JP4591884B2 - 抗菌剤及び抗菌性繊維 - Google Patents

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Description

本発明は、抗菌剤並びにそれを用いた抗菌性繊維に関する。
近年、市場に流通している各種日用品等の製品には、消費者の衛生嗜好の関心の高さや弱毒性各種細菌の発現といった理由から、抗菌加工を施して製品に抗菌性を付与させることにより、より安全で衛生的な製品を使用しようという需要が高まっている。このような情勢の中、抗菌剤としては各種タイプの化合物が汎用されており、例えば特開平1−266277号公報(特許文献1)には塩素系芳香族化合物が、特公昭62−60509号公報(特許文献2)にはポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩が開示されている。
しかしながら、従来の抗菌剤はその抗菌性が必ずしも十分なものとは限らず、また優れた抗菌性を有する抗菌剤であっても揮発・散逸し易いものは安全性の点で問題があり、優れた抗菌性と共に安全性が十分に高い抗菌剤の開発が求められていた。
特開平1−266277号公報 特公昭62−60509号公報
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、優れた抗菌性を有していると共に、難揮発性でかつ難燃性で安全性が十分に高い抗菌剤、並びにそれを適用した抗菌性繊維製品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アニオン部分として特定のスルホコハク酸ジアルキルエステルアニオン、カチオン部分として特定のベンジルジメチルアルキルアンモニウムカチオン又は特定のN−アルキルピリジニウムカチオンを有する塩構造の化合物が、驚くべきことに優れた抗菌性を有していると共に、難揮発性でかつ難燃性で安全性が十分に高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の抗菌剤は、下記一般式(1):
R1-OCOCH2CH(SO3 -)-COO-R2 (1)
(式中、R1及びR2は、2−エチルヘキシル基を表す。)
で表されるアニオンと、下記一般式(2):
PhCH2-N(CH)2R3 (2)
(式中、R3は炭素数8〜14の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、Phは更なる置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)
で表されるカチオンとからなる化合物を含有することを特徴とするものである。
また、本発明の第二の抗菌剤は、前記一般式(1)で表されるアニオンと、下記一般式(3):
Py-R4 (3)
(式中、R4は炭素数12〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、Pyは、窒素原子にR4が結合しており、更なる置換基を有していてもよいピリジン環を表す。)
で表されるカチオンとからなる化合物を含有することを特徴とするものである。
また、本発明の抗菌性繊維は、繊維と、前記繊維に担持されている前記本発明の第一及び/又は第二の抗菌剤とを備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、優れた抗菌性を有していると共に、難揮発性でかつ難燃性で安全性が十分に高く、しかもハロゲンフリーでかつ融点が十分に低いため環境に対する負荷が小さく工業的な取り扱いも容易な抗菌剤、並びにそれを適用した抗菌性繊維製品を提供することが可能となる。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
先ず、本発明の抗菌剤について説明する。すなわち、本発明の抗菌剤は、前記一般式(1)で表されるアニオンと、前記一般式(2)で表されるカチオン又は前記一般式(3)で表されるカチオンとからなる化合物を有効成分として含有するものである。
