JP2001205708A - 光学的立体造形方法および装置 - Google Patents

光学的立体造形方法および装置

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JP2001205708A
JP2001205708A JP2000018613A JP2000018613A JP2001205708A JP 2001205708 A JP2001205708 A JP 2001205708A JP 2000018613 A JP2000018613 A JP 2000018613A JP 2000018613 A JP2000018613 A JP 2000018613A JP 2001205708 A JP2001205708 A JP 2001205708A
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plate
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transmitting sheet
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Takakuni Ueno
高邦 上野
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Teijin Seiki Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 平坦な表面を有し、寸法精度、力学的特性等
に優れる立体造形物を光硬化性樹脂の少ない使用量で且
つ良好なエネルギー効率及び高い光造形速度で製造する
光学的立体造形方法及び装置の提供。 【解決手段】 (i)(a)光透過性シート又はプレート
の表面に光硬化性樹脂を塗布して光硬化性樹脂層を形成
し、(b)該光硬化性樹脂層を造形テーブル上に載置し、
(c)光透過性シート又はプレートを透して光を照射して
光硬化性樹脂層を硬化させて光硬化した樹脂層を形成し
た後、(d)光透過性シート又はプレートを光硬化した樹
脂層から剥離する工程;及び(ii)(a)光透過性シート
又はプレートの表面に光硬化性樹脂を塗布して光硬化性
樹脂層を形成し、(b)該光硬化性樹脂層を工程(i)で形
成した光硬化した樹脂層上に重ね、(c)光透過性シート
又はプレートを透して光を照射して光硬化した樹脂層を
形成した後、(d)光透過性シート又はプレートを光硬化
した樹脂層から剥離する工程を有し、所定の形状及び寸
法の立体造形物が形成されるまで前記工程(ii)を繰り返
し行って立体造形物を製造する方法及び装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光硬化性樹脂を用い
る光学的立体造形方法および光学的立体造形装置に関す
る。より詳細には、本発明は光硬化性樹脂を用いて、平
坦な表面を有し、寸法精度に優れ、しかも立体造形物全
体にわたって均一な組成を有するか又は所望の組成を有
する商品価値の高い立体造形物を、光硬化性樹脂の極め
て少ない使用量で、厚さの均一な光硬化性樹脂の層を順
次形成しながら、光硬化性樹脂の劣化を防止しつつ、良
好なエネルギー効率、高い光造形速度で製造するための
光学的立体造形方法および光学的立体造形装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、三次元CADに入力されたデータ
に基づいて光硬化性樹脂を硬化させて立体造形物を製造
する光学造形方法および装置が実用化されている。この
光造形技術は、設計の途中で外観デザインを検証するた
めのモデル、部品の機能性をチェックするためのモデ
ル、鋳型を製作するための樹脂型、金型を製作するため
のベースモデルなどのような複雑な三次元物体を容易に
造形できることから注目を集めている。
【0003】光学造形方法によって造形物を製造するに
当たっては、従来、造形浴を用いる方法が汎用されてお
り、その手順としては、造形浴に液状の光硬化性樹脂を
入れ、液面に所望のパターンが得られるようにコンピュ
ーターで制御された紫外線レーザーなどの光を選択的に
照射して所定の厚みに光硬化させて硬化樹脂層を形成
し、その硬化樹脂層を造形浴内で下方に移動させて造形
浴内の光硬化性樹脂を該硬化樹脂層上に流動させて光硬
化性樹脂の層を形成させ、その光硬化性樹脂層に光を照
射して硬化樹脂層を形成し、前記の工程を所定の形状お
よび寸法の立体造形物が得られるまで繰り返して行う方
法が広く採用されている。
【0004】しかしながら、造形浴を用いる上記した従
来法による場合は、造形物の形成に直接関与する光硬化
性樹脂に比べて多量の光硬化性樹脂を造形浴中に満たし
た状態で上記した一連の工程によって光造形操作を行う
ため、高価な光硬化性樹脂を多量に用いる必要があり、
コストの上昇を招いている。しかも、造形浴に貯留して
ある光硬化性樹脂が大気中の湿分や酸素、光造形操作の
間の熱などによって劣化して、光硬化性能の低下や得ら
れる造形物の物性の低下などが生じ易い。
【0005】さらに、造形浴を用いる上記した従来法に
よる場合は、光硬化性樹脂の表面張力によって、造形浴
内に貯溜された光硬化性樹脂の液面が盛り上がったり、
また前段階で形成された硬化樹脂層上に流動させて積層
した光硬化性樹脂の層の表面が盛り上がって、光硬化さ
せる光硬化性樹脂の液面が平坦になっていないことが多
い。その結果、得られる立体造形物の上部が、例えば、
図1の(a)および(b)に示すように丸くなってい
て、平坦状になっておらず、寸法精度に劣ったものにな
り易い。この表面張力による寸法精度の低下の問題を回
避するためには、表面張力の低い光硬化性樹脂を選択す
ることも考えられるが、使用する光硬化性樹脂の種類が
限られることになり、各々の用途や使用目的に合致した
特性(力学的特性、物理的特性、化学的特性など)を有
する光学的立体造形物が得られないという欠点がある。
【0006】しかも、造形浴内の光硬化性樹脂の液面位
は樹脂温度によって変化するため、液面位を一定に保ち
にくく、液面位の変化は得られる立体造形物の寸法精度
の低下をもたらす。造形浴内の光硬化性樹脂の液面位を
一定に保つ方法としては、センサーによって液面を常に
検知し、その検知結果に応じて、造形浴内に配置したカ
ウンターボリュームを上下させる方法などが知られてい
るが、装置的に高価であり、コスト面で不利である。
【0007】また、固体微粒子やウィスカーなどの充填
材を含有する液状の光硬化性樹脂組成物を用いて光学的
立体造形を製造すると、耐熱性、寸法安定性、力学的特
性などに一層優れる光学的立体造形物が得られることが
知られている。しかしながら、造形浴を用いる従来法で
は、光硬化性樹脂組成物に添加した充填材は、光硬化性
樹脂よりも一般に比重が高いために沈降し易い。その結
果、造形浴内の光硬化性樹脂中に充填材が均一に分散し
ておらず、造形浴の液面およびその近傍と下方とでは光
硬化性樹脂中に存在する充填材量が異なったものとなり
易く、造形浴中の光硬化性樹脂を光硬化樹脂層の上に順
次流動させながら造形を行って得られる立体造形物で
は、充填材が均一に分散しておらず、斑や分布が生じ易
く、物性の低下の原因となる。
【0008】さらに、光学的立体造形では、光硬化性樹
脂としてアクリレート系光硬化性樹脂が多く用いられて
いるが、アクリレート系光硬化性樹脂は、大気中の酸素
により硬化阻害を起こすことがあるため、アクリレート
系光硬化性樹脂を十分に硬化させるためには照射エネル
ギーを多くする必要があり、エネルギー効率の低下を招
き易く、かかる硬化阻害の問題は、造形浴中に貯留した
光硬化性樹脂の表面を大気中に露出させた状態で光照射
を行う上記した従来の造形浴法で生じ易い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、造形
浴を用いる従来汎用の光学的立体造形技術における上記
したような欠点の生じない光学的立体造形方法および光
学的立体造形装置を提供することである。具体的には、
本発明の目的は、造形浴を用いる従来法に比べて大幅に
低減された光硬化性樹脂の使用量で、樹脂の劣化を防止
しながら、所定の形状および寸法を有する立体造形物
を、高い寸法精度で、且つ速い造形速度および良好なエ
ネルギー効率で製造することのできる光学的立体造形方
