JP4424660B2 - イオン性液体からなる難燃性溶媒及びその製造方法 - Google Patents

イオン性液体からなる難燃性溶媒及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、イオン性液体からなる難燃性溶媒及びその製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、その化学構造中にハロゲンを含まないイオン性液体からなる難燃性溶媒、並びにその製造方法に関する。
従来から1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMI)クロリドとAlClを混合することによりいわゆるイオン性液体、すなわちイオン結晶が融解した状態の液体が生成することは知られており、このようなイオン性液体は従来の有機溶媒系とは異なる難揮発性、難燃性というユニークな特性を持っている。さらに、近年、AlCl アニオンの代わりに含フッ素アニオン(例えば、N(CFSO 、CFSO 、BF 、PF )を用いることにより、より耐水性が高く、取り扱いの容易なイオン性液体が得られることが提案されている(Bonhote,P.et al.,Inorg.Chem.,35,p.1168〜1178(1996)(非特許文献1)参照)。
このような従来のイオン性液体を構成するカチオンとしては、EMIに代表されるアルキルイミダゾリウムカチオン、アルキルピリジニウムカチオン、アルキルアンモニウムカチオン、アルキルホスフォニウムカチオン等が一般的であるが、イオン性液体を構成するアニオンとしては、上記のAlCl アニオンや含フッ素アニオンといったハロゲン含有アニオンを使用せざるを得ない場合が多かった。すなわち、系の融点を下げるためには、ハロゲンの強い電子吸引効果により負電荷を非局在化することで局所的なイオン結合を弱めるためにハロゲン含有アニオンを使用する必要があるということがいわば当業者の技術常識であった。
一方、イオン性液体はその難揮発性の性質により媒体の環境への拡散を最小限に止めることができるため、環境低負荷型のいわゆるグリーン溶媒として高い関心を集めている。しかし、イオン性液体を環境に配慮した真のグリーン溶媒として扱うためには、ハロゲンを含まないイオンを用いたハロゲンフリーのイオン性液体の作製が不可欠である。そのため、このような観点から、硝酸アニオンや酢酸アニオンのような非ハロゲン系アニオンを用いてイオン性液体を作製した例が報告されている(大野弘幸監修「イオン性液体」株式会社シー・エム・シー出版、p.169〜171、2003年2月1日発行(非特許文献2)参照)。また、別の例として、テトラオクチルアンモニウムカチオンが2,4,6−トリニトロフェノラートアニオンと室温で融解可能な塩を形成すること及びその製法が報告されている(H.Katano et al.,ANALYTICAL SCIENCES,Vol.19,No.5,p.651〜652,2003年5月10日発行(非特許文献3)参照)。
しかしながら、非特許文献2に記載のように硝酸アニオンや酢酸アニオンといった非ハロゲン系アニオンを用いてハロゲンフリーのイオン性液体を得ようとした場合にあっては、用いるカチオンを1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMI)カチオン以外のものとした場合に得られるイオン性液体の融点が高くなってしまうという問題があった。一方、融点が比較的低く室温で液体である非特許文献3に記載されているイオン性液体の報告例もあるが、EMI以外のカチオンを利用したハロゲンフリーのイオン性液体を見出すためには、無限といっても過言ではない有機イオンの組み合わせの中から多くのカチオンとアニオンとを組み合わせて検討する必要があり、EMI以外のカチオンを用いたハロゲンフリーのイオン性液体であって融点が十分に低いものは未だ十分に見出されていなかった。
Bonhote,P.et al.,Inorg.Chem.,35,p.1168〜1178(1996) 大野弘幸監修「イオン性液体」株式会社シー・エム・シー出版、p.169〜171、2003年2月1日発行 H.Katano et al.,ANALYTICAL SCIENCES,Vol.19,No.5,p.651〜652,2003年5月10日発行
