以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<<故障診断装置を搭載した画像形成装置の構成例>>
図1は、故障診断装置の一構成例を搭載した本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す図である。この画像形成装置1は、たとえば原稿の画像を読み取る画像読取部(スキャナ部)を備え、この画像読取部で読み取った画像データに基づいて原稿画像に対応する画像を印刷する複写装置機能、パソコンなどから入力された印刷データ(画像を表すデータ)に基づいて印刷出力するプリンタ機能、およびファクシミリ画像を印刷出力可能なファクシミリ送受信機能を備えた複合機であって、デジタルプリント装置として構成されているものである。図1は、この画像形成装置1における、印刷用紙上に画像を転写する機能部分に着目した、機構部分(ハードウェア構成)の断面図を示している。
図示する画像形成装置1は、大別して、入力された画像データに基づいて画像を印刷用紙上に形成(印刷出力)する機能を有する画像形成部30と、印刷用紙を画像形成部30の印字部に給送する給紙搬送機構部50と、画像形成後の印刷用紙を機外に排出する排紙搬送機構部70とを備えている。各部は、回転力によって被搬送体の一例である印刷用紙を所定方向に移動させるロール部材を含んで構成されている。
画像形成部30は、図示しない画像処理部から入力された画像データに基づいて、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙などの印刷用紙上に可視画像を形成する。このため、画像形成部30は、たとえば画像形成装置1をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャン(ROS)ベースのプリントエンジンを備える。
たとえば画像形成部30の中央部には、感光体ドラムロール32が配され、この感光体ドラムロール32の周囲には、一次帯電器33、現像給紙ロール55b4aおよび現像クラッチ34bからなる現像器34、あるいは転写ロール35、クリーナ給紙ロール55b6、ランプ37などが配設されている。転写ロール35は、感光体ドラムロール32と対向して配され、その間に用紙を挟持して搬送するように、対構造をなしている。
また画像形成部30は、画像形成データに基づいて潜像を感光体ドラムロール32に記録するための書込走査光学系(以下レーザスキャナという)39を有する。レーザスキャナ39には、図示しないホストコンピュータなどから入力された画像データに基づきレーザ光Lを変調して出力するレーザ39aと、このレーザ39aから出力されたレーザ光Lを感光体ドラムロール32上に走査するためのポリゴンミラー(回転多面鏡)39bおよび反射ミラー39cなどの光学系を有する。
給紙搬送機構部50は、画像形成部30に印刷用紙を搬送するための、被搬送体を収容する収容部の一例である給紙トレイ51と、給紙系統の搬送路52を構成する複数のロールや用紙タイミングセンサなどで構成されている。給紙搬送機構部50のロールとしては、単体構造のものと、2つが対向して配されその間に用紙を挟持して搬送する対構造のものとがある。たとえば、搬送路52上には、ロール部材として、給紙トレイ51側から画像形成部30に向けて順に、ピックアップロール54、給紙ロール対55、第1搬送ロール対56、第2搬送ロール対57、および第3搬送ロール対58が設けられている。ピックアップロール54と給紙ロール対55とで、フィード部53が構成される。
ピックアップロール54の近傍には、ピックアップロール54を作動させるためのソレノイド61が設けられている。また、第3搬送ロール対58近傍の搬送路52上の前流側(図中左側)には、搬送路52上で搬送されてきた印刷用紙を一旦停止させるための停止ツメ62と、この停止ツメ62を作動させるためのソレノイド63とが設けられている。
また、搬送路52上には、センサ部材として、給紙ロール対55と第1搬送ロール対56との間に第1センサ65が、第2搬送ロール対57と第3搬送ロール対58との間に第2センサ66が、また第3搬送ロール対58と転写ロール35との間に第3センサ67が、それぞれ設けられている。
給紙ロール対55は、用紙を、第1センサ65および第1搬送ロール対56へ導くことに加えて、重送(2枚以上の給紙)を防ぐための“サバキ”の役割も受け持つ。第1搬送ロール対56および第2搬送ロール対57は、用紙を感光体ドラムロール32に導くための役目を果たす。
ソレノイド63は、第2センサ66がオンしてから、一定の時間経た後に、用紙を停止ツメ62で一旦停止させるために使われる。この目的は、用紙内での書出位置と感光体ドラムロール32上の像の位置を合わせるためのタイミングを合わせるためである。
排紙搬送機構部70は、画像形成部30にて印刷用紙上に画像形成された印刷済み用紙を機外にて受け取るための排紙トレイ(外部トレイ)71と、排紙系統の搬送路72を構成する複数のロールやセンサなどで構成されている。排紙搬送機構部70のロールとしては、2つが対向して配され、その間に用紙を挟持して搬送する対構造のものが使用されている。たとえば、搬送路72上には、ロール部材として、画像形成部30の転写ロール35側から排紙トレイ71に向けて順に定着ロール対74と排出ロール対76とを有する。
また、搬送路72上には、センサ部材として、定着ロール対74と排出ロール対76との間に第4センサ78が、また排出ロール対76と排紙トレイ71との間に第5センサ79が、それぞれ設けられている。
各センサ65,66,67,78,79(以下纏めて用紙タイミングセンサ69ともいう)は、用紙通過時間検出部を構成する用紙検知部材(用紙タイミングセンサ)であり、被搬送体の一例である印刷用紙が所定のタイミングで搬送されているかどうか検出するために設置されている。各センサで得られた検知信号は、印刷用紙の搬送タイミングや搬送時間(用紙通過時間)を計測する計測部(図示せず)に入力されるようになっている。
用紙検知部材をなす各用紙タイミングセンサ69は、設置場所に応じて様々な形状や特性のものを使用できる。基本的には、一対の発光素子(たとえば発光ダイオード)と受光素子(たとえばフォトダイオードやフォトトランジスタ)で構成されているものを用いる。発光素子と受光素子の両者が一体となったフォトインタラプタを用いてもよい。
また、各用紙タイミングセンサ69は、透過型(遮断型ともいわれる)および反射型のうちの何れであってもよい。ここで透過型のセンサは、発光素子と受光素子とを対向配置させておき、その間に印刷用紙が搬送されていない状態では、受光素子は発光素子の光を受光しオン状態となる一方で、両者間を印刷用紙が通過する状態では、発光素子からの光が印刷用紙によって遮断されることでオフ状態となるものである。
これに対して、反射型のセンサは、発光素子からの光が印刷用紙で反射され、その反射光が受光素子に入射するように配置しておく。そして、印刷用紙が搬送されていない状態では、受光素子は発光素子からの光を受光せずオフ状態となる一方で、印刷用紙が通過する状態では、発光素子からの光が印刷用紙によって反射され入射することでオン状態となるものである。図1に示す本実施形態の構成では、全ての用紙タイミングセンサ69について、反射型のフォトインタラプタを用いている。
なお、印刷用紙の通過タイミングが、印刷用紙の搬送開始から各センサを通過する時間が所定の時間範囲から外れている場合、画像形成装置1は、印刷用紙の搬送工程に故障が発生し正常にプリントできないとして、用紙搬送を、その時点、その位置で停止させる。これを、通常ジャムと呼ぶ。
画像形成装置1の駆動機構部90(各ブロック91〜94)によって搬送装置2が構成される。搬送装置2は、変位情報取得部80により取得された変位情報SO0に基づいて、被搬送体の一例である印刷用紙の搬送状態に応じた所定の処理を行なう。
駆動機構部90は、1つのモータによりできるだけ有効に活用できるように、ギア、シャフト、ベアリング、ベルト、ロールなどを使って、幾つかの方向にモータの動力が伝達するように構成されている。また、このような構造の駆動機構部90は、画像形成装置1内にて、駆動機構のベース(マスター,動力源)となる駆動モータ(本例ではモータ96〜99)を動作単位として幾つかのブロックに分けて、ブロックごとに動作するように構成されている。
ソレノイドやクラッチは、駆動部材の一例でもあるが、これらは駆動モータの駆動力が伝達される他の部材に対する切替機構として機能するので、駆動モータに対してスレーブの関係にあり、この点では、ギア、シャフト、ベアリング、ベルトなどと同様に動力伝達部材の一例でもある。駆動モータをベースとして動作単位を設定してブロック分割するのは、このためである。たとえば、図示した画像形成装置1においては、4つのブロック91〜94に分けて、動作するようになっている。
<画像形成装置の動作の概要>
上記構成の画像形成装置1において、給紙搬送機構部50は、従来技術で説明したとほぼ同様に動作する。たとえば、印刷用紙上に画像を形成する際には、先ず、プリント開始とともに、ソレノイド61が動作し、ピックアップロール54を押し下げる。これとほぼ同時に、画像形成装置1内の各種ロール(対)を回転させるためのモータ96〜99が回転動作を始める。ソレノイド61により押し下げられたピックアップロール54は、給紙トレイ51の最上面の印刷用紙に接触し、印刷用紙1枚を給紙ロール対55に導く。
ソレノイド63は、第2センサ66がオンしてから、一定の時間経た後に、印刷用紙を停止ツメ62で一旦停止させる。この後、印刷用紙内での書出位置と感光体ドラムロール32上の像の位置が合う所定のタイミングにて、ソレノイド63は停止ツメ62を解除する。これにより、停止ツメ62が元に戻り、第3搬送ロール対58が、感光体ドラムロール32と転写ロール35との間に印刷用紙を送り出す。
画像形成部30においては先ず、潜像形成用の光源としてのレーザ39aが、図示しないホストコンピュータからの画像生成用データによって駆動されることで、画像データを光信号に変換し、この変換されたレーザ光Lをポリゴンミラー39bに向けて照射する。このレーザ光Lは、さらに反射ミラー39cなどの光学系を介して一次帯電器33によって帯電された感光体ドラムロール32上を走査することで、感光体ドラムロール32上に静電潜像を形成する。
この静電潜像は、所定色(たとえばブラック;黒)のトナーが供給される現像器34によってトナー像とされ(現像され)、このトナー像は、搬送路52を通過してきた用紙が感光体ドラムロール32と転写ロール35との間を通過する間に、転写ロール35によって印刷用紙上に転写される。
感光体ドラムロール32上に残ったトナーや潜像は、クリーナ給紙ロール55b6およびランプ37で清掃および消去される。現像給紙ロール55b4aには、現像クラッチ34bが設けられており、この現像クラッチ34bを使って現像タイミングを調節する。
トナーが転写された印刷用紙は、定着ロール対74で加熱および加圧されて、印刷用紙にトナーが定着する。最後に、印刷用紙は、排出ロール対76によって、機外の排紙トレイ71に排出される。
なお、画像形成部30の構成は上述したものに限らず、たとえば、中間転写ベルトを1つあるいは2つ備えた中間転写IBT(Intermediate Belt Transfer)方式のものとしてもよい。また、図では、単色印刷用の画像形成部30を示しているが、カラー用の画像形成部30として構成してもよい。この場合、エンジン部の構成としては、たとえば、K,Y,M,Cの出力色ごとに同様の画像形成プロセスを繰り返してカラー画像を形成するもの、たとえば単一のエンジン(感光体ユニット)で各色の画像を順に形成しつつ、これを1色ずつ中間転写体に重ね転写してカラー画像を形成するマルチパス型(サイクル型/ロータリー型)の構成、あるいは、各出力色に対応する複数のエンジンを、たとえばK→Y→M→Cの順にインライン状に配列し、K,Y,M,Cの画像を4つのエンジンで並列的(同時進行的)に処理するように構成したタンデム型の何れとしてもよい。
