JP4424456B2 - ポリアリーレン組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアリーレンのスルホン化物と特定組成の溶媒を主成分とするポリアリーレン組成物に関し、さらに詳細には、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに利用可能なプロトン伝導膜に有用なポリアリーレン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
電解質は、通常、(水)溶液で用いられることが多い。しかし、近年、これを固体系に置き替えていく傾向が高まってきている。その第1の理由としては、例えば、上記の電気・電子材料に応用する場合のプロセッシングの容易さであり、第2の理由としては、軽薄短小・高電力化への移行である。
従来、プロトン伝導性材料としては、無機物からなるもの、有機物からなるものの両方が知られている。無機物の例としては、例えば水和化合物であるリン酸ウラニルが挙げられるが、これら無機化合物は界面での接触が充分でなく、伝導層を基板あるいは電極上に形成するには問題が多い。
【0003】
一方、有機化合物の例としては、いわゆる陽イオン交換樹脂に属するポリマー、例えばポリスチレンスルホン酸などのビニル系ポリマーのスルホン化物、ナフィオン(デュポン社製)を代表とするパーフルオロアルキルスルホン酸ポリマー、パーフルオロアルキルカルボン酸ポリマーや、ポリベンズイミダゾール、ポリエーテルエーテルケトンなどの耐熱性高分子にスルホン酸基やリン酸基を導入したポリマー〔Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.7,p.2490〜2492(1993)、Polymer Preprints,Japan,Vol.43,No.3,p.735〜736(1994)、Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p730(1993)〕などの有機系ポリマーが挙げられる。
【0004】
これら有機系ポリマーは、通常、フィルム状で用いられるが、溶媒に可溶性であること、または熱可塑性であることを利用し、電極上に伝導膜を接合加工できる。しかしながら、これら有機系ポリマーの多くは、プロトン伝導性がまだ充分でないことに加え、耐久性や高温(100℃以上)でプロトン伝導性が低下してしまうことや、湿度条件下の依存性が大きいこと、あるいは電極との密着性が充分満足のいくものとはいえなかったり、含水ポリマー構造に起因する稼働中の過度の膨潤による強度の低下や形状の崩壊に至るという問題がある。したがって、これらの有機ポリマーは、上記の電気・電子材料などに応用するには種々問題がある。
【0005】
さらに、米国特許第5,403,675号明細書では、スルホン化された剛直ポリフェニレン(すなわち、ポリアリーレン構造を主成分とするスルホン化物)からなる固体高分子電解質が提案されている。このポリマーは、芳香族化合物を重合して得られるフェニレン連鎖からなるポリマー(同明細書カラム9記載の構造)を主成分とし、これをスルホン化剤と反応させてスルホン酸基を導入して、プロトン伝導度を向上させている。
【0006】
上記ポリアリーレンのスルホン化物も、伝導膜などの電気・電子材料に用いる場合、通常、フィルムとして成形される。例えば、ポリアリーレンのスルホン化物を用いて、伝導膜を成形するには、通常、このポリマーを溶媒に溶解し、流延法によりフィルム化している。しかしながら、ポリアリーレンのスルホン化物の有機溶媒系の溶液粘度は高く、厚膜化が難しく、表面平滑性に劣るなど、成形加工性に優れたものとはいえない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリアリーレンのスルホン化物の有機溶媒系の溶液粘度を下げることにより、フィルム成形性に優れ、その結果、厚膜化が可能で、表面平滑性に優れ、ピンホールなどの欠陥のない優れた物性を有するフィルムが得られるポリアリーレンのスルホン化物の有機溶剤系組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)ポリアリーレンのスルホン化物、ならびに
(B)(b1)沸点が100℃以下のアルコール5〜75重量%および(b2)沸点が100℃を超える有機溶媒95〜25重量%〔ただし、(b1)+(b2)=100重量%〕からなる溶媒
を含有することを特徴とするポリアリーレン組成物に関する。
上記(A)成分を構成するポリアリーレンとしては、下記一般式(1)で表される構造単位からなるポリアリーレンが好ましい。
【0009】
【化2】
【0010】
〔一般式(1)中、Xは−CQQ′−(ここで、Q,Q′は同一または異なり、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子またはアリール基を示す)で表される基およびフルオレニレン基の群から選ばれる基であり、R1 〜R36は同一または異なり、水素原子、ハロゲン原子または1価の有機基を示し、Yは−O−,−CO−,−COO−,−CONH−および−SO2 −基の群から選ばれる基であり、pは0〜100モル%、qは0〜100モル%、rは0〜100モル%、sは0〜100モル%(ただし、p+q+r+s=100モル%)、tは0か1である。〕
また、上記(b1)沸点が100℃以下のアルコールとしては、メタノールが好ましい。
さらに、上記(b2)沸点が100℃を超える有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドンが溶解性の点で好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明では、ポリアリーレンのスルホン化物の流延法によるフィルム化において、加工溶媒として、その一部に低沸点アルコールを用いると、溶液粘度が低下し、高濃度での流延法による成形加工ができること、また、高濃度での成形加工によって、厚膜化対策と表面平滑度に優れ、ピンホールなどの欠陥の少ない膜質の優れたフィルムができ、さらに、低沸点アルコールは基材に塗布後のフィルム化工程で第2成分の溶媒よりも沸点が低いので、第2成分が充分に蒸発するまでに蒸発し、高濃度化されて高品質の膜質のフィルムを得るものである。
【0012】
(A)ポリアリーレンのスルホン化物
(A)ポリアリーレンのスルホン化物は、好ましくは上記一般式(1)で表されるポリアリーレン(以下「ポリマー(1)」ともいう)をスルホン化したスルホン化物である。
ここで、ポリマー(1)は、上記一般式(1)で表される繰り返し構造単位を有する。以下、一般式(1)において、pで括られた構造単位を「構造単位p」、qで括られた構造単位を「構造単位q」、rで括られた構造単位を「構造単位r」、sで括られた構造単位を「構造単位s」ともいう。
【0013】
