JP4824382B2 - 光学的立体造形方法および装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、微小光シャッターを面状に配置した描画マスクを用いる光造形技術は、スポット状の紫外線レーザーを用いる光造形技術に比べて、造形精度が低くなりがちであり、また得られる光造形物にスジ、段差、硬化むらが生じ易いという問題がある。
しかしながら、実際には、光学的立体造形装置を構成する各種部材の種類、組み合わせ、設置の仕方、液晶描画マスクや投影レンズの個体差などによってずれや誤差などを生じ、面状描画マスクの各微小光シャッターを経て造形面に照射されるスポット状照射光の寸法が設定値どおりの60μmにならない場合が多く、面状描画マスクの各微小光シャッターを経て造形面に照射されるスポット状照射光の寸法は例えば設定値よりも大きな61μmになったり、反対に設定値よりも小さな59μmになったりしがちである。
その場合には、面状描画マスクを構成する全ての微小光シャッターが造形面に光を照射する全面作動状態では、造形面に照射される方形の光形状パターンの寸法は、横=61μm×1024個(ドット)=62464μm、縦=61μm×768個(ドット)=46848μmとなり、設定した寸法(本来の寸法)である横=60μm×1024個(ドット)=61440μm、縦=60μm×768個(ドット)=46080μmに比べて、横方向が1024μm(1.024mm)(62464μm−61440μm)だけ大きくなり、縦方向が768μm(0.768mm)(46848μm−46080μm)だけ大きくなる。
また、例えば図2に例示するように、面状描画マスク2をY1→X1→Y2の方向に造形面1に対して移動させながら造形面に所定のパターンの光を照射して光造形操作を行って、大きな光硬化した断面形状パターンを形成する場合は、各微小光シャッターを経て造形面に照射される光の寸法(スポット寸法)が設定した寸法よりも大きいと、実際の造形操作時に、Y1方向への移動によってa,b,c,dで包囲される設定値よりも大きな方形パターンBa’が形成され、Y2方向への移動によってe,f,g,hで包囲される設定値よりも大きな方形パターンBb’が形成され、その結果、本来の断面形状パターンBよりも一層大きな、断面形状パターンB’が形成されてしまい、光造形により製造される立体造形物の寸法誤差は、目的とするもの(設定値)に比べて一層大きくなる。
その場合には、面状描画マスクを構成する全ての微小光シャッターが造形面に光を照射する全面作動状態では、造形面に照射される方形の光形状パターンの寸法は、横=59μm×1024個(ドット)=60416μm、縦=59μm×768個(ドット)=45312μmとなり、設定上の寸法(本来の寸法)である横=60μm×1024個(ドット)=61440μm、縦=60μm×768個(ドット)=46080μmに比べて、横方向が1024μm(1.024mm)(61440μm−60416μm)だけ小さくなり、縦方向が768μm(0.768mm)(46080μm−45312μm)だけ小さくなる。
また、例えば図4に例示するように、面状描画マスク2をY1→X1→Y2の方向に造形面1に対して移動させながら造形面に所定のパターンの光を照射して光造形操作を行って、所定の光硬化した断面形状パターンを形成する場合は、各微小光シャッターを経て造形面に照射される光の寸法(スポット寸法)が設定した寸法よりも小さいと、本来は連続した1つの光硬化した断面形状パターンBが形成されるべきところ、造形面1には、互いに離れた光硬化したa,b,c,dで包囲される断面形状パターンBaとe,f,g,hで包囲されるBbが形成され、該断面形状パターンBaとBbとの間に間隙が生じ、設計どおりの寸法および形状を有する光硬化した断面形状パターンが形成されなくなる。そして、そのような光造形操作が多数回繰り返されることによって、最終的に得られる立体造形物では表面にスジ、段差、凹凸などが生じたり、硬化ムラによる力学的特性の低下、大きな寸法誤差などが生ずる。
さらに、本発明の目的は、高価な紫外線レーザー装置を用いずに、通常の紫外線ランプのような安価な光源を用いた場合にも、高い造形精度を有し且つ硬化むらのない高品質の立体造形物を、速い造形速度で円滑に製造することのできる光学的立体造形方法および光学的立体造形装置を提供することである。
また、本発明者らは、その際に、造形面に照射される光の形状パターンの調整・制御は、該光の形状パターンの形成に関与する微小光シャッターの作動の調整・制御(例えば各造形時に関与する所定位置での微小光シャッターの数の増減など)により行なうとよいこと、造形面に対する光照射装置の移動形態の調整・制御を、光照射装置の移動位置、移動距離および移動速度の少なくとも1つの調整・制御により行なうとよいことなどを見出し、それらの知見に基づいて本発明を完成した。