<<画像形成装置における搬送制御機能や故障診断機能>>
次に、画像形成装置1における搬送制御機能や故障診断機能について説明する。
上述のように、画像形成装置1においては、給紙トレイ51から用紙を繰り出して、搬送方向後流側に配された画像形成部30の転写位置まで印刷用紙を搬送させ、転写位置にて画像を印刷用紙上に形成し、画像形成後の用紙を機外を排出させるように、搬送のタイミング制御や搬送速度制御を行なう。
また、画像形成装置1は、搬送過程で生じ得る駆動部材の故障の有無や将来の故障発生を予測する。ここで、用紙搬送工程の故障としては、用紙を搬送させるためのピックアップロール54、給紙ロール対(フィードロール対)55、第1搬送ロール対56、第2搬送ロール対57、第3搬送ロール対58、あるいは排出ロール対76の磨耗・劣化、さらに図示していないが、各ロール部材を駆動するためのモータ96〜99やこれらを駆動する駆動回路の故障、駆動ギアやクラッチなど破損、用紙搬送のタイミングを制御するソレノイド故障などが主な原因である。
モータ、ギア、クラッチの破損や故障は、ジャム以外に目立った症状(駆動回路の電圧電流、音、振動など)が現れる場合が多い。ロールは通常ゴム系の材料から作られているが、このロールについては、繰り返し使われている間に、摩耗や表面の硬化、変質などから、用紙との摩擦が変化し、用紙搬送力が低下し搬送時間分布のばら付きが大きくなり、所定の範囲から外れてジャムを生じる。
搬送時間分布のばら付きが徐々に大きくなっていく故障は、モータ、ギア、クラッチが原因である場合は極めて希で、殆どの場合、ロールが原因になっていると言われている。
また、用紙搬送工程故障の内、ピックアップロール54および給紙ロール対55で構成されるフィード部53は、故障発生頻度が多く、ロール部材の磨耗・劣化による部品交換が大きい個所である。故障発生の原因が、ロール部材か、それもとモータ、ギア、クラッチかを切り分ける場合、本願出願人による特願2003−196764号に記載の技術を利用するとよい。
一方、ロール部材以外のパーツには故障がないことが分かっている場合には、各用紙タイミングセンサ69を使って、常時用紙の通過時間を測定して、ジャムが発生すると、ジャム発生直近の過去の用紙通過時間データの分布と、正常に動作しているときの通過時間の分布と比較して、ロール部材の故障を判定する手法を使用できる。
通過時間の分布は、たとえば第1センサ65と第2センサ66の通過時間分布から、第1搬送ロール対56(搬送ロール56a,56b)の良否を判定する。つまりセンサ間の通過時間分布で、そのセンサ間にあるロール部材の良否が判定可能になる。ロール部材の良否の判定とはいっても、個々のロール故障を特定するのではなく、用紙搬送時間分布に問題があるセンサ間のロール全体1つのブロックとして取り扱い、これらを纏めて同時に全部交換する。
ここで、本実施形態の構成では、フィード部53の動作状態を検出するための第1センサ65を設置しているので、搬送開始時点から第1センサ65を通過するまでの通過時間の正常値からのズレを検出することはできる。しかしながら、給紙トレイ51における用紙設置位置にばら付きが発生すると、ピックアップロール54や給紙ロール対55が正常であったとしても、通過時間にズレが生じるので、ピックアップロール54や給紙ロール対55の動作状況や故障の有無を正確に判断することはできない。
すなわち、フィード部53については、直接用紙の移動開始を検出して開始タイミングとするのではなく、通常ソレノイド61がオンするタイミングや、駆動制御部96を構成する図示しないモータの回転開始タイミングを用紙搬送開始時間の管理に使っている。
用紙搬送時、給紙トレイ51からピックアップロール54によって用紙がピックアップされるとき、最上の1枚だけでなく、2枚目や3枚目も位置が少しずつずれることがあり、これによって、用紙搬送開始時点から第1センサ65までの通過時点までの搬送時間にムラが生じる。給紙搬送機構部50においては、ピックアップロール54や給紙ロール対55のロール部材だけでなく、用紙位置のズレも、用紙搬送時間の変動原因となる。通常の手段では、これらを峻別することがでず、通過時間を単純に用いたのでは、ピックアップロール54や給紙ロール対55の良否判定が正しくできない。
そこで、本実施形態では、本実施形態特有の構成として、給紙トレイ51内の印刷用紙と対向する位置に、動作状態信号検出部の一例である変位情報取得部80を、その検知ポイントが、給紙トレイ51に収容されている印刷用紙の面内となるように設け、用紙の移動量や移動速度あるいは移動時間などの印刷用紙の搬送時における変位情報を検出するようにしている。変位情報取得部80は、取得した変位情報SO0を、搬送処理部100や、故障診断装置3(後述する図2を参照)のコントロール回路102に送る。
なお、移動量や移動速度あるいは移動時間などはそれぞれ、変位情報取得部80と被搬送体の一例である印刷用紙との間における所定方向の相対的な移動量や移動速度あるいは移動時間を意味する。
変位情報取得部80としては、被搬送体の一例である印刷用紙の搬送状態を監視し得るものであればよく、たとえば、印刷用紙の通過の有無を検知し得る第1のタイプのセンサや、移動量や移動速度あるいは移動時間などを測定し得る第2のタイプのセンサなど、様々な形態のセンサを使用できる。ただし、このためのセンサが搬送系に影響を与えない(負荷とならない)構造や、摩耗や滑りなどによる誤差の影響を受け難いものを使用することが望ましい。
たとえば、第1のタイプのセンサの場合、用紙タイミングセンサ69と同様に、一対の発光素子(たとえば発光ダイオード)と受光素子(たとえばフォトダイオードやフォトトランジスタ)で構成されているものを用いるのがよく、発光素子と受光素子の両者が一体となったフォトインタラプタを用いてもよく、これらは、透過型および反射型のうちの何れであってもよい。
第2のタイプのセンサの場合、測定波を用いて移動物体の運動状況を検出する仕組みを利用するとよい。具体的には、レーザドップラ速度計やレーザエンコーダなどの光学式変位情報測定装置がよい(たとえば非特許文献1〜3を参照)。レーザドップラ速度計は、移動物体にレーザ光を照射し、移動物体による散乱光の周波数が、移動速度に比例して偏移(シフト)するドップラ効果を利用して、移動物体の移動速度を測定するものである。
レーザドップラ速度計 LV−20Z/LV−50Zの製品概要、[online]、[平成14年5月12日検索]、インターネット<URL:http://cweb.canon.jp/indtech/es/ldvm.html>
Laser Doppler Velocity meter、[online]、[平成14年5月12日検索]、インターネット<URL:http://www.canon.com/optoelectro/doppler/index.html>
Laser Doppler Velocity meter、[online]、[平成14年5月12日検索]、インターネット<URL:http://www.canon.com/optoelectro/doppler/flash_e.html>
あるいは、第2のタイプのセンサの場合、光を測定波として物体に照射し、その反射光を光検出器アレイで受光して物体表面に現れる構造的特徴を観察することで、物体の位置や運動を検出する仕組みを利用してもよい(特許文献4〜10参照)。
米国特許第5,578,817号明細書
米国特許第5,149,980号明細書
米国特許第5,686,720号明細書
米国特許第5,644,139号明細書
米国特許第5,578,813号明細書
米国特許第5,729,008号明細書
特開2000−270169号公報
これらの、測定波を用いて移動物体の通過の有無や運動状況を検出する仕組みは、搬送中の印刷用紙の移動を監視し、この監視結果に基づいて搬送動作を制御する機能や、監視結果が所定の基準を超えた場合にエラー処理する故障判定機能や搬送系部材の劣化を診断する機能を実現する上で、比較的、搬送系に影響を与え難い(負荷とならない)構造を有し、また摩耗や滑りなどが生じ難いので、あるいは摩耗や滑りとは無関係であるので、非常に有効な検知手法と考えられる。以下、具体的に説明する。
<故障診断装置の構成>
図2は、駆動機構部90の動作状態を検証する故障診断装置の一例を示す図である。なおここでは、故障診断装置3が、搬送処理部100を構成する一機能部として画像形成装置1に固定的(一体的に)に設けられるものとして説明するが、この故障診断装置3は、画像形成装置1に対して固定的に設けられるものに限らず、画像形成装置1に対して取外し可能に構成し、必要に応じて、画像形成装置1に組み込まれて使用されるように構成してもよい。
またここでは、ロールやロール対その他の可動部を駆動する動力源として、ステッピングモータやソレノイドあるいはクラッチを用いる例で説明する。この図3は、各ブロック91〜94内でのステッピングモータ112、122、およびクラッチ132(纏めて駆動部材ともいう)を駆動する駆動回路や、ステッピングモータ112などの動作状態を検出する機能要素に着目して、それらを構成する回路部材とその接続関係とを示している。
なお、駆動機構部90の各ブロックは、必ずしも、ステッピングモータやソレノイドあるいはクラッチの全てを備えているとは限らないが、ここでは、これら全てを備えているものとして説明する。ステッピングモータ(SM)112は、図1のモータ96〜99に相当する。
この例の故障診断装置3は、給紙搬送機構部50のフィード部53の故障と用紙位置ずれとを峻別する機構を備えている点に特徴を有する。なお、この例の故障診断装置3は、この他に、用紙位置ずれを除く故障について、その発生原因が、ロールか、それもとギア、モータ、クラッチであるかを切り分ける構成として、特願2003−196764号にて提案したのと同様の構成を備えている。
図示するように、故障診断装置3は、コントロール回路102と、直流電源104と、ステッピングモータ112を駆動する第1駆動部110と、ソレノイド122を駆動する第2駆動部120と、クラッチ132を駆動する第3駆動部130と、動作電流検出抵抗142を有する駆動部動作電流検出部140とを備えている。
動作電流検出抵抗142の一方の端子142aには、ステッピングモータ112、ソレノイド122、およびクラッチ132の各動作電流Ism,Iso,Islが入力され、他方の端子142bは接地されるようになっている。つまり、1つの動作電流検出抵抗142が、ステッピングモータ112やソレノイド122などの複数の駆動部材について共通に使用される構成となっている。
駆動機構部90の動作電流を検出する際には、直流電源104からステッピングモータ112などの駆動部材への電力供給路途中に設けられた動作電流検出抵抗142を利用する。動作電流検出抵抗142としては、たとえば1Ω以下など、抵抗値が低い抵抗体を用いるのがよい。このような抵抗体としては、温度特性や抵抗値精度に優れたもの、たとえば、銅ニッケル合金などからなるものが好ましい。
駆動部動作電流検出部140は、駆動機構部90が所定期間動作している間の動作状態を示す動作状態信号として、ステッピングモータ112などの駆動部材の動作電流を示す信号を検出する動作状態信号検出部の一例である。動作電流検出抵抗142は、電流検出部材の一例である。
ステッピングモータ112、ソレノイド122、およびクラッチ132のそれぞれの所定端子(112c,122a、132a)には、直流電源104から所定電圧(たとえば+24V)の直流電圧が印加されるようになっている。
コントロール回路102は、ステッピングモータ112、ソレノイド122、およびクラッチ132の動作を制御するための各種の制御信号を生成する駆動信号生成部150と、印刷用紙の搬送タイミングを計測する計測部162と、駆動部動作電流検出部140により得られる動作状態信号や計測部162により得られる用紙通過時間を所定の手順に従って処理して所定の特徴量を求め、予め取得しておいた正常状態での特徴量である基準特徴量と実働状態での特徴量である実働特徴量とを比較することにより、駆動機構部90の故障の有無(動作異常か否か)を診断し、あるいは将来の故障の発生を予測する故障診断部200とを有する。