法および装置を提供することである。そして、本発明の
目的は、造形浴を用いる従来法におけるような光硬化性
樹脂の表面張力に伴う光学的立体造形物表面での寸法精
度の低下(非平坦状態)の問題がなく、さらに高価なカ
ウンターボリュームを使用しての液面位の一定化の必要
がなく、しかも表面張力の低い光硬化性樹脂を特に選択
して使用する必要がなく、それぞれの用途や目的に合致
した光硬化性樹脂を自由に選択して使用しながら、表面
が平坦で、寸法精度に優れる立体造形物を製造すること
のできる光学的立体造形方法および装置を提供すること
である。
【0010】さらに、本発明の目的は、固体微粒子やウ
ィスカーなどの充填材を含有する光硬化性樹脂組成物を
用いた場合にも、充填材が均一に分散した立体造形物ま
たは立体造形物の所望の箇所のみに充填材を選択的に分
散含有させた立体造形物を、簡単に且つ円滑に製造する
ことのできる光学的立体造形方法および装置を提供する
ことである。更に、本発明の目的は、大気中の酸素によ
るアクリレート系光硬化性樹脂の硬化阻害の問題を生ず
ることなく、所定の形状および寸法を有する立体造形物
を、高い寸法精度で、且つ速い光造形速度および良好な
エネルギー効率で製造することのできる光学的立体造形
方法および光学的立体造形装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者は鋭意検討を重ねてきた。その結果、造形浴を
用いる上記した従来の光学的立体造形法に代えて、気体
雰囲気中にテーブルを配置し、そのテーブル面に塗布し
た光硬化性樹脂表面を光透過性の平坦化部材で平坦化し
ながら光造形を行うと、上記した種々の目的を達成でき
ることを見出して先に出願した(特願平11−2285
70号)。そして、上記特願平11−228570号の
発明を踏まえてさらに検討を重ねた結果、該特願平11
−228570号の発明において、光硬化性樹脂をテー
ブル面または既に光硬化した樹脂層に直接塗布していた
のを、光硬化性樹脂を光透過性のシートまたはプレート
の表面に塗布して該シートまたはプレートの表面に光硬
化性樹脂層を形成し、その光硬化性樹脂層を、造形テー
ブル上に載置し、また既に形成した光硬化した樹脂層の
上に重ねて、光透過性のシートまたはプレートと造形テ
ーブルまたは光硬化した樹脂層で該光硬化性樹脂層を挟
んだ状態で光硬化させると、上記特願平11−2285
70号の発明で奏される効果に加えて、均一な厚さを有
する光硬化性樹脂層を一層速い塗工速度で形成できるこ
とを見出した。
【0012】より具体的には、光透過性のシートまたは
プレートの表面に光硬化性樹脂を塗布して光硬化性樹脂
層を形成し、該光硬化性樹脂層を造形テーブル上に載置
し、光透過性のシートまたはプレートを透して光を照射
して光硬化した樹脂層を形成し、光透過性のシートまた
はプレートを光硬化した樹脂層から剥離した後に、該光
硬化した樹脂層の上に光透過性のシートまたはプレート
の表面に塗布した光硬化性樹脂を重ねて光硬化するとい
う工程を繰り返すという光造形技術によって、均一な厚
さを有する光硬化性樹脂層をより速やかに形成すること
ができて、平坦な表面を有していて寸法精度に優れる立
体造形物をより速い造形速度および良好なエネルギー効
率で製造できることを見出した。
【0013】特に、製造しようとする光造形物が、例え
ば図2に示すように、光造形時のZ軸方向に高さの異な
る部分を有するものである場合には、既に光硬化した樹
脂層L上に光硬化性樹脂を塗布して光硬化性樹脂層2a
を形成する際に、既に形成されている光硬化した樹脂層
Lでは光硬化した部分Laと光硬化していない部分Lb
が存在しているため、光硬化した樹脂層Lの表面状態が
均一でない。そのため、光硬化した樹脂層Lの表面の塗
工性が光硬化した部分Laと光硬化していない部分Lb
とで異なっており、光硬化した樹脂層Lの上に光硬化性
樹脂層2aを直接形成する際にその塗工作業を高速で行
うと塗り斑を生ずることがあり、厚さの均一な光硬化性
樹脂層2aを形成するためには塗工作業の高速化に制限
がある場合がある。それに対して、光硬化性樹脂を光硬
化した樹脂層Lの上に直接塗布せずに、光透過性のシー
トまたはプレートの表面に塗布する場合は、高速で塗布
しても光透過性のシートまたはプレートの表面に均一な
光硬化性樹脂層を形成でき、光透過性のシートまたはプ
レートの表面に形成された厚さの均一な光硬化性樹脂層
を既に形成されている光硬化した樹脂層Lに重ねること
によって、光硬化した樹脂層Lの上に厚さの均一な光硬
化性樹脂層を速い製膜速度で形成できる。
【0014】そして、本発明者の見出した光透過性のシ
ートまたはプレートの表面に光硬化性樹脂を塗布するこ
の技術は、前記した速い製膜速度と併せて、さらに、・
造形浴を用いる従来法に比べて光硬化性樹脂の使用量が
極めて少量で済み、新鮮な光硬化性樹脂を常に用いなが
ら樹脂の劣化を生ずることなく立体造形物を製造でき
る;・固体微粒子やウィスカーなどの充填材を光硬化性
樹脂中に含有させた場合には光硬化性樹脂を撹拌状態に
保って充填材の沈降や不均一分散を防止しながら、充填
材を含有する光硬化性樹脂を光透過性のシートまたはプ
レートの表面に塗布することができるために、充填材が
立体造形物全体に均一に分散されていて、寸法精度がよ
り高く且つ耐熱性や力学的特性、その他の物性において
も一層優れる立体造形物が得られる;・立体造形物の特
定箇所(例えば特に補強を要する箇所)の造形に用いる
光硬化性樹脂のみに充填材を含有させておくことによ
り、立体造形物の該特定箇所のみに充填材を含有配置し
た立体造形物を簡単に製造できる;・光硬化性樹脂層を
光透過性のシートまたはプレートで覆った状態で光硬化
を行うために、大気中の湿分や酸素との接触が断たれ
て、光硬化性樹脂が酸化され易いアクリレート系光硬化
性樹脂であっても酸素による硬化阻害の問題を生ずるこ
となく、また大気中の湿分による光硬化性樹脂の劣化を
生ずることなく、所定の形状および寸法を有する立体造
形物を、高い寸法精度で製造できる;という種々の優れ
た効果を有する。
【0015】また、本発明者は、その光学的立体造形で
は、光透過性のシートまたはプレートの表面への光硬化
性樹脂の塗布はブレード塗装、流延塗装、ローラー塗
装、転写塗装、ハケ塗りなどのいずれの塗装方式で行っ
てもよいこと、光透過性のシートまたはプレートの表面
に塗布した光硬化性樹脂層を造形テーブルまたは既に形
成した光硬化した樹脂層に重ねる際におよび/または光
硬化性樹脂層の光硬化時に、光透過性のシートまたはプ
レートの背面側から押圧力をかけたり該シートまたはプ
レートを緊張した状態で展張することによって光硬化性
樹脂層の平坦化を積極的に行うのが望ましいこと、光硬
化した樹脂層からの光透過性のシートまたはプレートの
剥離は光硬化樹脂層の一端または両端から徐々に行うの
がよいことを見出した。
【0016】また、本発明者は、上記した光学的立体造
形の実施に当たって、ローラにより移送される長尺の光
透過性シートを用い、光硬化性樹脂を該ローラ上で該光
透過性シートの表面に塗布し、光硬化性樹脂の塗布と同
時にまたは追随させて該ローラおよび塗装手段を徐々に
移動させて光透過性シート表面に形成した光硬化性樹脂
層を造形テーブルまたは既に形成した光硬化した樹脂層
上に重ねるようにする方法および装置が生産性などの点
から好ましいことを見出し、それらの種々の知見に基づ
いて本発明を完成した。
【0017】したがって、本発明は、 (1)(i)(a)光透過性のシートまたはプレートの
表面に光硬化性樹脂を塗布して光硬化性樹脂層を形成
し、(b)該光硬化性樹脂層を、造形テーブル上に、該
造形テーブルと光透過性のシートまたはプレートで光硬
化性樹脂層を挟んだ状態で載置し、(c)光透過性のシ
ートまたはプレートを透して光を照射して光硬化性樹脂
層を予め設計された所定のパターンで光硬化させて光硬
化した樹脂層を形成した後、(d)光透過性のシートま
たはプレートを光硬化した樹脂層から剥離する工程;お
よび、(ii)(a)光透過性のシートまたはプレートの
表面に光硬化性樹脂を塗布して光硬化性樹脂層を形成
し、(b)該光硬化性樹脂層を前記工程(i)で形成し
た光硬化した樹脂層上に重ね、(c)光硬化性樹脂層を
光硬化した樹脂層と光透過性のシートまたはプレートで
挟んだ状態で、光透過性のシートまたはプレートを透し
て光を照射して光硬化性樹脂層を予め設計された所定の
