JP4416057B2 - ホログラムの複製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、露光光の入射角度を適正な角度とすることにより、不要な干渉を減らし、品質の優れたホログラムを製造する方法に関する。
【0002】
ホログラムは、立体像の表示用、計測用、光学素子等に用いられているものである。従来、工業的に、ホログラムを大量に複製する際には、次のようにしている。
まず、ホログラムが必要な特性を確保できるよう、コンピュータを使用して計算し、結果を電子線描画機により描画し、最初のホログラム原版を得る。
これとは別に、ガラス基板上にホログラム形成用樹脂組成物を塗布して、ホログラム形成用基板を準備し、このホログラム形成用基板の樹脂組成物層上に、上記で得られたホログラム原版のホログラム面とが接するように、ホログラム原版とホログラム形成用基板とを重ね合わせ、ホログラム原版側から、レーザー光により露光する。
露光により、ホログラム原版のホログラムの回折格子で回折した1次回折光とほぼ直進した0次回折光とがホログラム形成用樹脂組成物層内で干渉し、この干渉による縞がホログラム形成用樹脂組成物層内で重合を引き起こす。
露光後、必要な現像処理を行なう事により、ホログラム原版のホログラムが、ガラス基板上に塗布されたホログラム形成用樹脂組成物層に複製される。
【0003】
こうして複製されたホログラムは、そのまま使用される事もあるが、これを複製用原版として使用し、前記と同様なホログラム形成用基板を準備し、ホログラム側をホログラム形成用基板に向き合わせて、上記と同様にして露光することにより、ホログラムの大量生産を行なっている。
【0004】
しかし、上記のホログラムの製造方法においては問題がある。露光を行なうと0次回折光および1次回折光以外に、高次回折光や回折光の反射光が生じ、不要な干渉光を生じる原因となり、中でも2次回折光は無視できない強度を持つ。
【0005】
図1はホログラムを製造する際の回折光について説明するための図であって、ホログラム原版1の法線に対して角度θで入射した入射光I(0)が、ホログラム原版1のホログラムを構成する回折格子2に当たり、ほぼ直進する0次回折光I’(0)のほかに、1次回折光I’(1)、2次回折光I’(2)等が生じる状態を示すものである。この2次回折光I’(2)の強度が弱い方が、2次回折光I’(2)とほかの回折光との干渉を少なくできる。
また0次回折光I’(0)および1次回折光I’(1)は干渉して、干渉縞を生じるが、両回折光の強度が異なるときには、干渉縞の変調度は弱く、再生できるホログラムの回折効率は低いものとなり、一致しているときには、変調度の高い干渉縞が生じ、再生できるホログラムの回折効率は高いものとなるので、露光光としては、0次回折光I’(0)および1次回折光I’(1)の強度が一致するような入射角度で入射させるのがよい。
【0006】
0次回折光I’(0)および1次回折光I’(1)の強度は、理論的に予想できるため、両回折光の強度を一致させること自体はむずかしくないが、2次回折光の強度は理論的な予想と実際の強度が一致しないため、0次回折光I’(0)および1次回折光I’(1)の強度を一致させて露光しても、2次回折光に起因する不要な干渉縞の生成が避けにくい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記した不要な2次回折光の発生を極力低減し、強度が一致した0次回折光および1次回折光による明瞭な干渉縞を生成し、明瞭な像が再生されるホログラムを製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決する手段】
本発明者は、露光光の入射角度と、0次回折光、1次回折光、および2次回折光の強度との関係をしらべたところ、0次回折光および1次回折光の強度は露光光の入射角度の変化に伴ない、互いに補完的に変化するが、2次回折光は、0次回折光および1次回折光の変化とは必ずしも関係がない、別の変化をする事が判明し、従って、ホログラム原版と感光材が変わる度に、これら3つの回折光の強度と露光光の入射角度との関係を測定し、2次回折光の強度が相対的に弱くなるような角度を選択する事により、課題を解決した。
【0009】
請求項1の発明は、ホログラム原版を感光材と並行に対向配置し、ホログラム原版側より露光を行ない、現像してホログラムを複製する方法において、露光光の入射角度に対する0次回折光、1次回折光、および2次回折光の関係を測定し、0次回折光および1次回折光の回折効率が等しくなる露光光の入射角度θ(a)およびθ(b)、ならびに前記の入射角度θ(a)およびθ(b)における2次回折光の回折効率とを求め、しかる後、前記入射角度θ(a)およびθ(b)における2次回折光の回折効率の低い方の入射角度を選択し、その入射角度で前記露光を行なうことを特徴とするホログラムの複製方法に関するものである。
【0010】