計測部162の入力端IN1〜IN5のそれぞれには、対応する用紙タイミングセンサ69から検知信号SO1〜SO5(各1ビット/計5ビット)が入力されるようになっている。計測部162は、用紙タイミングセンサ69からの検知信号SO1〜SO5に基づいて、ソレノイド61がONした時点を搬送開始の基準点とする、用紙先端部が各センサを通過する時間(実際にはセンサ間の時間間隔)を算出し、算出した用紙通過時間を現す時間検知信号Stimeを故障診断部200に渡す。
また、フィード部53についての搬送タイミングの監視機構として、入力端IN20に、本実施形態特有の構成である、給紙トレイ51内の印刷用紙と対向する位置に設けてある変位情報取得部80から、取得された変位情報SO0が計測部162に入力されるようになっている。
計測部162は、変位情報取得部80を用いて検知した変位情報SO0を参照して、第1センサ65にて取得される、搬送開始から用紙(その先端もしくは後端)が第1センサ65を通過するまで搬送時間について、用紙位置のずれに起因した搬送時間のばら付きを補正する(詳しくは後述する)。そして、ここで求めた第1センサ65における用紙通過時間(第1センサ通過時間T65)も、時間検知信号Stimeの1つとして故障診断部200に渡す。
計測部162では、ジャム検知を目的とした用紙タイミングセンサ69(65,66,67,78,79)を用いて、これら用紙タイミングセンサ69を用紙が通過する時間(用紙通過時間)を監視して、予定の時間外に通過した場合にはジャムが発生したとして用紙搬送用の駆動部を即時に停止させる。この停止動作には、異常な印刷や用紙自体がクラッシュして機構の破損を防ぐ意味も持っている。このジャム検知を目的とした用紙タイミングセンサは、通常の複写機に標準的に装備されている。したがって、ブロック単位での故障判定に用紙通過時間を利用することは、通常、新たにセンサを設ける必要がないという意味で、コストの点でメリットがある。
計測部162の出力信号のうちの一方(時間検知信号Stime)は故障診断部200に入力され、他方(エラー信号Serr )は、駆動信号生成部150と故障診断部200に入力される。
故障診断部200は、計測部162で計測した用紙通過時間に基づき、搬送タイミングが正常値からずれていることを検知すると、故障と判定して搬送系全体の動作を停止させる。また、故障診断部200は、用紙通過時間検出部160にて検知した用紙通過時間に基づいて、ブロック単位で故障の有無を判定し、故障と判定されたブロック(駆動機構)について、さらに、詳細に故障診断を行なうことが可能となっている。
駆動信号生成部150は、各駆動部材の動作開始や動作停止を制御する制御部の一例である。用紙検知部材をなす各用紙タイミングセンサ69と計測部162とで、各用紙タイミングセンサ69間を所定区間として、その間の印刷用紙の搬送時間を動作状態信号として検出する用紙通過時間検出部160の全体が構成される。また、用紙通過時間検出部160は、ブロックごとに、そのブロックの動作状態を示すブロック動作状態信号を検出するブロック動作状態信号検出部としての機能も備える。
駆動信号生成部150は、ステッピングモータ112の動作を制御するための制御信号(本例ではON/OFF,CLK,Fw/Rev)を生成するステッピングモータ駆動信号生成部(以下SM駆動信号生成部ともいう)152と、ソレノイド122の動作を制御するための制御信号(本例ではON/OFF)を生成するソレノイド駆動信号生成部(以下SO駆動信号生成部ともいう)154と、クラッチ132の動作を制御するための制御信号(本例ではON/OFF)を生成するクラッチ駆動信号生成部(以下CL駆動信号生成部ともいう)156とを有する。
たとえば、計測部162は、算出した用紙通過時間が、予め定められている基準の時間範囲内(所定のタイミングの範囲内)にあるか否かを判定する。基準の時間範囲外の場合、記録用紙の搬送工程に故障が発生したと判断し、以降の用紙搬送工程を中止するよう、駆動信号生成部150にエラー信号Serr を通知する。これを受けて、駆動信号生成部150内の駆動信号生成部152,154,156は、ステッピングモータ112、ソレノイド122、クラッチ132の動作を停止させることで、駆動機構部90を停止させ、用紙搬送を停止する。この時は通常ジャムが発生したと呼ばれる。
ステッピングモータ112を駆動する第1駆動部110は、駆動回路として、モータドライバ回路114を有する。コントロール回路102のSM駆動信号生成部152からは、端子OUT1からステッピングモータ112を回転および停止させるための制御信号ON/OFFが、端子OUT2からクロック信号CLK1が、また端子OUT3から正転(Fw)および逆転(Rev)を規定する制御信号Fw/Revが、それぞれモータドライバ回路114に入力される。
モータドライバ回路114は、これらの信号に基づいて4相(A,NA,B,NB;Nは対応する反転相を意味する)の各信号を生成し、ステッピングモータ112の所定端子(112a,122na、112b,112nb;nは対応する反転入力を意味する)に入力する。ステッピングモータ112の動作電流Ismは、このモータドライバ回路114を通して、駆動部動作電流検出部140の動作電流検出抵抗142に導かれる。
ソレノイド122を駆動する第2駆動部120は、駆動回路として、トランジスタ123を含むドライブ回路121を有する。第2駆動部120は、ソレノイド122のON/OFF時に、ソレノイド122に生じる逆起電力を回生させ、トランジスタ123のコレクタ電圧が定格を超えないようにするため、ダイオード128がソレノイド122と並列接続されている。トランジスタ123は、ソレノイド122をオンオフさせるための制御信号ON/OFFにより駆動され、これにより、ソレノイド122の動作電流Isoが、トランジスタ123のコレクタ−ソース間を経由して動作電流検出抵抗142に導かれる。
クラッチ132を駆動する第3駆動部130は、駆動回路として、トランジスタ133を含むドライブ回路131を有する。また、第3駆動部130は、クラッチ132のON/OFF時に、クラッチ132に生じる逆起電力を回生させ、トランジスタ133のコレクタ電圧が定格を超えないようにするため、ダイオード138がクラッチ132と並列接続されている。トランジスタ133は、クラッチ132をオンオフさせるための制御信号ON/OFFにより駆動され、これにより、クラッチ132の動作電流Iclが、トランジスタ133のコレクタ−ソース間を経由して動作電流検出抵抗142に導かれる。
動作状態信号検出部の一例である駆動部動作電流検出部140は、動作電流検出抵抗142の他に、増幅回路143と、A/D変換器148とを有する。動作電流検出抵抗142に電流が流れると、その両端(142aと142bとの間)には電圧降下(電位差)が生じる。この電位差を検出すれば、各ブロック91〜94の駆動部材を流れる電流を検出することができる。増幅回路143は、この動作電流検出抵抗142の両端の電位差を検知し、増幅して、A/D変換器148に渡す。
A/D変換器148には、故障診断部200の端子OUT6からクロック信号CLK2が入力される。A/D変換器148によりデジタル化された動作電流を表す検知データDcurrは、故障診断部200の入力端子IN6〜IN17に入力される。なお、本例のA/D変換器148としては、12ビットのものを用いる。なお、12ビットに限らず、分解能やメモリ容量あるいはコストなどを考慮して決定すればよく、それ以下もしくはそれ以上としてもよい。
ステッピングモータ112、ソレノイド122、およびクラッチ132の各動作電流Ism,Iso,Icl(以下纏めて動作電流Ioともいう)を区別して検知するため、実際の電流検出時には、各駆動信号生成部152,154,156からステッピングモータ112、ソレノイド122、クラッチ132などへ、個別に制御信号ON/OFFを一定時間(たとえば100〜200ms(ミリ秒)程度)オン状態を与え、その間に、動作電流検出抵抗142の両端に発生する電圧を増幅回路143で増幅した後、故障診断部200の端子OUT6から出力されるクロック信号CLK2に同期して、A/D変換器148でデジタル信号(検知データDcurr)に変換する。
上記構成では、駆動系の可動部を駆動する動力源の故障診断に際して、動作状態を示す信号として、モータ、ソレノイド、あるいはクラッチなどの駆動部材に流れる動作電流を反映した信号を用いるようにしているが、動作電流に代えて、モータなどの駆動部材を動作させた際の、その駆動部材が属する駆動機構部90(ブロック)の振動状態を反映した信号を用いてもよい。たとえば加速度センサを用いて加速度を検知したり、音響センサを用いて作動音信号を検知したりすればよい。
故障診断部200は、たとえば、動作電流検出抵抗142で検知された動作電流を反映した検知データDcurrに基づき、これら動作電流の実効値、時間軸上で突出したピークを有する衝撃電流、オン後の過渡応答、あるいは周波数軸上で突出したピークを有する狭帯域電流などを監視対象とし、それらを検出して解析を行ない、故障診断に好適な特徴量を抽出する。なお、解析には、たとえば動作電流の実効値の大小関係や時間的な変化の差を解析する手法の他、高速デジタルフーリエ変換による周波数スペクトル解析などにより、特定ピークの周波数やその大きさを調べる手法を採ることができる。
動作電流の実効値を特徴量としてその大小関係に基づく判定を用いると、比較的簡易な判定が可能である。大小関係の判定の際には、平均値と分散(標準偏差)を特徴量として使用した分布特性を利用する手法を用いることもできる。一方、衝撃電流などの発生時点が正確に分かると、タイミングチャートと照らし合わせて機械の詳細な情報を得ることができ、また起動時の電流や衝撃電流の過渡応答を把握して故障の検知や機械の経年変化の解析を行なうことができる。また、高速デジタルフーリエ変換を利用すれば、起動時の電流や衝撃電流をスペクトルに変換してそれらの特性を数値化して記録することができ、電流変化を明確に認識することができる。
<故障診断装置の作用>
図3〜図6は、用紙位置のずれに起因する搬送時間のばら付きを説明する図である。ここで、図3は、フィード部53近傍の状態を示す図である。また、図4は、変位情報取得部80の出力信号を説明する図である。なおここでは、変位情報取得部80としては、速度センサを利用したものを用いるとして説明する。
また、図5および図6は、ソレノイド61をオンさせた時点を搬送開始時点として、用紙後端が第1センサ65を通過までの時間(第1センサ通過時間T65)を特徴量として、この特徴量V1を横軸にヒストグラムで表した図であって、図5はロール部材が正常時、図6はロール部材の劣化がある場合を示す。
本発明に係る第1の検出部の一例である変位情報取得部80は、給紙トレイ51の印刷用紙が収容される位置の上面側に配置され、その検出ポイントP1(第1の検出ポイント)は、給送部の一例である給紙ロール対55よりも搬送方向の上流側である給紙トレイ51の上部から給紙トレイ51内の紙面(搬送過程にあるものも含む)を検知する位置とされている。また、本発明に係る第2の検出部の一例である第1センサ65の検知ポイントP2(第2の検出ポイント)は、給紙ロール対55よりも搬送方向の下流側の給紙ロール対55近傍とされている。
図3(A)に示すように、給紙トレイ51に用紙を新たにセットしたときやジャムなどで給紙トレイ51を本体から抜き出したときなどは、自動的に最上部の用紙の端が給紙トレイ51の先端側のエッジ51e1に位置するように用紙セットを行なうように構成する。
用紙搬送開始(図4のt10)で、ソレノイド61がピックアップロール54を紙面に押し下げ、用紙を給紙ロール対55(給紙ロール55a,55b)へ送り始める。この場合、1枚目の用紙搬送開始位置d1は給紙トレイ51のエッジ51e1となる。
