊維が、他の層の構成繊維よりも太い繊維からなる。このような構成にすることで、毛細管現象によって、太い繊維で構成された層を水分が素早く通過し、単繊維表面積の大きい細い繊維で構成された層に吸収されるとされている。しかし、この布帛をウエットな状態にして数十枚単位で重ねた場合、下方への液体の移動を充分に防止することはできない。
特開昭63−54137号公報 特開2004−255256
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得るウエットシート用のシート基材を提供することにある。
本発明は、繊維シートからなり、液体が含浸されて身体の清拭に用いられるウエットシート用シート基材であって、
繊維シートは、その一方の表面を構成する第1の層と、他方の表面を構成する第2の層と備えた多層構造からなり、
第1の層が、分割型複合繊維30〜70重量%及び親水性繊維30〜70重量%を含み、該分割型複合繊維が分割された状態になっており、その分割率が20〜80%であるウエットシート用シート基材を提供することにより前記目的を達成したものである。
本発明のシート基材によれば、分割繊維の分割により生じた極細繊維のエッジ部分により掻き取り性が付与されるので、該シート基材を用いたウエットシートによって清拭対象面を清拭すると、該対象面に存する汚れが効果的に掻き取り除去される。また、液体を含浸させて複数枚を積層状態で保存しても、液体の移動が少なくなる。従って、含浸された液体の性能を十分に発揮させることができる。更に、液体が適正な量でシートから放出されるので、清拭対象面の清拭性が良好になる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。先ず第1の実施形態のシート基材について説明する。シート基材は、これに所定の液体が含浸されてウエットシートとして使用されるものである。本実施形態のシート基材は繊維シートからなる。図1に示すように繊維シートからなるシート基材10は、その一方の表面を構成する第1の層1と、他方の表面を構成する第2の層2と、両層間に位置する中間層3とを備えた3層構造からなる。第1の層1及び第2の層2のうち、少なくとも第1の層1は、分割型複合繊維及び親水性繊維を含む。好ましい実施形態においては、第1の層1及び第2の層2の何れもが分割型複合繊維及び親水性繊維を含む。
第1の層1に含まれる分割型複合繊維は、少なくともその一部が分割された状態になっている。例えば図2に示すように半径方向に放射状に八分割可能な分割型複合繊維を用いた場合は、1本の分割型複合繊維から最大で8本の極細繊維が生ずる。分割により生じた極細繊維は、同図に示すように角のあるエッジ部分E及びエッジ部分Fを有する。このエッジ部分E及びエッジ部分Fが存在することによって、本実施形態のシート基材を用いたウエットシートで対象物を清拭すると、対象物の表面に存する汚れが効率的に掻き取られる。従来のウエットシート用のシート基材にも分割型複合繊維を用いたものは存在するが、本発明者らがその構造を詳細に調べたところ、意外にも分割が殆ど生じていないことが判明した。従って、本実施形態のウエットシートに比較して、分割型複合繊維を用いた従来のウエットシートは、汚れの掻き取り効果を殆ど有さない。
第1の層1に含まれる分割型複合繊維が分割していることによって、第1の層1には極細繊維が数多く含まれることになる。その結果、第1の層1は低剛性のしなやかなものとなり、ひいては基材シート10全体としてもしなやかなものとなるという副次的な効果が生じる。
前述の掻き取り効果に加え、第1の層1に含まれる分割型複合繊維が分割していることによって、第1の層1においては、平均繊維間距離が小さくなっている。それによって第1の層1は液体の遮蔽層としての働きを有する。その結果、ウエットシートの積層保存中に液体の移動が起こりにくくなる。
ウエットシートの積層保存中における液体の移動を一層起こりにくくする観点から、第1の層1及び第2の層2と、中間層3とで平均繊維間距離に差を設けることが好ましい。特に、第1の層1及び第2の層2の平均繊維間距離がそれぞれ0.1〜25μm、特に1〜15μmで、中間層3の平均繊維間距離が1〜50μm、特に2〜35μmであり、第1の層1及び第2の層2の平均繊維間距離が中間層3の平均繊維間距離よりも小さくなっていることが好ましい。とりわけ、第1の層1及び第2の層2の平均繊維間距離と、中間層3の平均繊維間距離との差が2〜30μm、特に10〜25μmであることが、液体移動時の抵抗力が増加し、液体の移動時間が遅くなることから好ましい。また、中間層の空隙が広くなることにより、含浸率や徐放性が上がることから好ましい。この場合、第1の層1の平均繊維間距離と第2の層2の平均繊維間距離は同じでもよく或いは異なっていてもよい。平均繊維間距離は次式から算出される。
