以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<<画像形成装置の構成例>>
図1および図1Aは、故障診断装置の一実施形態を搭載した画像形成装置の構成例を示す図である。ここで、図1は、画像形成装置1の故障診断機能に着目した機能ブロック図である。図1Aは、画像形成装置1における、被搬送体並びに記録媒体の一例である印刷用紙上に画像を転写する機能部分と、原稿の画像を読み取る機能部分とに着目した、機構部分(ハードウェア構成)の断面図を示している。
画像形成装置1は、たとえば原稿の画像を読み取る画像読取部(スキャナ部)を備え、画像読取部で読み取った画像データに基づいて原稿画像に対応する画像を印刷する複写装置機能、パソコンなどから入力された印刷データ(画像を表すデータ)に基づいて印刷出力するプリンタ機能、およびファクシミリ画像を印刷出力可能なファクシミリ送受信機能を備えた複合機であって、デジタルプリント装置として構成されているものである。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、故障診断機能に関わる機能部として、当該画像形成装置1の故障を診断する故障診断装置3と、用紙通過時間、駆動電流、装置内部温湿度などの装置を診断するために必要となる、装置が動作しているときの装置内部の状態情報(動作状態信号)を観測データとして自動的に取得するセンサ部4と、故障診断に必要な情報を入力するための故障診断入力部5を備える。また、画像形成装置1は、その基本機能をなす機能部として、画像を形成し出力する画像形成部6と、原稿画像を読み込む画像読取部7と、通信網306(ネットワーク)を介して各種の情報のやり取りを行なう通信部8を備える。故障診断装置3は、必要に応じて、管理センタ301に備えられる管理装置(たとえばホストコンピュータ)と連携した処理を行なうように構成してもよい。
画像形成部6は、画像読取部7で読み込んだ画像または通信部8を介して各種の情報機器からプリント指示された画像を所定の印刷用紙上に出力する。なお、通信部8は、通信部8が通信部8を介して管理センタ301に備えられる管理装置から最新の診断モデルを取得するためにも利用される。
故障診断装置3は、各取得情報に基づき装置の故障診断を行なうのに必要な情報を生成する診断情報生成部3Aと、診断情報生成部3Aより得られた情報に基づいて故障診断を行なう故障診断部3Bを有する。
図1Aに示すように、画像形成装置1は、故障診断装置3を備える他、大別して、入力された画像データに基づいて画像を印刷用紙上に形成(印刷出力)する機能を有する画像形成部6と、印刷用紙を画像形成部6の印字部(プリントエンジン)に給送する給紙搬送機構部50と、画像形成後の印刷用紙を機外に排出する排紙搬送機構部70と、原稿の画像を読み取る画像読取部7とを備えている。画像形成部6、給紙搬送機構部50、および排紙搬送機構部70を纏めて、画像出力部という。各部は、回転力によって被搬送体の一例である印刷用紙を所定方向に移動させるロール部材を含んで構成されている。
<画像形成部>
画像形成部6は、取り込んだ画像データ(たとえば赤R,緑G,青Bの色空間)を当該画像形成部6側において出力処理に用いる色空間(たとえばイエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックK)の画像データに変換したり、画像濃度(コントラスト)やシャープネスなどの補正をしたり、その他の画像処理を行なう画像処理部31と、画像処理部31から入力された画像データに基づいて、たとえば、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙などの印刷用紙上に可視画像を形成する、すなわち印刷出力する機能部を備える。
以下においては、印刷出力する機能部として、画像形成装置1をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャン(ROS)ベースのプリントエンジンを備えるものとして説明する。
この場合、画像形成部6の中央部には、たとえば感光体ドラムロール32が配され、この感光体ドラムロール32の周囲には、一次帯電器33、現像ロール34aおよび現像クラッチ34bからなる現像器34、あるいは転写ロール35、クリーナロール36、ランプ37などが配設される。現像器34の近傍には現像器34に色剤(たとえばトナー)を供給する色剤カートリッジ38が配される。転写ロール35は、感光体ドラムロール32と対向して配され、その間に用紙を挟持して搬送するように、対構造をなしている。
また画像形成部6は、画像形成データに基づいて潜像を感光体ドラムロール32に記録するための書込走査光学系(以下レーザスキャナという)39を有する。レーザスキャナ39には、図示しないホストコンピュータなどから入力された画像データに基づきレーザ光Lを変調して出力するレーザ39aと、このレーザ39aから出力されたレーザ光Lを感光体ドラムロール32上に走査するためのポリゴンミラー(回転多面鏡)39bおよび反射ミラー39cなどの光学系を有する。
給紙搬送機構部50は、画像形成部6に印刷用紙を搬送するための給紙トレイ51と、給紙系統の搬送路52を構成する複数のロールや用紙タイミングセンサなどで構成されている。給紙搬送機構部50のロールとしては、単体構造のものと、2つが対向して配されその間に用紙を挟持して搬送する対構造のものとがある。
たとえば、搬送路52上には、画像形成装置1における用紙通過時間情報を収集するためのセンサ部材として、給紙ロール対55と第1搬送ロール対56との間における給紙ロール対55近傍に第1センサ65(プレフィードセンサ)が、給紙ロール対55と第1搬送ロール対56との間における第1搬送ロール対56近傍に第2センサ66(フィードアウトセンサ)が、第2搬送ロール対57と第3搬送ロール対58との間における第2搬送ロール対57近傍に第3センサ67(プレレジセンサ)が、また第2搬送ロール対57と第3搬送ロール対58との間における停止ツメ62近傍に第4センサ68(レジゲイトセンサ)が、それぞれ設けられている。
また、ピックアップロール54の近傍には、このピックアップロール54を作動させるためのナジャーソレノイド61が設けられている。ピックアップロール54と、給紙ロール対55と、ナジャーソレノイド61とでフィード部53が構成される。
また、第3搬送ロール対58近傍の搬送路52上の前流側(図中左側)には、搬送路52上で搬送されてきた印刷用紙を一旦停止させるための停止ツメ(レジゲイト)62と、この停止ツメ62を作動させるためのレジゲイトソレノイド63とが設けられている。
また、画像形成装置1の駆動機構部は、1つのモータによりできるだけ有効に活用できるように、ギア、シャフト、ベアリング、ベルト、ロールなどを使って、幾つかの方向にモータの動力が伝達するように構成されている。駆動機構部は、画像形成装置1内で、駆動機構のベース(マスター,動力源)となる駆動モータ(本例ではメインモータ95を除くモータ96〜99)を動作単位として動作するように構成されている。ソレノイドやクラッチは、電力供給を受けて動作する駆動部材の一例でもあるが、これらは駆動モータの駆動力が伝達される他の部材に対する切替機構として機能するので、駆動モータに対してスレーブの関係にあり、この点では、ギア、シャフト、ベアリング、ベルトなどと同様に動力伝達部材の一例でもある。
また、画像形成装置1には、装置を診断するために必要となる装置が動作しているときの動作状態信号を観測データとして自動的に取得するセンサ部4と、取得された観測データに基づいて故障診断を行なう機能部(故障診断装置3)が設けられている。センサ部4が取得する観測データとしては、たとえば、装置内のコンポーネント(モータ、ソレノイド、クラッチなど)を動作させたときの駆動電流、装置稼働時の振動や差動音、特定部品(あるいはその周囲)や装置全体内の温度あるいは湿度、感光体ドラムロール32近傍のランプ37の光量変化、用紙が通過するタイミング時間などがある。
たとえば、搬送路52上には、画像形成装置1における用紙通過時間情報を収集するためのセンサ部材として、給紙ロール対55と第1搬送ロール対56との間における給紙ロール対55近傍に第1センサ(フィードアウトセンサ)65が、給紙ロール対55と第1搬送ロール対56との間における第1搬送ロール対56近傍に第2センサ(フィードアウトセンサ)が、第2搬送ロール対57と第3搬送ロール対58との間における第2搬送ロール対57近傍に第3センサ(プレレジセンサ)67が、また第2搬送ロール対57と第3搬送ロール対58との間における停止ツメ62近傍に第4センサ(レジゲイトセンサ)68が、それぞれ設けられている。
給紙ロール対55は、用紙を、第1センサ65、第2センサ66、および第1搬送ロール対56へと導くことに加えて、重送(2枚以上の給紙)を防ぐためのサバキの役割も受け持つ。第1搬送ロール対56および第2搬送ロール対57は、用紙を感光体ドラムロール32に導くための役目を果たす。
第1センサ65にて用紙搬送時間を監視することで、たとえばフィード部53を起因とする用紙繰出しに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。また、第2センサ66にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば第1搬送ロール対56を起因とする用紙引込みに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。また、第3センサ67にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば第2搬送ロール対57を起因とする用紙繰出しに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。また、第4センサ68にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば第3搬送ロール対58を起因とする用紙引込みに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。
レジゲイトソレノイド63は、第2センサ66がオンしてから、一定の時間経た後に、用紙を停止ツメ62で一旦停止させるために使われる。この目的は、用紙内での書出位置と感光体ドラムロール32上の像の位置を合わせるためのタイミングを合わせるためである。
排紙搬送機構部70は、画像形成部6にて印刷用紙上に画像形成された印刷済み用紙を機外にて受け取るための排紙トレイ71(外部トレイ)と、排紙系統の搬送路72を構成する複数のロールやセンサなどで構成されている。排紙搬送機構部70のロールとしては、2つが対向して配され、その間に用紙を挟持して搬送する対構造のものが使用されている。たとえば、搬送路72上には、ロール部材として、画像形成部6の転写ロール35側から排紙トレイ71に向けて順に、定着ロール対74(フューザ、定着器)と排出ロール対76(イグジットロール)とを有する。本実施形態では定着ロール対74を排紙搬送機構部70側に組み入れて示しているが、画像形成部6側に組み入れて考えてもよい。
また、搬送路72上には、画像形成装置1における用紙通過時間情報を収集するためのセンサ部材として、定着ロール対74と排出ロール対76との間に第5センサ78(定着器排出センサ)が、また排出ロール対76と排紙トレイ71との間に第6センサ79(排出センサ)が、それぞれ設けられている。
第5センサ78にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば定着ロール対74を起因とする用紙引込みに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。また、第6センサ79にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば排出ロール対76を起因とする用紙繰出しに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。また、第4センサ68と第5センサ67とで協働して用紙搬送時間を監視することで、たとえば感光体ドラムロール32を起因とする用紙引込みや用紙繰出しに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。
