JP2009193486A - 故障診断装置およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】因果ネットワークを利用して故障診断を行なう際に、診断モデルの更新を、定期的だけでなく市場での故障状況の実情に即して臨時にも行なうことができるようにする。
【解決手段】故障の発生件数や発生率に基づいて更新処理の閾値を設定し(S120)、定期更新タイミング以外であっても、その閾値に基づいて条件付確率表の更新を行なうか否かを判定する(S130〜S152)。たとえば、発生件数や発生率が更新閾値以上となると臨時更新の対象候補となるが(S150−YES)、発生件数や発生率が更新閾値に対して所定倍未満のときには更新閾値を所定倍に維持し(S152−NO,S154)、発生件数や発生率が更新閾値に対して所定倍以上のときには、故障部位ごとに所定倍とは異なるように発生件数重み付け係数を調整する(S152−YES,S156)。
【選択図】図7
【解決手段】故障の発生件数や発生率に基づいて更新処理の閾値を設定し(S120)、定期更新タイミング以外であっても、その閾値に基づいて条件付確率表の更新を行なうか否かを判定する(S130〜S152)。たとえば、発生件数や発生率が更新閾値以上となると臨時更新の対象候補となるが(S150−YES)、発生件数や発生率が更新閾値に対して所定倍未満のときには更新閾値を所定倍に維持し(S152−NO,S154)、発生件数や発生率が更新閾値に対して所定倍以上のときには、故障部位ごとに所定倍とは異なるように発生件数重み付け係数を調整する(S152−YES,S156)。
【選択図】図7
Description
本発明は、故障診断装置、並びに電子計算機(コンピュータ)を用いて故障診断を実現するためのプログラムに関する。
近年、各種の機械、たとえば、複写機あるいはプリンタなどのオフィス機器においては、高い生産性が要求されるため故障による遅滞が許容されず、故障を速やかに検知して解決することが求められている。また、自動車や航空、ロボットや半導体設計装置など、他の産業機器においても動作制御などの手段として、信頼性が高く、高速・高精度での動作が可能な部材が数多く搭載されている。これらの対処として、故障診断を自動的に行なう仕組みが考えられている。
たとえば、電子写真方式の複写機やプリンタは、高圧電源による帯電・現像・転写、高温の定着、高分子製トナーの飛散、高速の用紙搬送、用紙の紙粉等の非常に厳しい機内環境で動作するよう構成されているため、良好な品質を維持するために、一例として、定期的にメンテナンスを入れるようにしている。たとえば、電子写真方式の複写機やプリンタのメンテナンスには、専門のサービスマンが派遣され、メンテナンスが実施されるが、電子写真方式の複写機やプリンタの価格低下に比較して、専門のサービスマンの派遣にかかるサービス費用が相対的に大きくなってきている。このため、電子写真方式の複写機やプリンタのユーザが故障箇所を診断し、簡単な故障であればユーザがパーツ交換や修復する、あるいは正確な故障情報をサービスマンに連絡することにより、サービス費用を低減したいという要求が高くなっている。
この要求に対し、複写機、プリンタの画像欠陥情報、装置状態情報、ユーザ操作情報などに基いて、ベイジアンネットワーク(Bayesian Network)あるいは因果ネットワークで構成される故障診断モデルを使用して、故障箇所を推定する故障診断の仕組みを本願出願人は提案している(たとえば特許文献1,2参照)。ベイジアンネットワークを利用した故障診断システムによれば、故障診断に必要となる種々の情報を、正確かつ専門知識のないユーザにストレスを与えることなく取得するとともに、正確、均質、迅速な故障診断を可能としている。
ここで、ベイジアンネットワークで構成される故障診断モデルの更新は、たとえばデバイスを構成する部位ごとの故障割合を基に算出された各ノードの条件付確率表を更新することによって行なわれる。その更新時期(たとえば3ヶ月ごと)や更新データの寄与度は、たとえば、過去1年間のデータで条件付確率を算出する場合、直近3ヶ月の影響を2倍にするなど、一定であった。
一方、市場に導入されたデバイスの故障発生事象や交換部品の監視情報をメンテナンス作業、不良解析に活用する仕組みが提案されている(特許文献3,4参照)。たとえば、特許文献3の仕組みでは、デバイスの交換対象部品の交換指標値を部品単位で格納し、デバイスの稼働状況からデバイスを構成する部品の管理を行なうための部品履歴テーブルを備え、部品履歴テーブルに基づいてデバイスの寿命状況と交換時期判断するようにしている。よって、特許文献3の仕組みでは、個々の部品ごとの管理情報に基づいて、個々の部品ごとの寿命予測や交換時期予測を行なうものとなる。
また、特許文献4の仕組みでは、デバイスにおいて発生し得る各種事象と、デバイスにおいて故障が発生し得ると予想される複数の予想故障部位との対応関係を示すテーブルを備え、デバイスにおける各種事象の発生の有無と、デバイスにおいてなされる所定処理の処理量に関連する関連量とを少なくとも示すデバイス監視情報を取得し、テーブルを用いて、予想故障部位ごとに単位発生回数当たりの関連量を導出し、単位発生回数当たりの関連量が予め定められた閾値に達した場合に、その予想故障部位を、故障部位として特定するようにしている。
本発明は、定期的な更新だけでなく、市場での故障状況の実情に即して、臨時の更新も行なうことのできる仕組みを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、故障情報を故障部位ごとに収集する故障情報収集部と、前記故障情報収集部によって収集された故障情報に基づき、故障現象ごとや所定期間ごとに故障部位ごとの発生件数および発生率の少なくとも一方を算出する故障頻度算出部と、前記故障頻度算出部によって算出された発生件数や発生率に基づいて更新処理の閾値を設定する更新閾値設定部と、前記更新閾値設定部によって設定された閾値に基づいて条件付確率表の更新を行なうか否かを判定する条件付確率更新判定部と、前記条件付確率更新判定部の判定結果が更新を行なう旨を示しているときには前記故障頻度算出部によって算出された発生件数や発生率に基づいて前記条件付確率表の更新を行なう条件付確率更新部とを備え、因果ネットワークを構成する各ノードに前記条件付確率表を備えた因果ネットワークで構成される故障診断モデルに基づいて診断対象装置に生じる故障を診断することを特徴とする故障診断装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明においてさらに、前記故障頻度算出部は、故障部位ごとの発生件数および発生率の双方を算出するものであり、前記更新閾値設定部は、前記更新処理の閾値として、前記故障頻度算出部によって算出された発生件数に基づく発生件数基準更新閾値および前記故障頻度算出部によって算出された発生率に基づく発生率基準更新閾値を設定するものであり、さらに、前記更新閾値設定部によって設定された前記発生件数基準更新閾値および前記発生率基準更新閾値の内の一方に基づいて条件付確率更新候補部位を抽出する条件付確率更新候補部位抽出部を備え、前記条件付確率更新判定部は、前記条件付確率更新候補部位抽出部によって抽出された条件付確率更新候補部位に対して、前記更新閾値設定部によって設定された前記発生件数基準更新閾値および前記発生率基準更新閾値の内の他方に基づいて条件付確率表の更新を行なうか否かを判定するものであることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、故障情報を故障部位ごとに収集する故障情報収集部と、前記故障情報収集部によって収集された故障情報に基づき、故障現象ごとや所定期間ごとに故障部位ごとの発生件数および発生率の少なくとも一方を算出する故障頻度算出部と、前記故障頻度算出部によって算出された発生件数や発生率に基づいて更新処理の閾値を設定する更新閾値設定部と、前記更新閾値設定部によって設定された閾値に基づいて、診断対象装置に生じる故障事象と当該故障事象に対して故障が発生し得ると予想される複数の予想故障部位との対応関係を故障確率で示す故障部位対応関係表の更新を行なうか否かを判定する故障部位対応関係表更新判定部と、前記故障部位対応関係表更新判定部の判定結果が更新を行なう旨を示しているときには前記故障頻度算出部によって算出された発生件数や発生率に基づいて前記故障部位対応関係表の更新を行なう条件付確率更新部とを備え、前記故障部位対応関係表に基づいて診断対象装置に生じる故障を診断することを特徴とする故障診断装置である。