JP6501252B2 - アンモニウムカチオン含有有機塩 - Google Patents

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Description

本発明のいくつかの態様は、有機塩に関する。より詳しくは、本発明のいくつかの態様は、特定のアンモニウムカチオン部を有する、アンモニウムカチオン含有有機塩に関する。
有機溶媒や水に代わる新しい媒体として、イオン液体が注目されている。イオン液体は、融点が低く、常温付近で液体であるイオン性の塩である。明確な定義はされていないが、一般的に融点が100℃未満のイオン性化合物が総じてイオン液体と称されている。イオン液体は、一般的に不揮発性、難燃性、熱安定性、化学的安定性及び高イオン伝導性等の特徴を有している。これらの特徴を利用して、イオン液体を様々な用途で使用することが提案されている。
従来、イオン液体としては、例えば、イミダゾリウム系カチオン及び第4級アンモニウム系カチオン等のカチオン部と、各種アニオン部と、から構成されたイオン液体が知られている。イオン液体を反応溶媒として用いると従来の有機溶媒と比べて反応速度や選択率が向上する等、新しい反応場としての応用が知られている(特許文献1)。また、近年では、タンパク質及び酵素等の溶解溶媒、電解質材料、帯電防止剤、潤滑油及び抽出溶媒等への応用の検討が進んでいる(特許文献2、3)。
例えば、反応溶媒、タンパク質及び酵素等の溶解溶媒、電解質材料、帯電防止剤、潤滑油、並びに抽出溶媒等の用途では、その使用環境において流動性に優れる(液状である)ことが望ましく、できる限りの低融点化が求められている。しかしながら、イオン液体の液性の発現の機構が明確に解明されていないため、有機塩を合成しても室温で液状のものが得られる場合は少ない。
特開2008−222592号公報 特開2006−36709号公報 特表2011−506088号公報
本発明の一つの態様の課題の一つは、新規なアンモニウムカチオン含有有機塩を提供することである。
ところで、反応溶媒として用いられるイオン液体は流動性に優れることが求められる。また、反応終了後に目的物を水系媒体との分液によって単離できることが合成効率及び環境の点から望ましく、水系媒体との分相性の良い疎水性が高いイオン液体が望まれている。しかしながら、疎水性が高く且つ流動性に優れたイオン液体は数少なく、両方の特性を満たすイオン液体は、限られた種類のカチオン部と対アニオン部とを組み合わせたものに限定されており、構造的に制限がある。
本発明の一つの態様の他の課題は、このような事情に鑑み、疎水性が高く、且つ、流動性に優れたイオン液体としての有機塩を容易に提供することである。
本発明者等は、新規な分岐構造を有する特定のアンモニウムカチオンを含有する有機塩を完成するに至った。また、本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、分岐構造を有する特定のアンモニウムカチオンを含有する有機塩は、対アニオン部がいかなる種類であった場合でも、疎水性が高く、且つ、流動性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明の一つの態様は、下記式(1)で表される4級アンモニウムカチオン部と、アニオン部と、を有するアンモニウム含有有機塩である。
Figure 0006501252
(上記式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数6以上100以下の直鎖状のアルキル基であり、該直鎖状のアルキル基の炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子であってもよく;
及びRは、独立してそれぞれに、置換基を有していてもよい炭素数6以上100以下の分岐状のアルキル基であり、該分岐状のアルキル基の炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子であってもよく;
は1価の有機基であり、Xはアニオンを示す。ただし、R、R及びRは、主鎖及び末端に炭素より電気陰性度の高い原子を含まない。)
本発明の一つの態様は、上記有機塩を含む溶媒である。
本発明の一つの態様によれば、新規なアンモニウムカチオン含有有機塩を提供できる。また、本発明の一つの態様によれば、疎水性が高く、且つ、流動性に優れたアンモニウムカチオン含有有機塩が得られる。
以下、本発明のいくつかの態様について詳細に説明する。
<1>アンモニウムカチオン含有有機塩