用紙通過時間情報を収集するためのセンサ部材である各センサ65,66,67,68,78,79(以下纏めて用紙タイミングセンサ69ともいう)は、用紙搬送通過時間情報を収集する用紙通過時間検出部を構成する用紙検知部材(用紙タイミングセンサ)であり、被搬送体の一例である印刷用紙が所定のタイミングで搬送されているかどうか検出するために設置されている。各用紙タイミングセンサ69で得られた検知信号は、印刷用紙の搬送タイミングや搬送時間(用紙通過時間)を計測する計測部に入力されるようになっている。
用紙検知部材をなす各用紙タイミングセンサ69は、設置場所に応じて様々な形状や特性のものを使用してよい。基本的には、一対の発光素子(たとえば発光ダイオード)と受光素子(たとえばフォトダイオードやフォトトランジスタ)で構成されているものを用いる。発光素子と受光素子の両者が一体となったフォトインタラプタを用いてもよい。また、各用紙タイミングセンサ69は、透過型(遮断型ともいわれる)および反射型のうちの何れであってもよい。図1に示す本実施形態の構成では、全ての用紙タイミングセンサ69について、反射型のフォトインタラプタを用いている。反射型の場合、通常用紙が搬送されていない状態では、受光素子は発光素子の光を入力する状態であり、すなわちオン状態となり、用紙タイミングセンサ69を用紙が通過する状態では発光素子の光が遮断され、すなわちオフ状態となる。
画像形成装置1に設けられる故障診断装置3は、その収集した通過時間情報に基づいて部品の故障確率を決定する。そして、故障診断部は、これらの用紙タイミングセンサ69を用いて収集した通過時間情報に基づいて、部品の故障確率を決定し、故障診断を行なう。たとえば、ピックアップロール54(ナジャーロール)や給紙ロール対55(フィードロール)の状態の結果ノードとして、観測可能なノード(通過時間と標準偏差の各ノード)がある。故障確率は、用紙がセンサを通過する時間の平均と標準偏差を観測して、その値が基準より大きいときに故障確率が高いと判断する。
なお、一般的に用紙タイミングセンサ69は、用紙先端部の通過を検知し、所定のタイミングの範囲内かどうかを検出し、印刷用紙の通過タイミングが所定のタイミング範囲外の場合、つまり印刷用紙の搬送開始から各センサを通過する時間が所定の時間範囲から外れている場合、画像形成装置1は、正常にプリントできないジャム(JAM)状態であると判断し以降の用紙搬送工程を中止する、換言すると、用紙の搬送工程に故障が発生した状態であると判断し、用紙搬送を、その時点、その位置で停止させる。
また、画像形成装置1は、電力供給を受けて動作するモータやソレノイドなどの駆動部材やこの駆動部材の駆動力を他の部材に伝達する動力伝達部材などの構成部材を構成要素として含む各駆動機構部の振動を検出する駆動機構振動検出部80を備えている。駆動機構振動検出部80は、一例として、加速度を検知するタイプの加速度センサや機械から発生する音を検知するタイプの音響センサを利用して装置内の振動を検出する振動センサ82を有する。本例では、感光体ドラムロール32の直下で、図示しない本体シャーシに振動センサ82を固定している。なお、この振動センサ82を取り付ける位置は、特に限定しない。画像形成装置1内部で、駆動機構部の加速度や作動音を効率よく検出する位置であればよく、感光体ドラムロール32の直下に限定されない。
また、画像形成装置1は、当該装置が備える駆動機構部の動作に関わる環境情報を取得する機能要素を備えている。一例としては、先ず、画像形成装置1は、装置内の温度を検出する稼働温度検出部84を備えている。本実施形態において、稼働温度検出部84は、たとえば白金測温抵抗体、サーミスタ、熱電対などで構成された電子式センサ、あるいは、物体から放射される赤外線を測定しその赤外線の量から物体の温度を測定するサーモパイルなどの非接触方式などの温度センサ85を有し、この温度センサ85を利用して、装置内における所望位置の温度を検出するようにしている。一例としては、定着ロール対74の近傍の温度を検知するように温度センサ85を配するとよい。
温度上昇には、故障で発熱があり装置内の温度が異常に高い場合と、装置が置かれている周囲温度が高いために装置内の温度が上がる場合がある。前者は、たとえば定着ロール対74に関わる温度制御が故障しているとか、回路が故障して異常に発熱しているとか、関連する個々の部品の故障確率を大きな依存関係があるように設定する。後者は、画像形成装置スペック内での利用でも、長期に亘ってそのような状況に置かれる場合、ロールの劣化が加速し、ロールと用紙の摩擦係数が変化して、用紙搬送時の時間変化に繋がる。この場合も、関連する部品の故障確率が大きくなるように設定する。
また画像形成装置1は、当該装置が備える駆動機構部の動作に関わる環境情報を取得する機能要素の他の一例として、装置内の湿度を検出する稼働湿度検出部86を備えている。本実施形態において、稼働湿度検出部86は、湿度センサ87を有し、この湿度センサ87を利用して、装置内における所望位置の湿度を検出するようにしている。一例としては、給紙トレイ51近傍にて用紙近傍の湿度を検知するように湿度センサ87を配するとよい。用紙が湿度の影響を大きく受けるからである。湿度センサとしては、たとえば雰囲気の湿分の吸脱着による電気的性質の変化を主として利用する電子式センサなど、種々のものを使用してよい。たとえば、乾湿球式、毛髪式、水晶振動式、高分子系センサや金属酸化物センサなどを用いたものなどを使用してよい。特に、高分子系や金属酸化物は、回路との相性のよい小型センサであり、本実施形態の適用に好ましい。
湿度は、ロールと用紙、および用紙間の摩擦係数に影響を与えることが分かっている。湿度が高いほど、用紙間の摩擦係数が大きくなり搬送し難くなり、ミスフィード(搬送障害)の確率が大きくなり、フィード部53でのジャムになる。また、搬送途中でも、用紙とロール間の摩擦係数がばらつくので、用紙搬送時間が変化し、ジャムの発生確率も高くなる。
また、画像形成装置1は、装置が使用する消耗材の状態を検知する機能要素である消耗材検知部を備えている。本実施形態において、消耗材検知部の一例として、先ず、反射光検知用光センサあるいは透過光検知用光センサを有し、この各検知用光センサを利用して、印刷用紙の厚さ(坪量で表現)や用紙種別などの用紙情報を検出する用紙情報収集部88を給紙トレイ51の近傍や搬送路52上の所定位置に設ける。用紙が規定の値(たとえば50〜100g/m^2;“^”はべき乗を示す)より厚い(または薄い)やコート紙の場合、ジャムを生じる可能性が高くなるので、用紙情報を検出して、故障確率の算定に使用する。また、消耗材検知部の他の一例として、現像器34の近傍に配される色剤カートリッジ38には、トナー(色剤)の残量を検出する色剤残量検知部89が設けられている。色剤残量の監視機構については、当該技術分野の当業者に公知のものであるので、ここでは、図示やその詳細な説明を割愛する。
以上、故障診断の判定に利用する観測データの一例について説明したが、ここで示したものは一例に過ぎず、上述したものに限定されない。たとえば、感光体ドラムロール32を中心とするエンジン部の状態を監視するべく、一次帯電器33に供給される印加電圧を監視する機構が設けられる。この監視機構については、当該技術分野の当業者に公知のものであるので、ここでは、図示やその詳細な説明を割愛する。
<画像読取部>
画像読取部7は、読取対象となるシート状の原稿から、その原稿上に描かれた画像を光学的に読み取るものであり、プラテンカバー706を備える。また、画像読取部7は、読取対象となる原稿が載置されるA3サイズよりも少し大きいプラテンガラス712(原稿載置台)を有し、その下部に、原稿を読み取る受光部742を含む光学系や、画像読取部側の画像処理部760を有している。本実施形態では、受光部742としては、基板744上に設けられた密着型のラインセンサ(CIS:Contact Image Sensor)を使用し、プラテンガラス712下でラインセンサを副走査方向に移動させる形態をとっている。
受光部742は、ラインセンサで原稿画像を撮像して得た各分光成分の撮像画像信号を受光部742と同様に基板744上に設けられた図示しない読取信号処理部に送る。読取信号処理部は、この読取りにより得た撮像画像信号に対して所望のアナログ信号処理を施した後に、たとえば赤(R)、緑(G)、青(B)の各色成分のデジタル画像データに変換し、赤、緑、青のデジタル画像データを画像処理部760に送る。
<画像出力部の動作の概要>
前記構成の画像形成装置1において、画像出力部を動作させて、被搬送体の一例である印刷用紙上に画像を形成する際には、給紙搬送機構部50により給紙トレイ51から用紙を繰り出して、その印刷用紙を画像形成部6の所定位置まで搬送させて、印刷用紙上に画像を形成する。
たとえば、先ず、プリント処理の開始とともに、ナジャーソレノイド61が動作し、ピックアップロール54を押し下げる。これとほぼ同時に、画像形成装置1内の各種ロール(対)を回転させるためのモータ96〜99が回転動作を始める。ナジャーソレノイド61により押し下げられたピックアップロール54は、給紙トレイ51に設置された最上面の印刷用紙に接触し、給紙トレイ51内の複数の印刷用紙から分離され、印刷用紙1枚を給紙ロール対55に導く。そして、給紙ロール対55を通して、1枚の用紙のみが給紙されるようになる。給紙ロール対55から送り出された印刷用紙は、各搬送ロール対56,57,58を介して、画像形成部6の感光体ドラムロール32と転写ロール35との間へ搬送される。
画像形成部6においては先ず、一次帯電器33によって感光体ドラムロール32は所定の電位に帯電される。次に潜像形成用の光源としてのレーザ39aが、図示しないホストコンピュータからの画像生成用のデータによって駆動されることで、画像データを光信号に変換し、この変換されたレーザ光Lをポリゴンミラー39bに向けて照射する。このレーザ光Lは、さらに反射ミラー39cなどの光学系を介して一次帯電器33によって帯電された感光体ドラムロール32上を走査することで、感光体ドラムロール32上に静電潜像を形成する。
この静電潜像は、所定色(たとえばブラック;黒)のトナーが供給される現像器34によってトナー像とされ(現像され)、このトナー像は、搬送路52を通過してきた用紙が感光体ドラムロール32と転写ロール35との間を通過する間に、転写ロール35によって印刷用紙上に転写される。転写工程の後に感光体ドラムロール32上に残ったトナーは、クリーナロール36で清掃される。現像ロール34aには、現像クラッチ34bが設けられており、この現像クラッチ34bを使って現像タイミングを調節する。次に、ランプ37(除電装置)によって、感光体ドラムロール32が除電されることで感光体ドラムロール32上の潜像が消去され、次の画像記録のための前記工程に移る。
一方、トナー像が転写された印刷用紙は、定着ロール対74で加熱および加圧されて、印刷用紙にトナー像が定着する。最後に、定着ロール対74を出た印刷用紙は、排出ロール対76によって、機外の排紙トレイ71に排出される。
なお、画像形成部6の構成は上述したものに限らず、たとえば、中間転写ベルトを1つあるいは2つ備えた中間転写IBT(Intermediate Belt Transfer)方式のものとしてもよい。また、図では、単色印刷用の画像形成部6を示しているが、カラー用の画像形成部6として構成してもよい。この場合、エンジン部の構成としては、たとえば、K,Y,M,Cの出力色ごとに同様の画像形成プロセスを繰り返してカラー画像を形成するもの、たとえば単一のエンジン(感光体ユニット)で各色の画像を順に形成しつつ、これを1色ずつ中間転写体に重ね転写してカラー画像を形成するマルチパス型(サイクル型/ロータリー型)の構成、あるいは、各出力色に対応する複数のエンジンを、たとえばK→Y→M→Cの順にインライン状に配列し、K,Y,M,Cの画像を4つのエンジンで並列的(同時進行的)に処理するように構成したタンデム型の何れとしてもよい。
<故障診断装置>
図2は、故障診断装置3の一実施形態を示すブロック図である。故障診断装置3は、センサ部4で取得される観測データに基づき故障診断を行なうように構成されている。たとえば、故障診断装置3の診断情報生成部3Aは、センサ部4で取得された観測データやその他の故障診断に必要な各種情報を取得する動作状態情報取得部140と、発生した故障の状態を故障診断入力部5により提示された画面の指示に従ってユーザが入力することにより得られた故障情報を取得する故障情報取得部152と、ユーザ操作によって動作条件の異なる状態で故障情報を取得する追加操作情報取得部154と、診断情報収集部160(特徴量抽出部)を備えている。
