JP4824382B2 - 光学的立体造形方法および装置 - Google Patents

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本発明は、光硬化性樹脂組成物を用いて立体造形物を製造する光学的立体造形方法およびそのための光学的立体造形装置に関する。より詳細には、本発明は、光硬化性樹脂組成物を用いて、小型から大型に至る各種の立体造形物を、硬化むら、スジ、段差などを生ずることなく、高い造形精度で、且つ速い造形速度で、生産性良く製造するための光学的立体造形方法および光学的立体造形装置に関する。
近年、三次元CADに入力されたデータに基づいて光硬化性樹脂を硬化させて立体造形物を製造する光学造形方法および装置が実用化されている。この光造形技術は、設計の途中で外観デザインを検証するためのモデル、部品の機能性をチェックするためのモデル、鋳型を製作するための樹脂型、金型を製作するためのベースモデルなどのような複雑な三次元物体を容易に造形できることから注目を集めている。
光学造形方法によって造形物を製造するに当たっては、造形浴を用いる方法が汎用されており、その手順としては、造形浴に液状の光硬化性樹脂を入れ、液面に所望のパターンが得られるようにコンピューターで制御されたスポット状の紫外線レーザー光を選択的に照射して所定の厚みに光硬化させて硬化樹脂層を形成し、その硬化樹脂層を造形浴内で下方に移動させて造形浴内の光硬化性樹脂液を該硬化樹脂層上に流動させて光硬化性樹脂液の層を形成させ、その光硬化性樹脂液層にスポット状の紫外線レーザー光を照射して硬化樹脂層を形成し、前記の工程を所定の形状および寸法の立体造形物が得られるまで繰り返して行う方法が広く採用されている。
しかしながら、スポット状の紫外線レーザー光を用いる上記した従来法による場合は、1個のスポット状レーザー光を光硬化性樹脂の表面に照射しながら移動させて面状の光硬化したパターンを形成するいわゆる点描方式であるため、造形に長い時間を要し、生産性が低いという問題がある。しかも、光源として用いられる紫外線レーザー装置は極めて高価であるため、この種の光学的立体造形装置を高価格なものにしている。
上記した従来技術の欠点の解消を目的として、光源と光硬化性樹脂組成物の表面との間に、微小ドットエリアでの遮光および透光が可能な微小液晶シャッターを多数面状に配置した面状描画マスクを経て光硬化性樹脂の液面に光を照射して所定の断面形状パターンの光硬化樹脂層を順次形成する立体造形装置が提案されている(特許文献1および2を参照)。また、微小液晶シャッターを複数配置した面状描画マスクの代わりに、複数のデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置したいわゆるDMD(デジタルマイクロミラーデバイス)を面状描画マスクとして用いて光学的に立体造形を行なうことも知られている(特許文献3を参照)。
描画マスクを用いる特許文献1〜3に記載されている光学的立体造形技術は、光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に光を面状で一度に照射して光硬化した断面形状パターンを面状で一度に形成することができるため、スポット状の紫外線レーザーを用いる点描方式に比べて光造形速度を大幅に向上させることが可能である。
しかしながら、微小光シャッターを面状に配置した描画マスクを用いる光造形技術は、スポット状の紫外線レーザーを用いる光造形技術に比べて、造形精度が低くなりがちであり、また得られる光造形物にスジ、段差、硬化むらが生じ易いという問題がある。
微小液晶シャッターやデジタルマイクロミラーなどの微小光シャッターを所定の数(ドット数)で縦横に方形面状に配列した液晶またはDMDを面状描画マスクとして用いて光造形を行なう場合に、立体造形物の寸法誤差を0.1mm以下にするために、面状描画マスクを構成する各微小光シャッターを経て造形面に照射される照射光(スポット状照射光)の造形面上の寸法(1辺の長さまたは直径)を一般に50〜90μmの範囲内のうちの特定の寸法に設定し、これを正規の値として光造形操作を実施することが広く行われている。
各微小光シャッターを経て造形面に照射されるスポット状の照射光の造形面上の寸法を例えば60μmに設定したときに、実際の光造形操作の際に面状描画マスクの各微小光シャッターを経て造形面に照射される各照射光(スポット状照射光)の寸法が設定値どおりの60μmになっている場合は、そのまま光造形操作を行うことによって目的どおりの寸法および外観を有し、硬化むらなどのない立体造形物を寸法精度良く製造することができる。
しかしながら、実際には、光学的立体造形装置を構成する各種部材の種類、組み合わせ、設置の仕方、液晶描画マスクや投影レンズの個体差などによってずれや誤差などを生じ、面状描画マスクの各微小光シャッターを経て造形面に照射されるスポット状照射光の寸法が設定値どおりの60μmにならない場合が多く、面状描画マスクの各微小光シャッターを経て造形面に照射されるスポット状照射光の寸法は例えば設定値よりも大きな61μmになったり、反対に設定値よりも小さな59μmになったりしがちである。
例えば、微小光シャッターを横×縦=1024個(ドット)×768個(ドット)の個数で面状に配置した方形の面状描画マスクを用いた場合に、実際の光造形操作時に各微小光シャッターを経て造形面に照射される光の寸法が設定値の60μmではなくて61μmになっていたとする。
その場合には、面状描画マスクを構成する全ての微小光シャッターが造形面に光を照射する全面作動状態では、造形面に照射される方形の光形状パターンの寸法は、横=61μm×1024個(ドット)=62464μm、縦=61μm×768個(ドット)=46848μmとなり、設定した寸法(本来の寸法)である横=60μm×1024個(ドット)=61440μm、縦=60μm×768個(ドット)=46080μmに比べて、横方向が1024μm(1.024mm)(62464μm−61440μm)だけ大きくなり、縦方向が768μm(0.768mm)(46848μm−46080μm)だけ大きくなる。
上記のような状態で光造形操作を行った場合には、例えば、図1に例示するように、造形面1に形成される光硬化した断面形状パターンが、本来の断面形状パターンAよりも面積の大きな断面形状パターンA’になってしまい、設計どおりの寸法および形状を有する断面形状パターン、ひいては立体造形物を製造することが困難になる。
また、例えば図2に例示するように、面状描画マスク2をY1→X1→Y2の方向に造形面1に対して移動させながら造形面に所定のパターンの光を照射して光造形操作を行って、大きな光硬化した断面形状パターンを形成する場合は、各微小光シャッターを経て造形面に照射される光の寸法(スポット寸法)が設定した寸法よりも大きいと、実際の造形操作時に、Y1方向への移動によってa,b,c,dで包囲される設定値よりも大きな方形パターンBa’が形成され、Y2方向への移動によってe,f,g,hで包囲される設定値よりも大きな方形パターンBb’が形成され、その結果、本来の断面形状パターンBよりも一層大きな、断面形状パターンB’が形成されてしまい、光造形により製造される立体造形物の寸法誤差は、目的とするもの(設定値)に比べて一層大きくなる。
上記とは反対に、例えば、微小光シャッターを横×縦=1024個(ドット)×768個(ドット)の個数で方向に配置した面状描画マスクを用いた場合に、実際の光造形操作時に面状描画マスクの各微小光シャッターを経て造形面に照射される光の寸法が設定値の60μmではなくて59μmになっていたとする。
その場合には、面状描画マスクを構成する全ての微小光シャッターが造形面に光を照射する全面作動状態では、造形面に照射される方形の光形状パターンの寸法は、横=59μm×1024個(ドット)=60416μm、縦=59μm×768個(ドット)=45312μmとなり、設定上の寸法(本来の寸法)である横=60μm×1024個(ドット)=61440μm、縦=60μm×768個(ドット)=46080μmに比べて、横方向が1024μm(1.024mm)(61440μm−60416μm)だけ小さくなり、縦方向が768μm(0.768mm)(46080μm−45312μm)だけ小さくなる。
そのような状態で光造形操作を行った場合には、例えば、図3に例示するように、造形面1に形成される光硬化樹脂層よりなる断面形状パターンが、本来の断面形状パターンAよりも面積の小さな断面形状パターンA’’になってしまい、設計どおりの寸法および形状を有する断面形状パターン、ひいては立体造形物を製造することが困難になる。