パターンで光硬化させて光硬化した樹脂層を形成した
後、(d)光透過性のシートまたはプレートを光硬化し
た樹脂層から剥離する工程;を有し、以後、所定の形状
および寸法を有する立体造形物が形成されるまで前記の
工程(ii)を繰り返し行って立体造形物を製造すること
を特徴とする光学的立体造形方法である。
【0018】そして、本発明は、 (2) 光透過性のシートまたはプレートの表面への光
硬化性樹脂の塗布を、ブレード塗装、流延塗装、ローラ
ー塗装、転写塗装またはハケ塗りにより行う前記した
(1)の光学的立体造形方法; (3) 工程(i)の(b)における光硬化性樹脂層の
造形テーブル上への載置時および/または工程(i)の
(c)における光照射時並びに工程(ii)の(b)にお
ける光硬化性樹脂層の光硬化した樹脂層への重ね時およ
び/または工程(ii)の(c)における光照射時に、光
透過性のシートまたはプレートと造形テーブルに挟まれ
た光硬化性樹脂層、および光透過性のシートまたはプレ
ートと光硬化した樹脂層に挟まれた光硬化性樹脂層の平
坦化を行う前記した(1)または(2)の光学的立体造形方
法; (4) 光硬化性樹脂層の前記平坦化を、光透過性のシ
ートまたはプレートの背面側から押圧力をかけて行う
か、光透過性のシートまたはプレートを緊張した状態で
展張することにより行うか、光透過性のシートまたはプ
レートの自重により行うか、或いは前記した手段の2つ
以上を併用して行う前記した(3)の光学的立体造形方
法;および、 (5) 工程(i)の(d)および工程(ii)の(d)
における光硬化した樹脂層からの光透過性のシートまた
はプレートの剥離を、光硬化した樹脂層の一端または両
端から光透過性のシートまたはプレートを徐々に剥離す
ることにより行う前記した(1)〜(4)のいずれかの
光学的立体造形方法;を包含する。
【0019】さらに、本発明は、(6) 工程(i)お
よび工程(ii)において、ローラにより移送される長尺
の光透過性シートの表面に、光硬化性樹脂をローラ上で
塗装手段により塗布して光硬化性樹脂層を形成させ、該
光硬化性樹脂層の形成と同時にまたは追随させて該ロー
ラおよび光硬化性樹脂の塗装手段を造形テーブルの一方
の端部側(S1)からそれと対向するもう一方の端部側
(S2)へと徐々に移動させて、工程(i)では光硬化
性樹脂層を造形テーブル上に前記一方の端部側(S1)
から前記もう一方の端部側(S2)へと徐々に載置し、
また工程(ii)では光硬化性樹脂層を既に形成されてい
る光硬化した樹脂層の上に前記一方の端部側(S1)か
ら前記もう一方の端部側(S2)へと徐々に重ねた後、
工程(i)では光硬化性樹脂層を光透過性シートと造形
テーブルで挟んだ状態で、また工程(ii)では光硬化性
樹脂層を光透過性シートと光硬化した樹脂層で挟んだ状
態で、光透過性シートを透して光を照射して光硬化性樹
脂層を予め設計された所定のパターンで光硬化させて光
硬化した樹脂層を形成し、次いで前記ローラおよび光硬
化性樹脂の塗装手段を該もう一方の端部側(S2)から
該一方の端部側(S1)へと光硬化性樹脂の非塗布状態
で徐々に移動させると共に光硬化した樹脂層上に接触配
置してなる光透過性フィルムを該もう一方の端部側(S
2)から一方の端部側(S1)へと剥離することからなる
前記した(1)〜(5)のいずれかの光学的立体造形方
法;を包含する。
【0020】また、本発明は、(7) 光透過性のシー
トまたはプレートとして、短尺のものを使用する前記し
た(1)〜(5)のいずれかの光学的立体造形方法; (8) 光硬化性樹脂が充填材を含有する液状の光硬化
性樹脂組成物である前記した(1)〜(7)のいずれか
の光学的立体造形方法; (9) 充填材が固体微粒子および/またはウィスカー
である前記した(8)の光学的立体造形方法;および、
(10) 光硬化性樹脂層の形成に用いる光硬化性樹脂
を貯留容器内で撹拌する前記した(1)〜(9)のいず
れかの光学的立体造形方法;を包含する。
【0021】さらに、本発明は、(11) 造形テーブ
ル(A);光透過性のシートまたはプレート(B);光
透過性のシートまたはプレート(B)の表面に光硬化性
樹脂を塗布するための塗装手段(C);光透過性のシー
トまたはプレート(B)の表面に塗布された光硬化性樹
脂層を造形テーブル(A)の上、または既に形成されて
いる光硬化した樹脂層の上に載置する手段(D);光透
過性のシートまたはプレートの外方に配置した光照射手
段(E);光硬化した樹脂層から光透過性のシートまた
はプレートを剥離するための剥離手段(F);及び、所
定の形状および寸法を有する立体造形物が形成されるま
で前記(A)〜(F)を順次作動させるための制御装置
(G);を有することを特徴とする光学的立体造形装置
である。
【0022】そして、本発明は、(12) 光硬化性樹
脂の塗装手段(C)が、ブレード塗装装置、流延塗装装
置、ローラー塗装装置、転写塗装装置またはハケ塗り装
置である前記した(11)の光学的立体造形装置; (13) 光透過性のシートまたはプレートと造形テー
ブルに挟まれた光硬化性樹脂層、および光透過性のシー
トまたはプレートと光硬化した樹脂層に挟まれた光硬化
性樹脂層の平坦化手段を有する前記した(11)または
(12)の光学的立体造形装置; (14) 光透過性のシート(B)がローラにより移送
される長尺の光透過性シートであり;光硬化性樹脂の塗
装手段(C)が該ローラ上で光透過性のシートの表面に
光硬化性樹脂を塗布する塗装手段であり、前記塗装手段
およびローラを造形テーブルの一方の端部側(S1)か
らそれと対向するもう一方の端部側(S2)へと移動さ
せ且つ該もう一方の端部側(S2)から該一方の端部側
(S2)へと移動させるための手段を有している前記し
た(11)〜(13)のいずれかの光学的立体造形装
置; (15) 光透過性シートの背面側に光透過性の押圧板
を更に有する前記(14)の光学的立体造形装置;およ
び、 (16) 撹拌手段を有する光硬化性樹脂の貯留容器を
備えている前記(11)〜(15)のいずれかの光学的
立体造形装置;を包含する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。上記したように、本発明では、まず、(a)光透
過性のシートまたはプレートの表面に光硬化性樹脂を塗
布して光硬化性樹脂層を形成し、(b)該光硬化性樹脂
層を、造形テーブル上に、該造形テーブルと光透過性の
シートまたはプレートで光硬化性樹脂層を挟んだ状態で
載置し、(c)光透過性のシートまたはプレートを透し
て光を照射して光硬化性樹脂層を予め設計された所定の
パターンで光硬化させて光硬化した樹脂層を形成した
後、(d)光透過性のシートまたはプレートを光硬化し
た樹脂層から剥離する[工程(i)]。次いで、(a)
光透過性のシートまたはプレートの表面に光硬化性樹脂
を塗布して光硬化性樹脂層を形成し、(b)該光硬化性
樹脂層を前記工程(i)で形成した光硬化した樹脂層上
に重ね、(c)光硬化性樹脂層を光硬化した樹脂層と光
透過性のシートまたはプレートで挟んだ状態で、光透過
性のシートまたはプレートを透して光を照射して光硬化
性樹脂層を予め設計された所定のパターンで光硬化させ
て光硬化した樹脂層を形成した後、(d)光透過性のシ
ートまたはプレートを光硬化した樹脂層から剥離する
[工程(ii)]。そして、所定の形状および寸法を有す
る立体造形物が形成されるまで前記の工程(ii)を繰り
返し行って立体造形物を製造する。
【0024】何ら限定されるものではないが、本発明の
光学的立体造形方法および装置の代表例の概略を図に示
すと、図3および図4を挙げることができる。図3は光
硬化性樹脂を長尺の光透過性のシートの表面に塗布して
立体造形物を製造する場合の例であり、図4は光硬化性
樹脂を光透過性のプレートの表面に塗布して立体造形物
を製造する場合の例である。図3および図4において、
1は光硬化性樹脂の貯留容器、2は光硬化性樹脂、2a
は光硬化性樹脂層、3はブレード、4は造形テーブル、
5aおよび5bはローラ、6aは光透過性のシート、6
bは光透過性のプレート、7は光源、L1,L2は光硬化
した樹脂層を示す。
【0025】図3のものでは、まず、ローラ5aおよび
5bによって移送される光透過性のシート6aの表面
に、光硬化性樹脂の貯留容器1およびブレード3により
構成される塗装装置によって、ローラ5a,5bおよび
該塗装装置を移動(図の向かって左側に移動)させなが