(1) 光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に、複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクを経て制御下に所定の形状パターンの光を照射して、所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成し、該造形面に面状描画マスクを経て制御下に所定の形状パターンの光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する光造形操作を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことによって立体造形物を製造する方法であって、立体造形物を製造するための実際の光造形操作の前に、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターが光源からの光を造形面へと導くべく作動した作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定し、その測定値を、面状描画マスクを構成する前記複数の微小光シャッターの作動時の造形面での光照射パターンの設定寸法と対照し、その対照結果に基づいて、設計どおりの寸法を有する立体造形物を得るべく、立体造形物を製造するための実際の光造形操作を調整・制御して立体造形物を製造することを特徴とする光学的立体造形方法である。
(2) 面状描画マスクの前記した作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定し、その測定値を、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターの作動時の造形面での光照射パターンの当初の設定値と対照し、当該対照結果に基づいて、設計どおりの寸法を有する立体造形物を得るべく、立体造形物を製造するための実際の光造形操作時に造形面に照射される光の形状パターンおよび造形面に対する光照射装置の移動形態のいずれか一方または両方を調整・制御する前記(1)の光学的立体造形方法;
(3) 造形面に照射される光の形状パターンの調整・制御を、面状描画マスクを構成する各微小光シャッターの作動の調整・制御により行なう前記(2)の光学的立体造形方法;
(4) 造形面に対する光照射装置の移動形態の調整・制御を、造形面に対する光照射装置の移動位置、移動距離および移動速度の少なくとも1つの調整・制御により行なう前記した(2)または(3)の光学的立体造形方法;
(5) 面状描画マスクが、複数の微小液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクである前記(1)〜(4)のいずれかの光学的立体造形方法;および、
(6) 光造形操作時に、造形面に対して光照射装置を連続的に移動させると共に、面状描画マスクのマスク画像を、光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に形成しようとする光硬化した樹脂層の断面形状パターンに対応させて、光照射装置の連読移動に同期させて連続的に変えながら造形面への光照射を行なう前記(1)〜(5)のいずれかの光学的立体造形方法;
である。
(7) (A) 載置台上または光硬化した樹脂層上に、1層分の光硬化性樹脂組成物を順次供給して造形面を形成する造形面形成手段;
(B) 光源;
(C) 複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスク;
(D) 面状描画マスクを経て所定の形状パターンの光を光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に照射する光照射手段;
(E) 立体造形物を製造するための実際の光造形操作の前に、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターが光源からの光を造形面へと導くべく作動した作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定する測定手段;
(F) 前記(E)の測定手段による測定値を、面状描画マスクを構成する前記複数の微小光シャッターの作動時の造形面での光照射パターンの設定寸法と対照する対照手段;および、
(G) 前記(F)の手段による対照結果に基づいて、設計どおりの立体造形物を得るべく、立体造形物を製造するための実際の光造形操作時に、光造形操作を調整・制御する手段;
を備えていることを特徴とする光学的立体造形装置である。
(8) 前記(F)の対照手段による対照結果に基づいて、立体造形物を製造するための実際の光造形操作時に、造形面に照射される光の形状パターおよび造形面に対する光照射装置の移動形態のいずれか一方または両方を調整・制御する手段を備える前記(7)の光学的立体造形装置;
(9) 面状描画マスクが、複数の微小液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクである前記(7)または(8)の光学的立体造形装置;および、
(10) 造形面に対して光照射装置を連続的に移動させる手段、および面状描画マスクのマスク画像を造形面に形成しようとする光硬化した樹脂層の断面形状パターンに対応させて光照射装置の連続移動に同期させて連続的に変化させる手段を更に有している前記(7)〜(9)のいずれかの光学的立体造形装置;
である。
本発明による場合は、表面に望ましくないスジ、段差、凹凸がなく外観に優れ、しかも硬化むらがなくて力学的特性に優れる立体造形物を簡単に且つ円滑に製造することができる。