前記一般式(1)で表されるアニオンはスルホコハク酸ジアルキルエステルアニオンであり、同式中のR1及びR2は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数6〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表している。このようなアルキル基(R1及びR2)としては、具体的には、ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルブチル基、ヘプチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、オクチル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチルヘプチル基、3−エチルヘキシル基、ノニル基、1−エチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基、3−メチルオクチル基、3−エチルヘプチル基、デシル基、2−エチルオクチル基等が挙げられる。R1及びR2のうちの少なくとも一方が炭素数5以下のアルキル基の場合は得られる化合物の融点が室温(25℃)以上となり、他方、炭素数11以上のアルキル基の場合は得られる化合物の抗菌性が低下する共にその粘度が非常に高くなり実用的ではなくなる。
また、このようなアルキル基(R1及びR2)の中でも、得られる化合物の融点がより十分に低くなるという観点から、炭素数8の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(例えば、オクチル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチルヘプチル基、3−エチルヘキシル基)が好ましく、2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
前記一般式(2)で表されるカチオンはベンジルジメチルアルキルアンモニウムカチオンであり、同式中のR3は炭素数8〜14の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、Phは更なる置換基を有していてもよいフェニル基を表している。このようなアルキル基(R3)としては、具体的には、オクチル基、1−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−メチルヘプチル基、2−エチルヘキシル基、3−メチルヘプチル基、3−エチルヘキシル基、ノニル基、1−エチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基、3−メチルオクチル基、3−エチルヘプチル基、デシル基、2−エチルオクチル基、ウンデシル基、ドデシル基、3−エチルデシル基、トリデシル基、2−エチルウンデシル基、テトラデシル基、2−ブチルデシル基等が挙げられる。R3が炭素数7以下のアルキル基の場合は得られる化合物の抗菌性が低下すると共にその融点が室温(25℃)以上となり、他方、炭素数15以上のアルキル基の場合は得られる化合物の抗菌性が低下する共にその粘度が非常に高くなり実用的ではなくなる。また、このようなアルキル基(R3)の中でも、良好な抗菌性が発現するという観点から、炭素数12の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(例えば、ドデシル基、3−エチルデシル基)が好ましい。
また、前記一般式(2)中のPhで表されるフェニル基は、同式においてフェニル基に結合している基(-CH2-N(CH)2R3)以外の置換基を有していてもよく、その場合における置換基の数は特に制限されない。このような更なる置換基としては、例えば、メトキシ基等のアルコキシ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、ヒドロキシル基が挙げられる。
前記一般式(3)で表されるカチオンはN−アルキルピリジニウムカチオンであり、同式中のR4は炭素数12〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、Pyは、窒素原子にR4が結合しており、更なる置換基を有していてもよいピリジン環を表している。このようなアルキル基(R4)としては、具体的には、ドデシル基、3−エチルデシル基、トリデシル基、2−エチルウンデシル基、テトラデシル基、2−ブチルデシル基、ペンタデシル基、2−プロピルドデシル基、ヘキサデシル基、2−エチルテトラデシル基、ヘプタデシル基、3−ブチルトリデシル基、オクタデシル基、4−エチルヘキサデシル基等が挙げられる。R4が炭素数11以下のアルキル基の場合は得られる化合物の抗菌性が低下すると共にその融点が室温(25℃)以上となり、他方、炭素数19以上のアルキル基の場合は得られる化合物の抗菌性が低下すると共にその粘度が非常に高くなり実用的ではなくなる。また、このようなアルキル基(R4)の中でも、良好な抗菌性が発現するという観点から、炭素数16の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基(例えば、ヘキサデシル基、2−エチルテトラデシル基)が好ましい。