第1の層1及び第2の層2の平均繊維間距離を前記の範囲にするためには、例えばこれらの層に含まれている分割型複合繊維の分割の程度を適切にコントロールすればよい。またこれらの層がスパンレース法で製造される場合には、水流交絡の水圧を適宜コントロールすればよい。また水流交絡は目的に応じて何回かに分けて行われてもよい。水圧はウエブの表側若しくは裏側から加えられてもよく、又は両側から加えられても良い。ウエブの表側とは、初めに水流交絡される側で、第1ウォータージェット面とも呼ばれる。裏側とは、初めに水流交絡される側の逆側で、第2ウォータージェット面とも呼ばれる。水圧は何段階かに調整してもよい。例えば水圧を高めに設定すると繊維間距離は小さくなる傾向にあるが、その反面、地合いが乱れる傾向にある。逆に水圧を低めに設定すると繊維間距離は大きくなる傾向にあるが、その反面、繊維が交絡せず強度が高くならない傾向にある。必要に応じて、水流交絡後にプレスロールでプレスすることもできる。或いは、水流交絡した後に乾燥を行い、その後プレスを行うこともできる。中間層3の平均繊維間距離を前記の範囲にするためには、やはり同様の手法を用いればよい。
第1の層1及び第2の層2が例えばスパンレース法で製造される場合、その平均繊維間距離を均一に保つ点、汚れの掻きとり効果の向上の点、及び外観の点から、分割型複合繊維の分割の程度をコントロールするために、ウエブを水流交絡させるときのエネルギー量を、ウエブの表側及び裏側ともに300〜1400kJ/kgにコントロールすることが好ましい。エネルギー量がこの範囲内であれば、分割型複合繊維を確実に分割させることができ、分割率が高くなる。また平均繊維間距離を適切な値とすることができ、更に極細繊維のエッジ部分による掻き取り効果を十分に発現させることが可能となる。更に、エネルギー量が高すぎることに起因する、分割前の複合繊維の横方向への移動が防止され、平均繊維間距離の大きい部分と小さい部分とが生じることが防止される。その上、分割型複合繊維の過度の分割に起因する感触の低下が防止され、また繊維が乱れることに起因する地合いの低下も防止される。エネルギー量は、ウエブの表側は、特に500〜1300kJ/kg、ウエブの裏側は、特に400〜1000kJ/kgであることが好ましい。例えばエネルギー量を、表側を高めに、裏側を弱めに設定することで、表側の繊維間距離が小さく保たれる。その結果、ウエットシートの積層保存中に表側を上にすることで、液体の蒸発に起因する含浸率の低下が抑制されるので好ましい。エネルギー量は次式で計算される。エネルギー量は、ノズル穴径、穴の数、ウエブ速度、坪量、水圧でコントロールされる。
水流交絡のエネルギーは、トータルのエネルギー量が前記の範囲内になれば、何回かに分けても加えてもよい。例えば、ウエブの表側に3回、ウエブの裏側に2回加えることが好ましい。具体的には、ウエブ表側の1回目及び2回目のエネルギー量を上昇させ、3回目は、1回目及び2回目よりもノズルの穴径を細くし、エネルギー量を2回目よりも減少させることが好ましい。このような操作により、繊維が乱れず、また繊維の分割率を容易に前記の範囲内とすることができる。エネルギー量は、例えば、ウエブ表側の1回目は、120〜250kJ/kg、特に140〜200kJ/kgであることが好ましい。2回目は、1回目の1.5倍〜4倍、特に2〜3.6倍、3回目は、1回目の1倍〜2.2倍、特に1.3倍〜2倍であることが好ましい。ウエブ裏側の1回目は表側の1回目に対して、1.2倍〜3.2倍、特に1.5〜3倍、2回目は、1.2倍〜2.5倍、特に1.5〜2.2倍であることが好ましい。ノズルの穴径を繊維径の3倍以上、ノズル穴のピッチを繊維径の25倍以上とすることで、分割型複合繊維を効率良く分割できるようになる。ノズル穴の配列は、ストレート状でも良いし千鳥格子状でも良い。
分割型複合繊維の分割によって生じる極細繊維のエッジ部分による掻き取り効果を十分に発現させる観点、及び適切な平均繊維間距離を保つ観点から、第1の層1においては分割型複合繊維の分割率を20〜80%とし、好ましくは30〜70%、更に好ましくは50〜60%とする。分割率が20%未満では、極細繊維のエッジ部分による掻き取り効果が十分に発現せず、また平均繊維間距離が大きくなり過ぎてしまう。一方、分割率が80%超になると、エッジ部分による掻き取り効果が高くなり過ぎて皮膚を刺激し、またウエットシートの感触が低下してしまう。
本発明において分割型複合繊維の分割率とは、走査型電子顕微鏡写真で一定面積(試料サイズ5×10mm、倍率150倍、N=5回)を観察し、以下の式から算出する。
分割率(%)=実際の分割数/分割可能数×100(%)
例えば、一定面積に8分割可能な分割型複合繊維が10本(即ち分割可能数が8×10)あり、うち41本が分割している場合、分割率=41/(8×10)×100=51%となる。具体的には、8分割可能な複合繊維からなる試料の断面の走査型電子顕微鏡写真が図3に示すようなものである場合、分割率は、図4に示すように16/(8×4)×100=50%である。
分割型複合繊維の分割率が前記の範囲内であることに加えて、第1の層1においては、分割が生じていない分割型複合繊維の比率(以下、非分割繊維存在率という)が0〜30%、特に1〜30%、とりわけ1〜25%であることが好ましい。非分割繊維存在率がこの範囲にあることで、感触を低下させない程度に十分な掻き取り効果を発現させることができる。また、適切な平均繊維間距離を保つことができる。
