JP4416881B2 - ベビーカーの折畳み操作装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、三つ折りタイプのベビーカーの折畳み操作装置に係り、特に手押杆に設けた折畳み操作装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般に、乳幼児を散歩や買物等のために屋外に連れ出す場合に使用するベビーカーにおいては、必要に応じて折り畳み、収納や携帯が容易になるようにしたものが種々提案され実用に供されている。
【０００３】
すなわち、図１１は上記折り畳み可能なベビーカーの斜視図であって、そのベビーカーは、前輪１１を有する左右一対の前脚１２、後輪１３を有する左右一対の後脚１４、ほぼＵ字状に屈曲された手押杆１５、左右一対のアームレスト１６、及びその両アームレスト１６，１６の間に掛け渡された着脱可能なガードアーム１７によって構成されている。上記手押杆１５を構成する左右のパイプ１８の先端近傍部にはそれぞれ上記アームレスト１６の一端が枢着されており、その各アームレスト１６の他端に前脚１２の頂端部が枢着されている。また、左右の後脚１４の頂端部も上記アームレスト１６の中間部に枢着されており、その後脚１４の中間部にはく字状に屈曲されたブラケット１９の一端が枢着されている。そして、そのブラケット１９の中間位置に前記手押杆１５を構成する左右のパイプ１８の先端部がそれぞれ枢着されており、ベビーカーの展開状態において、上記ブラケット１９の他端に形成された係合部に上記パイプ１８の下端部に摺動可能に装着されたロック部材２０が係合し、その展開状態を維持するようにしてある。
【０００４】
一方、上記左右の前脚１２は前側連結バー２１によって連結されており、左右の後脚１４は後側連結バー２２によって連結されている。さらに、各前脚１２の中間部には連結バー２３の前端が枢着され、その連結バー２３の後端が上記ブラケット１９とともにパイプ１８の先端部に枢着され、また左右の連結バー２３の中間部が上側連結バー２４によって連結されている。
【０００５】
しかして、図１１に示すように、パイプ１８の下端に設けられているロック部材２０をブラケット１９の上端に設けられている係止部に係合することによって、ベビーカーが使用可能な展開状態に保持される。一方、手押杆１５に設けられている操作装置２５を操作することにより上記ロック部材２０とブラケット１９との係合が離脱されると、アームレスト１６及び連結バー２３が前記パイプ１８と各枢着点を中心として上方に揺動可能となり、前脚１２と後脚１４とがほぼ平行状態に揺動され、携帯に便利なように折り畳むことができる。
【０００６】
ところで、手押杆１５、前側連結バー２１、後側連結バー２２、及び上側連結バー２４は、２つの同一垂直面内において各中間部の２個所がジョイントにより折畳み可能としてある。したがって、上述のように前脚１２と後脚１４が平行状態に折り畳んだ後、左右のパイプ１８を前方に移動させると、上記手押杆１５、前側連結バー２１、後側連結バー２２及び上側連結バー２４の両側部が前方に折り曲げられ、ベビーカーを図１２に示すようにさらにコンパクトに折り畳むことができる。すなわち、三つ折り状態に折り畳むことができる。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記ベビーカーをコンパクトに折畳む場合には、座席部を薄くなる状態に折り畳んだ後、利用者が手押杆１５の両側部やアームレスト１６等を手で保持して折畳んだり、或は上記手押杆１５の中央部等を保持してベビーカーを傾け両側部分を重力のかかる方向に折畳むことが必要である。
【０００８】
したがって、上述のように手でもって折畳み動作を行う場合には、利用者はベビーカーを押している状態から手を持ち替える必要があり、両手で操作しなければならず、幼児を抱いた状態での操作は困難である等の問題がある。また、重力を利用する場合は折畳みの抵抗を軽減させるため、ジョイント部等が多くなり、ベビーカーの本体剛性が低下傾向にあり、また操作感がよくわからずロック感が利用者に伝わりにくい等の問題がある。
【０００９】
本発明は、このような点に鑑み、ベビーカーの三つ折り状態への折畳み操作を遠隔操作によって行うことができ、利用者がベビーカーの中央構成部品から一度も手を放すことなく連続した動作でベビーカーを折畳むことができるようにした折畳み操作装置を得ることを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
請求項１に係る発明は、三つ折りタイプのベビーカーの折畳み操作装置において、手押杆のほぼ中央部に設けられた折畳み操作装置のハウジングの両端に、それぞれ回動可能なジョイントを介して手押杆を構成する左右のパイプ部が連結されるとともに、この左右の各パイプ部がジョイントの外側ヒンジにそれぞれ装着され、この外側ヒンジには前記ハウジングに設けられた折畳み操作機構によって作動される作動部材が連結され、前記パイプ部の下端部にロック部材が設けられ、前記ハウジングに、該ハウジング内で回動可能に装着されたプーリーに連結された操作レバーが装着され、前記プーリーに前記ロック部材に接続されたワイヤが連結され、前記操作レバーを押圧して前記プーリーを回動することによって、前記ワイヤが引張られて前記ロック部材が解放状態となり、この際に、前記ハウジングを回動させることで、前記作動部材が作動して、前記ハウジングに装着された内側ヒンジに対して前記外側ヒンジが回動されて、ベビーカーの折畳み或は展開が行われることを特徴とする。
【００１１】
請求項２に係る発明は、請求項１に係る発明において、ハウジングの内面にその軸線に対して傾斜した案内溝をほぼ左右対称的に設けるとともに、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの先端を枢着させ、その作動バーの基端部に突設された突起を上記ハウジングの案内溝に係合させ、ハウジングの軸線回りの回動によって上記作動バーを進退せしめ、上記作動バーを介して外側ヒンジを回動させることを特徴とする。
【００１２】
また、請求項３に係る発明は、請求項２に係る発明において、ハウジングの内面に設けられた案内溝には、開始端と終息端に周方向に延びるストレート溝部が形成されていることを特徴とする。
【００１３】
請求項４に係る発明は、請求項２に係る発明において、ハウジングの内面に設けられた案内溝は、左右の傾斜が変わって非対称となることで左右の同期がずらされていることを特徴とする。
【００１４】
さらに、本発明の参考例は、請求項２に係る発明において、ハウジングの内面に設けられた案内溝は、負荷の大きい位置でその傾斜角度が小さく形成されていることを特徴とする。
【００１５】