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3に記載の発明においてさらに、前記更新閾値設定部は、故障部位の発生件数や発生率の履歴に基づいて、前記更新処理の閾値を設定することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4に記載の発明においてさらに、前記条件付確率更新部は、故障の発生件数や発生率の大きさに応じて、更新データの寄与度を変更することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、因果ネットワークを構成する各ノードに前記条件付確率表を備えた因果ネットワークで構成される故障診断モデルに基づいて、診断対象装置に生じる故障を、電子計算機を用いて診断するためのプログラムであって、前記電子計算機に、
故障情報を故障部位ごとに収集する故障情報収集手順と、前記故障情報収集手順によって収集された故障情報に基づき、故障現象ごとや所定期間ごとに故障部位ごとの発生件数および発生率の少なくとも一方を算出する故障頻度算出手順と、前記故障頻度算出手順によって算出された発生件数や発生率に基づいて更新処理の閾値を設定する更新閾値設定手順と、前記更新閾値設定手順によって設定された閾値に基づいて条件付確率表の更新を行なうか否かを判定する条件付確率更新判定手順と、前記条件付確率更新判定手順の判定結果が更新を行なう旨を示しているときには前記故障頻度算出手順によって算出された発生件数や発生率に基づいて前記条件付確率表の更新を行なう条件付確率更新手順とを実行させることを特徴とするプログラムである。
故障情報を故障部位ごとに収集する故障情報収集手順と、前記故障情報収集手順によって収集された故障情報に基づき、故障現象ごとや所定期間ごとに故障部位ごとの発生件数および発生率の少なくとも一方を算出する故障頻度算出手順と、前記故障頻度算出手順によって算出された発生件数や発生率に基づいて更新処理の閾値を設定する更新閾値設定手順と、前記更新閾値設定手順によって設定された閾値に基づいて条件付確率表の更新を行なうか否かを判定する条件付確率更新判定手順と、前記条件付確率更新判定手順の判定結果が更新を行なう旨を示しているときには前記故障頻度算出手順によって算出された発生件数や発生率に基づいて前記条件付確率表の更新を行なう条件付確率更新手順とを実行させることを特徴とするプログラムである。
請求項7に記載の発明は、診断対象装置に生じる故障事象と当該故障事象に対して故障が発生し得ると予想される複数の予想故障部位との対応関係を故障確率で示す故障部位対応関係表に基づいて、診断対象装置に生じる故障を、電子計算機を用いて診断するためのプログラムであって、前記電子計算機に、故障情報を故障部位ごとに収集する故障情報収集手順と、前記故障情報収集手順によって収集された故障情報に基づき、故障現象ごとや所定期間ごとに故障部位ごとの発生件数および発生率の少なくとも一方を算出する故障頻度算出手順と、前記故障頻度算出手順によって算出された発生件数や発生率に基づいて更新処理の閾値を設定する更新閾値設定手順と、前記更新閾値設定手順によって設定された閾値に基づいて、前記故障部位対応関係表の更新を行なうか否かを判定する故障部位対応関係表更新判定手順と、前記故障部位対応関係表更新判定手順の判定結果が更新を行なう旨を示しているときには前記故障頻度算出手順によって算出された発生件数や発生率に基づいて前記故障部位対応関係表の更新を行なう条件付確率更新手順とを実行させることを特徴とするプログラムである。
請求項8に記載の発明は、故障情報を故障部位ごとに収集する故障情報収集部と、前記故障情報収集部によって収集された故障情報に基づき故障部位ごとの故障頻度を示す指標値を算出する故障頻度算出部と、前記故障頻度算出部によって算出された故障頻度を示す指標値に基づいて更新処理の閾値を設定する更新閾値設定部と、前記更新閾値設定部によって設定された閾値よりも故障頻度が大きいときには前記故障頻度算出部によって算出された故障頻度を示す指標値に基づいて故障診断条件の更新を行なう更新制御部とを備えたことを特徴とする故障診断装置である。
請求項1に記載の発明によれば、市場導入前に構成した条件付確率表の更新を、定期的なタイミングだけでなく、市場導入後の市場での実際の状況に対応した臨時のタイミングでも行なうことができる。
請求項2に記載の発明によれば、臨時更新を行なうか否かの判定に際して、1種類の更新閾値ではなく、2種類の更新閾値で更新の必要性を評価するので、無用な更新を避けつつ臨時更新が必要なタイミングで適切に更新を行なうことができる。たとえば、本来更新する必要がないような、元々の発生率が少なく、たまたま少ない発生件数で更新閾値を超えた場合を臨時更新の対象から除くことができる。
請求項3に記載の発明によれば、条件付確率表ではなく故障部位対応関係表を利用した簡易診断ではあるが、市場導入前に構成した故障部位対応関係表の更新を、定期的なタイミングだけでなく、市場導入後の市場での実際の状況に対応した臨時のタイミングでも行なうことができる。
請求項4に記載の発明によれば、市場導入後の実際の割合変化や発生頻度変化に対応した更新閾値を設定することが可能となる。
請求項5に記載の発明によれば、発生件数や発生率の大きさに応じて条件付確率表や故障部位対応関係表の更新データの寄与度を変更することにより、特定故障の急激な増加を反映することができるので、診断性能が向上する。
請求項6に記載の発明によれば、市場導入前に構成した条件付確率表の更新を、定期的なタイミングだけでなく、市場導入後の市場での実際の状況に対応した臨時のタイミングでも行なう仕組みを電子計算機を用いて実現できる。
請求項7に記載の発明によれば、条件付確率表ではなく故障部位対応関係表を利用した簡易診断ではあるが、市場導入前に構成した故障部位対応関係表の更新を、定期的なタイミングだけでなく、市場導入後の市場での実際の状況に対応した臨時のタイミングでも行なう仕組みを電子計算機を用いて実現できる。
請求項8に記載の発明によれば、市場導入前に構成した故障診断条件の更新を、定期的なタイミングだけでなく、市場導入後の市場での実際の状況に対応した臨時のタイミングでも行なうことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
<<画像形成装置の構成例>>
