JP2009206850A - 故障診断装置およびプログラム - Google Patents
故障診断装置およびプログラム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2009206850A JP2009206850A JP2008047128A JP2008047128A JP2009206850A JP 2009206850 A JP2009206850 A JP 2009206850A JP 2008047128 A JP2008047128 A JP 2008047128A JP 2008047128 A JP2008047128 A JP 2008047128A JP 2009206850 A JP2009206850 A JP 2009206850A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- failure
- diagnosis
- unit
- information
- usage status
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Accessory Devices And Overall Control Thereof (AREA)
- Test And Diagnosis Of Digital Computers (AREA)
- Facsimiles In General (AREA)
Abstract
【課題】診断対象装置にとって故障情報の信頼性を向上させ、診断対象装置の使用状況に適した診断を行なうようにする。
【解決手段】機種・故障内容・使用状況(市場導入後の経過期間、使用度合い、使用環境)ごとに区別した診断モデルを診断モデルデータベース302bに格納する(S100,S102)。故障診断時には、診断対象装置の使用状況情報を取得し(S110)、それに該当する診断モデルを選択して適用する(S112)。最適化された診断モデルを、通信部324を介して診断対象装置に送信し((S142))、診断対象装置において受信した診断モデルを用いて故障診断を行なう。診断対象装置の使用状況(経過期間、使用度合い、使用環境)に基づいて診断モデルを個別に最適化することにより、診断対象装置の使用状況に対応した診断を行なうことができ、より精度の高い診断が可能となる。
【選択図】図7
【解決手段】機種・故障内容・使用状況(市場導入後の経過期間、使用度合い、使用環境)ごとに区別した診断モデルを診断モデルデータベース302bに格納する(S100,S102)。故障診断時には、診断対象装置の使用状況情報を取得し(S110)、それに該当する診断モデルを選択して適用する(S112)。最適化された診断モデルを、通信部324を介して診断対象装置に送信し((S142))、診断対象装置において受信した診断モデルを用いて故障診断を行なう。診断対象装置の使用状況(経過期間、使用度合い、使用環境)に基づいて診断モデルを個別に最適化することにより、診断対象装置の使用状況に対応した診断を行なうことができ、より精度の高い診断が可能となる。
【選択図】図7
Description
本発明は、故障診断装置、並びに電子計算機(コンピュータ)を用いて故障診断を実現するためのプログラムに関する。
近年、各種の機械、たとえば、複写機あるいはプリンタなどのオフィス機器においては、高い生産性が要求されるため故障による遅滞が許容されず、故障を速やかに検知して解決することが求められている。また、自動車や航空、ロボットや半導体設計装置など、他の産業機器においても動作制御などの手段として、信頼性が高く、高速・高精度での動作が可能な部材が数多く搭載されている。これらの対処として、故障診断を自動的に行なう仕組みが考えられている。
たとえば、電子写真方式の複写機やプリンタは、高圧電源による帯電・現像・転写、高温の定着、高分子製トナーの飛散、高速の用紙搬送、用紙の紙粉等の非常に厳しい機内環境で動作するよう構成されているため、良好な品質を維持するために、一例として、定期的にメンテナンスを入れるようにしている。たとえば、電子写真方式の複写機やプリンタのメンテナンスには、専門のサービスマンが派遣され、メンテナンスが実施されるが、電子写真方式の複写機やプリンタの価格低下に比較して、専門のサービスマンの派遣にかかるサービス費用が相対的に大きくなってきている。このため、電子写真方式の複写機やプリンタのユーザが故障箇所を診断し、簡単な故障であればユーザがパーツ交換や修復する、あるいは正確な故障情報をサービスマンに連絡することにより、サービス費用を低減したいという要求が高くなっている。
この要求に対し、複写機、プリンタの画像欠陥情報、装置状態情報、ユーザ操作情報などに基いて、ベイジアンネットワーク(Bayesian Network)あるいは因果ネットワークで構成される故障診断モデルを使用して、故障箇所を推定する故障診断の仕組みを本願出願人は提案している(たとえば特許文献1,2参照)。
ベイジアンネットワークを利用した故障診断システムによれば、故障診断に必要となる種々の情報を、正確かつ専門知識のないユーザにストレスを与えることなく取得するとともに、正確、均質、迅速な故障診断を可能としている。ここで、ベイジアンネットワークで構成される故障診断モデルは、通常、各ノードの確率値の初期値を、過去のデータを元に決定し、その後、必要に応じて更新する。たとえば、部品の交換頻度や不具合発生頻度など、市場トラブルの統計データを元に定期的(たとえば3ヶ月ごと)に各ノードの確率を更新する。
つまり、ベイジアンネットワークには故障原因ノードに対して市場での故障発生頻度を蓄積したデータベースを元にした初期確率を予め与える。そして、定期的にデータベースから各故障原因の発生件数を自動的に取得してベイジアンネットワークモデルの初期確率を更新することで、市場での最新の故障発生頻度に基づいた診断が可能となるようにしている。
たとえば、特許文献1に記載の仕組みでは、装置が市場に導入された後の使用状況を問わず、故障内容ごとに各故障原因ノードの初期確率を算出して設定した各診断モデルを、機種ごとに用意し、適宜初期確率を更新していく。基本的には、診断時に用いる診断モデルは最新バージョンの1種類のみとなる。
また、特許文献2に記載の仕組みでは、複数の画像形成装置のそれぞれで発生した故障情報を管理装置で収集して統合し、統合した故障情報を各画像形成装置で共用できる情報として各画像形成装置に配布し、診断対象装置は配布された故障情報に基づいて故障診断を行なう仕組みを採り、また、各画像形成装置は使用時間や画像形成枚数などの使用状態に応じた故障の発生確率を故障情報として管理装置に提供し、管理装置から故障情報として配布された故障の発生確率を使用状態に応じて重み付けし、この重み付けした発生確率に基づいて故障診断を行なう仕組みを採っている。この場合においても、重み付けによる修正対象の診断モデルは、装置が市場に導入された後の使用状況を問わず、故障内容ごとで、また機種ごとに用意されたものである。
本発明は、診断対象装置と同一の使用状況にある他の装置(同一機種)の故障情報を使った診断条件を元に故障診断を行なうことのできる仕組みを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、故障診断の対象となる診断対象装置の使用状況を示す使用状況情報を取得する使用状況情報取得部と、前記使用状況情報取得部が取得した前記診断対象装置の使用状況情報を参照して、同一の使用状況にある他の装置の故障情報に基づく診断条件を適用した故障診断を行なうように制御する診断条件制御部とを備えたことを特徴とする故障診断装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明においてさらに、各装置の使用状況ごとに、診断条件を格納する診断条件格納部を備え、前記診断条件制御部は、前記診断条件格納部に格納されている使用状況ごとの診断条件の中から、前記使用状況情報取得部が取得した前記診断対象装置の使用状況情報を参照して同一の使用状況のものを選択して前記診断対象装置用の診断条件とすることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明においてさらに、前記使用状況は、装置が市場に導入されてからの経過期間、使用の程度を示す使用度合い、装置が置かれている状況を示す使用環境の何れかであることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明においてさらに、前記診断条件格納部は、前記経過期間、前記使用度合い、前記使用環境の内の少なくとも1つを除いた使用状況ごとに、診断条件を格納するものであり、前記診断条件制御部は、前記使用状況の内、前記診断条件格納部における診断条件の格納時に除かれたものに関しては、前記使用状況情報取得部が取得した前記使用状況情報を元に選択した診断条件に対して、前記使用状況情報取得部が取得した前記診断対象装置の使用状況情報を参照して、前記除かれたものに関する修正を加えることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明においてさらに、各装置の故障内容に関する故障情報を格納する故障情報格納部を備え、前記診断条件制御部は、前記故障情報格納部に格納されている故障情報の内で、前記使用状況情報取得部が取得した前記診断対象装置の使用状況情報に基づく同一の使用状況にある他の装置の故障情報に基づき前記診断対象装置用の診断条件を生成することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明においてさらに、前記故障情報格納部に格納されている故障情報の中から、前記使用状況情報取得部が取得した前記診断対象装置の使用状況情報を参照して同一の使用状況のものを選択し、選択した同一の使用状況にある他の装置の故障情報に基づき各故障原因の発生頻度を算出する故障発生頻度算出部を備え、前記診断条件制御部は、前記故障発生頻度算出部が算出した発生頻度を元に、故障原因の初期確率を算出して診断条件に反映させることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明においてさらに、予め定めた閾値と各故障原因の発生頻度とを比較する比較部を備え、前記故障発生頻度算出部は、前記比較部の比較結果が発生頻度が閾値以下を示しているときには、前記同一の使用状況のものの内、故障原因と相関の高い使用状況を用いて各故障原因の発生頻度を算出することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、故障診断用の診断条件を、電子計算機を用いて用意するためのプログラムであって、前記電子計算機に、故障診断の対象となる診断対象装置の使用状況を示す使用状況情報を取得する使用状況情報取得手順と、前記使用状況情報取得手順で取得した前記診断対象装置の使用状況情報を参照して、同一の使用状況にある他の装置の故障情報に基づく診断条件を適用した故障診断を行なうように制御する診断条件制御手順とを実行させることを特徴とするプログラムである。
請求項1に記載の発明によれば、診断対象装置と同一の使用状況にある他の装置の故障情報を利用して作成されている診断条件を元にして故障診断を行なうことができる。診断条件は、診断対象装置の使用状況を反映して個別に適正にされ、診断対象装置にとって故障情報の信頼性が向上するので、診断対象装置の使用状況に適した診断を行なうことができ、より精度の高い診断が可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、使用状況ごとの診断条件が予め診断条件格納部に格納されているので、その中から診断対象装置と同一の使用状況にある診断条件を選択すればよく、診断対象装置と同一の使用状況にある診断条件の適用が容易である。
請求項3に記載の発明によれば、経過期間、使用度合い、使用環境の何れかと同一の状況にある他の装置の故障情報を利用して作成されている診断条件を元にして故障診断を行なうことができる。
請求項4に記載の発明によれば、選択された診断条件に対してさらに自装置の使用状況を反映するように修正を加えるので、より一層精度の高い診断が可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、故障診断時に自装置と同一の使用状況にある他の装置の故障情報を取得して診断条件を生成するので、自装置の使用状況により近い装置の故障情報が収集でき、より一層精度の高い診断ができる。
請求項6に記載の発明によれば、故障診断時に自装置と同一の使用状況にある他の装置の故障情報に基づいて各故障原因の発生頻度を算出することで、より精度の高い故障原因の初期確率を算出することができる。
請求項7に記載の発明によれば、故障発生件数の少ない故障原因の診断条件を緩和でき、そのような故障原因についても故障原因候補となるようにでき、より一層精度の高い診断が可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、診断対象装置と同一の使用状況にある他の装置の故障情報を利用して作成されている診断条件を元にして故障診断を行なうことができる仕組みを、電子計算機を用いて実現できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<<画像形成装置の構成例>>
図1および図1Aは、故障診断装置の一実施形態を搭載した画像形成装置の構成例を示す図である。ここで、図1は、画像形成装置1の故障診断機能に着目した機能ブロック図である。図1Aは、画像形成装置1における、被搬送体並びに記録媒体の一例である印刷用紙上に画像を転写する機能部分と、原稿の画像を読み取る機能部分とに着目した、機構部分(ハードウェア構成)の断面図を示している。
図1および図1Aは、故障診断装置の一実施形態を搭載した画像形成装置の構成例を示す図である。ここで、図1は、画像形成装置1の故障診断機能に着目した機能ブロック図である。図1Aは、画像形成装置1における、被搬送体並びに記録媒体の一例である印刷用紙上に画像を転写する機能部分と、原稿の画像を読み取る機能部分とに着目した、機構部分(ハードウェア構成)の断面図を示している。
画像形成装置1は、たとえば原稿の画像を読み取る画像読取部(スキャナ部)を備え、画像読取部で読み取った画像データに基づいて原稿画像に対応する画像を印刷する複写装置機能、パソコンなどから入力された印刷データ(画像を表すデータ)に基づいて印刷出力するプリンタ機能、およびファクシミリ画像を印刷出力可能なファクシミリ送受信機能を備えた複合機であって、デジタルプリント装置として構成されているものである。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置1は、故障診断機能に関わる機能部として、当該画像形成装置1の故障を診断する故障診断装置3(故障診断部)と、用紙通過時間、駆動電流、装置内部温湿度などの装置を診断するために必要となる、装置が動作しているときの装置内部の状態情報(動作状態信号)を観測データとして自動的に取得するセンサ部4と、故障診断に必要な情報を入力するための故障診断入力部5を備える。また、画像形成装置1は、その基本機能をなす機能部として、画像を形成し出力する画像形成部6と、原稿画像を読み込む画像読取部7と、通信網806(ネットワーク)を介して各種の情報のやり取りを行なう通信部8を備える。故障診断装置3は、必要に応じて、管理センタ810に備えられる管理装置(たとえばホストコンピュータ)と連携した処理を行なうように構成してもよい。
画像形成部6は、画像読取部7で読み込んだ画像または通信部8を介して各種の情報機器からプリント指示された画像を所定の印刷用紙上に出力する。なお、通信部8は、通信部8が通信部8を介して管理センタ810に備えられる管理装置から最新の診断モデルを取得するためにも利用される。
図1Aに示すように、画像形成装置1は、故障診断装置3を備える他、大別して、入力された画像データに基づいて画像を印刷用紙上に形成(印刷出力)する機能を有する画像形成部6と、印刷用紙を画像形成部6の印字部(プリントエンジン)に給送する給紙搬送機構部50と、画像形成後の印刷用紙を機外に排出する排紙搬送機構部70と、原稿の画像を読み取る画像読取部7とを備えている。画像形成部6、給紙搬送機構部50、および排紙搬送機構部70を纏めて、画像出力部という。各部は、回転力によって被搬送体の一例である印刷用紙を所定方向に移動させるロール部材を含んで構成されている。
<画像形成部>
画像形成部6は、取り込んだ画像データ(たとえば赤R,緑G,青Bの色空間)を当該画像形成部6側において出力処理に用いる色空間(たとえばイエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックK)の画像データに変換したり、画像濃度(コントラスト)やシャープネスなどの補正をしたり、その他の画像処理を行なう画像処理部31と、画像処理部31から入力された画像データに基づいて、たとえば、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙などの印刷用紙上に可視画像を形成する、すなわち印刷出力する機能部を備える。
画像形成部6は、取り込んだ画像データ(たとえば赤R,緑G,青Bの色空間)を当該画像形成部6側において出力処理に用いる色空間(たとえばイエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックK)の画像データに変換したり、画像濃度(コントラスト)やシャープネスなどの補正をしたり、その他の画像処理を行なう画像処理部31と、画像処理部31から入力された画像データに基づいて、たとえば、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙などの印刷用紙上に可視画像を形成する、すなわち印刷出力する機能部を備える。
以下においては、印刷出力する機能部として、画像形成装置1をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャン(ROS)ベースのプリントエンジンを備えるものとして説明する。
この場合、画像形成部6の中央部には、たとえば感光体ドラムロール32が配され、この感光体ドラムロール32の周囲には、一次帯電器33、現像ロール34aおよび現像クラッチ34bからなる現像器34、あるいは転写ロール35、クリーナロール36、ランプ37などが配設される。現像器34の近傍には現像器34に色剤(たとえばトナー)を供給する色剤カートリッジ38が配される。転写ロール35は、感光体ドラムロール32と対向して配され、その間に用紙を挟持して搬送するように、対構造をなしている。
また画像形成部6は、画像形成データに基づいて潜像を感光体ドラムロール32に記録するための書込走査光学系(以下レーザスキャナという)39を有する。レーザスキャナ39には、図示しないホストコンピュータなどから入力された画像データに基づきレーザ光Lを変調して出力するレーザ39aと、このレーザ39aから出力されたレーザ光Lを感光体ドラムロール32上に走査するためのポリゴンミラー(回転多面鏡)39bおよび反射ミラー39cなどの光学系を有する。
給紙搬送機構部50は、画像形成部6に印刷用紙を搬送するための給紙トレイ51と、給紙系統の搬送路52を構成する複数のロールや用紙タイミングセンサなどで構成されている。給紙搬送機構部50のロールとしては、単体構造のものと、2つが対向して配されその間に用紙を挟持して搬送する対構造のものとがある。
たとえば、搬送路52上には、ロール部材として、給紙トレイ51側から画像形成部6に向けて順に、ピックアップロール(ナジャーロール)54、フィードロール55aおよびリタードロール55bからなる給紙ロール対55、第1搬送ロール対(テイクアウェイロール対)56、第2搬送ロール対(プレレジロール対)57、および第3搬送ロール対(レジロール対)58が設けられている。
また、ピックアップロール54の近傍には、このピックアップロール54を作動させるためのナジャーソレノイド61が設けられている。ピックアップロール54と、給紙ロール対55と、ナジャーソレノイド61とでフィード部53が構成される。
また、第3搬送ロール対58近傍の搬送路52上の前流側(図中左側)には、搬送路52上で搬送されてきた印刷用紙を一旦停止させるための停止ツメ(レジゲイト)62と、この停止ツメ62を作動させるためのレジゲイトソレノイド63とが設けられている。