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、アルキルイミダゾリウムカチオン以外のカチオンを用いて、難揮発性、難燃性という特性は維持しつつ、ハロゲンフリーでかつ融点が十分に低く、室温で液体であるイオン性液体からなる難燃性溶媒を提供すること、並びにそのようなイオン性液体からなる難燃性溶媒を効率よくかつ確実に得ることが可能な製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アニオンとしてスルホコハク酸ビス−2−エチルヘキシルアニオンを用い、かつ、カチオンとして特定のアルキルベンジルジメチルアンモニウムカチオン又は特定のアルキルピリジニウムカチオンを用いることにより、ハロゲンフリーでかつ融点が十分に低いイオン性液体からなる難燃性溶媒が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一のイオン性液体からなる難燃性溶媒は、下記一般式(1):
Figure 0004424660
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基を表す。)
で表されることを特徴とするものである。
また、本発明の第二のイオン性液体からなる難燃性溶媒は、下記一般式(2):
Figure 0004424660
(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基を表す。)
で表されることを特徴とするものである。
さらに、本発明の第一のイオン性液体からなる難燃性溶媒の製造方法は、下記一般式(3):
Figure 0004424660
(式中、Mは1価の金属を表す。)
で表される化合物と、下記一般式(4):
Figure 0004424660
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基を表し、Zはハロゲン原子を表す。)
で表される化合物とを、水と極性溶媒との混合溶媒中でイオン交換反応せしめた後、前記極性溶媒及び水を除去し、前記一般式(1)で表されるイオン性液体からなる難燃性溶媒を得ることを特徴とする製造方法である。
また、本発明の第二のイオン性液体からなる難燃性溶媒の製造方法は、下記一般式(3):
Figure 0004424660
(式中、Mは1価の金属を表す。)
で表される化合物と、下記一般式(5):
Figure 0004424660
(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基を表し、Zはハロゲン原子を表す。)
で表される化合物とを、水と極性溶媒との混合溶媒中でイオン交換反応せしめた後、前記極性溶媒及び水を除去し、前記一般式(2)で表されるイオン性液体からなる難燃性溶媒を得ることを特徴とする製造方法である。
なお、本発明のイオン性液体は、アニオンの負電荷が局在化しているにもかかわらず融点が十分に低く室温にて液体である。その具体的理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明のイオン性液体においてはアニオン、カチオン共に分子量が大きいため、1分子(塩)当たりのイオン結合の強さが、分子量が大きい分だけ見かけ上低減する。そのことが、アニオンの負電荷が局在化しているにもかかわらず室温で液状であることの理由の1つと本発明者らは推察する。また、本発明のイオン性液体におけるアニオンは、2本の長鎖アルキル基を持つと同時に、それぞれのアルキル基が直鎖ではなく分岐した構造を持っているため、立体化学的に結晶構造を非常にとりにくくなっている。このことも、本発明のイオン性液体が室温で液状を示すことの要因の1つであると本発明者らは推察する。
本発明によれば、アルキルイミダゾリウムカチオン以外のカチオンを用いて、難揮発性、難燃性という特性は維持しつつ、ハロゲンフリーでかつ融点が十分に低く、室温で液体であるイオン性液体からなる難燃性溶媒を提供することが可能になる。また、本発明の製造方法によれば、前記本発明のイオン性液体からなる難燃性溶媒を効率よくかつ確実に得ることが可能となる。
以下、本発明のイオン性液体からなる難燃性溶媒をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明のイオン性液体からなる難燃性溶媒は、下記一般式(1):
Figure 0004424660
あるいは、下記一般式(2):
Figure 0004424660
で表されるものである。
前記一般式(1)及び(2)中のアニオンは、スルホコハク酸ビス−2−エチルヘキシルアニオンであり、アルキル基として2本の2−エチルヘキシル基を有するものである。このように、本発明のイオン性液体においては炭素数8の分岐鎖状アルキル基を2本有するスルホコハク酸アニオンが用いられるが、アルキル基が直鎖状のものの場合には、融点が室温以上となるか、生成する化合物の粘度が非常に高くなる。また、アルキル基が分岐鎖状のものであっても炭素数が9以上のものの場合は生成する化合物の粘度が非常に高くなり、他方、炭素数が7以下のものの場合は融点が室温以上となる。