動作状態情報取得部140は、センサ部4より取得された各部品の稼動状態を示す部品情報を観測データ情報として取得する部品状態情報取得部142と、画像形成装置1の使用状況を監視するとともに、監視結果を不揮発性の記憶媒体に登録・保持することで画像形成装置1の使用状況の監視結果を履歴情報として管理する履歴情報取得管理部143を有する。
さらに動作状態情報取得部140は、センサ部4をなす稼働温度検出部84や稼働湿度検出部86にて検知される情報に基づき、温度や湿度などのコンポーネントの状態に影響を与える周囲環境条件を環境情報として取得する環境情報取得部144と、消耗材検知部(用紙情報収集部88や色剤残量検知部89など)にて検知される情報に基づき、印刷用紙の厚さや用紙種別、あるいは色剤の色種やタイプや残量など装置が使用する消耗材の情報を取得する消耗材情報取得部145と、画像形成装置1の仕様情報を取得する仕様情報取得部146を有する。
診断情報収集部160は、部品状態情報取得部142にて取得される搬送系の駆動部材が所定期間動作している間の動作状態を示す動作状態信号に基づいて、その動作状態信号の特徴量を求める。また、診断情報収集部160は、部品状態情報取得部142だけでなく、履歴情報取得管理部143、環境情報取得部144、消耗材情報取得部145、あるいは仕様情報取得部146からの情報も取得して、それら取得した情報の特徴量も求める。診断情報収集部160は、部品状態情報取得部142からの動作状態信号やその他の履歴情報取得管理部143などからの情報を受け取る動作状態信号受取部の機能を持つ。
故障診断装置3の故障診断部3Bは、故障診断時の判定指標となる基準特徴量を所定の記憶媒体(好ましくは不揮発性の半導体メモリ)に格納するに格納する基準特徴量格納部230、各取得部(動作状態情報取得部140、故障情報取得部152、追加操作情報取得部154)より得られた情報に基づいて故障原因の確率を算出する故障確率推論部260、あるいは故障判定結果や検査内容をカスタマに通知する通知部270などを内部に有する。故障確率推論部260は、故障候補抽出や故障判定や故障予測を行なう故障判定部262と、故障判定部262の故障判定や故障予測に際して使用される故障確率を推論する推論エンジン264を有する。
また、故障診断部3Bは、本実施形態特有の構成として、故障確率推論部260の診断結果(特に故障原因候補)および市場における最新の故障情報に基づき故障原因を確定する故障原因確定部360と関連情報取得提示部380を備える。関連情報取得提示部380は、故障確率推論部260により診断結果として抽出される故障原因候補ごとに、故障原因(特に故障原因候補)に関わる関連情報であって故障に対する処置を行なう際に有用な関連情報を取得する関連情報取得部と、関連情報取得部が取得した関連情報を故障原因候補とともに(対応付けて)提示する関連情報提示部の両機能を備える。
関連情報としては、診断結果として抽出される故障原因候補に基づいて故障処置を行なう際に有用なものであればよく、たとえば、故障診断時点近傍の故障原因候補の故障発生変化率、診断対象装置の市場導入時期、あるいは、故障原因に対する処置難易度などがよい。もちろん、これらの何れか1つに限らず、これらの任意の組合せでもよい。提示される関連情報が多いほど、故障処置を行なう際の判断指標が増えるので好ましい。なお、故障原因確定部360と関連情報取得提示部380の双方を備えていることは必須ではなく、何れか一方のみを備える構成であってもよい。故障原因確定部360や関連情報取得提示部380を構成する各機能部については後で詳しく説明する。
なお図示しないが、基準特徴量格納部230には、記憶媒体の他に、記憶媒体に基準特徴量を書き込むための書込制御部や、記憶された基準特徴量を記憶媒体から読み出すための読出制御部が設けられる。記憶媒体は、画像形成装置1において診断情報収集部160によって取得される種々の動作状態信号の履歴情報を保持する履歴記憶部の機能を持つ。
基準特徴量としては、たとえば、駆動機構部を構成する機構部材(モータやソレノイドなどの駆動部材を含む)や機構部材を駆動する電気部材(駆動信号生成部150や駆動回路)が正常に動作している正常状態で、診断情報収集部160により取得された特徴量(たとえば分布状態を特定する情報など)を使用する。あるいは、診断情報収集部160で得られる特徴量に代えて、画像形成装置1におけるステッピングモータなどの動作電流や振動の定格値を利用してもよい。また、故障が検知された場合に、その故障箇所や故障状態を判定するための基準特徴量として、各構成部材が故障時に、診断情報収集部160により取得された特徴量(たとえば分布状態を特定する情報など)を使用する。記憶媒体に記憶される故障状態に関する基準特徴量は当該画像形成装置1の診断モデルとして利用されるもので、たとえば当該装置の各部材を強制的に故障状態にして診断情報収集部160により検知したものであってもよいし、管理センタ301などに集約されるメンテナンス情報に基づいて取得した情報を用いてもよい。
なお、故障診断装置3を構成する各部(診断情報生成部3Aや故障診断部3B)はそれらが1つの画像形成装置1に搭載された形態に限らず、それらを構成する機能部の一部あるいは全部が画像形成装置1とは別の装置に搭載された形態(いわゆるシステム構成)であってもよい。たとえば、診断情報収集部160を画像形成装置1側の故障診断装置3から取り外して管理センタ301側に診断情報取得部を配置し、センサ部4で取得される情報を管理センタ301側の診断情報収集部160に送り、管理センタ301側にて特徴量を特定して診断モデルを用意するようにしてもよい。この際には、当該装置だけでなく、同種装置の複数台の情報から共通の診断モデルを生成することを基本とし、必要に応じてさらに当該装置に固有の情報に基づき前記共通の診断モデルを修正して当該装置用の診断モデルとして使用するなどするのがよい。
故障判定部262は、記憶媒体に格納しておいた診断モデル(自装置で取得した基準特徴量を含む)と故障診断時に診断情報収集部160で得られる特徴量である実働特徴量とを比較することにより、診断対象ブロックに故障が発生しているか否かや、将来故障が生じる可能性など故障に関わる診断処理を行なう。
たとえば故障確率推論部260は、各画像形成装置1についての故障情報の収集や診断モデルの更新などを行なう管理センタ301(データセンタとも称する)と接続され、管理センタ301に配置されたデータベースDBに故障情報や診断モデルを登録したり、データベースDBに登録されている各種の診断モデルの中から診断対象の画像形成装置1に適した診断モデルの選択・提供を受けて故障診断を行なう。
たとえば、故障確率推論部260は、画像形成装置1を構成するコンポーネントの状態情報、装置の履歴情報、装置が設置されている周辺環境情報、およびユーザ操作によって得られる追試結果情報を用いて前記画質欠陥を引き起こす原因となる箇所の故障確率を推論エンジン264にて推論し、推論エンジン264にて算出した故障確率を元にして故障判定部262にて故障箇所の候補を抽出する。
故障判定部262は、推論エンジン264を利用して故障候補を絞り込む故障候補抽出部の機能を有しており、絞り込んだ故障候補、故障判定結果(故障の有無、故障箇所、故障内容)、故障予測結果(故障可能性の有無、故障箇所、故障内容)、あるいは検査内容や取得した動作状態信号などを通知部270に通知する。
ここで、自動判定処理を行なったときに、故障箇所候補を1つに絞りきれないときには、ユーザ操作によって得られた動作条件の異なる状態で取得された追試結果情報の入力を待って、推論エンジン264にて故障確率を再計算し、それぞれの動作条件で取得される故障確率に基づいて、より適切な故障箇所を抽出する。
通知部270は、たとえば、故障判定部262から受け取った故障判定結果などを、お客様(画像形成装置1の操作者や所有者)、画像形成装置1をメンテナンス(保守、維持、管理)するカスタマーエンジニア、あるいは画像形成装置1を管理している管理センタ301などのカスタマーエンジニアやカスタマーに通知する。
たとえば、お客様に直接知らせる場合は、画像形成装置1にアラームを知らせるような、たとえば表示パネルやスピーカなどで知らせる。お客様は、それを見てあるいは聞いて、故障箇所や故障内容をサービスセンタに知らせる。また、画像形成装置1をメンテナンスするカスタマーエンジニアに直接知らせる場合は、公衆電話回線や、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System )などの携帯端末を使って、故障発生などを連絡する。また、故障箇所や故障内容のデータをカスタマーエンジニアが所有する端末に送るようにしてもよい。
また、画像形成装置1を管理している管理センタ301などに知らせる場合は、カスタマーエンジニアに直接知らせる場合と同様に、公衆電話回線や携帯端末を使うようにしてもよい。また、インターネットを利用した連絡を行なうようにしてもよい。これらの場合も、故障箇所や故障内容のデータを管理センタ301の端末に送るようにしてもよい。
ところで、故障診断装置3は、前述の通り、たとえば自動的にメカ系(用紙搬送系)や画像欠陥系の故障箇所を特定する故障診断を行なうに際しては、その診断アーキテクチャとして、障害発生前に正常時データを取得しておき、稼働状態の装置状態や環境条件などの観測データ(纏めて実働データともいう)を取得し、これらの情報を活用して、推論エンジンにて算出される故障確率なども参照の上、診断を行なう。本実施形態でいう故障診断とは、故障の有無の判断だけでなく、将来の故障の発生を予測する予測診断も含む意味である。
推論エンジンや故障診断を行なう部分である故障確率推論部260、あるいは故障原因確定部360や関連情報取得提示部380など故障診断に関わる機能部分は、画像形成装置1の本体に内蔵する構成に限らず、サーバ側、たとえば画像形成装置1とネットワーク接続された管理センタ301(データセンタとも称する)に設けてもよい。この場合、正常時データや実働データを、ネットワークを介して管理センタ301に送り、管理センタ301にて故障診断や確定処理や関連情報提示を行なう。
たとえば、画像形成装置1側で故障箇所や故障内容を特定せずに、故障確率推論部260にて行なった故障診断の検査内容とそこで使用した動作状態信号などのデータを管理センタ301に通知し、管理センタ301側で、故障候補の絞込みあるいは故障箇所や故障内容の特定などを行なうようにしてもよい。あるいは、推論エンジンのみを管理センタ301に置き、故障確率の算出を管理センタ301にて行なうようにしてもよい。また、故障確率推論部260を画像形成装置1側に配置し故障原因確定部360や関連情報取得提示部380を管理センタ301側に配置する構成を採ってもよい。
診断結果に関しては、たとえばカスタマーエンジニア(CE;Customers Engineer)が管理センタ301で確認する形態を採ってもよいし、管理センタ301で診断を行なう形態では故障確率推論部260による診断結果や故障原因確定部360による確定結果や関連情報取得提示部380により提示される関連情報を画像形成装置1に送ることで、画像形成装置1側にて、カスタマーエンジニアやカスタマー(顧客/ユーザ)が確認する形態を採ってもよい。
ここで、本実施形態においては、故障確率の算出を行なう推論エンジンとしては、ベイジアン(Bayesian)ネットワークを利用する。ベイジアンネットワークを利用する故障診断は、ノード(変数)間の依存関係を確率的に捉え、グラフ構造(ベイジアンネットワークあるいは因果ネットワークと呼ばれる)を用いて、分布の推定を行なう最適化アプローチである。
<故障診断装置:計算機構成>
図3は、故障診断装置3の他の構成例を示すブロック図である。ここでは、パーソナルコンピュータなどの電子計算機を利用して、故障診断処理をソフトウェアを実行するマイクロプロセッサなどから構築されるより現実的なハードウェア構成を示している。
後述するベイジアンネットワーク手法を適用した故障診断処理を、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体が発明として抽出される。