1枚目が搬送されるとき、用紙間の摩擦によって、2枚目や3枚目など他の用紙も一緒に少し動き、給紙トレイ51のエッジ51e1から位置がずれ、その先端がエッジ51e1から繰り出される。用紙最上部にある変位情報取得部80は、用紙の移動開始(t10)と同時に移動速度の計測を始める。1枚目の用紙が給紙ロール55a,55bで捌かれて1枚だけ第1センサ65を通過していく。
ここで、最上位の1枚だけが第1センサ65を通過していくとき、2枚目や3枚目などはエッジ51e1から先端位置がずれた(繰り出された)状態で動かずに停止している。よって、最上位の1枚だけが第1センサ65を通過して後流側(第1搬送ロール対56の方向)へ搬送されていくときに、その1枚目の後端が変位情報取得部80(詳しくは、その検知ポイント)を通過する際(t14)には、変位情報取得部80は、最上位の1枚だけの移動状態を監視でき、その出力結果は、図4に示すような外側の実線のグラフになる。なお、図では、後端が変位情報取得部80を通過する際、検出速度(用紙搬送通過時間T80)が直ぐに“0”になっていないが、これは、センサの出力応答によるものである(t14〜t16)。
次に2枚目を同様な手順で搬送する。この際、2枚目は、図3(B)に示すように、その先端が、給紙トレイ51のエッジ51e1から繰り出してS2の位置にある。よって、搬送開始位置が給紙トレイ51のエッジ51e1からずれて位置S2となり、その後端と変位情報取得部80の検知ポイントP1までの距離も繰出し分d2だけ短くなるから、変位情報取得部80が検知する2枚目の用紙後端の通過時間は、図4に示す出力グラフの点線部分になり、1枚目と異なる時間になる。すなわち、用紙が給紙トレイ51のエッジ51e1から少し(繰出し分D2)出ているので、変位情報取得部80で速度を検出する時間は、給紙トレイ51のエッジ51e1から搬送開始する1枚目の場合より短くなる。
実際には、各用紙の搬送ごとに繰出し量が異なる(たとえば3枚目の繰出し分はD3)ので、この短くなる度合いも、図3(B)に示すように、繰出し量の相違分のばら付きΔtを持つ。
同様に、用紙先端(あるいは後端)から第1センサ65間の距離も、繰出し量の分の影響を受け、たとえば図3(B)に示すように、1枚目の先端と第1センサ65との間は、エッジ51e1から第1センサ65までの距離d1であるのに対して、2枚目の距離d2は、距離d1よりも繰出し量D2の分だけ短くなり、3枚目の距離d3は、距離d1よりも繰出し量D3の分だけ短くなる。よって、搬送開始から用紙後端が第1センサ65を通過するまでの時間も、繰出し量の分の影響を受ける。
時間ばら付きの最大値は、用紙位置のずれ量、つまり給紙トレイ51から用紙先端が繰り出している分(繰出し量)Dの最大値Dmax を、用紙が第1センサ65を通過する速度で除算した値に相当する。
ここで、繰出し量Dの最大値(用紙位置の最大ずれ量)Dmax としては、たとえば、用紙先端が給紙ロール対55の当接部55aまで繰り出した状態であるエッジ51e1から当接部55aまでの距離Dmax1、あるいは、用紙先端が第1センサ65の検知ポイントP2まで繰り出した状態であるエッジ51e1から検知ポイントP2までの距離Dmax2を使用できる。後者は、用紙先端が第1センサ65を超えると、複数枚が搬送される、いわゆる重送の状態となり、もはや、本願の対象範囲でないからである。
ここで、本実施形態において、フィード部53におけるロール故障を診断する場合、他の部分のロール故障の判定と同様に、特願2003−196764号に記載の手法を利用して、動作状態信号として検知した変位情報SO0が示す搬送時間と、この搬送時間について予め定められている正常範囲に対するずれの程度に基づいて、フィード部53を構成するピックアップロール54や給紙ロール対55の故障(ロール部材の摩耗)を判定することが考えられる。
しかしながら実際には、前述のように、給紙トレイ51の上側の用紙搬送時に下側の用紙も給紙トレイ51から繰り出す現象が生じ、この繰出し現象のため、搬送開始から用紙後端が第1センサ65を通過するまでの時間(第1センサ通過時間T65)の分布には、この繰出し現象に起因した搬送開始位置のズレ分に対応する時間のばら付きが含まれていることになる。このばら付きは、ロール部材に摩耗があるか否かに関わらず生じる。
たとえば、ピックアップロール54や給紙ロール対55のロール部材の劣化がない場合でも、図5に示すようなソレノイドONタイミングから第1センサ65までの通過時間間隔の分布で見ると、この分布には、用紙搬送位置のずれによる時間ばら付きが含まれていることになる。また、図6に示すような、ロールが劣化(摩耗など)している場合では、ロールが劣化した分と、用紙搬送位置のずれによる時間ばら付き分の双方が含まれていることになる。ここで、双方の分布を比べると分かるように、図6に示すロールが劣化している方の分布が、平均値および標準偏差がやや大きくなっている。
両者のばら付きは、一定ではなく前者で標準偏差10ms〜60ms、後者で標準偏差10ms〜30ms程度変動する。よって、標準偏差や最大値や最小値の変動など、分布状態を規定する指標のばら付きを考えると、フィード部53の故障診断をタイミング時間(第1センサ通過時間T65)の時間分布を利用して行なうと、分布の変化がロール部材の摩耗と用紙位置のずれの、何れの原因で起こっているかを正確に切り分けることが難しく、結果として、正確な故障診断ができない。そこで、本実施形態では、この両者を峻別するため、以下のような手法を採る。
図7〜図11は、搬送時間のばら付きを対策する手法を説明する図である。上述した説明から分かるように、用紙位置ずれに起因して第1センサ通過時間T65にずれが生じる原因は、第1センサ65による検知が、ソレノイド61をオンしてから用紙(その先端もしくは後端;前例では後端)が第1センサ65を通過するまでの時間を監視しているので、用紙の位置ずれ分、すなわち繰出し量Dの分だけ、ソレノイド61をオンしてからの用紙移動量が少なくなることに起因している。逆に言えば、ソレノイド61をオンしてからの用紙移動量の違いの影響を受けないような時間検知の仕組みにすれば、第1センサ通過時間T65にばら付きが生じないと考えられる。
このための仕組みとしては、ソレノイド61のオン時点を基準とする、第1センサ65による用紙通過の監視だけでなく、他の基準も参照する仕組みとすることが考えられる。
他の基準としては、たとえば、図7(A)に示すように、第1センサ65にて、用紙の先端と後端が通過する時間を検知することが先ず考えられる。この方法に依れば、第1センサ65を用いて、用紙先端が通過してから用紙後端が通過するまでの時間を測定することになるので、基本的に変動要因のない用紙の搬送方向の長さ分が第1センサ65を通過する時間を測定することになる。
ただしこの方法の場合、図7(B)に示すように、第1センサ65の検知特性と判定回路における判定基準(閾値)との関係などに起因する測定誤差が生じる。加えて、検知する長さは用紙サイズによって変わるので、センサの検知特性などに起因する測定誤差が同じであっても、搬送時間に対する誤差つまり搬送時間の測定精度が、サイズの影響を受ける難点があり、特にサイズが小さい方が長い場合に比べて精度が劣る。
他の手法としては、図8(A)に示すように、第1センサ65よりも搬送方向の上流側で、第1センサ65とは異なるセンサ65aを用いて、用紙上の所定の基準位置の通過を監視する手法が考えられる。この場合における用紙上の所定の基準位置としては、用紙の後端や先端の何れかが典型例である。
トレイ上で検知する場合、用紙先端は既にエッジ51e1かそれよりもさらに給紙ロール対55側にあり先端検知はできないので、用紙後端を検知することになる。またこの場合、第1センサ65のような遮断型もしくは反射型のような、単に光がセンサに入力されるか否かを測定するセンサを他のセンサ65aとして使うことは難しい。何故なら、給紙トレイ51の最上位の用紙の後端側を検知する場合、多くのケースでは、移動過程にある1枚目の用紙(最上位の用紙)は、移動していない2枚目の用紙上に存在するので、1枚目の用紙の後端と、2枚目の用紙との区別が殆ど付かないからである。本実施形態において、変位情報取得部80として、速度センサを用いているのはこのためである。この速度センサについては、後で説明する。
なお、第1センサ65と同様のセンサを使って用紙後端を検知しようとすれば、搬送路における給紙トレイ51のエッジ51e1と給紙ロール対55との間に他のセンサ65aを配するしかないであろう。なお、この場合、第1センサ65にて用紙先端を検知し、他のセンサ65aで用紙後端を検知するのが、監視時間が最も長くなる。他のセンサ65aで用紙先端を検知し、第1センサ65で用紙後端を検知するのが最も監視時間が最も長くなるとも考えられるが、用紙の繰出しがあると、他のセンサ65aでは用紙先端を正しく検知することができないので、この手法は使えない。
以上のことを踏まえて、本実施形態においては、図8(A)に示す手法を採用し、図1にも示したように、変位情報取得部80を、給紙トレイ51上に設けて、変位情報取得部80にて用紙の後端を検知することとしている。なお、第1センサ65による検知は、用紙の先端でもよいし、後端でもよい。ただし、変位情報取得部80(他のセンサ65a)の配置位置と第1センサ65との間の距離、並びに用紙サイズとの関係を考慮しつつ、監視時間ができるだけ長くなるようにすることを考えるのがよい。測定誤差が与える測定精度への影響を小さくするためである。
たとえば、図9(A)に示すように、検知対象の用紙サイズの搬送方向の長さよりもセンサ間隔の方が長ければ(たとえば図中のA4サイズ縦置き)、他のセンサ65aによる用紙後端の検出時点の方が必ず先で、この後に、第1センサ65により用紙先端の検出が行なわれるので、第1センサ65により用紙先端を検出することしても、ある程度の監視時間をとることができる。
しかしながら、検知対象の用紙サイズの搬送方向の長さの方がセンサ間隔L1よりも長くなると(たとえば図中のA3サイズ縦置き)、他のセンサ65aによる用紙後端の検出よりも先に第1センサ65にて用紙先端が検出され、この後、センサ間隔L1とサイズ長さLA3との差に対応する時間をおいて他のセンサ65aにより用紙後端が検出されることとなり、監視時間が短くなり、測定精度が劣ってしまう。
実際に装置を構成する場合、装置をコンパクトにするため、給紙トレイ51のエッジ51e1と給紙ロール対55との間隔は比較的短く、加えて、給紙ロール対55の搬送方向後流側近傍に第1センサ65を配置するので、このようになるケースが多いと考えられる。
よって、このような場合、第1センサ65は、用紙先端ではなく用紙後端を検知するようにした方がよい。こうすることで、用紙サイズに拘らず、常に、センサ間距離L1の分を監視するようにできる。つまり、測定精度は、用紙サイズの影響を受けることがなくなる。よって、故障検知のたための基準値を取得する際にも、何れのサイズで取得しておいてもよいことになる。
<変位情報取得部の速度センサの配置について>
速度センサ(変位情報取得部80)は、用紙が搬送され始めて、速度の検出を開始する。このとき、少なくとも速度がほぼ一定になるところを検出できるようにすることが望ましい。たとえば、図4のt10〜t12や図9(B)のt20〜t22の立上りの部分のような、速度が一定になるまでの加速期間Trで用紙後端を検出すると、この加速期間Trは、搬送速度が安定ではないため速度検出のばら付きが大きくなって、後述する故障判定に使うタイミング分布に悪影響を及ぼす可能性があるためである。
このためには、図9(C)に示すように、給紙トレイ51の後端側のエッジ51e2に近い部分ではなく、より中央よりを、変位情報取得部80(速度センサ)の検出ポイントP1にするのがよい。またこの際にも、最大繰出し量Dmax を考慮する必要がある。すなわち、エッジ51e2から最大繰出し量Dmax 分だけ中央よりを起点として、さらに加速期間Trを考慮した分だけ、より中央側に検出ポイントP1を設定する。