また、例えば図4に例示するように、面状描画マスク2をY1→X1→Y2の方向に造形面1に対して移動させながら造形面に所定のパターンの光を照射して光造形操作を行って、所定の光硬化した断面形状パターンを形成する場合は、各微小光シャッターを経て造形面に照射される光の寸法(スポット寸法)が設定した寸法よりも小さいと、本来は連続した1つの光硬化した断面形状パターンBが形成されるべきところ、造形面1には、互いに離れた光硬化したa,b,c,dで包囲される断面形状パターンBaとe,f,g,hで包囲されるBbが形成され、該断面形状パターンBaとBbとの間に間隙が生じ、設計どおりの寸法および形状を有する光硬化した断面形状パターンが形成されなくなる。そして、そのような光造形操作が多数回繰り返されることによって、最終的に得られる立体造形物では表面にスジ、段差、凹凸などが生じたり、硬化ムラによる力学的特性の低下、大きな寸法誤差などが生ずる。
複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクを用いて光造形を行なう際に生じ易い上記したトラブルを防いで、設計どおりの寸法を有し、外観に優れ、硬化ムラがなくて力学的特性にも優れる立体造形物を得るために、従来は、例えば、光照射装置と造形面との間の距離の調整、面状描画マスクとレンズやミラーなどの各種光学装置の配置の仕方や距離の調整、レンズの焦点距離の調整などのハード面での調整や造形面に実際に形成された画像寸法の測定を行なって、面状描画マスクを構成する各微小光シャッターを経て造形面に照射される光の寸法を設定どおりの寸法(例えば上記した60μm)にしようとすることが試みられてきた。しかしながら、前記したハード面での調整では、各微小光シャッターを経て造形面に照射されるスポット状照射光の寸法を例えば59μmから60μmに調整するというような微調整は実際には難しいものであった。また、そのような微調整をハード面の調整にて行なおうとすると、1カ所の調整のみでは済まず、各部の調整が必要なために、複雑で長い調整時間を要するものであった。更に、造形面に実際に形成された画像寸法を測定しての調整も手間のかかるものであった。
特開平8−112863号公報 実開平6−71120号公報 特開平8−192469号公報
本発明の目的は、微小液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターなどの微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクを経て光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に光を照射する光造形操作を繰り返して立体造形物を製造する光学的立体造形技術において、面状描画マスクを構成する各微小光シャッターからの各照射光の造形面での寸法が規定値から変化していても、設計どおりの高い寸法精度を有し、外観に優れ、しかも硬化むらがなく力学的特性に優れる立体造形物を、簡単に、速い造形速度で生産性良く製造することのできる光学的立体造形方法およびそのための光学的立体造形装置を提供することである。
さらに、本発明の目的は、高価な紫外線レーザー装置を用いずに、通常の紫外線ランプのような安価な光源を用いた場合にも、高い造形精度を有し且つ硬化むらのない高品質の立体造形物を、速い造形速度で円滑に製造することのできる光学的立体造形方法および光学的立体造形装置を提供することである。
上記の目的を達成すべく本発明者らは鋭意検討を重ねてきた。その結果、面状描画マスクを構成する各微小光シャッターからの各照射光の造形面での寸法が設定値から変化していた場合に、光照射装置と造形面との間の距離の調整、面状描画マスクとレンズやミラーなどの各種光学装置の配置の仕方や距離の調整、レンズの焦点距離の調整などのような手間や時間のかかるハード面での調整作業および造形面に実際に形成された画像寸法の測定による調整を行なう代わりに、実際の造形操作を行う前に、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターの全てが光源からの光を造形面へと導くべく作動した全面作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定し、その測定結果に基づいて実際の光造形操作を調整・制御すれば、目的とする立体造形物を簡単に且つ高い造形精度で円滑に製造できることを見出した。
さらに、本発明者らは、前記の調整・制御に当たっては、面状描画マスクの全面作動状態での造形面における光照射パターンの寸法の測定結果に基づいて、造形面に照射される光の形状パターンおよび造形面に対する光照射装置の移動形態のいずれか一方または両方の調整・制御を行なうと、設計どおりの高い寸法精度を有し、スジや段差などがなくて外観に優れ、その上硬化むらがなくて力学的特性に優れる立体造形物を、簡単に、速い造形速度で生産性良く製造することを見出した。
また、本発明者らは、その際に、造形面に照射される光の形状パターンの調整・制御は、該光の形状パターンの形成に関与する微小光シャッターの作動の調整・制御(例えば各造形時に関与する所定位置での微小光シャッターの数の増減など)により行なうとよいこと、造形面に対する光照射装置の移動形態の調整・制御を、光照射装置の移動位置、移動距離および移動速度の少なくとも1つの調整・制御により行なうとよいことなどを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) 光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に、複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクを経て制御下に所定の形状パターンの光を照射して、所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成し、該造形面に面状描画マスクを経て制御下に所定の形状パターンの光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する光造形操作を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことによって立体造形物を製造する方法であって、立体造形物を製造するための実際の光造形操作の前に、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターが光源からの光を造形面へと導くべく作動した作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定し、その測定値を、面状描画マスクを構成する前記複数の微小光シャッターの作動時の造形面での光照射パターンの設定寸法と対照し、その対照結果に基づいて、設計どおりの寸法を有する立体造形物を得るべく、立体造形物を製造するための実際の光造形操作を調整・制御して立体造形物を製造することを特徴とする光学的立体造形方法である。
そして、本発明は、
(2) 面状描画マスクの前記した作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定し、その測定値を、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターの作動時の造形面での光照射パターンの当初の設定値と対照し、当該対照結果に基づいて、設計どおりの寸法を有する立体造形物を得るべく、立体造形物を製造するための実際の光造形操作時に造形面に照射される光の形状パターンおよび造形面に対する光照射装置の移動形態のいずれか一方または両方を調整・制御する前記(1)の光学的立体造形方法;
(3) 造形面に照射される光の形状パターンの調整・制御を、面状描画マスクを構成する各微小光シャッターの作動の調整・制御により行なう前記(2)の光学的立体造形方法;
(4) 造形面に対する光照射装置の移動形態の調整・制御を、造形面に対する光照射装置の移動位置、移動距離および移動速度の少なくとも1つの調整・制御により行なう前記した(2)または(3)の光学的立体造形方法;
(5) 面状描画マスクが、複数の微小液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクである前記(1)〜(4)のいずれかの光学的立体造形方法;および、
(6) 光造形操作時に、造形面に対して光照射装置を連続的に移動させると共に、面状描画マスクのマスク画像を、光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に形成しようとする光硬化した樹脂層の断面形状パターンに対応させて、光照射装置の連読移動に同期させて連続的に変えながら造形面への光照射を行なう前記(1)〜(5)のいずれかの光学的立体造形方法;
である。
さらに、本発明は、
(7) (A) 載置台上または光硬化した樹脂層上に、1層分の光硬化性樹脂組成物を順次供給して造形面を形成する造形面形成手段;
(B) 光源;
(C) 複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスク;