また、画像形成装置1の駆動機構部は、1つのモータによりできるだけ有効に活用できるように、ギア、シャフト、ベアリング、ベルト、ロールなどを使って、幾つかの方向にモータの動力が伝達するように構成されている。駆動機構部は、画像形成装置1内で、駆動機構のベース(マスター,動力源)となる駆動モータ(本例ではメインモータ95を除くモータ96〜99)を動作単位として動作するように構成されている。ソレノイドやクラッチは、電力供給を受けて動作する駆動部材の一例でもあるが、これらは駆動モータの駆動力が伝達される他の部材に対する切替機構として機能するので、駆動モータに対してスレーブの関係にあり、この点では、ギア、シャフト、ベアリング、ベルトなどと同様に動力伝達部材の一例でもある。
また、画像形成装置1には、装置を診断するために必要となる装置が動作しているときの動作状態信号を観測データとして自動的に取得するセンサ部4と、取得された観測データに基づいて故障診断を行なう機能部(故障診断装置3)が設けられている。センサ部4が取得する観測データとしては、たとえば、装置内のコンポーネント(モータ、ソレノイド、クラッチなど)を動作させたときの駆動電流、装置稼働時の振動や差動音、特定部品(あるいはその周囲)や装置全体内の温度あるいは湿度、感光体ドラムロール32近傍のランプ37の光量変化、用紙が通過するタイミング時間などがある。
たとえば、搬送路52上には、画像形成装置1における用紙通過時間情報を収集するためのセンサ部材として、給紙ロール対55と第1搬送ロール対56との間における給紙ロール対55近傍に第1センサ65(プレフィードセンサ)が、給紙ロール対55と第1搬送ロール対56との間における第1搬送ロール対56近傍に第2センサ66(フィードアウトセンサ)が、第2搬送ロール対57と第3搬送ロール対58との間における第2搬送ロール対57近傍に第3センサ67(プレレジセンサ)が、また第2搬送ロール対57と第3搬送ロール対58との間における停止ツメ62近傍に第4センサ68(レジゲイトセンサ)が、それぞれ設けられている。
給紙ロール対55は、用紙を、第1センサ65、第2センサ66、および第1搬送ロール対56へと導くことに加えて、重送(2枚以上の給紙)を防ぐためのサバキの役割も受け持つ。第1搬送ロール対56および第2搬送ロール対57は、用紙を感光体ドラムロール32に導くための役目を果たす。
第1センサ65にて用紙搬送時間を監視することで、たとえばフィード部53を起因とする用紙繰出しに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。また、第2センサ66にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば第1搬送ロール対56を起因とする用紙引込みに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断することが。また、第3センサ67にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば第2搬送ロール対57を起因とする用紙繰出しに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。また、第4センサ68にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば第3搬送ロール対58を起因とする用紙引込みに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。
レジゲイトソレノイド63は、第2センサ66がオンしてから、一定の時間経た後に、用紙を停止ツメ62で一旦停止させるために使われる。この目的は、用紙内での書出位置と感光体ドラムロール32上の像の位置を合わせるためのタイミングを合わせるためである。
排紙搬送機構部70は、画像形成部6にて印刷用紙上に画像形成された印刷済み用紙を機外にて受け取るための排紙トレイ71(外部トレイ)と、排紙系統の搬送路72を構成する複数のロールやセンサなどで構成されている。排紙搬送機構部70のロールとしては、2つが対向して配され、その間に用紙を挟持して搬送する対構造のものが使用されている。たとえば、搬送路72上には、ロール部材として、画像形成部6の転写ロール35側から排紙トレイ71に向けて順に、定着ロール対74(フューザ、定着器)と排出ロール対76(イグジットロール)とを有する。本実施形態では定着ロール対74を排紙搬送機構部70側に組み入れて示しているが、画像形成部6側に組み入れて考えてもよい。
また、搬送路72上には、画像形成装置1における用紙通過時間情報を収集するためのセンサ部材として、定着ロール対74と排出ロール対76との間に第5センサ78(定着器排出センサ)が、また排出ロール対76と排紙トレイ71との間に第6センサ79(排出センサ)が、それぞれ設けられている。
第5センサ78にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば定着ロール対74を起因とする用紙引込みに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。また、第6センサ79にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば排出ロール対76を起因とする用紙繰出しに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。また、第4センサ68と第5センサ67とで協働して用紙搬送時間を監視することで、たとえば感光体ドラムロール32を起因とする用紙引込みや用紙繰出しに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。
用紙通過時間情報を収集するためのセンサ部材である各センサ65,66,67,68,78,79(以下纏めて用紙タイミングセンサ69ともいう)は、用紙搬送通過時間情報を収集する用紙通過時間検出部を構成する用紙検知部材(用紙タイミングセンサ)であり、被搬送体の一例である印刷用紙が所定のタイミングで搬送されているかどうか検出するために設置されている。各用紙タイミングセンサ69で得られた検知信号は、印刷用紙の搬送タイミングや搬送時間(用紙通過時間)を計測する計測部に入力されるようになっている。
用紙検知部材をなす各用紙タイミングセンサ69は、設置場所に応じて様々な形状や特性のものを使用してよい。基本的には、一対の発光素子(たとえば発光ダイオード)と受光素子(たとえばフォトダイオードやフォトトランジスタ)で構成されているものを用いる。発光素子と受光素子の両者が一体となったフォトインタラプタを用いてもよい。また、各用紙タイミングセンサ69は、透過型(遮断型ともいわれる)および反射型のうちの何れであってもよい。図1に示す本実施形態の構成では、全ての用紙タイミングセンサ69について、反射型のフォトインタラプタを用いている。反射型の場合、通常用紙が搬送されていない状態では、受光素子は発光素子の光を入力する状態であり、すなわちオン状態となり、用紙タイミングセンサ69を用紙が通過する状態では発光素子の光が遮断され、すなわちオフ状態となる。
画像形成装置1に設けられる故障診断装置3は、その収集した通過時間情報に基づいて部品の故障確率を決定する。そして、故障診断部は、これらの用紙タイミングセンサ69を用いて収集した通過時間情報に基づいて、部品の故障確率を決定し、故障診断を行なう。たとえば、ピックアップロール54(ナジャーロール)や給紙ロール対55(フィードロール)の状態の結果ノードとして、観測可能なノード(通過時間と標準偏差の各ノード)がある。故障確率は、用紙がセンサを通過する時間の平均と標準偏差を観測して、その値が基準より大きいときに故障確率が高いと判断する。
なお、一般的に用紙タイミングセンサ69は、用紙先端部の通過を検知し、所定のタイミングの範囲内かどうかを検出し、印刷用紙の通過タイミングが所定のタイミング範囲外の場合、つまり印刷用紙の搬送開始から各センサを通過する時間が所定の時間範囲から外れている場合、画像形成装置1は、正常にプリントできないジャム(JAM)状態であると判断し以降の用紙搬送工程を中止する、換言すると、用紙の搬送工程に故障が発生した状態であると判断し、用紙搬送を、その時点、その位置で停止させる。
また、画像形成装置1は、電力供給を受けて動作するモータやソレノイドなどの駆動部材やこの駆動部材の駆動力を他の部材に伝達する動力伝達部材などの構成部材を構成要素として含む各駆動機構部の振動を検出する駆動機構振動検出部80を備えている。駆動機構振動検出部80は、一例として、加速度を検知するタイプの加速度センサや機械から発生する音を検知するタイプの音響センサを利用して装置内の振動を検出する振動センサ82を有する。本例では、感光体ドラムロール32の直下で、図示しない本体シャーシに振動センサ82を固定している。なお、この振動センサ82を取り付ける位置は、特に限定しない。画像形成装置1内部で、駆動機構部の加速度や作動音を効率よく検出する位置であればよく、感光体ドラムロール32の直下に限定されない。
また、画像形成装置1は、当該装置が備える駆動機構部の動作に関わる環境情報を取得する機能要素を備えている。一例としては、先ず、画像形成装置1は、装置内の温度を検出する稼働温度検出部84を備えている。本実施形態において、稼働温度検出部84は、たとえば白金測温抵抗体、サーミスタ、熱電対などで構成された電子式センサ、あるいは、物体から放射される赤外線を測定しその赤外線の量から物体の温度を測定するサーモパイルなどの非接触方式などの温度センサ85を有し、この温度センサ85を利用して、装置内における所望位置の温度を検出するようにしている。一例としては、定着ロール対74の近傍の温度を検知するように温度センサ85を配するとよい。
温度上昇には、故障で発熱があり装置内の温度が異常に高い場合と、装置が置かれている周囲温度が高いために装置内の温度が上がる場合がある。前者は、たとえば定着ロール対74に関わる温度制御が故障しているとか、回路が故障して異常に発熱しているとか、関連する個々の部品の故障確率を大きな依存関係があるように設定する。後者は、画像形成装置スペック内での利用でも、長期に亘ってそのような状況に置かれる場合、ロールの劣化が加速し、ロールと用紙の摩擦係数が変化して、用紙搬送時の時間変化に繋がる。この場合も、関連する部品の故障確率が大きくなるように設定する。
また画像形成装置1は、当該装置が備える駆動機構部の動作に関わる環境情報を取得する機能要素の他の一例として、装置内の湿度を検出する稼働湿度検出部86を備えている。本実施形態において、稼働湿度検出部86は、湿度センサ87を有し、この湿度センサ87を利用して、装置内における所望位置の湿度を検出するようにしている。一例としては、給紙トレイ51近傍にて用紙近傍の湿度を検知するように湿度センサ87を配するとよい。用紙が湿度の影響を大きく受けるからである。湿度センサとしては、たとえば雰囲気の湿分の吸脱着による電気的性質の変化を主として利用する電子式センサなど、種々のものを使用してよい。たとえば、乾湿球式、毛髪式、水晶振動式、高分子系センサや金属酸化物センサなどを用いたものなどを使用してよい。特に、高分子系や金属酸化物は、回路との相性のよい小型センサであり、本実施形態の適用に好ましい。
湿度は、ロールと用紙、および用紙間の摩擦係数に影響を与えることが分かっている。湿度が高いほど、用紙間の摩擦係数が大きくなり搬送し難くなり、ミスフィード(搬送障害)の確率が大きくなり、フィード部53でのジャムになる。また、搬送途中でも、用紙とロール間の摩擦係数がばらつくので、用紙搬送時間が変化し、ジャムの発生確率も高くなる。
また、画像形成装置1は、装置が使用する消耗材の状態を検知する機能要素である消耗材検知部を備えている。本実施形態において、消耗材検知部の一例として、先ず、反射光検知用光センサあるいは透過光検知用光センサを有し、この各検知用光センサを利用して、印刷用紙の厚さ(坪量で表現)や用紙種別などの用紙情報を検出する用紙情報収集部88を給紙トレイ51の近傍や搬送路52上の所定位置に設ける。用紙が規定の値(たとえば50〜100g/m^2;“^”はべき乗を示す)より厚い(または薄い)やコート紙の場合、ジャムを生じる可能性が高くなるので、用紙情報を検出して、故障確率の算定に使用する。また、消耗材検知部の他の一例として、現像器34の近傍に配される色剤カートリッジ38には、トナー(色剤)の残量を検出する色剤残量検知部89が設けられている。色剤残量の監視機構については、当該技術分野の当業者に公知のものであるので、ここでは、図示やその詳細な説明を割愛する。
以上、故障診断の判定に利用する観測データの一例について説明したが、ここで示したものは一例に過ぎず、上述したものに限定されない。たとえば、感光体ドラムロール32を中心とするエンジン部の状態を監視するべく、一次帯電器33に供給される印加電圧を監視する機構が設けられる。この監視機構については、当該技術分野の当業者に公知のものであるので、ここでは、図示やその詳細な説明を割愛する。
<画像読取部>
画像読取部7は、読取対象となるシート状の原稿から、その原稿上に描かれた画像を光学的に読み取るものであり、プラテンカバー706を備える。また、画像読取部7は、読取対象となる原稿が載置されるA3サイズよりも少し大きいプラテンガラス712(原稿載置台)を有し、その下部に、原稿を読み取る受光部742を含む光学系や、画像読取部側の画像処理部760を有している。本実施形態では、受光部742としては、基板744上に設けられた密着型のラインセンサ(CIS:Contact Image Sensor)を使用し、プラテンガラス712下でラインセンサを副走査方向に移動させる形態をとっている。
画像読取部7は、読取対象となるシート状の原稿から、その原稿上に描かれた画像を光学的に読み取るものであり、プラテンカバー706を備える。また、画像読取部7は、読取対象となる原稿が載置されるA3サイズよりも少し大きいプラテンガラス712(原稿載置台)を有し、その下部に、原稿を読み取る受光部742を含む光学系や、画像読取部側の画像処理部760を有している。本実施形態では、受光部742としては、基板744上に設けられた密着型のラインセンサ(CIS:Contact Image Sensor)を使用し、プラテンガラス712下でラインセンサを副走査方向に移動させる形態をとっている。
受光部742は、ラインセンサで原稿画像を撮像して得た各分光成分の撮像画像信号を受光部742と同様に基板744上に設けられた図示しない読取信号処理部に送る。読取信号処理部は、この読取りにより得た撮像画像信号に対して所望のアナログ信号処理を施した後に、たとえば赤(R)、緑(G)、青(B)の各色成分のデジタル画像データに変換し、赤、緑、青のデジタル画像データを画像処理部760に送る。
<画像出力部の動作の概要>
前記構成の画像形成装置1において、画像出力部を動作させて、被搬送体の一例である印刷用紙上に画像を形成する際には、給紙搬送機構部50により給紙トレイ51から用紙を繰り出して、その印刷用紙を画像形成部6の所定位置まで搬送させて、印刷用紙上に画像を形成する。
前記構成の画像形成装置1において、画像出力部を動作させて、被搬送体の一例である印刷用紙上に画像を形成する際には、給紙搬送機構部50により給紙トレイ51から用紙を繰り出して、その印刷用紙を画像形成部6の所定位置まで搬送させて、印刷用紙上に画像を形成する。
たとえば、先ず、プリント処理の開始とともに、ナジャーソレノイド61が動作し、ピックアップロール54を押し下げる。これとほぼ同時に、画像形成装置1内の各種ロール(対)を回転させるためのモータ96〜99が回転動作を始める。ナジャーソレノイド61により押し下げられたピックアップロール54は、給紙トレイ51に設置された最上面の印刷用紙に接触し、給紙トレイ51内の複数の印刷用紙から分離され、印刷用紙1枚を給紙ロール対55に導く。そして、給紙ロール対55を通して、1枚の用紙のみが給紙されるようになる。給紙ロール対55から送り出された印刷用紙は、各搬送ロール対56,57,58を介して、画像形成部6の感光体ドラムロール32と転写ロール35との間へ搬送される。
画像形成部6においては先ず、一次帯電器33によって感光体ドラムロール32は所定の電位に帯電される。次に潜像形成用の光源としてのレーザ39aが、図示しないホストコンピュータからの画像生成用のデータによって駆動されることで、画像データを光信号に変換し、この変換されたレーザ光Lをポリゴンミラー39bに向けて照射する。このレーザ光Lは、さらに反射ミラー39cなどの光学系を介して一次帯電器33によって帯電された感光体ドラムロール32上を走査することで、感光体ドラムロール32上に静電潜像を形成する。
この静電潜像は、所定色(たとえばブラック;黒)のトナーが供給される現像器34によってトナー像とされ(現像され)、このトナー像は、搬送路52を通過してきた用紙が感光体ドラムロール32と転写ロール35との間を通過する間に、転写ロール35によって印刷用紙上に転写される。転写工程の後に感光体ドラムロール32上に残ったトナーは、クリーナロール36で清掃される。現像ロール34aには、現像クラッチ34bが設けられており、この現像クラッチ34bを使って現像タイミングを調節する。次に、ランプ37(除電装置)によって、感光体ドラムロール32が除電されることで感光体ドラムロール32上の潜像が消去され、次の画像記録のための前記工程に移る。
一方、トナー像が転写された印刷用紙は、定着ロール対74で加熱および加圧されて、印刷用紙にトナー像が定着する。最後に、定着ロール対74を出た印刷用紙は、排出ロール対76によって、機外の排紙トレイ71に排出される。
なお、画像形成部6の構成は上述したものに限らず、たとえば、中間転写ベルトを1つあるいは2つ備えた中間転写IBT(Intermediate Belt Transfer)方式のものとしてもよい。また、図では、単色印刷用の画像形成部6を示しているが、カラー用の画像形成部6として構成してもよい。この場合、エンジン部の構成としては、たとえば、K,Y,M,Cの出力色ごとに同様の画像形成プロセスを繰り返してカラー画像を形成するもの、たとえば単一のエンジン(感光体ユニット)で各色の画像を順に形成しつつ、これを1色ずつ中間転写体に重ね転写してカラー画像を形成するマルチパス型(サイクル型/ロータリー型)の構成、あるいは、各出力色に対応する複数のエンジンを、たとえばK→Y→M→Cの順にインライン状に配列し、K,Y,M,Cの画像を4つのエンジンで並列的(同時進行的)に処理するように構成したタンデム型の何れとしてもよい。
<故障診断装置>
図2は、故障診断装置3の一実施形態を示すブロック図である。故障診断装置3は、センサ部4で取得される観測データに基づき故障診断を行なうように構成されている。たとえば、故障診断装置3は、センサ部4で取得された観測データやその他の故障診断に必要な各種情報を取得する動作状態情報取得部140と、発生した故障の状態を故障診断入力部5により提示された画面の指示に従ってユーザが入力することにより得られた故障情報を取得する故障情報取得部152と、ユーザ操作によって動作条件の異なる状態で故障情報を取得する追加操作情報取得部154と、動作状態情報取得部140より得られた情報に基づいて故障診断を行なう故障診断部200を備えている。
図2は、故障診断装置3の一実施形態を示すブロック図である。故障診断装置3は、センサ部4で取得される観測データに基づき故障診断を行なうように構成されている。たとえば、故障診断装置3は、センサ部4で取得された観測データやその他の故障診断に必要な各種情報を取得する動作状態情報取得部140と、発生した故障の状態を故障診断入力部5により提示された画面の指示に従ってユーザが入力することにより得られた故障情報を取得する故障情報取得部152と、ユーザ操作によって動作条件の異なる状態で故障情報を取得する追加操作情報取得部154と、動作状態情報取得部140より得られた情報に基づいて故障診断を行なう故障診断部200を備えている。
動作状態情報取得部140は、センサ部4より取得された各部品の稼動状態を示す部品情報を観測データ情報として取得する部品状態情報取得部142と、画像形成装置1の使用状況を監視するとともに、監視結果を不揮発性の記憶媒体に登録・保持することで画像形成装置1の使用状況の監視結果を履歴情報として管理する履歴情報取得管理部143を有する。「使用状況」については後で説明する。