また、前記一般式(1)中のカチオンはベンジルジメチルアルキルアンモニウムカチオンであり、同式中のRは炭素数8〜20のアルキル基を表している。このようなアルキル基(R)としては、具体的には、直鎖又は分岐鎖状のオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基が挙げられ、低粘度及び低融点という観点からは特にドデシル基が好ましい。Rが炭素数7以下のアルキル基の場合は得られるイオン性液体の融点が室温(25℃)以上となり、他方、炭素数21以上のアルキル基の場合も同様に得られるイオン性液体の融点が室温以上になる。
また、前記一般式(2)中のカチオンはアルキルピリジニウムカチオンであり、同式中のRは炭素数が12〜18のアルキル基を表している。このようなアルキル基(R)としては、具体的には、直鎖又は分岐鎖状のドデシル基、直鎖又は分岐鎖状のトリデシル基、直鎖又は分岐鎖状のテトラデシル基、直鎖又は分岐鎖状のペンタデシル基、直鎖又は分岐鎖状のヘキサデシル基、直鎖又は分岐鎖状のヘプタデシル基、直鎖又は分岐鎖状のオクタデシル基が挙げられ、低粘度及び低融点という観点からは特にヘキサデシル基が好ましい。Rが炭素数11以下のアルキル基の場合は得られるイオン性液体の融点が室温(25℃)以上となり、他方、炭素数19以上のアルキル基の場合も同様に得られるイオン性液体の融点が室温以上になる。
このような本発明のイオン性液体はハロゲンフリーであり、しかも融点が十分に低いという優れた特性を示しており、その融点は25℃以下程度であることが好ましい。また、本発明のイオン性液体は揮発しにくく(難揮発性)かつ引火しにくい(難燃性)というイオン性液体本来の特性も有しており、それ以外の特性は特に制限されないが、粘度が5000mPa・s以下(E型粘度計、標準ローター使用、20〜100rpm、25℃)であることが低粘度溶媒としての工業的取り扱いの容易性、効率性という観点から好ましい。
次に、本発明のイオン性液体からなる難燃性溶媒の製造方法をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明のイオン性液体からなる難燃性溶媒の製造方法においては、先ず、下記一般式(3):
Figure 0004424660
(式中、Mは1価の金属を表す。)
で表される化合物と、下記一般式(4):
Figure 0004424660
(式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基を表し、Zはハロゲン原子を表す。)
又は下記一般式(5):
Figure 0004424660
(式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基を表し、Zはハロゲン原子を表す。)
で表される化合物とを、水と極性溶媒との混合溶媒中でイオン交換反応せしめる。
前記一般式(3)中のMは一価の金属を表す。このような一価の金属は特に制限されないが、容易に塩を形成し、水溶性が高いという観点からアルカリ金属が好ましく、中でもナトリウム、リチウム、カリウムが好ましい。従って、前記一般式(3)で表される化合物はビス−2−エチルヘキシルスルホコハク酸金属塩であり、ビス−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ビス−2−エチルヘキシルスルホコハク酸カリウム等が挙げられる。
また、前記一般式(4)中のRは前記一般式(1)中のR、前記一般式(5)中のRは前記一般式(2)中のRとそれぞれ同義であり、両式中のZはハロゲン原子を表す。このようなハロゲン原子としては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。従って、前記一般式(4)で表される化合物は、炭素数8〜20のアルキル基を有するベンジルジメチルアルキルアンモニウムのハロゲン化物であり、塩化ベンジルジメチルアルキルアンモニウム、臭化ベンジルジメチルアルキルアンモニウム等が挙げられる。また、前記一般式(5)で表される化合物は、炭素数12〜18のアルキル基を有するアルキルピリジニウムのハロゲン化物であり、塩化アルキルピリジニウム、臭化アルキルピリジニウム等が挙げられる。