また、前記一般式(3)中のPyで表されるピリジン環は、同式におけるピリジン環の窒素原子に結合している基(-R4)以外の置換基を有していてもよく、その場合における置換基の数は特に制限されない。このような更なる置換基としては、例えば、メトキシ基等のアルコキシ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、ヒドロキシル基が挙げられる。
本発明の抗菌剤は、アニオン部分として前記スルホコハク酸ジアルキルエステルアニオンを、カチオン部分として前記ベンジルジメチルアルキルアンモニウムカチオン又は前記N−アルキルピリジニウムカチオンを有する化合物を有効成分とするものであり、かかる化合物はハロゲンフリーの優れた抗菌性を有する化合物である。そのため、本発明において用いられる抗菌性化合物は、環境への影響が小さく、工業的な使用条件に制約が少なく、取り扱いが容易なものであり、非常に有意なものである。また、本発明において用いられる抗菌性化合物は、融点が十分に低いという優れた特性を有しており、その融点は25℃以下であることが好ましい。さらに、本発明において用いられる抗菌性化合物は、揮発しにくく(難揮発性)かつ引火しにくい(難燃性)という特性も有しており、それ以外の特性は特に制限されないが、粘度が5000mPa・s以下(E型粘度計、標準ローター使用、20〜100rpm、25℃)であることが好ましい。
本発明において用いられる抗菌作用を有する前記化合物の製造方法は特に制限されず、例えば、前記一般式(1)で表されるスルホコハク酸ジアルキルエステルのアルカリ金属塩と、前記一般式(2)で表されるベンジルジメチルアルキルアンモニウムのハロゲン化物又は前記一般式(3)で表されるN−アルキルピリジニウムのハロゲン化物とを、水と有機溶媒との混合溶媒中でイオン交換反応せしめることにより製造することができる。なお、前記のアルカリ金属塩としてはナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩等が挙げられ、また、前記のハロゲン化物としては塩化物、臭化物、ヨウ化物等が挙げられる。
ここで用いられる有機溶媒としては、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール等の水と混和できるものが挙げられる。また、水と有機溶媒との混合比率は特に制限されないが、水:有機溶媒の比率(体積比)が1:0.5〜1:2であることが好ましい。
また、前記スルホコハク酸ジアルキルエステルのアルカリ金属塩と、前記ベンジルジメチルアルキルアンモニウムのハロゲン化物又は前記N−アルキルピリジニウムのハロゲン化物との混合比率は、前者:後者の比率(モル比)が1:0.8〜1:1.2であることが好ましく、1:1(等モル)程度であることが特に好ましい。更に、水と有機溶媒との混合溶媒中における、前記スルホコハク酸ジアルキルエステルのアルカリ金属塩と、前記ベンジルジメチルアルキルアンモニウムのハロゲン化物又は前記N−アルキルピリジニウムのハロゲン化物との濃度は特に制限されないが、一般的には各化合物の濃度が0.1〜2mol/リットル程度であることが好ましい。
前記スルホコハク酸ジアルキルエステルのアルカリ金属塩と、前記ベンジルジメチルアルキルアンモニウムのハロゲン化物又は前記N−アルキルピリジニウムのハロゲン化物とを前記混合溶媒中に溶解せしめて混合すればイオン交換反応が進行し、混合溶媒(反応液)中に目的とする本発明において用いられる前記抗菌性化合物とハロゲン化金属塩が生成する。その反応条件は特に制限されないが、一般的に反応温度は室温以上かつ溶媒還流温度以下の温度であり、反応時間は1日〜14日程度であることが好ましい。また、反応させる際の圧力は常圧下(大気圧下)でも加圧下でもよく、反応溶液を攪拌下に維持しても静置してもよい。
そして、本発明において用いられる抗菌性化合物を製造する方法においては、反応終了後、目的とする化合物が生成した反応液から有機溶媒及び水を除去することが好ましい。その際、目的とする化合物は有機溶媒に優先的に溶解して水には溶解しないことから、有機溶媒が除去されるに従って、前記反応液は油層(目的物)と水層とに分離する。また、ハロゲン化金属塩及び未反応の原料化合物は水に優先的に溶解することから、前記反応液から水層を除去することによって、ハロゲン化金属塩及び未反応の原料化合物も水と共に除去され、本発明において用いられる抗菌性化合物が得られることとなる。なお、前記反応液から有機溶媒及び水を除去する方法は特に限定されず、例えば反応液から先ず有機溶媒を揮発させて除去した後に水層を分離除去する方法等が採用される。