図1は、故障診断装置の一実施形態を搭載した画像形成装置の構成例を示す図である。この画像形成装置1は、たとえば原稿の画像を読み取る画像読取部(スキャナ部)を備え、画像読取部で読み取った画像データに基づいて原稿画像に対応する画像を印刷する複写装置機能、パソコンなどから入力された印刷データ(画像を表すデータ)に基づいて印刷出力するプリンタ機能、およびファクシミリ画像を印刷出力可能なファクシミリ送受信機能を備えた複合機であって、デジタルプリント装置として構成されているものである。
図1は、故障診断装置の一実施形態を搭載した画像形成装置の構成例を示す図である。この画像形成装置1は、たとえば原稿の画像を読み取る画像読取部(スキャナ部)を備え、画像読取部で読み取った画像データに基づいて原稿画像に対応する画像を印刷する複写装置機能、パソコンなどから入力された印刷データ(画像を表すデータ)に基づいて印刷出力するプリンタ機能、およびファクシミリ画像を印刷出力可能なファクシミリ送受信機能を備えた複合機であって、デジタルプリント装置として構成されているものである。
図1は、この画像形成装置1における、被搬送体並びに記録媒体の一例である印刷用紙上に画像を転写する機能部分と、原稿の画像を読み取る機能部分とに着目した、機構部分(ハードウェア構成)の断面図を示している。
図示する画像形成装置1は、故障診断装置3を備えるほか、大別して、入力された画像データに基づいて画像を印刷用紙上に形成(印刷出力)する機能を有する画像形成部30と、印刷用紙を画像形成部30の印字部に給送する給紙搬送機構部50と、画像形成後の印刷用紙を機外に排出する排紙搬送機構部70と、原稿の画像を読み取る画像読取部700とを備えている。画像形成部30、給紙搬送機構部50、および排紙搬送機構部70を纏めて、画像出力部という。各部は、回転力によって被搬送体の一例である印刷用紙を所定方向に移動させるロール部材を含んで構成されている。故障診断装置3は、必要に応じて、管理センタ810と連携した処理を行なうように構成してもよい。
<画像形成部>
画像形成部30は、取り込んだ画像データ(たとえば赤R,緑G,青Bの色空間)を当該画像形成部30側において出力処理に用いる色空間(たとえばイエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックK)の画像データに変換したり、画像濃度(コントラスト)やシャープネスなどの補正をしたり、その他の画像処理を行なう画像処理部31と、画像処理部31から入力された画像データに基づいて、たとえば、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙などの印刷用紙上に可視画像を形成する、すなわち印刷出力する機能部を備える。
画像形成部30は、取り込んだ画像データ(たとえば赤R,緑G,青Bの色空間)を当該画像形成部30側において出力処理に用いる色空間(たとえばイエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックK)の画像データに変換したり、画像濃度(コントラスト)やシャープネスなどの補正をしたり、その他の画像処理を行なう画像処理部31と、画像処理部31から入力された画像データに基づいて、たとえば、電子写真式、感熱式、熱転写式、インクジェット式、あるいは同様な従来の画像形成処理を利用して、普通紙や感熱紙などの印刷用紙上に可視画像を形成する、すなわち印刷出力する機能部を備える。
以下においては、印刷出力する機能部として、画像形成装置1をデジタル印刷システムとして稼働させるためのラスタ出力スキャン(ROS)ベースの電子写真方式のプリントエンジンを備えるものとして説明する。
この場合、画像形成部30の中央部には、たとえば感光体ドラムロール32が配され、この感光体ドラムロール32の周囲には、一次帯電器33、現像ロール34aおよび現像クラッチ34bからなる現像器34、あるいは転写ロール35、クリーナロール36、ランプ37などが配設される。現像器34の近傍には現像器34に色剤(たとえばトナー)を供給する色剤カートリッジ38が配される。転写ロール35は、感光体ドラムロール32と対向して配され、その間に用紙を挟持して搬送するように、対構造をなしている。
また画像形成部30は、画像形成データに基づいて潜像を感光体ドラムロール32に記録するための書込走査光学系(以下レーザスキャナという)39を有する。レーザスキャナ39には、図示しないホストコンピュータなどから入力された画像データに基づきレーザ光Lを変調して出力するレーザ39aと、このレーザ39aから出力されたレーザ光Lを感光体ドラムロール32上に走査するためのポリゴンミラー(回転多面鏡)39bおよび反射ミラー39cなどの光学系を有する。また、画像形成部30は、転写ロール35の排紙トレイ71側に定着器40を有する。
給紙搬送機構部50は、画像形成部30に印刷用紙を搬送するための給紙トレイ51と、給紙系統の搬送路52を構成する複数のロールや用紙タイミングセンサなどで構成されている。給紙搬送機構部50のロールとしては、単体構造のものと、2つが対向して配されその間に用紙を挟持して搬送する対構造のものとがある。
たとえば、搬送路52上には、ロール部材として、給紙トレイ51側から画像形成部30に向けて順に、ピックアップロール(ナジャーロール)54、フィードロール55aおよびリタードロール55bからなる給紙ロール対55、第1搬送ロール対(テイクアウェイロール対)56、第2搬送ロール対(プレレジロール対)57、および第3搬送ロール対(レジロール対)58が設けられている。
また、ピックアップロール54の近傍には、このピックアップロール54を作動させるためのナジャーソレノイド61が設けられている。ピックアップロール54と、給紙ロール対55と、ナジャーソレノイド61とでフィード部53が構成される。
また、第3搬送ロール対58近傍の搬送路52上の前流側(図中左側)には、搬送路52上で搬送されてきた印刷用紙を一旦停止させるための停止ツメ(レジゲイト)62と、この停止ツメ62を作動させるためのレジゲイトソレノイド63とが設けられている。
また、画像形成装置1の駆動機構部は、1つのモータによりできるだけ有効に活用できるように、ギア、シャフト、ベアリング、ベルト、ロールなどを使って、幾つかの方向にモータの動力が伝達するように構成されている。駆動機構部は、画像形成装置1内で、駆動機構のベース(マスター,動力源)となる駆動モータ(本例ではメインモータ95を除くモータ96〜99)を動作単位として動作するように構成されている。ソレノイドやクラッチは、電力供給を受けて動作する駆動部材の一例でもあるが、これらは駆動モータの駆動力が伝達される他の部材に対する切替機構として機能するので、駆動モータに対してスレーブの関係にあり、この点では、ギア、シャフト、ベアリング、ベルトなどと同様に動力伝達部材の一例でもある。
また、画像形成装置1には、装置を診断するために必要となる装置が動作しているときの動作状態信号を観測データとして自動的に取得する機能部(センサ機構)と、取得された観測データに基づいて故障診断を行なう機能部が設けられている。観測データとしては、たとえば、装置内のコンポーネント(モータ、ソレノイド、クラッチなど)を動作させたときの駆動電流、装置稼働時の振動や差動音、特定部品(あるいはその周囲)や装置全体内の温度あるいは湿度、感光体ドラムロール32近傍のランプ37の光量変化、用紙が通過するタイミング時間などがある。