さらに動作状態情報取得部140は、センサ部4をなす稼働温度検出部84や稼働湿度検出部86にて検知される情報に基づき、温度や湿度などのコンポーネントの状態に影響を与える周囲環境条件を環境情報として取得する環境情報取得部144と、消耗材検知部(用紙情報収集部88や色剤残量検知部89など)にて検知される情報に基づき、印刷用紙の厚さや用紙種別、あるいは色剤の色種やタイプや残量など装置が使用する消耗材の情報を取得する消耗材情報取得部145と、画像形成装置1の仕様情報を取得する仕様情報取得部146を有する。
故障診断部200は、特徴量抽出部210、故障診断時の判定指標となる基準特徴量を所定の記憶媒体(好ましくは不揮発性の半導体メモリ)に格納するに格納する基準特徴量格納部230、各取得部(動作状態情報取得部140、故障情報取得部152、追加操作情報取得部154)より得られた情報に基づいて故障原因の確率を算出する故障確率推論部260、あるいは故障判定結果や検査内容をカスタマに通知する通知部270などを内部に有する。故障確率推論部260は、故障候補抽出や故障判定や故障予測を行なう故障判定部262と、故障判定部262の故障判定や故障予測に際して使用される故障確率を推論する推論エンジン264を有する。また、故障診断部200は、故障診断条件の適正化処理を行なう診断条件制御部350を備えている。
特徴量抽出部210は、部品状態情報取得部142にて取得される搬送系の駆動部材が所定期間動作している間の動作状態を示す動作状態信号に基づいて、その動作状態信号の特徴量を求める。また、特徴量抽出部210は、部品状態情報取得部142だけでなく、履歴情報取得管理部143、環境情報取得部144、消耗材情報取得部145、あるいは仕様情報取得部146からの情報も取得して、それら取得した情報の特徴量も求める。特徴量抽出部210は、部品状態情報取得部142からの動作状態信号やその他の履歴情報取得管理部143などからの情報を受け取る動作状態信号受取部の機能を持つ。
なお図示しないが、基準特徴量格納部230には、記憶媒体の他に、記憶媒体に基準特徴量を書き込むための書込制御部や、記憶された基準特徴量を記憶媒体から読み出すための読出制御部が設けられる。記憶媒体は、画像形成装置1において特徴量抽出部210によって取得される種々の動作状態信号の履歴情報を保持する履歴記憶部の機能を持つ。
基準特徴量としては、たとえば、駆動機構部を構成する機構部材(モータやソレノイドなどの駆動部材を含む)や機構部材を駆動する電気部材(駆動信号生成部150や駆動回路)が正常に動作している正常状態で、特徴量取得部210により取得された特徴量(たとえば分布状態を特定する情報など)を使用する。あるいは、特徴量取得部210で得られる特徴量に代えて、画像形成装置1におけるステッピングモータ112などの動作電流や振動の定格値を利用してもよい。また、故障が検知された場合に、その故障箇所や故障状態を判定するための基準特徴量として、各構成部材が故障時に、特徴量取得部210により取得された特徴量(たとえば分布状態を特定する情報など)を使用する。記憶媒体に記憶される故障状態に関する基準特徴量は当該画像形成装置1の診断モデルとして利用されるもので、たとえば当該装置の各部材を強制的に故障状態にして特徴量取得部210により検知したものであってもよいし、管理センタ810などに集約されるメンテナンス情報に基づいて取得した情報を用いてもよい。
なお、故障診断装置3を構成する各部はそれらが1つの画像形成装置1に搭載された形態に限らず、それらを構成する機能部の一部あるいは全部が画像形成装置1とは別の装置に搭載された形態(いわゆるシステム構成)であってもよい。たとえば、特徴量取得部210を画像形成装置1側の故障診断装置3から取り外して管理センタ810側に配置し、センサ部4で取得される情報を管理センタ810側の特徴量取得部210に送り、管理センタ810側にて特徴量を特定して診断モデルを用意するようにしてもよい。この際には、当該装置だけでなく、同機種の複数台の情報から共通の診断モデルを生成することを基本とし、必要に応じてさらに当該装置に固有の情報に基づき前記共通の診断モデルを修正して当該装置用の診断モデルとして使用するなどするのがよい。
故障判定部262は、記憶媒体に格納しておいた診断モデル(自装置で取得した基準特徴量を含む)と故障診断時に特徴量抽出部210で得られる特徴量である実働特徴量とを比較することにより、診断対象ブロックに故障が発生しているか否かや、将来故障が生じる可能性など故障に関わる診断処理を行なう。
たとえば故障診断部200は、各画像形成装置1についての故障情報の収集や診断モデルの更新などを行なう管理センタ810(データセンタとも称する)と接続され、管理センタ810に配置されたデータベースDBに故障情報や診断モデルを登録したり、データベースDBに登録されている各種の診断モデルの中から診断対象の画像形成装置1に適した診断モデルの選択・提供を受けて故障診断を行なう。
たとえば、故障診断部200は、画像形成装置1を構成するコンポーネントの状態情報、装置の履歴情報、装置が設置されている周辺環境情報、およびユーザ操作によって得られる追試結果情報を用いて前記画質欠陥を引き起こす原因となる箇所の故障確率を推論エンジン264にて推論し、推論エンジン264にて算出した故障確率を元にして故障判定部262にて故障箇所の候補を抽出する。
故障判定部262は、推論エンジン264を利用して故障候補を絞り込む故障候補抽出部の機能を有しており、絞り込んだ故障候補、故障判定結果(故障の有無、故障箇所、故障内容)、故障予測結果(故障可能性の有無、故障箇所、故障内容)、あるいは検査内容や取得した動作状態信号などを通知部270に通知する。
ここで、自動判定処理を行なったときに、故障箇所候補を1つに絞りきれないときには、ユーザ操作によって得られた動作条件の異なる状態で取得された追試結果情報の入力を待って、推論エンジン264にて故障確率を再計算し、それぞれの動作条件で取得される故障確率に基づいて、より適切な故障箇所を抽出する。
通知部270は、たとえば、故障判定部262から受け取った故障判定結果などを、お客様(画像形成装置1の操作者や所有者)、画像形成装置1をメンテナンス(保守、維持、管理)するカスタマーエンジニア、あるいは画像形成装置1を管理している管理センタ810などのカスタマーエンジニアやカスタマーに通知する。
たとえば、お客様に直接知らせる場合は、画像形成装置1にアラームを知らせるような、たとえば表示パネルやスピーカなどで知らせる。お客様は、それを見てあるいは聞いて、故障箇所や故障内容をサービスセンタに知らせる。また、画像形成装置1をメンテナンスするカスタマーエンジニアに直接知らせる場合は、公衆電話回線や、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System )などの携帯端末を使って、故障発生などを連絡する。また、故障箇所や故障内容のデータをカスタマーエンジニアが所有する端末に送るようにしてもよい。
また、画像形成装置1を管理している管理センタ810などに知らせる場合は、カスタマーエンジニアに直接知らせる場合と同様に、公衆電話回線や携帯端末を使うようにしてもよい。また、インターネットを利用した連絡を行なうようにしてもよい。これらの場合も、故障箇所や故障内容のデータを管理センタ810の端末に送るようにしてもよい。
ところで、故障診断装置3は、前述の通り、たとえば自動的にメカ系(用紙搬送系)や画像欠陥系の故障箇所を特定する故障診断を行なうに際しては、その診断アーキテクチャとして、障害発生前に正常時データを取得しておき、稼働状態の装置状態や環境条件などの観測データ(纏めて実働データともいう)を取得し、これらの情報を活用して、推論エンジンにて算出される故障確率なども参照の上、診断を行なう。本実施形態でいう故障診断とは、故障の有無の判断だけでなく、将来の故障の発生を予測する予測診断も含む意味である。
推論エンジンや故障診断を行なう部分である故障診断部200、あるいは診断条件制御部350など故障診断に関わる機能部分は、画像形成装置1の本体に内蔵する構成に限らず、サーバ側、たとえば画像形成装置1とネットワーク接続された管理センタ810(データセンタとも称する)に設けてもよい。この場合、正常時データや実働データを、ネットワークを介して管理センタ810に送り、管理センタ810にて診断を行なう。たとえば、画像形成装置1側で故障箇所や故障内容を特定せずに、故障診断部200にて行なった故障診断の検査内容とそこで使用した動作状態信号などのデータを管理センタ810に通知し、管理センタ810側で、故障候補の絞込みあるいは故障箇所や故障内容の特定などを行なうようにしてもよい。あるいは、推論エンジンのみを管理センタ810に置き、故障確率の算出を管理センタ810にて行なうようにしてもよい。また、故障診断部200を画像形成装置1側に配置し診断条件制御部350を管理センタ810側に配置する構成を採ってもよい。
診断結果に関しては、たとえばカスタマーエンジニア(CE;Customers Engineer)が管理センタ810で確認する形態を採ってもよいし、管理センタ810で診断を行なう形態では診断結果を画像形成装置1に送ることで、画像形成装置1側にて、カスタマーエンジニアやカスタマー(顧客/ユーザ)が確認する形態を採ってもよい。
ここで、本実施形態においては、故障確率の算出を行なう推論エンジンとしては、ベイジアン(Bayesian)ネットワークを利用する。ベイジアンネットワークを利用する故障診断は、ノード(変数)間の依存関係を確率的に捉え、グラフ構造(ベイジアンネットワークあるいは因果ネットワークと呼ばれる)を用いて、分布の推定を行なう最適化アプローチである。
また、本実施形態特有の構成として、故障診断部200は、故障診断条件として利用される診断モデルが、診断対象の画像形成装置1の実情に即したものとなるように制御する診断条件制御部350を備えている。診断条件制御部350は、診断条件を更新する更新制御部の機能を持つ。診断モデルなどの故障診断条件を画像形成装置1自身で生成して用意するか管理センタ810側で生成して画像形成装置1に送るかを問わず、たとえば市場導入後からの時間的な経過状況(経過期間)、画像形成装置1の使用度合い、画像形成装置1の使用環境など、診断対象の画像形成装置1の実情に応じて適正なものを適用するように制御することで、診断性能を向上させる(より高い精度で故障原因の診断を行なう)ことが好ましい。
使用度合いは、画像形成装置1の実際の使用時間や画像形成枚数など使用頻度を示す情報や使用頻度に基づく消耗度などである。経過期間や使用度合いを纏めて、画像形成装置1の「使用状態」とも称し、使用状態や使用環境など、画像形成装置1の実情を纏めて、画像形成装置1の「使用状況」とも称する。診断対象機種の使用状況に基づいて、同一の使用状況にある同一機種の故障情報を使って診断モデルを個別に適正化(最適化)するために、本実施形態では診断モデル生成・更新部310や診断条件制御部350を備えているのである。診断条件制御部350を構成する各機能部については後で詳しく説明する。
「同一の使用状況にある同一機種の故障情報を使って診断モデルを個別に適正化する」とは、診断対象装置の使用状況と同一の使用状況にない装置の故障情報は適用されず、診断対象装置の使用状況と同一の使用状況にある装置(のみ)の故障情報が適用された診断モデルにすることを意味する。
たとえば、本実施形態においては、更新処理は、画像形成装置1の使用状態(経過期間、使用度合い)や画像形成装置1の使用環境など、診断対象の画像形成装置1の実際の使用状況に応じて、同一の使用状況にある同一機種の故障情報を使って、モデル更新を行なう仕組みを採る。このような構成の診断条件制御部350は、市場導入前に構成した診断モデルの更新を予め設定されたタイミングに限らず、市場導入後の市場での実際の状況に対応して、適切に更新する。たとえば、市場導入後の各画像形成装置1の状況は、装置ごとに異なるが、診断対象装置と同一の使用状況にある同一機種の故障情報に基づいて診断条件(診断モデル)を診断対象装置の別に適正化することにより、診断対象装置の使用状況に適した診断を行なうことで、より精度の高い診断を行なうようにする。
<故障診断装置:計算機構成>
図3は、故障診断装置3の他の構成例を示すブロック図である。ここでは、パーソナルコンピュータなどの電子計算機を利用して、故障診断処理をソフトウェアを実行するマイクロプロセッサなどから構築されるより現実的なハードウェア構成を示している。
図3は、故障診断装置3の他の構成例を示すブロック図である。ここでは、パーソナルコンピュータなどの電子計算機を利用して、故障診断処理をソフトウェアを実行するマイクロプロセッサなどから構築されるより現実的なハードウェア構成を示している。
後述するベイジアンネットワーク手法を適用した故障診断処理を、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体が発明として抽出される。
もちろん、このようなコンピュータを用いた構成に限らず、図2に示した各機能部の機能をなす専用のハードウェアの組合せにより故障診断装置3や故障診断部200が構成される。ソフトウェアにより処理を実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などが容易に変更され得る。
電子計算機に一連のベイジアンネットワーク処理を利用した故障診断機能をソフトウェアにより実行させる場合には、電子計算機を利用した一般的な情報処理の場合と同様に、磁気ディスク(フレキシブルディスクFDを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc )を含む)、または半導体メモリなどよりなるパッケージメディア(可搬型の記憶媒体)や、有線あるいは無線などの通信網を介して、そのソフトウェアを構成するプログラムが電子計算機にインストールされる。ソフトウェアは、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、コンピュータで構成されるシステムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。たとえば、既存の複写装置制御ソフトやプリンタ制御ソフト(プリンタドライバ)に組み込まれるアドインソフトとして提供されてもよい。
故障診断装置3を複写機能を持つ画像形成装置1に組み込む形態の場合、図3に示す電子計算機には、たとえば、複写アプリケーションやプリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムなど、従来の画像形成装置(複合機)におけるものと同様のソフトウェアが組み込まれる。また、ネットワーク9を介して外部とのデータを送受信したりするための制御プログラムも組み込まれる。
たとえば、故障診断装置3を構成するコンピュータシステム900は、コントローラー部901と、ハードディスク装置、フレキシブルディスク(FD)ドライブ、あるいはCD−ROM(Compact Disk ROM)ドライブ、半導体メモリコントローラなどの、所定の記憶媒体からデータを読み出したり記録したりするための記録・読取制御部902とを有する。
コントローラー部901は、CPU(Central Processing Unit )912、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)913、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに揮発性の記憶部の一例であるRAM(Random Access Memory)915、および不揮発性の記憶部の一例であるRAM(NVRAMと記述する)916を有している。NVRAM916には、たとえば、使用時間、頻度、コピー/プリント枚数などで重み付けした各パーツの故障確率の情報を格納する。
“揮発性の記憶部”とは、故障診断装置3の電源がオフされた場合には、記憶内容を消滅してしまう形態の記憶部を意味する。一方、“不揮発性の記憶部”とは、故障診断装置3のメイン電源がオフされた場合でも、記憶内容を保持し続ける形態の記憶部を意味する。記憶内容を保持し続け得るものであればよく、半導体製のメモリ素子自体が不揮発性を有するものに限らず、バックアップ電源を備えることで、揮発性のメモリ素子を“不揮発性”を呈するように構成するものであってもよい。また、半導体製のメモリ素子により構成することに限らず、磁気ディスクや光ディスクなどの媒体を利用して構成してもよい。
また、コンピュータシステム900は、カスタマーインタフェースをなす機能部として、キーボードやマウスなどを有する指示入力部903と、操作時のガイダンス画面や処理結果などの所定の情報をカスタマーに提示する表示出力部904と、各機能部との間のインタフェース機能をなすインタフェース部(IF部)909とを有する。
なお、故障診断装置3を複写機能を持つ画像形成装置1に組み込んで一体化させる場合、処理対象の画像を読み取る画像読取部(スキャナユニット)905と、印刷出力用データを生成する画像処理部962および処理済みの画像を所定の出力媒体(たとえば印刷用紙)に出力するプリントエンジン964を具備した画像形成部906も設けられる。
インタフェース部909としては、処理データ(画像データを含む)や制御データの転送経路であるシステムバス991の他、たとえば、画像読取部905とのインタフェース機能をなすスキャナIF部995、画像形成部906や他のプリンタとのインタフェース機能をなすプリンタIF部996、およびインターネットなどのネットワーク9との間の通信データの受け渡しを仲介する通信IF部999を有している。
表示装置904は、たとえば、表示制御部942とCRT(Cathode Ray Tube;陰極線管)やLCD(Liquid Crystal Display;液晶)などでなるディスプレイ部944とを有する。たとえば、表示制御部942が、ディスプレイ部944上に、ガイダンス情報や画像読取部905が取り込んだ全体画像などを表示させる。また、故障判定結果や検査内容をカスタマーに通知する際の表示デバイスとしても利用される。表示面上にタッチパネル932を有するディスプレイ部944とすることで、指先やペンなどで所定の情報を入力する指示入力部903を構成してもよい。
なお、故障診断装置3の各機能部分の全ての処理をソフトウェアで行なうのではなく、これら機能部分の一部を専用のハードウェアにて行なう処理回路908を設けてもよい。ソフトウェアで行なう仕組みは、並列処理や連続処理に柔軟に対処し得るものの、その処理が複雑になるに連れ、処理時間が長くなるため、処理速度の低下が問題となる。これに対して、ハードウェア処理回路で行なうことで、高速化を図ったアクセラレータシステムが構築される。アクセラレータシステムは、処理が複雑であっても、処理速度の低下が防止され、高いスループットが得られるようになる。
画像形成装置1に適用した本実施形態の故障診断装置3の場合であれば、処理回路908としては、用紙通過時間、駆動電流、振動、作動音、あるいは光量などの観測データ情報、あるいは温度や湿度などの環境情報を取得するためのセンサ系統のデータ取得機能部908aが該当する。なお、図示しないが、診断モデル生成・更新部310や診断条件制御部350を構成する機能部の一部または全部をハードウェア構成にしてもよいのは言うまでもない。
<故障診断処理:画像欠陥診断モデル>
図4は、故障診断部200において故障診断時に利用するベイジアンネットワークの構成例を示すベイジアンネットワークモデル図である。ここで、図4はベイジアンネットワークのより具体的な構成例であり、画像画質欠陥系の故障箇所を特定する故障診断を行なう場合のベイジアンネットワークの構成例を示している。
図4は、故障診断部200において故障診断時に利用するベイジアンネットワークの構成例を示すベイジアンネットワークモデル図である。ここで、図4はベイジアンネットワークのより具体的な構成例であり、画像画質欠陥系の故障箇所を特定する故障診断を行なう場合のベイジアンネットワークの構成例を示している。