本発明において非分割繊維存在率とは、走査型電子顕微鏡写真で一定面積(試料サイズ5×10mm、倍率150倍、N=5回)を観察したときの、分割型複合繊維の総数に対して分割が生じていない分割型複合繊維数の割合である。例えば、一定面積に8分割可能な分割型複合繊維が10本あり、そのうち2本に分割が生じていなく、残りの8本が2〜8分割している場合、非分割繊維存在率(%)は2/10×100=20%となる。
分割型複合繊維の分割率や非分割繊維存在率を前述の範囲内とするためには、分割条件を適切に制御すればよい。例えば分割型複合繊維が外力によって分割可能なものである場合には、外力の程度や外力を加える時間を適宜調整すればよい。分割型複合繊維が化学薬品処理によって分割可能なものである場合には、薬品の種類や濃度、処理時間や処理温度を適宜調整すればよい。このような条件は、格別の困難性なく当業者が設定し得るものである。
分割型複合繊維は、一般に、外力処理や化学薬品処理によって極細繊維に分割する。特に、図2に示すように、半径方向に放射状に分割可能な繊維を用いると、エッジ部分が容易に得られやすいことから好ましい。また、図5に示すように、中空の繊維であって且つ半径方向に放射状に分割可能な繊維を用いることも好ましい。一本の極細繊維から複数のエッジ部分が得られ、掻き取り効果を高めやすいからである。分割型複合繊維は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
分割型複合繊維は、その分割によって生じた極細繊維の単糸繊度が0.05〜1.4dtex、特に0.1〜1dtexとなるように分割可能であることが好ましい。単糸繊度がこの範囲内であれば、掻き取り効果が十分に発現し、また適切な平均繊維間距離を保つことができる。
単糸繊度に比較して、分割型複合繊維の繊度(分割前の繊度)は、本発明において臨界的ではない。分割型複合繊維の繊度は一般に1〜6dtex、特に2〜4dtexであることが好ましい。
分割型複合繊維を構成する素材としては、各素材間の接合が外力や化学薬品によって解除可能になるように適切な組み合わせが選択される。例えばポリエチレンテレフタレート(PET)とポリエチレン(PE)との組み合わせ、ポリエチレンテレフタレート(PET)と低融点ポリプロピレン(PP)との組み合わせ、ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)との組み合わせ等が挙げられる。
また、分割型複合繊維を構成する素材として、先に述べた特許文献2の段落〔0015〕ないし〔0017〕に記載のポリマーの組み合わせを用いることもできる。例えばポリカプラミドポリマー及びポリエステルポリマーの少なくとも2成分組み合わせを用いることができる。
ポリカプラミドポリマーとしては、ポリε−カプラミド(ナイロン6)からなるポリカプラミドや、セバシン酸、イソフタル酸、パラキシレンジアミドなどを構成成分とするポリカプラミド、或いはこれらの共重合ポリカプラミド等が挙げられる。良好な風合いと肌触り、良好な吸湿性を有する観点から、ナイロン6(N6)ポリマーが好ましい。
一方、ポリエステルポリマーとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタリン2,5−ジカルボン酸、α,β−(4−カルボキシフェノキシ)エタン、4,4’−ジカルボキシジフェニル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオル、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩等の芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸;ジオール;ヒドロキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等から合成される繊維形成性ポリエステルが挙げられる。特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンテレフタレートなどを主成分とするポリエステルポリマーが好ましい。とりわけ、構成単位の80モル%以上、特に90モル%以上がエチレンテレフタレート単位又はブチレンテレフタレート単位であるポリエステルポリマーが好ましい。
分割型複合繊維は、親水性であってもよく、疎水性であってもよい。親水性である場合には、シート基材10の液保持性が良好になるので好ましい。尤も、後述するように、シート基材10には、分割型複合繊維とは別に親水性繊維が配合されるので、分割型複合繊維が親水性でなくてもシート基材10には十分な液保持性が付与される。
第1の層を例えばカード法やエアレイド法によって製造する場合には、分割型複合繊維は、短繊維として用いられる。
