JP4826065B2 - 高分子電解質材、およびそれを用いた高分子電解質膜 - Google Patents
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Description
本発明は、高分子電解質材、およびそれを用いた高分子電解質膜に関する。
すなわち、「メタノール水溶液に浸漬し、取り出して3分以内に測定したプロトン伝導度をメタノール水溶液の濃度(0、10、20、30、40、50、および60%)に対してプロットした時に最小二乗法による直線近似式の傾き[(mS/cm)/(メタノール重量%)]が−0.3以上+3以下であり、純水に浸漬し取り出して3分以内に測定した25℃におけるプロトン伝導度が0.03S/cm以上2S/cm以下であることを特徴とする高分子電解質材」であり、またそれらの好ましい態様であり、そして係る高分子電解質材を用いた高分子電解質膜である。
本発明の高分子電解質材の1つは、メタノール水溶液に浸漬し取り出して3分以内のプロトン伝導度が、該メタノール水溶液の濃度が増加しても低下しないことを特徴とする。即ち、該高分子電解質材を各種濃度のメタノール水溶液に浸漬し取り出し、その直後に25℃においてプロトン伝導度を測定し、そのメタノール水溶液濃度(X軸)とプロトン伝導度(Y軸)とをXY軸上にプロットしたとき、メタノール濃度の増加に対してプロトン伝導度が低下しないものである。また、このXY軸上のプロットの近似式の傾きがゼロもしくはプラスと言える値であること(具体的には、近似式の傾きが−0.3(mS/cm)/(メタノール%)以上であること)でもって表すことができる。このような関係は、メタノール水溶液の濃度が0%〜60%の範囲内の全域において示されることが好ましい。このように、本発明の高分子電解質材は、メタノール水溶液濃度が高くても、メタノール水溶液濃度が低い場合と同様に高いプロトン伝導度を発揮するので、高濃度の燃料を使用する燃料電池において、高出力や高エネルギー容量を達成することができる。
これに対し、従来公知の高分子電解質材は、メタノール水溶液に浸漬し取り出して3分以内のプロトン伝導度は、該メタノール水溶液の濃度が増加すると低下するものであったので、高濃度の燃料を使用する燃料電池で、高出力や高エネルギー容量を達成することが難しいものであった。
プロトン伝導度の測定は、高分子電解質材を膜状に成形したもの、すなわち高分子電解質膜に対して行う。膜厚は1μm〜2mmが好適であり、さらに好適には20μm〜1mm、最も好適には50μm〜500μmである。プロトン伝導度の測定に供する高分子電解質膜の膜厚が薄すぎる場合には、3枚を限度として重ね合わせて測定することができる。重ね合わせる場合には界面に少量のポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)の15%水溶液を塗布するものとする。各種濃度のメタノール水溶液とは、具体的には、0%、10%、20%、30%、40%、50%および60%の7水準とすればよい。
上記特性を有する本発明の高分子電解質材は、メタノール水溶液濃度が0%〜60%の範囲内において、メタノール水溶液に浸漬し取り出して3分以内のプロトン伝導度の測定が可能であり、即ち、該メタノール水溶液濃度範囲内において溶解もしくは崩壊しないものである。
(プロトン伝導度測定法A)
高分子電解質材を膜状に成形した高分子電解質膜のサンプル(5mm角程度の大きさ)を、25℃の純水に24時間以上浸漬した後、取り出し、表面の水滴をガーゼで軽く拭き取る。次いですみやかに25℃の所定濃度のメタノール水溶液(前記の各種濃度のメタノール水溶液の中から選ばれる)に浸漬し12時間放置する。次いでサンプルを25℃、相対湿度50〜80%の雰囲気中に取り出し、すみやか(3分以内)にサンプルを図1に示したステンレス製セルにセットする(有効電極面積0.0314cm2)。以下、取り出した直後とは、取り出して3分以内の意味である。ここでステンレス製バネ(5)は、サンプルが無い状態で図1のステンレス製セルを組み立てたときに、1kgの荷重を与えるものである。また図1中の四フッ化エチレン樹脂製スペーサー(7)の厚み(t1)は3.0mm、ステンレス製電極(6)の突起部の長さ(t2)は3.1mmであり、ステンレス製電極(6)の突起部は四フッ化エチレン樹脂製スペーサー(7)の底面から0.1mm下方に突出している。サンプル(9)と電極とが接触する界面には、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸)の15%水溶液を塗布する。