さらに、本発明による場合は、高価な紫外線レーザー装置を用いずに通常の紫外線ランプのような安価な光源を用いた場合にも、高い造形精度を有し且つ硬化むらのない高品質の立体造形物を、速い造形速度で円滑に製造することができる。
本発明は、複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクを経て光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に制御下に所定の形状パターンの光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成し、該造形面に面状描画マスクを経て制御下に所定の形状パターンの光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する光造形操作を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことによって立体造形物を製造する造形技術を採用して行なうものである。
これらの面状描画マスクは、微小ドットエリアでの遮光と透光が可能な複数の液晶などの微小光シャッター、または微小ドットエリアでの遮光と造形面に向けての光の反射が可能な複数の微小光シャッター(デジタルマイクロミラー)を面状(X−Y方向)に並列配置した正方形状または長方形状の面状描画マスクであることが好ましい。
面状描画マスクに配置する微小光シャッター(画素子)の数は特に制限されず、従来から知られているものなどを使用することができる。液晶シャッター(液晶表示素子)としては、例えば、QVGA(画素数=320ドット×240ドット)、VGA(画素数=640×480ドット)、SVGA(画素数=800×600ドット)、UXGA(画素数=1024×768ドット)、QSXGA(画素数=2560×2648ドット)などを用いることができ、これらの液晶シャッターは従来から広く販売されている。
また、デジタルマイクロミラーシャッターとしては、例えば、テキサスインスツルメンツ社製の「DLPテクノロジー」(登録商標)のDMD(画素数=1024×768ドット)などを使用することができる。
面状描画マスクが全面作動状態にあるときに造形面に照射される光の形状パターンは、通常、面状描画マスクと合同または相似形の形状をなしている。
また、面状描画マスクが方形以外の形状をなしている場合は、面状描画マスクの全面作動状態で造形面に照射される光の形状パターンに応じて、その測定値が光造形操作時の調整・制御に正確に反映され得る部分の寸法を測定するようにする。
例えば、所定の断面形状パターンを有する1層分の光硬化樹脂層の形成に当たって、造形面への光照射装置(面状描画マスク)を造形面に対して移動させずに固定した状態で面状描画マスクを経て造形面に光を照射する場合は、面状描画マスクの全面作動状態での造形面における光の形状パターンの測定結果に基づいて、造形面に照射される光の形状パターンを調整・制御しながら光造形操作を行なえばよい。
また、造形面への光照射装置(面状描画マスク)を造形面に対して断続的に又は連続的に移動させて造形面に光を照射する場合は、面状描画マスクの全面作動状態での造形面における光の形状パターンの測定結果に基づいて、造形面に照射される光の形状パターンの調整・制御と造形面に対する光照射装置の移動形態の調整・制御のうちのいずれか一方または両方を行ないながら光造形操作を行なえばよい。そのうちでも光の形状パターンと光照射装置の移動形態の両方の調整・制御を行なうと、より高い寸法精度で立体造形物を製造することができる。
例えば、微小光シャッターを横×縦=1024個(ドット)×768個(ドット)の個数で面状に配列した上記した方形の面状描画マスクを用いて光造形を行ない、その際に各微小光シャッターによって造形面に照射される光(スポット状照射光)の造形面での設定寸法が60μmであるとする。その場合に、面状描画マスクの全面作動状態では、造形面に照射される光の形状パターンは、横方向=60×1024=61440μm(61.440mm)および縦方向=60×768=46080μm(46.080mm)のサイズを有する方形形状(設定寸法)となる。
そのような状態のままで光造形操作を行なった場合には、上記で図1を参照して説明したように、目的とする断面形状パターンAよりも寸法の大きな断面形状パターンA’の光硬化樹脂層が形成され、光造形操作をそのまま継続すると目的(設定)どおりの寸法を有する立体造形物が得られなくなる。
前記した512μmの直径の増大分は、実際の個々の微小光シャッターの寸法61μmの約8.393個(512÷61=8.393)に相当する。
そのような状態のときに、面状描画マスクの全面作動状態での前記光の形状パターンの測定結果に基づいて、コンピューターに記憶されている情報を調整・制御して、実際の光造形操作時に、面状描画マスクにおいて円A’の形成に関与する微小光シャッターの数をその直径方向の両端で4個ずつ、合計で8個減らして光造形を行なう、すなわち直径方向の両端に位置するそれぞれ4個、合計で8個の微小光シャッターからの透過光または反射光が造形面に照射されないように微小光シャッターの作動を調整・制御することにより、直径が61μm×(512個−8個)=61μm×504個=30744μmとなり、目的とする設定上の円A(直径30720μm)とほぼ同じかまたはそれに極めて近い寸法の直径(断面形状)を有する円形の光硬化樹脂層A’を形成することができる。