請求項５に係る発明は、三つ折りタイプのベビーカーの折畳み操作装置において、手押杆のほぼ中央部に設けられた折畳み操作装置のハウジングの両端に、それぞれ回動可能なジョイントを介して手押杆を構成する左右のパイプ部が連結されるとともに、この左右の各パイプ部がジョイントの外側ヒンジにそれぞれ装着され、この外側ヒンジには前記ハウジングに設けられた折畳み操作機構によって作動される作動部材が連結され、その作動部材の作動によって、前記ハウジングに装着された内側ヒンジに対して前記外側ヒンジを回動させ、ベビーカーの折畳み或は展開を行うようにし、ハウジングに進退可能に設けられた操作部材にその進退方向に対して傾斜した案内溝をほぼ左右対称的に設けるとともに、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの先端を枢着し、その各作動バーの基端部に突設された突起を前記案内溝に係合させ、前記操作部材の進退によって前記作動バーを進退せしめ、その作動バーを介して外側ヒンジを回動させることを特徴とする。
【００１６】
また、請求項６に係る発明は、請求項１に係る発明において、ハウジングに設けられた操作部材によって回動されるプーリーを設けるとともに、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの先端を枢着し、その作動バーの基端部及び前記プーリーの一方に形成された長孔に前記作動バーの基端部及び前記プーリーの他方に突設された突起が係合されていることを特徴とする。
【００１７】
請求項７に係る発明は、請求項１に係る発明において、ハウジングに設けられた操作部材によって回動されるプーリーを設けるとともに、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの両端を枢着し、その作動バーの中間部及び前記プーリーの一方に形成された長孔に前記作動バーの中間部及び前記プーリーの他方に突設された突起が係合されていることを特徴とする。
【００１８】
請求項８に係る発明は、請求項１に係る発明において、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの先端を枢着し、その両作動バーの基端部に形成されたねじ部またはラックをねじ歯車またはピニオンの互いに径方向対称位置に噛合せしめたことを特徴とする。
【００１９】
また、請求項９に係る発明は、三つ折りタイプのベビーカーの折畳み操作装置において、手押杆のほぼ中央部に設けられた折畳み操作装置のハウジングの両端に、それぞれ回動可能なジョイントを介して手押杆を構成する左右のパイプ部が連結されるとともに、この左右の各パイプ部がジョイントの外側ヒンジにそれぞれ装着され、この外側ヒンジには前記ハウジングに設けられた折畳み操作機構によって作動される作動部材が連結され、その作動部材の作動によって、前記ハウジングに装着された内側ヒンジに対して前記外側ヒンジを回動させ、ベビーカーの折畳み或は展開を行うようにし、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内に摺動可能に配設されているスライダーをスプリングを介して連結するとともに、前記スライダーに連結され、手押杆のパイプ部に挿通されたワイヤの先端をアームレストの後端に取付けたことを特徴とする。
【００２０】
請求項１０に係る発明は、請求項５および９のいずれかに記載の発明において、ハウジング内には、ベビーカーの展開状態を維持するロック部材のロックを解除するロック解除機構が設けられていることを特徴とする。
【００２１】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【００２２】
図１は、手押杆３０の中央部に設けられている折畳み操作装置３１の概略構成を示す図であり、折畳み操作装置のケーシング３２の両側にはそれぞれジョイント３３を介して手押杆３０を構成するパイプ１８が連結されている。図２は上記ジョイント３３の斜視図であって、内側ヒンジ３４の先端部に外側ヒンジ３５が内側ヒンジ３４の軸線に直交する軸３６のまわりに回動可能に連結されている。
【００２３】
上記内側ヒンジ３４には、その両側に内側ヒンジ３４の軸線方向に延びる凹溝３７ａ，３７ｂが形成されており、その２つの凹溝３７ａ，３７ｂ内にはそれぞれ凹溝３７ａ，３７ｂに沿って摺動可能に作動バー３８ａ，３８ｂが配設されている。上記作動バー３８ａ，３８ｂの先端にはその作動バーの軸線に直交する方向に延びる長孔３９ａ，３９ｂが形成されており（図１）、その長孔３９ａ，３９ｂが外側ヒンジ３５の偏心位置に設けられているピン４０ａ，４０ｂに係合されている。すなわち、外側ヒンジ３５には軸３６に対して偏心し、かつ対角線上に２本のピン４０ａ，４０ｂが設けられ、そのピン４０ａ，４０ｂに作動バー３８ａ，３８ｂの長孔３９ａ，３９ｂが係合されている。また、上記作動バー３８ａ，３８ｂの基端には外側方に突出する突起４１ａ，４１ｂが突設されている。そして、外側ヒンジ３５に前記手押杆３０を構成するパイプ１８の一端が装着されている。
【００２４】
このように構成された２個のジョイント３３は、その内側ヒンジ３４が互いに同一線上に互いに対向するように配設され、その左右の内側ヒンジ３４が前記ケーシング３２によって連結されている。すなわち、上記ケーシング３２の両端部がそれぞれ左右の内側ヒンジ３４に嵌装され、そのケーシング３２が両内側ヒンジ３４に対して回動のみ可能に装着されている。
【００２５】
上記ケーシング３２の内周面には、上記両内側ヒンジ３４と対向する面にほぼ左右対称的に、軸線に対して傾斜した２本づつの案内溝４２ａ，４２ｂがほぼ９０゜の範囲にわたって形成されており、その各案内溝４２ａ，４２ｂにそれぞれ前記作動バー３８ａ，３８ｂに突設された突起４１ａ，４１ｂが係合されている。
【００２６】
しかして、上記ケーシング３２を両内側ヒンジ３４に対してその軸線回りに回動させると、突起４１ａ，４１ｂと案内溝４２ａ，４２ｂとの係合によって作動バー３８ａ，３８ｂがそれぞれ軸線方向に移動される。この場合、上記案内溝４２ａ，４２ｂは、ケーシング３２が一方向に回動され、一方の作動バー３８ａが図１の位置から外側方の右方に移動する場合には、他方の作動バー３８ｂが図において左方に移動し、それに対応して外側ヒンジ３５が時計方向に回動され、その外側ヒンジ３５に装着されているパイプ１８が実線に示す折畳み状態から一点鎖線で示す展開状態となる。
【００２７】
また、ケーシング３２が上述した場合と反対方向に回動されると、作動バー３８ａが左方に移動するとともに作動バー３８ｂが右方に移動され、外側ヒンジ３５を介してパイプ１８が一点鎖線で示す展開状態から実線で示す折畳み状態に回動されるようにしてある。
【００２８】