本発明の一つの態様のアンモニウムカチオン含有有機塩は、下記式(1)で表される4級アンモニウムカチオン部と、アニオン部と、を有することを特徴とする。
Figure 0006501252
(上記式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数6以上100以下の直鎖状のアルキル基であり、該直鎖状のアルキル基の炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子であってもよく;
及びRは、独立してそれぞれに、置換基を有していてもよい炭素数6以上100以下の分岐状のアルキル基であり、該分岐状のアルキル基の炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子であってもよく;
は1価の有機基であり、Xはアニオンを示す。ただし、R、R及びRは、主鎖及び末端に炭素より電気陰性度の高い原子を含まない。)
上記Rの炭素数6以上100以下の直鎖状のアルキル基としては、例えば、プロピル基、n−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル、イコシル基、トリアコンチル基、ヘキサコンチル基、ペンタコンチル基、ヘキサコンチル基、ヘプタコンチル基、オクタコンチル基、ノナコンチル基、ヘクチル基等が挙げられる。また、Rの直鎖状のアルキル基の炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子であってもよい。
上記Rは、流動性の点から、炭素数6〜50の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数6〜20の直鎖状のアルキル基がより好ましく、炭素8〜18の直鎖状のアルキル基がさらに好ましい。
炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子である直鎖状アルキル基としては、特に制限はなく、直鎖状アルキル基がケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子を含めばよい。例えば、直鎖状アルキル基のメチレン基の少なくとも1つが、ケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子を含む2価の有機基で置換されたもの等が挙げられる。
上記R及びRの炭素数6以上100以下の分岐状のアルキル基としては、総炭素数が6以上100以下で且つ分岐状のアルキル基であれば特に制限はないが、例えば、イソヘキシル基、イソペンチル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソイコシル基、イソトリアコンチル基、イソテトラコンチル基、イソペンタコンチル基、イソヘキサコンチル基、イソヘプタコンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、5,5−ジメチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、3,5,5−トリメチルヘキシル基等が挙げられる。また、R及びRの分岐状のアルキル基の炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子であってもよい。
上記R及びRは、流動性の点から、それぞれ、炭素数6〜50の分岐状のアルキル基が好ましく、炭素数6〜36の分岐状のアルキル基がより好ましく、炭素数8〜18の分岐状のアルキル基がさらに好ましい。
炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子である分岐状アルキル基としては、特に制限はなく、分岐状アルキル基がケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子を含めばよい。例えば、分岐状アルキル基のメチレン基の少なくとも1つが、ケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子を含む2価の有機基で置換されたもの等が挙げられる。
上記式(1)中、R及びRは、同じであっても異なっていてもよい。
及びRにおいて、分岐の位置は合成の点からアンモニウムカチオン中心のβ位以降であることが好ましく、γ位以降であることがより好ましい。また、R及びRにおける分岐の数は2つ以上が好ましい。
