JP4422576B2 - 光学的立体造形方法および装置 - Google Patents
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そこで、造形終了後に立体造形物を造形用基盤から容易に分離できるようにするために、支持部材に可撓性のシート状部材を着脱自在に取り付けて基盤面を形成し、基盤面をなす可撓性のシート状部材上で上記した光造形操作を行って立体造形物を形成させ、立体造形物の形成後に支持部材への可撓性のシート状部材の取り付けを解除して立体造形物と可撓性のシート状部材を一体にして支持部材から取り外し、次いで可撓性のシート状部材を撓ませて立体造形物から剥離する方法が提案されている(特許文献4を参照)。
しかしながら、磁石を組み込んだり磁石粉末を混入した可撓性のシート状部材は、一般に表面の平滑性や平坦性に劣ることが多い。そのため、表面の平滑性や平坦性に劣るそのような可撓性のシート状部材を表面材とする支持テーブルでは、該可撓性のシート状部材表面に光硬化性液を施して光造形を行ったときに、厚さの均一な造形面(光硬化液層)が形成されにくくなり、それに伴って立体造形物の寸法精度の低下、形状不良などが生じ易くなる。さらに、磁石を組み込んだり磁石粉末を混入した可撓性のシート状部材は、鉄板などのような可撓性の金属プレートに比べて強度が低く、そのために光造形工程の終了後に立体造形物に固着している可撓性のシート状部材を撓ませて立体造形物から剥離する操作を繰り返すうちに亀裂や損傷などが発生し、少数回の使用で使用不能になり易く、耐久性に劣るという問題がある。
本発明の目的は、光硬化性樹脂組成物を用いて造形用基盤上で立体造形物を製造するに当たって、造形用基盤を構成する部材が造形工程中に上下にずれたり左右にずれるという問題が生じず、寸法精度および形状に優れる立体造形物を、安定した光造形工程で製造することのできる光学的立体造形方法および装置を提供することである。
本発明の目的は、造形工程が終了したときに、造形用基盤上で形成された立体造形物を、造形用基盤およびそれを構成する部材から簡単に且つ円滑に分離して回収することのできる光学的立体造形方法および装置を提供することである。
さらに、本発明の目的は、造形用基盤(造形テーブル)の作製や組み立てなどに多くの手間、時間およびコストを要せず、簡単に且つ低いコストで作製することができ、しかも表面の平滑性および平坦性に優れていて、光硬化性樹脂組成物よりなる厚さが均一で平滑な造形面を造形用基盤表面に形成することができ、更に耐久性に優れる造形用基盤およびそれを用いる光学的立体造形方法を提供することである。
また、本発明者は、上記した(A)/(B)/(C)の層構造部を有する造形用基盤では、表面の平滑性および平坦性に優れる磁性を有する可撓性のシート部材が最表面に位置し、磁石粉末を混入したり磁石を組み込んだ磁力を有するシート部材がその下に位置するため、造形用基盤上に厚さが均一で平滑な光硬化性樹脂組成物よりなる造形面を形成でき、それによって造形精度、得られる立体造形物の外観などが向上することを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
(1)(i) 造形用基盤上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して光硬化性樹脂組成物よりなる最初の造形面を形成し、その造形面に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して光硬化性樹脂組成物よりなる造形面を形成しその造形面に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する光造形工程を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことからなる光学的立体造形方法であって;
(ii) 造形用基盤が、磁性を有する可撓性のシート部材(A)、磁力を有するシート部材(B)および磁性を有する支持プレート(C)を、最表面側から(A)/(B)/(C)の順に重ねた層構造部を少なくとも有し、前記層構造部における磁性を有する可撓性のシート部材(A)の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して光硬化性樹脂組成物よりなる前記した最初の造形面を形成する;
ことを特徴とする光学的立体造形方法である。
(2) 磁力を有するシート部材(B)が可撓性を有する前記(1)の光学的立体造形方法である。
さらに、本発明は、
(3)・造形用基盤上での立体造形物の形成終了後に、立体造形物および磁性を有する可撓性のシート部材(A)を一体にして、磁性を有する可撓性のシート部材(A)の下部に位置する磁力を有するシート部材(B)および磁性を有する支持プレート(C)から分離し、次いで磁性を有する可撓性のシート部材(A)を撓ませて立体造形物から剥離して、立体造形物を分離・回収するか;