もちろん、このようなコンピュータを用いた構成に限らず、図2に示した各機能部の機能をなす専用のハードウェアの組合せにより故障診断装置3や故障確率推論部260が構成される。ソフトウェアにより処理を実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などが容易に変更され得る。
電子計算機に一連のベイジアンネットワーク処理を利用した故障診断機能をソフトウェアにより実行させる場合には、電子計算機を利用した一般的な情報処理の場合と同様に、磁気ディスク(フレキシブルディスクFDを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc )を含む)、または半導体メモリなどよりなるパッケージメディア(可搬型の記憶媒体)や、有線あるいは無線などの通信網を介して、そのソフトウェアを構成するプログラムが電子計算機にインストールされる。ソフトウェアは、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、コンピュータで構成されるシステムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。たとえば、既存の複写装置制御ソフトやプリンタ制御ソフト(プリンタドライバ)に組み込まれるアドインソフトとして提供されてもよい。
故障診断装置3を複写機能を持つ画像形成装置1に組み込む形態の場合、図3に示す電子計算機には、たとえば、複写アプリケーションやプリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムなど、従来の画像形成装置(複合機)におけるものと同様のソフトウェアが組み込まれる。また、ネットワーク9を介して外部とのデータを送受信したりするための制御プログラムも組み込まれる。
たとえば、故障診断装置3を構成するコンピュータシステム900は、コントローラー部901と、ハードディスク装置、フレキシブルディスク(FD)ドライブ、あるいはCD−ROM(Compact Disk ROM)ドライブ、半導体メモリコントローラなどの、所定の記憶媒体からデータを読み出したり記録したりするための記録・読取制御部902とを有する。
コントローラー部901は、CPU(Central Processing Unit )912、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)913、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに揮発性の記憶部の一例であるRAM(Random Access Memory)915、および不揮発性の記憶部の一例であるRAM(NVRAMと記述する)916を有している。NVRAM916には、たとえば、使用時間、頻度、コピー/プリント枚数などで重み付けした各パーツの故障確率の情報を格納する。
“揮発性の記憶部”とは、故障診断装置3の電源がオフされた場合には、記憶内容を消滅してしまう形態の記憶部を意味する。一方、“不揮発性の記憶部”とは、故障診断装置3のメイン電源がオフされた場合でも、記憶内容を保持し続ける形態の記憶部を意味する。記憶内容を保持し続け得るものであればよく、半導体製のメモリ素子自体が不揮発性を有するものに限らず、バックアップ電源を備えることで、揮発性のメモリ素子を“不揮発性”を呈するように構成するものであってもよい。また、半導体製のメモリ素子により構成することに限らず、磁気ディスクや光ディスクなどの媒体を利用して構成してもよい。
また、コンピュータシステム900は、カスタマーインタフェースをなす機能部として、キーボードやマウスなどを有する指示入力部903と、操作時のガイダンス画面や処理結果などの所定の情報をカスタマーに提示する表示出力部904と、各機能部との間のインタフェース機能をなすインタフェース部(IF部)909とを有する。
なお、故障診断装置3を複写機能を持つ画像形成装置1に組み込んで一体化させる場合、処理対象の画像を読み取る画像読取部(スキャナユニット)905と、印刷出力用データを生成する画像処理部962および処理済みの画像を所定の出力媒体(たとえば印刷用紙)に出力するプリントエンジン964を具備した画像形成部906も設けられる。
インタフェース部909としては、処理データ(画像データを含む)や制御データの転送経路であるシステムバス991の他、たとえば、画像読取部905とのインタフェース機能をなすスキャナIF部995、画像形成部906や他のプリンタとのインタフェース機能をなすプリンタIF部996、およびインターネットなどのネットワーク9との間の通信データの受け渡しを仲介する通信IF部999を有している。
表示装置904は、たとえば、表示制御部942とCRT(Cathode Ray Tube;陰極線管)やLCD(Liquid Crystal Display;液晶)などでなるディスプレイ部944とを有する。たとえば、表示制御部942が、ディスプレイ部944上に、ガイダンス情報や画像読取部905が取り込んだ全体画像などを表示させる。また、故障判定結果や検査内容をカスタマーに通知する際の表示デバイスとしても利用される。表示面上にタッチパネル932を有するディスプレイ部944とすることで、指先やペンなどで所定の情報を入力する指示入力部903を構成してもよい。
なお、故障診断装置3の各機能部分の全ての処理をソフトウェアで行なうのではなく、これら機能部分の一部を専用のハードウェアにて行なう処理回路908を設けてもよい。ソフトウェアで行なう仕組みは、並列処理や連続処理に柔軟に対処し得るものの、その処理が複雑になるに連れ、処理時間が長くなるため、処理速度の低下が問題となる。これに対して、ハードウェア処理回路で行なうことで、高速化を図ったアクセラレータシステムが構築される。アクセラレータシステムは、処理が複雑であっても、処理速度の低下が防止され、高いスループットが得られるようになる。
画像形成装置1に適用した本実施形態の故障診断装置3の場合であれば、処理回路908としては、用紙通過時間、駆動電流、振動、作動音、あるいは光量などの観測データ情報、あるいは温度や湿度などの環境情報を取得するためのセンサ系統のデータ取得機能部908aが該当する。なお、図示しないが、故障原因確定部360や関連情報取得提示部380を構成する機能部の一部または全部をハードウェア構成にしてもよいのは言うまでもない。
<故障診断処理:画像欠陥診断モデル>
図4は、故障確率推論部260において故障診断時に利用するベイジアンネットワークの構成例を示すベイジアンネットワークモデル図である。ここで、図4はベイジアンネットワークのより具体的な構成例であり、画像画質欠陥系の故障箇所を特定する故障診断を行なう場合のベイジアンネットワークの構成例を示している。
本実施形態の故障診断方法としては、診断対象装置がそれぞれ異なる動作条件の元で動作している間の動作状態を示す動作状態信号をそれぞれ取得し、この取得したそれぞれの動作状態信号を、装置の故障を引き起こす原因をモデル化して解析することで、診断対象装置を構成する個々の構成部材について故障診断を行なう。「装置の故障を引き起こす原因をモデル化して解析する」とは、確率を利用して装置の故障を引き起こす原因をモデル化することで、故障の発生箇所や故障内容などの故障原因を解析することを意味する。モデル化の手法としては、確率を利用したものであればよく、一例としては、装置から取得される当該装置の状態を示す実測定値、あるいはこの実測定値から抽出される特徴量(纏めて変数ともいう)の間の依存関係を確率的に捉えてモデル化する手法がある。その具体例としては、ベイジアンネットワークモデルがある。
ベイジアンネットワークは、変数間の因果関係を表す有向非巡回グラフであり、親が与えられると、条件つき確率分布を変数に関連づけるものである。ベイジアンネットワークは、確率理論を使用して問題領域をモデル化する。各ノード(変数)は、相互に排他的な状態のセットを持つ。各ノードには、原因から結果が発生する確率(条件付き確率表)を予め設定しておく。そして、ベイジアンネットワークの大きな特徴は、直接観測できない状態(たとえば、故障の有無など)を直接観測(または入手)できる情報から確率推論し、直接観測できない状態の(故障か否かの)確率算出できることにある。
なお、図4において、ハッチングで示したノードは、直接観測できるノードである。ハッチング無しで示したノードの確率を計算することで、コンポーネントの状態(故障の有無の可能性)が分かる。各ノードの確率計算には、たとえば、ベイズの定理が使われるが、ノードが多く、かつループを作るようなネットワーク構成では、膨大な計算量のため事実上計算はできない。そこで、ベイジアンネットワークにおける確率を正確に更新するための効率的な様々な計算アルゴリズムが考案されており、計算ソフトウェアも幾つかのメーカから販売されている。たとえば、“http://staff.aist.go.jp/y.motomura/bn2002/presen/motomura-tut.files/frame.htm ;オンライン”を参照するとよい。
画像画質欠陥系の故障箇所を特定する故障診断を行なう場合、図4に示すように、ベイジアンネットワークは、画像欠陥を引き起こす原因を表す故障原因ノードND0を中心に、コンポーネント状態ノードND1、履歴ノードND2、環境ノードND3、観測状態ノードND4、ユーザ操作ノードND5、欠陥種類ノードND6が、因果関係を元に結線されて構成されている。なお、ノードとしては、この他にも、たとえば、消耗材情報ノードや仕様情報ノードなどを適用してもよい。
各ノードは、“原因”→“結果”の関係になるように結線される。たとえば、故障原因ノードND0と観測状態ノードND4の関係は“原因”が元で“観測状態(濃度が薄い、筋状・帯状、など)”が表れるという関係になる。一方、履歴ノードND2と故障原因ノードND0の関係は“履歴情報に基づく状態(コピー枚数が多い、稼動年数が長いなど)”が元で“原因”(部品劣化など)が発生するという関係が成り立つ。
コンポーネント状態ノードND1とは、コンポーネントの状態を表すノードであり、この部分の確率を計算して、故障か否かの判断を行なう。各ノード内には、因果関係の強さ表す確率データを纏めた確率表を予め入れておく。なお、確率データの初期値は、過去のデータや部品のMTBF(Mean Time Between Failure ;平均故障間隔)を使うことができる。値が小さすぎる場合は、故障確率の大小関係が明らかになるような部品間の相対的な値を使ってもよい。
履歴ノードND2は、画像形成装置1の使用状況を表わすものであり、本実施形態では、フィード数の履歴情報を用いる。フィード数は、画像形成装置1を所定の位置に設置してから、あるいはコンポーネント交換後、フィード部がどの程度の用紙を送ったがという情報であり、ロールの摩耗や、ギアの摩耗、モータの軸受けの摩耗に対して、直接に影響を与えるもので、コンポーネントの状態を左右する。
環境ノードND3とは、画像形成装置が設置されている周辺環境情報を表すもので、詳しくは、コンポーネントの状態に影響を与える周囲環境条件で、本実施形態では、温度と湿度である。温度や湿度は、フィードロールの紙との摩擦係数、紙間摩擦係数に影響を与え、シート搬送時間に影響を与え、それが画像欠陥に影響を与える。
観測状態ノードND4は、コンポーネント観測情報ノード、出力画像関係の観測データノード、あるいは画像転写系統の観測データノードなど、故障診断(本例では画質欠陥の診断)の判定に利用する情報のノードを纏めたものである。ここで、コンポーネント観測情報ノードは、本実施形態では、シート搬送時間情報、駆動電流情報、あるいは振動情報などである。出力画像関係の観測データノードは、欠陥の形状、大きさ、濃度、輪郭、向き、位置、周期性、発生領域などの情報である。画像転写系統の観測データノードは、コンポーネントの温度、印加電圧、パッチ濃度、あるいは色剤(たとえばトナー)残量などの情報である。
ユーザ操作ノードND5は、画像形成装置1に対して動作条件を変えて同様の処理をさせる情報であり、変更後の動作条件の情報も含む。欠陥種類ノードND6は、欠陥の種類を表す情報であり、たとえば、線、点、白抜け、濃度ムラなどの情報がある。まず、発生した欠陥の種類を判別してこのノードの状態を確定させてから、他のノード(ND1〜ND6)の情報を適宜入力して診断を行ない、故障原因を推定する。