本発明において、「主鎖及び末端に炭素より電気陰性度の高い原子を含まない」とは、上記R、R及びRのアルキル基において、窒素原子、酸素原子及びフッ素原子のいずれの原子も主鎖及び末端に含まないことを意味する。より具体的には、末端にヒドロキシ基及びアミノ基を有するもの、末端の炭素原子に結合する水素原子がフッ素原子で置換されたもの、エーテル結合を有するもの、並びに、主鎖の炭素原子が−N(H)−及び−N(R)−に置換されたものを除くことを意味する。上記Rは1価の有機基である。
主鎖の炭素原子に結合する水素原子がフッ素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも1つの置換基で置換されたものは、本発明の範囲内である。R、R及びRのアルキル基が上記置換基を有する場合も、各R、R及びRのアルキル基の総炭素数は、上述の範囲とすることが好ましい。すなわち、上記Rは総炭素数6以上100以下とし、上記R及びRはそれぞれ炭素数6以上100以下とすることが好ましい。
疎水性の点から、R、R及びRとして、主鎖の炭素原子に結合する水素原子の少なくとも1つが、フッ素原子に置換されていてもよい。
アンモニウムカチオン含有有機塩がフッ素原子を有する場合、疎水性及び流動性を高める効果を有する。しかしながら、本発明においては、アンモニウムカチオン含有有機塩が、カチオン部及び/又はアニオン部にフッ素原子を含有しない場合であっても、疎水性及び流動性に優れる効果を有する。そのため、コスト的及び合成の容易性の点から、本発明の一つの態様におけるアンモニウムカチオン含有有機塩は、カチオン部及び/又はアニオン部にフッ素原子を含有しないことが好ましい。
上記Rの1価の有機基としては、特に限定されない。本発明の一つの態様のアンモニウムカチオン含有有機塩は、ポリマーであってもよい。つまり、Rとしてのポリマーにアンモニウムカチオンが結合したものも本発明の範囲内である。該ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸ポリマー、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリスチレン等が挙げられる。
として、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基及び環状アルキル基等のアルキル基;直鎖状アルケニル基、分岐状アルケニル基及び環状アルケニル基等のアルケニル基;直鎖状アルキニル基、分岐状アルキニル基及び環状アルキニル基等のアルキニル基;芳香環基;複素環基;これらにヒドロキシ基、アミノ基、アルコキシ基、カルボニル基、チオエーテル等の置換基を有するもの等も挙げられる。上記アルキル基としては、炭素数1〜36の直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基及び環状アルキル基等のアルキル基が好ましく、上記アルケニル基としては、炭素数2〜36の直鎖状アルケニル基、分岐状アルケニル基及び環状アルケニル基等のアルケニル基が好ましく、上記アルキニル基としては、炭素数2〜36の直鎖状アルキニル基、分岐状アルキニル基及び環状アルキニル基等のアルキニル基が好ましい。流動性の点から、Rは炭素数18以下のアルキル基が好ましく、炭素数18以下の直鎖又は分岐アルキル基であることがより好ましい。
流動性の点から、上記4級アンモニウムカチオン部が、総炭素数60以下であることが好ましい。
以下に、本発明のいくつかの態様における4級アンモニウムカチオンの好ましい態様を下記に例示する。
Figure 0006501252


Figure 0006501252
上記Xは、特に制限されるものではないが、アミドアニオン、メチドアニオン、アルキルスルホン酸アニオン、アルキルホウ酸アニオン、アルキルリン酸及びそのエステルのアニオン、アルキル亜リン酸及びそのエステルのアニオン、アルキル次亜リン酸及びそのエステルのアニオン、アシルオキシアニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、パーフルオロアルキルホウ酸アニオン、パーフルオロアルキルリン酸及びそのエステルのアニオン、パーフルオロアルキル亜リン酸及びそのエステルのアニオン、パーフルオロアルキル次亜リン酸及びそのエステルのアニオン、パーフルオロアシルオキシアニオン、OH、CO 、AlCl 、NO 、NO 、F、Cl、Br、CN、I、BF 、PF 、AsF、SbF、NbF 、TaF 、F(HF)2.3 並びにp−CHPhSO からなる群より選ばれるいずれかであることが好ましい。
上記アミドアニオン及びメチドアニオンとしては、(CFSO、(CFSO、(CSO、(CFSO)(CFCO)N及び(CN)等が挙げられる。