ここで用いられる極性溶媒は、生成するイオン性液体を溶解することができるものであればよく、特に制限されないが、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等が挙げられ、ハロゲンを含む塩と生成物との分離を容易に行うためには極性溶媒としては揮発性の高いものが好ましい。また、水と極性溶媒との混合比率は特に制限されないが、水:極性溶媒の比率(体積比)が1:0.5〜1:2であることが好ましい。
また、前記一般式(3)で表される化合物と前記一般式(4)又は(5)で表される化合物との混合比率は、前者:後者の比率(モル比)が1:0.9〜1:1.1であることが好ましく、1:1(等モル)程度であることが特に好ましい。更に、水と極性溶媒との混合溶媒中の前記一般式(3)で表される化合物及び前記一般式(4)又は(5)で表される化合物の濃度は特に制限されないが、一般的には各化合物の濃度が0.1〜2mol/リットル程度であることが好ましい。
前記一般式(3)で表される化合物と前記一般式(4)又は(5)で表される化合物とを前記混合溶媒中に溶解せしめて混合すればイオン交換反応が進行し、混合溶媒(反応液)中に前記一般式(1)又は(2)で表される化合物とハロゲン化金属塩が生成する。その反応条件は特に制限されないが、一般的に反応温度は20〜50℃、反応時間は30分〜5日程度であることが好ましい。
次に、本発明のイオン性液体からなる難燃性溶媒の製造方法においては、前記一般式(1)又は(2)で表される化合物が生成した反応液から極性溶媒及び水を除去する。その際、前記一般式(1)又は(2)で表される化合物は極性溶媒に優先的に溶解して水には溶解しないことから、極性溶媒が除去されるに従って、前記反応液はイオン性液体(油相)と水相とに分離する。また、ハロゲン化金属塩及び未反応の原料化合物は水に優先的に溶解することから、前記反応液から水を除去することによって、ハロゲン化金属塩及び未反応の原料化合物も水と共に除去され、前記一般式(1)又は(2)で表されるイオン性液体からなる難燃性溶媒のみが得られることとなる。なお、前記反応液から極性溶媒及び水を除去する方法は特に限定されず、例えば反応液から先ず極性溶媒を揮発させて除去した後に水を分離除去する方法等が採用される。また、必要に応じて精製工程、乾燥工程(例えば、減圧下(約40mmHg以下)、80〜100℃で数時間減圧乾燥)を更に実施しても良い。なお、このような精製工程としては、例えば、純水により洗浄を行い精製する工程や、更にジクロロエタン等の極性溶媒にて希釈することで洗浄効率を上げて精製する工程が挙げられる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
実施例1:(ベンジルジメチルドデシルアンモニウム−ビス−2−エチルヘキシルスルホコハク酸)
ビス−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム0.02mol(8.89g)と塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム0.02mol(6.80g)とを容量200mLのビーカーの中でアセトン25mLと純水25mLとの混合溶媒に溶解せしめた。得られた混合溶液(反応液)を大気中にて室温(約25℃)で7日間放置したところ、この反応液は、水相と油相とに分離した。さらに、60℃の熱風乾燥炉中で4時間放置してアセトンを完全に揮発させた後、分液ロートを用いて水相を除去した。次いで、得られた油相に純水100mLを添加して水洗した後、水相を除去した。この精製操作を3回行った後、得られた油相に対して減圧下(約40mmHg)、90℃で4時間減圧乾燥処理を施し、液状化合物を得た。得られた液状化合物の収率は90%であった。
得られた液状化合物のH−NMR分析を行ったところ、そのNMRスペクトルは以下の通り:
δ(ppm)=7.57(2H、d)、7.45(3H、m)、4.71(2H、s)、4.01(6H、m)、3.30(2H、m)、3.14(6H、s)、1.57(2H、m)、1.25(36H、m)、0.86(15H、m)
であり、得られた液状化合物は本発明の難燃性溶媒を構成するイオン性液体であるベンジルジメチルドデシルアンモニウム−ビス−2−エチルヘキシルスルホコハク酸であることが確認された。
また、本実施例で得られたイオン性液体(ベンジルジメチルドデシルアンモニウム−ビス−2−エチルヘキシルスルホコハク酸)の融点は−130℃、粘度は203mPa・s(E型粘度計、標準ローター使用、100rpm、25℃)であった。
さらに、本実施例で得られたイオン性液体は、前記減圧乾燥処理の際に、揮発・散逸することがなく、またTG(熱減量)を測定した際にも270℃まで重量の減少が認められなかったことから、難揮発性であり、それ故に難燃性であることが確認された。