ところで、上記ケーシング３２内には、従来の装置と同様に前記パイプ１８の下端部に設けられているロック部材２０とブラケット１９の係止部との係合を離脱するプーリ４５等のロック解除機構が設けられている。すなわち、ケーシング３２にはスプリング４６によって外方に付勢されている操作レバー４７が装着されており、その操作レバー４７がケーシング３２内に回動可能に装着されているプーリ４５に連結されている。そして、上記プーリ４５の周縁部には左右のパイプ１８に設けられているロック部材２０に接続されたワイヤ４８が連結されている。したがって、上記操作レバー４７をスプリング４６に抗して押圧するとプーリ４５が回動し、それによって各ワイヤ４８が引張られ、それによってロック部材２０がブラケット１９の係止部から離脱され、ベビーカーが折畳み可能状態となる。
【００２９】
しかして、上述のように操作レバー４７を操作してロック部材２０を解放状態とし、前脚１２と後脚１４が互いに平行状態となるように折畳んだ後、それに引き続いてケーシング３２を操作レバー４７側を持ち上げるように回動させると、作動レバー３８ａ，３８ｂが図１に示す位置に移動し、手押杆３０のパイプ１８が一点鎖線で示す展開状態から実線で示す折畳み状態に回動し、ベビーカーを図１２で示す折り畳み状態とすることができる。また、この折畳み状態からケーシング３２を逆方向に回動させると、外側ヒンジ３５を介してパイプ１８が実線位置から一点鎖線位置に回動され、ベビーカーを使用可能な展開状態とすることができる。
【００３０】
すなわち、ベビーカーの折畳み或は展開を手元においてケーシング３２を回動させるだけで行うことができ、利用者が上記ケーシング部を一度も手を放すことなく連続した動作でベビーカーを折畳むことができ、また展開を行うことができる。
【００３１】
ところで、上記実施の形態においては、ケーシング３２の内面に形成した案内溝４２ａ，４２ｂを図３の（ａ）に示すように斜めの直線状に形成したものを示したが、図３の（ｂ）のように案内溝４２ａ，４２ｂの開始端と終端部に周方向に延びるストレート部を形成し、折畳み状態或は展開状態のロック機構をもたせてもよい。また図３の（ｃ）に示すように、左右の案内溝の傾斜を変え、左右のジョイントの作動が同期しないようにし、負荷のかかり方をずらすこともできる。さらに、図３の（ｄ）に示すように、ケーシング３２にかかる負荷が大きくなる位置で案内溝の傾斜角度を小さくし、負荷を低減するようにすることもできる。
【００３２】
図４は、本発明の他の実施の形態を示す図であり、図４の（ａ），（ｂ）に示すように、ケーシング３２にはそのケーシング３２の軸線に直交する方向に進退可能に操作部材５０が設けられている。上記操作部材５０はスプリング５１によって外方に付勢されており、その操作部材５０の側壁部にはその進退方向に対して傾斜した案内溝５２が左右対称的に設けられ（図にはその一方のみを示す）、その案内溝５２に作動バー３８ｂの基端部に突設された突起４１ｂが係合されている。その他の点は図１に示すものと同一である。
【００３３】
しかして、操作部材５０を図４の（ａ）の状態から（ｃ）の状態になるようにスプリング５１に抗して押圧すると、突起４１ｂと案内溝５２との係合によって作動バー３８ｂがケーシング５０から突出する方向に移動され、その作動バー３８ｂの移動によって外側ヒンジ３５が回動されてパイプ１８が図４の（ｄ）に示すように折畳み状態となり、ベビーカーを折畳むことができる。
【００３４】
また、図５は同一軸線上に配設された左右の作動バー３８ｂ1，３８ｂ2の操作機構の他の実施の形態を示す図であり、図５（ａ）に示すように、図示しないケーシングに対して操作部材５３がケーシングの軸線に直交する方向に進退可能に設けられており、この操作部材５３はスプリング５４によって外方に付勢されている。上記操作部材５３にはケーシング内方向に延びる延長部５３ａが一体に形成されており、その延長部５３ａに操作部材５３の進退方向（図中上下方向）に直交する方向（図中左右方向）に延びる長孔５３ｂが形成されている。一方、軸５５にはプーリ５６が回動可能に設けられ、このプーリ５６に突設された突起５７が操作部材５３の長孔５３ｂに係合されている。
【００３５】
さらに、上記プーリ５６には軸５５に対して対称位置に突起５８ａ，５８ｂが突設されている。一方、左右の作動バー３８ｂ1，３８ｂ2の基端部には、その作動バー３８ｂ1，３８ｂ2の軸線に直交する方向（図中上下方向）に延びる長孔５９ａ，５９ｂがそれぞれ形成されており、左方の作動バー３８ｂ1の長孔５９ａ に上記突起５８ａが係合され、右方の作動バー３８ｂ2の長孔５９ｂに上記突起 ５８ｂが係合されている。
【００３６】
しかして、図５（ａ）の状態において、操作部材５３がスプリング５４に抗して押圧されると、突起５７を介してプーリ５６が軸５５を中心に図中時計方向に回動し、これにより突起５８ａ，５８ｂを介して、作動バー３８ｂ1，３８ｂ2が図５（ｂ）に示すように互いに離間する方向に移動する。したがって、この作動バー３８ｂ1，３８ｂ2の移動によって外側ヒンジ３５を回動させ、パイプ１８を折畳み位置に回動させることができる。
【００３７】
ところで、図５においては一つのプーリ５６によって左右の作動バー３８ｂ1 ，３８ｂ2を作動させるようにしたものを示したが、図６（ａ）〜（ｃ）に示す ように操作部材６０に二又状の延長部６０ａ，６０ｂを設け、その各延長部６０ａ，６０ｂを介してそれぞれ別のプーリ６１ａ，６１ｂを互いに逆方向に回転させ、その各プーリ６１ａ，６１ｂの回転によって突起及び長孔の係合によって作動バー３８ｂ1，３８ｂ2を互いに反対方向に移動させるようにしてもよい。
【００３８】
前記各実施の形態においては、左右の作動バーによってそれぞれ左右の外側ヒンジを回動させるようにしたものを示したが、図７に示すように一本の作動バー６２の両端を左右の外側ヒンジ３５ａ，３５ｂに連結し、プーリ５８の回動により突起５８ａ及び長孔５９ａとを介して上記作動バー６２を一方向に移動させ、その移動によって両外側ヒンジ３５ａ，３５ｂを互いに逆方向に回動させ、ベビーカーを折畳み状態或は開放状態とすることもできる。
【００３９】
図８は図７の他の実施の形態を示す図であり、プーリ６３に一体的に操作レバー６３ａを設け、その操作レバー６３ａによって直接プーリ６３を回動させ、作動バー６２を軸線方向に移動させるようにしてもよい。
【００４０】
ところで、図５乃至図８においては、作動バーに設けられた長孔にプーリに突設された突起を係合させたものを示したが、作動バーに突起を突設しプーリに長孔を設けてもよい。
【００４１】
また、図９はさらに他の実施の形態を示す図であり、左右の外側ヒンジ３５ａ，３５ｂに枢着された作動バー３８ｂ1，３８ｂ2の基端部にラックまたはねじ軸６４ａ，６４ｂがそれぞれ設けられており、ピニオンまたはねじ歯車６５の径方向対称位置に上記ラックまたはねじ軸６４ａ，６４ｂが噛合されている。しかして、この場合もピニオンまたはねじ歯車を回転させることによって作動バー３８ｂ1，３８ｂ2を軸線方向に移動させることができ、前記各実施の形態と同様の作用を奏せしめることができる。