本発明において、アミドアニオン、メチドアニオン、アルキルスルホン酸アニオン等のアニオンの価数は問わない。
上記Xは、特に制限はないが、有機塩に流動性を付与する場合、リン酸アニオンの場合は総炭素数が16以下であることが好ましく、スルホン酸系アニオンである場合は総炭素数が8以下であることが好ましい。
アニオンはハロゲンアニオン、シアニドアニオン、ヒドロキシアニオン等であると、イオン交換能の性能を得ることができることから好ましい。
本発明のアンモニウムカチオン含有有機塩の好ましい態様は、カチオン部が上記で例示した4級アンモニウムカチオンのいずれかであり、アニオン部がハロゲン、シアニド及びヒドロキシアニオンから選ばれるアニオンである。
本発明の一つの態様のアンモニウムカチオン含有有機塩は、LogPが0.5以上であり、1.0以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましい。また、LogPは、9.0以下であることが好ましい。
上記LogPとは、一般に常用対数表記で示される値である。LogPは、化学物質の性質を表す数値の一つであり、親水性を示すパラメーターである。対象とする物質が、水とn−オクタノールとの混合液において、水相とオクタノール相が接した系中で平衡状態にある場合を対象として、各相の濃度をその常用対数で示したものである。LogPが大きくなると、比較的疎水性が増大する傾向があり、LogPが小さくなると、比較的親水性が増大する傾向がある。
本発明におけるLogPは、既知の方法により測定したものである。具体的には、LogPは、JIS Z 7260−107に準処して求めることができる。
有機塩のLogPは、カチオン部及びアニオン部における側鎖中の親水基の有無、有機塩の立体構造、有機塩の総炭素数及び有機塩中のフッ素原子の有無等の様々なファクターに影響される。有機塩のLogPを大きくするには、例えば下記の指標がある。カチオン部とアニオン部との総炭素数を多くする;フッ素原子を導入する;等。例えば、カチオン部とアニオン部との総炭素数を25以上とすることでアンモニウムカチオン含有有機塩のLogPが上記範囲となり得る。しかし、本発明はこれらに限定されない。
本発明の一つの態様のアンモニウムカチオン含有有機塩は、粘度が25℃で5Pa・s以下であることが好ましく、3Pa・s以下であることがより好ましく、2Pa・s以下であることがさらに好ましい。
粘度を上記範囲とする一つの方法として、例えば、カチオン部とアニオン部との総炭素数を少なくすることが挙げられる。具体的には、上記式(1)で表されるR〜Rの各々の炭素数を18以下とすることが好ましく、12以下とすることがより好ましい。上記式(1)で表されるRは炭素数36以下とすることが好ましく、炭素数18以下とすることがより好ましく、12以下とすることがさらに好ましく、4以下とすることが特に好ましい。
また、本発明の一つの態様のアンモニウムカチオン含有有機塩は、融点が25℃以下であることが好ましい。本発明において、常圧下、25℃において液体状態である場合、融点25℃以下と定義する。
粘度は、コーンプレート型レオメータを用い25℃で測定した値である。なお、用いるコーンプレートは以下の通りである。粘度が0.01Pa・s未満のときは直径40mm及びコーン角1°のコーンプレート、粘度が0.01〜0.1Pa・sのときは直径40mm及びコーン角4°のコーンプレート、粘度が0.1より大きいときは直径25mm及びコーン角1°のコーンプレート。
<2>アンモニウムカチオン含有有機塩の合成法
本発明の一つの態様のアンモニウムカチオン含有有機塩は、例えば下記のように合成できる。
モノアルキルアミンであるRNHと、アルデヒドであるRCHOを、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いた還元的アミノ化により2級アミンRNHとする。これを同モル量のRY(Y=F、Br、Cl、I)を用いて3級アミンRNとし、さらにRZ(Z=F、Br、Cl、I)を用いて第4級アンモニウムハライド塩を得る。
アニオンをハライド以外にしたい場合は、以下のように合成する。
アニオン部がOHのものは、第4級アンモニウムハライド塩と水酸化ナトリウムとを反応させることで得ることができる。
アニオン部がアシルオキシアニオンのものは、第4級アンモニウムハライド塩を、水酸化ナトリウム存在化でカルボン酸で処理して得ることができる。
アニオン部が(CN)のものは、第4級アンモニウムハライド塩とナトリムジシアナミドとを反応させることで得ることができる。