第1の層1においては、分割型複合繊維が30〜70重量%含まれ、好ましくは40〜60重量%含まれている。分割型複合繊維の量が30重量%未満の場合には、極細繊維の量が少なく、たとえ分割したとしてもエッジ部分による掻き取り効果が十分に発現せず洗浄力が低下する。一方、分割型複合繊維の量が70重量%超になると、分割型複合繊維を分割するエネルギー量が多量に必要で、たとえ分割しても、エッジ部分による掻き取り効果が高くなり過ぎ、洗浄力は上がるもののウエットシートの感触が低下し、場合によっては皮膚を刺激してしまうので好ましくない。
第1の層1においては、分割型複合繊維に加えて親水性繊維が含まれている。親水性繊維は、シート基材10に十分な液保持性を付与する目的で用いられる。親水性繊維としては、本来親水性を有する繊維、及び本来は親水性でないが親水化処理によって親水性になされた繊維の双方を用いることができる。本来親水性を有する繊維としては、例えばコットン等の天然繊維や、パルプ、レーヨン、アクリル、キュプラ、テンセル、リヨセル等が挙げられる。本来は親水性でないが親水化処理によって親水性になされた繊維としては、例えばポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂等の疎水性樹脂からなる繊維に親水化処理を施した繊維が挙げられる。これらの繊維のうち、風合いの良好さの点からコットン、レーヨン、アクリル、テンセル、リヨセルを用いることが好ましく、特にコットンを用いることが好ましい。親水性繊維は一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
親水性繊維は、その繊度が好ましくは0.2〜5.5dtexであり、更に好ましくは0.8〜4.4dtex、一層好ましくは1.3〜3.3dtexである。この範囲の繊度の繊維を用いると、分割型複合繊維との併用によって、第1の層1における平均繊維間距離を適正にコントロールすることが容易となる。親水性繊維を二種以上用いる場合には、少なくとも一種の親水性繊維の繊度が前記の範囲内であることが好ましい。特に、すべての親水性繊維の繊度が前記の範囲内であることが好ましい。
天然繊維であるコットンを用いた場合は断面形状が真円でないので、断面の縦横比を3として計算した場合に、前記の太さ範囲に入ることが好ましい。この範囲の繊維径の繊維を用いると、先に述べた平均繊維間距離を適正にコントロールすることが容易となる。親水性繊維を二種以上用いる場合には、少なくとも一種の親水性繊維の太さが前記の範囲内であることが好ましい。更に好ましくはすべての親水性繊維の太さが前記の範囲内である。
親水性繊維としてコットンを用いた場合、マイクロネア繊度(μg/in)は2.5〜6.0μg/in、特に3.1〜4.4μg/inであることが、ウエットシートの感触が良好になることから好ましい。
親水性繊維の繊維長については特に制限はされないが、使用時の感触及び生産性の点から5〜70mmであることが好ましい。
第1の層1においては、親水性繊維が30〜70重量%含まれ、好ましくは40〜60重量%含まれている。親水性繊維の量が30重量%未満の場合には、第1の層1の液保持性が十分とならず、ウエットシートの積層保存中に液体の移動が起こりやすくなる。一方、親水性繊維の量が70重量%超になると、分割型複合繊維の量が相対的に少なくなり、分割型複合繊維の分割によって生じた極細繊維のエッジ部分による掻き取り効果を十分に高めることができない。
分割型複合繊維及び親水性繊維を含む第1の層1は、その全体の平均繊維径が0.1〜5.5dtex、特に0.4〜3.3dtexであることが、平均繊維間距離を適正にコントロールすることができ、液体の移動が起こり難くなる点から好ましい。第1の層1全体の平均繊維径は、以下の式から算出される。
平均繊維径(μm)=各々繊維直径(μm)×各々重量割合(%)の和/100
第1の層1は、その坪量が10〜100g/m2、特に20〜50g/m2であることが、ウエットシートの感触や柔らかさの点から好ましい。第1の層1の厚みは、前記の坪量等との関係から、0.05〜0.6mm、特に0.1〜0.5mmであることが好ましい。
分割型複合繊維及び親水性繊維を含む第1の層1は、種々の繊維シートの形態で用いることができる。例えば湿式スパンレース不織布、乾式スパンレース不織布、エアレイド不織布、エアスルー不織布など各種不織布の形態で用いることができる。これらの不織布のうち、液体の含浸性能、保持性能、風合い、分割型複合繊維の分割容易性等の点から湿式スパンレース不織布又は乾式スパンレース不織布等を用いることが好ましい。
本実施形態の基材シート10における第2の層2は、これまでに説明した第1の層1と同様の構成とすることができる。従って、第2の層2に関して特に説明しない点については第1の層1に関する説明が適宜適用される。第2の層2を、第1の層1と同様の構成にすることで、第2の層2も液体の遮蔽層としての働きを有する。また、第2の層2を、第1の層1と同様の構成にすることで、基材シート10に液体を含浸させてなるウエットシートの表裏どちらの面も、清拭に供することができる。