そのときには、図1の場合とは反対に、その測定された結果(寸法)に基づいて、コンピューターに記憶されていた情報を調整・制御して、実際の光造形操作時に、面状描画マスクにおいて円A’の形成に関与する微小光シャッターの数をその直径方向の両端で所定の数だけ増やして光造形を行なう(直径方向の両端において所定の数だけ微小光シャッターからの透過光または反射光が造形面に更に照射されるように微小光シャッターの作動を調整・制御する)ことにより、目的とする設定上の円Aとほぼ同じかまたはそれに極めて近い寸法の断面形状を有する円形の光硬化樹脂層A’’を形成することができる。
この場合に、面状描画マスク2を造形面1に対して平行に移動させながら面状描画マスク2を介して造形面に光を照射して、横×縦=100mm×50mmの光硬化した方形の断面形状パターンB(a,b,c,dで包囲される面部分)を形成させるために、図5の(i)〜(iv)の工程にしたがって光造形が行われる。
a,b,f,eで包囲される面B1に相当する断面形状パターンが形成された時に、面状描画マスク2を、図5の(ii)に示す、面B1の横線b−fに相当する場所またはそれよりも多少離れた場所に位置させる。
続いて、図5の(iv)に示すように、面状描画マスク2をY2の方向に移動させる。その際に、予め設定されたプログラムにしたがって、f,e,d,cで包囲される面B2に光を照射すべく作動する各微小光シャッターを介してf,e,d,cで包囲される面B2に光が照射される。f,e,d,cで包囲される面B2おける横幅f−cおよびe−dは、目的とする寸法(100mm)から面状描画マスク2の最大幅(すなわち光硬化により既に形成された面B1の幅)(60μm×1024=61.44mm)を差し引いた寸法(38.56mm)に設定されているので、面状描画マスク2が面B2上をY2方向に移動する際は、面状描画マスク2の横方向に配列した1024個の微小光シャッターのうち、向って左側から643個の微小光シャッターが作動した状態で造形面に光照射が行われる(60μm×643=38580μm=38.58mm)。
これによって、設定どおりの、横×縦=100mm×50mmの光硬化した方形の断面形状パターンB(a,b,c,dで包囲される面部分)が形成される。
この場合に、面状描画マスクの全面作動状態での光の形状パターンの測定結果に基づいて光造形操作を調整・制御せずに、予め設定されている内容に従って図5の(i)〜(iv)と同じ工程を行った場合には、造形面に実際に形成される断面形状パターンのサイズは、図6の(1)に示すように、e’,e’’,f’,f’’で包囲される部分において面Ba(横×縦=62.46mm×50mm)と面Bb(横×縦=39.22mm×50mm)とが重なり合いながら面B’(横×縦=101.02mm×50mm)が形成される。該面B’は、目的とする断面形状パターンのサイズ(100mm×50mm)に比べて、横が1.02mmも大きくなっており、寸法精度が大幅に低下する。
この場合に、面状描画マスクの全面作動状態での光の形状パターンの測定結果に基づいて光造形操作を調整・制御せずに、予め設定されている内容に従って図5の(i)〜(iv)と同じ工程を行った場合には、造形面には、図7の(1)に示すように、横=59μm×1024ドット=60.42mm、縦=50mmのサイズの方形の断面形状パターンBa’と、横=59μm×643ドット=37.94mm、縦=50mmのサイズの方形の断面形状パターンBb’が、両者の間に間隙を有して個別に形成され、目的とする100mm×50mmの方形の断面形状パターンBが形成されない。
実際の光造形操作を行うに当たって、面状描画マスクの全面作動状態での造形面における光の形状パターンの寸法が、予め設定されている寸法と同じ場合には、図5を用いて説明したように、コンピューターに記憶されている情報に従ってそのまま光造形操作を行えばよい。
光源の形状、大きさ、数も特に制限されず、面状描画マスクの形状や寸法、形成しようとする光硬化断面形状パターンの形状や寸法などに応じて適宜選択することができ、光源は、例えば、点状、球状、棒状、面状であってもよいし、また点状や球状の光源を面状描画マスクの背部側に直接状に一列または複数列で配置してもよい。
また、造形速度の向上のために複数の光源を用いて集光し光エネルギーを高くさせる方式を採ってもよい。特に光ファイバーやライトガイドなどを使用する場合は複数光源を集光させ易いというメリットがある。
本発明では、光硬化性樹脂組成物として、光造形において従来から用いられている、例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、エステルアクリレートオリゴマー、多官能エポキシ樹脂などの各種オリゴマー;イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニロキシエチルメタクリレート、ジシクロペタニルアクリレート、ジシクロペタニルメタクリレート、ボルニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、モルホリンアクリルアミド、モルホリンメタクリルアミド、アクリルアミドなどのアクリル系化合物やN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、酢酸ビニル、スチレンなどの各種の単官能性ビニル化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ポリエステルジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートなど多官能性ビニル化合物;水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペートなどの各種エポキシ系化合物などの1種または2種以上と、光