上記一般式(1)中、Xは、−CQQ′−(ここで、Q,Q′は同一または異なり、ハロゲン化アルキル基、アルキル基、水素原子、ハロゲン原子またはアリール基を示す)で表される基およびフルオレニレン基の群から選ばれる基である。
ここで、Q,Q′のうち、ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチレン基などが、またアリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、トリル基、ペンタフルオロフェニル基などが挙げられる。
上記一般式(1)中、R1 〜R36は、同一または異なり、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、1価の有機基(例えば、ハロゲン化アルキル基、またはポリアリーレン生成の重合反応を阻害しない官能基を含む1価の有機基)を示す。
R1 〜R36中、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、ヘキシル基などが挙げられる。
また、ハロゲン原子としては、フッ素が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基などが挙げられる。
さらに、ポリアリーレン生成の重合反応を阻害しない官能基を含む1価の有機基としては、例えばアリールオキシ、アリールオキソ、アリールチオカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリールチオ、アリールスルホンなどが挙げられる。これらは、また、2つ以上の官能基を含む1価の有機基、例えばアリールオキシアリールオキソ、アリールオキシアリールスルホン、アリールチオアリールオキソなどが挙げられる。さらに、これらは、アリール基の代わりに、アルキル基、アルキルアリール基、アリールアルキル基に代えて用いてもよい。
さらに、上記一般式(1)中、Yは−O−,−CO−,−COO−,−CONH−,および−SO2 −基の群から選ばれた少なくとも1種であり、pは0〜100モル%、qは0〜100モル%、rは0〜100モル%、sは0〜100モル%(ただし、p+q+r+s=100モル%)、tは0か1である。〕
【0014】
式(1)において、構造単位pを構成するモノマー(以下「モノマーp」ともいう)としては、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)プロパン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)プロパン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)プロパン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、
ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、
ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、
ビス(4−フェニルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルメタン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フェニルフェニル)フルオレン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)ジフェニルメタン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−フルオロフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジフルオロフェニル)フルオレン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−メチルフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシ−3−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)トリフルオロメチルフェニルメタン、
ビス(p−トリルスルフォニロキシフェニル)フェニルメタン
などを挙げることができる。
上記モノマーpは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0015】
また、式(1)において、構造単位qを構成するモノマー(以下「モノマーq」ともいう)としては、例えば、
4,4′−ジメチルスルフォニロキシビフェニル、
4,4′−ジメチルスルフォニロキシ−3,3′−ジプロペニルビフェニル、
4,4′−ジブロモビフェニル、4,4′−ジヨードビフェニル、
4,4′−ジメチルスルフォニロキシ−3,3′−ジメチルビフェニル、
4,4′−ジメチルスルフォニロキシ−3,3′−ジフルオロビフェニル、
4,4′−ジメチルスルフォニロキシ−3,3′,5,5′−テトラフルオロビフェニル、
4,4′−ジブロモオクタフルオロビフェニル、
4,4−メチルスルフォニロキシオクタフルオロビフェニル、
3,3′−ジアリル−4,4′−ビス(4−フルオロベンゼンスルフォニロキシ)ビフェニル、
4,4′−ジクロロ−2,2′−トリフルオロメチルビフェニル、
4,4′−ジブロモ−2,2′−トリフルオロメチルビフェニル、
4,4′−ジヨード−2,2′−トリフルオロメチルビフェニル、
ビス(4−クロロフェニル)スルフォン、
4,4′−ジクロロベンゾフェノン、
2,4−ジクロロベンゾフェノン
などを挙げることができる。
上記モノマーqは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0016】
さらに、式(1)において、構造単位rを構成するモノマー(以下「モノマーr」ともいう)としては、例えば、