実施例2:(ヘキサデシルピリジニウム−ビス−2−エチルヘキシルスルホコハク酸)
塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウムの代わりに塩化ヘキサデシルピリジニウム0.02mol(7.16g)を用いた以外は実施例1と同様にして液状化合物を得た。
得られた液状化合物のH−NMR分析を行ったところ、そのNMRスペクトルは以下の通り:
δ(ppm)=9.05(2H、d)、8.43(1H、t)、8.07(2H、t)、4.74(2H、t)、4.01(6H、m)、3.16(2H、m)、1.58(2H、m)、1.25(44H、m)、0.88(15H、m)
であり、得られた液状化合物は本発明の難燃性溶媒を構成するイオン性液体であるヘキサデシルピリジニウム−ビス−2−エチルヘキシルスルホコハク酸であることが確認された。
また、本実施例で得られたイオン性液体(ヘキサデシルピリジニウム−ビス−2−エチルヘキシルスルホコハク酸)の融点は−51℃、粘度は3,380mPa・s(E型粘度計、標準ローター使用、20rpm、25℃)であった。
さらに、本実施例で得られたイオン性液体は、前記減圧乾燥処理の際に、揮発・散逸することがなく、またTG(熱減量)を測定した際にも265℃まで重量の減少が認められなかったことから、難揮発性であり、それ故に難燃性であることが確認された。
以上説明した通り、本発明のイオン性液体からなる難燃性溶媒は、アルキルイミダゾリウムカチオン以外のカチオンを用いており、かつハロゲンフリーであるにも拘わらず、難揮発性、難燃性という従来の有機溶媒系とは異なるユニークな特性は維持しつつ、融点が十分に低く、室温で液状を維持できるものである。従って、本発明のイオン性液体からなる難燃性溶媒は、反応溶媒や抽出溶媒として有用であり、しかもハロゲンフリーであるため環境低負荷型のいわゆるグリーン溶媒として非常に有用である。また、本発明のイオン性液体からなる難燃性溶媒の製造方法は、このように環境に配慮した反応溶媒や抽出溶媒として有用な本発明のイオン性液体からなる難燃性溶媒を効率よくかつ確実に得る方法として有用である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 0004424660
    (式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基を表す。)
    で表されることを特徴とするイオン性液体からなる難燃性溶媒
  2. 下記一般式(2):
    Figure 0004424660
    (式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基を表す。)
    で表されることを特徴とするイオン性液体からなる難燃性溶媒
  3. 下記一般式(3):
    Figure 0004424660
    (式中、Mは1価の金属を表す。)
    で表される化合物と、下記一般式(4):
    Figure 0004424660
    (式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基を表し、Zはハロゲン原子を表す。)
    で表される化合物とを、水と極性溶媒との混合溶媒中でイオン交換反応せしめた後、前記極性溶媒及び水を除去し、下記一般式(1):
    Figure 0004424660
    (式中、Rは炭素数8〜20のアルキル基を表す。)
    で表されるイオン性液体からなる難燃性溶媒を得ることを特徴とする難燃性溶媒の製造方法。
  4. 下記一般式(3):
    Figure 0004424660
    (式中、Mは1価の金属を表す。)
    で表される化合物と、下記一般式(5):
    Figure 0004424660
    (式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基を表し、Zはハロゲン原子を表す。)
    で表される化合物とを、水と極性溶媒との混合溶媒中でイオン交換反応せしめた後、前記極性溶媒及び水を除去し、下記一般式(2):
    Figure 0004424660
    (式中、Rは炭素数12〜18のアルキル基を表す。)
    で表されるイオン性液体からなる難燃性溶媒を得ることを特徴とする難燃性溶媒の製造方法。
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