また、より純度の高い化合物を得るために、必要に応じて精製工程、乾燥工程(例えば、減圧下(約40mmHg以下)、80〜100℃で数時間減圧乾燥)を更に実施してもよい。なお、このような精製工程としては、例えば、純水により洗浄を行い精製する工程や、更にジクロロエタン等の溶媒にて希釈することで洗浄効率を上げて精製する工程が挙げられる。
本発明の抗菌剤は、このようにして得られた抗菌性化合物を有効成分として含有していればよく、かかる抗菌性化合物そのものを抗菌剤として用いたものであっても、或いはかかる抗菌性化合物と共に後述する溶媒や賦形剤を含有するものであってもよい。すなわち、本発明の抗菌剤は、前記抗菌性化合物を有機溶媒により希釈したもの、或いは前記抗菌性化合物を通常用いられる賦形剤を用いて製剤化したものであってもよい。前記抗菌性化合物を希釈して使用する場合に用いられる有機溶媒は特に制限されず、安全性・価格・残留性等を考慮して適宜溶媒を選択できるが、好ましい溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ジエチルエーテル等が使用される。また、前記抗菌性化合物を製剤化する際に用いられる賦形剤も特に制限されず、抗菌剤の投与形態等に応じて、固体又は液体状態の製剤を形成するのに通常用いられる処方成分が適宜採用される。さらに、製剤化する際に用いられる手法も特に制限されず、練り込みや、スプレー、コーティング等の表面加工といった手法が適宜採用される。また、固体状態の製剤としては、前記抗菌性化合物を分散剤に分散・固化させたものが挙げられる。
本発明の抗菌剤における前記抗菌性化合物の含量は、抗菌剤全体質量に対して0.01〜100質量%であることが好ましく、0.1〜40質量%であることがより好ましく、1〜30質量%であることが特に好ましい。
以上説明した本発明の抗菌剤は種々の分野で適用可能であり、本発明の抗菌剤を使用することにより優れた抗菌性を有する各種抗菌性製品を得ることができる。すなわち、例えば、衣料等の繊維製品、椅子・カーテン・ベッド等の家具類、フィルター等の産業資材、包装材料等のフィルム状の加工製品、プラスチック樹脂の加工製品等に本発明の抗菌剤を適用することにより、例えば、家庭用品、トイレタリー、家電・事務用品、医療等の様々な分野において抗菌性を付与した製品を供給することが可能となる。
以下、本発明の抗菌剤を使用した抗菌性製品の好適な一例として、本発明の抗菌性繊維について説明する。すなわち、本発明の抗菌性繊維は、繊維と、前記繊維に担持されている前記本発明の抗菌剤とを備えることを特徴とするものである。
本発明の抗菌剤を担持する繊維製品の素材には特に制限はなく、例えば、綿、絹、ウール等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維、これらの繊維の2種類以上からなる複合繊維等を挙げることができる。また、繊維製品の構造にも特に制限はなく、例えば、糸、織物、編物、不織布、組物等を挙げることができる。本発明の抗菌剤を繊維製品に担持させるための処理方法についても特に制限はなく、例えば、パディング、浸漬、噴霧(スプレー)、コーティング等の手法を挙げることができる。また、繊維製品を処理する段階についても特に制限はなく、紡糸、紡績加工以降の工程で処理することが好ましい。
本発明の抗菌性繊維は、製品用途により必要とされる抗菌性や洗濯耐久性に応じて、本発明の抗菌剤を繊維製品に適量担持(例えば、付着や吸着)させることにより得ることができる。また、繊維製品新機能評価協議会が規定する洗濯条件(例えば、80℃の洗濯温度で50回洗濯しても抗菌性を維持するような条件)や、高い洗濯耐久性が要求される場合や、洗濯耐久性が得られにくい繊維素材を使用する場合等は、本発明の抗菌剤の繊維素材への吸着性を向上させるため、更に合成樹脂や架橋剤等を併用することもできる。このような合成樹脂としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、オキサゾリン系、シリコーン系の合成樹脂を挙げることができ、要求される洗濯耐久性等に応じて適量を使用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例及び各比較例における抗菌性の評価は、以下に説明する評価方法にしたがって行った。