p−ジクロロベンゼン、p−ジブロモベンゼン、p−ジヨードベンゼン、p−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジブロモトルエン、2,5−ジヨードトルエン、2,5−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,5−ジクロロ−p−キシレン、2,5−ジブロモ−p−キシレン、2,5−ジヨード−p−キシレン、2,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,5−ジブロモベンゾトリフルオライド、2,5−ジヨードベンゾトリフルオライド、1,4−ジクロロ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ジブロモ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ジヨード−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、2,5−ジクロロ安息香酸、2,5−ジブロモ安息香酸、2,5−ジクロロ安息香酸メチル、2,5−ジブロモ安息香酸メチル、2,5−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、2,5−ジブロモ安息香酸−t−ブチル、3,6−ジクロロフタル酸無水物などを挙げることができ、好ましくはp−ジクロロベンゼン、p−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,5−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,5−ジクロロベンゾフェノン、2,5−ジクロロフェノキシベンゼンなどである。
【0017】
また、上記モノマーrとしては、例えば、
m−ジクロロベンゼン、m−ジブロモベンゼン、m−ジヨードベンゼン、m−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、3,5−ジクロロトルエン、3,5−ジブロモトルエン、3,5−ジヨードトルエン、2,6−ジクロロトルエン、2,6−ジブロモトルエン、2,6−ジヨードトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,6−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジブロモベンゾトリフルオライド、2,4−ジヨードベンゾトリフルオライド、3,5−ジクロロベンゾトリフルオライド、3,5−ジブロモトリフルオライド、3,5−ジヨードベンゾトリフルオライド、1,3−ジブロモ−2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、2,4−ジクロロベンジルアルコール、3,5−ジクロロベンジルアルコール、2,4−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジブロモベンジルアルコール、3,5−ジクロロフェノール、3,5−ジブロモフェノール、3,5−ジクロロ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、3,5−ジブロモ−t−ブトキシカルボニロキシフェニル、2,4−ジクロロ安息香酸、3,5−ジクロロ安息香酸、2,4−ジブロモ安息香酸、3,5−ジブロモ安息香酸、2,4−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジクロロ安息香酸メチル、3,5−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジブロモ安息香酸メチル、2,4−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジクロロ安息香酸−t−ブチル、2,4−ジブロモ安息香酸−t−ブチル、3,5−ジブロモ安息香酸−t−ブチルなどを挙げることもでき、好ましくはm−ジクロロベンゼン、2,4−ジクロロトルエン、3,5−ジメチルスルフォニロキシトルエン、2,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、2,4−ジクロロフェノキシベンゼンなどである。
【0018】
さらに、式(1)において、構造単位sを構成するモノマー(以下「モノマーs」ともいう)としては、例えば、
4,4′−ビス(4−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(4−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−ブロモベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(4−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−ヨードベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0019】
また、上記モノマーsとしては、例えば
4′−ビス(4−クロロベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(4−クロロベンゾイルアミ)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−クロロベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(3−クロロベンゾイル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(4−ブロモベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(4−ブロモベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−ブロモベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(3−ブロモベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(4−ヨードベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(4−ヨードベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−ヨードベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(3−ヨードベンゾイルアミノ)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(3−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(3−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0020】
さらに、上記モノマーsとしては、例えば