たとえば、搬送路52上には、画像形成装置1における用紙通過時間情報を収集するためのセンサ部材として、給紙ロール対55と第1搬送ロール対56との間における給紙ロール対55近傍に第1センサ65(プレフィードセンサ)が、給紙ロール対55と第1搬送ロール対56との間における第1搬送ロール対56近傍に第2センサ66(フィードアウトセンサ)が、第2搬送ロール対57と第3搬送ロール対58との間における第2搬送ロール対57近傍に第3センサ67(プレレジセンサ)が、また第2搬送ロール対57と第3搬送ロール対58との間における停止ツメ62近傍に第4センサ68(レジゲイトセンサ)が、それぞれ設けられている。
給紙ロール対55は、用紙を、第1センサ65、第2センサ66、および第1搬送ロール対56へと導くことに加えて、重送(2枚以上の給紙)を防ぐためのサバキの役割も受け持つ。第1搬送ロール対56および第2搬送ロール対57は、用紙を感光体ドラムロール32に導くための役目を果たす。
第1センサ65にて用紙搬送時間を監視することで、たとえばフィード部53を起因とする用紙繰出しに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。また、第2センサ66にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば第1搬送ロール対56を起因とする用紙引込みに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断することが。また、第3センサ67にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば第2搬送ロール対57を起因とする用紙繰出しに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。また、第4センサ68にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば第3搬送ロール対58を起因とする用紙引込みに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。
レジゲイトソレノイド63は、第2センサ66がオンしてから、一定の時間経た後に、用紙を停止ツメ62で一旦停止させるために使われる。この目的は、用紙内での書出位置と感光体ドラムロール32上の像の位置を合わせるためのタイミングを合わせるためである。
排紙搬送機構部70は、画像形成部30にて印刷用紙上に画像形成された印刷済み用紙を機外にて受け取るための排紙トレイ71(外部トレイ)と、排紙系統の搬送路72を構成する複数のロールやセンサなどで構成されている。排紙搬送機構部70のロールとしては、2つが対向して配され、その間に用紙を挟持して搬送する対構造のものが使用されている。たとえば、搬送路72上には、ロール部材として、画像形成部30の転写ロール35および定着器40の排紙トレイ71側に、排出ロール対76(イグジットロール)を有する。
また、搬送路72上には、画像形成装置1における用紙通過時間情報を収集するためのセンサ部材として、定着器40と排出ロール対76との間に第5センサ78(定着器排出センサ)が、また排出ロール対76と排紙トレイ71との間に第6センサ79(排出センサ)が、それぞれ設けられている。
第5センサ78にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば定着器40を起因とする用紙引込みに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。また、第6センサ79にて用紙搬送時間を監視することで、たとえば排出ロール対76を起因とする用紙繰出しに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。また、第4センサ68と第5センサ67とで協働して用紙搬送時間を監視することで、たとえば感光体ドラムロール32を起因とする用紙引込みや用紙繰出しに関わるジャムの発生などの搬送異常の有無を判断する。
用紙通過時間情報を収集するためのセンサ部材である各センサ65,66,67,68,78,79(以下纏めて用紙タイミングセンサ69ともいう)は、用紙搬送通過時間情報を収集する用紙通過時間検出部を構成する用紙検知部材(用紙タイミングセンサ)であり、被搬送体の一例である印刷用紙が所定のタイミングで搬送されているかどうか検出するために設置されている。各用紙タイミングセンサ69で得られた検知信号は、印刷用紙の搬送タイミングや搬送時間(用紙通過時間)を計測する計測部に入力されるようになっている。
用紙検知部材をなす各用紙タイミングセンサ69は、設置場所に応じて様々な形状や特性のものを使用してよい。基本的には、一対の発光素子(たとえば発光ダイオード)と受光素子(たとえばフォトダイオードやフォトトランジスタ)で構成されているものを用いる。発光素子と受光素子の両者が一体となったフォトインタラプタを用いてもよい。また、各用紙タイミングセンサ69は、透過型(遮断型ともいわれる)および反射型のうちの何れであってもよい。図1に示す本実施形態の構成では、全ての用紙タイミングセンサ69について、反射型のフォトインタラプタを用いている。反射型の場合、通常用紙が搬送されていない状態では、受光素子は発光素子の光を入力する状態であり、すなわちオン状態となり、用紙タイミングセンサ69を用紙が通過する状態では発光素子の光が遮断され、すなわちオフ状態となる。
画像形成装置1に設けられる故障診断装置3は、その収集した通過時間情報に基づいて部品の故障確率を決定する。そして、故障診断部は、これらの用紙タイミングセンサ69を用いて収集した通過時間情報に基づいて、部品の故障確率を決定し、故障診断を行なう。たとえば、ピックアップロール54(ナジャーロール)や給紙ロール対55(フィードロール)の状態の結果ノードとして、観測可能なノード(通過時間と標準偏差の各ノード)がある。故障確率は、用紙がセンサを通過する時間の平均と標準偏差を観測して、その値が基準より大きいときに故障確率が高いと判断する。
なお、一般的に用紙タイミングセンサ69は、用紙先端部の通過を検知し、所定のタイミングの範囲内かどうかを検出し、印刷用紙の通過タイミングが所定のタイミング範囲外の場合、つまり印刷用紙の搬送開始から各センサを通過する時間が所定の時間範囲から外れている場合、画像形成装置1は、正常にプリントできないジャム(JAM)状態であると判断し以降の用紙搬送工程を中止する、換言すると、用紙の搬送工程に故障が発生した状態であると判断し、用紙搬送を、その時点、その位置で停止させる。
また、画像形成装置1は、電力供給を受けて動作するモータやソレノイドなどの駆動部材やこの駆動部材の駆動力を他の部材に伝達する動力伝達部材などの構成部材を構成要素として含む各駆動機構部の振動を検出する駆動機構振動検出部80を備えている。駆動機構振動検出部80は、一例として、装置内の振動を検出するための振動センサ82を有する。振動センサ82としては、加速度を検知するタイプの加速度センサや、機械から発生する音を検知するタイプの音響センサを使用してよい。本例では、感光体ドラムロール32の直下で、図示しない本体シャーシに振動センサ82を固定している。なお、この振動センサ82を取り付ける位置は、特に限定しない。画像形成装置1内部で、駆動機構部の加速度や作動音を効率よく検出する位置であればよく、感光体ドラムロール32の直下に限定されない。