(D) 面状描画マスクを経て所定の形状パターンの光を光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に照射する光照射手段;
(E) 立体造形物を製造するための実際の光造形操作の前に、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターが光源からの光を造形面へと導くべく作動した作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定する測定手段;
(F) 前記(E)の測定手段による測定値を、面状描画マスクを構成する前記複数の微小光シャッターの作動時の造形面での光照射パターンの設定寸法と対照する対照手段;および
(G) 前記(F)の手段による対照結果に基づいて、設計どおりの立体造形物を得るべく、立体造形物を製造するための実際の光造形操作時に、光造形操作を調整・制御する手段;
を備えていることを特徴とする光学的立体造形装置である。
そして、本発明は、
(8) 前記(F)の対照手段による対照結果に基づいて、立体造形物を製造するための実際の光造形操作時に、造形面に照射される光の形状パターおよび造形面に対する光照射装置の移動形態のいずれか一方または両方を調整・制御する手段を備える前記(7)の光学的立体造形装置;
(9) 面状描画マスクが、複数の微小液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクである前記(7)または(8)の光学的立体造形装置;および、
(10) 造形面に対して光照射装置を連続的に移動させる手段、および面状描画マスクのマスク画像を造形面に形成しようとする光硬化した樹脂層の断面形状パターンに対応させて光照射装置の連続移動に同期させて連続的に変化させる手段を更に有している前記(7)〜(9)のいずれかの光学的立体造形装置;
である。
本発明による場合は、複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクを経て所定の形状パターンの光を光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成する光造形操作を繰り返して立体造形物を製造する際に、面状描画マスクを構成する各微小光シャッターからのスポット状照射光の造形面での寸法が設定値から変化しても、光照射装置と造形面との間の距離の調整、面状描画マスクとレンズやミラーなどの各種光学装置の配置の仕方や距離の調整、レンズの焦点距離の調整などのような手間および時間を要し、しかも微調整が実際には困難なハード面での調整や造形面に実際に形成された画像寸法の測定に基づく調整を行なわなくても、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターの全てが光源からの光を造形面へと導くべく作動した全面作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定し、その測定結果をコンピューターに記憶させておいた情報にフィードバックして該記憶させておいた情報を調整し、それによって実際の光造形操作を調整・制御することにより、設定どおりの寸法および外観を有する立体造形物を、極めて簡単に且つ高い造形精度で円滑に製造することができる。
本発明による場合は、表面に望ましくないスジ、段差、凹凸がなく外観に優れ、しかも硬化むらがなくて力学的特性に優れる立体造形物を簡単に且つ円滑に製造することができる。
本発明による場合は、小型、中型の立体造形物に限らず、大型の立体造形物であっても、形成しようとする所定の断面形状パターンよりも寸法が小さくて、比較的安価な面状描画マスクを用いて、高い造形精度で、且つ硬化ムラの発生を防止しながら、寸法精度、強度、外観に優れる高品質の立体造形物を、従来よりも速い造形速度で生産性良く製造することができることができる。
さらに、本発明による場合は、高価な紫外線レーザー装置を用いずに通常の紫外線ランプのような安価な光源を用いた場合にも、高い造形精度を有し且つ硬化むらのない高品質の立体造形物を、速い造形速度で円滑に製造することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明は、複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクを経て光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に制御下に所定の形状パターンの光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成し、該造形面に面状描画マスクを経て制御下に所定の形状パターンの光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する光造形操作を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことによって立体造形物を製造する造形技術を採用して行なうものである。
前記した本発明の光造形操作は、一般に、液状の光硬化性樹脂組成物を充填した造形浴中に造形テーブルを配置し、造形テーブルを下降させることによって造形テーブル面に1層分の液状の光硬化性樹脂組成物層よりなる造形面を形成させ、それに面状描画マスクを経て制御下に光を照射して所定のパターンおよび厚みを有する光硬化した樹脂層(以下「光硬化層」ということがある)を形成した後、造形テーブルを更に下降させて該光硬化層面に1層分の液状の光硬化性樹脂組成物層よりなる造形面を形成させて面状描画マスクを経て制御下に光を照射して所定のパターンおよび厚みを有する光硬化層を一体に積層形成する工程を繰り返して行う造形浴法を採用して行うことができる。
また、前記した本発明の光造形操作は、例えば、気体雰囲気中に造形テーブルを配置し、その造形テーブル面に1層分の液状、ペースト状、粉末状または薄膜状の光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成し、該造形面に面状描画マスクを経て制御下に光を照射して所定のパターンおよび厚みを有する光硬化層を形成した後、該光硬化層面に1層分の液状、ペースト状、粉末状または薄膜状の光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成し、該造形面に面状描画マスクを経て制御下に光を照射して所定のパターンおよび厚みを有する光硬化層を一体に積層形成する工程を繰り返して行う方法を採用して行うこともできる。この方法による場合は、造形テーブルまたは光硬化層を上向きにしておき、その上面に光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成し、該造形面に面状描画マスクを経て光照射して光硬化層を順次積層形成してゆく方式を採用してもよいし、造形テーブルまたは光硬化層を垂直または斜めに配置しておいて造形テーブル面または光硬化層面上に光硬化性樹脂層を施して造形面を形成し、該造形面に面状描画マスクを経て光照射して光硬化層を順次積層形成してゆく方式を採用してもよいし、或いは造形テーブルまたは光硬化層を下向きに配置しておいて造形テーブル面または光硬化層面に光硬化性樹脂層組成物を施して造形面を形成し、該造形面に面状描画マスクを経て光照射して順次下方に光硬化層を積層形成してゆく方式を採用してもよい。造形テーブル面または光硬化層面に光硬化性樹脂組成物を施すに当たっては、例えば、ブレード塗装、流延塗装、ローラー塗装、転写塗装、ハケ塗り、スプレー塗装などの適当な方法を採用することができる。
本発明では、複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクとして、微小ドットエリアでの遮光および透光が可能な複数の微小液晶シャッターを面状に配置した面状描画マスク、または微小ドットエリアでの遮光と造形面に向けての光の反射が可能を複数のデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置したデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)が好ましく用いられる。
これらの面状描画マスクは、微小ドットエリアでの遮光と透光が可能な複数の液晶などの微小光シャッター、または微小ドットエリアでの遮光と造形面に向けての光の反射が可能な複数の微小光シャッター(デジタルマイクロミラー)を面状(X−Y方向)に並列配置した正方形状または長方形状の面状描画マスクであることが好ましい。
面状描画マスクに配置する微小光シャッター(画素子)の数は特に制限されず、従来から知られているものなどを使用することができる。液晶シャッター(液晶表示素子)としては、例えば、QVGA(画素数=320ドット×240ドット)、VGA(画素数=640×480ドット)、SVGA(画素数=800×600ドット)、UXGA(画素数=1024×768ドット)、QSXGA(画素数=2560×2648ドット)などを用いることができ、これらの液晶シャッターは従来から広く販売されている。