4,4′−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4′−ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(3−クロロフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(4−ブロモフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4′−ビス(4−ブロモフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−ブロモフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(3−ブロモフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(4−ヨードフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4′−ビス(4−ヨードフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−ヨードフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(3−ヨードフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニスルホニル)ジフェニルエーテル、4′−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(3−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニスルホニル)ジフェニルエーテル、4′−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニルスルホニル)ジフェニルエーテル、4,4′−ビス(3−メチルスルフォニロキシフェニスルホニル)ジフェニルエーテル、3,4′−ビス(3−メチルスルフォニロキシフェニルスルホニル)ジフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0021】
さらに、上記モノマーsとしては、例えば
4,4′−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4′−ビス(4−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4′−ビス(3−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4′−ビス(3−クロロフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4′−ビス(4−ブロモフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4′−ビス(4−ブロモフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4′−ビス(3−ブロモフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4′−ビス(3−ブロモフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4′−ビス(4−ヨードフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4′−ビス(4−ヨードフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4′−ビス(3−ヨードフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4′−ビス(3−ヨードフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4′−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4′−ビス(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4′−ビス(3−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4′−ビス(3−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4′−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4′−ビス(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、4,4′−ビス(3−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレート、3,4′−ビス(3−メチルスルフォニロキシフェニル)ジフェニルエーテルジカルボキシレートなどが挙げられる。
【0022】
さらに、上記モノマーsとしては、例えば
4,4′−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4′−ビス〔(4−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4′−ビス〔(3−クロロフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス[(4−ブロモフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4′−ビス〔(4−ブロモフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−ブロモフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4′−ビス〔(3−ブロモフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−ヨードフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4′−ビス〔(4−ヨードフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4′−ビス〔(3−ヨードフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4′−ビス〔(3−ヨードフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4′−ビス〔(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4′−ビス〔(3−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4′−ビス〔(3−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−メチルスルフォニロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4′−ビス〔(4−メチルスルフォニロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−メチルスルフォニロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、3,4′−ビス〔(3−メチルスルフォニロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3―ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0023】