【００４２】
図１０は他の実施の形態を示す図であり、左右の各外側ヒンジ３５ａ，３５ｂには軸３６に対して偏心位置にスプリング６６ａ，６６ｂを介して手元操作部に設けられたスライダー６７ａ，６７ｂが連結されており、そのスライダー６７ａ，６７ｂがそれぞれ左右のパイプ１８内に挿通されているワイヤ６８ａ，６８ｂを介して、上記外側ヒンジ３５ａ，３５ｂと逆側にあるアームレスト６９の後端部に連結されている。
【００４３】
そこで、ベビーカーの折畳みに際し、アームレスト６９が上方に揺動されると、ワイヤ６８ａ，６８ｂを介してそれぞれスライダー６７ａ，６７ｂが引張られ、スプリング６６ａ，６６ｂが緊張される。そして上記アームレスト６９が完全に上方に揺動し、前脚と後脚が平行状態になった２面折り状態となり、前側連結バー、後側連結バー、上側連結バー等の中間部に設けられている折畳みのためのジョイントの如き継ぎ手部が同一面内で直線上の位置になると、上記スプリング６６ａ，６６ｂのテンションにより外側ヒンジ３５ａ，３５ｂが回動され、前記各実施の形態と同様にベビーカーが三つ折り状態に折畳まれる。したがって、この場合も図１における操作レバー４７を操作しベビーカーを２面折りとすることによって、ベビーカーの両側部を前方に折畳み三つ折りとすることができる。
【００４４】
ところで、上述のように三つ折りに折畳むことができるベビーカーにおいては、前述のように手押杆、前側連結バー、後側連結バー及び上側連結バーの４個所に左右一対づつの折畳み用の継ぎ手部があり、各位置に軸が設けられている。したがって、この各軸にばね、ゴム、ガスダンパー、或は小さなモータ等の補助装置を設け、各軸部での揺動時の負荷を軽減させることもできる。この場合、上記補助装置の設置は各軸左右別でもよく、また左右共通としてもよい。
【００４５】
【発明の効果】
本発明は、上述のように構成したので、利用者が手押杆部の中央構成部品から一度も手を放すことなく連続した一つの動作でベビーカーを二面折りに続いて三つ折り状態にきわめて容易に行うことができ、その都度手でもってベビーカーの両側部を折り畳む必要がない。しかして、幼児を抱いた状態でもベビーカーの折畳みを容易に行うことができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のベビーカーの折畳み操作装置の一実施の形態を示す一部切欠き断面図。
【図２】ジョイントの概略構成を示す斜視図。
【図３】（ａ）〜（ｄ）はケーシングに設けられた案内溝の変形例を示す図。
【図４】本発明の他の実施の形態を示す図であって、（ａ）は展開時を示す断面図、（ｂ）は（ａ）の平断面図、（ｃ）は折畳み時を示す断面図、（ｄ）は（ｃ）の平断面図。
【図５】（ａ），（ｂ）は本発明のさらに他の実施の形態の展開時及び折畳み時を示す説明図。
【図６】（ａ）〜（ｃ）は本発明の他の実施の形態を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は縦断面図、（ｃ）は作動説明図。
【図７】本発明のさらに他の実施の形態を示す図。
【図８】図７の変形例を示す図。
【図９】本発明の他の実施の形態を示す図。
【図１０】本発明のさらに他の実施の形態を示す図。
【図１１】本発明に係るベビーカーの斜視図。
【図１２】図１１のベビーカーを三つ折りに折畳んだ状態を示す図。
【符号の説明】
１２ 前脚
１４ 後脚
１５ 手押杆
１６ アームレスト
１８ パイプ
１９ ブラケット
２０ ロック部材
２１ 前側連結バー
２２ 後側連結バー
２３ 連結バー
２４ 上側連結バー
３０ 手押杆
３１ 折畳み操作装置
３２ ケーシング
３３ ジョイント
３４ 内側ヒンジ
３５ 外側ヒンジ
３８ａ，３８ｂ 作動バー
３９ａ，３９ｂ 長孔
４０ａ，４０ｂ ピン
４１ａ，４１ｂ，５７，５８ａ，５８ｂ 突起
４２ａ，４２ｂ 案内溝
４５，５６，６３ プーリ
４７，６３ａ 操作レバー
５０，６０ 操作部材
５２ 案内溝
６４ａ，６４ｂ ラックまたはねじ軸
６５ ねじ歯車
６７ａ，６７ｂ スライダー
６８ａ，６８ｂ ワイヤ
６９ アームレスト
【発明の属する技術分野】
本発明は、三つ折りタイプのベビーカーの折畳み操作装置に係り、特に手押杆に設けた折畳み操作装置に関する。
【０００２】
【従来の技術】
一般に、乳幼児を散歩や買物等のために屋外に連れ出す場合に使用するベビーカーにおいては、必要に応じて折り畳み、収納や携帯が容易になるようにしたものが種々提案され実用に供されている。
【０００３】
すなわち、図１１は上記折り畳み可能なベビーカーの斜視図であって、そのベビーカーは、前輪１１を有する左右一対の前脚１２、後輪１３を有する左右一対の後脚１４、ほぼＵ字状に屈曲された手押杆１５、左右一対のアームレスト１６、及びその両アームレスト１６，１６の間に掛け渡された着脱可能なガードアーム１７によって構成されている。上記手押杆１５を構成する左右のパイプ１８の先端近傍部にはそれぞれ上記アームレスト１６の一端が枢着されており、その各アームレスト１６の他端に前脚１２の頂端部が枢着されている。また、左右の後脚１４の頂端部も上記アームレスト１６の中間部に枢着されており、その後脚１４の中間部にはく字状に屈曲されたブラケット１９の一端が枢着されている。そして、そのブラケット１９の中間位置に前記手押杆１５を構成する左右のパイプ１８の先端部がそれぞれ枢着されており、ベビーカーの展開状態において、上記ブラケット１９の他端に形成された係合部に上記パイプ１８の下端部に摺動可能に装着されたロック部材２０が係合し、その展開状態を維持するようにしてある。
【０００４】
一方、上記左右の前脚１２は前側連結バー２１によって連結されており、左右の後脚１４は後側連結バー２２によって連結されている。さらに、各前脚１２の中間部には連結バー２３の前端が枢着され、その連結バー２３の後端が上記ブラケット１９とともにパイプ１８の先端部に枢着され、また左右の連結バー２３の中間部が上側連結バー２４によって連結されている。
【０００５】
しかして、図１１に示すように、パイプ１８の下端に設けられているロック部材２０をブラケット１９の上端に設けられている係止部に係合することによって、ベビーカーが使用可能な展開状態に保持される。一方、手押杆１５に設けられている操作装置２５を操作することにより上記ロック部材２０とブラケット１９との係合が離脱されると、アームレスト１６及び連結バー２３が前記パイプ１８と各枢着点を中心として上方に揺動可能となり、前脚１２と後脚１４とがほぼ平行状態に揺動され、携帯に便利なように折り畳むことができる。
【０００６】