また、デジタルマイクロミラーシャッターとしては、例えば、テキサスインスツルメンツ社製の「DLPテクノロジー」(登録商標)のDMD(画素数=1024×768ドット)などを使用することができる。
本発明では、光造形を行なうに当たって、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターの全てが光源からの光を造形面へと導くべく作動した全面作動状態にし、面状描画マスクが前記した全面作動状態にあるときに造形面に照射される光の形状パターンの造形面での寸法を測定する。
面状描画マスクが全面作動状態にあるときに造形面に照射される光の形状パターンは、通常、面状描画マスクと合同または相似形の形状をなしている。
方形の面状描画マスクを使用した場合は、面状描画マスクの全面作動状態で造形面に照射される光の形状パターンは通常面状描画マスクと合同または相似形の方形の形状を有しているので、方形をなす光の形状パターンの横方向の寸法および縦方向の寸法を測定するのがよい。面状描画マスクを構成する各微小光シャッターにより造形面に照射される光パターン(スポット状照射光)が微小な正方形または真円形をなすことが確実なときは、描画マスク全面作動状態での寸法の測定は、造形面での方形の光の形状パターンの横方向または縦方向のいずれか一方の寸法のみであってもよい。
また、面状描画マスクが方形以外の形状をなしている場合は、面状描画マスクの全面作動状態で造形面に照射される光の形状パターンに応じて、その測定値が光造形操作時の調整・制御に正確に反映され得る部分の寸法を測定するようにする。
面状描画マスクの全面作動状態での光の形状パターンの寸法測定は、光造形操作の最初に1回だけ行ない、その測定値に基づいて、立体造形物を製造するための実際の光造形操作を調整・制御しながら行なうことが、操作が簡単で、しかも光造形操作の中断がなく高い造形速度で目的物を生産性よく製造できるので好ましい。但し、場合によっては、寸法精度を一層向上させる目的で、光造形操作の途中で、面状描画マスクの全面作動状態での光の形状パターンの寸法測定を更に1回または2回以上行なって、その測定結果に基づいてそれ以後の光造形操作を調整・制御するようにしてもよい。
面状描画マスクの全面作動状態での造形面における光の形状パターンの寸法の測定に当たっては、該光の形状パターンの寸法を正確に測定できる手段であればいずれも用いることができる。そのうちでも、CCDカメラを使用して微細パターンの受光を行なうことによって、前記寸法の測定を行なうことが、簡便に且つ正確に光の形状パターンの寸法を測定できる点から好ましい。その際の、前記CCDカメラは画像投影位置に通常1〜9個低度配置することが好ましい。
面状描画マスクの全面作動状態での造形面における光の形状パターンの測定結果に基づいて、その結果をコンピューターにフィードバックして、コンピューターに記憶されていた光造形操作用の情報を調整・制御し、その新たに調整・制御された情報に基づいて光造形操作を行なって立体造形物を製造する。その際に、光造形装置の配置や各部材の距離などのハード面に変更を加えずに、コンピューターに予め記憶されている情報が前記測定結果に応じて調整・制御されるようなプログラムを採用し、そのようなプログラムに基づいて光造形操作を行なうようにすることが、設計どおりの寸法および形状を有する立体造形物を確実に且つ簡単に製造できることから好ましい。
光造形操作の調整・制御に当たっては、コンピューターによって容易に調整・制御でき、それによって造形精度の向上を図ることのできる情報であればいずれを調整・制御してもよいが、そのうちでも、造形面に照射される光の形状パターンおよび造形面に対する光照射装置の移動形態のいずれか一方または両方を、面状描画マスクの全面作動状態での造形面における光の形状パターンの測定結果に基づいてコンピューターにより調整・制御しながら光造形操作を行なうのがよく、それによって目的どおりの寸法および形状を有する立体造形物を高い造形精度で円滑に且つ簡単に製造することができる。
その場合に、光の形状パターンのみを調整・制御するか、光照射装置の移動形態のみを調整・制御するか、または光の形状パターンと光照射装置の移動形態の両方を調整・制御するかは、光造形時の操作の内容、製造を目的として立体造形物の形状、寸法、寸法精度などに応じて適当なものを選択するのがよい。
例えば、所定の断面形状パターンを有する1層分の光硬化樹脂層の形成に当たって、造形面への光照射装置(面状描画マスク)を造形面に対して移動させずに固定した状態で面状描画マスクを経て造形面に光を照射する場合は、面状描画マスクの全面作動状態での造形面における光の形状パターンの測定結果に基づいて、造形面に照射される光の形状パターンを調整・制御しながら光造形操作を行なえばよい。
また、造形面への光照射装置(面状描画マスク)を造形面に対して断続的に又は連続的に移動させて造形面に光を照射する場合は、面状描画マスクの全面作動状態での造形面における光の形状パターンの測定結果に基づいて、造形面に照射される光の形状パターンの調整・制御と造形面に対する光照射装置の移動形態の調整・制御のうちのいずれか一方または両方を行ないながら光造形操作を行なえばよい。そのうちでも光の形状パターンと光照射装置の移動形態の両方の調整・制御を行なうと、より高い寸法精度で立体造形物を製造することができる。
面状描画マスクの全面作動状態での造形面における光の形状パターンの測定結果に基づいて、造形面に照射される光の形状パターンを調整・制御する方法としては、例えば、面状描画マスクを構成する各微小光シャッターの作動を調整・制御して光の形状パターンの形成に関与する微小光シャッターの数を増減する方法、関与する微小光シャッターの位置を変更する方法、投影レンズ位置を変更する方法、それらの2つ以上の組み合わせなどを挙げることができる。
何ら限定されるものではないが、面状描画マスクを構成する各微小光シャッターの作動を調整・制御する場合の例について、前記で説明した図1の(a)を参照して説明する。
例えば、微小光シャッターを横×縦=1024個(ドット)×768個(ドット)の個数で面状に配列した上記した方形の面状描画マスクを用いて光造形を行ない、その際に各微小光シャッターによって造形面に照射される光(スポット状照射光)の造形面での設定寸法が60μmであるとする。その場合に、面状描画マスクの全面作動状態では、造形面に照射される光の形状パターンは、横方向=60×1024=61440μm(61.440mm)および縦方向=60×768=46080μm(46.080mm)のサイズを有する方形形状(設定寸法)となる。
上記において、面状描画マスクの全面作動状態で造形面において実際に測定された光の形状パターンが、横方向=62464μm(62.464mm)および縦方向=46848μm(46.848mm)のサイズの方形形状であったとすると、この測定結果から、面状描画マスクを構成する各微小光シャッターによって光造形に照射される光(スポット状照射光)の寸法が、実際は62464μm÷1024=61μmであることが計算によって求められる。
そのような状態のままで光造形操作を行なった場合には、上記で図1を参照して説明したように、目的とする断面形状パターンAよりも寸法の大きな断面形状パターンA’の光硬化樹脂層が形成され、光造形操作をそのまま継続すると目的(設定)どおりの寸法を有する立体造形物が得られなくなる。
図1において、形成しようとする円A(円形の光硬化樹脂層)の設定上の直径が30720μmであったとすると、該円Aの形成に当たっては直径方向に30720μm÷60μm=512個の微小光シャッターが関与する。一方、実際に形成する円A’(円形の光硬化樹脂層)では、その直径は61μm×512個=31232μmとなり、設定上の円Aよりも直径が512μmだけ大きくなり、そのことは面状描画マスクの全面作動状態での造形面における光の形状パターンの上記した測定結果から導き出される。
前記した512μmの直径の増大分は、実際の個々の微小光シャッターの寸法61μmの約8.393個(512÷61=8.393)に相当する。
そのような状態のときに、面状描画マスクの全面作動状態での前記光の形状パターンの測定結果に基づいて、コンピューターに記憶されている情報を調整・制御して、実際の光造形操作時に、面状描画マスクにおいて円A’の形成に関与する微小光シャッターの数をその直径方向の両端で4個ずつ、合計で8個減らして光造形を行なう、すなわち直径方向の両端に位置するそれぞれ4個、合計で8個の微小光シャッターからの透過光または反射光が造形面に照射されないように微小光シャッターの作動を調整・制御することにより、直径が61μm×(512個−8個)=61μm×504個=30744μmとなり、目的とする設定上の円A(直径30720μm)とほぼ同じかまたはそれに極めて近い寸法の直径(断面形状)を有する円形の光硬化樹脂層A’を形成することができる。