・造形用基盤上での立体造形物の形成終了後に、立体造形物、磁性を有する可撓性のシート部材(A)および磁力を有するシート部材(B)を一体にして、磁力を有するシート部材(B)の下部に位置する磁性を有する支持プレート(C)から分離し、次いで磁性を有する可撓性のシート部材(A)および磁力を有するシート部材(B)を一体にして撓ませて立体造形物から剥離して、立体造形物を分離・回収するか;または、
・造形用基盤上での立体造形物の形成終了後に、立体造形物、磁性を有する可撓性のシート部材(A)および磁力を有するシート部材(B)を一体にして、磁力を有するシート部材(B)の下部に位置する磁性を有する支持プレート(C)から分離し、次いで磁力を有するシート部材(B)を立体造形物および磁性を有する可撓性のシート部材(A)から剥離し、続いて磁性を有する可撓性のシート部材(A)を撓ませて立体造形物から剥離して、立体造形物を分離・回収する;
ことからなる前記(1)または(2)の光学的立体造形方法である。
(4) 造形用基盤;
造形用基盤上および光硬化した樹脂層上に、1層分の光硬化性樹脂組成物を順次供給して光硬化性樹脂組成物よりなる造形面を順次形成するための手段;
光源;および、
光源からの光を所定のパターンで光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に照射して、所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成するための手段;
を有する光学的立体造形装置であって、
前記造形用基盤が、磁性を有する可撓性のシート部材(A)、磁力を有するシート部材(B)および磁性を有する支持プレート(C)を、最表面側から(A)/(B)/(C)の順に重ねた層構造部を少なくとも有している;
ことを特徴とする光学的立体造形装置;並びに、
(5) 磁力を有するシート部材(B)が可撓性を有する前記(4)の光学的立体造形装置;
である。
(6) 磁性を有する可撓性のシート部材(A)、磁力を有するシート部材(B)および磁性を有する支持プレート(C)を、最表面側から(A)/(B)/(C)の順に重ねた層構造部を少なくとも有することを特徴とする光学的立体造形用の造形用基盤;および、
(7) 磁力を有するシート部材(B)が可撓性を有する前記(6)の造形用基盤;
である。
・立体造形物および可撓性を有する磁性シート部材(A)[以下「可撓性磁性シート部材(A)」という]を一体にして、可撓性磁性シート部材(A)の下部に位置する磁力を有するシート部材(B)[以下「磁力シート部材(B)」という]および磁性を有する支持プレート(C)[以下「磁性支持プレート(C)」という]などから分離し、次いで可撓性磁性シート部材(A)を撓ませて立体造形物から剥離するか;
・立体造形物、可撓性磁性シート部材(A)および磁力シート部材(B)を一体にして、磁力シート部材(B)の下部に位置する磁性支持プレート(C)などから分離し、次いで可撓性磁性シート部材(A)および磁力シート部材(B)を一体にして撓ませて立体造形物から剥離するか;または、
・立体造形物、可撓性磁性シート部材(A)および磁力シート部材(B)を一体にして、磁力シート部材(B)の下部に位置する磁性支持プレート(C)などから分離し、次いで磁力シート部材(B)を立体造形物および可撓性磁性シート部材(A)から分離し、続いて更に可撓性磁性シート部材(A)を撓ませて立体造形物から剥離することにより;
立体造形物の破損などを生ずることなく立体造形物を造形用基盤材料から簡単に分離・回収することができる。
本発明による場合は、造形用基盤の作製や組み立てなどに多くの手間、時間およびコストがかからず、造形用基盤における磁性支持プレート(C)の上に、磁力シート部材(B)を重ね、更にその上に可撓性磁性シート部材(A)を重ねるだけで、可撓性磁性シート部材(A)、磁力シート部材(B)および磁性支持プレート(C)が安定に固定された造形用基盤を簡単に形成することができる。
本発明による場合は、造形用基盤の最表面に、表面平滑性および平坦性に優れる可撓性磁性シート部材(A)が存在し、その可撓性磁性シート部材(A)上に光硬化性樹脂組成物よりなる最初の造形面が形成されるため、該最初の造形面は厚さが均一で表面平滑性に優れたものとなり、その状態で光硬化層が形成され、その上に順次造形が行われ、それに伴って得られる立体造形物の寸法精度、外観、形状が良好なものになる。
本発明では、造形用基盤の最表面をなす可撓性磁性シート部材(A)は、高強度で耐久性に優れるため、多数回にわたって繰り返して使用することができる。
本発明では、造形用基盤;造形用基盤上および光硬化した樹脂層上に1層分の光硬化性樹脂組成物を順次供給して光硬化性樹脂組成物よりなる造形面を順次形成するための手段;光源;および光源からの光を所定のパターンで光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を順次形成するための手段を有する光学的立体造形装置を用いて光学的立体造形を行うに当たり、造形用基盤として、可撓性磁性シート部材(A)、磁力シート部材(B)および磁性支持プレート(C)を、最表面側から(A)/(B)/(C)の順に重ねた層構造部を少なくとも有する造形用基盤を用いる。