本実施形態の故障診断方法としては、診断対象装置がそれぞれ異なる動作条件の元で動作している間の動作状態を示す動作状態信号をそれぞれ取得し、この取得したそれぞれの動作状態信号を、装置の故障を引き起こす原因をモデル化して解析することで、診断対象装置を構成する個々の構成部材について故障診断を行なう。「装置の故障を引き起こす原因をモデル化して解析する」とは、確率を利用して装置の故障を引き起こす原因をモデル化することで、故障の発生箇所や故障内容などの故障原因を解析することを意味する。モデル化の手法としては、確率を利用したものであればよく、一例としては、装置から取得される当該装置の状態を示す実測定値、あるいはこの実測定値から抽出される特徴量(纏めて変数ともいう)の間の依存関係を確率的に捉えてモデル化する手法がある。その具体例としては、ベイジアンネットワークモデルがある。
ベイジアンネットワークは、変数間の因果関係を表す有向非巡回グラフであり、親が与えられると、条件つき確率分布を変数に関連づけるものである。ベイジアンネットワークは、確率理論を使用して問題領域をモデル化する。各ノード(変数)は、相互に排他的な状態のセットを持つ。各ノードには、原因から結果が発生する確率(条件付き確率表)を予め設定しておく。そして、ベイジアンネットワークの大きな特徴は、直接観測できない状態(たとえば、故障の有無など)を直接観測(または入手)できる情報から確率推論し、直接観測できない状態の(故障か否かの)確率算出できることにある。
なお、図4において、ハッチングで示したノードは、直接観測できるノードである。ハッチング無しで示したノードの確率を計算することで、コンポーネントの状態(故障の有無の可能性)が分かる。各ノードの確率計算には、たとえば、ベイズの定理が使われるが、ノードが多く、かつループを作るようなネットワーク構成では、膨大な計算量のため事実上計算はできない。そこで、ベイジアンネットワークにおける確率を正確に更新するための効率的な様々な計算アルゴリズムが考案されており、計算ソフトウェアも幾つかのメーカから販売されている。たとえば、“http://staff.aist.go.jp/y.motomura/bn2002/presen/motomura-tut.files/frame.htm ;オンライン”を参照するとよい。
画像画質欠陥系の故障箇所を特定する故障診断を行なう場合、図4に示すように、ベイジアンネットワークは、画像欠陥を引き起こす原因を表す故障原因ノードND0を中心に、コンポーネント状態ノードND1、履歴ノードND2、環境ノードND3、観測状態ノードND4、ユーザ操作ノードND5、欠陥種類ノードND6が、因果関係を元に結線されて構成されている。なお、ノードとしては、この他にも、たとえば、消耗材情報ノードや仕様情報ノードなどを適用してもよい。
各ノードは、“原因”→“結果”の関係になるように結線される。たとえば、故障原因ノードND0と観測状態ノードND4の関係は“原因”が元で“観測状態(濃度が薄い、筋状・帯状、など)”が表れるという関係になる。一方、履歴ノードND2と故障原因ノードND0の関係は“履歴情報に基づく状態(コピー枚数が多い、稼動年数が長いなど)”が元で“原因”(部品劣化など)が発生するという関係が成り立つ。
コンポーネント状態ノードND1とは、コンポーネントの状態を表すノードであり、この部分の確率を計算して、故障か否かの判断を行なう。各ノード内には、因果関係の強さ表す確率データを纏めた確率表を予め入れておく。なお、確率データの初期値は、過去のデータや部品のMTBF(Mean Time Between Failure ;平均故障間隔)を使うことができる。値が小さすぎる場合は、故障確率の大小関係が明らかになるような部品間の相対的な値を使ってもよい。
履歴ノードND2は、画像形成装置1の使用状況を表わすものであり、本実施形態では、フィード数の履歴情報を用いる。フィード数は、画像形成装置1を所定の位置に設置してから、あるいはコンポーネント交換後、フィード部がどの程度の用紙を送ったがという情報であり、ロールの摩耗や、ギアの摩耗、モータの軸受けの摩耗に対して、直接に影響を与えるもので、コンポーネントの状態を左右する。
環境ノードND3とは、画像形成装置が設置されている周辺環境情報を表すもので、詳しくは、コンポーネントの状態に影響を与える周囲環境条件で、本実施形態では、温度と湿度である。温度や湿度は、フィードロールの紙との摩擦係数、紙間摩擦係数に影響を与え、シート搬送時間に影響を与え、それが画像欠陥に影響を与える。
観測状態ノードND4は、コンポーネント観測情報ノード、出力画像関係の観測データノード、あるいは画像転写系統の観測データノードなど、故障診断(本例では画質欠陥の診断)の判定に利用する情報のノードを纏めたものである。ここで、コンポーネント観測情報ノードは、本実施形態では、シート搬送時間情報、駆動電流情報、あるいは振動情報などである。出力画像関係の観測データノードは、欠陥の形状、大きさ、濃度、輪郭、向き、位置、周期性、発生領域などの情報である。画像転写系統の観測データノードは、コンポーネントの温度、印加電圧、パッチ濃度、あるいは色剤(たとえばトナー)残量などの情報である。
ユーザ操作ノードND5は、画像形成装置1に対して動作条件を変えて同様の処理をさせる情報であり、変更後の動作条件の情報も含む。欠陥種類ノードND6は、欠陥の種類を表すもので、画像画質欠陥としては線、点、白抜け、濃度ムラなどの情報がある。まず、発生した欠陥の種類を判別してこのノードの状態を確定させてから、他のノード(ND1〜ND6)の情報を適宜入力して診断を行ない、故障原因を推定する。
消耗材情報ノードは、用紙厚さや用紙種別、あるいは色剤色種や色剤タイプ、あるいは残量など、装置が使用する消耗材の情報である。たとえば、用紙種別や用紙厚さによって、ロールと用紙の間の摩擦や用紙間摩擦が異なり、また周囲の温度や湿度の影響も異なる。同様に、適切な色剤が使用されていなければ、画像形成に影響を与える。つまり、消耗材の仕様が故障診断に影響を与える。
仕様情報ノードは、仕向地や特殊部品などの情報である。たとえば、寒冷地仕様や沿岸地仕様の装置は、寒冷地や海岸に適した部材が使用されている。仕向地に応じた部品が使用されている装置の故障診断を行なう際には、元々の部品仕様を考慮せずに判断したのでは、その部品について算出された故障率が同じであったとしても、正確な判断ができない。つまり、製品仕様やそれに基づく部品仕様が故障診断に影響を与える。
<故障診断手法の具体例>
図5は、上記構成の故障診断装置3の動作の具体的な事例を説明するものであって、各ノードに条件付確率表を備えたベイジアンネットワークで構成される診断モデルを表している。詳細には、画像欠陥故障診断の構成例の中で、発生した故障内容(欠陥や不具合の内容)が「線・帯」であるときのベイジアンネットワークの一例である。因みに、「線」は黒やその他の色の付いた細い線状のノイズである。「帯」は黒やその他の色の付いた「線」よりも太い幅の帯状のノイズである。
図5は、上記構成の故障診断装置3の動作の具体的な事例を説明するものであって、各ノードに条件付確率表を備えたベイジアンネットワークで構成される診断モデルを表している。詳細には、画像欠陥故障診断の構成例の中で、発生した故障内容(欠陥や不具合の内容)が「線・帯」であるときのベイジアンネットワークの一例である。因みに、「線」は黒やその他の色の付いた細い線状のノイズである。「帯」は黒やその他の色の付いた「線」よりも太い幅の帯状のノイズである。
図示するように、ノードは、“原因”→“結果”の関係になるように結線される。各ノードには、予め条件付確率表中の中から該当する確率値(確率データ)を設定しておく。確率値は、たとえば、故障を起したときの各種の条件とその条件での故障が起こる確率を纏めた条件付確率表をノードごとに用意しておき、その条件付確率表中から対応する条件の確率値を読み出す形で設定する。確率値自体は、経験値によるものもあれば、実測によるデータも使ってもよい。故障の可能性が最も高い部品を推測すると言う意味では、絶対値自体よりむしろ大小関係の方が重要となる。
プラテン傷、ボード@故障(αはX,A,B)、オフセット、ヒートロールの傷、ドラムの汚れ、ドラムの傷といった二重丸のかかったノードは、故障(本例では線・帯欠陥)を引き起こした故障原因を表すノードであり、各故障原因に対する処置内容が予め規定されている。“線幅情報”や“周期性情報”や“発生箇所情報”といった網点ハッチングのかかった画像欠陥の特徴を表すノードは、故障診断装置3の故障情報取得部152によって得られた特徴量に基づいて状態が決定される。
たとえば、“ドラムの傷”と“線幅情報”の関係は“ドラムの傷”が元で細い線が発生といった“線幅情報”が表れるという関係になる。一方、“フィード数履歴情報”と“フューザ”の関係は“フィード数”に基づく状態(フィード数が何枚以上)が元で“フューザ”劣化による線・帯発生の可能性が高くなるという関係が成り立つ。
各ノードの確率値の初期値は、たとえば過去のデータ(経験値や実測データ)を元に決定する。その後、部品の交換頻度や不具合発生頻度など、市場トラブルの統計データを元に定期的に(予め定められている定期的な更新タイミングで)、あるいは市場での画像形成装置1(自装置に限らず同種装置も含む)の実体に応じた臨時の更新タイミングで、各ノードの確率値を更新する。更新方法の詳細については後述する。
画像欠陥の故障診断の処理手順では、一例として、画像の欠陥検出やその特徴量を元に、さらに装置の内部状態情報、履歴情報、周辺環境情報などを自動的に収集して故障診断を行なう。この場合において、たとえば黒・帯発生時の故障原因が、“感光体ドラムロール32の傷”であるのか、“定着ロール対(フューザ)74の劣化”によるものであるのかを切り分ける場合に有効である。また、黒・帯発生の場所が現われる場所に基づき、黒線発生の故障原因箇所を特定する場合にも有効である。
たとえば、線・帯発生は、“感光体ドラムロール32の傷”や“定着ローラ45の劣化”のように、画像出力部側に起因するだけでなく、プラテンガラスの傷など画像読取部側に起因する場合もあり、自動診断だけでは故障原因の切り分けが難しいことがある。
このような場合、たとえば、原稿の向きや印刷用紙の向きを変えるなど出力条件を変更して処理した結果を受けて、カスタマー操作による追加情報を取得して、故障発生確率を再計算して、線・帯発生の場所依存性(つまりブロック依存性)を判断することで、画像読取部側であるのか画像出力部側であるのかというように故障発生箇所を切り分けるようにする。
もちろん、このように、駆動機構部系統や画像読取部側/画像出力部側というように、メカ系統を切り分けることに限らず、画像処理(純粋電気)系かメカ系かという切り分けを行なってもよい。
また、たとえば、基板ごとに内蔵されたテストパターンを順に出力して、どの基板のテストパターンで黒線が発生していたかという情報をカスタマー操作による追加情報として取得することで、故障発生箇所の絞込みを行なうようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態で説明した故障診断装置3の故障診断処理によれば、所定の動作条件で画像形成を行なった画像に欠陥を検出した際に、その動作条件での動作状態のコンポーネント状態、マシンの履歴、環境情報などに基づきベイジアンネットワークにより故障確率を算出し、この算出した故障確率に基づいて故障箇所の候補を抽出するが、故障箇所候補を1つに絞り込むことができなかったときには、さらにユーザ操作による結果情報を追加して、故障確率を再計算して、その結果から故障候補を絞り込むようにした。
画像異常を発生させた原因となった故障箇所の特定処理に際して、コンポーネント(部材)の情報をセンサなどを用いて自動的に収集する手段を有しており、その収集した情報や、その情報から抽出される特徴量(前例では分布に関わる情報)に基づいて、装置が自動的に、ベイジアンネットワークを利用して部品の故障確率を決定し、故障原因箇所を特定するようにすることで、故障診断に際して、予備知識や経験を不要とし、メンテナンスする人の力量に依存しない正確、均質、迅速な故障診断を行なう。ユーザ入力による場合のようなばらつきが生じないし、ユーザ入力のアクションも不要になり、ユーザにストレスを与え得ることもない、使い勝手のよい仕組みとなる。
また、自動診断だけでは故障原因の切り分けが難しい場合でも、ユーザ操作による追加情報を入力して故障発生確率を再計算することで、経験の少ないサービスマンでも簡単な操作でさらに正確な診断を行なうようにする。
加えて、コンポーネント(部材)の情報だけでなく、装置の温度や湿度などの内部状態情報、履歴情報、あるいは周辺環境情報なども自動的に収集して、その特徴量を元に、ベイジアンネットワークを利用して、部品の故障確率を決定し、故障部品を特定することで、より正確な故障診断を行なうようにする。
たとえば、自動トラブルシューティング機構として、トラブルシューティング(ここでは故障診断)に必要な種々のデータを自動収集するプログラムを組み入れることで、診断の速度を上げるとよい。こうすることで、カスタマーからのデータの対話的収集を要しないので、カスタマーの手を煩わせない、簡便な診断システムを実現する。また、検査結果をカスタマーに通知することで、迅速な対応通知を行ない、ダウンタイムの低減を図るようにするとよい。
このように、本実施形態の故障診断装置3は、様々な部材について、また様々な故障状態について、あるいは故障の生じる可能性について、予備知識や経験あるいはメンテナンスする人の力量を要することなく、正確、均質、迅速な故障診断を実現する。
<故障診断システム:第1実施形態>
図6および図6Aは、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第1実施形態を示す図である。前述のように、故障診断を画像形成装置1側で行なうのかサーバ側(本例では管理センタ810)で行なうのかは自由である。ここでは、画像形成装置1にて故障診断を行なうシステムの場合での管理センタ810の構成例を示す。
図6および図6Aは、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第1実施形態を示す図である。前述のように、故障診断を画像形成装置1側で行なうのかサーバ側(本例では管理センタ810)で行なうのかは自由である。ここでは、画像形成装置1にて故障診断を行なうシステムの場合での管理センタ810の構成例を示す。
図示する故障診断システム800においては、センサ部4の観測データを、CPU912、RAM915あるいはNVRAM916などのメモリを利用してソフトウェア処理にて処理するように構成された複数の画像形成装置1(A,B,…:Zは除く)が、インターネットなどの通信網806を介して管理センタ810と接続されている。通信網806には、画像形成装置1や管理センタ810の他、通信網806と接続されていない画像形成装置1Zについての故障発生情報を管理センタ810に通知するために利用されるパーソナルコンピュータPCが接続可能となっている。
図3に示したように、各画像形成装置1(A,B,…,Z)には、用紙通過時間、駆動電流、振動、作動音、あるいは光量などの観測データ情報、あるいは温度や湿度などの環境情報を取得するためのセンサ部4のデータ取得機能部908aが設けられている。通信網806と接続されている画像形成装置1(A,B,…:Zは除く)の場合、測定データを、通信IF999を介して外部に通知可能に構成されている。管理センタ810には、ホストコンピュータが設けられており、通信網806を介して、画像形成装置1(A,B,…:Zは除く)との間で、通信処理が可能になっている。
通信網806に接続された複数の画像形成装置1(A,B,…:Zは除く)は、たとえばサービスエンジニアSE(Service Engineer)が故障発生情報を、操作パネルなどを通して入力することにより、管理センタ810に故障情報を送信するように構成されている。故障発生情報の操作パネルからの入力は、たとえば階層的にメニューが表示され、選択するよう構成されている。また、通信網806に接続されていない画像形成装置1Zに関しては、故障発生情報を画像形成装置1Zにより印字出力し、サービス拠点でOCR(Optical Character Reader)入力する構成をとってもよい。
本例では、管理センタ810にて故障診断を行なう形態を採らずに、各画像形成装置1が故障診断装置3の故障確率推論部260を搭載し、画像形成装置1側にて故障診断を行なう形態で示すが、管理センタ810にて故障診断を行なう形態とする場合には、ホストコンピュータには、画像形成装置1側の故障診断装置3を構成するデータ取得機能部908aを除く、故障診断に関わる特徴量取得機能部分や、故障判定機能部分および推論エンジン機能部分や、診断モデルを更新する機能部分(診断条件制御部350に相当)などのデータ処理機能部分をソフトウェア処理にて実現するためのアプリケーションプログラムがインストールされる。
この場合、基本的には、たとえば、データ受取機能部としての特徴量取得機能部分は特徴量抽出部210である。また、データ処理機能部分としては、たとえば、故障判定部262、推論エンジン264、通知部270などである。このような構成により、故障診断システム800は、インターネットなどの通信回線を利用して、装置外部の管理センタ810に、故障判定部262や推論エンジン264などを備える故障診断部を設けたシステムとなり、管理センタ810のホストコンピュータにて、画像形成装置1について故障診断を行なうように構成される。管理センタ810においては、測定データや、この測定データから抽出される特徴量に基づいて、ホストコンピュータが自動的に、ベイジアンネットワークを利用して部品の故障確率を決定し故障部品を特定する。
以下、本実施形態の管理センタ810が備える診断モデル適正化処理機能に関わる部分について詳しく説明する。因みに、本実施形態の「診断モデル適正化処理機能」は、故障診断条件として利用される診断モデルが、診断対象の画像形成装置1の実際の使用状況に即したものとなるように制御する診断条件制御部350が備える機能である。
因みに、管理センタ810側で診断モデルを用意する場合、管理センタ810は、複数の画像形成装置1の情報に基づき診断モデルを構築する。この仕組みを採るため、管理センタ810は、市場品質情報データベース302aに蓄積された各装置の故障内容に関する故障情報(市場品質情報とも称する)を用いて診断モデルを生成し、また、適宜更新する。そして、因果ネットワークを構成する各ノードに条件付確率表を備えた因果ネットワークで構成される診断モデルに基づいて診断対象装置に生じる故障を診断するようにする。市場品質情報データベース302aは、各装置の故障内容に関する故障情報を格納する故障情報格納部の一例である。
図6に示す第1構成例では、診断モデルの生成・更新を管理するため、管理センタ810は、データベース部302と、診断モデルを生成・更新する診断モデル生成・更新部310と、図2に示した故障診断装置3における診断条件制御部350の部分を備える。また、管理センタ810は、市場で発生した品質情報(トラブルの故障内容、以下市場品質情報と称する)を故障部位ごとに収集する市場品質情報収集部322と、各種情報の送受信を行なう通信部324を備える。
データベース部302は、市場品質情報収集部322によって収集された市場品質情報を機種の状態情報とともに格納する市場品質情報データベース302aと、故障診断に用いる診断モデルを格納する診断モデルデータベース302bを有する。診断モデルデータベース302bは、各装置の使用状況ごとに診断条件を格納する診断条件格納部の一例である。
市場品質情報データベース302aの故障情報は、リスト形式で構成され、たとえば、日時、機械番号、サービスエリアコード、地域エリアコード、お客様コード、故障箇所情報コード、故障現象情報コード、処置情報コードで構成されている。なお、故障現象コードに対応する故障現象は、故障診断モデルごとに設定される。市場品質情報データベース302aには、市場品質情報収集部322が各画像形成装置1から故障情報を収集する形態に限らず、たとえば、市場品質情報収集部322がサービスエンジニアの訪問履歴情報から上記内容を抽出して格納してもよい。
一方、図6Aに示す第2構成例では、第1構成例の市場品質情報データベース302aと市場品質情報収集部322とを管理センタ810から取り外して、専用のサーバ装置(市場品質管理サーバ812)を設けて通信網806に接続し、市場品質管理サーバ812内に市場品質情報データベース302aと市場品質情報収集部322を設ける構成を採っている。