高分子電解質材を膜状に成形した高分子電解質膜のサンプル(幅10mm程度、長さ10〜30mm程度の大きさ)を、25℃の純水に24時間以上浸漬した後、取り出し、表面の水滴をガーゼで軽く拭き取る。次いですみやかに25℃の所定濃度のメタノール水溶液(前記の各種濃度のメタノール水溶液の中から選ばれる)に浸漬し12時間放置する。次いでサンプルを25℃、相対湿度50〜80%の雰囲気中に取り出し、すみやか(3分以内)に図3のようにセットし、クリップで固定する。電極(11)として直径100μmの白金線(2本)を使用する。電極(11)はサンプル膜(9)の表側と裏側に、互いに平行にかつサンプル膜の長手方向に対して直交するように配置する。電極間距離は5mm〜30mmとする。
以上のようにして各種濃度(すなわち0%、10%、20%、30%、40%、50%および60%の7水準)のメタノール水溶液に浸漬し、取り出した直後の25℃におけるプロトン伝導度を測定する。
近似式の傾きが−0.3(mS/cm)/(メタノール%)以上である場合に、該高分子電解質は、メタノール水溶液の濃度が0%〜60%の範囲において、メタノール濃度の増加に対してプロトン伝導度が低下しないものと判断する。メタノール濃度が増加しても伝導度はなるべく低下しないことが好ましく、近似式の傾きは−0.2(mS/cm)/(メタノール%))以上がより好ましく、−0.1(mS/cm)/(メタノール%)以上がさらに好ましい。近似式の傾きの上限は、メタノール濃度に対する伝導度の安定性の観点から+3(mS/cm)/(メタノール%)以下である。
本発明の高分子電解質材は、それから得られる燃料電池において大きな出力が得られることからプロトン伝導度が0.03S/cm以上である。より好ましくは0.05S/cm以上、さらに好ましくは0.07S/cm以上である。またプロトン伝導度の上限は、高分子電解質の機械物性的バランスを保つ意味で2S/cm以下である。これらの値は、高分子電解質材を純水に浸漬し、取り出した直後に測定した25℃におけるプロトン伝導度であって、より具体的には、前述のプロトン伝導度測定値のうち、純水(メタノール水溶液の濃度が0%)の値(3点)の平均値である。
本発明の高分子電解質材の1つは、メタノール水溶液の濃度の増加に対して、メタノール透過率が直線的に増加するか、または上に凸のカーブを描いて増加することを特徴とする。即ち、該高分子電解質材を各種濃度のメタノール水溶液においてメタノール透過率を測定し、そのメタノール水溶液濃度(X軸)とメタノール透過率(Y軸)とをXY軸上にプロットしたとき、メタノール濃度の増加に対するメタノール透過率の増加曲線が、直線状となるか、ないしは、上に凸のカーブとなるかである。このように、本発明の電解質材は、燃料透過率の増加が燃料濃度にほぼ単純比例するか、または燃料濃度が濃くなるほど燃料透過率の増加が抑制されるので、高濃度の燃料で使用するのに好適である。
これに対し、従来公知の高分子電解質材は、メタノール水溶液の濃度の増加に対して、メタノール透過率の増加曲線が下に凸のカーブを描くものであった。
上記特性を有する本発明の高分子電解質材は、該高分子電解質を膜状に成形して20℃におけるメタノール透過率を、各種濃度のメタノール水溶液で測定し、そのメタノール水溶液の濃度(X軸)とメタノール透過率(Y軸)とをXY軸上にプロットしたとき、該メタノール水溶液の濃度が3%〜50%の範囲内におけるメタノール透過率の増加曲線が、メタノール濃度の増加に対してメタノール透過率が直線的に増加するもの、ないし、上に凸のカーブを描いて増加するものであることが好ましい。
メタノール透過率の測定は高分子電解質材を膜状に成形したもの、すなわち高分子電解質膜に対して行う。膜厚は1μm〜2mmが好適であり、さらに好適には20μm〜1mm、最も好適には50μm〜500μmである。測定に用いるメタノール水溶液は、具体的には3%、10%、20%、30%、40%および50%の6水準とすればよい。
上記特性を有する本発明の高分子電解質材は、メタノール水溶液濃度が3%〜50%の範囲内においてメタノール透過率の測定が可能であり、即ち、該メタノール水溶液濃度範囲内において溶解もしくは崩壊しないものである。