ら光硬化性樹脂2をローラ5a上で光透過性シート6a
の表面に塗布して光硬化性樹脂層2aを形成し、該塗布
操作に追随して光透過性のシート6aの表面に形成した
光硬化性樹脂層2aを造形テーブル4の上に載置する
[図3の(a)]。そして、造形テーブル4の表面に所
定の寸法(所定の長さ、幅および厚さ)の光硬化性樹脂
層2aが形成された時点で、ローラ5a,5bおよび塗
装装置の移動を停止して、光透過性のシート6aと造形
テーブル4で光硬化性樹脂層2aを挟んだ状態で光源7
から所定の寸法およびパターンで光硬化性樹脂層2aに
光を照射して光硬化した樹脂層L1を形成する[図3の
(b)]。
【0026】次いで、ローラ5a,5bおよび塗装装置
を前記と反対の方向に移動(図の向かって右側に移動)
させて光透過性のシート6aを光硬化した樹脂層L1
ら剥離する[図3の(c)および(d)]。光透過性の
シート6aが光硬化した樹脂層L1から完全に剥離した
時点[図3の(d)]で、光透過性のシート6aの表面
に、ローラ5a,5bおよび該塗装装置を移動(図の向
かって左側に移動)させながら光硬化性樹脂2をローラ
5a上で塗布して光硬化性樹脂層2aを形成すると共
に、光透過性のシート6aの表面に形成した光硬化性樹
脂層2aを既に形成されている光硬化した樹脂層L1
上に重ねる[図3の(e)]。そして、光硬化した樹脂
層L1の表面に所定の寸法の光硬化性樹脂層2aが形成
された時点でローラ5a,5bおよび塗装装置の移動を
停止して、光透過性のシート6aと光硬化した樹脂層L
1で光硬化性樹脂層2aを挟んだ状態で光源7から所定
の寸法およびパターンで光硬化性樹脂層2aに光を照射
して光硬化した樹脂層L2を形成する[図3の
(f)]。以後、所定の寸法および形状を有する立体造
形物が得られるまで同様の操作を繰り返す。
【0027】図4のものでは、適当な塗装手段(図示せ
ず)によって光透過性のプレート6bの表面に、光硬化
性樹脂の貯留容器1から光硬化性樹脂2を塗布して光硬
化性樹脂層2aを形成し[図4の(a)]、次いで光透
過性のプレート6bの表面に形成した光硬化性樹脂層2
aを造形テーブル4の上に載置した後、光透過性のプレ
ート6bと造形テーブル4で光硬化性樹脂層2aを挟ん
だ状態で光源7から所定の寸法およびパターンで光硬化
性樹脂層2aに光を照射して光硬化した樹脂層L1を形
成する[図4の(b)]。次に、光透過性のプレート6
bを光硬化した樹脂層L1から剥離し[図4の
(c)]、光透過性のプレート6bの表面に光硬化性樹
脂2を再度塗布し[図4の(d)]、光透過性のプレー
ト6bの表面に形成した光硬化性樹脂層2aを既に形成
した光硬化した樹脂層L1の上に重ねた後、光硬化性樹
脂層2aを光透過性のプレート6bと光硬化した樹脂層
1で挟んだ状態で光源7から所定の寸法およびパター
ンで光硬化性樹脂層2aに光を照射して光硬化した樹脂
層L2を形成する[図4の(e)]。以後、同様の操作
を繰り返すことによって、所定の寸法および形状を有す
る立体造形物が得られる。
【0028】図3および図4では、造形テーブルを水平
に配置した場合について説明したが、場合によっては、
造形テーブルはその造形面が垂直または斜めになるよう
にして配置して光造形を行ってもよい。造形テーブル
は、上下動(造形テーブルを水平に配置した場合)また
は前進後退(造形テーブルを垂直または斜めに配置した
場合)が可能であっても可能でなくてもよい。造形テー
ブルが上下動または前進後退が可能な場合は、光硬化性
樹脂の塗装手段の位置を一定にしておくことができ、ま
た造形テーブルが上下動または前進後退が可能でない場
合は、光硬化性樹脂の塗装手段を上下動または前進後退
が可能であるようにしておくのがよい。一般的には、造
形テーブルを上下動または前進後退が可能にし、光硬化
性樹脂の塗装手段の高さ位置または横方向位置を一定に
しておいて、造形テーブルの上に光硬化した樹脂層が順
次積層形成されるにしたがって、造形テーブルを下降ま
たは後退させながら光造形を行うのが、光造形操作およ
び光造形装置を簡略化できるので好ましい。
【0029】上記した本発明の光造形は、造形浴を用い
ずに、造形テーブルを空気(大気)や不活性ガスなどの
気体雰囲気中に配置して行うことができる。そのため、
光硬化性樹脂の貯留容器を小容積とし、その小容積の貯
留容器に、1個または目的個数の立体造形物に相当する
少量の光硬化性樹脂を貯留して光学的立体造形を行うこ
とができ、使用する光硬化性樹脂量の低減と共に装置の
小型化を図ることができる。また、造形浴を用いる従来
技術とは異なり、貯留容器は光造形部とは別体であるた
め、貯留容器内の光硬化性樹脂を撹拌しても光造形に直
接影響を及ぼすことがないので、貯留容器内に撹拌手段
を設けて光硬化性樹脂を撹拌して光硬化性樹脂の均質化
を図ることができる。特に、後述のように、光硬化性樹
脂が充填材などを含有する場合は、貯留容器内の光硬化
性樹脂を撹拌して光硬化性樹脂組成を均質化し、その均
質化した光硬化性樹脂を用いて光造形を行うことができ
る。造形テーブルを配置する気体雰囲気の種類は、使用
する光硬化性樹脂の種類、酸素などとの反応性などに応
じて、空気または不活性ガスのいずれかを選択して行う
ようにするのがよい。気体雰囲気は、常圧、減圧または
加圧状態のいずれであってもよい。
【0030】本発明に光造形で用いる光透過性のシート
またはプレートの種類は特に制限されず、光透過性で且
つ平坦な表面を有するシートまたはプレートであればい
ずれも使用可能である。光透過性のシートまたはプレー
トの材質は特に制限されず、光透過性で光造形時に破損
しないものであればいずれでもよく、例えば、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレ
ン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリカーボ
ネート、トリアセテート、アクリル樹脂、ポリアセタア
ール、セルロイドなどのプラスチック、ガラスなどを挙
げることができ、光透過性のプラスチックであることが
好ましい。光透過性のシートとしては、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコー
ル、ポリエステルなどのシート形成性に優れるプラスチ
ックからなるものが好ましく用いられる。また、光透過
性のプレートとしては、撓み性に優れる光透過性プレー
トが光硬化した樹脂層からの剥離が容易であることから
好ましく用いられ、かかる点から、特にアクリル樹脂、
ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポ
リスチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、セルロ
イドなどからなる光透過性のプレートが好ましい。
【0031】光透過性のシートまたはプレートの長さは
特に制限されず、光学的立体造形を行う際の操作に応じ
て、連続した長尺体または所定の長さに裁断したものと
することができる。また、光透過性のシートまたはプレ
ートの幅も、製造する立体造形物の平面寸法などに応じ
て決めることができ特に制限されない。但し、光造形に
より形成される硬化樹脂層の全体を平面的に覆うことの
できる長さおよび幅を有することが必要である。また、
光透過性のシートまたはプレートの厚さは特に制限され
ず、光造形時や硬化樹脂層からの剥離時に破損しない強
度を有するものであればよい。そのうちでも、長尺の光
透過性のシートを用いて、図3に示したような方法で行
うと、立体造形物を速い造形速度で生産性良く製造でき
るので望ましい。
【0032】光透過性のシートまたはプレートの表面へ
の光硬化性樹脂の塗布方法および塗装手段は特に制限さ
れず、光透過性のシートまたはプレートの表面に1層分
の光硬化性樹脂を均一に且つ円滑に塗布し得る方法およ
び手段であればいずれでもよく、例えば、ブレード塗装
装置、流延塗装装置、ローラー塗装装置、転写塗装装
置、ハケ塗り装置などにより塗布することができる。
【0033】上記したように、本発明では、工程(i)
の(b)における光硬化性樹脂層の造形テーブル上への
載置時および/または工程(i)の(c)における光照
射時、並びに工程(ii)の(b)における光硬化性樹脂
層の光硬化した樹脂層への重ね時および/または工程
(ii)の(c)における光照射時に、光透過性のシート