請求項2の発明は、ホログラム原版を感光材と並行に対向配置し、ホログラム原版側より露光を行ない、現像してホログラムを複製する方法において、露光光の入射角度に対する0次回折光、1次回折光、および2次回折光の関係を測定し、0次回折光および1次回折光の回折効率が等しくなる露光光の入射角度θ(a)およびθ(b)を求めた後、2次回折光の回折効率の極大値が前記入射角度θ(a)およびθ(b)の中間に位置する場合、前記入射角度θ(a)およびθ(b)のうち、いずれか回折効率の高い方の入射角度を挟んで、0次回折光と1次回折光の比が、1:0.5〜0.5:1の範囲の入射角度で最も2次回折光の回折効率の低い入射角度で前記露光を行なうことを特徴とするホログラムの複製方法に関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において使用するホログラム原版は、次の(1)または(2)のいずれかである。
(1)必要な特性を生じるよう、コンピュータを使用して計算し、計算結果を電子線描画機により、描画して得たもの。
(2)上記の(1)で得られたホログラムを後に記すような基板上のホログラム形成用樹脂組成物層に複製したもの。
上記のいずれも、ホログラム原版として使用できるが、一般的には上記(1)のものを複製して(2)の複製用原版を幾つかつくり、この複製用原版を使用するとよい。
【0012】
ホログラムを大量に複製する際の材料としては、銀塩材料、重クロム酸ゼラチン乳剤、光重合性樹脂、光架橋性樹脂等の公知のホログラム記録材料が挙げられるが、本発明においては、生産効率の観点から、マトリックスポリマー、光重合可能な化合物、光重合開始剤及び増感色素とからなる乾式の体積位相型ホログラム記録用途の感光性材料をホログラム形成用樹脂組成物として使用する事が好ましい。
【0013】
マトリックスポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル又はその部分加水分解物、ポリ酢酸ビニル又はその加水分解物、ポリビニルアルコールまたはその部分アセタール化物、トリアセチルセルロース、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、シリコーンゴム、ポリスチレン、ポリビニルブチラール、ポリクロロプレン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ−N−ビニルカルバゾールまたはその誘導体、ポリ−N−ビニルピロリドン又はその誘導体、スチレンと無水マレイン酸の共重合体またはその半エステル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アクリルニトリル、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル等の共重合可能なモノマー群の少なくとも1つを重合成分とする共重合体等、またはそれらの混合物が用いられる。好ましくはポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリクロロプレン、ポリビニルアルコール、又はポリビニルアルコールの部分アセタール化物であるホリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等、またはそれらの混合物が挙げられる。
記録されたホログラムの安定化工程として加熱によるモノマー移動の工程があるが、そのためにはこれらのマトリックスポリマーは、好ましくはガラス転移温度が比較的低く、モノマー移動を容易にするものであることが必要である。
【0014】
光重合可能な化合物としては、後述するような1分子中に少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する光重合、光架橋可能なモノマー、オリゴマー、プレポリマー、及び、それらの混合物が挙げられ、例えば、不飽和カルボン酸、及びその塩、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド結合物が挙げられる。
【0015】
不飽和カルボン酸のモノマーの具体例としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、及びそれらのハロゲン置換不飽和カルボン酸、例えば、塩素化不飽和カルボン酸、臭素化不飽和カルボン酸、フッ素化不飽和カルボン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸の塩としては前述のナトリウム塩及びカリウム塩等がある。
【0016】
また、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例は次のとおりである。
例が多いので、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとに分けて列挙する。
まず、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、フェノールエトキシレートモノアクリレート、2−(p−クロロフェノキシ)エチルアクリレート、p−クロロフェニルアクリレート、フェニルアクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、ビスフェノールAの(2−アクリルオキシエチル)エーテル、エトキシ化されたビスフェノールAジアクリレート、2−(1−ナフチルオキシ)エチルアクリレート、o−ビフェニルアクリレートなどがある。
【0017】