診断モデル生成・更新部310は、画像形成装置1側の特徴量抽出部210との協業により市場品質情報収集部322により収集し市場品質情報データベース302aに蓄積した市場品質情報に基づき、故障現象ごとや所定期間ごとに、故障部位ごとの、モデル化した故障原因の発生頻度を算出する使用状況別故障発生頻度算出部313と、一定期間ごとに市場品質情報データベース302aから故障発生件数を取得して診断モデルの故障原因ノードの初期確率を更新する確率更新部319を診断モデル更新部として備える。因みに、診断モデルの更新は、条件付確率表を更新することで実現される。使用状況別故障発生頻度算出部313は、算出した故障原因の発生頻度を元に構成部品の故障原因を診断するための診断条件としての診断モデルを診断モデルデータベース302bに登録する。
ここで、第1実施形態の故障発生頻度算出部313は、従前のような機種別・故障内容別に加えて、時間的な経過状況(経過期間)、使用度合い、使用環境など、診断対象の画像形成装置1の「使用状況」ごとに、モデル化した故障原因の発生頻度を算出して、使用状況ごとにも区分けした診断モデルを診断モデルデータベース302bに格納する点に特徴を有する。
本実施形態の診断条件制御部350は、市場導入後の画像形成装置1自身の使用状況(経過期間、使用度合い、使用環境など)や同機種の同一条件の故障発生状況などに応じて、診断モデルを診断対象装置に適合するように更新する仕組みを採る。
第1実施形態は、診断モデル適正化処理として、診断対象の画像形成装置1の市場導入後における実際の使用状況に適合した診断モデルを適用する仕組みを採る場合において、従前のような機種別・故障内容別に加えて、使用状況ごとにも区分けした診断モデルを用意しておき、診断対象装置の使用状況を参照して、適正なモデルを選択することで、その診断対象装置の使用状況に適合した故障確率が適用されて診断がなされるようにする仕組みを採る点に特徴を有する。市場導入後の経過期間、使用度合い、使用環境などの使用状況によって異なることとなる劣化の程度を考慮した診断を行なうようにするためである。以下では、説明を簡単にするため、「使用状況」の一例として「経過期間」を例に説明する。
この実現のため、先ず、第1実施形態の使用状況別故障発生頻度算出部313は、画像形成装置1の市場導入後の経過期間別に故障発生頻度を算出する経過期間別故障発生頻度算出部313aを有する点に特徴がある。使用状況別故障発生頻度算出部313は、経過期間別故障発生頻度算出部313aが算出した経過期間別の故障発生頻度に基づき、経過期間別の診断モデルを生成しておく。つまり、ある故障の診断に用いる診断モデルについて、市場導入後の経過期間ごとに初期確率を算出した診断モデルを診断モデルデータベース302bに蓄積すると言うことである。
また、第1実施形態の診断条件制御部350は、診断対象の画像形成装置1から当該装置の経過期間、使用度合い(使用頻度・消耗度)、使用環境など、画像形成装置1の使用状況を示す使用状況情報を取得する使用状況情報取得部352と、使用状況情報取得部352が取得した当該診断対象装置の使用状況情報を元に診断モデルを診断対象装置に適合したものとなるようにする(好ましくは診断対象装置に合わせて最適化する)診断モデル適正化部356を備える。
特に、第1実施形態の使用状況情報取得部352は、診断対象の画像形成装置1の使用状況を示す情報(使用状況情報)の一例として少なくとも、診断対象装置を市場に導入後の経過期間を示す情報を取得するものとする。また、診断モデル適正化部356は、経過期間別故障発生頻度算出部313aが生成し診断モデルデータベース302bに格納しておいた経過期間別の診断モデルの中から、使用状況情報取得部352が取得した経過期間に適合するものを選択するものとする。
通信部324は、画像形成装置1やパーソナルコンピュータPCと通信して状態情報を受信し使用状況情報取得部352に渡す。また、画像形成装置1側で故障診断を行なうシステム構成を採る場合には、通信部324は、診断モデル適正化部356により適正化(最適化:以下同様)された診断モデルを画像形成装置1に送信する。また、市場品質情報データベース302aを管理センタ810ではなく市場品質管理サーバ812に備える第2構成例のシステム構成を採る場合には、通信部324は、市場品質情報データベース302aから更新に必要な情報を受信し診断モデル生成・更新部310や診断条件制御部350に渡す。
本実施形態においては、更新処理は、市場導入後からの時間的な経過状況(経過期間)、使用度合い、画像形成装置1の使用状態や使用環境など、診断対象の画像形成装置1の実情に応じて更新を行なう仕組みを採る。このような構成の診断条件制御部350は、市場導入前に構成した診断モデルの更新を予め設定されたタイミングに限らず、市場導入後の市場での実際の状況に対応して、適切に更新する。たとえば、市場導入後の各画像形成装置1の状況は、装置ごとに異なるが、診断対象装置と同種の装置の状態情報に基づいて診断条件(診断モデル)を診断対象装置の別に適正化することにより、診断対象装置の状態に適した診断を行なうことで、より精度の高い診断を行なうようにする。
たとえば、第1実施形態のシステム構成においては、使用状況別故障発生頻度算出部313が経過期間別故障発生頻度算出部313aを有し、経過期間別故障発生頻度算出部313aにて経過期間別の診断モデルを生成しておき、また、診断条件制御部350の診断モデル適正化部356は、経過期間別の診断モデルの中から使用状況情報取得部352が取得した診断対象装置の経過期間に適合する診断モデルを選択するので、故障診断を画像形成装置1側で行なうのか管理センタ810側で行なうのかに関わらず、故障診断部200(特に推論エンジン264)においては、診断対象装置の市場導入後の経過期間に対応する故障発生頻度を診断条件として故障原因を推論することになる。
<動作例:第1実施形態>
図7および図7Aは、第1実施形態の診断条件制御部350における診断モデル適正化処理を説明する図である。ここで、図7は第1実施形態の診断モデル適正化処理のフロー図である。図7Aは第1実施形態で適用される経過期間ごとの診断モデルの生成手法を説明する図である。
図7および図7Aは、第1実施形態の診断条件制御部350における診断モデル適正化処理を説明する図である。ここで、図7は第1実施形態の診断モデル適正化処理のフロー図である。図7Aは第1実施形態で適用される経過期間ごとの診断モデルの生成手法を説明する図である。
まず、診断モデル生成・更新部310の確率更新部319は、定期的に市場品質情報データベース302aから故障発生件数を取得して(S100)、欠陥種類別に、診断モデルデータベース302bに蓄積されている診断モデル群の初期確率を更新する(S102)。こうすることで、診断モデルデータベース302bには、ある故障の診断に用いる診断モデルについて、市場導入後の経過期間ごとに初期確率を算出した診断モデルがそれぞれ蓄積されるようになる。このようにして用意された経過期間ごとの診断モデルは複数の画像形成装置1で共用するようにする。
従前の仕組みであれば、市場導入後の使用状況に関わらず、機種ごとに、また故障内容(欠陥や不具合の内容)ごとに、診断モデルを生成して用意する。たとえば、図5に示した「線・帯」の故障を診断するための線・帯モデル、あるいは、「白抜け」の故障を診断するための白抜けモデル、「黒色色点」の故障を診断するための黒色色点モデルなど、故障内容ごとに各故障原因ノードの初期確率を算出して設定した各診断モデルを機種ごとに用意し、適宜初期確率を更新していくことになる。
一方、第1実施形態は、さらに、市場導入後の経過期間でも区別する点に特徴がある。ここで、経過期間ごとの診断モデルは、画像形成装置1を市場に導入した後の経過期間を所定期間(たとえばnヶ月)ごとに区分けしたときの各経過期間別の情報に基づいて生成される診断モデルである。経過期間が丁度m・nヶ月を経過する境界の時点を(m−1)・nヶ月モデルとm・nヶ月モデルの何れに入れるかは自由であるが、ここではm・nヶ月モデルに含めるものとして説明する。たとえば、画像形成装置1を市場に導入後の(m−1)・nヶ月を超えてからm・nヶ月を経過するまでの各装置の情報に基づいて生成される診断モデルがm・nヶ月モデルである。
たとえば、図7Aに示すように、n=3として3ヶ月ごとの診断モデルを生成する場合を考える。たとえば、図5に示した線・帯モデルに対して各故障原因ノードの初期確率を算出する場合において、m=1の場合は、市場導入直後から3ヶ月を経過するまでの同種の画像形成装置1を対象に市場品質情報データベース302aから故障発生件数を取得し、線・帯モデルの各故障原因ノードの初期確率を算出して、3ヶ月モデルとして診断モデルデータベース302bに格納する。
m=2の場合は、市場導入後3ヶ月を経過した後から(4ヶ月目に入ってから)6ヶ月を経過するまでの同種の画像形成装置1を対象にして、同様に故障原因ノードの初期確率を算出して、6ヶ月モデルとして診断モデルデータベース302bに格納する。
以下同様にして、市場導入後(m−1)・nヶ月を経過した後から(“(m−1)・n+1”ヶ月目に入ってから)、m・nヶ月を経過するまでの同種の画像形成装置1を対象にして、同様に故障原因ノードの初期確率を算出して、m・nヶ月モデルとして診断モデルデータベース302bに格納することで、市場導入後の経過期間別に診断モデルの初期確率を算出してそれぞれの診断モデルを更新する。
「白抜け」や「黒色色点」など、他の欠陥や不具合用の診断モデルに対しても、同様に市場導入後の経過期間ごとに初期確率を算出したモデルをそれぞれ生成する。
次に、ある画像形成装置1に対して故障診断を行なう場合、診断条件制御部350は、先ず使用状況情報取得部352により、診断対象装置から選択された診断モデル情報とともに、診断対象装置の市場導入後の経過期間といった当該診断対象装置の使用状況情報を取得する(S110)。
ここで、第1実施形態における「診断対象装置から選択された診断モデル情報」とは、診断モデルデータベース302bに蓄積されている使用状況別(本例では経過期間別)・機種別・故障内容別の各診断モデルについて、診断対象装置と同一の機種かつ診断対象となる故障内容を特定し得る情報を意味する。たとえば、「故障内容」と「機種」に相当する。具体的には機種@で発生する「線・帯」、「白抜け」、「黒点色点」などである。この故障内容と経過期間を基に診断モデルデータベース302aから対象モデルを選択することになる。因みに、「故障内容」は図2の故障情報取得部152より取得する。
そして診断モデル適正化部356は、使用状況情報取得部352により取得された診断モデル情報と診断対象装置の状態情報(本例では特に診断対象装置の市場導入後の経過期間の情報)に基づいて、診断対象装置と同機種かつ診断対象となる故障内容に適合するとともに、診断対象装置の市場導入後の経過期間に対応する診断モデルを診断モデルデータベース302bに蓄積されている経過期間別の診断モデルより選択して読み込む(S112)。つまり、複数の画像形成装置1で共用できるようにしておいた各装置の故障情報を反映した経過期間別(さらに機種別・故障内容別)の診断モデルの中から、診断対象装置の実状態(本例では経過期間)に適合するものを選択する。
選択の条件は、診断対象装置と同機種かつ故障内容に適合することに加えて、診断対象装置の市場導入後の経過期間に適合した診断モデルを選択し得ることが要求される。たとえば、診断対象装置の市場導入後の経過期間をpとしたとき、(m−1)・n〜m・nヶ月が当該pを含むこと((m−1)・n<p≦m・n)を条件とする。たとえば、導入後の経過期間が、2ヶ月の場合は3ヶ月モデルを、4ヶ月の場合は6ヶ月モデルを選択する。導入後の経過期間が丁度m・nヶ月を経過した境界時点となる場合はm・nヶ月モデルを、“m・n+1”ヶ月目に入った場合は(m+1)・nヶ月モデルを選択する。
故障診断部200は、以上のようにして適正化された診断モデルを用いて故障診断を行なう。つまり、診断対象装置の市場導入後の経過期間に整合するように診断モデル適正化部356によって適正化された診断モデルを用いて故障診断を行なう。たとえば、管理センタ810側に故障診断部200を備え管理センタ810にて故障診断を行なうシステム構成であれば、故障診断部200は、診断モデル適正化部356により診断対象装置に対して適正化された診断モデルを受け取り故障診断を行なう(S140)。また、画像形成装置1側に故障診断部200を備え画像形成装置1にて故障診断を行なうシステム構成であれば、診断条件制御部350は、診断モデル適正化部356により診断対象装置に対して適正化された診断モデルを通信部324を介して診断対象装置に送信する(S142)。診断対象装置においては、当該診断対象装置の市場導入後の経過期間に整合するように適正化された診断モデル用いて故障診断を行なう。
このように、本実施形態の診断モデル適正化処理として、診断対象の画像形成装置1の市場導入後における実状態(市場導入後の市場での実際の使用状況)に適合した診断モデルを適用する仕組みを採る場合において、第1実施形態では、使用状況ごと(前例では所定経過期間ごと)の診断モデルを用意しておき、市場導入後からの時間的な経過状況(経過期間)に適合した診断モデルを選択して適用する仕組みを採っている。診断対象装置の市場導入後の経過期間に基づいて、診断条件(診断モデル)を診断対象装置の経過期間に合致する適正なものを選択するようにしたので、診断対象装置の実状態(本例では市場導入後の経過期間)に対応した診断モデルが提供されることになる。これによって、診断対象の画像形成装置1の実状態に合わせた対応がなされることになり、より精度の高い診断を行なうようになる。
市場導入後の各画像形成装置1の状況は、装置ごとに異なるが、診断対象装置と同一の実状態(本例では経過期間)と合致する同種の他の装置の情報も使った診断条件(本例では診断モデル)を適用することで、診断条件を診断対象装置の別に適正化するのである。こうすることで、診断対象装置の状態(本例では経過期間)に適した診断を行なうこととなり、つまり診断対象装置の使用状況情報としての経過期間を参照して、その経過期間に適合した故障確率が適用されて診断がなされるようになり、より精度の高い診断を行なうようになる。
たとえば、診断対象となる画像形成装置1は市場に設置されたばかりのものや、市場導入後数ヶ月を経たものなど様々であり、経過期間の相違により劣化の程度は異なることが考えられる。このように同一機種でも経過期間次第で個別装置によって劣化の程度は異なるにも関わらず、特許文献1に記載の仕組みでは、診断時に用いる診断モデルは最新バージョン1種類のみであり、診断対象装置の実状態(本例では経過期間)に最適なモデルを用いた診断が必ずしも行なえない。これに対して、第1実施形態の仕組みでは、所定経過期間ごとの診断モデルを用意しておき、診断対象装置の市場導入後の経過期間に対応した診断モデルを選択して適用することにより、診断性能を向上させる。実情に合わせたタイムリーな対応がなされることになる。
また、特許文献2に記載の仕組みでは、複数の画像形成装置のそれぞれで発生した故障情報を管理装置で収集して統合し、統合した故障情報を各画像形成装置で共用できる情報(以下共用故障情報とも称する)として各画像形成装置に配布し、診断対象装置は配布された故障情報に基づいて故障診断を行なう仕組みを採り、また、各画像形成装置は使用時間や画像形成枚数などの使用状態に応じた故障の発生確率を故障情報として管理装置に提供し、管理装置から故障情報として配布された故障の発生確率を使用状態に応じて重み付けし、この重み付けした発生確率に基づいて故障診断を行なう仕組みを採っている。
ここで、当該特許文献2の段落24に記載のように、共用故障情報を生成するに当たっては、画像形成装置の故障情報と使用状況情報に基づいて、画像形成装置の単位使用時間当たりの故障確率や単位画像形成枚数当たりの故障確率などの使用状態に依存しない故障確率を算出することで行なうようにしている。そして、各画像形成装置で故障診断を行なう際には、管理装置によって生成された使用状態に依存しない故障確率に対して、診断対象装置の使用状況情報に基づく重み付けを行ない、重み付けした故障確率に基づいて故障診断を行なうようにしている。
しかしながら、このような仕組みでは、様々な条件の画像形成装置の故障情報と使用状況に基づいて1つの共用故障情報を生成し診断モデルを作成することになるので、診断モデル情報に基づき選択される診断モデルは診断対象装置の使用状況が反映されておらず、診断対象装置にとっては共用故障情報自体の信頼性が低下し、使用状況に基づく重み付けを行なっても、必ずしも期待した診断精度が得られるとは限らない。
これに対して、第1実施形態の仕組みは、複数の画像形成装置が利用する共用情報として、使用状況(前例では所定経過期間)ごとの診断モデルを用意しておき、診断対象装置の市場導入後の経過期間に対応した診断モデルを選択して適用するので、事実上、選択した診断モデルは、診断対象装置の使用状態(本例では経過期間)が反映されたものとなる。これは、診断対象機種の使用状況に基づいて、「同一の使用状況にある同一機種の故障情報を使って診断モデルを個別に適正化する」ことを意味し、特許文献2に記載の仕組みよりも期待した診断精度が得られるようになる。
第1実施形態の仕組みは「保存するモデル自体が使用状況ごと」であり、診断モデル情報および使用状況に基づき選択される診断モデルは診断対象装置の使用状況がより忠実に反映されることになり期待した診断精度が得られるのに対して、特許文献2の請求項2に記載の仕組みでは「様々な条件の画像形成装置の故障情報と使用状況に基づく診断モデル」を用意しておき、診断モデル情報に基づき選択される診断モデルに対して「重み付け」で修正を加えるもので、両者には根本的に相違がある。
なお、第1実施形態の具体的な説明では、「使用状況」の一例として「経過期間」に着目した例で説明したが、「使用状況」はこれに限らず、使用度合いや使用環境などについても、前記と同様の仕組みを適用し得るし、それらを任意に組み合わせた仕組みでも適用し得る。たとえば、「使用度合い」に着目する場合、経過期間別故障発生頻度算出部313aを、画像形成装置1の市場導入後の使用度合い別に故障発生頻度を算出する使用度合い別故障発生頻度算出部に変更すればよいし、「使用環境」に着目する場合、経過期間別故障発生頻度算出部313aを、画像形成装置1の使用環境別に故障発生頻度を算出する使用環境別故障発生頻度算出部に変更すればよい。経過期間・使用度合い・使用環境を組み合わせる場合、経過期間別故障発生頻度算出部313a・使用度合い別故障発生頻度算出部・使用環境別故障発生頻度算出部を組み合わせればよい。診断条件制御部350では、経過期間別、使用度合い別、あるいは使用環境別に区別されて診断モデルデータベース302bに蓄積されている各診断モデルの中から、診断対象装置の使用状況に適合するものを選択すればよい。着目する項目が多いほど、診断対象装置の実際の使用状況と同一の条件が絞られるので、より正確な診断がなされるようになる。
<故障診断システム:第2実施形態>
図8は、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第2実施形態(第2構成例)を示す図である。ここでは、図6Aに示した第2構成例に対する変形例で示すが、図6に示した第1構成例に対しても同様の変形を加え得る。
図8は、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第2実施形態(第2構成例)を示す図である。ここでは、図6Aに示した第2構成例に対する変形例で示すが、図6に示した第1構成例に対しても同様の変形を加え得る。
第2実施形態は、診断モデル適正化処理として、診断対象の画像形成装置1の市場導入後における実際の使用状況に適合した診断モデルを適用する仕組みを採る場合において、使用状況(経過期間、使用度合い、使用環境などの何れか)の別に診断モデルを診断モデルデータベース302bに格納しておき、診断対象装置の実際の使用状況に適合するものを選択した後、さらに診断モデルとして区別されていない使用状況(経過期間、使用度合い、使用環境などの何れか)について、実際の使用状況に合わせて修正して診断に適用する仕組みを採る点に特徴を有する。
第1実施形態と同様に、市場導入後の経過期間、使用度合い、使用環境などの使用状況によって異なることとなる劣化の程度を考慮した診断を行なうようにするに当たり、診断モデルとして区別されていない使用状況について修正を加えることで、診断精度をより向上させる趣旨である。以下では、説明を簡単にするため、用意しておく診断モデルについての「使用状況」としては第1実施形態と同様に「経過期間」を例に、また、修正対象の「使用状況」としては「使用度合い」を例として説明する。