高分子電解質材を膜状に成形した高分子電解質膜のサンプル(30mm角の大きさ)を25℃の純水に24時間浸漬した後、取り出して、図4に示すように、アクリル樹脂製H型セル間に高分子電解質膜を挟み、一方のセルには純水(60mL)(14)を入れ、他方のセルには所定濃度のメタノール水溶液(60mL)(15)を入れる。セルの容量は各80mLである。また、セル間の開口部は直径1.5cmの円形であり、有効膜面積は1.77cm2である。20℃において両方のセル内の液体を攪拌子(13)でもって撹拌する。0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間および3時間経過時点で純水中に溶出したメタノール量を島津製作所製ガスクロマトグラフィ(GC−2010)(商品名)で測定し定量する。グラフの傾きから単位時間、単位面積あたりのメタノール透過率を求める。グラフの傾きは最小二乗法によって求める。
以上のようにして各種濃度(すなわち3%、10%、20%、30%、40%および50%の6水準)のメタノール水溶液を用いて20℃におけるメタノール透過率を測定する。該メタノール透過率を該メタノール水溶液の濃度に対してプロットする。メタノール透過率およびメタノール濃度はともに有効数字3桁として取り扱う。
まず全測定点(12点)を元に最小二乗法による直線近似を行う。相関係数(R2)が0.998以上である場合に、該高分子電解質はメタノール水溶液の濃度が3%〜50%の範囲においてメタノール濃度の増加に対してメタノール透過率が直線的に増加すると判断する。
全測定点(12点)を元に最小二乗法による二次多項式近似を行う。すなわちメタノール透過率(nmol/cm・分)をyとし、メタノール濃度(%)をxとしたときにa,b,cを係数として
y=ax2+bx+c
という二次多項式で近似する。このときx2の係数aの符号がマイナスであり、かつaの絶対値が0.01以上である場合に、メタノール濃度の増加に対してメタノール透過率が上に凸のカーブを描くと判断する。
本発明の高分子電解質材は、それから得られる燃料電池において燃料のメタノール水溶液の濃度が高い領域において高出力および高エネルギー容量が得られるという観点から、20℃において10%メタノール水溶液を用いて測定した場合のメタノール透過率が、600nmol/cm・分以下であることが好ましい。より好ましくは500nmol/cm・分以下、さらに好ましくは400nmol/cm・分以下である。またメタノール透過率の下限値としては、ゼロnmol/cm・分が最も好ましいが、極端に低いメタノール透過率はしばしばプロトン伝導度を損なうので、現実的な下限値は10nmol/cm・分である。これらの値は10%のメタノール水溶液を用いた20℃におけるメタノール透過率の測定値であって、より具体的には、前述のメタノール透過率測定値のうち10%メタノール水溶液を用いた場合の値(2点)の平均値である。
本発明の高分子電解質材は、プロトン伝導度の観点から必要な物性、すなわち「メタノール水溶液に浸漬し、取り出した直後のプロトン伝導度が、該メタノール水溶液の濃度が増加しても低下しないこと」と、燃料透過率の観点から必要な物性、すなわち「メタノール水溶液の濃度の増加に対して、メタノール透過率が直線的に増加するか、または上に凸のカーブを描いて増加すること」の両方を満足することが好ましい。またこれに加えてプロトン伝導度の観点から好ましい物性、すなわち「純水に浸漬し、取り出した直後の25℃におけるプロトン伝導度が0.03S/cm以上であること」と燃料透過率の観点から必要な物性、すなわち「該高分子電解質を膜状に成形し、20℃において10%メタノール水溶液を用いて測定した場合のメタノール透過率が、600nmol/cm・分以下であること」のうちの少なくとも1つを満足することが好ましく、両方を満足することが最も好ましい。
膜厚ムラ(%)=100×(膜厚最大値−膜厚最小値)/膜厚平均値
例えばアクリル酸、メタアクリル酸、ビニル安息香酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、マレイン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールメタクリレートホスフェートなどに代表されるアニオン性基を有するモノマーから得られる高分子が挙げられる。このようなアニオン性基を有するモノマーにアニオン性基を持たないモノマーを共重合させた高分子も好適である。アニオン性基を持たないモノマーとしては重合性官能基を有する化合物であれば特に限定なく用いることができる。好ましくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物、スチレン系化合物、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド系化合物、マレイミド系化合物等が挙げられる。本発明に用いる高分子(A)は架橋高分子であってもよい。高分子(A)が架橋高分子であれば燃料クロスオーバー抑制のためには有利である。アニオン性基を有するモノマーから得られる高分子を架橋させる場合には、(メタ)アクリル系化合物、スチレン系化合物、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド系化合物、マレイミド系化合物等の中で重合性官能基を複数有するものを架橋剤として共重合させればよい。