消耗材情報ノードは、用紙厚さや用紙種別、あるいは色剤色種や色剤タイプ、あるいは残量など、装置が使用する消耗材の情報である。たとえば、用紙種別や用紙厚さによって、ロールと用紙の間の摩擦や用紙間摩擦が異なり、また周囲の温度や湿度の影響も異なる。同様に、適切な色剤が使用されていなければ、画像形成に影響を与える。つまり、消耗材の仕様が故障診断に影響を与える。
仕様情報ノードは、仕向地や特殊部品などの情報である。たとえば、寒冷地仕様や沿岸地仕様の装置は、寒冷地や海岸に適した部材が使用されている。仕向地に応じた部品が使用されている装置の故障診断を行なう際には、元々の部品仕様を考慮せずに判断したのでは、その部品について算出された故障率が同じであったとしても、正確な判断ができない。つまり、製品仕様やそれに基づく部品仕様が故障診断に影響を与える。
<故障診断手法の具体例>
図5は、上記構成の故障診断装置3の動作の具体的な事例を説明するものであって、各ノードに条件付確率表を備えたベイジアンネットワークで構成される診断モデルを表している。詳細には、画像欠陥故障診断の構成例の中で、発生した故障内容(欠陥や不具合の内容)が「線・帯」であるときのベイジアンネットワークの一例である。因みに、「線」は黒やその他の色の付いた細い線状のノイズである。「帯」は黒やその他の色の付いた「線」よりも太い幅の帯状のノイズである。
図示するように、ノードは、“原因”→“結果”の関係になるように結線される。各ノードには、予め条件付確率表中の中から該当する確率値(確率データ)を設定しておく。確率値は、たとえば、故障を起したときの各種の条件とその条件での故障が起こる確率を纏めた条件付確率表をノードごとに用意しておき、その条件付確率表中から対応する条件の確率値を読み出す形で設定する。確率値自体は、経験値によるものもあれば、実測によるデータも使ってもよい。故障の可能性が最も高い部品を推測すると言う意味では、絶対値自体よりむしろ大小関係の方が重要となる。
プラテン傷、ボードα故障(αはX,A,B)、オフセット、ヒートロールの傷、ドラムの汚れ、ドラムの傷といった二重丸の掛ったノードは、故障(本例では線・帯欠陥)を引き起こした故障原因を表すノードであり、各故障原因に対する処置内容が予め規定されている。“線幅情報”や“周期性情報”や“発生箇所情報”といった網点ハッチングの掛った画像欠陥の特徴を表すノードは、故障診断装置3の故障情報取得部152によって得られた特徴量に基づいて状態が決定される。
たとえば、“ドラムの傷”と“線幅情報”の関係は“ドラムの傷”が元で細い線が発生といった“線幅情報”が表れるという関係になる。一方、“フィード数履歴情報”と“フューザ”の関係は“フィード数”に基づく状態(フィード数が何枚以上)が元で“フューザ”劣化による線・帯発生の可能性が高くなるという関係が成り立つ。
各ノードの確率値の初期値は、たとえば過去のデータ(経験値や実測データ)を元に決定する。その後、部品の交換頻度や不具合発生頻度など、市場トラブルの統計データを元に定期的に(予め定められている定期的な更新タイミングで)、あるいは市場での画像形成装置1(自装置に限らず同種装置も含む)の実体に応じた臨時の更新タイミングで、各ノードの確率値を更新する。更新方法の詳細については後述する。
画像欠陥の故障診断の処理手順では、一例として、画像の欠陥検出やその特徴量を元に、さらに装置の内部状態情報、履歴情報、周辺環境情報などを自動的に収集して故障診断を行なう。この場合において、たとえば黒・帯発生時の故障原因が、“感光体ドラムロール32の傷”であるのか、“定着ロール対(フューザ)74の劣化”によるものであるのかを切り分ける場合に有効である。また、黒・帯発生の場所が現われる場所に基づき、黒線発生の故障原因箇所を特定する場合にも有効である。
たとえば、線・帯発生は、“感光体ドラムロール32の傷”や“定着ローラ45の劣化”のように、画像出力部側に起因するだけでなく、プラテンガラスの傷など画像読取部側に起因する場合もあり、自動診断だけでは故障原因の切り分けが難しいことがある。
このような場合、たとえば、原稿の向きや印刷用紙の向きを変えるなど出力条件を変更して処理した結果を受けて、カスタマー操作による追加情報を取得して、故障発生確率を再計算して、線・帯発生の場所依存性(つまりブロック依存性)を判断することで、画像読取部側であるのか画像出力部側であるのかというように故障発生箇所を切り分けるようにする。
もちろん、このように、駆動機構部系統や画像読取部側/画像出力部側というように、メカ系統を切り分けることに限らず、画像処理(純粋電気)系かメカ系かという切り分けを行なってもよい。
また、たとえば、基板ごとに内蔵されたテストパターンを順に出力して、どの基板のテストパターンで黒線が発生していたかという情報をカスタマー操作による追加情報として取得することで、故障発生箇所の絞込みを行なうようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態で説明した故障診断装置3の故障診断処理によれば、所定の動作条件で画像形成を行なった画像に欠陥を検出した際に、その動作条件での動作状態のコンポーネント状態、マシンの履歴、環境情報などに基づきベイジアンネットワークにより故障確率を算出し、この算出した故障確率に基づいて故障箇所の候補を抽出するが、故障箇所候補を1つに絞り込むことができなかったときには、さらにユーザ操作による結果情報を追加して、故障確率を再計算して、その結果から故障候補を絞り込むようにした。
画像異常を発生させた原因となった故障箇所の特定処理に際して、コンポーネント(部材)の情報をセンサなどを用いて自動的に収集する手段を有しており、その収集した情報や、その情報から抽出される特徴量(前例では分布に関わる情報)に基づいて、装置が自動的に、ベイジアンネットワークを利用して部品の故障確率を決定し、故障原因箇所を特定するようにすることで、故障診断に際して、予備知識や経験を不要とし、メンテナンスする人の力量に依存しない正確、均質、迅速な故障診断を行なう。ユーザ入力による場合のようなばらつきが生じないし、ユーザ入力のアクションも不要になり、ユーザにストレスを与え得ることもない、使い勝手のよい仕組みとなる。
また、自動診断だけでは故障原因の切り分けが難しい場合でも、ユーザ操作による追加情報を入力して故障発生確率を再計算することで、経験の少ないサービスマンでも簡単な操作でさらに正確な診断を行なうようにする。
加えて、コンポーネント(部材)の情報だけでなく、装置の温度や湿度などの内部状態情報、履歴情報、あるいは周辺環境情報なども自動的に収集して、その特徴量を元に、ベイジアンネットワークを利用して、部品の故障確率を決定し、故障部品を特定することで、より正確な故障診断を行なうようにする。
たとえば、自動トラブルシューティング機構として、トラブルシューティング(ここでは故障診断)に必要な種々のデータを自動収集するプログラムを組み入れることで、診断の速度を上げるとよい。こうすることで、カスタマーからのデータの対話的収集を要しないので、カスタマーの手を煩わせない、簡便な診断システムを実現する。また、検査結果をカスタマーに通知することで、迅速な対応通知を行ない、ダウンタイムの低減を図るようにするとよい。
このように、本実施形態の故障診断装置3は、様々な部材について、また様々な故障状態について、あるいは故障の生じる可能性について、予備知識や経験あるいはメンテナンスする人の力量を要することなく、正確、均質、迅速な故障診断を実現する。
<故障診断システム:比較例>
図6は、故障診断システムの比較例を説明する図である。この故障診断システム850は、市場で発生した各画像形成装置1の故障内容に関する故障情報を格納する市場品質情報データベース852、故障診断に伴う各種処理(診断モデル生成・更新処理や診断処理など)を行なう診断サーバ854、および複数台の画像形成装置1が通信網856を介して接続されて構成されている。
診断サーバ854は、故障診断に用いる診断モデルの生成・更新を行なう診断モデル生成・更新部860と、診断モデル生成・更新部860で生成・更新された診断モデルを格納する診断モデル蓄積部862と、診断対象装置から当該装置の診断に必要な情報(診断情報)を取得する診断情報取得部864と、診断情報取得部864が取得した診断情報を元に故障診断を行なう故障確率推論部866(故障診断部)と、市場品質情報データベース852から更新に必要な情報を受信する、あるいは、画像形成装置1と通信して診断情報を受信し、また、診断結果を送信する通信部868を備える。
診断モデル生成・更新部860は、更新処理として、一定期間ごとに市場品質情報データベース852から故障発生件数を取得して診断モデルの故障原因ノードの初期確率を更新する。故障確率推論部866は、診断情報取得部864が取得した診断情報を元に発生した故障の主原因である確率を推論することで診断を行ない、故障原因候補を抽出する。
診断サーバ854は、診断対象装置から故障診断情報を取得し、この故障診断情報を元に、診断モデル蓄積部862から不具合内容に対応する診断モデルを選択し、この選択した診断モデルに基づいて故障診断を行なって故障原因候補を抽出し、抽出した故障原因候補を、そのまま故障原因として画像形成装置1側に通知する。
<故障診断システム:第1実施形態>
図7および図7Aは、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ301が接続されている故障診断システム300の第1実施形態を示す図である。前述のように、故障確率推論部260あるいは故障原因確定部360など故障診断に関わる機能部分を画像形成装置1側に配するかサーバ側(たとえば管理センタ301)側に配するかは自由である。ここでは、サーバ側にこれら故障診断に関わる機能部分を配するシステムの場合での管理センタ301の構成例を示す。第1実施形態は、図6に示した比較例との対比では、故障原因確定サーバ部301Bを備えている点に特徴がある。
図示する故障診断システム300においては、センサ部4の観測データを、CPU912、RAM915あるいはNVRAM916などのメモリを利用してソフトウェア処理にて処理するように構成された複数の画像形成装置1(A,B,…:Zは除く)が、インターネットなどの通信網306を介して管理センタ301と接続されている。通信網306には、画像形成装置1や管理センタ301の他、通信網306と接続されていない画像形成装置1Zについての故障発生情報を管理センタ301に通知するために利用されるパーソナルコンピュータPCが接続可能となっている。
図3に示したように、各画像形成装置1(A,B,…,Z)には、用紙通過時間、駆動電流、振動、作動音、あるいは光量などの観測データ情報、あるいは温度や湿度などの環境情報を取得するためのセンサ部4のデータ取得機能部908aが設けられている。通信網306と接続されている画像形成装置1(A,B,…:Zは除く)の場合、測定データを、通信IF999を介して外部に通知可能に構成されている。管理センタ301には、ホストコンピュータが設けられており、通信網306を介して、画像形成装置1(A,B,…:Zは除く)との間で、通信処理が可能になっている。
通信網306に接続された複数の画像形成装置1(A,B,…:Zは除く)は、たとえばサービスエンジニアSE(Service Engineer)が故障発生情報を、操作パネルなどを通して入力することにより、管理センタ301に故障情報を送信するように構成されている。故障発生情報の操作パネルからの入力は、たとえば階層的にメニューが表示され、選択するよう構成されている。また、通信網306に接続されていない画像形成装置1Zに関しては、故障発生情報を画像形成装置1Zにより印字出力し、サービス拠点でOCR(Optical Character Reader)入力する構成をとってもよい。
本例では、管理センタ301にて故障診断を行なう形態を採っており、ホストコンピュータには、画像形成装置1側の故障診断装置3を構成するデータ取得機能部908aを除く、故障診断に関わる特徴量取得機能部分や、故障判定機能部分および推論エンジン機能部分や、診断モデルを更新する機能部分(診断条件制御部350に相当)などのデータ処理機能部分をソフトウェア処理にて実現するためのアプリケーションプログラムがインストールされる。