上記とは逆に、面状描画マスクの全面作動状態で造形面において照射された方形の光形状パターンの寸法の測定値が、設定値よりも小さい場合は、図3に示すように、設定上の円Aよりも直径の小さな円A’’よりなる光硬化樹脂層が造形面に形成される。
そのときには、図1の場合とは反対に、その測定された結果(寸法)に基づいて、コンピューターに記憶されていた情報を調整・制御して、実際の光造形操作時に、面状描画マスクにおいて円A’の形成に関与する微小光シャッターの数をその直径方向の両端で所定の数だけ増やして光造形を行なう(直径方向の両端において所定の数だけ微小光シャッターからの透過光または反射光が造形面に更に照射されるように微小光シャッターの作動を調整・制御する)ことにより、目的とする設定上の円Aとほぼ同じかまたはそれに極めて近い寸法の断面形状を有する円形の光硬化樹脂層A’’を形成することができる。
また、面状描画マスクの全面作動状態で造形面に照射された光の形状パターンの寸法の測定結果に基づいて面状描画マスクを構成する微小光シャッターの作動の調整・制御に当たっては、1層分の光硬化樹脂層を形成する際に造形面に照射される光の形状パターンの形成に関与する微小光シャッターの数の増減だけでなく、光の形状パターンの形成に関与する微小光シャッターの位置を変更する方法などを採用することができる。この方法としては、例えば1層分の光硬化した断面形状パターンの形成時に働くべく設定されていた微小光シャッターの働きを停止し、働きを停止させるべく設定していた微小光シャッターを働らかせる方法などを挙げることができる。
さらに、面状描画マスク(造形面への光照射装置)を造形面に対して断続的に移動させるかまたは連続的に移動させながら造形面に所定の形状パターンの光を照射して光造形を行なう場合には、造形面に形成する光硬化樹脂層の断面形状パターンの形状、該断面形状パターンの寸法、造形面に対する光照射装置(面状描画マスク)の移動のさせ方、露光パターンなどに応じて、面状描画マスクの全面作動状態で造形面に照射された光の形状パターンの寸法の測定結果に基づいて、(1)造形面への光照射装置(面状描画マスク)の移動形態は当初の設定どおりに行ないながら、面状描画マスクの作動に係るコンピューター情報と面状描画マスクを構成する微小光シャッターの作動を調整・制御して光造形操作を行なってもよいし、(2)面状描画マスクを構成する微小光シャッターの作動は当初の設定どおりのままで、造形面への光照射装置(面状描画マスク)の移動形態(移動位置、移動距離、移動方向、移動速度など)を該測定結果に基づいて調整・制御して光造形操作を行なってもよいし、または(3)面状描画マスクの作動に係るコンピューター情報と面状描画マスクを構成する微小光シャッターの作動と造形面への光照射装置(面状描画マスク)の移動形態のすべてを調整・制御して光造形操作を行なってもよい。そのうちでも、面状描画マスクの作動に係るコンピューター情報と面状描画マスクを構成する微小光シャッターの作動と光照射装置(面状描画マスク)の移動形態のすべてを調整・制御する前記(3)の方法による場合は、造形精度を一層向上させることができる。
何ら限定されるものではないが、以下に、面状描画マスクの全面作動状態で造形面に照射された光の形状パターンの寸法の測定結果に基づいて光造形操作時に面状描画マスクの移動形態などを調整・制御する場合について、図5〜図7を参照して説明する。
図5は、面状描画マスク2として、例えば、微小光シャッターが横×縦=1024個(ドット)×768個(ドット)の個数で面状に配置した方形の面状描画マスクを用いて光造形を行ない、その際に面状描画マスクの全面作動状態で造形面に照射された光の形状パターンの寸法の測定値が設定どおりの値(例えば61.44mm×46.08mm)になっていて、各微小光シャッターを経て造形面に照射される光の造形面での寸法(スポット寸法)が設定どおりの寸法(例えば60μm)になっている場合についての光造形方法の一例を示した模式図である。
この場合に、面状描画マスク2を造形面1に対して平行に移動させながら面状描画マスク2を介して造形面に光を照射して、横×縦=100mm×50mmの光硬化した方形の断面形状パターンB(a,b,c,dで包囲される面部分)を形成させるために、図5の(i)〜(iv)の工程にしたがって光造形が行われる。
まず、(i)の工程では、面状描画マスク2を、初めに形成すべき断面形状パターンBのa−dの線に相当する位置又はそれより少し下がった位置に配置し、次いで面状描画マスク2をY1の方向に移動させる。その際に、予め設定されたプログラムにしたがって、a,b,f,eで包囲される面B1に光を照射すべく作動する各微小光シャッターを介してa,b,f,eで包囲される面B1に光が照射される。a,b,f,eで包囲される面B1における横幅a−eおよびb−fは、面状描画マスク2の最大幅(60μm×1024=61.44mm)に設定されているので、面状描画マスク2が面B1上をY1方向に移動する際は、面状描画マスク2の横方向に配列した1024個の微小光シャッターは全て作動した状態で造形面1に光照射が行われる。
a,b,f,eで包囲される面B1に相当する断面形状パターンが形成された時に、面状描画マスク2を、図5の(ii)に示す、面B1の横線b−fに相当する場所またはそれよりも多少離れた場所に位置させる。
次に、図5の(iii)に示すように、面状描画マスク2をその左端が面B1のf−eの線に接する位置にくるようにX1の方向に移動させる。
続いて、図5の(iv)に示すように、面状描画マスク2をY2の方向に移動させる。その際に、予め設定されたプログラムにしたがって、f,e,d,cで包囲される面B2に光を照射すべく作動する各微小光シャッターを介してf,e,d,cで包囲される面B2に光が照射される。f,e,d,cで包囲される面B2おける横幅f−cおよびe−dは、目的とする寸法(100mm)から面状描画マスク2の最大幅(すなわち光硬化により既に形成された面B1の幅)(60μm×1024=61.44mm)を差し引いた寸法(38.56mm)に設定されているので、面状描画マスク2が面B2上をY2方向に移動する際は、面状描画マスク2の横方向に配列した1024個の微小光シャッターのうち、向って左側から643個の微小光シャッターが作動した状態で造形面に光照射が行われる(60μm×643=38580μm=38.58mm)。
これによって、設定どおりの、横×縦=100mm×50mmの光硬化した方形の断面形状パターンB(a,b,c,dで包囲される面部分)が形成される。
図5の場合は、面状描画マスクの全面作動状態で造形面に照射された光の形状パターンの寸法の測定値が、当初の設定値どおりであり、各微小光シャッターを経て造形面に照射される光の造形面での寸法(スポット寸法)が設定どおりの寸法(例えば60μm)になっているので、当初の設定およびプログラムにしたがって造形操作を行うことができ、それによって目的どおりの立体造形物を高い寸法精度で製造することができる。
図6は、図5の場合と同じ面状描画マスクを用いたときに、面状描画マスクの全面作動状態で造形面に照射された光の形状パターンの寸法の測定値が設定値よりも大きくなっていて(例えば横×縦=62.46mm×46.85mm)、各微小光シャッターを経て造形面に照射される光の造形面での寸法(スポット寸法)が設定の寸法よりも大きくなっている場合(例えば61μm)の光造形方法の一例を示した模式図である。
この場合に、面状描画マスクの全面作動状態での光の形状パターンの測定結果に基づいて光造形操作を調整・制御せずに、予め設定されている内容に従って図5の(i)〜(iv)と同じ工程を行った場合には、造形面に実際に形成される断面形状パターンのサイズは、図6の(1)に示すように、e’,e’’,f’,f’’で包囲される部分において面Ba(横×縦=62.46mm×50mm)と面Bb(横×縦=39.22mm×50mm)とが重なり合いながら面B’(横×縦=101.02mm×50mm)が形成される。該面B’は、目的とする断面形状パターンのサイズ(100mm×50mm)に比べて、横が1.02mmも大きくなっており、寸法精度が大幅に低下する。