光重合開始剤としてはベンゾフェノンのようなカルボニル化合物とアミン併用系や、メルカプタン化合物、ジスルフィド化合物などを挙げることができる。
これらの重合開始剤は単独または混合して用いられ、およそ1%くらいまでの量で使用される。
主鎖に芳香族環を含む高分子であってアニオン性基を有するものである。
主鎖構造は、特に限定されるものではないが、例えばエンジニアリングプラスチックとして使用されるような十分な機械強度を有する物が好ましい。
含フッ素系高分子であってアニオン性基を有するものである。
アニオン性基を有する無機高分子の例としては、アニオン性基を有するオルガノポリシロキサンを挙げることができる。アニオン性基を有するオルガノポリシロキサンは、アニオン性基を有するケイ素化合物から得ることできる。アニオン性基を有するケイ素化合物として好適なものの例を挙げれば下記式(c1)〜(c9)で表される化合物である。
これらのアニオン性基を有するケイ素化合物は、単独で使用してもよいが、アニオン性基を持たないケイ素化合物と併用してもよい。
本発明の高分子電解質膜は電極基材と電極触媒層とから構成される電極と組み合わせて膜電極複合体として燃料電池に用いられる。
(1)高分子電解質膜の作製
三角フラスコに、シクロヘキシルマレイミド(30.5g)、スチレン(41.4g)、エチレングリコールジメタクリレート(28.1g)、プロピレンカーボネート(25.0g)、及び、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル(0.3g)を加え、マグネチックスターラーを使用して撹拌し均一に溶解させ、モノマー溶液とした。
得られた高分子電解質膜をクロロスルホン酸の5%ニトロエタン溶液中に150分間浸漬後、洗浄液が中性になるまで水洗した。次に該膜を飽和食塩水に2時間浸漬し、水洗した後、酸素含有率2%の窒素ガス雰囲気下で270℃、20分間加熱した後、除冷した。その後、該膜を、1M硫酸に1日浸漬後、洗浄液が中性になるまで十分水洗して、高分子電解質膜を作製した。膜厚ムラは2%であった。
(2)高分子電解質膜の評価
得られた高分子電解質膜をメタノール水溶液に浸漬し、取り出した直後のプロトン伝導度を測定した。測定値を表1に示した。近似式の傾きは0.0048(mS/cm/重量%)であり、プロトン伝導度はメタノール水溶液の濃度が増加しても低下しなかった。純水に浸漬し、取り出した直後の25℃におけるプロトン伝導度は80.1mS/cmであり十分に高い値であった。
また、得られた高分子電解質膜のメタノール透過率(MCO)を測定した。測定値を表2に示した。直線近似の相関係数(R2)は0.9926であり直線ではなかったが、二次多項式近似のx2の係数が−0.0302であり上に凸のカーブを描いた。また20℃における10%メタノール水溶液を用いて測定した場合のメタノール透過率は127nmol/cm・分であり十分に小さい値であった。
(1)高分子電解質材の作製
かき混ぜ機、窒素導入管、Dean−Stark管を備えた500mL三口フラスコに9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(17.52g、0.05mol)、ヒドロキノン(5.50g、0.05mol)、4,4'−ジフルオロベンゾフェノン(21.82g、0.10mol)、及び、炭酸カリウム(17.25g、0.125mol)を入れ、窒素置換後、N−メチル−2−ピロリドン(150mL)、及びトルエン(75mL)を追加した。この混合物を窒素雰囲気下、150℃で4h還流し、トルエンとの共沸により水を除去した。次いで165℃に昇温し、トルエンを除去後、そのまま165℃で6h反応させた。粘性ある緑色溶液を室温まで放冷後、クロロホルム(500mL)を加え希釈した。水(300mL)による抽出を3回繰り返し、塩を除去した。6Lのメタノール中に投じてポリマーを沈殿させ、メタノールで3回洗浄した。100℃で一晩真空乾燥した。
(2)高分子電解質膜の作製