さらに、上記モノマーsとしては、例えば
4,4′−ビス〔(4−クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−クロロフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−クロロフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−クロロフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−クロロフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−クロロフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−クロロフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−ブロモフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−ブロモフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−ブロモフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−ブロモフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−ブロモフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−ブロモフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−ブロモフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−ヨードフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−ヨードフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−ヨードフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−ヨードフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−ヨードフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−ヨードフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−ヨードフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−トリフルオロメチルスルフォニロキシフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−トリフルオロメチルスルフォニロキシ)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−メチルスルフォニロキシフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−メチルスルフォニロキシフェニル)テトラフルオロエチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−メチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−メチルスルフォニロキシフェニル)ヘキサフルオロプロピル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−メチルスルフォニロキシフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−メチルスルフォニロキシフェニル)オクタフルオロブチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(4−メチルスルフォニロキシフェニル)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔(3−メチルスルフォニロキシ)デカフルオロペンチル〕ジフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0024】
また、上記モノマーp〜s以外にも、例えば、
o−ジクロロベンゼン、o−ジブロモベンゼン、o−ジヨードベンゼン、o−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、2,3−ジクロロトルエン、2,3−ジブロモトルエン、2,3−ジヨードトルエン、3,4−ジクロロトルエン、3,4−ジブロモトルエン、3,4−ジヨードトルエン、2,3−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、3,4−ジメチルスルフォニロキシベンゼン、3,4−ジクロロベンゾトリフルオライド、3,4−ジブロモベンゾトリフルオライド、3,4−ジヨードベンゾトリフルオライド、1,2−ジブロモ−3,4,5,6−テトラフルオロベンゼン、4,5−ジクロロフタル酸無水物などを共重合させることができる。
【0025】
ポリアリーレン中の繰り返し構造単位の割合は、上記式(1)において、pが0〜100モル%、qが0〜100モル%、rが0〜100モル%、sが0〜100モル%、好ましくは、pが50〜100モル%、qが0〜50モル%、rが50〜100モル%、sが0〜50モル%(ただし、p+q+r+s=100モル%)である。
【0026】
本発明に用いられるポリアリーレンを製造する際に用いられる触媒は、遷移金属化合物を含む触媒系が好ましく、この触媒系としては、▲1▼遷移金属塩および配位子、または配位子が配位された遷移金属(塩)、ならびに▲2▼還元剤を必須成分とし、さらに、重合速度を上げるために、「塩」を添加してもよい。
【0027】