また、画像形成装置1は、当該装置が備える駆動機構部の動作に関わる環境情報を取得する機能要素を備えている。一例としては、先ず、画像形成装置1は、装置内の温度を検出する稼働温度検出部84を備えている。本実施形態において、稼働温度検出部84は、温度センサ85を有し、この温度センサ85を利用して、装置内における所望位置の温度を検出するようにしている。一例としては、定着器40の近傍の温度を検知するように温度センサ85を配するとよい。温度センサ85としては、たとえば白金測温抵抗体、サーミスタ、熱電対などで構成された電子式センサを使用することが好ましい。あるは、物体から放射される赤外線を測定し、その赤外線の量から物体の温度を測定するサーモパイルなどの非接触方式のものを用いてもよい。
温度上昇には、故障で発熱があり装置内の温度が異常に高い場合と、装置が置かれている周囲温度が高いために装置内の温度が上がる場合がある。前者は、たとえば定着器40に関わる温度制御が故障しているとか、回路が故障して異常に発熱しているとか、関連する個々の部品の故障確率を大きな依存関係があるように設定する。後者は、画像形成装置スペック内での利用でも、長期に亘ってそのような状況に置かれる場合、ロールの劣化が加速し、ロールと用紙の摩擦係数が変化して、用紙搬送時の時間変化に繋がる。この場合も、関連する部品の故障確率が大きくなるように設定する。
また画像形成装置1は、当該装置が備える駆動機構部の動作に関わる環境情報を取得する機能要素の他の一例として、装置内の湿度を検出する稼働湿度検出部86を備えている。本実施形態において、稼働湿度検出部86は、湿度センサ87を有し、この湿度センサ87を利用して、装置内における所望位置の湿度を検出するようにしている。一例としては、給紙トレイ51近傍にて用紙近傍の湿度を検知するように湿度センサ87を配するとよい。用紙が湿度の影響を大きく受けるからである。
湿度センサとしては、たとえば雰囲気の湿分の吸脱着による電気的性質の変化を主として利用する電子式センサなど、種々のものを使用してよい。たとえば、乾湿球式、毛髪式、水晶振動式、高分子系センサや金属酸化物センサなどを用いたものなどを使用してよい。特に、高分子系や金属酸化物は、回路との相性のよい小型センサであり、本実施形態の適用に好ましい。湿度は、ロールと用紙、および用紙間の摩擦係数に影響を与えることが分かっている。湿度が高いほど、用紙間の摩擦係数が大きくなり搬送し難くなり、ミスフィード(搬送障害)の確率が大きくなり、フィード部53でのジャムになる。また、搬送途中でも、用紙とロール間の摩擦係数がばらつくので、用紙搬送時間が変化し、ジャムの発生確率も高くなる。
また、画像形成装置1は、装置が使用する消耗材の状態を検知する機能要素である消耗材検知部を備えている。本実施形態において、消耗材検知部の一例として、先ず、反射光検知用光センサあるいは透過光検知用光センサを有し、この各検知用光センサを利用して、印刷用紙の厚さ(坪量で表現)や用紙種別などの用紙情報を検出する用紙情報収集部88を給紙トレイ51の近傍や搬送路52上の所定位置に設ける。用紙が規定の値(たとえば50〜100g/m^2;“^”はべき乗を示す)より厚い(または薄い)やコート紙の場合、ジャムを生じる可能性が高くなるので、用紙情報を検出して、故障確率の算定に使用する。
また、消耗材検知部の他の一例として、現像器34の近傍に配される色剤カートリッジ38には、トナー(色剤)の残量を検出する色剤残量検知部89が設けられている。色剤残量の監視機構については、当該技術分野の当業者に公知のものであるので、ここでは、図示やその詳細な説明を割愛する。
以上、故障診断の判定に利用する観測データの一例について説明したが、ここで示したものは一例に過ぎず、上述したものに限定されない。たとえば、感光体ドラムロール32を中心とするエンジン部の状態を監視するべく、一次帯電器33に供給される印加電圧を監視する機構が設けられる。この監視機構については、当該技術分野の当業者に公知のものであるので、ここでは、図示やその詳細な説明を割愛する。
<画像読取部>
画像読取部700は、読取対象となるシート状の原稿から、その原稿上に描かれた画像を光学的に読み取るものであり、プラテンカバー706を備える。また、画像読取部700は、読取対象となる原稿が載置されるA3サイズよりも少し大きいプラテンガラス712(原稿載置台)を有し、その下部に、原稿を読み取る受光部742を含む光学系や、画像読取部側の画像処理部760を有している。本実施形態では、受光部742としては、基板744上に設けられた密着型のラインセンサ(CIS:Contact Image Sensor)を使用し、プラテンガラス712下でラインセンサを副走査方向に移動させる形態をとっている。
画像読取部700は、読取対象となるシート状の原稿から、その原稿上に描かれた画像を光学的に読み取るものであり、プラテンカバー706を備える。また、画像読取部700は、読取対象となる原稿が載置されるA3サイズよりも少し大きいプラテンガラス712(原稿載置台)を有し、その下部に、原稿を読み取る受光部742を含む光学系や、画像読取部側の画像処理部760を有している。本実施形態では、受光部742としては、基板744上に設けられた密着型のラインセンサ(CIS:Contact Image Sensor)を使用し、プラテンガラス712下でラインセンサを副走査方向に移動させる形態をとっている。
受光部742は、ラインセンサで原稿画像を撮像して得た各分光成分の撮像画像信号を受光部742と同様に基板744上に設けられた図示しない読取信号処理部に送る。読取信号処理部は、この読取りにより得た撮像画像信号に対して所望のアナログ信号処理を施した後に、たとえば赤(R)、緑(G)、青(B)の各色成分のデジタル画像データに変換し、赤、緑、青のデジタル画像データを画像処理部760に送る。
<画像出力部の動作の概要>
前記構成の画像形成装置1において、画像出力部を動作させて、被搬送体の一例である印刷用紙上に画像を形成する際には、給紙搬送機構部50により給紙トレイ51から用紙を繰り出して、その印刷用紙を画像形成部30の所定位置まで搬送させて、印刷用紙上に画像を形成する。
前記構成の画像形成装置1において、画像出力部を動作させて、被搬送体の一例である印刷用紙上に画像を形成する際には、給紙搬送機構部50により給紙トレイ51から用紙を繰り出して、その印刷用紙を画像形成部30の所定位置まで搬送させて、印刷用紙上に画像を形成する。
たとえば、先ず、プリント処理の開始とともに、ナジャーソレノイド61が動作し、ピックアップロール54を押し下げる。これとほぼ同時に、画像形成装置1内の各種ロール(対)を回転させるためのモータ96〜99が回転動作を始める。ナジャーソレノイド61により押し下げられたピックアップロール54は、給紙トレイ51に設置された最上面の印刷用紙に接触し、給紙トレイ51内の複数の印刷用紙から分離され、印刷用紙1枚を給紙ロール対55に導く。そして、給紙ロール対55を通して、1枚の用紙のみが給紙されるようになる。給紙ロール対55から送り出された印刷用紙は、各搬送ロール対56,57,58を介して、画像形成部30の感光体ドラムロール32と転写ロール35との間へ搬送される。
画像形成部30においては先ず、一次帯電器33によって感光体ドラムロール32は所定の電位に帯電される。次に潜像形成用の光源としてのレーザ39aが、図示しないホストコンピュータからの画像生成用のデータによって駆動されることで、画像データを光信号に変換し、この変換されたレーザ光Lをポリゴンミラー39bに向けて照射する。このレーザ光Lは、さらに反射ミラー39cなどの光学系を介して一次帯電器33によって帯電された感光体ドラムロール32上を走査することで、感光体ドラムロール32上に静電潜像を形成する。