前記(1)で得られた高分子電解質材(10g)をN,N−ジメチルアセトアミド(40g)に室温で攪拌溶解させ、20%溶液とした。得られた高分子電解質溶液をシリコーンゴムで囲いをしたガラス板上に流延塗付し(溶液厚み500μm)、室温で30分間放置した後、100℃、3時間加熱し、さらに酸素含有率1%の窒素ガス雰囲気下で280℃、20分間加熱した後、除冷した。その後、得られたフィルムをガラス板から剥離し、1M硫酸に1日浸漬後、洗浄液が中性になるまで十分水洗して高分子電解質膜を得た。膜厚ムラは3%であった。
(3)高分子電解質膜の評価
得られた高分子電解質膜をメタノール水溶液に浸漬し、取り出した直後のプロトン伝導度を測定した。測定値を表1に示した。近似式の傾きは0.1607(mS/cm/重量%)であり、プロトン伝導度はメタノール水溶液の濃度が増加しても低下しなかった。純水に浸漬し、取り出した直後の25℃におけるプロトン伝導度は143mS/cmであり十分に高い値であった。
また、得られた高分子電解質膜のメタノール透過率(MCO)を測定した。測定値を表2に示した。直線近似の相関係数(R2)は0.9995であり、直線であった。また20℃における10%メタノール水溶液を用いて測定した場合のメタノール透過率は347nmol/cm・分であり十分に小さい値であった。
[比較例1]
“ナフィオン”117膜(デュポン社製)をメタノール水溶液に浸漬し、取り出した直後のプロトン伝導度を測定した。測定値を表1に示した。近似式の傾きは−0.7594(mS/cm/%)であり、プロトン伝導度はメタノール水溶液の濃度が増加すると低下し、好ましい物性ではなかった。純水に浸漬し、取り出した直後の25℃におけるプロトン伝導度は115mS/cmであった。
また、“ナフィオン”117膜(デュポン社製)のメタノール透過率(MCO)を測定した。測定値を表2に示した。直線近似の相関係数(R2)は0.9971であり直線ではなく、二次多項式近似のx2の係数が0.1142であり下に凸のカーブを描き、好ましい物性ではなかった。また20℃における10%メタノール水溶液を用いて測定した場合のメタノール透過率は332nmol/cm・分であった。
(1)スルホン化ポリフェニレンオキシドの合成
攪拌装置を備えた反応器に窒素雰囲気下にて、三菱エンジニアリングプラスチック(株)社製ポリフェニレンオキシド(品番:YPX−100L)(100g)をクロロホルム(1000g)に室温で攪拌溶解させた後、攪拌を継続しながらクロロスルホン酸(34mL)を滴下し、滴下終了後室温で30分間攪拌を継続した。次に析出したポリマーを濾布を用いて濾別した。その後、ミルを用いて粉砕し、純水で十分に洗浄した後に真空乾燥を行った。
(2)高分子電解質膜の作製
前記(1)で得られたスルホン化ポリフェニレンオキシド(10g)をN,N−ジメチルアセトアミド(40g)に室温で攪拌溶解させ、20%溶液とした。得られた高分子電解質溶液をシリコーンゴムで囲いをしたガラス板上に流延塗付し(溶液厚み500μm)、100℃、3時間加熱した。その後、得られたフィルムをガラス板から剥離して高分子電解質膜を得た。
(3)高分子電解質膜の評価
得られた高分子電解質膜をメタノール水溶液に浸漬し、取り出した直後のプロトン伝導度を測定した。測定値を表1に示した。該高分子電解質膜は、40%以上の高濃度メタノール水溶液に溶解してしまい、好ましい物性ではなかった。なお、濃度30%以下における近似式の傾きは−1.236(mS/cm/%)であり、プロトン伝導度はメタノール水溶液の濃度が増加すると低下し、好ましい物性ではなかった。純水に浸漬し、取り出した直後の25℃におけるプロトン伝導度は134mS/cmであった。
また、得られた高分子電解質膜のメタノール透過率(MCO)を測定した。測定値を表2に示した。該高分子電解質膜は40%以上の高濃度メタノール水溶液に溶解してしまった。なお、濃度30%以下における直線近似の相関係数(R2)は0.9865であり直線ではなく、二次多項式近似のx2の係数が0.5575であり下に凸のカーブを描き、好ましい物性ではなかった。また20℃における10%メタノール水溶液を用いて測定した場合のメタノール透過率は281nmol/cm・分であった。
[比較例3]
(1)スルホン化ポリエーテルエーテルケトンの作製
ビクトレックス社製のポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(3.0g)を濃硫酸(150mL)中に溶解させ、撹拌しながら室温で14日間反応を行った。得られた混合物を多量のエーテル中に投入し、白色沈殿を濾別し、洗浄した後、乾燥してスルホン化ポリエーテルエーテルケトンを作製した。該スルホン化ポリエーテルエーテルケトンをN,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、20%溶液とした。