それに対して、面状描画マスクの全面作動状態での光の形状パターンの上記した測定結果(横×縦=62.46mm×46.85mm、1ドット=61μm)に基づいて、図6の(2)に示すように、面状描画マスク2をY1方向に移動させる際に、面状描画マスク2を右方向に位置移動させて面状描画マスク2の左端を、形成しようとする断面形状パターンの左端と同じ位置に位置調整し、その状態で面状描画マスク2をY1方向に移動させながら面状描画マスク2の横方向に配列した微小光シャッターの全てを作動させた状態で、a,b,f,eで包囲される方形の面B1(横=61μm×1024ドット=62.47mm、縦=50mm)を形成し、次いで図5の(iii)の工程と同様にして、面状描画マスク2を面状描画マスク2の左端が面B1の右端(f−eの線)に接する位置にくるようにX1方向に移動させ、それに続いて図5の(iv)と同様に、面状描画マスク2をY2の方向に移動させて光照射を行なう。その際に、f,c,d,eで包囲される面B2における横幅f−cおよびe−dが、目的とする寸法(100mm)から前記の面B1の横のサイズ(62.47mm)を差し引いた寸法(37.53mm)になるように、面状描画マスク2の横方向に配列した1024個の微小光シャッターのうち、向って左側から615個までの微小光シャッターを作動させた状態で造形面に光照射を行う(61μm×615ドット=37515μm=37.52mm)ことにより、横のサイズが99.99mm[62.47mm(面B1の横のサイズ)+37.52mm(面B2の横のサイズ)]および縦のサイズが50mmの方形の断面形状パターンBを形成することができる。これにより得られる断面形状パターンBは、目的とする断面形状パターンのサイズ(100mm×50mm)と殆ど同じであり、高い寸法精度を有している。
図7は、図5の場合と同じ面状描画マスクを用いたときに、面状描画マスクの全面作動状態で造形面に照射された光の形状パターンの寸法の測定値が設定値よりも小さくなっていて(例えば横×縦=60.42mm×45.31mm)、各微小光シャッターを経て造形面に照射される光の造形面での寸法(スポット寸法)が設定の寸法よりも小さい場合(例えば59μmになっている場合)の光造形方法の一例を示した模式図である。
この場合に、面状描画マスクの全面作動状態での光の形状パターンの測定結果に基づいて光造形操作を調整・制御せずに、予め設定されている内容に従って図5の(i)〜(iv)と同じ工程を行った場合には、造形面には、図7の(1)に示すように、横=59μm×1024ドット=60.42mm、縦=50mmのサイズの方形の断面形状パターンBa’と、横=59μm×643ドット=37.94mm、縦=50mmのサイズの方形の断面形状パターンBb’が、両者の間に間隙を有して個別に形成され、目的とする100mm×50mmの方形の断面形状パターンBが形成されない。
それに対して、面状描画マスクの全面作動状態での光の形状パターンの測定結果(横×縦=60.42mm×45.31mm、1ドット=59μm)に基づいて、図7の(2)に示すように、面状描画マスク2をY1方向に移動させる際に、面状描画マスク2を左方向に位置移動させて面状描画マスク2の左端を、形成しようとする断面形状パターンの左端と同じ位置に位置調整し、その状態で面状描画マスク2をY1方向に移動させながら面状描画マスク2の横方向に配列した微小光シャッターの全てを作動させた状態で、a,b,f,eで包囲される方形の面B1(横=59μm×1024ドット=60.42mm、縦=50mm)を形成し、次いで図5の(iii)の工程と同様にして面状描画マスク2を面状描画マスク2の左端が面B1の右端(f−eの線)に接する位置にくるようにX1方向に移動させ、それに続いて図5の(iv)と同様に、面状描画マスク2をY2の方向に移動させ、その際にf,c,d,eで包囲される面B2おける横幅f−cおよびe−dが、目的とする寸法(100mm)から前記の面B1の横のサイズ(60.42mm)を差し引いた寸法(39.58mm)になるように、面状描画マスク2の横方向に配列した1024個の微小光シャッターのうち、向って左側から671個の微小光シャッターを作動させた状態で造形面に光照射を行う(59μm×671ドット=39589μm=39.59mm)ことにより、横のサイズが100.01mm[60.42mm(面B1の横のサイズ)+39.58mm(面B2の横のサイズ)]および縦のサイズが50mmの方形の断面形状パターンBを形成することができる。これにより得られる断面形状パターンBは、目的とする断面形状パターンのサイズ(100mm×50mm)と殆ど同じであり、高い寸法精度を有している。
面状描画マスクの全面作動状態で測定された光の形状パターンの造形面での寸法の測定結果に基づいて、造形面への光照射装置(面状描画マスク)の移動形態を調整・制御する方法は、勿論、上記で例示したものに限定されるものではない。
実際の光造形操作を行うに当たって、面状描画マスクの全面作動状態での造形面における光の形状パターンの寸法が、予め設定されている寸法と同じ場合には、図5を用いて説明したように、コンピューターに記憶されている情報に従ってそのまま光造形操作を行えばよい。
本発明では、面状描画マスクによる光の形状パターン(すなわち面状描画マスクのマスク画像)は、1層分の光硬化した断面形状パターンの形成ごとに変えてもよいし(1層分の断面形状パターンの形成には1つのマスク画像とする場合)、1層分の光硬化した断面形状パターンの形成時に面状描画マスクのマスク画像を断続的に変えてもよいし[造形面への光照射装置(面状描画マスク)を造形面に対して、面状描画マスクの移動と固定−光照射−面状描画マスクの移動と固定−光照射というように断続的に移動させる場合]または造形面に対して光照射装置(面状描画マスク)を連続的に移動させると共に面状描画マスクの移動と連動して面状描画マスクのマスク画像を連続的(動画的)に変化させてもよい。
造形面に対して光照射装置(面状描画マスク)を連続的に移動させると共に面状描画マスクの移動と連動して面状描画マスクのマスク画像を連続的(動画的)に変化させて光造形操作を行なう場合は、面状描画マスクを造形面に対して平行状態で移動させることが好ましい。面状描画マスクの平行移動に当たっては、例えば、例えば、リニアガイド、シャフト、フラットバーなどをガイドにし、駆動をボールネジ、台形ネジ、タイミングベルト、ラック&ピニオン、チェーンなどを用いて伝達し、駆動源はACサーボモータ、DCサーボモータやステッピングモータなどを用いることができる。また、ガイドと駆動を兼ねたリニアモーター方式、さらに多関節型のロボットのアーム先端部を利用することもできる。
本発明の光学的立体造形方法および装置では、造形面に形成しようとする光硬化した断面形状パターンの内容、最終的に製造する立体造形物の形状や寸法、面状描画マスクの光照射時の移動の有無、移動させながら光照射を行なう場合は、その移動形態や移動速度などに対応させて予めコンピューターなどに記憶させておいた情報、すなわち面状描画マスクによって形成されるべきマスク画像に関する情報(面状描画マスクを構成する各微小光シャッターの作動に関する情報)、面状描画マスクの移動形態などに関する情報を、面状描画マスクの全面作動状態で測定された光の形状パターンの造形面での寸法の測定結果に基づいて調整して、調整された情報に基づいて実際の光造形操作を行なうため、光学的立体造形用装置のハード面で多少設定とのずれが生じていた場合にも、目的どおりの寸法および形状を有し、しかも硬化むらなどのない立体造形物を円滑に製造することができる。
本発明の光学的立体造形方法および装置に用いる光源の種類は特に制限されず、光学的立体造形で使用され得る光源であればいずれでもよく、例えば、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどのような高輝度放電ランプ(HIDランプ)、水銀灯、蛍光灯、ハロゲンランプ、白熱ランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、LDレーザー(半導体励起固体レーザー)などを挙げることができる。特に、本発明による場合は、光学的立体造形法で従来用いられてきたレーザー光装置のような高価な光源を使用せずに、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプなどのような高輝度放電ランプ(HIDランプ)、キセノンランプ、メタルハライドランプ、水銀灯、蛍光灯、ハロゲンランプ、白熱ランプなどのような安価な汎用の光源を使用することができ、そのために、光学的立体造形装置を安価で使用し易いものとすることができる。
光源の形状、大きさ、数も特に制限されず、面状描画マスクの形状や寸法、形成しようとする光硬化断面形状パターンの形状や寸法などに応じて適宜選択することができ、光源は、例えば、点状、球状、棒状、面状であってもよいし、また点状や球状の光源を面状描画マスクの背部側に直接状に一列または複数列で配置してもよい。
また、光源は、面状描画マスクと共に連続移動可能に設けてもよいし、または造形精度の向上、造形速度の向上、装置の軽量化、保守性の向上などの目的で、光源を固定位置に動かないように設ける共に光源からの光を光ファイバー、ライトガイドやその他の光伝達手段を通して面状描画マスクの背部に導き、光ファイバーやライトガイドやその他の光伝達手段を面状描画マスクと共に連続移動可能に設けてもよい。
また、造形速度の向上のために複数の光源を用いて集光し光エネルギーを高くさせる方式を採ってもよい。特に光ファイバーやライトガイドなどを使用する場合は複数光源を集光させ易いというメリットがある。