またはプレートと造形テーブルに挟まれた光硬化性樹脂
層、および光透過性のシートまたはプレートと光硬化し
た樹脂層に挟まれた光硬化性樹脂層の平坦化を行うこと
が好ましい。
【0034】その際の平坦化方式は特に制限されない
が、一般的には、光透過性のシートまたはプレートの背
面側(光硬化性樹脂層との非接触面側)から光透過性の
押圧部材を用いて平坦化する方式、方法、光透過性のシ
ートまたはプレートを緊張した状態で展張する方式、光
透過性のシートまたはプレートの自重により行う方式、
或いは前記した方式の2つ以上を併用するものなどを挙
げることができる。
【0035】本発明で用いる光硬化性樹脂の種類は特に
制限されず、光造形に用い得る液状の光硬化性樹脂や光
硬化性樹脂組成物のいずれもが使用でき、したがって本
発明でいう「光硬化性樹脂」とは液状の光硬化性樹脂お
よび液状の光硬化性樹脂組成物の総称である。
【0036】本発明では、光硬化性樹脂として、光造形
において従来から用いられている、例えば、ウレタンア
クリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマ
ー、エステルアクリレートオリゴマー、多官能エポキシ
樹脂などの各種オリゴマー;イソボルニルアクリレー
ト、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンテニル
アクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジ
シクロペンテニロキシエチルアクリレート、ジシクロペ
ンテニロキシエチルメタクリレート、ジシクロペタニル
アクリレート、ジシクロペタニルメタクリレート、ボル
ニルアクリレート、ボルニルメタクリレート、2−ヒド
ロキシエチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、フェノキシ
エチルアクリレート、モルホリンアクリルアミド、モル
ホリンメタクリルアミド、アクリルアミドなどのアクリ
ル系化合物やN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロ
ラクタム、酢酸ビニル、スチレンなどの各種の単官能性
ビニル化合物;トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパント
リアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、
テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレ
ングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオール
ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレ
ート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジシク
ロペンタニルジアクリレート、ポリエステルジアクリレ
ート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアク
リレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピレンオ
キサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレー
ト、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアク
リレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレ
ートなど多官能性ビニル化合物;水素添加ビスフェノー
ルAジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘ
キシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボ
キシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−
5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−
メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキ
シルメチル)アジペートなどの各種エポキシ系化合物な
どの1種または2種以上と、光重合開始剤および必要に
応じて増感剤などを含有する液状の光硬化性樹脂組成物
を用いることができる。また、本発明で用いる光硬化性
樹脂は、上記した成分以外にも、必要に応じて、レベリ
ング剤、リン酸エステル塩系界面活性剤以外の界面活性
剤、有機高分子改質剤、有機可塑剤などを含有していて
もよい。
【0037】本発明において、光硬化性樹脂として、固
体微粒子やウィスカーなどの充填材を含有する液状の光
硬化性樹脂組成物を用いる場合は、硬化時の体積収縮が
小さくて寸法精度に優れ、機械的物性が良好であり、し
かも熱変形温度が高くて耐熱性にも優れる光学的立体造
形物を得ることができる。充填材が造形物全体に均一に
分散した立体造形物を得たい場合は、充填材を含有する
液状の光硬化性樹脂組成物を貯留した貯留容器内で常に
撹拌して光硬化性樹脂組成物の均質化を図り、それを塗
装手段に供給して光造形を行うようにするとよい。
【0038】充填材として用いる固体微粒子としては、
例えば、ガラスビーズ、シリカ微粒子、タルク微粒子、
酸化ケイ素微粒子、酸化アルミニウム微粒子、水酸化ア
ルミニウム微粒子、酸化マグネシウム微粒子、酸化カル
シウム微粒子、窒化アルミニウム微粒子、炭酸カルシウ
ム微粒子、カーボンブラック微粒子などの無機微粒子、
ポリスチレン微粒子、ポリエチレン微粒子、ポリプロピ
レン微粒子、アクリル樹脂微粒子、合成ゴム微粒子など
の有機重合体微粒子などを挙げることができ、これらの
1種または2種以上を用いることができる。それらのう
ちでも、ガラスビーズ、酸化ケイ素微粒子、酸化アルミ
ニウム微粒子、シリカ微粒子が好ましく用いられる。固
体微粒子の粒径は特に制限されないが、一般的には平均
粒径が200μm以下、特に100μm以下のものが好
ましく用いられる。
【0039】また、ウィスカーとしては、径が0.3〜
1μm、特に0.3〜0.7μm、長さが10〜70μ
m、特に20〜50μmおよびアスペクト比が10〜1
00、特に20〜70μmのものが好ましく用いられ
る。なお、ここで言うウイスカーの寸法およびアスペク
ト比は、レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置を用い
て測定した寸法およびアスペクト比である。ウイスカー
の種類は特に制限されず、例えば、ホウ酸アルミニウム
系ウイスカー、酸化アルミニウム系ウイスカー、窒化ア
ルミニウム系ウイスカー水、酸化硫酸マグネシウム系ウ
イスカー、酸化チタン系ウイスカーなどを挙げることが
でき、前記したウイスカーの1種または2種以上を用い
ることができる。
【0040】固体微粒子および/またはウィスカーを含
有する光硬化性樹脂組成物を用いる場合は、固体微粒子
を光硬化性樹脂組成物の全容量に基づいて5〜70容量
%の割合で含有することが好ましく、またウィスカーの
含有量を5〜30容量%とすることが好ましい。固体微
粒子とウィスカーの両方を含有する場合は、両者の合計
含有量が光硬化樹脂層の全容量に基づいて10〜75容
量%であることが好ましい。
【0041】固体微粒子および/またはウィスカーは、
シランカップリング剤で表面処理されていても表面処理
されていなくてもよいが、表面処理されていることが好
ましい。固体微粒子および/またはウイスカーがシラン
カップリング剤で表面処理されている場合には、熱変形
温度、曲げ弾性率、機械的強度の一層高い光硬化物を得
ることができる。その場合のシランカップリング剤とし
ては、充填剤の表面処理などに従来から用いられている
シランカップリング剤のいずれもが使用でき、好ましい
シランカップリング剤としては、アミノシラン、エポキ
シシラン、ビニルシランおよび(メタ)アクリルシラン
を挙げることができる。
【0042】本発明において、光硬化性樹脂として固体
微粒子やウィスカーなどの充填材を含有する光硬化性樹