ところで、手押杆１５、前側連結バー２１、後側連結バー２２、及び上側連結バー２４は、２つの同一垂直面内において各中間部の２個所がジョイントにより折畳み可能としてある。したがって、上述のように前脚１２と後脚１４が平行状態に折り畳んだ後、左右のパイプ１８を前方に移動させると、上記手押杆１５、前側連結バー２１、後側連結バー２２及び上側連結バー２４の両側部が前方に折り曲げられ、ベビーカーを図１２に示すようにさらにコンパクトに折り畳むことができる。すなわち、三つ折り状態に折り畳むことができる。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記ベビーカーをコンパクトに折畳む場合には、座席部を薄くなる状態に折り畳んだ後、利用者が手押杆１５の両側部やアームレスト１６等を手で保持して折畳んだり、或は上記手押杆１５の中央部等を保持してベビーカーを傾け両側部分を重力のかかる方向に折畳むことが必要である。
【０００８】
したがって、上述のように手でもって折畳み動作を行う場合には、利用者はベビーカーを押している状態から手を持ち替える必要があり、両手で操作しなければならず、幼児を抱いた状態での操作は困難である等の問題がある。また、重力を利用する場合は折畳みの抵抗を軽減させるため、ジョイント部等が多くなり、ベビーカーの本体剛性が低下傾向にあり、また操作感がよくわからずロック感が利用者に伝わりにくい等の問題がある。
【０００９】
本発明は、このような点に鑑み、ベビーカーの三つ折り状態への折畳み操作を遠隔操作によって行うことができ、利用者がベビーカーの中央構成部品から一度も手を放すことなく連続した動作でベビーカーを折畳むことができるようにした折畳み操作装置を得ることを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
請求項１に係る発明は、三つ折りタイプのベビーカーの折畳み操作装置において、手押杆のほぼ中央部に設けられた折畳み操作装置のハウジングの両端に、それぞれ回動可能なジョイントを介して手押杆を構成する左右のパイプ部が連結されるとともに、この左右の各パイプ部がジョイントの外側ヒンジにそれぞれ装着され、この外側ヒンジには前記ハウジングに設けられた折畳み操作機構によって作動される作動部材が連結され、前記パイプ部の下端部にロック部材が設けられ、前記ハウジングに、該ハウジング内で回動可能に装着されたプーリーに連結された操作レバーが装着され、前記プーリーに前記ロック部材に接続されたワイヤが連結され、前記操作レバーを押圧して前記プーリーを回動することによって、前記ワイヤが引張られて前記ロック部材が解放状態となり、この際に、前記ハウジングを回動させることで、前記作動部材が作動して、前記ハウジングに装着された内側ヒンジに対して前記外側ヒンジが回動されて、ベビーカーの折畳み或は展開が行われることを特徴とする。
【００１１】
請求項２に係る発明は、請求項１に係る発明において、ハウジングの内面にその軸線に対して傾斜した案内溝をほぼ左右対称的に設けるとともに、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの先端を枢着させ、その作動バーの基端部に突設された突起を上記ハウジングの案内溝に係合させ、ハウジングの軸線回りの回動によって上記作動バーを進退せしめ、上記作動バーを介して外側ヒンジを回動させることを特徴とする。
【００１２】
また、請求項３に係る発明は、請求項２に係る発明において、ハウジングの内面に設けられた案内溝には、開始端と終息端に周方向に延びるストレート溝部が形成されていることを特徴とする。
【００１３】
請求項４に係る発明は、請求項２に係る発明において、ハウジングの内面に設けられた案内溝は、左右の傾斜が変わって非対称となることで左右の同期がずらされていることを特徴とする。
【００１４】
さらに、本発明の参考例は、請求項２に係る発明において、ハウジングの内面に設けられた案内溝は、負荷の大きい位置でその傾斜角度が小さく形成されていることを特徴とする。
【００１５】
請求項５に係る発明は、三つ折りタイプのベビーカーの折畳み操作装置において、手押杆のほぼ中央部に設けられた折畳み操作装置のハウジングの両端に、それぞれ回動可能なジョイントを介して手押杆を構成する左右のパイプ部が連結されるとともに、この左右の各パイプ部がジョイントの外側ヒンジにそれぞれ装着され、この外側ヒンジには前記ハウジングに設けられた折畳み操作機構によって作動される作動部材が連結され、その作動部材の作動によって、前記ハウジングに装着された内側ヒンジに対して前記外側ヒンジを回動させ、ベビーカーの折畳み或は展開を行うようにし、ハウジングに進退可能に設けられた操作部材にその進退方向に対して傾斜した案内溝をほぼ左右対称的に設けるとともに、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの先端を枢着し、その各作動バーの基端部に突設された突起を前記案内溝に係合させ、前記操作部材の進退によって前記作動バーを進退せしめ、その作動バーを介して外側ヒンジを回動させることを特徴とする。
【００１６】
また、請求項６に係る発明は、請求項１に係る発明において、ハウジングに設けられた操作部材によって回動されるプーリーを設けるとともに、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの先端を枢着し、その作動バーの基端部及び前記プーリーの一方に形成された長孔に前記作動バーの基端部及び前記プーリーの他方に突設された突起が係合されていることを特徴とする。
【００１７】
請求項７に係る発明は、請求項１に係る発明において、ハウジングに設けられた操作部材によって回動されるプーリーを設けるとともに、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの両端を枢着し、その作動バーの中間部及び前記プーリーの一方に形成された長孔に前記作動バーの中間部及び前記プーリーの他方に突設された突起が係合されていることを特徴とする。
【００１８】
請求項８に係る発明は、請求項１に係る発明において、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの先端を枢着し、その両作動バーの基端部に形成されたねじ部またはラックをねじ歯車またはピニオンの互いに径方向対称位置に噛合せしめたことを特徴とする。
【００１９】
また、請求項９に係る発明は、三つ折りタイプのベビーカーの折畳み操作装置において、手押杆のほぼ中央部に設けられた折畳み操作装置のハウジングの両端に、それぞれ回動可能なジョイントを介して手押杆を構成する左右のパイプ部が連結されるとともに、この左右の各パイプ部がジョイントの外側ヒンジにそれぞれ装着され、この外側ヒンジには前記ハウジングに設けられた折畳み操作機構によって作動される作動部材が連結され、その作動部材の作動によって、前記ハウジングに装着された内側ヒンジに対して前記外側ヒンジを回動させ、ベビーカーの折畳み或は展開を行うようにし、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内に摺動可能に配設されているスライダーをスプリングを介して連結するとともに、前記スライダーに連結され、手押杆のパイプ部に挿通されたワイヤの先端をアームレストの後端に取付けたことを特徴とする。