前記ポリマー溶液をシリコーンゴムで囲いをしたガラス板上に流延塗付し(溶液厚み500μm)、100℃、3時間加熱した。その後、得られたフィルムをガラス板から剥離して高分子電解質膜を得た。
得られた高分子電解質膜のメタノール水溶液に浸漬し、取り出した直後のプロトン伝導度の測定を試みたが、該高分子電解質膜は水にもメタノール溶液にも溶解してしまい、測定不能であった。また、メタノール透過率(MCO)も、同様に測定不能であり、高分子電解質膜として使用できないものであった。
実施例1の高分子電解質膜を用いて、次の方法により膜電極複合体(MEA)および燃料電池を作製し評価した。また、比較として、市販の高分子電解質膜「“ナフィオン”117(デュポン社製)」を95℃熱水にて1時間処理を行ったものを用いて同様に燃料電池を作製し評価した(比較例4)。
エネルギー容量は、出力、MEAでのMCOを基に下記数式(n1)にて計算した。
出力:最大出力密度(mW/cm2)
容積:燃料の容積(本実施例では10mLとして計算した。)
濃度:燃料のメタノール濃度(%)
MCO:MEAでのMCO(μmol・min-1・cm-2)
電流密度:最大出力密度が得られるときの電流密度(mA/cm2)
実施例2の高分子電解質膜を用いて、実施例3と同様の方法で膜電極複合体(MEA)および燃料電池を作製し評価した。
実施例2の高分子電解質膜を使用して得られたMEAは、比較例4のMEAに比べ出力(mW/cm2)で2.0倍、エネルギー容量(Wh)で2.9倍の値を示し優れた特性を有していた。
実施例2の高分子電解質材および高分子電解質膜を用いて、次の方法により膜電極複合体(MEA)および燃料電池を作製し評価した。
高分子電解質膜の作製時にやや水平度の悪いオーブンを使用した以外は実施例2と全く同様に行って高分子電解質膜を作製した。平均膜厚243μm、膜厚ムラは8%であった。
プロトン伝導度は142mS/cm、近似式の傾きは0.1606であった。また、メタノール透過率は345nmol/cm/分、R2は0.9995であった。
またアノード側に10%メタノール水溶液、カソード側に空気を流して20℃においてMEAの評価を2000時間行った。2000時間経過後の出力は初期値の81%まで低下した。
2:シリコーンゴム製Oリング
3:電極端子
4:ステンレス製筐体(上部)
5:ステンレス製バネ
6:ステンレス製電極
7:四フッ化エチレン樹脂製スペーサー
8:ステンレス製電極兼筐体(下部)
9:サンプル(高分子電解質膜)
10:スライドグラス
11:電極線(白金線)
12:シリコーンゴム製パッキング
13:攪拌子
14:純水
15:メタノール水溶液
t1:四フッ化エチレン樹脂製スペーサー(7)の厚み
t2:ステンレス製電極(6)の突起部の長さ
Claims (5)
- メタノール水溶液に浸漬し取り出して3分以内に測定したプロトン伝導度をメタノール水溶液の濃度(0、10、20、30、40、50、および60%)に対してプロットした時に最小二乗法による直線近似式の傾き[(mS/cm)/(メタノール%)]が−0.3以上+3以下であり、純水に浸漬し取り出して3分以内に測定した25℃におけるプロトン伝導度が0.03S/cm以上2S/cm以下であることを特徴とする高分子電解質材。
- メタノール水溶液の濃度(3、10、20、30、40および50%)に対して、メタノール透過率をプロットした時に、最小二乗法による直線近似の相関係数(R2)が0.998以上である、または最小二乗法による二次多項式近似の二次の項の係数aの符号がマイナスでありaの絶対値が0.01以上であることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質材。
- 20℃において10%メタノール水溶液を用いて測定した場合のメタノール透過率が、600nmol/cm・分以下であることを特徴とする請求項2に記載の高分子電解質材。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の高分子電解質材を用いて形成されたことを特徴とする高分子電解質膜。
- 25℃の水中に24時間浸漬して測定した、下記式で示される膜厚ムラが5%以下であることを特徴とする請求項4に記載の高分子電解質膜。
膜厚ムラ(%)=100×(膜厚最大値−膜厚最小値)/膜厚平均値
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