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス−〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(アクリルオキシエトキシフェニル〕ジメチルメタン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、メタクリル酸−2−ナフチル等がある。
【0018】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例のうち、イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエタスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
【0019】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例のうち、クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等がある。
【0020】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例のうち、イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
【0021】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例のうち、マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレエート、トリエチレングリコールジマレエート、ペンタエリスリトールジマレエート、ソルビトールテトラマレエート等がある。
【0022】
ハロゲン化不飽和カルボン酸としては、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、メタクリル酸−2,4,6−トリブロモフェニル、ジブロモネオペンチルジメタクリレート、(商品名;NKエステルDBN、新中村化学工業(株)製)、ジブロモプロピルアクリレート(商品名;NKエステルA−DBP、新中村化学工業(株)製)、ジブロモプロピルメタクリレート(商品名;NKエステルDBP、新中村化学工業(株)製)、メタクリル酸クロライド、メタクリル酸−2,4,6−トリクロロフェニル、p−クロロスチレン、メチル−2−クロロアクリレート、エチル−2−クロロアクリレート、n−ブチル−2−クロロアクリレート、トリブロモフェールアクリレート、テトラブロモフェノールアクリレート等が挙げられる。
【0023】
また、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミト、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
【0024】
その他の例としては、特公昭48−41708号公報に記載された一分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物、一般式CH2 =C(R)COOCH2 (R’)OH(式中R、R’は水素あるいはメチル基を表す。)で示される水酸基を有するビニルモノマーを付加させた一分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
【0025】
また特開昭51−37193号公報に記載されたウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、特公昭52−30490号公報にそれぞれ記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ基と(メタ)アクリル酸等の多官能性のアクリレートまたはメタクリレートを挙げることができる。
【0026】
さらに、日本接着協会誌Vol.20、No.7、300〜308頁に光硬化性モノマー及びオリゴマーとして、紹介されているものも、使用することができる。
【0027】
その他、リンを含むモノマーとしては、モノ(アクリロイロキシエチル)アシッドフォスフェート(商品名;ライトエステルPA、共栄社油脂化学工業(株)製)、モノ(2−メタクリロイロキシエチル)アシッドフォスフェート(商品名;ライトエステルPM、共栄社油脂化学工業(株)製)が挙げられ、またエポキシアクリレート系である商品名;リポキシVR−60(昭和高分子(株)製、商品名(リポキシVR−90(昭和高分子(株)製)等が挙げられる。
【0028】
また、商品名;NKエステルM−230G(新中村化学工業(株)製)、商品名;NKエステル23G(新中村化学工業(株)製)も挙げられる。
【0029】
更に、下記の構造を有するトリアクリレート類
【0030】
【化1】
Figure 0004416057
【0031】
(商品名;アロニックスM−315、東亜合成化学工業(株)製)、下記の構造を有するトリアクリレート類
【0032】
【化2】
Figure 0004416057
【0033】
(商品名;アロニックスM−325、東亜合成化学工業(株)製)、また、2,2’−ビス(4−アクリロキシ・ジエトキシフェニルプロパン(商品名;NKエステルA−BPE−4)、テトラメチロールメタンテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名;NKエステルA−TMMT)等が挙げられる。