<抗菌性の評価方法>
各実施例及び各比較例において得られた加工布(抗菌加工試料)について、JIS L 1902(2002)「繊維製品の抗菌性試験方法・抗菌効果」に準じ、定量試験の菌液吸収法にて評価した。
供試菌:黄色ブドウ球菌(Staphylococus aureus ATCC 6538P)
培養試験:37℃×18時間
生菌数測定法:混釈平板培養法。
そして、抗菌性の評価基準は、社団法人繊維評価技術協議会(繊技協)規定の基準に準じ、以下のようにした。すなわち、標準布の37℃で18時間培養試験後の生菌数の常用対数値から、抗菌加工試料の37℃で18時間培養試験後の生菌数の常用対数値を引いた値を静菌活性値とし、静菌活性値が2.2以上の場合には効果があると判定した。
合成例1:(ベンジルジメチルドデシルアンモニウム−ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸の合成)
ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸ナトリウム0.02mol(8.89g)と塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウム0.02mol(6.80g)とを容量200mLのビーカーの中でアセトン25mLと純水25mLとの混合溶媒に溶解せしめた。得られた混合溶液(反応液)を大気中にて室温(25℃)で7日間放置したところ、この反応液は水層と油層とに分離した。反応終了後、60℃の熱風乾燥炉中で4時間放置してアセトンを完全に揮発させた後、分液ロートを用いて水層を除去した。次いで、得られた油層に純水100mLを添加して水洗した後、水層を除去した。この精製操作を3回行った後、得られた油層に対して減圧下(約40mmHg)、90℃で4時間減圧乾燥処理を施し、目的化合物を得た。得られた化合物の収率は90%であった。
得られた化合物のH−NMR分析を行ったところ、そのNMRスペクトルは以下の通り:
H−NMR(CDOD)δ(ppm)=7.57(2H、d)、7.45(3H、m)、4.71(2H、s)、4.01(6H、m)、3.30(2H、m)、3.14(6H、s)、1.57(2H、m)、1.25(36H、m)、0.86(15H、m)
であり、得られた化合物はベンジルジメチルドデシルアンモニウム−ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸であることが確認された。
また、得られた化合物(ベンジルジメチルドデシルアンモニウム−ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸)の融点は−130℃、粘度は203mPa・s(E型粘度計、標準ローター使用、100rpm、25℃)であった。
さらに、得られた化合物は、前記減圧乾燥処理の際に揮発・散逸することがなく、またTG(熱減量)を測定した際にも270℃まで重量の減少が認められなかったことから、難揮発性であり、それ故に難燃性であることが確認された。
合成例2:(ヘキサデシルピリジニウム−ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸の合成)
塩化ベンジルジメチルドデシルアンモニウムの代わりに塩化ヘキサデシルピリジニウム0.02mol(7.16g)を用いた以外は合成例1と同様にして目的化合物を得た。
得られた化合物のH−NMR分析を行ったところ、そのNMRスペクトルは以下の通り:
H−NMR(CDOD)δ(ppm)=9.05(2H、d)、8.43(1H、t)、8.07(2H、t)、4.74(2H、t)、4.01(6H、m)、3.16(2H、m)、1.58(2H、m)、1.25(44H、m)、0.88(15H、m)
であり、得られた化合物はヘキサデシルピリジニウム−ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸であることが確認された。
また、得られた化合物(ヘキサデシルピリジニウム−ビス(2−エチルヘキシル)スルホコハク酸)の融点は−51℃、粘度は3,380mPa・s(E型粘度計、標準ローター使用、20rpm、25℃)であった。
更に、得られた化合物は、前記減圧乾燥処理の際に揮発・散逸することがなく、またTG(熱減量)を測定した際にも265℃まで、重量の減少が認められなかったことから、難揮発性であり、それ故に難燃性であることが確認された。
実施例1