この静電潜像は、所定色(たとえばブラック;黒)のトナーが供給される現像器34によってトナー像とされ(現像され)、このトナー像は、搬送路52を通過してきた用紙が感光体ドラムロール32と転写ロール35との間を通過する間に、転写ロール35によって印刷用紙上に転写される。転写工程の後に感光体ドラムロール32上に残ったトナーは、クリーナロール36で清掃される。現像ロール34aには、現像クラッチ34bが設けられており、この現像クラッチ34bを使って現像タイミングを調節する。次に、ランプ37(除電装置)によって、感光体ドラムロール32が除電されることで感光体ドラムロール32上の潜像が消去され、次の画像記録のための前記工程に移る。
一方、トナー像が転写された印刷用紙は、定着器40で加熱および加圧されて、印刷用紙にトナー像が定着する。最後に、定着器40を出た印刷用紙は、排出ロール対76によって、機外の排紙トレイ71に排出される。
なお、画像形成部30の構成は上述したものに限らず、たとえば、中間転写ベルトを1つあるいは2つ備えた中間転写IBT(Intermediate Belt Transfer)方式のものとしてもよい。また、図では、単色印刷用の画像形成部30を示しているが、カラー用の画像形成部30として構成してもよい。この場合、エンジン部の構成としては、たとえば、K,Y,M,Cの出力色ごとに同様の画像形成プロセスを繰り返してカラー画像を形成するもの、たとえば単一のエンジン(感光体ユニット)で各色の画像を順に形成しつつ、これを1色ずつ中間転写体に重ね転写してカラー画像を形成するマルチパス型(サイクル型/ロータリー型)の構成、あるいは、各出力色に対応する複数のエンジンを、たとえばK→Y→M→Cの順にインライン状に配列し、K,Y,M,Cの画像を4つのエンジンで並列的(同時進行的)に処理するように構成したタンデム型の何れとしてもよい。
<故障診断装置>
図2は、故障診断装置3の一実施形態を示すブロック図である。故障診断装置3は、センサ系で取得される観測データに基づき故障診断を行なうように構成されている。たとえば、故障診断装置3は、観測データやその他の故障診断に必要な各種情報を取得する情報取得部10と故障診断部200を備えている。
図2は、故障診断装置3の一実施形態を示すブロック図である。故障診断装置3は、センサ系で取得される観測データに基づき故障診断を行なうように構成されている。たとえば、故障診断装置3は、観測データやその他の故障診断に必要な各種情報を取得する情報取得部10と故障診断部200を備えている。
情報取得部10は、コンポーネントの稼働状態を示すコンポーネント情報を観測データ情報として取得する部品状態情報取得部12と、画像形成装置1の使用状況を監視するとともに、監視結果を不揮発性の記憶媒体に登録・保持することで履歴情報を管理する履歴情報取得管理部13を有する。
さらに情報取得部10は、稼働温度検出部84や稼働湿度検出部86にて検知される情報に基づき、温度や湿度などのコンポーネントの状態に影響を与える周囲環境条件を環境情報として取得する環境情報取得部14と、消耗材検知部にて検知される情報に基づき、印刷用紙の厚さや用紙種別、あるいは色剤の色種やタイプや残量など装置が使用する消耗材の情報を取得する消耗材情報取得部15と、画像形成装置1の仕様情報を取得する仕様情報取得部16を有する。
故障診断部200は、特徴量抽出部210、故障診断時の判定指標となる基準特徴量を所定の記憶媒体(好ましくは不揮発性の半導体メモリ)に格納する基準特徴量格納部230、故障判定や故障予測を行なう故障判定部240、故障判定部240の故障判定や故障予測に際して使用される故障確率を推論する推論エンジン260(故障確率推論部)、あるいは故障判定結果や検査内容をカスタマーに通知する通知部270などを内部に有する。
特徴量抽出部210は、部品状態情報取得部12にて取得される搬送系の駆動部材が所定期間動作している間の動作状態を示す動作状態信号に基づいて、その動作状態信号の特徴量を求める。また、特徴量抽出部210は、部品状態情報取得部12だけでなく、履歴情報取得管理部13、環境情報取得部14、消耗材情報取得部15、あるいは仕様情報取得部16からの情報も取得して、それら取得した情報の特徴量も求める。特徴量抽出部210は、部品状態情報取得部12からの動作状態信号やその他の履歴情報取得管理部13などからの情報を受け取る動作状態信号受取部の機能を持つ。
なお図示しないが、基準特徴量格納部230には、記憶媒体の他に、記憶媒体に基準特徴量を書き込むための書込制御部や、記憶された基準特徴量を記憶媒体から読み出すための読出制御部が設けられる。記憶媒体は、画像形成装置1において特徴量抽出部210によって取得される種々の動作状態信号の履歴情報を保持する履歴記憶部の機能を持つ。
基準特徴量としては、たとえば、駆動機構部を構成する機構部材(モータやソレノイドなどの駆動部材を含む)や機構部材を駆動する電気部材(駆動信号生成部150や駆動回路)が正常に動作している正常状態で、特徴量取得部210により取得された特徴量(たとえば分布状態を特定する情報など)を使用する。あるいは、特徴量取得部210で得られる特徴量に代えて、画像形成装置1におけるステッピングモータ112などの動作電流や振動の定格値を利用してもよい。また、故障が検知された場合に、その故障箇所や故障状態を判定するための基準特徴量として、各構成部材が故障時に、特徴量取得部210により取得された特徴量(たとえば分布状態を特定する情報など)を使用する。記憶媒体に記憶される故障状態に関する基準特徴量は当該画像形成装置1の診断モデルとして利用されるもので、たとえば当該装置の各部材を強制的に故障状態にして特徴量取得部210により検知したものであってもよいし、管理センタ810などに集約されるメンテナンス情報に基づいて取得した情報を用いてもよい。
なお、特徴量取得部210を画像形成装置1側の故障診断装置3から取り外して管理センタ810側に配置し、センサ系で取得される情報を管理センタ810側の特徴量取得部210に送り、管理センタ810側にて特徴量を特定して診断モデルを用意するようにしてもよい。この際には、当該装置だけでなく、同機種の複数台の情報から共通の診断モデルを生成することを基本とし、必要に応じてさらに、当該装置に固有の情報に基づき前記共通の診断モデルを修正して当該装置用の診断モデルとして使用するなどするのがよい。
故障判定部240は、記憶媒体に格納しておいた基準特徴量と故障診断時に特徴量抽出部210で得られる特徴量である実働特徴量とを比較することにより、診断対象ブロックに故障が発生しているか否かや、将来故障が生じる可能性など故障に関わる診断処理を行なう。
たとえば故障診断部200は、各画像形成装置1についての故障情報の収集や診断モデルの更新などを行なう管理センタ810(データセンタとも称する)と接続され、管理センタ810に配置されたデータベースDBに故障情報や診断モデルを登録したり、データベースDBに登録されている各種の診断モデルの中から診断対象の画像形成装置1に適した診断モデルの選択・提供を受けて故障診断を行なう。
たとえば、故障診断部200は、画像形成装置1を構成するコンポーネントの状態情報、装置の履歴情報、装置が設置されている周辺環境情報、およびユーザ操作によって得られる追試結果情報を用いて前記画質欠陥を引き起こす原因となる箇所の故障確率を推論エンジン260にて推論し、推論エンジン260にて算出した故障確率を元にして故障判定部240にて故障箇所の候補を抽出する。
故障判定部240は、推論エンジン260を利用して故障候補を絞り込む故障候補抽出部の機能を有しており、絞り込んだ故障候補、故障判定結果(故障の有無、故障箇所、故障内容)、故障予測結果(故障可能性の有無、故障箇所、故障内容)、あるいは検査内容や取得した動作状態信号などを通知部270に通知する。