【0034】
次に、光重合開始剤としては、1,3−ジ(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン、N−フェニルグリシン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)s−トリアジン、3−フェニル−5−イソオキサゾロン、2−メルカプトベンズイミダゾール、また、イミダゾール二量体類等が例示される。
光重合開始剤は、記録されたホログラムの安定化の観点から、ホログラム記録後に分解処理されるのが好ましい。例えば、有機過酸化物系にあっては、紫外線照射することにより、容易に分解されるので好ましい。
【0035】
増感色素としては、350〜600nmに吸収光を有するチオピリリウム塩系色素、メロシアニン系色素、キノリン系色素、スチリルキノリン系色素、ケトクマリン系色素、チオキサンテン系色素、キサンテン系色素、オキソノール系色素、シアニン染料、ローダミン染料、チオピリリウム塩系色素、ピリリウムイオン系色素、ジフェニルヨードニウムイオン系色素等が例示される。なお、350nm以下、または600nm以上の波長領域に吸収光を有する増感色素があってもい。
【0036】
上記した、マトリックスポリマー、光重合可能な化合物、光重合開始剤及び増感色素とからなる、体積ホログラム形成用樹脂組成物の配合比(いずれも、マトリックスポリマー100重量部に対する重量部で示す。)は、次のとおりである。
光重合可能な化合物は、10重量部〜1000重量部、好ましくは10重量部〜100重量部の割合。
光重合開始剤は、1重量部〜10重量部、好ましくは5重量部〜10重量部の割合。
増感色素は、0.01重量部〜1重量部、好ましくは0.01重量部〜0.5重量部の割合。
【0037】
その他、ホログラム形成用樹脂組成物の成分としては、例えば、可塑剤、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及び各種の非イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤が挙げられる。
【0038】
ホログラム形成用樹脂組成物は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、酢酸エチル、1,4−ジオキサン、1,2−ジクロロエタン、ジクロルメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロパノール等、またはそれらの混合溶剤を使用し、固形分15%〜25%程度の塗布液とされる。なお、このような塗布液として、例えば、デュポン社製のオムニデックス352、706として市販されているものを使用してもよい。
【0039】
これらの塗布液を使用し、基板上にバーコート、スピンコート、又はディッピング等、あるいは、グラビアロールコート、ロールコート、ダイコート、又はコンマコート等により塗布を行なって、乾燥させてホログラム形成用の感光材とする。
あるいは、基板を2枚用いて、その間にホログラム形成用樹脂組成物層を形成してもよく、その場合には、片方の基板のみか両方に塗布し、塗布後、直ちに両者を合わせて加圧するか、あるいは、塗布液に合わせた乾燥又は硬化の手段を用いて固化させた後に、両者を合わせて、必要に応じて加熱しつつ加圧して、2枚の基板の間にホログラム形成用樹脂組成物層を挟み込んだ積層体を得て感光材としてもよい。このとき、気泡が入らないように、基板を多少たわませつつ、一度に全面で接触するのを避け、少しずつ、線状に接触させて行くとよい。
なお、一方の透明基板上にホログラム形成用樹脂組成物をスピンナーを用いて塗布し、直ちに別の透明基板を重ね合わせ、共に回転させることにより貼り合わせてもよい。
なお、ホログラム形成用樹脂組成物層の厚みとしては、0.1μm〜50μm、好ましくは1μm〜20μmである。
【0040】
上記のホログラム原版、感光材を使用し、通常は間にインデックスマッチング液を介して露光する。露光の方法は、図1に示すように、基板5上にホログラム形成用樹脂組成物層4を積層してある感光材上または/およびホログラム原版のホログラム面にインデックスマッチング液3を塗布し、ホログラム原版のホログラム面と感光材のホログラム形成用樹脂組成物層と向き合うようにして平行に重ね合わせ、ホログラム原版のホログラム面2とは反対の側からレーザー光で露光するもので、この工程自体は従来のものと同様である。
露光は、例えばアルゴンレーザー(波長514.5nm)等のレーザー光8を入射し、露光を行なう。この露光により、ホログラム原版で回折した光と回折しないで進んだ光とが干渉し、体積ホログラム形成用樹脂組成物中にホログラム情報を与えるものである。
【0041】
本発明においては、この露光の際に、露光光の入射角度θを望ましい角度に決定し、その角度で行なう。
図2は、本発明の手法を説明するためのグラフであり、横軸の入射角度(図1のθに相当)を変えて、各回折光の回折効率(回折光の強度と考えてよい。)を測定したものである。