合成例1で得られた化合物を用いてその15質量%メタノール溶液に調製し、その溶液を用いて綿ブロード白布に2%o.w.f.(on weight of fiber)の条件でスプレー処理を行った。その後、120℃にて2分間乾燥し、抗菌性綿ブロード白布を得た。得られた抗菌性綿ブロード白布について抗菌性を評価したところ、静菌活性値(黄色ぶどう球菌)は基準値2.2を超えた4.4より大きい値であった。
実施例2
実施例1で用いた化合物の代わりに合成例2で得られた化合物を用いた以外は実施例1と同様にして、抗菌性綿ブロード白布を得た。得られた抗菌性綿ブロード白布について抗菌性を評価したところ、静菌活性値(黄色ぶどう球菌)は基準値2.2を超えた4.4より大きい値であった。
実施例3
合成例1で得られた化合物を用いてその15質量%メタノール溶液に調製し、その溶液を用いてポリエステルポンジ白布に4%o.w.f.の条件でスプレー処理を行った。その後、120℃にて2分間乾燥し、抗菌性ポリエステルポンジ白布を得た。得られた抗菌性ポリエステルポンジ白布について抗菌性を評価したところ、静菌活性値(黄色ぶどう球菌)は基準値2.2を超えた4.7より大きい値であった。
実施例4
実施例3で用いた化合物の代わりに合成例2で得られた化合物を用いた以外は実施例3と同様にして、抗菌性ポリエステルポンジ白布を得た。得られた抗菌性ポリエステルポンジ白布について抗菌性を評価したところ、静菌活性値(黄色ぶどう球菌)は基準値2.2を超えた4.7より大きい値であった。
比較例1
実施例1で用いた化合物を用いず、メタノールのみを用いて綿ブロード白布をスプレー処理し、比較のための綿ブロード白布を得た。得られた綿ブロード白布について抗菌性を評価したところ、静菌活性値(黄色ぶどう球菌)は2.2より小さい1未満の値であった。
比較例2
実施例3で用いた化合物を用いず、メタノールのみを用いてポリエステルポンジ白布をスプレー処理し、比較のためのポリエステルポンジ白布を得た。得られたポリエステルポンジ白布について抗菌性を評価したところ、静菌活性値(黄色ぶどう球菌)は2.2より小さい1.6の値を示した。
以上の実施例及び比較例で得られた結果から明らかな通り、実施例1〜4で得られた本発明の抗菌性化合物を付与した本発明の繊維製品(繊維白布)における黄色ぶどう球菌に対する静菌活性値は、最低有効値2.2を遥かに超えた高い活性を示した。一方、抗菌性化合物を付与しなかった比較例1〜2で得られた繊維製品における黄色ぶどう球菌に対する静菌活性値は、最低有効値に達しない遥かに低い数値を示した。
以上説明したように、本発明の抗菌剤は、優れた抗菌性を有していると共に、難揮発性でかつ難燃性で安全性が十分に高く、しかもハロゲンフリーでかつ融点が十分に低いため環境に対する負荷が小さく工業的な取り扱いも容易な抗菌剤として非常に有用である。
したがって、本発明の抗菌剤を用いることにより、家庭用品、トイレタリー、家電・事務用品、医療等の様々な分野において優れた抗菌性を有する本発明の抗菌性繊維製品のような各種抗菌性製品を得ることが可能となる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1):
    R1-OCOCH2CH(SO3 -)-COO-R2 (1)
    (式中、R1及びR22−エチルヘキシル基を表す。)
    で表されるアニオンと、下記一般式(2):
    PhCH2-N(CH)2R3 (2)
    (式中、R3は炭素数8〜14の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、Phは更なる置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)
    で表されるカチオンとからなる化合物を含有することを特徴とする抗菌剤。
  2. 下記一般式(1):
    R1-OCOCH2CH(SO3 -)-COO-R2 (1)
    (式中、R1及びR22−エチルヘキシル基を表す。)
    で表されるアニオンと、下記一般式(3):
    Py-R4 (3)
    (式中、R4は炭素数12〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表し、Pyは、窒素原子にR4が結合しており、更なる置換基を有していてもよいピリジン環を表す。)
    で表されるカチオンとからなる化合物を含有することを特徴とする抗菌剤。
  3. 繊維と、前記繊維に担持されている請求項1又は2に記載の抗菌剤とを備えることを特徴とする抗菌性繊維。
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