この実現のため、第2実施形態の診断条件制御部350においては、先ず、使用状況情報取得部352は、診断対象の画像形成装置1の使用状況を示す情報の一例として、経過期間の他に、少なくとも、診断対象装置を市場に導入後の使用度合いを示す情報(使用頻度や消耗度)を画像形成装置1側から取得するものとする。
なお、消耗度を画像形成装置1側で算出しない場合は、診断条件制御部350側にて消耗度を算出する仕組みが必要となる。この対応のため、第2実施形態の診断条件制御部350は、使用状況情報取得部352が取得した使用状況情報(本例では使用頻度)を元に診断対象装置の故障原因に関連する部位(たとえば消耗品)の使用頻度に応じた消耗度を算出する消耗度算出部354を備えるようにする。もちろん、消耗度を使わずに使用頻度に基づく対処を行なう場合は消耗度算出部354を備えることは不要である。
また、診断モデル適正化部356は、経過期間別故障発生頻度算出部313aによって算出した経過期間別の診断条件(診断モデル中の故障発生頻度や故障確率)と使用状況情報取得部352により取得した使用頻度あるいは消耗度算出部354によって算出した消耗度とを元に診断モデルを診断対象装置に適合したものとなるようにする(好ましくは診断対象装置に合わせて最適化する)。
具体的には、診断モデル適正化部356は、第1実施形態の仕組みを適用して、経過期間別故障発生頻度算出部313aが生成し診断モデルデータベース302bに格納しておいた経過期間別の診断モデルの中から、使用状況情報取得部352が取得した経過期間に適合するものを選択するとともに、この選択した診断モデルに対して、使用状況情報取得部352により取得した使用頻度あるいは消耗度算出部354によって算出した消耗度を参照した修正を加える。
こうすることで、故障診断を画像形成装置1側で行なうのか管理センタ810側で行なうのかに関わらず、故障診断部200(特に推論エンジン264)においては、診断対象装置の市場導入後の経過期間に対応する故障発生頻度を用いるとともに、当該診断対象装置の使用頻度あるいはこの使用頻度に基づく消耗度を参照した修正を加えた故障発生頻度を診断条件として故障原因を推論することになる。
<動作例:第2実施形態>
図9および図9Aは、第2実施形態の診断条件制御部350における診断モデル適正化処理を説明する図である。ここで、図9は第2実施形態の診断モデル適正化処理のフロー図である。ステップ番号を200番台で示すとともに、第1実施形態と同様の処理ステップには同一の10番台および1番台の番号を付して示す。図9Aは第2実施形態で適用される使用頻度や消耗度を参照した修正を説明する図である。
図9および図9Aは、第2実施形態の診断条件制御部350における診断モデル適正化処理を説明する図である。ここで、図9は第2実施形態の診断モデル適正化処理のフロー図である。ステップ番号を200番台で示すとともに、第1実施形態と同様の処理ステップには同一の10番台および1番台の番号を付して示す。図9Aは第2実施形態で適用される使用頻度や消耗度を参照した修正を説明する図である。
第1実施形態と同様に、診断モデル生成・更新部310においては、確率更新部319は、市場導入後の経過期間ごとに初期確率を算出した診断モデルを生成して診断モデルデータベース302bに蓄積しておく(S200,S202)。
また、診断モデル生成・更新部310は、市場品質情報データベース302aおよび使用状況情報取得部352との連携により、欠陥種類別および経過期間別の診断モデルごとに、各々の診断モデルに関わる各消耗部品について、装置の使用度合いを示す情報(使用度合い情報)を診断モデルデータベース302bに記憶しておく(S204)。たとえば、診断対象装置の使用度合いを示す情報として、プリントボリューム(プリント枚数)を使用する。このため、市場品質情報データベース302aから消耗部品が交換されたときの各消耗部品のプリント枚数と交換件数を取得して、消耗部品1つ当たりの平均プリント枚数を算出し、その情報を診断モデルデータベース302bに記憶する。後のモデル修正において、使用頻度を適用したモデル修正を行なう場合は平均プリント枚数をそのまま使用するし、消耗度を適用したモデル修正を行なう場合はプリント枚数と交換件数に基づき消耗度を算出する。
この後、ある画像形成装置1に対して故障診断を行なう場合、第1実施形態と同様にして、診断モデル適正化部356は、使用状況情報取得部352により取得された診断対象装置の状態情報(診断対象装置の市場導入後の経過期間の情報)に基づいて、診断対象装置の市場導入後の経過期間に対応する診断モデルを、診断モデルデータベース302bに蓄積されている経過期間別の診断モデルより選択する(S212)。
また、診断条件制御部350は、使用状況情報取得部352により診断対象装置の使用度合いを示す使用度合いを示す情報(本例ではプリント枚数と交換件数を使用頻度として使用する)を診断対象装置から取得する(S214)。消耗度算出部354を備えている場合は、消耗度算出部354にて、各消耗部品のプリントボリュームを元に消耗部品の消耗度を算出する(S216)。そして、ステップS212で選択された診断モデルで対応する故障原因ノードの初期確率に使用度合いを参照したモデル修正を加える(S230)。その結果として、診断対象装置の市場導入後の経過期間および使用度合いに適合した診断モデルを生成することになる。
故障診断部200は、以上のようにして適正化された診断モデルを用いて故障診断を行なう。つまり、診断対象装置の市場導入後の経過期間および使用度合い(使用頻度や消耗度)に整合するように診断モデル適正化部356によって適正化された診断モデルを用いて故障診断を行なう(S240)。たとえば、画像形成装置1側に故障診断部200を備え画像形成装置1にて故障診断を行なうシステム構成であれば、診断条件制御部350は、診断モデル適正化部356により診断対象装置に対して市場導入後の経過期間および使用度合いに整合するように適正化された診断モデルを通信部324を介して診断対象装置に送信する(S242)。診断対象装置においては、当該診断対象装置の市場導入後の経過期間および使用度合いに整合するように適正化された診断モデル用いて故障診断を行なう。
図9Aを用いて使用頻度や消耗度を適用したモデル修正について説明する。図9Aでは、プリント枚数(k枚)を横軸に、消耗度を左側の縦軸に、故障発生件数を右側の縦軸にとって、プリント枚数ごとの故障発生件数(ボックス表示)やプリント枚数に応じた消耗度を示している。
使用頻度と消耗度とは相関関係があると考えてよい。たとえばある消耗部品のプリント枚数を使用頻度とすれば消耗度は使用頻度と一定の関係を持つ。以下では、説明を簡単にするため、ここでは消耗度に着目して説明する。
消耗度算出部354は、他の装置で同一の消耗部品が交換されたときのプリント枚数を市場品質情報データベース302aより取得し、その消耗部品のプリント枚数ごとの交換件数を示すヒストグラムを生成する。ここでヒストグラムを生成する際には、プリント枚数はたとえば1k(k=1000)枚ごとに区切って、1k枚ごとの交換件数を算出する。このとき、1k枚ごとのプリント枚数に対する交換件数をNi(i=0〜n)で表す。N0はプリント枚数が0枚〜1k枚のときに消耗部品が交換された件数、N1はプリント枚数が1k枚〜2k枚のときに消耗部品が交換された件数を表す。次に、1k枚ごとのプリント枚数に対する累積交換件数を求め、交換件数の総計に対する累積交換件数の割合をプリント枚数に対する消耗度αとして算出する。たとえば、ある診断対象機種の消耗部品のプリント枚数が3.5k枚だった場合、消耗度αは、式(1)で求められる。
診断条件制御部350は、診断モデルの故障原因に関わる消耗部品全てに対して、定期的にプリント枚数と消耗度との関係を算出して、この情報を診断対象装置の使用度合いを示す情報として、診断モデルデータベース302bに保持しておく(S204)。
次に、診断条件制御部350の診断モデル適正化部356は、ステップS212にて選択した診断モデルに関わる各消耗部品について、診断モデルデータベース302bから対応する平均プリント枚数を読み出す。ここで、ある消耗部品の平均プリント枚数Vave は式(2)のようにして求められる。ここで、mはある消耗部品の総交換件数、Vi(i=0〜m)はある装置の消耗部品が交換されたときの該消耗部品のプリント枚数を表す。
次に、消耗度算出部354は、診断対象機種の消耗部品のプリント枚数に対する消耗度αと平均プリント枚数に対する消耗度βを図9Aに示す関係より取得する。消耗度αの算出方法は先述したとおりである。平均プリント枚数に対する消耗度βは式(3)のようにして求められる。ここで、Vave'は、ある消耗部品の平均プリント枚数Vave を、k枚を単位として小数点以下を切り捨てた値である。
次に、消耗度算出部354は、診断対象機種の消耗部品のプリント枚数に対する消耗度αと平均値に対する消耗度βを図9Aに示す関係より取得する。
そしてステップS212にて選択した診断モデルで対応する故障原因ノードの初期確率に消耗度の比(=α/β)を乗算する。各消耗部品に対応する故障原因ノード全ての初期確率に、対応する消耗度の比を乗算したら、全故障原因ノードの初期確率を正規化して合計が100%になるようにする。こうすることで、診断対象装置の市場導入後の経過期間に対応する故障発生頻度を用いるとともに、当該診断対象装置の使用頻度に基づく消耗度を参照した修正が加えられることで、診断対象装置の市場導入後の経過期間および使用度合いに適合した診断モデルを診断条件として故障原因を推論することになる。
このように、本実施形態の診断モデル適正化処理として、診断対象の画像形成装置1の市場導入後における実状態(市場導入後の市場での実際の使用状況)に適合した診断モデルを適用する仕組みを採る場合において、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、所定経過期間ごとの診断モデルを用意しておき、市場導入後からの時間的な経過状況(経過期間)に適合した診断モデルを選択して適用するとともに、使用度合いを示す使用頻度や消耗度を参照して、その選択された診断モデルに対して修正を加える仕組みを採っている。そのため、診断対象装置の実状態(本例では市場導入後の経過期間および使用度合い)に対応した診断モデルが提供されることになる。これによって、診断対象の画像形成装置1の実状態に合わせた対応がなされることになり、より精度の高い診断を行なうようになる。
市場導入後の各画像形成装置1の状況は、装置ごとに異なるが、診断対象装置と同一の実状態(本例では経過期間)と合致する同種の他の装置の情報も使った診断条件(本例では診断モデル)を適用するとともに、使用度合いを参照して修正を加えることで、診断条件を診断対象装置の別に適正化するのである。こうすることで、診断対象装置の状態(本例では経過期間および使用度合い)に適した診断を行なうこととなり、つまり診断対象装置の使用状況情報としての経過期間および使用度合いを参照して、その経過期間および使用度合いに適合した故障確率が適用されて診断がなされるようになり、より精度の高い診断を行なうようになる。
診断対象となる画像形成装置1は市場に設置されたばかりのものや、市場導入後数ヶ月を経たものなど様々であり、さらに同時期に市場導入されたものでも、顧客の使い方によってコピーボリュームは様々であるから、経過期間の相違および使用度合いの相違により劣化の程度は異なることが考えられる。このように同一機種でも経過期間および使用度合い次第で個別装置によって劣化の程度は異なるにも関わらず、特許文献1に記載の仕組みでは、診断時に用いる診断モデルは最新バージョン1種類のみであり、診断対象装置の実状態(本例では経過期間)に最適なモデルを用いた診断が必ずしも行なえない。
これに対して、第2実施形態の仕組みでは、所定経過期間ごとの診断モデルを用意しておき、診断対象装置の市場導入後の経過期間に対応した診断モデルを選択するとともに、この選択した診断モデルに対して当該診断対象装置の使用度合いを参照した修正を加えて適用することにより、診断性能を向上させる。診断対象装置の市場導入後の経過期間および使用度合いに対応した診断モデルを適用する。第1実施形態と同様に、診断対象機種の経過期間に基づいて同一の経過期間にある同一機種の故障情報を使って生成されている診断モデルを使うことで診断対象機種の個別に使用状態(本例では経過期間)が反映された適正なものとしておき、さらに、使用度合いを参照して修正を加えるので、第1実施形態よりもさらに実情に合わせたタイムリーな対応がなされることになり、より一層精度の高い診断がなされることとなる。
<故障診断システム:第3実施形態>
図10は、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第3実施形態(第2構成例)を示す図である。ここでは、図6Aに示した第2構成例に対する変形例で示すが、図6に示した第1構成例に対しても同様の変形を加え得る。
図10は、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第3実施形態(第2構成例)を示す図である。ここでは、図6Aに示した第2構成例に対する変形例で示すが、図6に示した第1構成例に対しても同様の変形を加え得る。
第3実施形態は、診断モデル適正化処理として、診断対象の画像形成装置1の市場導入後における使用状態(経過期間や使用度合い)および使用環境を参照して、その使用状態および使用環境に適合した故障確率が適用されて診断がなされるようにする仕組みを採る点に特徴を有する。第1・第2実施形態と同様に、市場導入後の経過期間、使用度合い、使用環境などの使用状況によって異なることとなる劣化の程度を考慮した診断を行なうようにするに当たり、診断対象装置の実際の使用状況と同一条件の同機種の故障情報に基づいて診断モデルを作成することで、診断精度を向上させる趣旨である。
「使用状況」の意味合い的には、第1実施形態に比べて取得する範囲を広げる。以下では、「使用状況」としては「使用状態」と「使用環境」の組合せで説明する。使用状態だけでなく使用環境によって異なることとなる劣化の程度も考慮した診断を行なうようにするためである。「使用状態」に関しては、たとえば、市場導入後の設置期間、トータルコピーボリューム、消耗部品ごとのカウンタ値などが該当する。「使用環境」は装置の温湿度情報が該当する。
この実現のため、第3実施形態の診断条件制御部350においては、先ず、使用状況情報取得部352は、使用状況情報として、画像形成装置1の市場導入後における使用状態(経過期間や使用度合い)に加えて、使用環境の情報も、画像形成装置1側から取得するものとする。
因みに、診断モデル生成・更新部310は、使用状況別に診断モデルを生成する必要はなく、使用状況別故障発生頻度算出部313に代えて、画像形成装置1側の特徴量抽出部210との協業により市場品質情報収集部322により収集した故障情報に基づき、故障現象ごとや所定期間ごとに故障部位ごとの発生件数や発生率を算出する故障発生頻度算出部312を備えればよい。
ただし、第3実施形態の故障発生頻度算出部312は、診断対象装置の故障診断時には、使用状況情報取得部352により取得される診断対象装置の使用状況情報(使用状態および使用環境の各情報)を元に、同じ使用状況の同一機種の故障情報を市場品質情報データベース302aから収集して、診断対象機種の故障診断に用いる診断モデルの各故障原因の発生頻度を算出する点に特徴がある。
診断条件制御部350の診断モデル適正化部356は、予め診断モデル情報に基づき選択しておいた診断モデルを、故障発生頻度算出部312にて算出した故障発生頻度を元に、診断対象装置に合わせて適正化する。
<動作例:第3実施形態>
図11は、第3実施形態の診断条件制御部350における診断モデル適正化処理を説明する図である。ここで、図11は第3実施形態の診断モデル適正化処理のフロー図である。ステップ番号を300番台で示すとともに、第1実施形態と同様の処理ステップには同一の10番台および1番台の番号を付して示す。
図11は、第3実施形態の診断条件制御部350における診断モデル適正化処理を説明する図である。ここで、図11は第3実施形態の診断モデル適正化処理のフロー図である。ステップ番号を300番台で示すとともに、第1実施形態と同様の処理ステップには同一の10番台および1番台の番号を付して示す。
診断モデル生成・更新部310においては、確率更新部319は、診断モデル情報と対応するように個別に診断モデルを生成して診断モデルデータベース302bに蓄積しておく(S300,S302)。ここで、第3実施形態における「診断モデル情報」とは、診断モデルデータベース302bに蓄積されている機種別・故障内容別の各診断モデルについて、診断対象装置と同一の機種かつ診断対象となる故障内容を特定し得る情報を意味する。
たとえば、市場導入後の期間に関わらず、機種ごとに、また故障内容(欠陥や不具合の内容)ごとに、診断モデルを生成して用意する。たとえば、図5に示した「線・帯」の故障を診断するための線・帯モデル、あるいは、「白抜け」の故障を診断するための白抜けモデル、「黒色色点」の故障を診断するための黒色色点モデルなど、故障内容ごとに各故障原因ノードの初期確率を算出して設定した各診断モデルを機種ごとに用意する。
この後、ある画像形成装置1に対して故障診断を行なう場合、診断条件制御部350は、先ず、使用状況情報取得部352により、診断対象装置から選択された診断モデル情報とともに、画像形成装置1の使用状況情報として、市場導入後の設置期間、トータルプリントボリュームTPV、消耗部品ごとのカウンタ値(プリント枚数)を使用状態情報として取得し、また、温湿度情報を使用環境情報として取得する(S310)。
次に、診断モデル適正化部356は、使用状況情報取得部352で取得した診断モデル情報を元に、診断モデルデータベース302bから、対象となる診断モデルを選択して読み込む(S312)。
次に、故障発生頻度算出部312は、診断モデル適正化部356によりステップS312にて読み出した診断モデルを取得し、当該診断モデルの故障原因ノード情報を元に、使用状況情報取得部352にて取得した使用状況(使用状態および使用環境)の情報(たとえば、市場導入後の設置期間、トータルコピーボリューム、消耗部品ごとのカウンタ値、温湿度情報など)と同じ使用状況(以下同一条件とも称する)の装置における故障情報を市場品質情報データベース302aから収集して(S314)、故障発生頻度を算出する(S316)。具体的には、診断対象装置の使用条件および使用環境と同一条件の装置の故障情報をデータベースより収集し、故障情報を基にステップS312にて読み出した診断モデルの各故障原因の発生件数を取得する。そして、故障原因の総発生件数に対する比率を算出することで各故障原因の故障発生頻度を求める。
そして、診断モデル適正化部356は、ステップS312にて読み出した診断モデルに対して、故障発生頻度算出部312がステップS316にて算出した故障発生頻度を元に、故障原因ノードの初期確率を算出して反映させ、診断対象装置に適用する診断モデルを生成する(S330)。つまり、ステップS312で選択された診断モデルで対応する故障原因ノードの初期確率値ではなく、使用状況を参照した確率値が適用された診断モデルとなるようにする。事実上、読み出した診断モデルに対しての修正となる。その結果として、診断対象機種の使用状況に基づいて、「同一の使用状況にある同一機種の故障情報を使って診断モデルを個別に適正化する」ことになる。
ここで、「故障原因ノードの初期確率を算出して反映させ」とは、「装置の使用条件および使用環境を取得し…各故障原因の発生頻度を算出」するということであり、第2実施形態のように、消耗度などを使って修正するものとは異なる。また、第3実施形態のポイントは、診断対象装置と同じ使用条件および使用環境を有する他の装置の故障情報を収集して、それを基に各故障原因の発生頻度を算出することにあり、本質的には、「過去のデータを元に初期値を決定しておく」ことは必須ではない。
ただし、診断対象装置と同じ使用条件および使用環境を有する装置の台数が少なく、初期確率の算出ができなかった場合のために、取り敢えず暫定の初期確率を持っておく意義はある。この場合、同一の使用状況にある同一機種の故障情報の件数が規定値以下であった場合は、修正前に設定されている初期確率をそのまま用いる。