脂組成物を用いる場合は、光硬化性樹脂の貯留容器を上
述のように撹拌下に保って充填材の沈降を防止しながら
光硬化性樹脂組成物を前記した塗装装置によって工程
(i)および工程(ii)において光透過性のシートまた
はプレートの表面に塗布することができ、その結果、最
終的に得られる立体造形物全体に充填材が均一に分散
し、上記した寸法安定性、力学的特性、熱安定性などに
一層優れた立体造形物が得られる。また、本発明におい
て、目的とする光学的立体造形物における一部の箇所を
形成するのに用いる光硬化性樹脂として充填材を含有す
る光硬化性樹脂組成物を用い、その他の箇所を形成する
光硬化性樹脂は充填材を含有しないものを用いて、積層
・光硬化を繰り返して光造形を行うと、該一部の箇所の
みに充填材を含有する立体造形物を得ることができる。
この方法は、例えば、特に補強を要する箇所のみに充填
材を含有する立体造形物などを製造するのに有効であ
る。
【0043】光硬化性樹脂層の光硬化[工程(i)の
(c)および工程(ii)の(c)]に当たっては、光硬
化性樹脂層への光照射のしかたは特に制限されず、例え
ばスポット状の光線を光硬化性樹脂面に照射して描画方
式で光硬化樹脂層を形成しても、線状になした光線を照
射して光硬化樹脂層を形成しても、またはマスクなどを
使用して光線を面状で照射して光硬化樹脂層を形成して
もよい。また、照射する光の種類も特に制限されず、光
学的立体造形で使用されている光のいずれも使用でき、
例えば、Arレーザー、He−Cdレーザー、LDレー
ザー(半導体励起固体レーザー)、キセノンランプ、メ
タルハライドランプ、水銀灯、蛍光灯などから発生され
る活性エネルギー光線のいずれも使用でき、そのうちで
もレーザー光線が造形速度、高集光性による高造形精度
などの点から好ましく採用される。照射する光の強さ、
光硬化性樹脂の液面と光源の距離なども、各々の状況に
応じて適宜設定することができる。
【0044】光硬化した樹脂層からの光透過性のシート
またはフィルムの剥離[工程(i)の(d)および工程
(ii)の(d)]に当たっては、光硬化した樹脂層から
光透過性のシートまたはプレートを円滑に剥離し得る方
法であればいずれも採用できる。一般的には、光硬化し
た樹脂層の一端からそれに対向する他端に向けて、また
は光硬化した樹脂層の両端から中央部に向けて光透過性
のシートまたはプレートを徐々に剥離する方式が、光硬
化した樹脂層の損傷、光透過性のシートまたはプレート
への光硬化した樹脂層の付着などを生じずに、無理なく
剥離できることから好ましく採用される。光透過性のシ
ートの背面側に光透過性の押圧板を配置して光硬化性樹
脂層の表面の平坦化を行う場合は、該押圧板をシートの
背面から除いてから剥離を行うとよい。また、上記した
ように、撓み性を有する光透過性のプレートを用いた場
合は、その撓み性によって光透過性のプレートを湾曲さ
せながら光硬化した樹脂層の一方の端部から他端に向け
てまたは光硬化した樹脂層の両端から中央部に向けて容
易に且つ円滑に剥離することができる。
【0045】光硬化した樹脂層からの光透過性のシート
またはプレートの剥離を容易にするために、シートまた
はプレートに離型剤を塗布しておいてもよいが、塗布し
た離型剤が光硬化した樹脂層側に転着する場合は、離型
剤が付着した光硬化した樹脂層の上に更に次の光硬化し
た樹脂層を積層した時に両樹脂層間の接着が弱くなり、
得られる光学的立体造形物で層間剥離を生じ易くなって
造形物の強度が低下することがあるので注意を要する。
光透過性のシートまたはプレートは、平滑な表面状態を
保っている限りは繰り返して使用することができる。そ
して、光透過性のシートまたはプレートの表面に光硬化
性樹脂や光硬化した樹脂が付着して表面平滑性が失われ
たときに新しいものと取り替えるようにするとよい。
【0046】特に、本発明において、光硬化性樹脂を塗
布される光透過性のシートとしてローラにより移送され
る長尺の光透過性シートを使用し、該長尺の光透過性シ
ートの表面に、光硬化性樹脂をローラ上で塗装手段によ
り塗布して光硬化性樹脂層を形成させ、該光硬化性樹脂
層の形成と同時にまたは追随させて該ローラおよび光硬
化性樹脂の塗装手段を造形テーブルの一方の端部側(S
1)からそれと対向するもう一方の端部側(S2)へと徐
々に移動させて、工程(i)では光硬化性樹脂層を造形
テーブル上に前記一方の端部側(S1)から前記もう一
方の端部側(S2)へと徐々に載置し、また工程(ii)
では光硬化性樹脂層を既に形成されている光硬化した樹
脂層の上に前記一方の端部側(S1)から前記もう一方
の端部側(S2)へと徐々に重ねた後、工程(i)では
光硬化性樹脂層を光透過性シートと造形テーブルで挟ん
だ状態で、また工程(ii)では光硬化性樹脂層を光透過
性シートと光硬化した樹脂層で挟んだ状態で、光透過性
シートを透して光を照射して光硬化性樹脂層を予め設計
された所定のパターンで光硬化させて光硬化した樹脂層
を形成し、次いで前記ローラおよび光硬化性樹脂の塗装
手段を該もう一方の端部側(S2)から該一方の端部側
(S1)へと光硬化性樹脂の非塗布状態で徐々に移動さ
せると共に光硬化した樹脂層上に接触配置してなる光透
過性フィルムを該もう一方の端部側(S2)から一方の
端部側(S1)へと剥離するようにして行うと、目的と
する光学的立体造形を、生産性良く円滑に製造すること
ができる。
【0047】本発明の方法および装置によって、平坦な
表面を有し、寸法精度に優れる立体造形物を、良好なエ
ネルギー効率および高い光造形速度で円滑に製造するこ
とができる。また、光硬化性樹脂として充填材を含有す
る光硬化性樹脂組成物を用いる場合は、充填材が造形物
全体に均一に分散しているか、または充填材が造形物の
特定の箇所のみに存在する立体造形物を円滑に製造する
ことができる。本発明では、上記した工程を自動制御方
式によって行うようにすると、寸法精度に優れる光学的
立体造形を、より高い光造形速度で製造することができ
る。
【0048】
【実施例】以下に図5〜図8を参照して本発明について
具体的に説明する。しかしながら、本発明は図5〜図8
のものに何ら限定されるものではない。
【0049】《実施例1》図5の(a)に示すように、
供給ローラ5cから供給される光透過性のシート6a
を、ローラ5a,5b,5c,5d,5eで展張しなが
ら移送し引き取りローラ5fで引き取る。その際に光硬
化性樹脂の貯留・供給容器1とブレード3を備える塗装
装置Aをローラ5aの近傍に配置する。該貯留・供給容
器1から該容器1内に貯留されている光硬化性樹脂を、
光透過性のシート6aの表面にローラ5a上で均一な厚
さに塗布してシート6a上に光硬化性樹脂層2aを形成
すると共に、該塗装手段A、ローラ5a,5bを図の向
かって左側に徐々に移動させて、光透過性のシート6a
の表面に形成した光硬化性樹脂層2aを、気体雰囲気中
に配置した造形テーブル4の上に載置配置し光硬化性樹
脂層2aを光透過性のシート6aおよび造形テーブル4
で挟む[図5の(b)]。その状態で、光源7から予め
設計された所定のパターンで光照射して光硬化樹脂層を
形成させる[工程(i)]。
【0050】次いで、貯留・供給容器1からの光硬化性
樹脂の流出を停止した状態で、塗装装置Aを図の向かっ
て右側まで徐々に移動させる。その後、前記の工程
(i)で形成された光硬化した樹脂層の上に、塗装手段
Aおよびローラ5a,5bを徐々に向かって左側に移動
させながら工程(i)と同様にして光硬化性樹脂を光透
過性のシート6aの表面に塗布して光硬化性樹脂層を形
成すると共に、該光硬化性樹脂層を既に形成した光硬化
した樹脂層の上に重ねて、光透過性のシート6aと光硬
化した樹脂層で光硬化性樹脂層2aを挟んだ状態で光照
射を行って光硬化した樹脂層を形成する[工程(i
i)]。そして、前記の工程(ii)を、造形テーブル4
を下方に移動させながら、所定の形状および寸法を有す
る立体造形物が形成されるまで繰り返すことによって、
平坦な表面を有し、寸法精度に優れる立体造形物を、極
めて少ない光硬化性樹脂の使用量で、高い光造形速度で
且つ良好な光エネルギー効率で生産性良く製造すること
ができる。この図5の光学的立体造形装置では、余分の
光硬化性樹脂は、図5の(b)に示すように、図の向か
って左側の光硬化性樹脂リターンタンクBに戻されて再
利用される。
【0051】この実施例1の方法および装置において、
光透過性のシート6aは、該シート6aに厚さの均一な