ここで、自動判定処理を行なったときに、故障箇所候補を絞りきれないときには、ユーザ操作によって得られた動作条件の異なる状態で取得された追試結果情報の入力を待って、推論エンジン260にて故障確率を再計算し、それぞれの動作条件で取得される故障確率に基づいて、より適切な故障箇所を抽出する。
通知部270は、たとえば、故障判定部240から受け取った故障判定結果などを、お客様(画像形成装置1の操作者や所有者)、画像形成装置1をメンテナンス(保守、維持、管理)するカスタマーエンジニア、あるいは画像形成装置1を管理している管理センタ810などのカスタマーエンジニアやカスタマーに通知する。
たとえば、お客様に直接知らせる場合は、画像形成装置1にアラームを知らせるような、たとえば表示パネルやスピーカなどで知らせる。お客様は、それを見てあるいは聞いて、故障箇所や故障内容をサービスセンタに知らせる。また、画像形成装置1をメンテナンスするカスタマーエンジニアに直接知らせる場合は、公衆電話回線や、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System )などの携帯端末を使って、故障発生などを連絡する。また、故障箇所や故障内容のデータをカスタマーエンジニアが所有する端末に送るようにしてもよい。
また、画像形成装置1を管理している管理センタ810などに知らせる場合は、カスタマーエンジニアに直接知らせる場合と同様に、公衆電話回線や携帯端末を使うようにしてもよい。また、インターネットを利用した連絡を行なうようにしてもよい。これらの場合も、故障箇所や故障内容のデータを管理センタ810の端末に送るようにしてもよい。
ところで、故障診断装置3は、前述の通り、たとえば自動的にメカ系(用紙搬送系)の故障箇所を特定する故障診断を行なうに際しては、その診断アーキテクチャとして、障害発生前に正常時データを取得しておき、稼働状態の装置状態や環境条件などの観測データ(纏めて実働データともいう)を取得し、これらの情報を活用して、推論エンジンにて算出される故障確率なども参照の上、診断を行なう。
推論エンジンや故障診断を行なう機能部分は、画像形成装置1の本体に内蔵する構成に限らず、サーバ側、たとえば画像形成装置1とネットワーク接続された管理センタ810(データセンタとも称する)に設けてもよい。この場合、正常時データや実働データを、ネットワークを介して管理センタ810に送り、管理センタ810にて診断を行なう。たとえば、画像形成装置1側で故障箇所や故障内容を特定せずに、故障診断部200にて行なった故障診断の検査内容とそこで使用した動作状態信号などのデータを管理センタ810に通知し、管理センタ810側で、故障候補の絞込みあるいは故障箇所や故障内容の特定などを行なうようにしてもよい。あるいは、推論エンジンのみを管理センタ810に置き、故障確率の算出を管理センタ810にて行なうようにしてもよい。
診断結果に関しては、たとえばカスタマーエンジニア(CE;Customers Engineer)が管理センタ810で確認する形態を採ってもよいし、管理センタ810で診断を行なう形態では診断結果を画像形成装置1に送ることで、画像形成装置1側にて、カスタマーエンジニアやカスタマー(顧客/ユーザ)が確認する形態を採ってもよい。
ここで、本実施形態においては、故障確率の算出を行なう推論エンジンとしては、ベイジアン(Bayesian)ネットワークを利用する。ベイジアンネットワークを利用する故障診断は、ノード(変数)間の依存関係を確率的に捉え、グラフ構造(ベイジアンネットワークあるいは因果ネットワークと呼ばれる)を用いて、分布の推定を行なう最適化アプローチである。
また、本実施形態特有の構成として、故障診断部200は、故障診断条件の更新を行なう更新制御部310を備えている。故障診断モデルなどの故障診断条件を画像形成装置1自身で生成して用意するか管理センタ810側で生成して画像形成装置1に送るかを問わず、たとえば市場導入後からの時間的な経過状況、使用状況(使用頻度)、あるいは突発的な故障の発生状況などに応じて、適宜更新することにより、診断性能を向上させることが好ましい。この診断モデルの更新のために、本実施形態では更新制御部310を備えている。更新制御部310を構成する各機能部については後で詳しく説明する。
更新は、予め設定された定期的なタイミングでの更新(たとえば数ヶ月ごとの更新)に限らず、当該装置自身や同機種の近時の使用状況や故障発生状況などに応じて臨時の更新を行なうことで、誤診断の発生を低減するようにするとよい。なお、臨時の更新を行なうタイミングが定期更新タイミングと一致することもある。また、臨時更新を行なうか否かの判定に際しては、判定条件(つまり更新条件)を1つの指標ではなく、複数の指標で評価することで、無用な更新を避けつつ臨時更新が必要なタイミングで適切に更新を行なうようにするのがよい。
たとえば、本実施形態においては、市場導入後の当該装置自身や同機種の近時の使用状況や故障発生状況などに応じて臨時の更新を行なう仕組みを採る。このような構成の更新制御部310は、市場導入前に構成した診断モデルの更新を予め設定されたタイミングではなく、市場導入後の市場での実際の状況に対応して、適切に更新する。たとえば、市場導入直後には突発性故障が発生する割合いが多いが、このような突発性故障の発生時には、その突発性故障に対応した診断モデルを提供するようにする。
<故障診断装置:計算機構成>
図3は、故障診断装置3の他の構成例を示すブロック図である。ここでは、パーソナルコンピュータなどの電子計算機を利用して、故障診断処理をソフトウェアを実行するマイクロプロセッサなどから構築されるより現実的なハードウェア構成を示している。
図3は、故障診断装置3の他の構成例を示すブロック図である。ここでは、パーソナルコンピュータなどの電子計算機を利用して、故障診断処理をソフトウェアを実行するマイクロプロセッサなどから構築されるより現実的なハードウェア構成を示している。
後述するベイジアンネットワーク手法を適用した故障診断処理を、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体が発明として抽出される。
もちろん、このようなコンピュータを用いた構成に限らず、図2に示した各機能部の機能をなす専用のハードウェアの組合せにより故障診断装置3や故障診断部200が構成される。ソフトウェアにより処理を実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などが容易に変更され得る。
電子計算機に一連のベイジアンネットワーク処理を利用した故障診断機能をソフトウェアにより実行させる場合には、電子計算機を利用した一般的な情報処理の場合と同様に、磁気ディスク(フレキシブルディスクFDを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory )、DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini Disc )を含む)、または半導体メモリなどよりなるパッケージメディア(可搬型の記憶媒体)や、有線あるいは無線などの通信網を介して、そのソフトウェアを構成するプログラムが電子計算機にインストールされる。ソフトウェアは、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、コンピュータで構成されるシステムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。たとえば、既存の複写装置制御ソフトやプリンタ制御ソフト(プリンタドライバ)に組み込まれるアドインソフトとして提供されてもよい。