本実施形態の基材シート10における中間層3は、主として液体の保持層としての働きを有する。中間層3は、先に述べた通り、第1の層1及び第2の層2よりも、平均繊維間距離が大きいことが好ましい。このような中間層3と、先に述べた第1の層及び第2の層2との相乗作用によって、ウエットシートの積層保存中における液体の下方への移動を効果的に防止することができる。中間層3はスパンレース不織布、経緯直交不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布などから構成されていることが好ましい。特に、スパンレース不織布、経緯直交不織布が好ましい。経緯直交不織布としてはミライフ(商品名;新日石プラスト(株))の縦又は縦横の不織布が好ましい。
中間層3を構成する繊維に特に制限はなく、親水性繊維及び疎水性繊維の何れも用いることができる。親水性繊維と疎水性繊維とを組み合わせて用いることもできる。親水性繊維としては、第1の層1及び第2の層2に含まれるものと同様のものを用いることができる。特にコットンを用いることが好ましい。疎水性繊維としては、各種合成樹脂からなる繊維を用いることができる。中間層3を構成する繊維は、一般に分割型複合繊維を含んでいない。しかし、第1の層1及び第2の層2を構成する繊維と同様に、分割型複合繊維を含むことは妨げられない。
中間層3が、コットンのスパンレース不織布から構成されていることも好ましい。この不織布はコットンに由来して親水性が高く、また液体の保持能力が高いからである。
液体の保持効果は、中間層3の坪量にも関係する。坪量が低すぎると、液体を十分に保持することができず、液体が下方へ移動しやすくなる傾向にある。一方、坪量が高すぎると、液を保持する能力は十分であるものの、ウエットシートの使用感が低下する傾向にある。これらを勘案すると、中間層3の坪量は、1〜60g/m2、特に2〜40g/m2であることが好ましい。また中間層3の厚みは0.02〜0.3mm、特に0.03〜0.25mmであることが好ましい。
中間層3としてコットンのスパンレース不織布を用いる場合、コットンとしては、第1の層1及び第2の層2に用いられるコットンとして先に説明したものと同様のものを用いることができる。
特に中間層3は疎水性繊維を30〜100重量%、とりわけ50〜100重量%含んでいることが好ましい。これによって中間層3が、液体の下方への移動を妨げる遮断層として作用するからである。この観点から、中間層3は、疎水性繊維100%から構成されていていることが特に好ましい。
第1の層1及び第2の層2と中間層3とは、各種方法によって一体化させることができる。一体化の手段としては例えばヒートエンボス等による熱融着、接着剤による接着、水流による繊維交絡などが挙げられる。中間層3が経緯直交不織布からなり、第1の層1及び第2の層2がスパンレース不織布からなる場合には、経緯直交不織布の一面にウエブを積層し、その上から高圧水流を噴射して、ウエブの構成繊維どうし及び該構成繊維と経緯直交不織布の構成繊維とを繊維交絡させ、次いで経緯直交不織布の他面にも同様の処理を施してシート基材10を得ることが、簡便且つ経済的である。
シート基材10はその坪量にもよるが、その厚みが0.22〜1.2mm、特に0.24〜1mm、とりわけ0.26〜0.8mmであることが好ましい。またシート基材10はその坪量が20〜150g/m2、特に50〜100g/m2であることが好ましい。厚み及び坪量がこの範囲内であれば、液体の保持性能を十分に高めることが可能となる。坪量は、シート基材10を100mm×100mmの寸法に切り出してその重量を測定し、これを1m2の重量に換算して求める。厚みは、シート基材を100mm×100mmの寸法に切り出して、1960Paの荷重下で測定する。
シート基材10は、その飽和液量が単位重量当たり50〜1000%、特に100〜800%であることが好ましい。これによって十分な量の液体を保持することができる。飽和液量は、シート基材10を構成する繊維によって形成される空間と、繊維自身の材質に依存するものである。従って、シート基材10の厚みを単に薄くすれば液体の保持性能が向上するというものではなく、該性能を向上させるためには飽和液量も考慮する必要がある。飽和液量はシート基材10を100mm×100mmの寸法に切り出してその重量を測定する。イオン交換水にシート基材10を15分以上浸漬し、取り出し後に1分以上液をしたたり落とし、重量を測定し、浸漬前後の重量の差を計算することにより求めることができる。
シート基材10は、液体が400%含浸され、490Pa(5gf/cm2)の荷重を10秒間加えた状態での液体の徐放率が260%以上であることが、シート基材10から十分な量の液体を徐放させることができ、汚れの除去性能を高め得る点から好ましい。シートから徐放された液体は、肌の汚れやメイク汚れを溶解・肌から除去した後、シート基材10に吸い戻されることにより肌の汚れを除去することが可能になる。