故障診断部200は、以上のようにして適正化された診断モデルを用いて故障診断を行なう。つまり、診断対象装置の市場導入後の使用状況に整合するように診断モデル適正化部356によって適正化された診断モデルを用いて故障診断を行なう(S340)。たとえば、画像形成装置1側に故障診断部200を備え画像形成装置1にて故障診断を行なうシステム構成であれば、診断条件制御部350は、診断モデル適正化部356により診断対象装置に対して使用状況に整合するように適正化された診断モデルを通信部324を介して診断対象装置に送信する(S342)。診断対象装置においては、当該診断対象装置の市場導入後の使用状況に整合するように適正化された診断モデル用いて故障診断を行なう。
このように、本実施形態の診断モデル適正化処理として、診断対象の画像形成装置1の市場導入後における実際の使用状況に適合した診断モデルを適用する仕組みを採る場合において、第3実施形態では、診断対象装置の使用状態(経過期間や使用頻度)や使用環境と同一条件の装置の故障情報に基づき故障原因の発生頻度を故障発生頻度算出部312にて算出し、算出された故障発生頻度を元にして故障原因ノードの初期確率を診断モデル適正化部356により算出し、診断モデル情報に基づき選択しておいた診断モデルに対して、算出した初期確率を反映させるようにした。
第1実施形態とは異なり、使用状況別の診断モデルを用意しておき、その中から、実際の使用状況に適合した診断モデルを選択するものではないが、その趣旨は、第1実施形態と同様に、診断対象機種の使用状況に基づいて同一の使用状況にある同一機種の故障情報を使って生成した診断モデルを使うことで、診断対象機種の個別に使用状況が反映された適正なものとすることにある。よって、第3実施形態の仕組みでも、第1実施形態と同様の機能が実現される。
特許文献2の請求項2に記載の仕組みでは、診断モデルの発生確率(故障確率)を、使用状態に応じて重み付けして修正し、重み付けした発生確率に基づいて故障診断を行なう仕組みとなっている。診断対象機種の状態情報に基づいて診断モデルを個別に最適化するという点においては、一見すると似通っているが、第3実施形態の仕組みは、「重み付け」によるモデル修正でない点で異なる。
すなわち、特許文献2の請求項2に記載の仕組みでは、第1実施形態の最後にも説明したように、1つの共用故障情報を生成し診断モデルを作成しておき、診断モデル情報を元に対象の診断モデルを選択するので、選択した診断モデルに対して使用状況に基づく重み付けを行なっても、必ずしも期待した診断精度が得られるとは限らない。これに対して、第3実施形態の仕組みでは、診断対象装置の使用状況と同一条件の装置の故障情報に基づき故障原因の発生頻度を算出し、この算出結果を元に故障原因ノードの初期確率を算出し、診断モデルに対して初期確率を反映させる仕組みを採っている。「重み付け」による修正ではなく、診断対象機種の使用状況と同一条件の故障情報を使って個別に最適化した初期確率を新たに算出して診断モデルに反映させる点で、根本的な相違がある。
この相違により、以下の点で、作用に相違が出る。すなわち、特許文献2の請求項2に記載の仕組みでは、1つの共用故障情報を生成し診断モデルを作成した時点で、診断対象機種の使用状況とは異なる装置の情報も広く含まれてしまい、重み付けを行なってもそのノイズ成分は残ってしまう。したがって、得られる診断結果もそのノイズ成分の影響は避けられず、診断精度の低下を招いてしまう。これに対して、第3実施形態の仕組みでは、診断対象機種の使用状況と同一条件の故障情報のみを基に初期確率を算出するので、その値にノイズ成分は含まれず、期待した条件下での診断結果が得られ、より精度の高い診断を行なうことになる。
なお、第3実施形態の具体的な説明では、「使用状況」の一例として「使用状態」と「使用環境」の双方に着目した例で説明したが、「使用状況」はこれに限らず、経過期間、使用度合い、使用環境などの何れかのみに着目して、前記と同様の仕組みを適用し得る。着目する項目が多いほど、診断対象装置の実際の使用状況と同一の条件が絞られるので、より正確な診断がなされるようになる。
<故障診断システム:第4実施形態>
図12は、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第4実施形態(第2構成例)を示す図である。ここでは、図6Aに示した第2構成例に対する変形例で示すが、図6に示した第1構成例に対しても同様の変形を加え得る。
図12は、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第4実施形態(第2構成例)を示す図である。ここでは、図6Aに示した第2構成例に対する変形例で示すが、図6に示した第1構成例に対しても同様の変形を加え得る。
第4実施形態は、第3実施形態の仕組みに対して、さらに、予め定めた閾値と各故障原因の発生頻度とを比較し、発生頻度が閾値以下の場合は、「使用状況情報取得部352にて取得した状態情報と同条件」(ステップS314での処理)に関して、故障原因と相関の高い使用状況のみを用いて再度、市場品質情報データベース302aより故障情報を収集し、故障発生頻度を算出する仕組みを採る点に特徴を有する。レアケースなど発生件数の少ない故障原因に対しては故障原因の診断条件を緩和する方向にモデル修正を加えることで、そのような故障原因についても故障原因候補とするためである。
この実現のため、第4実施形態の故障発生頻度算出部312においては、予め定めた閾値と各故障原因の発生頻度とを比較する比較部312bを有する。なお、ここでは、故障発生頻度算出部312に比較部312bを設けているが、故障発生頻度算出部312の外に設けてもよい。そして、故障発生頻度算出部312は、比較部312bの比較結果が“発生頻度が閾値以下”を示しているときには、「使用状況情報取得部352にて取得した使用状況と同一条件」の内、故障原因と相関の高い条件(使用状況)のみを用いて再度故障発生頻度を算出する。
<動作例:第4実施形態>
図13および図13Aは、第4実施形態の診断条件制御部350における診断モデル適正化処理を説明する図である。ここで、図13は第4実施形態の診断モデル適正化処理のフロー図である。ステップ番号を400番台で示すとともに、第3実施形態と同様の処理ステップには同一の10番台および1番台の番号を付して示す。図13Aは、故障原因と使用状況情報との関係の一例を示す図である。
図13および図13Aは、第4実施形態の診断条件制御部350における診断モデル適正化処理を説明する図である。ここで、図13は第4実施形態の診断モデル適正化処理のフロー図である。ステップ番号を400番台で示すとともに、第3実施形態と同様の処理ステップには同一の10番台および1番台の番号を付して示す。図13Aは、故障原因と使用状況情報との関係の一例を示す図である。
基本的な処理は第3実施形態と同様であるが、レアケースなど発生件数の少ない故障原因に対しては、次のような処理を加える。先ず、故障発生頻度算出部312の比較部312bは、算出した故障発生頻度が、予め定められた閾値より低いか否かを判断する(S420)。
故障発生頻度算出部312は、比較部312bの比較結果が“発生頻度が閾値以下”を示しているときには(S420−YES)、「使用状況情報取得部352にて取得した使用状況情報と同一条件」の内、故障原因と相関の高い使用状況のみを用いて、市場品質情報データベース302aから故障情報(故障原因と相関の高い使用状況を有する装置の故障情報)を再度収集し、この再度収集した故障情報を用いて故障発生頻度を算出する(S422)。詳しくは、再度収集した故障情報を基に算出した各故障原因の発生件数を用いて故障発生頻度を算出する。
診断モデル適正化部356は、このようにして再度算出された故障発生頻度を用いて、故障原因ノードの初期確率を算出し、診断モデル情報を元に読み出した診断モデルに反映させる。すなわち、診断モデル適正化部356は、ステップS412にて読み出した診断モデルに対して、ステップS422にて再算出した故障発生頻度も使って、故障原因ノードの初期確率を算出して反映させ、診断対象装置に対する診断モデルを生成する(S430)。つまり、ステップS312で選択された診断モデルで対応する故障原因ノードの初期確率に、使用状況情報を参照したモデル修正を加えるとともに、レアケースなど発生件数の少ない故障原因に対しては故障原因の診断条件を緩和する方向にモデル修正を加える。その結果として、診断対象装置の市場導入後の実際の使用状況に適合するとともに、レアケースなど発生件数の少ない故障原因についても故障原因候補となり得る診断モデルを生成することになる。
以下、第3実施形態と同様に、診断対象装置の市場導入後の使用状況に整合するように診断モデル適正化部356によって適正化された診断モデルを用いて故障診断を行なう。たとえば、以上のようにして適正化された診断モデルを通信部324を介して診断対象機種に送信し、診断対象機種において受信したモデルを用いて故障診断を行なう(S442)。
たとえば、図13Aに、故障原因と使用状況情報との関係の一例が示されている。図中で、○印が相関の高い条件(使用状況)を示しており、故障原因ごとに、何れの条件が相関の高い条件であるかが分るようになっている。たとえば、図示した例では、故障原因Aは温度と湿度、故障原因Bはプリント枚数PV、故障原因Cは湿度と設置期間(市場導入後の経過期間)、故障原因Dは温度、がそれぞれ相関の高い条件である。
故障発生頻度算出部312は、図13Aに示すような関係図を予め保持しておく。そして、故障発生頻度算出部312は、故障原因Aの故障発生頻度が閾値より低かった場合は、この関係図を元に、温度と湿度のみ同じ条件の装置における故障情報を市場品質情報データベース302aから再収集して故障発生頻度を算出する。
診断モデル適正化部356は、このようにして再度算出された故障発生頻度を用いて、故障原因ノードの初期確率を算出し診断モデルに反映させることで、条件を緩和することになる。その結果、たとえば、レアケースの故障原因に対する初期確率が限りなく0%に近くなってしまい、推論時に故障原因候補として殆ど出現しないといった事態を避けるようになる。
このように、本実施形態の診断モデル適正化処理として、診断対象の画像形成装置1の市場導入後における実際の使用状況に適合した診断モデルを適用する仕組みを採る場合において、第4実施形態では、故障発生件数の少ない故障原因に対しては、自装置と同一の使用状況の内、故障原因と相関の高いものを用いて、診断条件を作成するので、故障発生件数の少ない故障原因の診断条件が緩和する方向にモデル修正が加えられるので、そのようなレアケースの故障原因についても故障原因候補として抽出され得るようになり、より一層精度の高い診断がなされることとなる。
ここで、従前の仕組み並びに第1〜第4実施形態の仕組みの作用関係の相違について、整理して説明する。以下では記載を簡潔にするため、各実施形態は「実施形態」の記載を割愛して示すことがある。まず、従前の仕組みと第1〜第4実施形態の仕組みの関係を示すと、診断精度の大小関係では精度の高い順に、(第4)>(第3)>(第2)>(第1)>(従来方法)となる。これは「使用状況」の条件が左辺ほど細かく、右辺ほど荒くなるためである。逆に、「使用状況」に従って取得できるデータ数は多い順に、(従来方法)>(第1)>(第2)>(第4)>(第3)となる。これは条件が細かいほど条件の一致する装置の数は少なくなるためである。ここで、データ数の関係が(第4)>(第3)なのに精度の関係が(第4)>(第3)となるのは、(第4)では相関の高い条件のみを用いるという付加価値があるために、条件緩和によりデータ数が増えても精度が向上するとしているためである。
市場導入される装置の台数は機種によって多いものもあれば少ないものもある。台数の少ない機種に対しては、「使用状況」の条件を細かくすると診断条件を生成するのに十分なN数を確保できない可能性もある。したがって、各実施形態の作用としては、以下のようなことが言える。
1)第1実施形態および第2実施形態は、第3実施形態に比べると装置の市場導入台数が少なくても「使用状況」の類似したデータを多く取得することができ、従来方法に比べてより精度の高い診断を行なうようになる。また、使用状況ごとの診断条件を予め格納してその中から選択するようにしておくことで、診断対象機種の市場導入台数が多い場合には、診断時に診断条件を生成するための処理負荷が増大してしまうという問題を回避して、処理負荷の軽減を図るようになる。
2)第3実施形態は装置の市場導入台数が多い場合、条件が細かくても診断条件生成に必要なデータ数を確保でき、条件がより細かくなることにより第1実施形態および第2実施形態に比べてより精度の高い診断を行なうようになる。
3)第4実施形態は、それでもレアケースとなってしまう故障事例も故障原因候補となるようにすることで、第3実施形態よりもさらに精度の高い診断を行なうようになる。
4)また、診断対象機種の市場導入台数に応じて第1実施形態と第3実施形態の仕組みを切り替えるという手法を採ってもよい。あるいは、何れの機種の場合も、まず精度の高い方の第3実施形態の仕組みで同一条件の装置の台数を調べ、その台数が規定数に満たない場合は第1実施形態の仕組みを用いる、という手法を採ってもよい。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で前記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、前記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、上記実施形態では、複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、あるいはそれらの機能を組み合わせて有する複合機などの画像形成装置に故障診断装置を適用した事例において、特に、画像欠陥が生じた際の故障箇所を特定する故障診断への適用例で説明したが、適用範囲は、このような事例に限定されない。たとえば、メカ系(用紙搬送系)の故障発生時に、ベイジアンネットワークを利用して、用紙搬送系欠陥系の故障箇所を特定する故障診断を行なう仕組みにおいて、前記実施形態の仕組みを適用してもよい。
また、上記実施形態では、複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、あるいはそれらの機能を組み合わせて有する複合機などの画像形成装置に故障診断装置を適用した事例で示したが、故障診断装置が適用される装置は、画像形成装置に限らず、家電品や自動車などその他の任意の機器に適用してもよい。
1…画像形成装置、10…情報取得部、140…動作状態情報取得部、142…部品状態情報取得部、143…履歴情報取得管理部、144…環境情報取得部、145…消耗材情報取得部、146…仕様情報取得部、152…故障情報取得部、154…追加操作情報取得部、200…故障診断部、210…特徴量抽出部、230…基準特徴量格納部、260…故障確率推論部、262…故障判定部、264…推論エンジン、270…通知部、3…故障診断装置、302…データベース部、302b…診断モデルデータベース、302a…市場品質情報データベース、31…画像処理部、310…診断モデル生成・更新部、312…故障発生頻度算出部、312b…比較部、313…使用状況別故障発生頻度算出部、313a…経過期間別故障発生頻度算出部、319…確率更新部、322…市場品質情報収集部、324…通信部、350…診断条件制御部、352…使用状況情報取得部、354…消耗度算出部、356…診断モデル適正化部、4…センサ部、5…故障診断入力部、50…給紙搬送機構部、6…画像形成部、69…用紙タイミングセンサ、7…画像読取部、8…通信部、800…故障診断システム、806…通信網、810…管理センタ、812…市場品質管理サーバ
Claims (8)
- 故障診断の対象となる診断対象装置の使用状況を示す使用状況情報を取得する使用状況情報取得部と、
前記使用状況情報取得部が取得した前記診断対象装置の使用状況情報を参照して、同一の使用状況にある他の装置の故障情報に基づく診断条件を適用した故障診断を行なうように制御する診断条件制御部と
を備えたことを特徴とする故障診断装置。 - 各装置の使用状況ごとに、診断条件を格納する診断条件格納部を備え、
前記診断条件制御部は、前記診断条件格納部に格納されている使用状況ごとの診断条件の中から、前記使用状況情報取得部が取得した前記診断対象装置の使用状況情報を参照して同一の使用状況のものを選択して前記診断対象装置用の診断条件とする
ことを特徴とする請求項1に記載の故障診断装置。 - 前記使用状況は、装置が市場に導入されてからの経過期間、使用の程度を示す使用度合い、装置が置かれている状況を示す使用環境の何れかである
ことを特徴とする請求項2に記載の故障診断装置。 - 前記診断条件格納部は、前記経過期間、前記使用度合い、前記使用環境の内の少なくとも1つを除いた使用状況ごとに、診断条件を格納するものであり、
前記診断条件制御部は、前記使用状況の内、前記診断条件格納部における診断条件の格納時に除かれたものに関しては、前記使用状況情報取得部が取得した前記使用状況情報を元に選択した診断条件に対して、前記使用状況情報取得部が取得した前記診断対象装置の使用状況情報を参照して、前記除かれたものに関する修正を加える
ことを特徴とする請求項3に記載の故障診断装置。 - 各装置の故障内容に関する故障情報を格納する故障情報格納部を備え、
前記診断条件制御部は、前記故障情報格納部に格納されている故障情報の内で、前記使用状況情報取得部が取得した前記診断対象装置の使用状況情報に基づく同一の使用状況にある他の装置の故障情報に基づき前記診断対象装置用の診断条件を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の故障診断装置。 - 前記故障情報格納部に格納されている故障情報の中から、前記使用状況情報取得部が取得した前記診断対象装置の使用状況情報を参照して同一の使用状況のものを選択し、選択した同一の使用状況にある他の装置の故障情報に基づき各故障原因の発生頻度を算出する故障発生頻度算出部を備え、
前記診断条件制御部は、前記故障発生頻度算出部が算出した発生頻度を元に、故障原因の初期確率を算出して診断条件に反映させる
ことを特徴とする請求項5に記載の故障診断装置。 - 予め定めた閾値と各故障原因の発生頻度とを比較する比較部を備え、
前記故障発生頻度算出部は、前記比較部の比較結果が発生頻度が閾値以下を示しているときには、前記同一の使用状況のものの内、故障原因と相関の高い使用状況を用いて各故障原因の発生頻度を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の故障診断装置。 - 故障診断用の診断条件を、電子計算機を用いて用意するためのプログラムであって、前記電子計算機に、
故障診断の対象となる診断対象装置の使用状況を示す使用状況情報を取得する使用状況情報取得手順と、
前記使用状況情報取得手順で取得した前記診断対象装置の使用状況情報を参照して、同一の使用状況にある他の装置の故障情報に基づく診断条件を適用した故障診断を行なうように制御する診断条件制御手順と
を実行させることを特徴とするプログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008047128A JP2009206850A (ja) | 2008-02-28 | 2008-02-28 | 故障診断装置およびプログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008047128A JP2009206850A (ja) | 2008-02-28 | 2008-02-28 | 故障診断装置およびプログラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009206850A true JP2009206850A (ja) | 2009-09-10 |
Family
ID=41148681
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008047128A Pending JP2009206850A (ja) | 2008-02-28 | 2008-02-28 | 故障診断装置およびプログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009206850A (ja) |