【００２０】
請求項１０に係る発明は、請求項５および９のいずれかに記載の発明において、ハウジング内には、ベビーカーの展開状態を維持するロック部材のロックを解除するロック解除機構が設けられていることを特徴とする。
【００２１】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【００２２】
図１は、手押杆３０の中央部に設けられている折畳み操作装置３１の概略構成を示す図であり、折畳み操作装置のケーシング３２の両側にはそれぞれジョイント３３を介して手押杆３０を構成するパイプ１８が連結されている。図２は上記ジョイント３３の斜視図であって、内側ヒンジ３４の先端部に外側ヒンジ３５が内側ヒンジ３４の軸線に直交する軸３６のまわりに回動可能に連結されている。
【００２３】
上記内側ヒンジ３４には、その両側に内側ヒンジ３４の軸線方向に延びる凹溝３７ａ，３７ｂが形成されており、その２つの凹溝３７ａ，３７ｂ内にはそれぞれ凹溝３７ａ，３７ｂに沿って摺動可能に作動バー３８ａ，３８ｂが配設されている。上記作動バー３８ａ，３８ｂの先端にはその作動バーの軸線に直交する方向に延びる長孔３９ａ，３９ｂが形成されており（図１）、その長孔３９ａ，３９ｂが外側ヒンジ３５の偏心位置に設けられているピン４０ａ，４０ｂに係合されている。すなわち、外側ヒンジ３５には軸３６に対して偏心し、かつ対角線上に２本のピン４０ａ，４０ｂが設けられ、そのピン４０ａ，４０ｂに作動バー３８ａ，３８ｂの長孔３９ａ，３９ｂが係合されている。また、上記作動バー３８ａ，３８ｂの基端には外側方に突出する突起４１ａ，４１ｂが突設されている。そして、外側ヒンジ３５に前記手押杆３０を構成するパイプ１８の一端が装着されている。
【００２４】
このように構成された２個のジョイント３３は、その内側ヒンジ３４が互いに同一線上に互いに対向するように配設され、その左右の内側ヒンジ３４が前記ケーシング３２によって連結されている。すなわち、上記ケーシング３２の両端部がそれぞれ左右の内側ヒンジ３４に嵌装され、そのケーシング３２が両内側ヒンジ３４に対して回動のみ可能に装着されている。
【００２５】
上記ケーシング３２の内周面には、上記両内側ヒンジ３４と対向する面にほぼ左右対称的に、軸線に対して傾斜した２本づつの案内溝４２ａ，４２ｂがほぼ９０゜の範囲にわたって形成されており、その各案内溝４２ａ，４２ｂにそれぞれ前記作動バー３８ａ，３８ｂに突設された突起４１ａ，４１ｂが係合されている。
【００２６】
しかして、上記ケーシング３２を両内側ヒンジ３４に対してその軸線回りに回動させると、突起４１ａ，４１ｂと案内溝４２ａ，４２ｂとの係合によって作動バー３８ａ，３８ｂがそれぞれ軸線方向に移動される。この場合、上記案内溝４２ａ，４２ｂは、ケーシング３２が一方向に回動され、一方の作動バー３８ａが図１の位置から外側方の右方に移動する場合には、他方の作動バー３８ｂが図において左方に移動し、それに対応して外側ヒンジ３５が時計方向に回動され、その外側ヒンジ３５に装着されているパイプ１８が実線に示す折畳み状態から一点鎖線で示す展開状態となる。
【００２７】
また、ケーシング３２が上述した場合と反対方向に回動されると、作動バー３８ａが左方に移動するとともに作動バー３８ｂが右方に移動され、外側ヒンジ３５を介してパイプ１８が一点鎖線で示す展開状態から実線で示す折畳み状態に回動されるようにしてある。
【００２８】
ところで、上記ケーシング３２内には、従来の装置と同様に前記パイプ１８の下端部に設けられているロック部材２０とブラケット１９の係止部との係合を離脱するプーリ４５等のロック解除機構が設けられている。すなわち、ケーシング３２にはスプリング４６によって外方に付勢されている操作レバー４７が装着されており、その操作レバー４７がケーシング３２内に回動可能に装着されているプーリ４５に連結されている。そして、上記プーリ４５の周縁部には左右のパイプ１８に設けられているロック部材２０に接続されたワイヤ４８が連結されている。したがって、上記操作レバー４７をスプリング４６に抗して押圧するとプーリ４５が回動し、それによって各ワイヤ４８が引張られ、それによってロック部材２０がブラケット１９の係止部から離脱され、ベビーカーが折畳み可能状態となる。
【００２９】
しかして、上述のように操作レバー４７を操作してロック部材２０を解放状態とし、前脚１２と後脚１４が互いに平行状態となるように折畳んだ後、それに引き続いてケーシング３２を操作レバー４７側を持ち上げるように回動させると、作動レバー３８ａ，３８ｂが図１に示す位置に移動し、手押杆３０のパイプ１８が一点鎖線で示す展開状態から実線で示す折畳み状態に回動し、ベビーカーを図１２で示す折り畳み状態とすることができる。また、この折畳み状態からケーシング３２を逆方向に回動させると、外側ヒンジ３５を介してパイプ１８が実線位置から一点鎖線位置に回動され、ベビーカーを使用可能な展開状態とすることができる。
【００３０】
すなわち、ベビーカーの折畳み或は展開を手元においてケーシング３２を回動させるだけで行うことができ、利用者が上記ケーシング部を一度も手を放すことなく連続した動作でベビーカーを折畳むことができ、また展開を行うことができる。
【００３１】
ところで、上記実施の形態においては、ケーシング３２の内面に形成した案内溝４２ａ，４２ｂを図３の（ａ）に示すように斜めの直線状に形成したものを示したが、図３の（ｂ）のように案内溝４２ａ，４２ｂの開始端と終端部に周方向に延びるストレート部を形成し、折畳み状態或は展開状態のロック機構をもたせてもよい。また図３の（ｃ）に示すように、左右の案内溝の傾斜を変え、左右のジョイントの作動が同期しないようにし、負荷のかかり方をずらすこともできる。さらに、図３の（ｄ）に示すように、ケーシング３２にかかる負荷が大きくなる位置で案内溝の傾斜角度を小さくし、負荷を低減するようにすることもできる。
【００３２】
図４は、本発明の他の実施の形態を示す図であり、図４の（ａ），（ｂ）に示すように、ケーシング３２にはそのケーシング３２の軸線に直交する方向に進退可能に操作部材５０が設けられている。上記操作部材５０はスプリング５１によって外方に付勢されており、その操作部材５０の側壁部にはその進退方向に対して傾斜した案内溝５２が左右対称的に設けられ（図にはその一方のみを示す）、その案内溝５２に作動バー３８ｂの基端部に突設された突起４１ｂが係合されている。その他の点は図１に示すものと同一である。