ここで、遷移金属塩としては、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル、ニッケルアセチルアセトナートなどのニッケル化合物、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウムなどのパラジウム化合物、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄などの鉄化合物、塩化コバルト、臭化コバルト、ヨウ化コバルトなどのコバルト化合物などを挙げることができる。これらのうち特に、塩化ニッケル、臭化ニッケルなどが好ましい。
【0028】
また、配位子としては、トリフェニルホスフィン、2,2′−ビピリジン、1,5−シクロオクタジエン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンなどを挙げることができるが、トリフェニルホスフィン、2,2′−ビピリジンが好ましい。上記配位子は、1種単独でまたは2種以上を組合わせて用いることができる。
【0029】
さらに、あらかじめ配位子が配位された遷移金属(塩)としては、例えば、塩化ニッケル2トリフェニルホスフィン、臭化ニッケル2トリフェニルホスフィン、ヨウ化ニッケル2トリフェニルホスフィン、硝酸ニッケル2−トリフェニルホスフィン、塩化ニッケル2,2′ビピリジン、臭化ニッケル2,2′ビピリジン、ヨウ化ニッケル2,2′ビピリジン、硝酸ニッケル2,2′ビピリジン、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスファイト)ニッケル、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムなどを挙げることができるが、塩化ニッケル2トリフェニルホスフィン、塩化ニッケル2,2′ビピリジンが好ましい。
【0030】
このような触媒系において使用することができる上記還元剤としては、例えば、鉄、亜鉛、マンガン、アルミニウム、マグネシウム、ナトリウム、カルシウムなどを挙げることできるが、亜鉛、マンガンが好ましい。これらの還元剤は、酸や有機酸に接触させることにより、より活性化して用いることができる。
【0031】
また、このような触媒系において使用することのできる「塩」としては、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどのナトリウム化合物、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、硫酸カリウムなどのカリウム化合物、フッ化テトラエチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム、硫酸テトラエチルアンモニウムなどのアンモニウム化合物などを挙げることができるが、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
【0032】
このような触媒系における各成分の使用割合は、遷移金属塩または配位子が配位された遷移金属(塩)が、上記モノマーp〜sの総量1モルに対し、通常、0.0001〜10モル、好ましくは0.01〜0.5モルである。0.0001モル未満であると、重合反応が充分に進行せず、一方、10モルを超えると、分子量が低下することがある。
【0033】
このような触媒系において、遷移金属塩および配位子を用いる場合、この配位子の使用割合は、遷移金属塩1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満では、触媒活性が不充分となり、一方、100モルを超えると、分子量が低下するという問題がある。
【0034】
また、触媒系における還元剤の使用割合は、モノマーp〜sの総量1モルに対し、通常、0.1〜100モル、好ましくは1〜10モルである。0.1モル未満であると、重合が充分進行せず、100モルを超えると、得られるポリアリーレンの精製が困難になることがある。
【0035】
さらに、触媒系に「塩」を使用する場合、その使用割合は、上記モノマーp〜sの総量1モルに対し、通常、0.001〜100モル、好ましくは0.01〜1モルである。0.001モル未満であると、重合速度を上げる効果が不充分であり、100モルを超えると、得られるポリアリーレンの精製が困難となることがある。
【0036】
本発明で使用することのできる重合溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタムなどを挙げることができ、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドンが好ましい。これらの重合溶媒は、充分に乾燥してから用いることが好ましい。
【0037】
重合溶媒中における上記モノマーp〜sの総量の濃度は、通常、1〜100重量%、好ましくは5〜40重量%である。
【0038】
また、本発明のポリアリーレンを重合する際の重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは50〜80℃である。また、重合時間は、通常、0.5〜100時間、好ましくは1〜40時間である。
なお、本発明に用いられるポリアリーレンのポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常、1,000〜1,000,000である。
【0039】
本発明に用いられるポリアリーレンのスルホン化物は、スルホン酸基を有しない上記ポリアリーレンに、スルホン化剤を用い、常法によりスルホン酸基を導入することにより得ることができる。
スルホン酸基を導入する方法としては、例えば、上記ポリアリーレンを、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウムなどの公知のスルホン化剤を用いて、公知の条件でスルホン化することができる〔Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p.730(1993);Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.3,p.736(1994);Polymer Preprints,Japan,Vol.42,No.7,p.2490〜2492(1993)〕。
【0040】
すなわち、このスルホン化の反応条件としては、上記ポリアリーレンを、無溶剤下、あるいは溶剤存在下で、上記スルホン化剤と反応させる。溶剤としては、例えばn−ヘキサンなどの炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドのような非プロトン系極性溶剤のほか、テトラクロロエタン、ジクロロエタン、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。反応温度は、特に制限はないが、通常、−50〜200℃、好ましくは−10〜100℃である。また、反応時間は、通常、0.5〜1,000時間、好ましくは1〜200時間である。
【0041】