この場合、基本的には、たとえば、データ受取機能部としての特徴量取得機能部分は診断情報収集部160である。また、データ処理機能部分としては、たとえば、故障判定部262、推論エンジン264、通知部270などである。このような構成により、故障診断システム300は、インターネットなどの通信回線を利用して、装置外部の管理センタ301に、故障判定部262や推論エンジン264などを備える故障確率推論部260を設けたシステムとなり、管理センタ301のホストコンピュータにて、画像形成装置1について故障診断を行なうように構成される。管理センタ301においては、測定データや、この測定データから抽出される特徴量に基づいて、ホストコンピュータが自動的に、ベイジアンネットワークを利用して部品の故障確率を決定し故障部品を特定する。
以下、本実施形態の管理センタ301が備える故障原因確定処理機能に関わる部分について詳しく説明する。因みに、本実施形態の「故障原因確定処理機能」は、故障確率推論部260の診断結果(特に故障原因候補)および市場における最新の故障情報に基づき故障原因を確定する故障原因確定部360が備える機能である。
因みに、管理センタ301側で診断モデルを用意する場合、管理センタ301は、複数の画像形成装置1の情報に基づき診断モデルを構築する。この仕組みを採るため、管理センタ301は、市場品質情報データベース302aに蓄積された各装置の故障内容に関する故障情報(市場品質情報とも称する)を用いて診断モデルを生成し、また、適宜更新する。そして、因果ネットワークを構成する各ノードに条件付確率表を備えた因果ネットワークで構成される診断モデルに基づいて診断対象装置に生じる故障を診断するようにする。市場品質情報データベース302aは、各装置の故障内容に関する故障情報を格納する故障情報格納部の一例である。
「故障情報」としては、たとえば、市場でのトラブル対応事例ごとに、故障内容、その故障に対する処置を行なった作業者、機械No.、処置対象部品、処置内容(処置コード)、作業に要した時間(作業時間)、その他作業内容情報が記録されている。
管理センタ301は、故障診断処理を行なう診断サーバ部301Aと、故障原因確定部360の機能を備えた故障原因確定サーバ部301Bを備える。なお、図では、1つの管理センタ301が診断サーバ部301Aおよび故障原因確定サーバ部301Bを備える構成例で示しているが、それぞれを独立した管理センタに配置してもよい。
診断サーバ部301Aは、図6に示した比較例の診断サーバ854と同様の機能部を備えている。たとえば、図7に示す第1構成例では、診断モデルの生成・更新を管理するため、診断サーバ部301Aは、データベース部302と、診断モデルを生成・更新する診断モデル生成・更新部310(診断モデル生成・更新部860に対応)を備える。また、診断サーバ部301Aは、診断対象装置から当該装置の診断に必要な情報(診断情報)を取得する診断情報取得部320(診断情報取得部864に対応)と、市場で発生した品質情報(トラブルの故障内容、以下市場品質情報と称する)を故障部位ごとに収集する市場品質情報収集部322と、各種情報の送受信を行なう通信部324(通信部868に対応)と、診断情報取得部320が取得した診断情報を元に故障診断を行なう故障確率推論部330(故障確率推論部866に対応)を備える。
データベース部302は、市場品質情報収集部322によって収集された市場品質情報(故障情報)を機種の状態情報とともに格納する市場品質情報データベース302a(市場品質情報データベース852に対応)と、故障診断に用いる診断モデルを格納する診断モデルデータベース302b(診断モデル蓄積部862に対応)を有する。診断モデルデータベース302bは、各装置の使用状況ごとに診断条件を格納する診断条件格納部の一例である。
市場品質情報データベース302aの故障情報は、リスト形式で構成され、たとえば、日時、機械番号、サービスエリアコード、地域エリアコード、お客様コード、故障箇所情報コード、故障現象情報コード、処置情報コードで構成されている。なお、故障現象コードに対応する故障現象は、故障診断モデルごとに設定される。市場品質情報データベース302aには、市場品質情報収集部322が各画像形成装置1から故障情報を収集する形態に限らず、たとえば、市場品質情報収集部322がサービスエンジニアの訪問履歴情報から上記内容を抽出して格納してもよい。
一方、図7Aに示す第2構成例では、第1構成例の市場品質情報データベース302aと市場品質情報収集部322とを管理センタ301(の診断サーバ部301A)から取り外して、専用のサーバ装置(市場品質管理サーバ301D)を設けて通信網306に接続し、市場品質管理サーバ301D内に市場品質情報データベース302aと市場品質情報収集部322を設ける構成を採っている。
診断モデル生成・更新部310は、画像形成装置1側の診断情報収集部160との協業により市場品質情報収集部322により収集し市場品質情報データベース302aに蓄積した市場品質情報に基づき、故障現象ごとや所定期間ごとに、故障部位ごとの、モデル化した故障原因の発生頻度を算出する故障発生頻度算出部312と、一定期間ごとに市場品質情報データベース302aから故障発生件数を取得して診断モデルの故障原因ノードの初期確率を更新する確率更新部319を診断モデル更新部として備える。因みに、診断モデルの更新は、条件付確率表を更新することで実現される。故障発生頻度算出部312は、算出した故障原因の発生頻度を元に構成部品の故障原因を診断するための診断条件としての診断モデルを診断モデルデータベース302bに登録する。
故障確率推論部330は、故障診断の結果、故障確率が予め定められた閾値以上の上位の故障原因候補を抽出して、故障原因確定サーバ部301Bに通知する。
第1実施形態の故障原因確定サーバ部301B(図1の故障原因確定部360に相当する)は、市場導入後の画像形成装置1自身の故障状況や同種装置の故障発生状況などに応じて、診断サーバ部301A(の故障確率推論部330)による診断結果(特に故障原因候補の情報)を確定する点に特徴がある。
この実現のため、第1実施形態の故障原因確定サーバ部301Bは、市場品質情報データベース302aに蓄積された診断対象装置と同種装置(好ましくは同一の使用状況にある装置)の故障情報(特に故障診断時点近傍の故障発生情報)を用いて診断サーバ部301Aより取得した(故障診断によって抽出された)故障原因候補の故障発生の故障診断時点近傍の変化状況を特定する故障発生変化状況特定部362と、故障発生変化状況特定部362により特定された故障発生の変化状況を元に故障原因を決定する故障原因決定部364と、故障原因決定部364の確定結果を元に決定された故障原因に対する処置情報を提示する処置情報提示部366と、各種情報の送受信を行なう通信部368を備える。
故障発生変化状況特定部362は、診断サーバ部301Aより取得した故障原因候補に着目して、たとえば、診断対象装置と同種装置(好ましくは同一の使用状況にある装置)の故障発生件数または部品交換件数を取得し、その変化率を算出して、この算出結果を、その故障原因候補の故障発生変化状況として求める。
処置情報提示部366は、故障原因ごとにその故障原因に対する処置情報を定義付けたルックアップテーブルを格納する記憶部(図示せず)を具備している。たとえば、「故障原因α」に対して、その故障原因に対する処置内容が「部品α1の清掃」、「部品α2の交換」、「部品α3の修理」の何れかが定義付けられている。この場合、処置情報提示部366は、故障原因決定部364が確定させた「故障原因α」をそのルックアップテーブルに突き合わせることで、故障原因に対する処置情報を特定する。
通信部368は、市場品質情報データベース302aから故障発生変化状況の特定に必要な情報を取得する、診断サーバ部301Aから故障原因候補を取得する、あるいは、画像形成装置1に確定した診断結果を送信する。
第1実施形態においては、故障診断処理(故障原因の確定処理を含む)を画像形成装置1側で行なうのか管理センタ301側で行なうのかに関わらず、故障原因の確定処理は、診断対象装置と同種装置の装置における市場の直近の故障情報を反映して故障原因を確定することで、診断モデルの更新を頻繁に行なうことなく市場の最新の故障情報を反映したより適切な診断を行なうようにする。診断サーバ部301A(の故障確率推論部330:図1の故障確率推論部260に相当)の診断結果(特に故障原因候補の特定結果)をそのまま故障原因として確定するのではない。直近の故障発生件数や部品交換件数などの故障状況の変化率を診断サーバ部301Aの診断結果(故障原因候補の抽出結果)に反映させることにより、市場での故障発生状況により即した診断結果を得ることで、より適切な診断を行なうようにするのである。
<動作例:第1実施形態>
図8は、第1実施形態の故障診断システム300における故障原因候補特定処理および故障原因確定処理を説明するフロー図である。
まず、診断モデル生成・更新部310において、確率更新部319は、不具合内容に対応するように個別に診断モデルを生成して診断モデルデータベース302bに蓄積しておく(S100,S102)。ここで、「不具合内容に対応」とは、診断モデルデータベース302bに蓄積されている機種別・故障内容別の各診断モデルについて、診断対象装置と同一の機種かつ診断対象となる故障内容と対応することを意味する。
本実施形態においては、市場導入後の経過期間に関わらず、機種ごとに、また故障内容(欠陥や不具合の内容)ごとに、診断モデルを生成して用意する。たとえば、図5に示した「線・帯」の故障を診断するための線・帯モデル、あるいは、「白抜け」の故障を診断するための白抜けモデル、「黒色色点」の故障を診断するための黒色色点モデルなど、故障内容ごとに各故障原因ノードの初期確率を算出して設定した各診断モデルを機種ごとに用意し、適宜初期確率を更新していく。
たとえば、確率更新部319は、定期的に市場品質情報データベース302aから故障発生件数を取得して(S100)、診断モデルデータベース302bに蓄積されている診断モデル群の初期確率を更新する(S102)。こうすることで、診断モデルデータベース302bには、ある故障の診断に用いる診断モデルについて、一定期間ごとに初期確率を算出した診断モデルがそれぞれ蓄積されるようになる。このようにして用意された診断モデルは複数の画像形成装置1で共用するようにする。
たとえば、線・帯モデルに対して各故障原因ノードの初期確率を算出する場合、1ヶ月ごとに、それよりも長い直近の所定期間(たとえば3ヶ月間)の故障発生件数を市場品質情報データベース302aから取得し、線・帯モデルの各故障原因ノードの初期確率を算出して診断モデルに反映し、診断モデルデータベース302bに格納する。「白抜け」や「黒色色点」など、他の欠陥や不具合用の診断モデルに対しても、同様に1ヶ月ごとに直近の3ヶ月間の故障発生件数を元に初期確率を算出して診断モデルを更新する。
次に、ある画像形成装置1に対して故障診断を行なう場合、診断サーバ部301Aは、、先ず診断情報取得部320は通信部324を介して、診断対象装置から故障診断情報を取得する(S110)。
次に、故障確率推論部330は、診断情報取得部320が取得した故障診断情報を元に、診断モデルデータベース302bから不具合内容に対応する診断モデルを選択する(S112)。そして、選択した診断モデルに基づいて故障診断を行なって故障原因候補を抽出し、抽出した故障原因候補を通信部324を介して故障原因確定サーバ部301Bに通知する(S114)。
抽出条件はたとえば、推論の結果、故障原因確率の高い順に上位3位以内、かつ確率値の差が上位の候補に対して15%以内のものと言った具合に定めておき、その条件を満たすものを故障原因候補として抽出する。抽出条件は固定のものではなく、診断結果の実績に応じて設定変更するようにしてもよい。
次に、故障原因確定サーバ部301Bにおいては、通信部368を介して受信した故障原因候補のそれぞれに対して、直近の故障情報(たとえば故障発生件数や部品交換件数)を市場品質情報データベース302aより取得し、直近の故障発生状況の変化率を故障発生変化状況特定部362にて算出し、算出結果を故障原因決定部364に渡す(S120)。たとえば直近の1週間の内の平日5日間における故障発生件数の変化率を故障発生変化状況特定部362にて算出する。