Cited By (22)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011118051A1 (ja) * | 2010-03-23 | 2011-09-29 | 株式会社日立製作所 | 計算機システムにおけるシステム管理方法、及び管理システム |
JP2012133021A (ja) * | 2010-12-20 | 2012-07-12 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置 |
US8531696B2 (en) | 2010-09-29 | 2013-09-10 | Ricoh Company, Limited | Management apparatus, management system, and management method |
JP5529351B1 (ja) * | 2013-03-26 | 2014-06-25 | 三菱電機株式会社 | エンジニアリングツール |
JP2015517152A (ja) * | 2012-04-05 | 2015-06-18 | アシュラント インコーポレイテッドAssurant,Inc. | モバイルデバイスサポートサービスを提供するためのシステム、方法、装置、およびコンピュータプログラム製品 |
WO2015166637A1 (ja) * | 2014-04-28 | 2015-11-05 | 日本電気株式会社 | メンテナンス時期決定装置、劣化予測システム、劣化予測方法および記録媒体 |
US20160371584A1 (en) | 2015-06-05 | 2016-12-22 | Uptake Technologies, Inc. | Local Analytics at an Asset |
US9569901B2 (en) | 2014-11-13 | 2017-02-14 | Denso Corporation | Electronic control unit that performs a life-extending control, and a vehicle control system that includes the electronic control unit |
JP2018001424A (ja) * | 2016-06-27 | 2018-01-11 | 株式会社沖データ | 画像形成装置及び画像形成システム |
US9961538B2 (en) | 2012-04-05 | 2018-05-01 | Assurant, Inc. | System, method, apparatus, and computer program product for providing mobile device support services |
JP2018519594A (ja) * | 2015-06-19 | 2018-07-19 | アップテイク テクノロジーズ、インコーポレイテッド | 資産でのローカルな解析 |
JP2018132910A (ja) * | 2017-02-15 | 2018-08-23 | 株式会社日立製作所 | 保守装置、提示システム及びプログラム |
US10176279B2 (en) | 2015-06-05 | 2019-01-08 | Uptake Technologies, Inc. | Dynamic execution of predictive models and workflows |
US10261850B2 (en) | 2014-12-01 | 2019-04-16 | Uptake Technologies, Inc. | Aggregate predictive model and workflow for local execution |
JP2019174758A (ja) * | 2018-03-29 | 2019-10-10 | 株式会社リコー | 故障診断装置、故障診断方法、故障診断プログラムおよび故障診断システム |
US10462309B2 (en) | 2017-12-22 | 2019-10-29 | Kyocera Document Solutions Inc. | System and method for diagnosing a printing device based on a correlation coefficient between print volume and error rate |
US10579750B2 (en) | 2015-06-05 | 2020-03-03 | Uptake Technologies, Inc. | Dynamic execution of predictive models |
JP2020064515A (ja) * | 2018-10-18 | 2020-04-23 | 株式会社日立製作所 | 機器故障診断支援システムおよび機器故障診断支援方法 |
JP2020154812A (ja) * | 2019-03-20 | 2020-09-24 | 富士ゼロックス株式会社 | 情報処理装置及びプログラム |
US10878385B2 (en) | 2015-06-19 | 2020-12-29 | Uptake Technologies, Inc. | Computer system and method for distributing execution of a predictive model |
CN113485306A (zh) * | 2021-07-28 | 2021-10-08 | 成都斯普智和信息技术有限公司 | 一种轻量级的装备故障诊断移动终端及其诊断方法 |
JP7484502B2 (ja) | 2020-07-03 | 2024-05-16 | コニカミノルタ株式会社 | 画像形成システム |
-
2008
- 2008-02-28 JP JP2008047128A patent/JP2009206850A/ja active Pending
Cited By (39)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011118051A1 (ja) * | 2010-03-23 | 2011-09-29 | 株式会社日立製作所 | 計算機システムにおけるシステム管理方法、及び管理システム |
JP2011198262A (ja) * | 2010-03-23 | 2011-10-06 | Hitachi Ltd | 計算機システムにおけるシステム管理方法、及び管理システム |
US8554906B2 (en) | 2010-03-23 | 2013-10-08 | Takayuki Nagai | System management method in computer system and management system |
US8531696B2 (en) | 2010-09-29 | 2013-09-10 | Ricoh Company, Limited | Management apparatus, management system, and management method |
JP2012133021A (ja) * | 2010-12-20 | 2012-07-12 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置 |
US11683671B2 (en) | 2012-04-05 | 2023-06-20 | Assurant, Inc. | System, method, apparatus, and computer program product for providing mobile device support services |
US10939266B2 (en) | 2012-04-05 | 2021-03-02 | Assurant, Inc. | System, method, apparatus, and computer program product for providing mobile device support services |
US10506425B2 (en) | 2012-04-05 | 2019-12-10 | Assurant, Inc. | System, method, apparatus, and computer program product for providing mobile device support services |
US10375546B2 (en) | 2012-04-05 | 2019-08-06 | Assurant, Inc. | System, method, apparatus, and computer program product for providing mobile device support services |
US11601801B2 (en) | 2012-04-05 | 2023-03-07 | Assurant, Inc. | System, method, apparatus, and computer program product for providing mobile device support services |
US10681535B2 (en) | 2012-04-05 | 2020-06-09 | Assurant, Inc. | System, method, apparatus, and computer program product for providing mobile device support services |
US10779159B2 (en) | 2012-04-05 | 2020-09-15 | Assurant, Inc. | System, method, apparatus, and computer program product for providing mobile device support services |
JP2015517152A (ja) * | 2012-04-05 | 2015-06-18 | アシュラント インコーポレイテッドAssurant,Inc. | モバイルデバイスサポートサービスを提供するためのシステム、方法、装置、およびコンピュータプログラム製品 |
US9961538B2 (en) | 2012-04-05 | 2018-05-01 | Assurant, Inc. | System, method, apparatus, and computer program product for providing mobile device support services |
US10873850B2 (en) | 2012-04-05 | 2020-12-22 | Assurant, Inc. | System, method, apparatus, and computer program product for providing mobile device support services |
JP5529351B1 (ja) * | 2013-03-26 | 2014-06-25 | 三菱電機株式会社 | エンジニアリングツール |
JPWO2015166637A1 (ja) * | 2014-04-28 | 2017-04-20 | 日本電気株式会社 | メンテナンス時期決定装置、劣化予測システム、劣化予測方法および記録媒体 |
WO2015166637A1 (ja) * | 2014-04-28 | 2015-11-05 | 日本電気株式会社 | メンテナンス時期決定装置、劣化予測システム、劣化予測方法および記録媒体 |
US9569901B2 (en) | 2014-11-13 | 2017-02-14 | Denso Corporation | Electronic control unit that performs a life-extending control, and a vehicle control system that includes the electronic control unit |
US10261850B2 (en) | 2014-12-01 | 2019-04-16 | Uptake Technologies, Inc. | Aggregate predictive model and workflow for local execution |
US10254751B2 (en) | 2015-06-05 | 2019-04-09 | Uptake Technologies, Inc. | Local analytics at an asset |
US10579750B2 (en) | 2015-06-05 | 2020-03-03 | Uptake Technologies, Inc. | Dynamic execution of predictive models |
US20160371584A1 (en) | 2015-06-05 | 2016-12-22 | Uptake Technologies, Inc. | Local Analytics at an Asset |
US10176279B2 (en) | 2015-06-05 | 2019-01-08 | Uptake Technologies, Inc. | Dynamic execution of predictive models and workflows |
US11036902B2 (en) | 2015-06-19 | 2021-06-15 | Uptake Technologies, Inc. | Dynamic execution of predictive models and workflows |
WO2016205132A1 (en) * | 2015-06-19 | 2016-12-22 | Uptake Technologies, Inc. | Local analytics at an asset |
JP2018519594A (ja) * | 2015-06-19 | 2018-07-19 | アップテイク テクノロジーズ、インコーポレイテッド | 資産でのローカルな解析 |
US10878385B2 (en) | 2015-06-19 | 2020-12-29 | Uptake Technologies, Inc. | Computer system and method for distributing execution of a predictive model |
JP2018001424A (ja) * | 2016-06-27 | 2018-01-11 | 株式会社沖データ | 画像形成装置及び画像形成システム |
JP2018132910A (ja) * | 2017-02-15 | 2018-08-23 | 株式会社日立製作所 | 保守装置、提示システム及びプログラム |
US10462309B2 (en) | 2017-12-22 | 2019-10-29 | Kyocera Document Solutions Inc. | System and method for diagnosing a printing device based on a correlation coefficient between print volume and error rate |
JP2019174758A (ja) * | 2018-03-29 | 2019-10-10 | 株式会社リコー | 故障診断装置、故障診断方法、故障診断プログラムおよび故障診断システム |
JP2020064515A (ja) * | 2018-10-18 | 2020-04-23 | 株式会社日立製作所 | 機器故障診断支援システムおよび機器故障診断支援方法 |
JP7221644B2 (ja) | 2018-10-18 | 2023-02-14 | 株式会社日立製作所 | 機器故障診断支援システムおよび機器故障診断支援方法 |
WO2020079860A1 (ja) * | 2018-10-18 | 2020-04-23 | 株式会社日立製作所 | 機器故障診断支援システムおよび機器故障診断支援方法 |
JP2020154812A (ja) * | 2019-03-20 | 2020-09-24 | 富士ゼロックス株式会社 | 情報処理装置及びプログラム |
JP7275713B2 (ja) | 2019-03-20 | 2023-05-18 | 富士フイルムビジネスイノベーション株式会社 | 情報処理装置及びプログラム |
JP7484502B2 (ja) | 2020-07-03 | 2024-05-16 | コニカミノルタ株式会社 | 画像形成システム |
CN113485306A (zh) * | 2021-07-28 | 2021-10-08 | 成都斯普智和信息技术有限公司 | 一种轻量级的装备故障诊断移动终端及其诊断方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5321784B2 (ja) | 故障診断装置およびプログラム | |
JP2009206850A (ja) | 故障診断装置およびプログラム | |
JP2009193486A (ja) | 故障診断装置およびプログラム | |
JP4538845B2 (ja) | 故障診断方法および故障診断装置、画像形成装置、並びにプログラムおよび記憶媒体 | |
US8132049B2 (en) | Failure diagnosis method, failure diagnosis apparatus, conveyance device, image forming apparatus, program, and storage medium | |
US8531696B2 (en) | Management apparatus, management system, and management method | |
JP5598130B2 (ja) | 画質異常検査装置、画質異常検査システム及びプログラム | |
JP5369949B2 (ja) | 故障診断装置、故障診断方法及び記録媒体 | |
JP4687614B2 (ja) | 故障診断システム、画像形成装置及び故障診断方法 | |
JP4759342B2 (ja) | 異常判定方法及び異常判定装置 | |
JP6019838B2 (ja) | 画質異常判定装置及びプログラム | |
JP2009037141A (ja) | 画像形成装置の管理装置及び管理システム | |
US8643865B2 (en) | Maintenance system and maintenance method for image processing apparatus | |
JP2011053385A (ja) | 故障診断装置、故障診断方法、画像形成装置及び記録媒体 | |
JP7036082B2 (ja) | 画像処理装置、機械学習装置、画像処理方法 | |
US20120020682A1 (en) | Image forming apparatus and management method employed by image forming apparatus | |
JP5598293B2 (ja) | 画像形成システム、予測基準設定装置、予測装置、画像形成装置及びプログラム | |
JP5050589B2 (ja) | 記録媒体、画像形成装置、画像欠陥位置判定装置、画像形成プログラム、及び画像欠陥位置判定プログラム | |
JP2007065934A (ja) | 故障診断システム、画像形成装置及び故障診断方法 | |
JP2007127899A (ja) | 画像形成装置システム | |
JP6459449B2 (ja) | シート搬送装置、原稿読取装置および画像形成装置 | |
JP2013257459A (ja) | 異常原因特定装置、これを備えた保守実行時期予測システム、及び、異常原因特定方法 | |
JP2007243347A (ja) | 故障診断システム、画像形成装置及び故障診断方法 | |
JP2019124886A (ja) | 画像形成装置及びプログラム | |
JP2008193427A (ja) | 画像形成装置の故障診断システム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20091009 |