本発明では、造形精度の向上、造形速度の向上、装置の軽量化、保守性の向上、装置コストのダウンなどの目的で、光源の種類、形状、数、面状描画マスクの形状や寸法などに応じて、光源からの光を面状描画マスクに良好に導くための手段(例えば集光レンズ、フレネルレンズなど)、また面状描画マスクによって形成されたマスク画像(面状描画マスクを通った光画像)を光硬化性樹脂組成物よりなる造形面の所定位置に高造形精度で照射させるための手段(例えば投影レンズ、プロジェクタレンズなど)を配置することが好ましい。
本発明で用いる光硬化性樹脂組成物の種類は特に制限されず、光造形に用い得る液状、ペースト、粉末状、薄膜状などの光硬化性樹脂組成物のいずれもが使用できる。
本発明では、光硬化性樹脂組成物として、光造形において従来から用いられている、例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、エステルアクリレートオリゴマー、多官能エポキシ樹脂などの各種オリゴマー;イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルメタクリレート、ジシクロペタニルアクリレート、ジシクロペタニルメタクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、モルホリンアクリルアミド、モルホリンメタクリルアミド、アクリルアミドなどのアクリル系化合物やN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、スチレンなどの各種の単官能性ビニル化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ポリエステルジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなど多官能性ビニル化合物;水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなどの各種エポキシ系化合物などの1種または2種以上と、光
合開始剤および必要に応じて増感剤などを含有する光硬化性樹脂組成物を用いることができる。
また、本発明で用いる光硬化性樹脂組成物は、上記した成分以外にも、必要に応じて、レベリング剤、リン酸エステル塩系界面活性剤以外の界面活性剤、有機高分子改質剤、有機可塑剤などを含有していてもよい。
本発明で用いる光硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、固体微粒子やウィスカーなどの充填材を含有していてもよい。充填材を含有する光硬化性樹脂組成物を用いると、硬化時の体積収縮の低減による寸法精度の向上、機械的物性や耐熱性の向上などを図ることができる。
充填材として用いる固体微粒子としては、例えば、カーボンブラック微粒子などの無機微粒子、ポリスチレン微粒子、ポリエチレン微粒子、ポリプロピレン微粒子、アクリル樹脂微粒子、合成ゴム微粒子などの有機重合体微粒子などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。固体微粒子の粒径は特に制限されないが、一般的には平均粒径が200μm以下、特に100μm以下のものが好ましく用いられる。
また、ウィスカーとしては、径が0.3〜1μm、特に0.3〜0.7μm、長さが10〜70μm、特に20〜50μmおよびアスペクト比が10〜100、特に20〜70μmのものが好ましく用いられる。なお、ここで言うウイスカーの寸法およびアスペクト比は、レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した寸法およびアスペクト比である。ウイスカーの種類は特に制限されず、例えば、ホウ酸アルミニウム系ウイスカー、酸化アルミニウム系ウイスカー、窒化アルミニウム系ウイスカー水、酸化硫酸マグネシウム系ウイスカー、酸化チタン系ウイスカーなどを挙げることができ、前記したウイスカーの1種または2種以上を用いることができる。
固体微粒子および/またはウィスカーを含有する光硬化性樹脂組成物を用いる場合は、固体微粒子を光硬化性樹脂組成物の全容量に基づいて5〜70容量%の割合で含有することが好ましく、またウィスカーの含有量を5〜30容量%とすることが好ましい。固体微粒子とウィスカーの両方を含有する場合は、両者の合計含有量が光硬化層の全容量に基づいて10〜75容量%であることが好ましい。
固体微粒子および/またはウィスカーは、シランカップリング剤で表面処理されていても表面処理されていなくてもよいが、表面処理されていることが好ましい。固体微粒子および/またはウイスカーがシランカップリング剤で表面処理されている場合には、熱変形温度、曲げ弾性率、機械的強度の一層高い光硬化物を得ることができる。その場合のシランカップリング剤としては、充填剤の表面処理などに従来から用いられているシランカップリング剤のいずれもが使用でき、好ましいシランカップリング剤としては、アミノシラン、エポキシシラン、ビニルシランおよび(メタ)アクリルシランを挙げることができる。
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
《実施例1》
(1) 光源として超高圧水銀ランプ(岩崎電気株式会社製、120W)を備え、面状描画マスクとしてテキサスインスツルメンツ社製の「DLPテクノロジー」(登録商標)(DMD;画素数=1024ドット×768ドット)を備えた光学的立体造形装置を使用した。また、光硬化性樹脂組成物としてシーメット株式会社製「CPX−926」(硬化感度7mJ)を用いた。
(2) 前記した光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に対するDMDを構成する各デジタルマイクロミラーシャッターから照射される光(スポット状照射光)の造形面での寸法を60μmに設定して、光造形操作時のプログラムを作製した。
(3) 光造形操作の最初の段階で、DMDを構成するデジタルマイクロミラーシャッターのすべてが作動状態にある全面作動状態での造形面における光の形状パターンの寸法を、光学的立体造形装置の造形面の四隅に設置したCCDカメラ(株式会社キーエンス製の画像センサー)により測定したところ、60416μm×45312μmであり、この値から、DMDを構成する各デジタルマイクロミラーシャッターを経て造形面に照射された光(スポット状照射光)の実際の寸法は59μmであることが算出された。
(4) 上記(3)で求められたDMDを構成する各デジタルマイクロミラーシャッターを経て造形面に照射された光(スポット状照射光)の実際の寸法59μmに基づいて、コンピューターに予め記憶させた光造形操作時のプログラムを調整して、その調整したプログラムに従って、図7の(2)に示した手順で光造形操作を行なって直方体状の立体造形物を製造した。
(5) 具体的には、図7の(2)に示すように、面状描画マスク2の左端を、形成しようとする断面形状パターンの左端と同じ位置に位置調整し、その状態で面状描画マスク2をY1方向に30m/秒の速度で移動させながら面状描画マスク2の横方向に配列した微小光シャッターの全てを作動させた状態で光を照射して(造形面における光の照射強度=5mW/cm2)、a,b,f,eで包囲される方形の面B1(横=59μm×1024ドット=60.42mm、縦=50mm)を形成した後、面状描画マスク2の左端が面B1の右端(f−eの線)に接する位置にくるようにX1方向に移動させ、それに続いて面状描画マスク2を前記と同じ速度でY2の方向に移動させ、その際にf,c,d,eで包囲される面B2おける横幅f−cおよびe−dが、目的とする寸法(100mm)から前記の面B1の横のサイズ(60.42mm)を差し引いた寸法(39.58mm)になるように、面状描画マスク2の横方向に配列した1024個の微小光シャッターのうち、向って左側から671個の微小光シャッターを作動させた状態で(59μm×671ドット=39589μm=39.59mm)、造形面に前記と同じ照射強度で光を照射することにより、横のサイズが100.01mm[60.42mm(面B1の横のサイズ)+39.58mm(面B2の横のサイズ)]および縦のサイズが50mmの方形の断面形状パターンBを形成し、前記と同じ造形操作を繰り返すことによって、縦×横×高さ=50.1mm×100.1mm×50.1の立体造形物を極めて高い造形精度で製造することができた。
これにより得られた立体造形物は、表面にスジ、段差、凹凸などがなく外観にも優れ、しかも硬化ムラがなく力学的特性にも優れていた。
《比較例1》
(1) 実施例1において、DMDを構成するデジタルマイクロミラーシャッターのすべてが作動状態にある全面作動状態での造形面における光の形状パターンの寸法の測定および前記寸法の測定結果に基づく光造形操作時のプログラムの調整を行なわなかった以外は実施例1と同様にして光学的立体造形を行なって、直方体状の立体造形物を製造した。