光硬化性樹脂層が形成し得る限りは、繰り返して使用す
ることができる。光透過性のシート6aの光硬化性樹脂
層との接触面が汚れてシート6a上に均一な光硬化性樹
脂層が形成されなくなったときに、光透過性のシート6
aを供給ローラ5cから繰り出すと共に引き取りローラ
5fで汚れたシート部分を巻き取って、新たなシート面
を光硬化性樹脂の塗布面になるようにする。また、実施
例1の方法および装置において、光硬化性樹脂層表面の
平坦化を一層確実にするために、光透過性のシート6a
の背面側(光硬化性樹脂層との非接触面側)に光透過性
押圧板(図示せず)を配置して光透過性のシート6aの
背面から押圧して平坦化するようにしてもよい。
【0052】この実施例1において、光硬化性樹脂とし
て固体微粒子やウィスカーなどの充填材を含有する光硬
化性樹脂組成物を用いる場合は、貯留・供給容器1内に
入れてある光硬化性樹脂組成物を撹拌状態に保ちながら
貯留・供給容器1から流出させるようにすると、得られ
る立体造形物全体に充填材が均一に分散・含有された立
体造形物を製造することができる。また、この実施例1
において、充填材を含有する光硬化性樹脂組成物を特定
の層部分を形成する際にのみ用い、他の層部分の形成時
には充填材を含有しない光硬化性樹脂を用いると、該特
定の部分にのみ充填材が存在する立体造形物を製造する
ことができる。
【0053】《実施例2》気体雰囲気中に、上下動可能
な造形テーブル4を配置し、光透過性のプレート6bを
用いて、前記した図4の(a)〜(e)の工程にしたが
って造形テーブル4を下方に移動させながら光学的立体
造形を行って立体造形物を製造する。この実施例2によ
る場合も、平坦な表面を有し、寸法精度に優れる立体造
形物を、極めて少ない光硬化性樹脂の使用量で、高い光
造形速度で且つ良好な光エネルギー効率で生産性良く製
造することができる。この実施例2において、光透過性
のプレート6bとして、図6〜図8に示すような両端に
沿って上方に突出する耳部8a,8bを有する撓み性の
光透過性のプラスチックプレートを用いると、該耳部8
a,8bを把持して光透過性プレート6bを容易に湾曲
させることが可能になり、該湾曲によって光硬化した樹
脂層からの光透過性プレート6bの剥離が容易に且つ円
滑に実施できる。
【0054】また、図6は、この実施例2で用いた光透
過性のプレート6bの拡大図であり、図7は光透過性の
プレート6bを光硬化した樹脂層から剥離する際の光透
過性のプレート6bの湾曲方式の具体例を示す図であ
る。図7の(a)では光透過性のプレート6bの一端の
耳部8aを適当な把持手段9で把持し、もう一方の耳部
8bを適当な固定手段10で固定し、固定手段10で耳
部8bを固定した状態で耳部8aを把持手段9で把持し
て徐々に上方に持ち上げて光透過性のプレート6bを湾
曲させて光硬化した樹脂層L2から光透過性のプレート
6bを剥離するようにしている。また、図7の(b)で
は、光透過性のプレート6bの中央部を固定手段10で
固定しておき、光透過性のプレートの耳部8a,8bを
把持手段9a,9bで把持して徐々に上方に持ち上げて
光透過性のプレート6bを湾曲させて、光硬化した樹脂
層L2から光透過性プレート6bを剥離するようにして
いる。さらに、例えば図7の(c)に示すように、把持
手段9の代わりに押圧手段11を用いて固定手段で耳部
8bを固定した状態で耳部8aを押圧手段11で押圧し
つつ徐々に上方に持ち上げて光透過性のプレート6bを
湾曲させて、光硬化した樹脂層L2から光透過性プレー
ト6bを剥離することもできる。
【0055】また、光硬化した樹脂層からの光透過性の
プレート6bの剥離を一層円滑に行うために、図8に例
示するように、光透過性のプレー6bの下面と光硬化樹
脂層の接触面に、先端が薄い刃物状を呈するブレード1
2などを挿入して、光硬化した樹脂層からの光透過性の
プレート6bの剥離を促進してもよい。この実施例2の
場合も、充填材を含有する光硬化性樹脂組成物を用いて
光造形を行うことができる。実施例2において、その一
連の工程を図示していない手段によって自動的に行うよ
うにすることによって目的とする立体造形物を生産性良
く製造することができる。
【0056】
【発明の効果】本発明の光学的立体造形方法および光学
的立体造形装置による場合は、造形浴を用いる従来法に
比べて、光硬化性樹脂の極めて少い使用量で、新鮮な光
硬化性樹脂を常に用いながら樹脂の劣化を生ずることな
く、平坦な表面を有していて寸法精度に優れ、しかもそ
の他の物性にも優れる立体造形物を、速い造形速度およ
び良好なエネルギー効率で製造することができる。特
に、本発明では、光透過性のシートまたはプレートの表
面に光硬化性樹脂を塗布して光硬化性樹脂層を形成し、
その光硬化性樹脂層を造形テーブルの上または既に形成
されている光硬化した樹脂層の上に接触配置して造形を
行うため、例えば図1の(b)や図2に示すような、光
学的立体造形のZ軸方向に高さの異なる部分を有する立
体造形物を製造する場合にも、薄くて厚さの均一な光硬
化性樹脂層を光透過性のシートまたはプレートの表面に
形成し、それを造形テーブルの上または既に形成した光
硬化した樹脂層の上に重ねるため、光硬化性樹脂層を高
い製膜速度で形成でき、目的とする立体造形物を高い造
形速度で生産性良く製造することができる。
【0057】本発明の光学的立体造形および装置による
場合は、製造を目的する造形物の形状や大きさ、装置を
配置する生産現場の広さなどに合わせて、気体雰囲気中
にテーブルを水平、垂直または斜めに配置して、さらに
は小さな貯留容器を用いて、設備の小型化、使用面積の
低減、作業性の向上などを図りながら、光学的立体造形
を円滑に製造することができる。
【0058】そして、本発明において光硬化性樹脂とし
て固体微粒子やウィスカーなどの充填材を含有する光硬
化性樹脂組成物を用いる場合は、撹拌状態に保って充填
材の沈降や不均一分散を防止しながら該光硬化性樹脂組
成物を光透過性のシートまたはプレートの表面に塗布し
て光硬化性樹脂層を形成できるので、充填材が立体造形
物全体に均一に分散されていて、寸法精度がより高く且
つ耐熱性や力学的特性、その他の物性においても一層優
れる立体造形物を得ることができる。また、本発明にお
いて、立体造形物の特定箇所(特定の光硬化樹脂層部
分)(例えば特に補強を要する箇所)の造形に用いる光
硬化性樹脂のみに充填材を含有させておくことによっ
て、立体造形物の該特定箇所のみに充填材を含有させた
立体造形物を簡単に製造することができる。
【0059】さらに、本発明による場合は、光硬化性樹
脂層を光透過性のシートまたはプレートで覆った状態で
光硬化を行うために、酸素との接触が断たれて、光硬化
性樹脂が酸化され易いアクリレート系光硬化性樹脂であ
っても酸素による硬化阻害の問題を生ずることなく、所
定の形状および寸法を有する立体造形物を、高い寸法精
度で製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の自由液面法により得られる光学的立体造
形物の表面形状の概略を示す図である。
【図2】光学的立体造形のZ軸方向に高さの異なる部分
を有する立体造形物を形成する際の、光硬化した樹脂層
の表面の状態を説明した図である。
【図3】光透過性のシートを用いて、造形テーブルを気
体雰囲気中に水平に配置して本発明の光学的立体造形を
行う場合の概略図である。
【図4】光透過性のプレートを用いて、造形テーブルを
気体雰囲気中に水平に配置して本発明の光学的立体造形
を行う場合の概略図である。
【図5】本発明で好ましく用いられる光学的立体造形方
法および装置の一例を示す図である。
【図6】実施例2で用いた光透過性のプレートの拡大図
である。
【図7】光透過性のプレートを湾曲して光硬化した樹脂
層から剥離する際の湾曲方式の具体例を示す図である。
【図8】光硬化した樹脂層から光透過性のプレートを剥
離する際にブレードを用いて剥離を促進する場合の例を
示す図である。
【符号の説明】
A 塗装手段 B 光硬化性樹脂のリターンタンク L 光硬化した樹脂層 L1 光硬化した樹脂層 L2 光硬化した樹脂層 La 光硬化した部分 Lb 光硬化していない部分 1 光硬化性樹脂の貯留容器 2 光硬化性樹脂 2a 光硬化性樹脂層 3 ブレード 4 造形テーブル 5a ローラ 5c 光透過性のシートの供給ローラ 5f 光透過性のシートの引き取りローラ 6a 光透過性のシート 6b 光透過性のプレート 7 光源 8a 耳部 8b 耳部 9 把持手段 9a 把持手段 9b 把持手段 10 固定手段 11 押圧手段 12 ブレード