こうして、変位情報取得部80を用いて用紙後端の搬送状態を監視することで用紙後端を検知したら、その結果に基づいて、第1センサ65を用いて取得できる用紙通過時間(第1センサ通過時間)を補正することで、正確な第1センサ通過時間T6580を求める。
実際には、搬送状態の監視手法として、前述のように、用紙の後端が変位情報取得部80を通過する時間を起点として、用紙後端が第1センサ65により検知されるまでの時間(用紙後端のタイミングを基準とした第1センサ通過時間T6580)、すなわちセンサ間隔L1分を用紙の後端が通過する時間を搬送時間として求める。そして、この用紙後端のタイミングを基準とした第1センサ通過時間の分布に基づいて故障診断を行なう。
結果的には、第1センサ65と変位情報取得部80とを用いることで印刷用紙の通過タイミングを繰出し量の影響を受けることなく監視できるから、用紙タイミングセンサ69を用いた、給紙ロール対55以降排出ロール対76までの搬送系路におけるタイミング監視とその結果に基づく故障診断と同様に、フィード部53についても、これらと同様の故障診断を行なうことができるようになる。
図10および図11は、変位情報取得部80を利用して、第1センサ通過タイミングT65を補正することによる故障診断に与える効果を説明する図である。なお、フィード部53を構成するピックアップロール54や給紙ロール対55は正常状態のものである。
たとえば、図10に示すソレノイド61のオン時点を搬送開始時点とした第1センサ65までの用紙通過時間(第1センサ通過時間)の分布は、用紙の位置ずれによる時間のばら付きが含まれている。
しかし、同じ測定結果を速度センサ(変位情報取得部80)で検知した用紙搬送通過時間T80で補正して、用紙後端のタイミングを基準とした第1センサ通過時間の分布を見ると、図11に示すように、用紙の位置ずれによる時間のばら付きがなくなる。図11を見ると分かるように、標準偏差約5ms以下にばら付きが収まっている。
ロール部材の摩耗などによるばら付きは、標準偏差で約10〜60ms程度なので(たとえば、ロールが劣化している例の図6)、明らかに、標準偏差を比較することによって、ロール部材の良否を判定できることが分かる。標準偏差の代わりに分散値を比較してもロール部材の良否を同様に判定可能である。
本実施形態では、変位情報取得部80を給紙トレイ51上に配して、搬送過程にある用紙の後端の通過を、その下部にある停止状態の用紙もしくは給紙トレイ51の筐体底面と区別して検知するため、変位情報取得部80として速度センサを用いる。以下、この速度センサとして好適な事例と、速度センサを用いた用紙後端の検知手法について説明する。
<<変位情報取得部の構成例;その1>>
図12および図13は、図1に示した画像形成装置1に使用される変位情報取得部80の第1の構成例を説明する図である。ここで図12は、図1と同様に給紙トレイ51の印刷用紙上に設けられた変位情報取得部80近傍の断面構成を示している。また、図13は、その出力信号の一例を示している。なお、図12中、印刷用紙は、紙面の左側から右側へ搬送されるものとする。すなわち、左側から右側への方向が印刷用紙の搬送方向であり、紙面の奥行き方向がスキュー方向となる。
第1例の変位情報取得部80は、物体表面に現れる構造的特徴を光検出器アレイにより観察することで、物体の位置や運動を判断することを特徴とする。
第1例の変位情報取得部80の構成は、図12に示すように、印刷用紙の搬送方向の変位を監視する搬送状態監視部81と搬送状態監視部81により得られる変位情報に基づいて印刷用紙の搬送状態に関する指標値を求める搬送状態計測部190とを備えて構成されている。
搬送状態監視部81は、被測定物である印刷用紙に測定波の一例である照明光L1を照射する光源部82と、印刷用紙の測定ポイントP1(すなわち照明光L1の照射点)にて反射された被測定波の一例である反射光を受光する受光部85とを有している。光源部82と受光部85とは、それぞれの光軸が所定の関係を常に満たすように、また外光の影響を受けないように、筐体88に収容されている。筐体88の給紙トレイ51と対向する面の一部には開口部88aが形成され、光源部82からの照明光L1が印刷用紙の測定ポイントP1に照射されるようになっている。
光源部82は、照明源の一例である発光素子83と、発光素子83から発せられた照明光L1を所定形状に整形して印刷用紙の測定ポイントP1に導光する照明光学系84とを備える。受光部85は、反射光を受光するためのセンサ要素を有する移動量検出センサ86と、反射光を移動量検出センサ86のセンサ要素上に結像させる結像レンズ87を主要部とする受光光学系とを備える。結像レンズ87は、その一方の焦点面(焦点を含む光軸に直角な平面)が印刷用紙の表面と一致し、他方の焦点面が移動量検出センサ86のセンサ要素の受光面と一致するように取り付けられている。
ここで、光の反射を取り扱う場合、様々な扱い方があるが、本実施形態では、以下のように取り扱うこととする。先ず、光の反射には、物体の表面にて反射する光沢に対しての寄与度が大きい成分(表面反射成分)と、物体表面の内部にて反射する色(明度および彩度)に対しての寄与度が大きい成分(内部反射成分)とに分類できる。また、反射角度の側面では、反射面において巨視的に見て鏡面反射のような反射の法則に従う成分である正反射成分と、反射面において正反射角以外の方向へ散乱する反射の成分である散乱反射(乱反射とも言われる)成分とに分類できる。
光源から発せられ物体で反射した表面反射成分と内部反射成分とを同一の受光角で受光すると、それらを峻別することはできないが、反射角度の側面で分類される正反射成分と散乱反射成分とは分類可能である。ここで、正反射成分は、被測定物の光沢具合を反映するので、物体の搬送状態を監視する点では、その影響が少ない散乱反射成分を受光する方が好ましいと考えられる。
そこで、本例の構成では、測定ポイントP1にて反射された正反射成分L2と散乱反射成分L3のうちの散乱反射成分L3側を受光部85にて受光するようにする。このため、先ず、印刷用紙の法線のθ方向に発光素子83を、法線方向に散乱反射成分L3を受光する拡散反射光受光部34を、それぞれ配置する。ここで、法線方向とは、被測定物である印刷用紙の測定ポイントP1に向かってその真上の位置である。この構成では、散乱反射成分L3の検出にはθ度入射−0度受光系が使用されるようになっている。たとえば、角度(入射角θ)を16°以下のかすめ角照明をなすように選定するのがよい。また発光素子83を所定位置に固定することができ、または可動にして入射角θを必要に応じて調節できるようにするとよい。この角度は、発散または収束するビームの中心線の角度とする。
また、本例のように給紙トレイ51内の印刷用紙の搬送状態を監視する目的で移動量検出センサ86を設ける場合、給紙トレイ51内の用紙量が変化しても、結像レンズ87の1つの焦点面が印刷用紙の表面と常に一致するように制御する機構を設けるとよい。
この場合、たとえば、光学マウスセンサのように下部に滑りやすい部材を設けて給紙トレイ内に前後左右には(すなわち用紙面内では)移動しないように設置し、移動量検出センサ86の自重で紙面に軽く押し当てる構成を採用すればよい。このような移動量検出センサ86(速度センサ)の載置の仕方でも、センサ自体の重量は軽いので、用紙搬送には殆ど影響を与えないと考えてよい。
また、移動量検出センサ86を固定しておき給紙トレイ51内の最上面の用紙高さを常に一定に維持するように制御してもよいし、使用に応じて低くなる用紙高さに合わせて移動量検出センサ86の高さや結像レンズ87の光軸方向の位置を制御する(焦点調整に等しい)ようにしてもよい。後者の場合、受光部85側から見た印刷用紙の測定ポイントP1に照明光L1が照射されるように、発光素子83の照射角度も制御するのがよい。また、ピックアップロール54の高さが不変な仕組みの場合、ピックアップロール54の近傍に変位情報取得部80を配することで、用紙使用量の影響が少なくなるようにしてもよい。
何れにしても、移動量検出センサ86が、発光素子83からの照明光L1の照射点zにて反射された散乱反射成分L3を、印刷用紙の使用量変化の影響を受けることなく、確実に受光できるようにする機構を設けるとよい。本実施形態では、図1に示すように、給紙トレイ51内の最上面の用紙高さを常に一定に維持する用紙高さ維持機構51aが給紙トレイ51内に設けられている。
なお、用紙タイミングセンサ69に代えて変位情報取得部80を設けることも可能である。この場合、搬送過程にある印刷用紙は搬送方向およびスキュー方向の双方に直交する方向(紙面の表裏方向)へ振動し得るので、印刷用紙と移動量検出センサ86との間の距離の変動が生じる。ただしその変動は、給紙トレイ51における用紙使用量の変動に比べると格段に小さく、その変動は概ね問題にならないと考えてよいい。ただし振動が問題となる場合には、給紙トレイ51上に搬送状態監視部81を設ける場合で示したと同様の対処を採ればよい。
照明光L1で印刷用紙の表面を照明する目的は、この表面に構造特徴や印刷特徴を示す光のコントラストを作り出すことにある。搬送状態監視部81を使用して印刷用紙の表面から移動量検出センサ86への光エネルギを集めて焦点を結ばせる目的で結像レンズ87が設けられている。結像レンズ87は、印刷用紙の表面から反射、散乱、透過、または放出された光を集め、それを移動量検出センサ86のセンサ要素上に焦点を結ばせる。結像レンズ87から用紙表面までの距離や結像レンズ87から移動量検出センサ86までの距離は、特定の用途およびその所要倍率について選択されたレンズによって決まる。
搬送状態監視部81は、照明光L1のコントラストを移動量検出センサ86上に結像し、像の時系列内のランドマークとして使用する。そして、時系列を得る期間中に移動量検出センサ86と印刷用紙との間の相対移動の運動測定(すなわち、速度や走行の測定)をする。たとえば、移動量検出センサ86は、個別の光学的感応性を有するセンサ要素が複数個配列されて構成されている。移動量検出センサ86におけるセンサ要素のピッチは、結像レンズ87の倍率に関連して、移動量検出センサ86が作ることができる像の解像度に影響する。これらのセンサ配列を、電荷結合素子(CCD;Charge Coupled Device )、アモルファス・シリコン光検出器アレイ、CMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor )光検出器アレイ、あるいはこれらに類する種々の形式の能動画素センサ配列を使用してもよい。
第1例の搬送状態監視部81に使用される移動量検出センサ86としては、たとえば、米国Agilent Technologies社のHDNS2000を使用するとよい。この移動量検出センサ86(HDNS2000)は、x軸とこのx軸に直交するy軸の2つの基準軸方向について散乱反射成分L3を検知することで各軸方向の2次元の運動センサとして構成されており、また300mm/secの用紙移動速度まで検出可能な2次元移動量検出素子となっている。なお、2次元移動量検出素子を用いたのは、搬送方向だけでなく、この搬送方向と略直交するスキュー方向の移動量も監視するためであるが、本実施形態においては、2次元の運動センサである必要性は必ずしもない。
詳細な説明は割愛するが、この移動量検出センサ86(HDNS2000)は、印刷用紙表面の微小構造を捉える2次元受光素子アレイと、2次元受光素子アレイで捉えた情報を一時的に格納する画像メモリ部と、パターンマッチング処理や2重相関処理を行なって印刷用紙の移動量を算出する演算処理部と、演算処理部により得られる移動量を示す情報を出力するインタフェース部とを有している。インタフェース部からは、図13(A)に示すように、x方向の位相差パルス列XA,XBおよびy方向の位相差パルス列YA,YBといった4つの信号が、同時に出力される。
移動量検出センサ86は、被測定波としての散乱反射成分L3を検知する検出素子が複数個配列(本例では2次元状に配列)されてなる光検出器アレイにより結像された構造的特徴を観察し、光検出器アレイの視野の中の構造的特徴の移動に基づいて、パターンマッチング処理や2重相関処理を行なうことで、物体(本例では印刷用紙)の位置や運動状態あるいは移動量を算出する。