本発明では、造形用基盤における前記した(A)/(B)/(C)の層構造部における可撓性磁性シート部材(A)の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して光硬化性樹脂組成物よりなる最初の造形面を形成し、その造形面に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して光硬化性樹脂組成物よりなる造形面を形成しその造形面に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する光造形工程を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことによって立体造形物を製造する。
本発明の光学的立体造形を行うに当たっては、光源の種類は特に制限されず、光学的立体造形で使用され得る光源のいずれもが使用できる。本発明で使用できる光源としては、例えば、キセノンランプ、メタルハライドランプ、水銀灯、蛍光灯、ハロゲンランプ、白熱ランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、LDレーザー(半導体励起固体レーザー)、LEDなどを挙げることができる。
ここで、磁性体とは、磁界内に置かれたときに磁化されて磁気分極を生じ、磁気モーメントをもつようになる物質をいう。
可撓性磁性シート部材(A)および磁性支持プレート(C)は、鉄、ニッケル、コバルト、それらの化合物などの強磁性を示す金属や金属化合物など(いわゆる強磁性体)から形成されていることが好ましく、具体的には、例えば、鉄、珪素鋼、鉄・アルミニウム合金、鉄・ニッケル合金、ステンレスなどのような強磁性を示す金属または合金からなるシートまたはプレートを挙げることができる。そのうちでも、可撓性磁性シート部材(A)及び磁性支持プレート(C)は、磁性を有するステンレス(SUS403など)から形成されていることが、強度、磁力シート材料(B)との密着性などの点からより好ましい。
可撓性磁性シート部材(A)および磁性支持プレート(C)は、磁性効果が損なわれない範囲で、表面保護、表面平滑化、その他の目的で、必要に応じて、それらの一方の表面または両方の表面に合成樹脂塗料、プラスチックフィルム、金属メッキ、金属蒸着などを施してあってもよい。
また、造形用基盤が、可撓性磁性シート部材(A)、磁力シート部材(B)および磁性支持プレート(C)と共に、更に別の層(例えば支持層など)を磁性支持プレート(C)の下に有する場合は、該更に別の層によって造形用基盤に形態安定性、剛性、強度などを付与することができるので、磁性支持プレート(C)の厚さを、可撓性磁性シート部材(A)、磁力シート部材(B)および磁性支持プレート(C)の3層のみからなる場合に競べて薄くしてもよい。
そのうちでも、永久磁石の粉末または粒状体を混合したゴムまたはプラスチックからなる磁力シート(特に可撓性のゴムまたは可撓性のプラスチックからなる磁力シート)が、シート全体にわたってほぼ均等な磁力を有しているためにその上に可撓性磁性シート部材(A)を磁力によって安定して固定できる点、入手が容易である点、取り扱い易い点、厚さが均一である点、柔軟性に優れる点、加工性に優れる点、安価である点などから、磁力シート部材(B)として好ましく用いられる。
使用し得る光硬化性樹脂組成物としては、例えば、光造形において従来から用いられている、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、エステルアクリレートオリゴマー、多官能エポキシ樹脂などの各種オリゴマー;イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルメタクリレート、ジシクロペタニルアクリレート、ジシクロペタニルメタクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、モルホリンアクリルアミド、モルホリンメタクリルアミド、アクリルアミドなどのアクリル系化合物やN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、スチレンなどの各種の単官能性ビニル化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ポリエステルジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなど多官能性ビニル化合物;水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなどの各種エポキシ系化合物などを挙げることができ、これらの1種または2種以上と光重合開始剤および必要に応じて増感剤などを含有する光硬化性樹脂組成物を用いることができる。