故障原因決定部364は、故障発生変化状況特定部362により特定された故障原因候補の故障発生変化状況に応じて最終的な故障原因を決定する(S122)。故障原因決定部364は、決定した故障原因を通信部368を介して診断対象装置に送信する(S126)。処置情報提示部366は、故障原因決定部364の確定結果を、故障原因に対する処置情報を定義付けたルックアップテーブルに突き合わせることで、故障原因に対する処置情報を特定し通信部368を介して診断対象装置に送信する(S128)。
このようにして、故障原因確定サーバ部301Bは、決定した故障原因を診断対象機種に送信し、故障原因に対する処置を促す。これにより、診断対象装置側で作業者(一般ユーザやサービスマンなど)により診断結果が確認され、また、故障原因に対する適正な処置が行なわれ得るようになる。
<故障原因確定処理の詳細>
図9および図10は、故障原因確定サーバ部301Bにおける故障原因確定処理の詳細を説明する図である。ここで、図9は、3種類の故障原因候補の直近1週間における平日の5日間の故障発生件数の推移の一例を示す図である。図10は、市場品質情報データベース302aに格納されている各故障原因(故障原因候補)の日ごとの故障発生件数の一例を示す図(1)、および、図9および図10(1)の例に基づく故障発生件数の変化率を示す図表(2)である。
診断サーバ部301Aにおいては、前述の診断モデルの更新を月の変わり目に行ない、診断実施日が10月9日(10/9)であるとすると、診断モデルの更新処理は7月から9月までの故障発生件数を元になされ、この更新モデルを用いて診断を行なう。故障発生変化状況特定部362は、たとえば10月5日(10/5)から10月9日(10/9)までを発生件数変化率算出対象期間として、故障原因候補のそれぞれに対する直近1週間における平日5日間の故障発生件数の変化率を、10月5日(10/5)から10月9日(10/9)の故障発生件数と、診断モデルの更新処理に用いた7月から9月までの3ヶ月間の故障発生件数の平均値を用いて算出する。
図9および図10(1)に示すように、診断サーバ部301Aより取得した故障原因候補が、「故障原因候補a」、「故障原因候補b」、「故障原因候補c」の3種類であり、それぞれの故障原因候補に対する処置対象部品が「部品a」、「部品b」、「部品c」であるとする。なお、「故障原因候補β」(βはa,b,c)は、図4にて二重丸の掛った故障原因を表すノードと対応し、たとえば、プラテン傷、ボードα故障(αはX,A,B)、オフセット、ヒートロールの傷、ドラムの汚れ、ドラムの傷などである。
故障発生変化状況特定部362は、先ず、市場品質情報データベース302aより故障原因候補a、故障原因候補b、故障原因候補cの7月から9月までの3ヶ月間と10月5日(10/5)から10月9日(10/9)までの故障発生件数を取得する。故障原因候補a、故障原因候補b、故障原因候補cの3ヶ月間の故障発生件数の平均値はそれぞれ10件、100件、70件であったと仮定する。故障発生変化状況特定部362は、故障発生件数の変化率を、前日の件数との差分を平均故障発生件数で割って算出する。このようにして算出した変化率を図10(2)に示す。
<故障原因確定処理手順>
図11は、故障原因確定サーバ部301Bで故障原因を確定する処理手順の一例を示すフローチャートである。
故障原因確定サーバ部301Bにおいて、先ず故障発生変化状況特定部362は、通信部368を介して診断サーバ部301Aより故障原因候補(1つとは限らない)を取得する(S150)。
故障発生変化状況特定部362は、各故障原因候補に着目して、診断対象装置と同種装置(好ましくは同一の使用状況にある装置)の最近の故障発生状況の変化率を算出する(S154)。たとえば直近の1週間の内の平日5日間における故障発生件数または部品交換件数の情報を市場品質情報データベース302aより取得し、図9および図10の手順に従って、その変化率を算出する。故障発生変化状況特定部362は、算出した変化率を各故障原因候補の故障発生変化状況として故障原因決定部364に渡す。
故障原因決定部364は、故障発生変化状況特定部362から渡された各故障原因候補の故障発生変化状況(故障発生件数や部品交換件数の直近の変化率)を予め定められた閾値と比較する(S160)。そして、変化率が閾値より大きいものを含む故障原因候補がある場合はその故障原因候補を抽出し(S160−YES)、それが1つである場合はそれを故障原因として決定し(S162−NO,S164)、複数抽出される場合は(S162−YES)、最大の変化率を含む故障原因候補を故障原因として決定する(S166)。
変化率が閾値より大きいものを含む故障原因候補がない場合は(S160−NO)、診断サーバ部301Aにて推論した故障原因確率が最大となる故障原因候補を故障原因と決定する(S168)。
故障原因決定部364は、このようにして決定した故障原因を診断対象機種に送信し、また、処置情報提示部366は故障原因に対する処置を促す。
閾値をたとえば100%とした場合、図9および図10の例では、10月5日(10/5)から10月9日(10/9)までの5日間について、図10Aに示すように、部品Aが“10/7→10/8”で変化率が160%となっており、他の故障原因候補では変化率が100%を超えるものがないため、部品Aを故障原因と決定することになる。
このように、第1実施形態の故障診断処理として、診断サーバ部301Aにおける診断結果(故障原因候補の抽出結果)をそのまま故障原因として確定させるのではなく、診断対象の画像形成装置1と同種装置の最近の故障発生状況をも反映した確定処理を行なうようにした。これによって、診断モデルの更新を頻繁に行なうことなく市場の最新の故障情報を反映したより適切な診断を行なうようになる。市場の最新の故障情報を反映した確定処理がなされるので、より精度の高い診断を行なうようになる。市場の最新の故障情報を反映した診断確定結果が提示されることで、作業者(一般ユーザやサービスマン)がより適切で効率的な処置手順を判断し得るようになる。作業者は市場での故障発生状況により即した判断を下すことで、より適切な故障処置を行なうようになる。
たとえば、診断対象となる画像形成装置1は市場に設置されたばかりのものや、市場導入後数ヶ月を経たものなど様々であり、使用状況(たとえば市場導入後の経過期間や使用度合い(使用頻度や消耗度)あるいは使用環境)の相違により劣化の程度は異なることが考えられる。このように同一機種でも使用状況次第で個別装置によって劣化の程度は異なるにも関わらず、特許文献1に記載の仕組みでは、一定期間ごとに過去数ヶ月間の故障発生頻度を元に初期確率を算出して更新するので、診断時に用いる診断モデルは最新バージョン1種類のみであり、診断対象装置の実状態に最適なモデルを用いた診断が必ずしも行なえない。たとえば、故障内容によっては直前の数日間の内に故障発生頻度が高くなるものもあり、必ずしも最新の故障情報を反映した診断モデルとはなっていない。
この対策として、診断モデルの更新期間(更新サイクル)を短くすることが考えられる。しかしながら、診断モデルの更新期間を短くしても最新の故障発生状況とのタイムラグは少なからず存在し、また頻繁に更新すると更新負荷(たとえばサーバとの通信負荷)も増大し、システムの稼動に支障を来たす虞れがある。
また、特許文献2,3にも、ベイジアンネットワークを利用した故障診断システムの仕組みが開示されているが、何れも、診断モデルの更新に関する記載はなく、市場での最新の故障発生状況に即した診断が行なえるとは限らず、診断精度の低下を招く虞れがある。
これに対して、第1実施形態の仕組みでは、診断サーバ部301Aにおける故障原因候補の抽出結果をそのまま故障原因として確定させるのではなく、診断対象装置と同種装置の直近の故障発生件数の変化率を診断結果に反映させるなど、最近の故障発生の変化状況を参照して故障原因を確定させるので、診断モデルの更新を頻繁に行なわなくとも、市場の最新の故障情報を反映し、また診断対象装置に即した診断を行なうことで、より高い精度で故障原因の診断結果が得られ、その結果、より適切な故障処置が行なわれるようになる。
<故障診断システム:第2実施形態>
図12は、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ301が接続されている故障診断システム300の第2実施形態(第2構成例)を示す図である。ここでは、図7Aに示した第2構成例に対する変形例で示すが、図7に示した第1構成例に対しても同様の変形を加え得る。第2実施形態は、図6に示した比較例との対比では、関連情報提示サーバ部301Cを備えている点に特徴がある。
第2実施形態の故障診断システム300は、第1実施形態と同様の診断サーバ部301Aを備えるとともに、第1実施形態の故障原因確定サーバ部301Bに代えて、関連情報取得提示部380の機能を備えた関連情報提示サーバ部301Cを備える。なお図では、1つの管理センタ301が診断サーバ部301Aおよび関連情報提示サーバ部301Cを備える構成例で示しているが、それぞれを独立した管理センタに配置してもよい。また、図2にて説明したように、故障原因確定サーバ部301B(故障原因確定部360)と関連情報提示サーバ部301C(関連情報取得提示部380)の双方を備えた構成であってもよい。
第2実施形態の関連情報提示サーバ部301C(図1の関連情報取得提示部380に相当する)は、診断サーバ部301A(の故障確率推論部330)による診断結果(特に故障原因候補の情報)と併せて、故障原因候補ごとの最近の故障発生変化状況、故障原因候補に対する処置難易度、あるいは診断対象装置の市場導入時期情報などの、故障原因候補に対する関連情報を提供することで、より適切で効率的な作業手順を作業者(たとえばサービスマン)が判断し得るようにする点に特徴がある。
この実現のため、第2実施形態の関連情報提示サーバ部301Cは、市場品質情報データベース302aに蓄積された診断対象装置と同種装置(好ましくは同一の使用状況にある装置)の故障情報(特に故障診断時点近傍の故障発生情報)を用いて診断サーバ部301Aより取得した(故障診断によって抽出された)故障原因候補の故障発生の故障診断時点近傍の変化状況を特定する故障発生変化状況特定部382と、故障原因候補に対する関連情報を故障原因候補ごとに取得して提示する関連情報取得提示部386と、各種情報の送受信を行なう通信部388を備える。
関連情報取得提示部386は、診断サーバ部301A(故障確率推論部260)により診断結果として抽出される故障原因候補ごとに、故障原因(特に故障原因候補)に関わる関連情報であって故障に対する処置を行なう際に有用な関連情報を取得する関連情報取得部と、関連情報取得部が取得した関連情報を故障原因候補とともに(対応付けて)提示する関連情報提示部の両機能を備える。また、関連情報取得提示部386は、故障診断の対象となる診断対象装置と同種装置の故障診断時点近傍の各故障情報に基づき、故障原因候補に対応する故障原因に対する処置に要する作業時間を取得し、この作業時間に基づいて故障原因候補の処置難易度を特定し関連情報取得部に渡す処置難易度特定部の機能も備える。なお、本実施形態では関連情報取得提示部386が処置難易度特定部の機能も備える構成例で示しているが、故障発生変化状況特定部382と同様に、関連情報取得提示部386から取り外した態様にしてもよい。
故障発生変化状況特定部382は、第1実施形態の故障発生変化状況特定部362と同様の機能を備えており、診断サーバ部301Aより取得した故障原因候補に着目して、たとえば、診断対象装置と同種装置(好ましくは同一の使用状況にある装置)の故障発生件数または部品交換件数を取得し、その変化率を算出して、この算出結果を、その故障原因候補の故障発生変化状況として求める。
関連情報取得提示部386は、故障発生変化状況特定部382で特定された故障発生の変化状況を故障原因候補に対する関連情報の一例として取得する。また、関連情報取得提示部386は、市場品質情報データベース302aに蓄積されている故障情報中から診断対象装置の市場導入時期情報を故障原因候補に対する関連情報の他の一例として取得する。また、関連情報取得提示部386は、市場品質情報データベース302aに蓄積されている故障情報中から故障原因候補に対する処置難易度を特定するための情報を取得し、故障原因候補に対する関連情報の他の一例としての処置難易度を特定する。