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)(a)光透過性のシートまたはプ
    レートの表面に光硬化性樹脂を塗布して光硬化性樹脂層
    を形成し、(b)該光硬化性樹脂層を、造形テーブル上
    に、該造形テーブルと光透過性のシートまたはプレート
    で光硬化性樹脂層を挟んだ状態で載置し、(c)光透過
    性のシートまたはプレートを透して光を照射して光硬化
    性樹脂層を予め設計された所定のパターンで光硬化させ
    て光硬化した樹脂層を形成した後、(d)光透過性のシ
    ートまたはプレートを光硬化した樹脂層から剥離する工
    程;および、(ii)(a)光透過性のシートまたはプレ
    ートの表面に光硬化性樹脂を塗布して光硬化性樹脂層を
    形成し、(b)該光硬化性樹脂層を前記工程(i)で形
    成した光硬化した樹脂層上に重ね、(c)光硬化性樹脂
    層を光硬化した樹脂層と光透過性のシートまたはプレー
    トで挟んだ状態で、光透過性のシートまたはプレートを
    透して光を照射して光硬化性樹脂層を予め設計された所
    定のパターンで光硬化させて光硬化した樹脂層を形成し
    た後、(d)光透過性のシートまたはプレートを光硬化
    した樹脂層から剥離する工程;を有し、以後、所定の形
    状および寸法を有する立体造形物が形成されるまで前記
    の工程(ii)を繰り返し行って立体造形物を製造するこ
    とを特徴とする光学的立体造形方法。
  2. 【請求項2】 光透過性のシートまたはプレートの表面
    への光硬化性樹脂の塗布を、ブレード塗装、流延塗装、
    ローラー塗装、転写塗装またはハケ塗りにより行う請求
    項1に記載の光学的立体造形方法。
  3. 【請求項3】 工程(i)の(b)における光硬化性樹
    脂層の造形テーブル上への載置時および/または工程
    (i)の(c)における光照射時、並びに工程(ii)の
    (b)における光硬化性樹脂層の光硬化した樹脂層への
    重ね時および/または工程(ii)の(c)における光照
    射時に、光透過性のシートまたはプレートと造形テーブ
    ルに挟まれた光硬化性樹脂層、および光透過性のシート
    またはプレートと光硬化した樹脂層に挟まれた光硬化性
    樹脂層の平坦化を行う請求項1または2に記載の光学的
    立体造形方法。
  4. 【請求項4】 光硬化性樹脂層の前記平坦化を、光透過
    性のシートまたはプレートの背面側から押圧力をかけて
    行うか、光透過性のシートまたはプレートを緊張した状
    態で展張することにより行うか、光透過性のシートまた
    はプレートの自重により行うか、或いは前記した手段の
    2つ以上を併用して行う請求項3に記載の光学的立体造
    形方法。
  5. 【請求項5】 工程(i)の(d)および工程(ii)の
    (d)における光硬化した樹脂層からの光透過性のシー
    トまたはプレートの剥離を、光硬化した樹脂層の一端ま
    たは両端から光透過性のシートまたはプレートを徐々に
    剥離することにより行う請求項1〜4のいずれか1項に
    記載の光学的立体造形方法。
  6. 【請求項6】 工程(i)および工程(ii)において、
    ローラにより移送される長尺の光透過性シートの表面
    に、光硬化性樹脂をローラ上で塗装手段により塗布して
    光硬化性樹脂層を形成させ、該光硬化性樹脂層の形成と
    同時にまたは追随させて該ローラおよび光硬化性樹脂の
    塗装手段を造形テーブルの一方の端部側(S1)からそ
    れと対向するもう一方の端部側(S2)へと徐々に移動
    させて、工程(i)では光硬化性樹脂層を造形テーブル
    上に前記一方の端部側(S1)から前記もう一方の端部
    側(S2)へと徐々に載置し、また工程(ii)では光硬
    化性樹脂層を既に形成されている光硬化した樹脂層の上
    に前記一方の端部側(S1)から前記もう一方の端部側
    (S2)へと徐々に重ねた後、工程(i)では光硬化性
    樹脂層を光透過性シートと造形テーブルで挟んだ状態
    で、また工程(ii)では光硬化性樹脂層を光透過性シー
    トと光硬化した樹脂層で挟んだ状態で、光透過性シート
    を透して光を照射して光硬化性樹脂層を予め設計された
    所定のパターンで光硬化させて光硬化した樹脂層を形成
    し、次いで前記ローラおよび光硬化性樹脂の塗装手段を
    該もう一方の端部側(S2)から該一方の端部側(S1)
    へと光硬化性樹脂の非塗布状態で徐々に移動させると共
    に光硬化した樹脂層上に接触配置してなる光透過性フィ
    ルムを該もう一方の端部側(S2)から一方の端部側
    (S1)へと剥離することからなる請求項1〜5のいず
    れか1項に記載の光学的立体造形方法。
  7. 【請求項7】 光透過性のシートまたはプレートとし
    て、短尺のものを使用する請求項1〜5のいずれか1項
    に記載の光学的立体造形方法。
  8. 【請求項8】 光硬化性樹脂が充填材を含有する液状の
    光硬化性樹脂組成物である請求項1〜7のいずれか1項
    に記載の光学的立体造形方法。
  9. 【請求項9】 充填材が固体微粒子および/またはウィ
    スカーである請求項8に記載の光学的立体造形方法。
  10. 【請求項10】 光硬化性樹脂層の形成に用いる光硬化
    性樹脂を貯留容器内で撹拌する請求項1〜9のいずれか
    1項に記載の光学的立体造形方法。
  11. 【請求項11】 造形テーブル(A);光透過性のシー
    トまたはプレート(B);光透過性のシートまたはプレ
    ート(B)の表面に光硬化性樹脂を塗布するための塗装
    手段(C);光透過性のシートまたはプレート(B)の
    表面に塗布された光硬化性樹脂層を造形テーブル(A)
    の上、または既に形成されている光硬化した樹脂層の上
    に載置する手段(D);光透過性のシートまたはプレー
    トの外方に配置した光照射手段(E);光硬化した樹脂
    層から光透過性のシートまたはプレートを剥離するため
    の剥離手段(F);及び、所定の形状および寸法を有す
    る立体造形物が形成されるまで前記(A)〜(F)を順
    次作動させるための制御装置(G);を有することを特
    徴とする光学的立体造形装置。
  12. 【請求項12】 光硬化性樹脂の塗装手段(C)が、ブ
    レード塗装装置、流延塗装装置、ローラー塗装装置、転
    写塗装装置またはハケ塗り装置である請求項11に記載
    の光学的立体造形装置。
  13. 【請求項13】 光透過性のシートまたはプレートと造
    形テーブルに挟まれた光硬化性樹脂層、および光透過性
    のシートまたはプレートと光硬化した樹脂層に挟まれた
    光硬化性樹脂層の平坦化手段を有する請求項11または
    12に記載の光学的立体造形装置。
  14. 【請求項14】 光透過性のシート(B)がローラによ
    り移送される長尺の光透過性シートであり;光硬化性樹
    脂の塗装手段(C)が該ローラ上で光透過性のシートの
    表面に光硬化性樹脂を塗布する塗装手段であり、前記塗
    装手段およびローラを造形テーブルの一方の端部側(S
    1)からそれと対向するもう一方の端部側(S2)へと移
    動させ且つ該もう一方の端部側(S2)から該一方の端
    部側(S2)へと移動させるための手段を有している請
    求項11〜13のいずれか1項に記載の光学的立体造形
    装置。
  15. 【請求項15】 光透過性シートの背面側に光透過性の
    押圧板を更に有する請求項14に記載の光学的立体造形
    装置。
  16. 【請求項16】 撹拌手段を有する光硬化性樹脂の貯留
    容器を備えている請求項11〜15のいずれか1項に記
    載の光学的立体造形装置。
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