さらに、光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、固体微粒子やウィスカーなどの充填材を含有していてもよい。充填材を含有する光硬化性樹脂組成物を用いると、硬化時の体積収縮の低減による寸法精度の向上、機械的物性や耐熱性の向上などを図ることができる。
図1は、昇降用部材を取り付けた本発明で用いる造形用基盤の例を示した図である。
図1において、1は造形用基盤、Aは造形用基盤を構成する可撓性磁性シート部材(A)、Bは磁力シート部材(B)、Cは磁性支持プレート(C)、Dは支持層(D)を示し、また2は昇降用部材、3は固定手段を示す。
造形用基盤1は、例えば図1の(a)に示すように、可撓性磁性シート部材(A)、磁力シート部材(B)および磁性支持プレート(C)が、造形用基盤1の最表面側から(A)/(B)/(C)の順に重なった3層構造であってもよいし、例えば図1の(b)に例示するように、可撓性磁性シート部材(A)、磁力シート部材(B)、磁性支持プレート(C)および支持層(D)が、造形用基盤1の最表面側から(A)/(B)/(C)/(D)の順に重なった4層構造であってもよい。図1の(b)の造形用基盤1では、磁性支持プレート(C)は適当な固定手段4によって隅部や周縁部でその下部に位置する支持層(D)に取り付けられている。
また、図示はしないが、造形用基盤1は、磁性支持プレート(C)の下に更に2層以上の層を有する5層以上の多層構造を有していてもよい。
図1の装置において、昇降用部材2の構造や造形用基盤1への取り付け位置、取り付け方式などは特に制限されず、各光学的立体造形装置に適合したものを採用することができる。
まず、昇降用部材2によって昇降する造形用基盤1を配置し、光硬化性樹脂組成物aを収容した造形浴4において、図2の(a)に示すように、造形用基盤1における可撓性磁性シート部材(A)の上に光硬化性樹脂組成物よりなる最初の1層分の造形面を形成し、その造形面に光源(図示せず)から発射された光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化層b1を形成する。次いで、図に示していないが、前記光硬化層b1の上に光硬化性樹脂組成物aよりなる1層分の造形面を形成し、その造形面に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化層b2を形成し、そのような操作を多数回繰り返すことによって、図2の(b)に示すように、所定の形状および構造を有する立体造形物5を製造する。
また、磁力シート部材(B)の下に位置する磁性支持プレート(C)は、図5の(a)に示すように穴や孔のないプレートから形成されていてもよいし、または例えば図5の(b)に示すように穴6を等間隔で開けたプレートなどから形成されていてもよい。
そして、造形用基盤1を構成する可撓性磁性シート部材(A)、磁力シート部材(B)および磁性支持プレート(C)が、磁力によって全面で互いに安定に固定されていて、可撓性磁性シート部材(A)をはじめとして造形用基盤1を構成する部材のいずれもが光造形工程中に上下方向や左右方向にずれることがないため、寸法精度および形状に優れる立体造形物を安定して製造することができる。
そして、光造形工程が終了した段階で、立体造形物5を可撓性磁性シート部材(A)または可撓性磁性シート部材(A)および磁力シート部材(B)と一体にして造形浴などから取り出し、可撓性磁性シート部材(A)または可撓性磁性シート部材(A)と磁力シート部材(B)を撓ませて立体造形物5から剥離することによって、立体造形物5を損傷などを生ずることなく、簡単に且つ円滑に分離・回収することができる。
(1) 支持層Dの一方の端部に昇降用部材2を取り付けた図1の(b)に示す造形用基盤1用の装置を造形浴に配置し、その支持層Dの上に、磁性支持プレート(C)(SUS403よりなるプレート;縦×横×厚さ=31cm×31cm×12mm)を載せてその4隅を固定手段3(ボルト)で支持層Dに固定した。次いで、磁性支持プレート(C)の上にそれと同じ寸法の磁力シート部材(B)(磁石粉末を含有するゴム製シート;厚さ=1.5mm;マグテック株式会社製)を載せた後、その上に磁力シート部材(B)と同じ寸法の可撓性磁性シート部材(A)(SUS403よりなるシート;厚さ=1mm)を載せて造形用基盤1を形成した。これにより形成された造形用基盤1は、支持層(D)上で、可撓性磁性シート部材(A)、磁力シート部材(B)および磁性支持プレート(C)が磁力によって安定に固定されており、また可撓性磁性シート部材(A)の表面は平滑で且つ平坦であった。