なお、このように物体表面に現れる構造的特徴を利用して、物体の位置や運動を判断する原理については、たとえば、特許文献4〜10などに記載されている。ここでは、その説明を割愛する。
移動量検出センサ86は、算出した移動量を、図13(A)に示すx方向の位相差パルス列XA,XBおよびy方向の位相差パルス列YA,YBに変換して出力する。何れも、パルス数により移動量を示すようになっている。非検査物体(本例では印刷用紙)との間で相対移動がなければ、位相差パルス列は出力されない。なお、HDNS2000では、1パルスは約0.23mmの移動量に相当している。
ここで、図13(A)は、印刷用紙が移動量検出センサ86(2次元受光素子アレイ)に対して+x方向および+y方向へ相対移動した場合を示している。この場合、図13(A)に示すように、x方向の移動量を表す位相差パルス列XA,XBに関しては、XAはXBに対して90度位相遅れの関係にある。y方向の移動量を表すパルス列YA,YBに関しても、YAはYBに対して90度位相遅れの関係にある。図とは逆に、XBがXAに対して90度位相遅れの関係にある場合や、YBがYAに対して90度位相遅れの関係にある場合は、それぞれ移動方向が逆、すなわち印刷用紙が移動量検出センサ86に対して−x方向や−y方向へ相対移動していることを示す。
移動量検出センサ86の出力は、搬送状態計測部190に通知される。詳細な説明を割愛するが、搬送状態計測部190は、x方向に関しての移動量検出センサ86から出力された信号XA,XBに基づいて単位時間Δt当たりの移動速度Vxが求め、y方向に関しての移動量検出センサ86から出力された信号YA,YBに基づいて単位時間Δt当たりの移動速度Vyが求める。また、搬送状態計測部190は、算出した各軸方向の移動速度を、2つの基準軸方向と実際の搬送方向やスキュー方向とのずれを補正することで、実態に即した搬送方向やスキュー方向の移動速度を求める。
ここで、本実施形態においては、このような構成の移動量検出センサ86を変位情報取得部80に用いて、搬送過程にある用紙の後端が、この移動量検出センサ86の検出ポイントP1を通過したか否かを判定する。
搬送過程では、給紙トレイ51に収容されている最上位(1枚目)の印刷用紙は、図13(B)に示すように、ピックアップロール54によりエッジ51e1側に引き出されて、給紙ロール対55側へ搬送される。1枚目の用紙の給送が完了すると、2枚目の用紙が最上位の用紙となる。よって、搬送過程では、移動量検出センサ86からは、図13(C)に示すような、後端位置によって出力が異なる後端位置依存のパルス出力が得られる。
すなわち、図13(B1)に示すように、1枚目の用紙後端が、エッジ51e2と移動量検出センサ86の検出ポイントP1との間にあるまでは、移動中の1枚目の印刷用紙を移動量検出センサ86が検知するので、位相差パルス列が出力される。
そして、図13(B2)に示すように、1枚目の用紙後端が移動量検出センサ86の検出ポイントP1を超えると、検出ポイントP1における移動量検出センサ86の検知対象物体が、移動過程にある1枚目の印刷用紙から、給紙トレイ51内に収容されて停止している2枚目の印刷用紙(1枚目の印刷用紙に対する他の物体の一例)に切り替わる。このため、移動量検出センサ86からは位相差パルス列が出力されなくなる。なお、給紙トレイ51内に1枚の印刷用紙しか収容されていなかった場合には、検査対象物体が、1枚目の印刷用紙から給紙トレイ51の底面(移動していない)に切り替わるので、この場合にも、同様に移動量検出センサ86からは位相差パルス列が出力されなくなる。
このため、搬送状態計測部190における速度計算では、速度がゼロと計算できる。つまり、変位情報取得部80は、第1の検知ポイントP1における検査対象物体が搬送過程にある印刷用紙から他の物体に切り替わる時点を検知可能である。この搬送状態計測部190で計算された速度情報は、コントロール回路102の計測部162に通知されているので、計測部162は、速度がゼロであるのか否かに基づいて、用紙の後端が移動量検出センサ86の検出ポイントP1を通過したか否かと、ソレノイド61をONさせた搬送開始時点を基準とする、用紙後端が移動量検出センサ86の検出ポイントP1を通過する時間を検知できる。
なお、位相差パルス列そのものを計測部162に通知し、位相差パルス列の出力の有無を監視することで、用紙の後端が移動量検出センサ86の検出ポイントP1を通過したか否かと、ソレノイド61をONさせた搬送開始時点を基準とする、用紙後端が移動量検出センサ86の検出ポイントP1を通過する時間を検知してもよい。
また、1枚目の用紙の引出し時には、上述したように、エッジ51e1よりも給紙ロール対55側へ用紙の先端が繰り出すことがあるが、移動量検出センサ86を図9(C)で示したような位置に設置することで、図13(B3)に示すように、1枚目の用紙の搬送が完了した時点では、2枚目の用紙の後端は、エッジ51e2と移動量検出センサ86の検出ポイントとの間にある。
したがって、用紙の先端が繰り出された状態で次の用紙の搬送が開始する場合であっても、用紙の後端が移動量検出センサ86の検出ポイントP1を通過したか否かと、ソレノイド61をONさせた搬送開始時点を基準とする、用紙後端が移動量検出センサ86の検出ポイントP1を通過する時間を、繰出し量の影響を受けることなく、確実に検知することができる。
<<変位情報取得部の構成例;その2>>
図14は、図&1に示した画像形成装置1に使用される変位情報取得部80の第2の構成例と出力信号を説明する図である。ここで図14は、図1と同様に給紙トレイ51の印刷用紙上に設けられた搬送状態監視部81の断面構成を示している。この第2例の搬送状態監視部81は、移動物体に光や電波などの測定波を照射し、移動物体からの被測定波(たとえば散乱光など)の周波数が、移動速度に比例して偏移(シフト)するいわゆるドップラ効果を利用して、移動物体の移動速度を測定する点に特徴を有する。
図14(A)に示すように、第2例の変位情報取得部80は、レーザドップラ速度計180を備えて構成されている。レーザドップラ速度計180は、被測定物である印刷用紙に測定波としてのレーザ光L5を照射し、このレーザ光L5に対応した印刷用紙からの被測定波としての、ドップラシフトを受けた散乱光L6を検出することにより移動中の印刷用紙の変位情報を検出する。なお、レーザドップラ速度計180は用紙搬送方向の速度を計測可能に給紙トレイ51内の印刷用紙上に設置されている。
印刷用紙の搬送速度は、ドップラシフトΔfD、光速c、レーザ光の周波数fとすると、式(1)により算出される。非検査物体(本例では印刷用紙)との間で相対移動がなければ、ドップラシフトが生じないので、搬送速度はゼロとして求めることができる。
なお、第2例の変位情報取得部80に設けられるレーザドップラ速度計180として、たとえば、キャノン株式会社製のレーザドップラ速度計LV−20Zを使用するとよい。
レーザドップラ速度計180(LV−20Z)は、レーザ光源から発せられたレーザ光を回折格子(diffraction grating )により2つのビーム光に分け、この2つのビーム光を使用して計測を行なう形態の回折レーザドップラ速度計であるとともに、周波数シフタを構成する電気光学素子を使用して2つのビーム光間に所定の周波数差(周波数変調)を与え、これによりドップラ効果を利用して移動物体の速度情報を高精度に検出する形態のレーザドップラ速度計である。レーザドップラ速度計LV−20Zは、2000mm/secの用紙移動速度まで検出可能で、電気光学周波数シフタの導入により静止状態から高速まで対応可能になっている。この点では、高速の画像形成装置1への使用に適する。
詳細な説明は割愛するが、レーザ光源から発せられたレーザ光を回折格子で2つのビーム光に分けて計測を行なう仕組みとすれば、波長λの変化の影響を受けることがなくなる。よって、波長λの温度依存性を持つ安価な超小型で駆動も容易なレーザダイオードなどの半導体レーザを光源に使用しても、移動物体の速度Vを高精度に求めることができる。
なお、移動量検出センサ86の配置精度と同様に、レーザドップラ速度計180と用紙搬送方向とは、公差を持って設置されるが、この設置誤差を補正することで、精度の高い用紙搬送速度Vpを算出することができる。
また、電気光学周波数シフタを導入することで、移動している印刷用紙の速度Vが遅い場合でも、周波数差fRを適当な値に設定することにより、移動速度がゼロに近い静止状態であっても測定でき、またその速度方向も同時に測定できる。
ここで、本実施形態においては、このような構成のレーザドップラ速度計180を変位情報取得部80に用いて、搬送過程にある用紙の後端が、このレーザドップラ速度計180の検出ポイントP1を通過したか否かを判定する。
搬送過程においては、給紙トレイ51に収容されている最上位(1枚目)の印刷用紙は、図14(B)に示すように、ピックアップロール54によりエッジ51e1側に引き出されて、給紙ロール対55側へ搬送される。1枚目の用紙の給送が完了すると、2枚目の用紙が最上位の用紙となる。よって、レーザドップラ速度計180からは、図14(C)に示すような、後端位置によって出力が異なる後端位置依存の検知速度出力が得られる。検知速度出力の用紙後端依存性は、移動量検出センサ86を変位情報取得部80に用いた第1の構成と同じに考えればよい。ここでは、詳細な説明を割愛する。
なお、検知ポイントP1における検査対象物体が、搬送過程にある用紙から停止物体(2枚目の用紙や給紙トレイ51の底面)に切り替わったときに検知速度出力がゼロにならない場合でも、検知速度出力が急激に変化する(低速になる)ことをもって、1枚目の用紙後端が移動量検出センサ86の検出ポイントP1を通過したか否かと、ソレノイド61をONさせた搬送開始時点を基準とする、用紙後端がレーザドップラ速度計180の検出ポイントP1を通過する時間を検知できる。2枚目以降の計測についても、繰出し量の影響を受けないのは、移動量検出センサ86を用いた前述の第1例と同様である。
<故障診断部の構成例>
図15は、故障診断部200の構成例を示す機能ブロック図である。故障診断部200は、駆動回路と、モータ、ソレノイド、クラッチなどの駆動部材と、この駆動部材と連結したギア、ベアリング、ベルト、あるいはロールなどを、1つのモータを共通に使用して、そのモータの駆動力が伝達される範囲ごとにブロックに分けて、ブロックのそれぞれについて、故障の有無を診断したり、将来の故障の可能性を診断(故障推定)したりする。
また、用紙搬送時間の測定に際しては、上記で説明したように、変位情報取得部80で取得した変位情報SO0を参照して、各用紙タイミングセンサ69で取得した時間を補正する。実際には、第1センサ65のみをその対象とすればよい。何故なら、第1センサ65以降では、各用紙タイミングセンサ69間の通過時間を検知すればよく、フィード部53における繰出し量(用紙位置ずれ)の問題が生じないからである。
図示するように、故障診断部200は、駆動部動作電流検出部140などの動作状態信号検出部からの動作状態信号(前例では検知データDcurr)を、一定時間、所定の手順に従って処理し、処理済みデータに基づいて所定の特徴量を求める動作状態特徴量取得部210と、計測部162により得られる変位情報取得部80および用紙タイミングセンサ69を用いて取得される用紙通過時間Stimeを所定の手順に従って処理し、処理済みデータに基づいて所定の特徴量を求める用紙通過時間特徴量取得部220とを備える。用紙通過時間Stimeの中には、変位情報取得部80を用いて給紙トレイ51のエッジ51e1からの用紙繰出し量Dが補正された第1センサ通過時間T6580も含まれている。
また、故障診断部200は、故障診断時の判定指標となる基準特徴量を所定の記憶媒体(好ましくは不揮発性の半導体メモリ)232に格納する基準特徴量格納部230を備える。なお図示しないが、基準特徴量格納部230には、記憶媒体232の他に、記憶媒体232に基準特徴量を書き込むための書込制御部や、記憶された基準特徴量を記憶媒体232から読み出すための読出制御部が設けられる。