このようにして得られる、上記ポリアリーレンのスルホン化物中のスルホン酸基量は、重合体を構成する単位p〜rの1ユニットに対して、通常、0.05〜2個、好ましくは0.3〜1.5個である。0.05個未満では、プロトン伝導性が上がらず、一方2個を超えると、親水性が向上し、水溶性ポリマーとなってしまうか、また水溶性に至らずとも耐久性が低下する。
【0042】
また、このようにして得られるポリアリーレンのスルホン化物は、スルホン化前のベースポリマーの分子量が、ポリスチレン換算重量平均分子量で1,000〜1,000,000、好ましくは1,500〜300,000である。1,000未満では、成形フィルムにクラックが発生するなど、塗膜性が不充分であり、また強度的性質にも問題がある。一方、1,000,000を超えると、溶解性が不充分となり、また溶液粘度が高く、加工性が不良になるなどの問題がある。
【0043】
なお、本発明に用いられるポリアリーレンのスルホン化物は、上記スルホン化物以外に、硫酸、リン酸などの無機酸、カルボン酸を含む有機酸、適量の水などを併用しても良い。
【0044】
(B)溶媒
本発明に用いられる(B)溶媒は、(b1)沸点が100℃以下のアルコール5〜75重量%および(b2)沸点が100℃を超える有機溶媒95〜25重量%〔ただし、(b1)+(b2)=100重量%〕からなる。
ここで、(b1)沸点が100℃以下のアルコールとしては、メタノール(bp=64.1℃)、エタノール(bp=78.5℃)、プロピルアルコール(bp=97.4℃)、i−プロピルアルコール(bp=82.4℃)、sec−ブチルアルコール(bp=100℃)、t−ブチルアルコール(bp=82.8℃)が挙げられるが、特に、メタノールが他の溶媒と併用時に幅広い組成範囲で溶液粘度を下げる効果があり好ましい。
これらの(b−1)アルコールは、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。
【0045】
また、(b2)沸点が100℃を超える有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(bp=202℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(bp=153℃)、γ−ブチロラクトン(bp=203〜204℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(bp=165.5℃)、ジメチルスルホキシド〔bp=189℃(分解)〕、ジメチル尿素(bp=268〜270℃)などの非プロトン系極性溶剤が挙げられるが、特に、溶解性、溶液粘度の面から、N−メチル−2−ピロリドン(以下「NMP」ともいう)が好ましい。
【0046】
(B)溶媒中における(b1)と(b2)の割合は、(b1)が25〜95重量%、好ましくは25〜75重量%、(b2)が75〜5重量%、好ましくは75〜25重量%〔ただし、(b1)+(b2)=100重量%〕である。(b1)成分が25重量%未満では、溶液粘度の低下が充分でなく、一方、95重量%を超えると、溶液粘度が著しく増加するので好ましくない。
【0047】
本発明の組成物によれば、(A)ポリアリーレンのスルホン化物の溶媒として、低沸点の(b1)アルコールと、これよりも沸点の高い(b2)有機溶媒を併用しているため、規定組成範囲内で溶液粘度を下げることができ、また、塗膜形成後、(b1)成分が優先的に蒸発するので、一旦、高高度の塗膜が形成されて、ピンホールなどの欠陥ができ難くなる。
(B)溶媒を構成する(b2)有機溶媒と(b1)低沸点アルコールの沸点差は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは70℃以上である。
【0048】
なお、本発明のポリアリーレン組成物は、上記(A)〜(B)成分を主成分とするが、そのほか、塗布基板との剥離性を促進させる離型剤や、可塑剤などを配合してもよい。
【0049】
本発明の組成物を用いたフィルム成形
本発明の組成物を用い、例えば、プロトン伝導性に優れたフィルム(プロトン伝導膜)を製造するには、(A)ポリアリーレンのスルホン化物を、(B)溶剤に溶解して、本発明のポリアリーレン組成物としたのち、キャスティングにより、基体上に流延し、フィルム状に成形するキャスティング法などにより、フィルムを製造する方法が挙げられる。
ここで、上記基体としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどが挙げられるが、これに限定されるものではなく、通常の溶液キャスティング法に用いられる基体であれば、如何なる素材でもよく、例えばプラスチック製でも、金属製でも特に制限されるものではない。
【0050】
この際のポリマー濃度〔組成物中の(A)成分の割合〕は、(A)成分の分子量にもよるが、通常、5〜40重量%、好ましくは7〜25重量%である。5重量%未満では、厚膜化し難く、また、ピンホールが生成しやすい。一方、40重量%を超えると、溶液粘度が高すぎてフィルム化し難く、また、表面平滑性に欠けることがある。
【0051】
なお、本発明の組成物の溶液粘度は、(A)成分の分子量や、ポリマー濃度にもよるが、通常、2,000〜100,000mPa・s、好ましくは3,000〜50,000mPa・sである。2,000mPa・s未満では、加工中の溶液の滞留性が悪く、基体から流れてしまう。一方、100,000mPa・sを超えると、高粘度過ぎて、ダイからの押し出しができず、流延法によるフィルム化が困難となる。
【0052】
上記キャスティング法による製膜後、▲1▼30〜100℃、好ましくは50〜80℃で10〜180分、好ましくは15〜60分乾燥し、次いで、▲2▼50〜150℃で、好ましくは500mmHg〜0.1mmHgの減圧下、0.5〜24時間、真空乾燥することにより、プロトン伝導性に優れたフィルム(プロトン伝導膜)を得ることができる。
上記▲1▼の工程においては、低沸点溶媒である(b1)成分が優先的に蒸発し、いったん高濃度の塗膜が形成されるので、ピンホールなどの欠陥ができ難い。
また、上記▲2▼の工程では、(b2)成分がさらに蒸発した溶媒含有量の少ないフィルムが得られる。
【0053】
本発明の組成物より得られるフィルム(プロトン伝導膜)は、ピンホール欠陥の極めて少ない製膜が可能であり、その乾燥膜厚は、通常、10〜100μm、好ましくは20〜80μmである。
【0054】
本発明の組成物より得られるフィルム(プロトン伝導膜)は、厚膜化が可能で、表面平滑性に優れ、ピンホールなどの欠陥が少ない高品質の膜質を有する。
したがって、本発明の組成物から得られるフィルム(プロトン伝導膜)は、例えば、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などに利用可能なプロトン伝導性の伝導膜に利用可能である。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例中の各種の測定項目は、下記のようにして求めた。