上記反応で用いるRNH、RCHO、RY、RY等は適宜入手可能であり、また、公知の方法により合成可能である。
上記化合物の式中のR、R、R、Rは、上記式(1)のR、R、R、Rのそれぞれに対応するものとする。
また、4級アンモニウムカチオン含有有機塩が、R及び/又はRとして、ケイ素原子を含むアルキル基である場合、例えばR及び/又はRがアルキルシリル基を有する場合は、下記のように合成できる。
まず、R基を有する1級アミン(RNH)及び臭化アルケニルを用いてグリニャール反応により、二重結合を有する第3級アミンを合成する。目的のアルキルシラン(SiH(4−n)、nは1〜3の整数)はグリニャール反応により合成する。該第3級アミンとアルキルシランとをHPtCl等の白金触媒存在下、ヒドロシリル化反応を行い、アルキルシリル基(−SiR(4−n)基、nは1〜3の整数)を有する3級アミンを得る。該3級アミンをアセトニトリル中でRIと50〜100℃で12〜72時間反応させ、4級アンモニウムイオダイドを得る。なお、RIに代えて、その他のハロゲン化アルキルを用いてもよい。
アニオンをハライド以外にしたい場合は、通常の方法により適宜合成できる。
上記反応の具体例の一つを下記に示す。
Figure 0006501252
<3>アンモニウムカチオン含有有機塩の用途
本発明の一つの態様のアンモニウムカチオン含有有機塩は、疎水性が高く、且つ、流動性にも優れる。具体的には、本発明の一つの態様のアンモニウムカチオン含有有機塩は、ヘキサン等のアルカン及びシクロヘキサン等のシクロアルカン等の無極性非芳香族有機溶媒、並びに、食塩水及び水酸化ナトリウム水溶液等のイオン含有水溶液等に対して溶けにくく、純水、ジオキサン、トルエン、テトラヒドロフラン等には溶解しやすいという特性を有する。そのため、例えば、反応溶媒及び抽出溶媒等として好適に用いられる。
反応溶媒及び抽出溶媒等として用いる場合の目的物としては、イオン性化合物、難溶性高分子等が挙げられる。
以下に、本発明のいくつかの態様を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
<4級アンモニウムカチオン含有有機塩の合成例1>
下記の合成スキームで示すように、3,5,5−トリメチルヘキサノールを出発原料として、4級アンモニウムカチオン含有有機塩(A1)を合成する。
具体的には、3,5,5−トリメチルヘキサノール70gと47%臭化ブロム水溶液
84gと硫酸16gとを120℃で5時間反応させる。得られた反応液にヘキサンを加え、水で3回洗浄したのちヘキサンを留去し、3,5,5−トリメチル−1−ブロモヘキサンを得る(78モル%)。
次いで、3,5,5−トリメチル−1−ブロモヘキサン35gとドデシルアミン15gとを炭酸カリウム45g存在下、アセトニトリル中で80℃40時間反応させる。得られた反応液を一旦濾過し、炭酸カリウムを除去する。濾液からヘキサンで3回抽出し、抽出液を水で3回洗ったのちヘキサンを留去して3級アミンを得る。次いで、得られた3級アミン30gを、塩化メチル11gとアセトニトリル中で50℃、48時間反応させる。得られた反応液をヘキサンで3回洗浄し、アセトニトリルを留去して、ドデシル(メチル)ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)アンモニウムクロリド(A1)30gを得る。
Figure 0006501252
<4級アンモニウムカチオン含有有機塩の物性評価>
上記で得られた4級アンモニウムカチオン含有有機塩(A1)の粘度、融点及びLogPを以下のようにして測定する。
(粘度の測定)
粘度は、コーンプレート型レオメータを用いて25℃で測定する。A1の粘度は2.8Pa・sである。
(融点の測定)
有機塩の融点は、JIS K 0064に準処して目視による確認で行う。有機塩の融点は、常圧下、25℃において液体状態である場合、融点25℃以下とする。A1の融点は、25℃以下である。
(LogPの測定)
LogPは、JIS Z 7260−107に準処して求める。A1のLogPは3.6である。
<4級アンモニウムカチオン含有有機塩の合成例2>
下記の合成スキームで示すように、4級アンモニウムカチオン含有有機塩(A2)を合成する。
具体的には、オクタデシルアミン20g及びオクタデセニルブロム49gを炭酸カリウム41g存在下、アセトニトリル100g中で90℃、72時間反応させ、二重結合を有する第3級アミンを35g合成する。また、オクタデシルブロム182gとマグネシウム20gを、脱水テトラヒドロフラン中40℃で反応させ、グリニャール試薬を調製する。得られたグリニャール試薬をトリクロロシラン25gと40℃で反応させ、反応終了後希塩酸を加える。反応混合物からヘキサンで3回抽出し、エタノールを加えて再結晶を行い、トリオクタデシルシリルヒドリド72gを得る。