合開始剤および必要に応じて増感剤などを含有する光硬化性樹脂組成物を用いることができる。
また、本発明で用いる光硬化性樹脂組成物は、上記した成分以外にも、必要に応じて、レベリング剤、リン酸エステル塩系界面活性剤以外の界面活性剤、有機高分子改質剤、有機可塑剤などを含有していてもよい。
充填材として用いる固体微粒子としては、例えば、カーボンブラック微粒子などの無機微粒子、ポリスチレン微粒子、ポリエチレン微粒子、ポリプロピレン微粒子、アクリル樹脂微粒子、合成ゴム微粒子などの有機重合体微粒子などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。固体微粒子の粒径は特に制限されないが、一般的には平均粒径が200μm以下、特に100μm以下のものが好ましく用いられる。
固体微粒子および/またはウィスカーは、シランカップリング剤で表面処理されていても表面処理されていなくてもよいが、表面処理されていることが好ましい。固体微粒子および/またはウイスカーがシランカップリング剤で表面処理されている場合には、熱変形温度、曲げ弾性率、機械的強度の一層高い光硬化物を得ることができる。その場合のシランカップリング剤としては、充填剤の表面処理などに従来から用いられているシランカップリング剤のいずれもが使用でき、好ましいシランカップリング剤としては、アミノシラン、エポキシシラン、ビニルシランおよび(メタ)アクリルシランを挙げることができる。
(1) 光源として超高圧水銀ランプ(岩崎電気株式会社製、120W)を備え、面状描画マスクとしてテキサスインスツルメンツ社製の「DLPテクノロジー」(登録商標)(DMD;画素数=1024ドット×768ドット)を備えた光学的立体造形装置を使用した。また、光硬化性樹脂組成物としてシーメット株式会社製「CPX−926」(硬化感度7mJ)を用いた。
(2) 前記した光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に対するDMDを構成する各デジタルマイクロミラーシャッターから照射される光(スポット状照射光)の造形面での寸法を60μmに設定して、光造形操作時のプログラムを作製した。
(3) 光造形操作の最初の段階で、DMDを構成するデジタルマイクロミラーシャッターのすべてが作動状態にある全面作動状態での造形面における光の形状パターンの寸法を、光学的立体造形装置の造形面の四隅に設置したCCDカメラ(株式会社キーエンス製の画像センサー)により測定したところ、60416μm×45312μmであり、この値から、DMDを構成する各デジタルマイクロミラーシャッターを経て造形面に照射された光(スポット状照射光)の実際の寸法は59μmであることが算出された。
(4) 上記(3)で求められたDMDを構成する各デジタルマイクロミラーシャッターを経て造形面に照射された光(スポット状照射光)の実際の寸法59μmに基づいて、コンピューターに予め記憶させた光造形操作時のプログラムを調整して、その調整したプログラムに従って、図7の(2)に示した手順で光造形操作を行なって直方体状の立体造形物を製造した。
これにより得られた立体造形物は、表面にスジ、段差、凹凸などがなく外観にも優れ、しかも硬化ムラがなく力学的特性にも優れていた。
(1) 実施例1において、DMDを構成するデジタルマイクロミラーシャッターのすべてが作動状態にある全面作動状態での造形面における光の形状パターンの寸法の測定および前記寸法の測定結果に基づく光造形操作時のプログラムの調整を行なわなかった以外は実施例1と同様にして光学的立体造形を行なって、直方体状の立体造形物を製造した。
(2) その結果得られた立体造形物の寸法は、縦×横×高さ=49.8mm×98.8mm×50.2mmであり、設計上の寸法に対する寸法誤差は1.2%と大きく、設計どおりの立体造形物を製造することができなかった。
しかも、この比較例1で得られた立体造形物は、表面にスジ、段差、凹凸などがあり、外観に劣り、しかも硬化ムラにより力学的特性にも劣っていた。
本発明の光学的立体造形方法および装置は、小型から大型に至る各種立体造形物の製造に有効に使用することができる。
本発明の光学的立体造形方法および装置による場合は、精密部品、電気・電子部品、家具、建築構造物、自動車用部品、各種容器類、鋳物、金型、母型などのためのモデルや加工用モデル、複雑な熱媒回路の設計用の部品、複雑な構造の熱媒挙動の解析企画用の部品、その他の複雑な形状や構造を有する各種の立体造形物を、高い造形速度および寸法精度で円滑に製造することができる。
2 面状描画マスク
Claims (10)