通信部388は、市場品質情報データベース302aから故障発生変化状況の特定や処置難易度の特定に必要な情報や診断対象装置の市場導入時期情報などの故障原因候補に対する関連情報そのものもしくは当該関連情報の特定に必要となる情報を取得する、診断サーバ部301Aから故障原因候補を取得する、あるいは、画像形成装置1に故障原因候補に関連する関連情報を送信する。
第2実施形態においては、故障診断処理を画像形成装置1側で行なうのか管理センタ301側で行なうのかに関わらず、故障診断(特に故障原因候補の特定)を行なうだけでなく、故障診断結果(故障原因候補の情報)と併せて、その故障診断結果と関連した関連情報を提示することで、より適切で効率的な作業手順を作業者が判断し得るようにするのである。
<動作例:第2実施形態>
図13は、第2実施形態の故障診断システム300における故障原因候補特定処理および関連情報取得提示処理を説明するフロー図である。ステップ番号を200番台で示すとともに、第1実施形態と同様の処理ステップには同一の10番台および1番台の番号を付して示す。診断サーバ部301Aの処理は、第1実施形態と同様であるので説明を割愛する。
関連情報提示サーバ部301Cは、通信部388を介して受信した故障原因候補のそれぞれに対し、直近の故障情報(たとえば故障発生件数や部品交換件数)を市場品質情報データベース302aより取得し、直近の故障発生状況の変化率を故障発生変化状況特定部382にて算出し、算出結果を関連情報取得提示部386に渡す(S230)。つまり、関連情報取得提示部386は、故障発生変化状況特定部382で特定された故障発生状況の変化率を故障原因候補に関連する関連情報の一例として取得する。
また、関連情報取得提示部386は、市場品質情報データベース302aに格納されている故障情報の中から、診断対象装置の市場導入時期情報や故障原因候補に対する処置難易度を特定するための情報(たとえば処置作業時間情報)を取得する(S232)。さらに、関連情報取得提示部386は、取得した「故障原因候補に対する処置難易度を特定するための情報」に基づき、処置難易度を特定(算出)する(S234)。
関連情報取得提示部386は、故障原因候補ごとに、故障発生変化状況特定部382から取得した故障発生件数の変化率、市場品質情報データベース302aから取得した診断対象装置の市場導入時期情報、並びに自身で特定した処置難易度を、その故障原因候補に対する関連情報として、故障原因候補と併せて(対応させて)、通信部388を介して診断対象装置に送信する(S236)。
このようにして、関連情報提示サーバ部301Cは、診断サーバ部301Aで特定された故障原因候補に関連する関連情報を取得して診断対象機種に送信し、故障原因候補に対する処置を促す。これにより、診断対象装置側で作業者により診断結果が確認され、また、故障原因候補に対する適正な処置が行なわれ得るようになる。
<関連情報取得処理の詳細>
図14は、関連情報提示サーバ部301Cにおける関連情報取得提示処理の詳細を説明する図である。ここでは、関連情報の一例である、「故障原因候補に対する処置難易度」の特定方法について説明する。
市場品質情報データベース302aには、市場でのトラブル対応事例ごとに、故障情報が格納されている。たとえば、故障原因(本実施形態の故障原因候補に相当する)、その故障に対する処置を行なった作業者、機械No.、処置対象部品、処置内容(処置コード)、作業に要した時間(作業時間)、その他作業内容情報がレポートとして記録されている。ここで、診断サーバ部301Aより取得した故障原因候補が、「故障原因候補a」、「故障原因候補b」、「故障原因候補c」の3種類で、それぞれの故障原因候補に対する処置内容が「部品aの清掃」、「部品bの交換」、「部品cの修理」であるとする。なお、「故障原因候補β」(βはa,b,c)は、図4にて二重丸の掛った故障原因を表すノードと対応し、たとえば、プラテン傷、ボード@故障(αはX,A,B)、オフセット、ヒートロールの傷、ドラムの汚れ、ドラムの傷などである。
関連情報提示サーバ部301Cの関連情報取得提示部386は、故障診断の対象となる診断対象装置と同種装置の故障診断時点近傍の各故障情報に基づいて、故障原因候補に対応する故障原因に対する処置に要する作業時間の情報を取得する。たとえば、関連情報取得提示部386は、各故障原因候補を市場品質情報データベース302aの故障情報に突き合わせて、故障原因候補ごとに、処置内容(処置コード)に一致するレポートから、故障原因候補に対応する故障原因に対する処置に要する作業時間の情報をそれぞれ取得し、作業時間の総計と一致件数から各故障原因候補とその処置内容に対する平均所要時間を算出する。そして、この算出した故障原因候補の処置に掛る平均所要時間を、故障原因候補に関連する関連情報の他の一例である処置難易度とする。
ここで、故障原因候補に対応する故障原因に対する処置に要する作業時間の情報を取得する際に、「故障診断時点近傍の各故障情報に基づき、作業時間の情報を取得する」ことで、最新の故障発生状況を反映した作業時間の情報を参照して処置難易度を特定する。
なお、ここでは、関連情報取得提示部386が、故障に対する処置の作業時間の情報を市場品質情報データベース302aより取得し、この作業時間に基づいて処置難易度を特定する仕組みを採っていたが、このような仕組みにすることは必須ではない。たとえば、過去の故障情報に基づいて、故障原因ごとにその処置の難易度を予め定義付けておき(適宜更新してもよい)、その情報(処置難易度)を市場品質情報データベース302aに登録しておくことで、関連情報取得提示部386がその処置難易度を直接に(計算をすることなく)取得する仕組みを採ってもよい。ただしこの場合、本実施形態の仕組みに比べると、最新の故障発生状況が反映された処置難易度とはならない難点がある。
関連情報提示サーバ部301Cの関連情報取得提示部386は、各故障原因候補を市場品質情報データベース302aの故障情報に突き合わせて、故障原因候補ごとに、処置内容(処置コード)に一致するレポートから作業時間をそれぞれ取得し、作業時間の総計と一致件数から各故障原因候補とその処置内容に対する平均所要時間を算出する。そして、この算出した故障原因候補の処置に掛る平均所要時間を、故障原因候補に関連する関連情報の他の一例である処置難易度とする。
<関連情報取得提示処理手順>
図15は、関連情報提示サーバ部301Cで故障原因候補に関連する関連情報を取得して診断対象装置へ提示する関連情報取得提示処理手順の一例を示すフローチャートである。
関連情報提示サーバ部301Cにおいて、先ず故障発生変化状況特定部382は、通信部388を介して診断サーバ部301Aより故障原因候補(1つとは限らない)を取得する(S250)。次に、関連情報取得提示部386は、市場品質情報データベース302aより、診断対象装置の市場導入時期情報を取得する(S252)。
次に、故障発生変化状況特定部382は、各故障原因候補に着目して、診断対象装置と同種装置(好ましくは同一の使用状況にある装置)の最近の故障発生状況の変化率を算出する(S254)。たとえば直近の1週間の内の平日5日間における故障発生件数または部品交換件数の情報を市場品質情報データベース302aより取得し、図9および図10の手順に従って、その変化率を算出する。故障発生変化状況特定部362は、算出した変化率を各故障原因候補の故障発生変化状況として故障原因決定部364に渡す。
次に、関連情報取得提示部386は、図14にて示した手順に従って、各故障原因候補に対する処置内容の平均作業時間をそれぞれ算出し、算出した平均作業時間を各故障原因候補の処置難易度とする(S256)。
関連情報取得提示部386は、故障発生変化状況特定部382から取得した故障発生件数の変化率、市場品質情報データベース302aから取得した診断対象装置の市場導入時期情報、自身で特定した処置難易度(処置内容に対する平均作業時間)を、故障原因候補に対する関連情報として、通信部388を介して診断対象装置に送信する(S260)。
このように、第2実施形態の故障診断処理として、診断サーバ部301Aにおける診断結果(故障原因候補の抽出結果)を受けて、診断対象の画像形成装置1と同種装置の最近の故障発生状況も参照しながら、故障原因候補とともに、故障原因候補に関わる関連情報(たとえば故障原因候補の発生変化率(故障発生変化状況)、装置の市場導入時期、故障原因に対する処置難易度など)を提示するようにした。これによって、診断モデルの更新を頻繁に行なわなくとも、作業者(一般ユーザやサービスマン)がより適切で効率的な処置手順を判断し得るようになる。故障原因候補だけでなく、故障原因候補に関連する最新の関連情報を合わせて提示することにより、作業者は市場での故障発生状況により即した判断を下すことで、より適切な故障処置を行なうようになる。
たとえば、特許文献1〜3には、ベイジアンネットワークを利用した故障診断システムの仕組みが開示されているが、何れも、故障原因候補を提示し得るに過ぎない。市場での最新の故障発生状況(故障原因候補ごとの故障発生変化状況)や診断対象装置に固有の情報(たとえば装置の市場導入時期、故障原因に対する処置難易度など)を提供する手段はなく、サービスマンなどの作業者が診断対象装置に対してより適切な処置を施すことが困難となる虞れがある。
これに対して、第2実施形態の仕組みでは、故障原因候補とともに、故障原因候補の故障発生変化率、装置の市場導入時期、故障原因に対する処置難易度などの、故障原因候補に関わる関連情報(故障に対する処置を行なう際に有用な関連情報)を提示するので、作業者は、その関連情報を参照して、故障原因候補に対する処置について適正な判断を下して、適切な故障処置を行なうようになる。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で前記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、前記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、上記実施形態では、複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、あるいはそれらの機能を組み合わせて有する複合機などの画像形成装置に故障診断装置を適用した事例において、特に、画像欠陥が生じた際の故障箇所を特定する故障診断への適用例で説明したが、適用範囲は、このような事例に限定されない。たとえば、メカ系(用紙搬送系)の故障発生時に、ベイジアンネットワークを利用して、用紙搬送系欠陥系の故障箇所を特定する故障診断を行なう仕組みにおいて、前記実施形態の仕組みを適用してもよい。
また、上記実施形態では、複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、あるいはそれらの機能を組み合わせて有する複合機などの画像形成装置に故障診断装置を適用した事例で示したが、故障診断装置が適用される装置は、画像形成装置に限らず、家電品や自動車などその他の任意の機器に適用してもよい。
1…画像形成装置、10…情報取得部、140…動作状態情報取得部、142…部品状態情報取得部、143…履歴情報取得管理部、144…環境情報取得部、145…消耗材情報取得部、146…仕様情報取得部、152…故障情報取得部、154…追加操作情報取得部、160…診断情報収集部、230…基準特徴量格納部、260…故障確率推論部、262…故障判定部、264…推論エンジン、270…通知部、3…故障診断装置、300…故障診断システム、301…管理センタ、301A…診断サーバ部、301B…故障原因確定サーバ部、301C…関連情報提示サーバ部、301D…市場品質管理サーバ、302…データベース部、302a…市場品質情報データベース、302b…診断モデルデータベース、306…通信網、310…診断モデル生成・更新部、312…故障発生頻度算出部、319…確率更新部、320…診断情報取得部、322…市場品質情報収集部、324…通信部、360…故障原因確定部、362…故障発生変化状況特定部、364…故障原因決定部、366…処置情報提示部、368…通信部、380…関連情報取得提示部、382…故障発生変化状況特定部、386…関連情報取得提示部、388…通信部、3A…診断情報生成部、3B…故障診断部、4…センサ部、5…故障診断入力部、50…給紙搬送機構部、6…画像形成部、69…用紙タイミングセンサ、7…画像読取部、70…排紙搬送機構部、8…通信部、80…駆動機構振動検出部