徐放率の測定条件を「490Pa(5gf/cm2)の荷重を10秒間加えた状態」とする理由は、当該荷重と時間が、人が肌を清拭する際の条件とほぼ一致することによる。徐放率は以下の方法で測定される。環境条件22℃/65%、50mm×200mmの大きさに調整したシート基材10の重量Aを測定し、重量Aの4倍に相当する重量の液体を含浸させる。含浸後の重量をBとする。次に液体を含浸させたシート基材10をキムタオル(商品名;クレシア(株)社製)で全体を包み込む。次に、キムタオルで包んだシート基材10の上に、100mm×100mmのアクリル板を載せ、その上に合計500gの荷重がかかるように重りを載せる。10秒後に重り及びアクリル板を取り除いた後に、シート基材10の重量Cを測定し、以下の式により徐放率を算出する。
徐放率(%)=(B−C)/A×100
シート基材10には各種液体を含浸保持させるために、次式で示す空隙率を70〜99%、特に85〜99%とすることが好ましい。空隙率を70%以上とすることで、液体を十分保持することが可能になり、99%以下にすることで生産性を向上させることができる。空隙率のこの範囲とするためには、例えば、水流交絡の水圧やウエブの坪量をコントロールすればよい。或いは水流交絡時にプレスロールでプレスしたり、水流交絡した後に乾燥を行いその後プレスを行う、ことでコントロールすればよい。
空隙率(%)=(ρ−ρ’)/ρ×100
式中、ρはシートの比重を表し、ρ’はシートの見かけ比重を示す。
シート基材10には各種液体が含浸されウエットシートとなされる。含浸する液体の種類は、ウエットシートの具体的な用途に応じて適切なものが選択される。例えばウエットシートをメイク落としシートとして用いる場合には、液体として、界面活性剤を含む水性液、O/W乳化系エマルション、W/O乳化系エマルション、油剤のジェル、クリーム、オイルを用いることができる。特に非イオン系界面活性剤とグリセリンを含有する水溶液が好ましい。さらに、非イオン系界面活性剤がモノラウリン酸ポリエチレングリコールであることが好ましい。マスカラ等の皮膚付着性の高い、水性及び油性メイクアップ化粧料の洗浄を目的とする場合には、水系増粘剤0.01〜0.5質量%、沸点が160〜300℃の油剤5〜30重量%、および水を含有するO/W乳化系エマルジョンが好ましい。特に、油剤が沸点160〜300℃のイソパラフィンであるO/W乳化系エマルジョンが好ましい。イソパラフィンとしては、マルカゾールR(丸善石油化学株式会社)やIPソルベント1620、2028(出光石油化学株式会社)等を用いることができる。
シート基材10への液体の含浸量は、ウエットシートの具体的な用途にもよるが、シート基材10の単位重量当たり100〜600%、特に200〜450%であることが好ましい。また、液体の粘度は30℃において1〜1000000mPa・sであることが好ましく、含浸性を考慮すると1〜70000mPa・sであることが更に好ましい。本発明において粘度は、BM型粘度計(トキメック社製)を用い、ローターNo.2、60rpm、30℃の条件で測定した。
このようにして得られたウエットシートは、分割型複合繊維の分割によって生じた極細繊維のエッジ部分の掻き取り効果によって、清拭対象面に存する汚れを効果的に掻き取り除去できる。例えばウエットシートをメイク落としシートとして用いた場合、肌表面の化粧料、特に粉体系の化粧料を効果的に掻き取ることができる。
更にウエットシートは、これを複数枚重ねて保存しても、液体の移動が抑制される。ウエットシートの各層の繊維間距離は、液体を含浸させる前のシート基材における各層の繊維間距離と大きな差はない。
本実施形態のシート基材を備えたウエットシートは、身体の清拭用シートとして用いられる。例えば、メイク落としシート、制汗シート、おしりふき等として好適に用いられる。また、硬質表面の清拭用シートとしても用いられる。例えばフローリングなどの床用清掃シートとして好適に用いられる。
次に、本発明の第2の実施形態について図6を参照しながら説明する。第2の実施形態に関し、特に説明しない点については、第1の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図6において、図1〜図5と同じ部材に同じ符号を付してある。
本実施形態のシート基材10は、第1の層1及び第2の層2の2層構造である。各層はそれぞれ基材シート10の各表面を構成している。第1の層1は、分割型複合繊維及び親水性繊維を含んでいる。第1の層1の詳細については第1の実施形態と同様である。好ましい実施形態においては、第1の層1及び第2の層2の何れもが分割型複合繊維及び親水性繊維を含む。この場合には、基材シート10に液体を含浸させてなるウエットシートの表裏どちらの面も、清拭に供することができる。