基準特徴量としては、駆動機構部90を構成する機構部材(モータやソレノイドなどの駆動部材を含む)や機構部材を駆動する電気部材(駆動信号生成部150や駆動回路)が正常に動作している正常状態で、各特徴量取得部210,220により取得された特徴量を使用する。あるいは、各特徴量取得部210,220で得られる特徴量に代えて、画像形成装置1におけるステッピングモータ112などの動作電流や振動の定格値や設計上の第1センサ通過時間(用紙搬送通過時間T80を基準としたもの)を利用してもよい。
また、故障が検知された場合に、その故障箇所や故障状態を判定するための基準特徴量として、各構成部材が故障時に、各特徴量取得部210,220により取得された特徴量を使用する。この故障状態に関する基準特徴量は、当該装置の各部材を強制的に故障状態にして特徴量取得部210,220により検知したものであってもよいし、管理センタなどに集約されるメンテナンス情報に基づいて取得した情報を用いてもよい。画像形成装置1と管理センタとをネットワーク接続しておき、記憶媒体232に格納されている故障時の情報を定期的に更新するようにしてもよい。
また、故障診断部200は、記憶媒体232に格納しておいた基準特徴量と故障診断時に各特徴量取得部210,220で得られる特徴量である実働特徴量とを比較することにより、診断対象ブロックに故障が発生しているか否かや将来故障が生じる可能性など故障に関わる診断処理を行なう故障判定部240と、故障診断部200内の各機能部や駆動信号生成部150を制御する制御部250とを備える。
故障判定部240は、動作状態特徴量取得部210にて取得される動作状態信号に関わる特徴量に基づいて故障判定処理を行なう動作状態故障判定部242と、用紙通過時間特徴量取得部220にて取得される用紙通過時間に関わる特徴量に基づいて故障判定処理を行なう用紙通過故障判定部244と、用紙通過時間特徴量取得部220にて取得される用紙通過時間に関わる特徴量に基づいて故障予測処理を行なう用紙通過故障予測部246とを有する。
また、故障判定部240は、動作状態故障判定部242や用紙通過故障判定部244が故障判定をした場合や用紙通過故障予測部246が故障予測判定をした場合に、記憶媒体232に保持しておいた故障時の情報を参照して、その故障がどのような状態のものであるのかを特定する故障状態特定部248を有する。
制御部250は、用紙通過時間検出部160からの信号を用いて用紙通過故障判定部244にて故障診断された結果を利用して、故障箇所を特定する診断対象ブロックや処理順序を決定する診断対象ブロック決定部252と、基準特徴量の取得と実働特徴量の取得や診断の各モードを切り替えるため切替部として、第1切替部(SW1)254および第2切替部(SW2)256を有している。また、制御部250は、時刻情報(年月日や時分秒)を取得するシステム時計258を有する。システム時計258は、図示しない時計用チップを有しており、時刻情報を取得する。このシステム時計258は、電源断時や停電時などに時刻情報が消滅しないよう、バックアップ用電池を備えており、常に現時点の時刻を保持している。
また、故障診断部200は、故障判定結果や検査内容をカスタマーに通知する通知部270を備える。故障判定部240は、故障判定結果(故障の有無、故障箇所、故障内容)や故障予測結果(故障可能性の有無、故障箇所、故障内容)あるいは検査内容や取得した動作状態信号を通知部270に通知する。
通知部270は、たとえば、故障判定部240から受け取った故障判定結果などを、お客様(画像形成装置1の操作者や所有者)、画像形成装置1をメンテナンス(保守、維持、管理)するカスタマーエンジニア、あるいは画像形成装置1を管理している管理センタなどのカスタマーに通知する。
たとえば、お客様に直接知らせる場合は、画像形成装置1にアラームを知らせるような、たとえば操作パネル310を利用して、表示部312やスピーカなどで知らせることができる。お客様は、それを見てあるいは聞いて、故障箇所や故障内容をサービスセンター(管理センタ)318に知らせることができる。たとえば、保守点検時の診断モードを受け付け、診断結果を画像形成装置1本体の操作パネル310に表示させる。これにより、ジャム発生の原因特定の効率が向上する。
また、画像形成装置1をメンテナンスするカスタマーエンジニアに直接知らせる場合は、公衆電話回線や、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System )などの携帯端末を使って、故障発生などを連絡することができる。また、故障箇所や故障内容のデータをカスタマーエンジニアが所有する端末に送ることもできる。
また、画像形成装置1を管理しているサービスセンター318などに知らせる場合は、カスタマーエンジニアに直接知らせる場合と同様に、公衆電話回線や携帯端末を使うこともできる。また、インターネットなどのネットワークを介して連絡もできる。これらの場合も、故障箇所や故障内容のデータをサービスセンター318の端末に送ることもできる。
また、画像形成装置1(故障状態特定部248)側で故障箇所や故障内容を特定せずに、故障診断部200にて行なった故障診断の検査内容とそこで使用した動作状態信号などのデータをサービスセンター318に通知し、サービスセンター318側で故障箇所や故障内容を特定するようにしてもよい。
変位情報取得部80として速度センサを利用することで、リアルタイムにフィード部53の故障発生を監視しているので、フィード部53における用紙ジャムの発生を早い段階で防止することができる。
また、サービスセンター318からの制御命令を制御部250にて受け付けると、この制御命令に基づき、監視結果をサービスセンター318に送出する。これにより、遠隔地から画像形成装置1の故障診断が可能となる。
用紙タイミングセンサ69に代えて、変位情報取得部80を設けることができる。この場合、搬送経路上の各部に設けた変位情報取得部80にて印刷用紙の搬送状況をリアルタイムで検出できるため、フィード部53以外にも、用紙搬送装置の機能をなす駆動機構部90の故障の有無を正確にかつリアルタイムに検出することができる。
このように、この故障診断装置3に依れば、変位情報取得部80として速度センサを用いることで、移動物体の運動状況を非接触で検出可能な検知機構を利用して、フィード部の搬送中の印刷用紙の搬送方向の移動速度を監視するようにしたので、用紙搬送速度を直接かつリアルタイムかつ非接触で、加えて移動中の印刷用紙に負荷を与えることなく、高精度に検出することが可能になる。
このような仕組みで搬送状態を監視した監視結果に基づいて搬送系統の故障の有無を診断するようにしたので、搬送系統の動作不良に関して、移動中の印刷用紙に負荷を与えることなく、故障発生後即時にその故障発生を精度よく判定することができるようになった。用紙搬送速度をリアルタイムで検出することにより、除去が困難な用紙ジャムが発生する前に装置を停止し、除去が困難な用紙ジャムの発生を防ぐことができる。
給紙トレイ51の抜き差しが不要であり、煩わしい作業を行なわなくとも、フィード部53の搬送状態を診断することができ、メンテナンス作業の効率アップに繋がる。加えて、顧客が使用中の状態を監視することで、フィード部53に関しての故障診断用のデータを取得することもできるし、その結果をサービスセンターで監視したり、サービスセンターからリモートで画像形成装置を動作させてフィード部53を診断するためのデータを取得して故障診断を行ったりすることもできる。
なお、故障診断部200は、定期的に変位情報取得部80により移動速度を取得して、これをメモリに履歴データとして保存しておき、所定のタイミングで所定分の履歴データを読み出し、データ処理をして判定用の指標値を求め、この指標値が基準値外となったときに搬送系統が劣化しており、近い将来異常が発生し得ると判定し、この劣化判定に応じた保守処理を行なうようにしてもよい。実際に故障が発生する正常時であっても、搬送系統の劣化具合を診断し劣化度合いに応じた適応処理をすることで、効率的なメンテナンスシステムを構築することができる。
このような仕組みによれば、搬送状態を監視した結果に基づいて、搬送系統(本例では特にフィード部53について)の劣化状態を直接に随時診断することができ、フィード部53の劣化状態を搬送中の印刷用紙に負荷を与えることなく、高精度に判定することができるようになる。従来であれば、劣化状態を直接計測できないため使用状況を示すカウンタ情報に基づき早めに交換していた搬送ロールなどの消耗品に関して、印刷用紙の搬送状態を示すたとえば搬送方向の移動速度や、補正された第1センサ通過タイミングT6580を直接かつ非接触で測定することで、劣化状態を随時モニタすることができ、保守サービスの効率化を実現できる。
<用紙通過時間に基づく故障判定処理の基本>
図16は、図15に示した故障診断部における、用紙通過時間に基づく故障判定処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の故障診断装置3は、変位情報取得部80を用いることで、フィード部53についても、用紙通過時間に基づく故障判定処理を行なうことが可能になっている。
なおここでは、本願の特徴部分である用紙通過時間を利用した故障診断(特にフィード部53について)を中心として説明する。動作電流などの動作状態信号を利用したモータやギアなどの駆動部材の故障診断に関しては説明を割愛する。
また、フィード部53におけるステッピングモータ112やソレノイド122などの駆動部材やそれに連動して動作する駆動系全般には故障や動作不良がなく、ピックアップロール54や給紙ロール対55に破損や摩耗が生じていて、これによって用紙通過時間に支障を来す搬送異常が生じているものとして説明する。ここでは説明を割愛するが、用紙通過時間に支障が生じている場合に、その原因が駆動系全般による故障や動作不良に基づくものであるのか否かを事前に判定しておくことで、切り分けることができるからである。
先ず用紙通過時間特徴量取得部220は、画像形成装置1が正常状態にあるときに、画像形成装置1の通常動作(たとえば複写など)でq回の動作をさせて、変位情報取得部80の速度センサと第1センサ65との間や所定の用紙タイミングセンサ69間の用紙通過時間Tnを収集する(S300,S302)。繰返回数qは、1つのセンサ間の組合せについて、約100回程度であればよい。なお、この測定は、検査しようとする部品が新しいとき、たとえば、画像形成装置1の出荷時や部品交換時(当然に正常時である)に実施するのがよい。
用紙通過時間特徴量取得部220は、収集した用紙通過時間Tnについて、それぞれのセンサ間の組合せの用紙通過時間の平均値Tqと標準偏差σtとを計算する(S304)。フィード部53を診断対象とする場合、変位情報取得部80から第1センサ65までの用紙後端の通過時間である第1センサ通過時間T6580が計算対象となる。
基準特徴量格納部230は、この平均値Tqと標準偏差σtとを用紙通過時間特徴量取得部220から受け取り、故障予測診断を行なうため基準として用いる基準特徴量(Tqs,σts)として、各センサ(変位情報取得部80や各用紙タイミングセンサ69)の組合せが分かるように記憶媒体232(たとえば不揮発性メモリ)に格納する(S306)。
故障診断部200は、他のセンサ間の組合せについても、上記ステップS300〜S306と同様の処理を繰り返すことで(S308)、全てのセンサの組合せについて、基準特徴量(Tqs,σts)を取得してメモリに格納する。
また、用紙通過時間特徴量取得部220は、実働状態においても、用紙通過時間Tfを測定する(S310)。用紙通過故障予測部246は、この実働状態の特徴量である実働特徴量(用紙通過時間Tf)を、基準特徴量格納部230の記憶媒体232から取り出した対応する用紙タイミングセンサ69間の基準特徴量(平均値Tqsと標準偏差σts)と比較して、診断対象センサ間の搬送異常の有無を判断する(S312)。この比較は、正常時の用紙通過時間Tnの平均値±3×標準偏差内、すなわちTqs±3σts内に、検査対象部材の実働特徴量Tfが入っているかどうかを調べることで行なう。