図示のように1次回折光I’(1)については、原版と感光材によって決まる回折効率(主に原版によって決まる)が最大値を示す角度を中心に、左右がほぼ対象な山形の形状の曲線C(1)を描くことができ、0次回折光I’(0)については、1次回折光についての曲線C(1)とほぼ反対の傾向を示す逆山形の曲線C(0)が描かれる。従って、角度θ(a)およびθ(b)において、両曲線C(1)およびC(0)が交わり、両回折光の強度が等しくなる。
一方、2次回折光の回折効率については、1次回折光の示す曲線C(1)よりも最大値が大きい角度側にずれた、最大値が1次回折光についての曲線C(1)のおよそ半分程度の山形の曲線C(2)が描ける。
【0042】
従って、0次回折光の強度および1次回折光の強度とが一致した角度θ(a)およびθ(b)における、両回折光の強度と2次回折光の強度とを比較すると、θ(b)では、2次回折光の強度が0次回折光および1次回折光の約70%であり、他の回折光と干渉し、ホログラム再生時に与える影響が大きいが、θ(a)では、強度が約20%程度であり、不要な干渉縞が生じて、再生に与える影響がごく小さくなるため、ホログラムの製造の際の露光光の入射角度をこのθ(a)(図2上では約29°)にて行なう。
【0043】
なお、θ(a)およびθ(b)は、主にホログラム原版を設計した時点で、ほぼ決まるが、いずれの角度における2次回折強度の1次回折光(または0次回折光)に対する割合がより小さいかは、その都度異なるので、測定を行なった上でθ(a)およびθ(b)のいずれの角度が露光するかを決定する。
【0044】
本発明においては、上記したように、0次回折光と1次回折光とが一致した2つの角度のうち、2次回折光の強度が0次回折光と1次回折光の強度よりも割合的に小さい方の角度で露光するが、その上で、なお、2次回折光の強度が大きいときは、0次回折光と1次回折光の強度が大きい方を標準にして小さい方がその50%以上である範囲内で角度をずらした入射角度が露光を行なう。なお、より好ましくは、前記の範囲内で、2次回折光の回折効率が最も低くなる入射角度でホログラム製造時の露光を行なうとよい。
【0045】
露光後、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光源から、0.1〜10,000mJ/cm2 、好ましくは、10〜1,000mJ/cm2 の紫外線照射により光重合開始剤を分解する工程、及び加熱処理、例えば、120℃で120分の加熱により、光重合可能な化合物を拡散移動させる工程を順次経て、安定な体積ホログラムとする。これら紫外線照射、および加熱が、安定化工程でもあり、現像工程でもある。
【0046】
先に説明したように、以上の工程を経ることにより、元のホログラムの複製ができ、得られたホログラムは製品として使用することもできるが、さらに大量の複製用の原版として使用することもできる。
上記で得られた、ホログラム層が2枚の透明基板間に積層されたものは、体積ホログラム複製用原版として使用すると、ホログラム層の損傷がなく、また、熱を受けても、透明基板により固定されているので、伸縮の抑制にもなる。
【0047】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、予め、ホログラム原版の0次回折光、1次回折光、および2次回折光の関係を測定しておく事により、0次回折光および1次回折光の回折効率が等しくなり、かつ2次回折光の強度が弱い方の角度でホログラム製造時の露光を行なうことができるので、2次回折光がほかの回折光と干渉して生じる不要な干渉縞の発生を防止でき、再生像が特に明瞭なホログラムを効率よく製造することができる。
【0048】
請求項2の発明によれば、0次回折光および1次回折光の回折効率が等しくても、2次回折光の回折効率が高い場合でも、所定の方法で、入射角度をずらすことにより、2次回折光の影響をごく小さくして、干渉縞の発生を最小限にし、再生像の明瞭なホログラムを効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ホログラムの製造方法を示す図である。
【図2】露光角度と回折光の強度の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ホログラム原版
2 ホログラムの回折格子
3 インデックスマッチング液
4 ホログラム形成用樹脂組成物層
5 基板

Claims (2)

  1. ホログラム原版を感光材と並行に対向配置し、ホログラム原版側より露光を行ない、現像してホログラムを複製する方法において、露光光の入射角度に対する0次回折光、1次回折光、および2次回折光の関係を測定し、0次回折光および1次回折光の回折効率が等しくなる露光光の入射角度が2つあるとき、当該2つの入射角度(θ(a)およびθ(b)とする。)における2次回折光の回折効率を求め、しかる後、前記2つの入射角度θ(a)およびθ(b)における2次回折光の回折効率の低い方の入射角度を選択し、その入射角度で前記露光を行なうことを特徴とするホログラムの複製方法。
  2. 前記2つの入射角度の中間に2次回折光の回折効率の極大値がある場合、前記1次回折光の回折効率が高い方の入射角度を挟んで、0次回折光と1次回折光の比が、1:0.5〜0.5:1の範囲の入射角度の中で最も2次回折光の回折効率の低い入射角度で前記露光を行なうことを特徴とするホログラムの複製方法。
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