- 光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に、複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスクを経て制御下に所定の形状パターンの光を照射して、所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を形成した後、該光硬化した樹脂層の上に1層分の光硬化性樹脂組成物を施して造形面を形成し、該造形面に面状描画マスクを経て制御下に所定の形状パターンの光を照射して所定の断面形状パターンを有する光硬化した樹脂層を更に形成する光造形操作を所定の立体造形物が形成されるまで順次繰り返すことによって立体造形物を製造する方法であって、立体造形物を製造するための実際の光造形操作の前に、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターが光源からの光を造形面へと導くべく作動した作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定し、その測定値を、面状描画マスクを構成する前記複数の微小光シャッターの作動時の造形面での光照射パターンの設定寸法と対照し、その対照結果に基づいて、設計どおりの寸法を有する立体造形物を得るべく、立体造形物を製造するための実際の光造形操作を調整・制御して立体造形物を製造することを特徴とする光学的立体造形方法。
- 面状描画マスクの前記した作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定し、その測定値を、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターの作動時の造形面での光照射パターンの当初の設定値と対照し、当該対照結果に基づいて、設計どおりの寸法を有する立体造形物を得るべく、立体造形物を製造するための実際の光造形操作時に造形面に照射される光の形状パターンおよび造形面に対する光照射装置の移動形態のいずれか一方または両方を調整・制御する請求項1に記載の光学的立体造形方法。
- 造形面に照射される光の形状パターンの調整・制御を、面状描画マスクを構成する各微小光シャッターの作動の調整・制御により行なう請求項2に記載の光学的立体造形方法。
- 造形面に対する光照射装置の移動形態の調整・制御を、造形面に対する光照射装置の移動位置、移動距離および移動速度の少なくとも1つの調整・制御により行なう請求項2または3に記載の光学的立体造形方法。
- 面状描画マスクが、複数の微小液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクである請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学的立体造形方法。
- 光造形操作時に、造形面に対して光照射装置を連続的に移動させると共に、面状描画マスクのマスク画像を、光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に形成しようとする光硬化した樹脂層の断面形状パターンに対応させて、光照射装置の連読移動に同期させて連続的に変えながら造形面への光照射を行なう請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学的立体造形方法。
- (A) 載置台上または光硬化した樹脂層上に、1層分の光硬化性樹脂組成物を順次供給して造形面を形成する造形面形成手段;
(B) 光源;
(C) 複数の微小光シャッターを面状に配置した面状描画マスク;
(D) 面状描画マスクを経て所定の形状パターンの光を光硬化性樹脂組成物よりなる造形面に照射する光照射手段;
(E) 立体造形物を製造するための実際の光造形操作の前に、面状描画マスクを構成する複数の微小光シャッターが光源からの光を造形面へと導くべく作動した作動状態での造形面における光照射パターンの寸法を測定する測定手段;
(F) 前記(E)の測定手段による測定値を、面状描画マスクを構成する前記複数の微小光シャッターの作動時の造形面での光照射パターンの設定寸法と対照する対照手段;および、
(G) 前記(F)の手段による対照結果に基づいて、設計どおりの立体造形物を得るべく、立体造形物を製造するための実際の光造形操作時に、光造形操作を調整・制御する手段;
を備えていることを特徴とする光学的立体造形装置。 - 前記(F)の対照手段による対照結果に基づいて、立体造形物を製造するための実際の光造形操作時に、造形面に照射される光の形状パターおよび造形面に対する光照射装置の移動形態のいずれか一方または両方を調整・制御する手段を備える請求項7に記載の光学的立体造形装置。
- 面状描画マスクが、複数の微小液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターを面状に配置した面状描画マスクである請求項7または8に記載の光学的立体造形装置。
- 造形面に対して光照射装置を連続的に移動させる手段、および面状描画マスクのマスク画像を造形面に形成しようとする光硬化した樹脂層の断面形状パターンに対応させて光照射装置の連続移動に同期させて連続的に変化させる手段を更に有している請求項7〜9のいずれか1項に記載の光学的立体造形装置。
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