上記で得られた第3級アミン30gと、トリオクタデシルシリルヒドリド66gとを、塩化白金酸触媒下、トルエン中100℃でヒドロシリル化反応を15時間行う。反応終了後、反応混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)により精製し、トリオクタデシルシリル基を持つ第3級アミンを54g得る。
次いで、得られた第3級アミン40gと、ヨウ化ブチル10gとを、アセトニトリル中で90℃、72時間反応させる。反応混合物から、ヘキサンで未反応の基質を除去し、溶媒を留去して、トリアルキルシリル基を持つ4級アンモニウムカチオン含有有機塩を固体として27g得る。
Figure 0006501252
<4級アンモニウムカチオン含有有機塩の物性評価>
上記で得られた4級アンモニウムカチオン含有有機塩(A2)の融点及びLogPを実施例1と同様にして測定する。A2は、融点測定中に約300℃で分解した。LogPは8.3である。
[比較例1]
実施例1で得られたドデシル(メチル)ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)アンモニウムクロリド(炭素数31)の異性体である、固体のトリデシルメチルアンモニウムクロリド(炭素数31)とを比較する。トリデシルメチルアンモニウムクロリドの融点は75℃である。
比較例1の有機塩のLogPは3.8である。
本発明により、新規なアンモニウムカチオン含有有機塩を提供する。また、本発明の一つの態様のアンモニウムカチオン含有有機塩は、疎水性が高く、且つ、流動性にも優れるため、例えば、反応溶媒及び抽出溶媒等として好適に用いられる。

Claims (3)

  1. 下記式(1)で表される4級アンモニウムカチオン部と、アニオン部と、を有するアンモニウムカチオン含有有機塩。
    Figure 0006501252
    (上記式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数6以上100以下の直鎖状のアルキル基であり、該直鎖状のアルキル基の炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子であってもよく;
    及びRは、独立してそれぞれに、置換基を有していてもよい炭素数6以上100以下の分岐状のアルキル基であり、該分岐状のアルキル基の炭素原子の少なくとも1つがケイ素原子、リン原子、ヒ素原子及びセレン原子からなる群より選択される原子であってもよく;
    、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、環状アルキル基、直鎖状アルケニル基、分岐状アルケニル基、環状アルケニル基、直鎖状アルキニル基、分岐状アルキニル基、環状アルキニル基、芳香環基及び複素環基;並びに、これらにヒドロキシ基、アミノ基、アルコキシ基、カルボニル基及びチオエーテルからなる群より選択される少なくともいずれかの置換基を有するもの;からなる群より選択されるいずれかの1価の有機基であり、
    Xは、アミドアニオン、メチドアニオン、アルキルスルホン酸アニオン、アルキルホウ酸アニオン、アルキルリン酸及びそのエステルのアニオン、アルキル亜リン酸及びそのエステルのアニオン、アルキル次亜リン酸及びそのエステルのアニオン、アシルオキシアニオン、パーフルオロアルキルスルホン酸アニオン、パーフルオロアルキルホウ酸アニオン、パーフルオロアルキルリン酸及びそのエステルのアニオン、パーフルオロアルキル亜リン酸及びそのエステルのアニオン、パーフルオロアルキル次亜リン酸及びそのエステルのアニオン、パーフルオロアシルオキシアニオン、OH 、CO 、AlCl 、NO 、NO 、F 、Cl 、Br 、CN 、I 、BF 、PF 、AsF 、SbF 、NbF 、TaF 、F(HF) 2.3 並びにp−CH PhSO からなる群より選ばれるいずれかのアニオンを示す。
    1 〜R 4 の総炭素数は60以下である。
    ただし、R、R及びRは、主鎖及び末端に炭素より電気陰性度の高い原子を含まない。)
  2. 水/n−オクタノール計算分配係数(LogP)が0.5以上である請求項1に記載のアンモニウムカチオン含有有機塩。
  3. 請求項1又は2に記載のアンモニウムカチオン含有有機塩を含む溶媒。
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