本実施形態においては、平均繊維間距離が、第1の実施形態と相違する。本実施形態においては、ウエットシートの積層保存中における液体の移動を起こりにくくする観点から、第1の層1と第2の層2とで平均繊維間距離に差を設けている。具体的には、第1の層1の平均繊維間距離が0.1〜25μm、特に1〜15μmで、第2の層2の平均繊維間距離が1〜50μm、特に2〜35μmであり、第1の層1の平均繊維間距離が第2の層2の平均繊維間距離よりも小さくなっていることが好ましい。とりわけ、第1の層1の平均繊維間距離と、第2の層2の平均繊維間距離との差が2〜30μm、特に10〜25μmであることが好ましい。第1の層1の平均繊維間距離が第2の層2のそれよりも小さいと、液体が下方への移動を効果的に防止することができる。また、第1の層1の平均繊維間距離を、第2の層2の平均繊維間距離よりも小さくすることにより、ウエットシートの積層保存時、液体の蒸発による含浸率の低下が抑制されるので好ましい。
このように、本実施形態においては、第1の層1と第2の層2とで平均繊維間距離に差を設けることで、第1の層1と第2の層2における毛管力に差を生じさせている。この結果、ウエットシートの積層保存中における液体の移動が起こりにくくなる。
ウエットシートの積層保存中における液体の移動を一層起こりにくくする観点から、第2の層2は、疎水性繊維を含んでいることが好ましい。具体的には、疎水性繊維を30〜100重量%、特に50〜100重量%含んでいることが好ましい。これによって第2の層2が、液体の下方への移動を妨げる遮断層として作用するからである。この観点から、第2の層2は、疎水性繊維100%から構成されていていることが特に好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記の各実施形態において第2の層2は、第1の層1と同様に分割型複合繊維及び親水性繊維を含むことが好ましいが、それら以外の繊維から第2の層を構成してもよい。
また前記の各実施形態におけるシート基材10は2層又は3層構造のものであったが、シート基材を4層以上の多層構造にしてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
〔実施例1〕
コットン50%及びPET・PEの八分割型複合繊維50%を混綿し、カード機を用いて第1及び第2のウエブをそれぞれ形成した。コットンの繊度は1.7dtexであった。分割型複合繊維は繊度3.3dtex、繊維長51mmであった。分割により生じた極細繊維の単糸繊度はPETが0.32dtex、PEが0.22dtexであった。各ウエブの坪量は20.9g/m2であった。
これとは別に、コットン100%を原料とし、カード機を用いて中間ウエブを形成した。中間ウエブの坪量は20.9g/m2であった。この中間ウエブの各面に、第1及び第2ウエブをそれぞれ重ね合わせ、3層構造のカードウエブを作製した。その上から高圧水流を噴射して、カードウエブの構成繊維どうしを繊維交絡させた。これによって3層構造のシート基材を得た。水流交絡の水圧は、表側から3/5/4MPa(3回)、裏側から4/4MPa(2回)とした。
このようにして得られたシート基材に洗浄液として以下の処方1に示す洗浄液を含浸させてウエットシートを得た。洗浄液の含浸率は400%であった。
〔実施例2〕
実施例1において、水流交絡の水圧を、表側から3/7/5MPa(3回)、裏側から6/5MPa(2回)とした。また、水流交絡後に線圧30kg/cmでプレスを行った。これら以外は実施例1と同様にしてシート基材を製造した。得られたシート基材に実施例1と同様の洗浄液を同含浸率で含浸させてウエットシートを得た。
〔実施例3〕
実施例1で用いたコットンからなる中間ウエブに代えて、ポリエステルの経緯直交不織布の縦を用いた。坪量は5g/m2であった。経緯直交不織布の各面に、第1及び第2ウエブをそれぞれ重ね合わせ、3層構造のウエブを作製した。その上から高圧水流を噴射して、ウエブの構成繊維どうしを繊維交絡させた。これによって3層構造のシート基材を得た。水流交絡の水圧は、表側から3/7/5MPa(3回)、裏側から6/5MPa(2回)とした。これら以外は実施例1と同様にしてシート基材を得た。得られたシート基材に実施例1と同様の洗浄液を同含浸率で含浸させてウエットシートを得た。
〔比較例1〕
繊度1.7dtexのコットン100%を原料として用い、スパンレース法によってシート基材を製造した。得られたシート基材に実施例1と同様の洗浄液を同含浸率で含浸させてウエットシートを得た。
〔比較例2〕
実施例1において、水流交絡の水圧を、表側から2/2/2MPa(3回)、裏側から2/2MPa(2回)とする以外は実施例1と同様にしてシート基材を製造した。得られたシート基材に実施例1と同様の洗浄液を同含浸率で含浸させてウエットシートを得た。
〔評価〕
得られたシート基材における第1及び第2の層の分割型複合繊維の分割率、非分割繊維存在率、平均繊維間距離、平均繊維径及び坪量を表2及び表3に示す。また中間層の平均繊維間距離及び坪量も表2及び表3に示す。更にシート基材の飽和液量、徐放率、空隙率も表2及び表3に示す。更に、得られたウエットシートについて、保存後の液量感、しなやかさ、洗浄力を以下の方法で評価した。これらの結果を表2及び表3に示す。
〔液量感及び洗浄力〕