【００３３】
しかして、操作部材５０を図４の（ａ）の状態から（ｃ）の状態になるようにスプリング５１に抗して押圧すると、突起４１ｂと案内溝５２との係合によって作動バー３８ｂがケーシング５０から突出する方向に移動され、その作動バー３８ｂの移動によって外側ヒンジ３５が回動されてパイプ１８が図４の（ｄ）に示すように折畳み状態となり、ベビーカーを折畳むことができる。
【００３４】
また、図５は同一軸線上に配設された左右の作動バー３８ｂ1，３８ｂ2の操作機構の他の実施の形態を示す図であり、図５（ａ）に示すように、図示しないケーシングに対して操作部材５３がケーシングの軸線に直交する方向に進退可能に設けられており、この操作部材５３はスプリング５４によって外方に付勢されている。上記操作部材５３にはケーシング内方向に延びる延長部５３ａが一体に形成されており、その延長部５３ａに操作部材５３の進退方向（図中上下方向）に直交する方向（図中左右方向）に延びる長孔５３ｂが形成されている。一方、軸５５にはプーリ５６が回動可能に設けられ、このプーリ５６に突設された突起５７が操作部材５３の長孔５３ｂに係合されている。
【００３５】
さらに、上記プーリ５６には軸５５に対して対称位置に突起５８ａ，５８ｂが突設されている。一方、左右の作動バー３８ｂ1，３８ｂ2の基端部には、その作動バー３８ｂ1，３８ｂ2の軸線に直交する方向（図中上下方向）に延びる長孔５９ａ，５９ｂがそれぞれ形成されており、左方の作動バー３８ｂ1の長孔５９ａ に上記突起５８ａが係合され、右方の作動バー３８ｂ2の長孔５９ｂに上記突起 ５８ｂが係合されている。
【００３６】
しかして、図５（ａ）の状態において、操作部材５３がスプリング５４に抗して押圧されると、突起５７を介してプーリ５６が軸５５を中心に図中時計方向に回動し、これにより突起５８ａ，５８ｂを介して、作動バー３８ｂ1，３８ｂ2が図５（ｂ）に示すように互いに離間する方向に移動する。したがって、この作動バー３８ｂ1，３８ｂ2の移動によって外側ヒンジ３５を回動させ、パイプ１８を折畳み位置に回動させることができる。
【００３７】
ところで、図５においては一つのプーリ５６によって左右の作動バー３８ｂ1 ，３８ｂ2を作動させるようにしたものを示したが、図６（ａ）〜（ｃ）に示す ように操作部材６０に二又状の延長部６０ａ，６０ｂを設け、その各延長部６０ａ，６０ｂを介してそれぞれ別のプーリ６１ａ，６１ｂを互いに逆方向に回転させ、その各プーリ６１ａ，６１ｂの回転によって突起及び長孔の係合によって作動バー３８ｂ1，３８ｂ2を互いに反対方向に移動させるようにしてもよい。
【００３８】
前記各実施の形態においては、左右の作動バーによってそれぞれ左右の外側ヒンジを回動させるようにしたものを示したが、図７に示すように一本の作動バー６２の両端を左右の外側ヒンジ３５ａ，３５ｂに連結し、プーリ５８の回動により突起５８ａ及び長孔５９ａとを介して上記作動バー６２を一方向に移動させ、その移動によって両外側ヒンジ３５ａ，３５ｂを互いに逆方向に回動させ、ベビーカーを折畳み状態或は開放状態とすることもできる。
【００３９】
図８は図７の他の実施の形態を示す図であり、プーリ６３に一体的に操作レバー６３ａを設け、その操作レバー６３ａによって直接プーリ６３を回動させ、作動バー６２を軸線方向に移動させるようにしてもよい。
【００４０】
ところで、図５乃至図８においては、作動バーに設けられた長孔にプーリに突設された突起を係合させたものを示したが、作動バーに突起を突設しプーリに長孔を設けてもよい。
【００４１】
また、図９はさらに他の実施の形態を示す図であり、左右の外側ヒンジ３５ａ，３５ｂに枢着された作動バー３８ｂ1，３８ｂ2の基端部にラックまたはねじ軸６４ａ，６４ｂがそれぞれ設けられており、ピニオンまたはねじ歯車６５の径方向対称位置に上記ラックまたはねじ軸６４ａ，６４ｂが噛合されている。しかして、この場合もピニオンまたはねじ歯車を回転させることによって作動バー３８ｂ1，３８ｂ2を軸線方向に移動させることができ、前記各実施の形態と同様の作用を奏せしめることができる。
【００４２】
図１０は他の実施の形態を示す図であり、左右の各外側ヒンジ３５ａ，３５ｂには軸３６に対して偏心位置にスプリング６６ａ，６６ｂを介して手元操作部に設けられたスライダー６７ａ，６７ｂが連結されており、そのスライダー６７ａ，６７ｂがそれぞれ左右のパイプ１８内に挿通されているワイヤ６８ａ，６８ｂを介して、上記外側ヒンジ３５ａ，３５ｂと逆側にあるアームレスト６９の後端部に連結されている。
【００４３】
そこで、ベビーカーの折畳みに際し、アームレスト６９が上方に揺動されると、ワイヤ６８ａ，６８ｂを介してそれぞれスライダー６７ａ，６７ｂが引張られ、スプリング６６ａ，６６ｂが緊張される。そして上記アームレスト６９が完全に上方に揺動し、前脚と後脚が平行状態になった２面折り状態となり、前側連結バー、後側連結バー、上側連結バー等の中間部に設けられている折畳みのためのジョイントの如き継ぎ手部が同一面内で直線上の位置になると、上記スプリング６６ａ，６６ｂのテンションにより外側ヒンジ３５ａ，３５ｂが回動され、前記各実施の形態と同様にベビーカーが三つ折り状態に折畳まれる。したがって、この場合も図１における操作レバー４７を操作しベビーカーを２面折りとすることによって、ベビーカーの両側部を前方に折畳み三つ折りとすることができる。
【００４４】
ところで、上述のように三つ折りに折畳むことができるベビーカーにおいては、前述のように手押杆、前側連結バー、後側連結バー及び上側連結バーの４個所に左右一対づつの折畳み用の継ぎ手部があり、各位置に軸が設けられている。したがって、この各軸にばね、ゴム、ガスダンパー、或は小さなモータ等の補助装置を設け、各軸部での揺動時の負荷を軽減させることもできる。この場合、上記補助装置の設置は各軸左右別でもよく、また左右共通としてもよい。
【００４５】
【発明の効果】
本発明は、上述のように構成したので、利用者が手押杆部の中央構成部品から一度も手を放すことなく連続した一つの動作でベビーカーを二面折りに続いて三つ折り状態にきわめて容易に行うことができ、その都度手でもってベビーカーの両側部を折り畳む必要がない。しかして、幼児を抱いた状態でもベビーカーの折畳みを容易に行うことができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のベビーカーの折畳み操作装置の一実施の形態を示す一部切欠き断面図。
【図２】ジョイントの概略構成を示す斜視図。
【図３】（ａ）〜（ｄ）はケーシングに設けられた案内溝の変形例を示す図。
【図４】本発明の他の実施の形態を示す図であって、（ａ）は展開時を示す断面図、（ｂ）は（ａ）の平断面図、（ｃ）は折畳み時を示す断面図、（ｄ）は（ｃ）の平断面図。
【図５】（ａ），（ｂ）は本発明のさらに他の実施の形態の展開時及び折畳み時を示す説明図。