【0056】
重量平均分子量
スルホン化前のポリマーの重量平均分子量は、溶媒にテトラヒドロフラン(THF)を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、ポリスチレン換算の分子量を求めた。
【0057】
スルホン化率
スルホン化後のポリマーの所定量を、テトラヒドロフラン/水の混合溶剤に溶解し、フェノールフタレインを指示薬として、NaOHの標準液を用いて滴定し、中和点からスルホン化率を求めた。
【0058】
溶液粘度
ポリアリーレンのスルホン化物を溶媒に溶解し、本発明のポリアリーレン組成物としたのち、B型回転粘度計を用いて、溶液粘度を求めた。
【0059】
平滑性
本発明のポリアリーレン組成物をキャスティング法によりフィルム状に成形し、得られたフィルム(プロトン伝導膜)表面を目視により、その平滑性を観察した。
ピンホール
本発明のポリアリーレン組成物をキャスティング法によりフィルム状に成形し、得られたフィルム(プロトン伝導膜)表面を顕微鏡観察により、ピンホール数を求めた。
【0060】
プロトン伝導度の測定
100%相対湿度下に置かれた直径13mmのフィルム状試料を、白金電極に挟み、密閉セルに封入し、インピーダンスアナライザー(HYP4192A)を用いて、周波数5〜13MHz、印加電圧12mV、温度20℃、50℃、100℃にてセルのインピーダンスの絶対値と位相角を測定した。得られたデータは、コンピュータを用いて発振レベル12mVにて複素インピーダンス測定を行い、プロトン伝導率を算出した。
【0061】
実施例1
重量平均分子量14.5万のポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)を濃硫酸でスルホン化したスルホン化物(繰り返し単位に対し、85モル%をスルホン化)200gを、メタノール200gおよびNMP600gの混合溶媒に溶解させ、濃度20重量%の溶液を調製した。溶液粘度は、16,000mPa・sであった。得られたポリマー溶液を、PETフィルム上に流延し、100℃で1時間、さらに真空乾燥機で100℃で1昼夜乾燥し、乾燥膜厚50μmのフィルムを調製した。得られたフィルムの表面は、非常に平滑であった。また、表面を顕微鏡観察すると、ピンホールなどの欠陥も見られなかった。
また、このフィルムのプロトン伝導度は、0.002S/cmであった。
【0062】
比較例1
実施例1で用いたメタノールとNMPの混合溶媒の代わりに、NMP800gを用い、濃度20重量%の溶液を調製した。この溶液粘度は、25,000mPa・sであった。得られたポリマー溶液を用い、実施例1と同様にしてフィルムを調製したが、フィルム表面にはダイラインが生じており、平滑な表面が得られなかった。また、表面を顕微鏡観察すると、ピンホールが幾つか観察された。
なお、このフィルムのプロトン伝導度は、0.002S/cmと、実施例1と同様のプロトン伝導性を示していた。
【0063】
比較例2
実施例1で用いたメタノールとNMPの混合溶媒の代わりに、メタノール800gを用い、濃度15重量%の溶液を調製した。この溶液粘度は、50,000mPa・sであった。このポリマー溶液では、粘度が高すぎて、流延法によるフィルム化は困難であった。
【0064】
実施例2
実施例1で用いたポリ(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)の単独重合体のスルホン化物の代わりに、重量平均分子量15万の、(4−フェノキシベンゾイル−1,4−フェニレン)の繰り返し単位(A)と(ジフェニルメタノン−4,4′−ジイル)の繰り返し単位(B)からなる共重合体〔共重合体組成;(A)/(B)=90/10重量%〕を濃硫酸でスルホン化したスルホン化物〔繰り返し単位に対し、(A)ユニットの90モル%がスルホン化されており、(B)ユニットはスルホン化されていなかった〕を用いた。このポリアリーレンのスルホン化物150gを、メタノール212gおよびNMP638gの混合溶媒に溶解させ、濃度15重量%の溶液を調製した。溶液粘度は、10,100mPa・sであった。これ以外は、実施例1と同様にして、50μmのフィルムを調製した。得られたフィルムの表面は、非常に平滑であった。また、表面を顕微鏡観察すると、ピンホールなどの欠陥も見られなかった。
また、このフィルムのプロトン伝導度は、0.002S/cmであった。
【0065】
比較例3
実施例1で用いたメタノールとNMPの混合溶媒の代わりに、NMP850gを用いて濃度15重量%の溶液を調製した。この溶液粘度は、18,300mPa・sであった。得られたポリマー溶液を用い、実施例1と同様にしてフィルムを調製したが、フィルム表面にはダイラインが生じており、平滑な表面が得られなかった。また、表面を顕微鏡観察すると、ピンホールが幾つか観察された。
なお、このフィルムのプロトン伝導度は、0.002S/cmと、実施例1と同様のプロトン伝導性を示していた。
【0066】
比較例4
実施例1で用いたメタノールとNMPの混合溶媒の代わりに、メタノール850gを用いて濃度15重量%の溶液を調製した。この溶液粘度は、100,000mPa・sであった。このポリマー溶液では、粘度が高すぎて、流延法によるフィルム化は困難であった。
【0067】
【発明の効果】
本発明のポリアリーレン組成物は、ポリアリーレンのスルホン化物と特定の混合溶媒を主成分とし、これにより、組成物の溶液粘度を下げることができ、フィルム成形性に優れ、その結果、厚膜化が可能で、表面平滑性に優れ、ピンホールなどの欠陥のない優れた物性を有するフィルム(プロトン伝導膜)が得られる。したがって、本発明の組成物から得られるフィルム(プロトン伝導膜)は、伝導膜として、広い温度範囲にわたって高いプロントン伝導性を有し、一次電池用電解質、二次電池用電解質、燃料電池用高分子固体電解質、表示素子、各種センサー、信号伝達媒体、固体コンデンサー、イオン交換膜などの伝導膜として利用可能であり、この工業的意義は極めて大である。
Claims (4)
- (A)ポリアリーレンのスルホン化物、ならびに
(B)(b1)沸点が100℃以下のアルコール5〜75重量%および(b2)沸点が100℃を超える有機溶媒95〜25重量%〔ただし、(b1)+(b2)=100重量%〕からなる溶媒
を含有することを特徴とするポリアリーレン組成物。 - (A)成分を構成するポリアリーレンが下記一般式(1)で表される構造単位からなる請求項1記載のポリアリーレン組成物。
- (b1)沸点が100℃以下のアルコールがメタノールである請求項1記載のポリアリーレン組成物。
- (b2)沸点が100℃を超える有機溶媒がN−メチル−2−ピロリドンである請求項1記載のポリアリーレン組成物。
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