(2) その結果得られた立体造形物の寸法は、縦×横×高さ=49.8mm×98.8mm×50.2mmであり、設計上の寸法に対する寸法誤差は1.2%と大きく、設計どおりの立体造形物を製造することができなかった。
しかも、この比較例1で得られた立体造形物は、表面にスジ、段差、凹凸などがあり、外観に劣り、しかも硬化ムラにより力学的特性にも劣っていた。
本発明の光学的立体造形方法および装置は、設計どおりの高い寸法精度を有し、外観に優れ、硬化ムラがなくて力学的特性に優れる立体造形物を高い造形精度および造形速度で簡単に且つ円滑に生産するのに有効に使用することができる。
本発明の光学的立体造形方法および装置は、小型から大型に至る各種立体造形物の製造に有効に使用することができる。
本発明の光学的立体造形方法および装置による場合は、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物、金型、母型などのためのモデルや加工用モデル、複雑な熱媒回路の設計用の部品、複雑な構造の熱媒挙動の解析企画用の部品、その他の複雑な形状や構造を有する各種の立体造形物を、高い造形速度および寸法精度で円滑に製造することができる。
光硬化性樹脂組成物よりなる造形面での光硬化樹脂層よりなる断面形状パターンの形成状態(設定値よりもサイズの大きな断面形状パターンが形成された場合)を示す図である。 光硬化性樹脂組成物よりなる造形面での光硬化樹脂層よりなる別の断面形状パターンの形成状態(設定値よりもサイズの大きな断面形状パターンが形成された場合)を示す図である。 光硬化性樹脂組成物よりなる造形面での光硬化樹脂層よりなる更に別の断面形状パターンの形成状態(設定値よりもサイズの小さな断面形状パターンが形成された場合)を示す図である。 光硬化性樹脂組成物よりなる造形面での光硬化樹脂層よりなる更に別の断面形状パターンの形成状態(設定値よりもサイズの小さな断面形状パターンが形成された場合)を示す図である。 光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に設定値どおりの断面形状パターンが形成された状態を示す図である。 光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に設定値よりもサイズの大きな断面形状パターンが形成されてしまうのを本発明の方法により調整・制御して、設定値どおりのサイズの断面形状パターンを形成する場合の一例を示す図である。 光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に設定値よりもサイズの小さな断面形状パターンが形成されてしまうのを本発明の方法により調整・制御して、設定値どおりのサイズの断面形状パターンを形成する場合の一例を示す図である。
符号の説明
1 造形面
2 面状描画マスク

Claims (10)

  1. 光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に、複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクを経て制御下に所定の形状パターンの光を照射して、所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成し、該造形面に面状描画マスクを経て制御下に所定の形状パターンの光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する光造形操作を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことによって立体造形物を製造する方法であって、立体造形物を製造するための実際の光造形操作の前に、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターが光源からの光を造形面へと導くべく作動した作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定し、その測定値を、面状描画マスクを構成する前記複数の微小光シャッターの作動時の造形面での光照射パターンの設定寸法と対照し、その対照結果に基づいて、設計どおりの寸法を有する立体造形物を得るべく、立体造形物を製造するための実際の光造形操作を調整・制御して立体造形物を製造することを特徴とする光学的立体造形方法。
  2. 面状描画マスクの前記した作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定し、その測定値を、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターの作動時の造形面での光照射パターンの当初の設定値と対照し、当該対照結果に基づいて、設計どおりの寸法を有する立体造形物を得るべく、立体造形物を製造するための実際の光造形操作時に造形面に照射される光の形状パターンおよび造形面に対する光照射装置の移動形態のいずれか一方または両方を調整・制御する請求項1に記載の光学的立体造形方法。
  3. 造形面に照射される光の形状パターンの調整・制御を、面状描画マスクを構成する各微小光シャッターの作動の調整・制御により行なう請求項2に記載の光学的立体造形方法。
  4. 造形面に対する光照射装置の移動形態の調整・制御を、造形面に対する光照射装置の移動位置、移動距離および移動速度の少なくとも1つの調整・制御により行なう請求項2または3に記載の光学的立体造形方法。
  5. 面状描画マスクが、複数の微小液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクである請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学的立体造形方法。
  6. 光造形操作時に、造形面に対して光照射装置を連続的に移動させると共に、面状描画マスクのマスク画像を、光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に形成しようとする光硬化した樹脂層の断面形状パターンに対応させて、光照射装置の連読移動に同期させて連続的に変えながら造形面への光照射を行なう請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学的立体造形方法。
  7. (A) 載置台上または光硬化した樹脂層上に、1層分の光硬化性樹脂組成物を順次供給して造形面を形成する造形面形成手段;
    (B) 光源;
    (C) 複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスク;
    (D) 面状描画マスクを経て所定の形状パターンの光を光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に照射する光照射手段;
    (E) 立体造形物を製造するための実際の光造形操作の前に、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターが光源からの光を造形面へと導くべく作動した作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定する測定手段;
    (F) 前記(E)の測定手段による測定値を、面状描画マスクを構成する前記複数の微小光シャッターの作動時の造形面での光照射パターンの設定寸法と対照する対照手段;および
    (G) 前記(F)の手段による対照結果に基づいて、設計どおりの立体造形物を得るべく、立体造形物を製造するための実際の光造形操作時に、光造形操作を調整・制御する手段;
    を備えていることを特徴とする光学的立体造形装置。
  8. 前記(F)の対照手段による対照結果に基づいて、立体造形物を製造するための実際の光造形操作時に、造形面に照射される光の形状パターおよび造形面に対する光照射装置の移動形態のいずれか一方または両方を調整・制御する手段を備える請求項7に記載の光学的立体造形装置。
  9. 面状描画マスクが、複数の微小液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクである請求項7または8に記載の光学的立体造形装置。
  10. 造形面に対して光照射装置を連続的に移動させる手段、および面状描画マスクのマスク画像を造形面に形成しようとする光硬化した樹脂層の断面形状パターンに対応させて光照射装置の連続移動に同期させて連続的に変化させる手段を更に有している請求項7〜9のいずれか1項に記載の光学的立体造形装置。
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