【図６】（ａ）〜（ｃ）は本発明の他の実施の形態を示す図であり、（ａ）は平面図、（ｂ）は縦断面図、（ｃ）は作動説明図。
【図７】本発明のさらに他の実施の形態を示す図。
【図８】図７の変形例を示す図。
【図９】本発明の他の実施の形態を示す図。
【図１０】本発明のさらに他の実施の形態を示す図。
【図１１】本発明に係るベビーカーの斜視図。
【図１２】図１１のベビーカーを三つ折りに折畳んだ状態を示す図。
【符号の説明】
１２ 前脚
１４ 後脚
１５ 手押杆
１６ アームレスト
１８ パイプ
１９ ブラケット
２０ ロック部材
２１ 前側連結バー
２２ 後側連結バー
２３ 連結バー
２４ 上側連結バー
３０ 手押杆
３１ 折畳み操作装置
３２ ケーシング
３３ ジョイント
３４ 内側ヒンジ
３５ 外側ヒンジ
３８ａ，３８ｂ 作動バー
３９ａ，３９ｂ 長孔
４０ａ，４０ｂ ピン
４１ａ，４１ｂ，５７，５８ａ，５８ｂ 突起
４２ａ，４２ｂ 案内溝
４５，５６，６３ プーリ
４７，６３ａ 操作レバー
５０，６０ 操作部材
５２ 案内溝
６４ａ，６４ｂ ラックまたはねじ軸
６５ ねじ歯車
６７ａ，６７ｂ スライダー
６８ａ，６８ｂ ワイヤ
６９ アームレスト
Claims (10)
- 三つ折りタイプのベビーカーの折畳み操作装置において、
手押杆のほぼ中央部に設けられた折畳み操作装置のハウジングの両端に、それぞれ回動可能なジョイントを介して手押杆を構成する左右のパイプ部が連結されるとともに、この左右の各パイプ部がジョイントの外側ヒンジにそれぞれ装着され、この外側ヒンジには前記ハウジングに設けられた折畳み操作機構によって作動される作動部材が連結され、
前記パイプ部の下端部にロック部材が設けられ、
前記ハウジングに、該ハウジング内で回動可能に装着されたプーリーに連結された操作レバーが装着され、
前記プーリーに前記ロック部材に接続されたワイヤが連結され、
前記操作レバーを押圧して前記プーリーを回動することによって、前記ワイヤが引張られて前記ロック部材が解放状態となり、この際に、前記ハウジングを回動させることで、前記作動部材が作動して、前記ハウジングに装着された内側ヒンジに対して前記外側ヒンジが回動されて、ベビーカーの折畳み或は展開が行われることを特徴とする、ベビーカーの折畳み操作装置。 - ハウジングの内面にその軸線に対して傾斜した案内溝をほぼ左右対称的に設けるとともに、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの先端を枢着させ、その各作動バーの基端部に突設された突起を前記ハウジングの案内溝に係合させ、ハウジングの軸線回りの回動によって前記作動バーを進退せしめ、前記作動バーを介して外側ヒンジを回動させることを特徴とする、請求項１記載のベビーカーの折畳み操作装置。
- ハウジングの内面に設けられた案内溝には、開始端と終息端に周方向に延びるストレート溝部が形成されていることを特徴とする、請求項２記載のベビーカーの折畳み操作装置。
- ハウジングの内面に設けられた案内溝は、左右の傾斜が変わって非対称となることで左右の同期がずらされていることを特徴とする、請求項２記載のベビーカーの折畳み操作装置。
- 三つ折りタイプのベビーカーの折畳み操作装置において、
手押杆のほぼ中央部に設けられた折畳み操作装置のハウジングの両端に、それぞれ回動可能なジョイントを介して手押杆を構成する左右のパイプ部が連結されるとともに、この左右の各パイプ部がジョイントの外側ヒンジにそれぞれ装着され、この外側ヒンジには前記ハウジングに設けられた折畳み操作機構によって作動される作動部材が連結され、その作動部材の作動によって、前記ハウジングに装着された内側ヒンジに対して前記外側ヒンジを回動させ、ベビーカーの折畳み或は展開を行うようにし、
ハウジングに進退可能に設けられた操作部材にその進退方向に対して傾斜した案内溝をほぼ左右対称的に設けるとともに、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの先端を枢着し、その各作動バーの基端部に突設された突起を前記案内溝に係合させ、前記操作部材の進退によって前記作動バーを進退せしめ、その作動バーを介して外側ヒンジを回動させることを特徴とする、ベビーカーの折畳み操作装置。 - ハウジングに設けられた操作部材によって回動されるプーリーを設けるとともに、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの先端を枢着し、その作動バーの基端部及び前記プーリーの一方に形成された長孔に前記作動バーの基端部及び前記プーリーの他方に突設された突起が係合されていることを特徴とする、請求項１記載のベビーカーの折畳み操作装置。
- ハウジングに設けられた操作部材によって回動されるプーリーを設けるとともに、左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの両端を枢着し、その作動バーの中間部及び前記プーリーの一方に形成された長孔に前記作動バーの中間部及び前記プーリーの他方に突設された突起が係合されていることを特徴とする、請求項１記載の折畳み操作装置。
- 左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内において軸線方向に摺動可能に配設された作動バーの先端を枢着し、その両作動バーの基端部に形成されたねじ部またはラックをねじ歯車またはピニオンの互いに径方向対称位置に噛合せしめたことを特徴とする、請求項１記載の折畳み操作装置。
- 三つ折りタイプのベビーカーの折畳み操作装置において、
手押杆のほぼ中央部に設けられた折畳み操作装置のハウジングの両端に、それぞれ回動可能なジョイントを介して手押杆を構成する左右のパイプ部が連結されるとともに、この左右の各パイプ部がジョイントの外側ヒンジにそれぞれ装着され、この外側ヒンジには前記ハウジングに設けられた折畳み操作機構によって作動される作動部材が連結され、その作動部材の作動によって、前記ハウジングに装着された内側ヒンジに対して前記外側ヒンジを回動させ、ベビーカーの折畳み或は展開を行うようにし、
左右の各ジョイントにおける外側ヒンジの偏心位置に、ハウジング内に摺動可能に配設されているスライダーをスプリングを介して連結するとともに、前記スライダーに連結され、手押杆のパイプ部に挿通されたワイヤの先端をアームレストの後端に取付けたことを特徴とする、折畳み操作装置。 - ハウジング内には、ベビーカーの展開状態を維持するロック部材のロックを解除するロック解除機構が設けられていることを特徴とする、請求項５および９のいずれかに記載のベビーカーの折畳み操作装置。
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