なお、「搬送異常の有無」とは、用紙搬送系のロール部材(ここではフィード部53のロール部材)に破損や摩耗が生じているか否かを判定することである。
用紙通過故障予測部246は、実働特徴量TfがTqs±3σts以内の場合は用紙搬送系のロール部材が正常であると判定し(S314−YES,S316)、実働特徴量TfがTqs±3σts以内に入っていなければ、用紙搬送系のロール部材に破損や摩耗が生じていると判定する(S314−NO,S318)。
故障診断部200は、他のセンサ間の組合せについても、上記ステップS310〜S318と同様の処理を繰り返すことで(S320)、他のセンサ間についても、搬送異常の有無を判定する、すなわち用紙搬送系のロール部材に破損や摩耗が生じているか否かを判定する。
このような処理手順に依れば、用紙タイミングセンサ間の用紙通過時間が正常範囲内であるか否かに基づいて判断することで、動作電流や振動の観点だけでは検知が難しい、用紙搬送系のロール部材に生じる破損や摩耗を検知することができる。特に、従来では正確な診断が難しかったフィード部53を構成する用紙搬送系ロール部材(具体的にはピックアップロール54や給紙ロール対55)の良否を簡単に検出でき、メンテナンス作業が容易になりサービスコスト低減に繋がる。
たとえば、フィード部53を構成するピックアップロール54や給紙ロール対55の路0流部材の故障診断の場合、予め正常な状態のフィード部53で、用紙の位置ずれ補正した搬送開始時間から第1センサ65までの第1センサ通過時間T6580の分布を測定し、その時間分布から、標準偏差を算出しておき、記憶媒体232に格納しておく。
故障診断時には、フィード部53(ピックアップロール54や給紙ロール対55)で再度同様に標準偏差を算出し、記憶媒体232に格納しておいた標準偏差より大きい場合は、ロール部材が不良であると判定する。逆に小さい場合は、ロール部材は正常であると判定する。
なお、故障診断は、必ずしも、複数回の測定を行なって標準偏差を求めなくてもよい。1回の測定結果からでもロール部材の良否の判定が可能である。図5および図6に依れば、平均値についてはさほど変化していないことが分かる。用紙搬送の位置ずれ補正を行なうとさらに、位置ずれによる変動がなくなるから、さらに平均値の変化は少なくなる(図10および図11参照)。
したがって、ロール部材の劣化による平均値の変化が小さく、標準偏差の変化の方が大きいから、1回の測定結果に基づき、記憶媒体232に格納している(たとえば、正常時の時間分布の最大値と最小値を記憶媒体232に格納しておくとする)最大値より大きい、あるいは最小値より小さいときは、ロール部材が劣化していると判定する。その逆は正常と判定できる。
<用紙通過時間に基づく故障予測処理の基本>
図17は、図15に示した故障診断部における、用紙通過時間に基づく故障予測処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態の故障診断装置3は、用紙通過時間検出部160(詳しくは計測部162)で検出された用紙通過時間Tfが正常範囲にある場合であっても、故障予測診断を行なうことが可能になっている。基準特徴量(Tqs,σts)に関しては、用紙通過時間に基づく故障判定処理(S300〜S306)により既に記憶媒体232に格納されている。
故障診断部200は、システム時計258からの時刻情報に基づき、予め定められている期間ごとに故障予測処理を定期的に行なう(S330−YES)。そして、故障診断部200は、上述の故障判定処理にて正常と判定された場合であっても(S320−YES)、故障予測処理を行なうタイミングであれば(S332−YES)、用紙通過時間に基づく故障判定処理における基準特徴量(Tqs,σts)を取得する場合と同様に、画像形成装置1の通常動作で約100程度の動作をさせて、各用紙タイミングセンサ69間の用紙通過時間データを収集する(S340,S342)。そして、用紙通過時間特徴量取得部220は、収集した実働状態の用紙通過時間の分布と、予め取得しておいた真の正常時の分布とを比較することで、用紙搬送系のロール部材の故障発生を予測する。
たとえば、用紙通過故障予測部246は、各センサ(変位情報取得部80の速度センサや各用紙タイミングセンサ69)間の用紙通過時間の標準偏差σtを計算し、これを実働状態の特徴量(σtf)とする(S344)。用紙通過故障予測部246は、この実働状態の特徴量(標準偏差σtf)を、基準特徴量格納部230の記憶媒体232から取り出した対応するセンサ間の基準特徴量(標準偏差σts)と比較して、用紙搬送系のロール部材の故障予測を行なう(S346)。
この予測診断のための比較は、たとえば、実働状態の特徴量(標準偏差σtf)が、正常時の用紙通過時間の標準偏差σtsの3〜4倍以上であれば、特に近い将来に故障が起こると判定することで行なう。用紙通過故障予測部246は、実働特徴量σtfが3σts〜4σts以内の場合は用紙搬送系のロール部材が正常であると判定し(S354−YES,S356)、実働特徴量σtfが3σts〜4σtsを超えている場合には、用紙搬送系のロール部材が近い将来故障すると判定する(S354−NO,S358)。
このように、本例の処理手順に依れば、用紙通過時間を定期的に検査し(すなわち常に監視し)、検出した用紙通過時間がたとえ正常であっても、用紙通過時間の分布と正常時の分布とを比較することにより、機械の稼動部の異常や経年変化による故障や動作不良などの起きる可能性を予測する。時間分布が徐々に変化していく場合には、故障する前に交換するなど、故障の予知が可能になる。すなわち、機械の経年変化による故障の発生を早期にかつ正確に判断することができる。これにより、システムダウンを起こさないように、メンテナンス計画を立てることができる。結果として、サービスコストの低減を図ることもできる。
なお、検知データの経時データに基づいて故障予測を行なう仕組み(故障カーブを利用したもの)が知られているが、この場合、過去のデータを多数蓄積しておき、その履歴カーブを採って判定する、すなわち用紙通過時間そのものの経時変化を調べる必要がある。また、この経時変化に基づく判定は、必ずしも故障発生の可能性を容易に判定できるものではなく、経験やノウハウを要する。
これに対して、本例の処理手順では、用紙通過時間そのものの経時変化を調べる必要はなく、たとえば出荷時などに取得しておいた正常時の分布と実働状態で取得した用紙通過時間の分布とを比較することで、故障が生じ得るか否かを判定するので、簡単に故障発生を予測できる。たとえば、標準偏差を判定指標値として使用すれば、数値データの単純な比較でその判定が可能となる。
上記故障予測処理の説明では、実働時の標準偏差σtfと正常時の標準偏差σtsとを比較することで故障予測を診断していたが、その手法はこれに限定されない。たとえば、実働状態の用紙通過時間の分布と正常時の分布とを比較する手法として、両者の平均値同士を比較するようにしてもよい。たとえば、実働状態の平均値が正常時の平均値よりも所定範囲外になっていれば故障が生じると予測してもよい。分布形状としては差がないが、使用に連れて、全体としてずれが生じる故障に対して有効な判定手法である。また、このような故障に対しては、平均値を判定指標とする代わりに、メジアン(中央値)を使用することもできる。
<変位情報取得部の検知結果に基づく搬送制御機能>
図18は、画像形成装置1において、搬送状態監視部81(つまり変位情報取得部80)の監視結果に基づいて、画像形成装置1内の駆動機構部90による搬送動作を制御する搬送処理部100の機能を説明する図である。ここでは、図1と同様に、特にフィード部53の動作状態を変位情報取得部80にて監視し、その監視結果に基づいて、フィード部53の搬送動作を制御する点について説明する。
図示するように、搬送処理部100は、変位情報取得部80と、画像形成装置1の動作を制御する装置制御部300とを備えている。装置制御部300は、変位情報取得部80による監視結果である用紙搬送速度に基づき、用紙搬送速度が予め設定された正常範囲内となるように駆動機構部90を制御する搬送制御部302を有している。
この搬送制御機能を実行する搬送制御部302は、搬送状態監視部81による監視結果である用紙搬送速度に基づき、駆動機構部90を駆動するモータを制御する。搬送ロール対56,57用のモータ97を制御することができる。
加えて、本実施形態特有の機能として、図1に示したように、フィード部53に変位情報取得部80を搭載することで、給紙トレイ51からの用紙の繰出しの影響を受けることなく、フィード部53の搬送制御も精度よく行なうことが可能であり、用紙搬送速度を正常範囲に早急に収めることが可能となる。
なお、本実施形態の画像形成装置1の構成では、給紙トレイ51内の印刷用紙上に搬送状態監視部81を設置するようにしていたが、搬送状態監視部81の設置箇所は、給紙トレイ51上に限定されない。たとえば、用紙タイミングセンサ69に代えて、搬送状態監視部81を設けることができる。
用紙タイミングセンサ69は、用紙先端位置に基づくタイミング情報のみのセンサであるのに対し、本実施形態で用いている2次元移動量検出センサ86やレーザドップラ速度計180を利用した変位情報取得部80は、タイミング情報だけでなく、搬送速度という印刷用紙の搬送状況をリアルタイムで検出できる。このため、フィード部53による搬送動作をリアルタイムに制御することで、単に変位情報取得部80と第1センサ65間の用紙通過時間管理というタイミング制御を行なうだけでなく、フィード部53における用紙搬送速度を正常範囲に早急に収めることもできる。2次元センサとすれば、搬送方向の制御だけでなく、スキュー方向の制御もできる。
このように、本実施形態の搬送処理部100に依れば、変位情報取得部80を用いて、フィード部53に関して、移動物体の運動状況を非接触でかつリアルタイムで検出可能な検知機構を利用して、搬送の初期段階であるフィード部近傍で搬送中の印刷用紙の搬送方向の移動速度を監視するようにしたので、用紙搬送速度を直接かつリアルタイムかつ非接触で、加えて移動中の印刷用紙に負荷を与えることなく、高精度に検出することが可能になる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、上記実施形態では、複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、あるいはそれらの機能を組み合わせて有する複合機などの画像形成装置に故障診断装置を適用した事例で示したが、搬送装置や故障診断装置が適用される装置は、画像形成装置に限らず、搬送装置を使用するあらゆる機器に適用してもよい。
また、上記実施形態で説明した故障診断に関わる機能部分(特に故障診断部200内の各部)は、ハードウェアにより構成することに限らず、その機能を実現するプログラムコードに基づいて電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェア的に実現することも可能である。よって、本発明に係る故障診断装置を、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体を発明として抽出することもできる。ソフトウェアにより実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などを容易に変更できる利点を享受できるようになる。
1…画像形成装置、3…故障診断装置、30…画像形成部、32…感光体ドラムロール、50…給紙搬送機構部、51…給紙トレイ、52…搬送路、53…フィード部、54…ピックアップロール、55…給紙ロール対、56,57,58…搬送ロール対、69…用紙タイミングセンサ、80…変位情報取得部、86…移動量検出センサ、90…駆動機構部、100…搬送処理部、102…コントロール回路、150…駆動信号生成部、180…レーザドップラ速度計、190…搬送状態計測部、200…故障診断部