本発明の造形用基盤は、その形成や組み立てなどに手間、時間およびコストを要せず簡単に且つ低コストで形成することができ、しかも表面の平滑性および平坦性に優れていて光硬化性樹脂組成物よりなる厚さが均一で平滑な造形面を造形用基盤表面に形成することができ、更に耐久性に優れているため、光学的立体造形用の造形用基盤として有用である。
本発明の光学的立体造形方法および装置による場合は、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物、金型、母型などのためのモデルや加工用モデル、複雑な熱媒回路の設計用の部品、複雑な構造の熱媒挙動の解析企画用の部品、その他の複雑な形状や構造を有する各種の立体造形物を高い寸法精度で円滑に製造することができる。
B 磁力シート部材(B)
C 磁性支持プレート(C)
D 支持層(D)
1 造形用基盤
2 昇降用部材
3 固定手段
4 造形浴
5 立体造形物
6 穴
Claims (7)
- (i) 造形用基盤上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して光硬化性樹脂組成物よりなる最初の造形面を形成し、その造形面に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して光硬化性樹脂組成物よりなる造形面を形成しその造形面に光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する光造形工程を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことからなる光学的立体造形方法であって;
(ii) 造形用基盤が、磁性を有する可撓性のシート部材(A)、磁力を有するシート部材(B)および磁性を有する支持プレート(C)を、最表面側から(A)/(B)/(C)の順に重ねた層構造部を少なくとも有し、前記層構造部における磁性を有する可撓性のシート部材(A)の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して光硬化性樹脂組成物よりなる前記した最初の造形面を形成する;
ことを特徴とする光学的立体造形方法。 - 磁力を有するシート部材(B)が可撓性を有する請求項1に記載の光学的立体造形方法。
- ・造形用基盤上での立体造形物の形成終了後に、立体造形物および磁性を有する可撓性のシート部材(A)を一体にして、磁性を有する可撓性のシート部材(A)の下部に位置する磁力を有するシート部材(B)および磁性を有する支持プレート(C)から分離し、次いで磁性を有する可撓性のシート部材(A)を撓ませて立体造形物から剥離して、立体造形物を分離・回収するか;
・造形用基盤上での立体造形物の形成終了後に、立体造形物、磁性を有する可撓性のシート部材(A)および磁力を有するシート部材(B)を一体にして、磁力を有するシート部材(B)の下部に位置する磁性を有する支持プレート(C)から分離し、次いで磁性を有する可撓性のシート部材(A)および磁力を有するシート部材(B)を一体にして撓ませて立体造形物から剥離して、立体造形物を分離・回収するか;または、
・造形用基盤上での立体造形物の形成終了後に、立体造形物、磁性を有する可撓性のシート部材(A)および磁力を有するシート部材(B)を一体にして、磁力を有するシート部材(B)の下部に位置する磁性を有する支持プレート(C)から分離し、次いで磁力を有するシート部材(B)を立体造形物および磁性を有する可撓性のシート部材(A)から剥離し、続いて磁性を有する可撓性のシート部材(A)を撓ませて立体造形物から剥離して、立体造形物を分離・回収する;
ことからなる請求項1または2に記載の光学的立体造形方法。 - 造形用基盤;
造形用基盤上および光硬化した樹脂層上に、1層分の光硬化性樹脂組成物を順次供給して光硬化性樹脂組成物よりなる造形面を順次形成するための手段;
光源;および、
光源からの光を所定のパターンで光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に照射して、所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成するための手段;
を有する光学的立体造形装置であって、
前記造形用基盤が、磁性を有する可撓性のシート部材(A)、磁力を有するシート部材(B)および磁性を有する支持プレート(C)を、最表面側から(A)/(B)/(C)の順に重ねた層構造部を少なくとも有している;
ことを特徴とする光学的立体造形装置。 - 磁力を有するシート部材(B)が可撓性を有する請求項4に記載の光学的立体造形装置。
- 磁性を有する可撓性のシート部材(A)、磁力を有するシート部材(B)および磁性を有する支持プレート(C)を、最表面側から(A)/(B)/(C)の順に重ねた層構造部を少なくとも有することを特徴とする光学的立体造形用の造形用基盤。
- 磁力を有するシート部材(B)が可撓性を有する請求項6に記載の造形用基盤。
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