環境条件22℃/65%で、シート基材を縦75mm×横200mmの寸法に裁断し、これに処方1の洗浄液を含浸させた。含浸率は400重量%とした。このようにして得られたウエットシートを50枚重ねてアルミピロー袋に入れ密封し、50℃で1ヶ月保存した。保存後、室温に戻るまで放置した。その後、ウエットシートをアルミピロー袋から取り出し、上から2枚目と49枚目のシートの(1)液量感及び(2)洗浄力を以下の方法で評価した。なお最も下のシート及び最も上のシートは、アルミピロー袋の影響を受けているおそれがあるので、測定の対象としなかった。
(1)液量感
10人のモニターにウエットシートで顔を拭き取らせ、その際の肌の液量感を官能評価させた。(乾いた感じ、ベタベタした感じ)
評価基準
・2枚目及び49枚目のシートについて
◎;10人中8人以上が、液量感が良いと答えた。
○;10人中6人〜7人が、液量感が良いと答えた。
△;10人中4人〜5人が、液量感が良いと答えた。
×;10人中、液量感が良いと答えた人が3人以下。
(2)洗浄力
洗浄力の評価には、一般的なメイク汚れのうちで、最も強固な汚れである油性マスカラを用いた。油性マスカラ(商品名 コーセー、スポーツ ビューティ ファシオ パワーステイマスカラ(カールロング)BK001、株式会社コーセー製)0.0045gを、スライドガラス上に直径1.2cmの円状に均一に塗布して12時間放置して乾燥させ、モデル汚れを得た。各ウエットシートをモデル汚れ上にあてて、5秒間軽く押さえてから一定圧(100g/cm2)で拭き取りを行い、モデル汚れを完全に除去できるまでに必要な拭き取り回数を測定した。
評価基準
・2枚目及び49枚目のシートについて
◎ ;3回以下
○ ;4回以上5回以下
△ ;6回以上、10回以下
× ;11回以上
〔シートのしなやかさ〕
10人のモニターにウエットシートで顔を拭き取らせ、その際のシートのしなやかさを官能評価させた。
評価基準
◎;10人中8人以上が、シートがしなやかと答えた。
○;10人中6人〜7人が、シートがしなやかと答えた。
△;10人中4人〜5人が、シートがしなやかと答えた。
×;10人中、シートがしなやかと答えた人が3人以下。
表2及び表3に示す結果から明らかなように、各実施例のシート基材を用いたウエットシートは、比較例1及び2のシート基材を用いたウエットシートに比較して、2枚目と49枚目について保存後の液量感が良好で、液体の移動が抑制されていることが判る。また各実施例のシート基材を用いたウエットシートは、洗浄力が良好で、またシートがしなやかであることも判る。
本発明のシート基材の一実施形態を示す模式図である。 本発明に用いられる分割型複合繊維の一例を示す模式図である。 本発明のシート基材の一例の断面状態を示す走査型電子顕微鏡写真である。 図3に示す断面状態から分割型複合繊維の分割率を算出するためのモデル図である。 本発明に用いられる分割型複合繊維の他の例を示す模式図である。 本発明のシート基材の別の実施形態を示す模式図である。
符号の説明
1 第1の層
2 第2の層
3 中間層
10 シート基材(繊維シート)

Claims (7)

  1. 繊維シートからなり、液体が含浸されて身体の清拭に用いられるウエットシート用シート基材であって、
    繊維シートは、その一方の表面を構成する第1の層と、他方の表面を構成する第2の層と備えた多層構造からなり、
    第1の層が、分割型複合繊維30〜70重量%及び親水性繊維30〜70重量%を含み、該分割型複合繊維が分割された状態になっており、その分割率が20〜80%であり、
    第1の層の平均繊維間距離が0.1〜25μmで、第2の層の平均繊維間距離が1〜50μmであり、第1の層の平均繊維間距離が第2の層の平均繊維間距離よりも小さくなっているウエットシート用シート基材。
  2. 第2の層が疎水性繊維を30〜100重量%含んでいる請求項記載のウエットシート用シート基材。
  3. 繊維シートからなり、液体が含浸されて身体の清拭に用いられるウエットシート用シート基材であって、
    繊維シートは、その一方の表面を構成する第1の層と、他方の表面を構成する第2の層と備えた多層構造からなり、
    第1の層が、分割型複合繊維30〜70重量%及び親水性繊維30〜70重量%を含み、該分割型複合繊維が分割された状態になっており、その分割率が20〜80%であり、
    繊維シートが、第1の層、第2の層及び両層間に位置する中間層を備えており、第1の層及び第2の層の平均繊維間距離が何れも0.1〜25μmで、中間層の平均繊維間距離が1〜50μmであり、第1及び第2の層の平均繊維間距離が中間層の平均繊維間距離よりも小さくなっているウエットシート用シート基材。
  4. 中間層が疎水性繊維を30〜100重量%含んでいる請求項記載のウエットシート用シート基材。
  5. 第1の層の平均繊維径が0.01〜5.5dtexである請求項1ないし4の何れかに記載のウエットシート用シート基材。
  6. 親水性繊維がコットン繊維である請求項1ないし5の何れかに記載のウエットシート用シート基材。
  7. 請求項1ないし6の何れかに記載のシート基材に液体が含浸されてなる清拭用ウエットシート。
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