故障診断装置3を複写機能を持つ画像形成装置1に組み込む形態の場合、図3に示す電子計算機には、たとえば、複写アプリケーションやプリンタアプリケーション、ファクシミリ(FAX)アプリケーション、あるいは他のアプリケーション用の処理プログラムなど、従来の画像形成装置(複合機)におけるものと同様のソフトウェアが組み込まれる。また、ネットワーク9を介して外部とのデータを送受信したりするための制御プログラムも組み込まれる。
たとえば、故障診断装置3を構成するコンピュータシステム900は、コントローラー部901と、ハードディスク装置、フレキシブルディスク(FD)ドライブ、あるいはCD−ROM(Compact Disk ROM)ドライブ、半導体メモリコントローラなどの、所定の記憶媒体からデータを読み出したり記録したりするための記録・読取制御部902とを有する。
コントローラー部901は、CPU(Central Processing Unit )912、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)913、随時書込みおよび読出しが可能であるとともに揮発性の記憶部の一例であるRAM(Random Access Memory)915、および不揮発性の記憶部の一例であるRAM(NVRAMと記述する)916を有している。NVRAM916には、たとえば、使用時間、頻度、コピー/プリント枚数などで重み付けした各パーツの故障確率の情報を格納する。
“揮発性の記憶部”とは、故障診断装置3の電源がオフされた場合には、記憶内容を消滅してしまう形態の記憶部を意味する。一方、“不揮発性の記憶部”とは、故障診断装置3のメイン電源がオフされた場合でも、記憶内容を保持し続ける形態の記憶部を意味する。記憶内容を保持し続け得るものであればよく、半導体製のメモリ素子自体が不揮発性を有するものに限らず、バックアップ電源を備えることで、揮発性のメモリ素子を“不揮発性”を呈するように構成するものであってもよい。また、半導体製のメモリ素子により構成することに限らず、磁気ディスクや光ディスクなどの媒体を利用して構成してもよい。
また、コンピュータシステム900は、カスタマーインタフェースをなす機能部として、キーボードやマウスなどを有する指示入力部903と、操作時のガイダンス画面や処理結果などの所定の情報をカスタマーに提示する表示出力部904と、各機能部との間のインタフェース機能をなすインタフェース部(IF部)909とを有する。
なお、故障診断装置3を複写機能を持つ画像形成装置1に組み込んで一体化させる場合、処理対象の画像を読み取る画像読取部(スキャナユニット)905と、印刷出力用データを生成する画像処理部962および処理済みの画像を所定の出力媒体(たとえば印刷用紙)に出力するプリントエンジン964を具備した画像形成部906も設けられる。
インタフェース部909としては、処理データ(画像データを含む)や制御データの転送経路であるシステムバス991の他、たとえば、画像読取部905とのインタフェース機能をなすスキャナIF部995、画像形成部906や他のプリンタとのインタフェース機能をなすプリンタIF部996、およびインターネットなどのネットワーク9との間の通信データの受け渡しを仲介する通信IF部999を有している。
表示装置904は、たとえば、表示制御部942とCRT(Cathode Ray Tube;陰極線管)やLCD(Liquid Crystal Display;液晶)などでなるディスプレイ部944とを有する。たとえば、表示制御部942が、ディスプレイ部944上に、ガイダンス情報や画像読取部905が取り込んだ全体画像などを表示させる。また、故障判定結果や検査内容をカスタマーに通知する際の表示デバイスとしても利用される。表示面上にタッチパネル932を有するディスプレイ部944とすることで、指先やペンなどで所定の情報を入力する指示入力部903を構成してもよい。
なお、故障診断装置3の各機能部分の全ての処理をソフトウェアで行なうのではなく、これら機能部分の一部を専用のハードウェアにて行なう処理回路908を設けてもよい。ソフトウェアで行なう仕組みは、並列処理や連続処理に柔軟に対処し得るものの、その処理が複雑になるに連れ、処理時間が長くなるため、処理速度の低下が問題となる。これに対して、ハードウェア処理回路で行なうことで、高速化を図ったアクセラレータシステムが構築される。アクセラレータシステムは、処理が複雑であっても、処理速度の低下が防止され、高いスループットが得られるようになる。
画像形成装置1に適用した本実施形態の故障診断装置3の場合であれば、処理回路908としては、用紙通過時間、駆動電流、振動、作動音、あるいは光量などの観測データ情報、あるいは温度や湿度などの環境情報を取得するためのセンサ系統のデータ取得機能部908aが該当する。
<故障診断システム:第1実施形態>
図4は、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第1実施形態を示す図である。前述のように、故障診断を画像形成装置1側で行なうのかサーバ側(本例では管理センタ810)で行なうのかは自由である。ここでは、画像形成装置1にて故障診断を行なうシステムの場合での管理センタ810の構成例を示す。
図4は、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第1実施形態を示す図である。前述のように、故障診断を画像形成装置1側で行なうのかサーバ側(本例では管理センタ810)で行なうのかは自由である。ここでは、画像形成装置1にて故障診断を行なうシステムの場合での管理センタ810の構成例を示す。
図示する故障診断システム800においては、センサ系の観測データを、CPU912、RAM915あるいはNVRAM916などのメモリを利用してソフトウェア処理にて処理するように構成された複数の画像形成装置1(A,B,…:Zは除く)が、インターネットなどの通信網806を介して管理センタ810と接続されている。通信網806には、画像形成装置1や管理センタ810の他、通信網806と接続されていない画像形成装置1Zについての故障発生情報を管理センタ810に通知するために利用されるパーソナルコンピュータPCが接続可能となっている。
図3に示したように、各画像形成装置1(A,B,…,Z)には、用紙通過時間、駆動電流、振動、作動音、あるいは光量などの観測データ情報、あるいは温度や湿度などの環境情報を取得するためのセンサ系統のデータ取得機能部908aが設けられている。通信網806と接続されている画像形成装置1(A,B,…:Zは除く)の場合、測定データを、通信IF999を介して外部に通知可能に構成されている。管理センタ810には、ホストコンピュータが設けられており、通信網806を介して、画像形成装置1(A,B,…:Zは除く)との間で、通信処理が可能になっている。
通信網806に接続された複数の画像形成装置1(A,B,…:Zは除く)は、たとえばサービスエンジニアSE(Service Engineer)が故障発生情報を、操作パネルなどを通して入力することにより、管理センタ810に故障情報を送信するように構成されている。故障発生情報の操作パネルからの入力は、たとえば階層的にメニューが表示され、選択するよう構成されている。また、通信網806に接続されていない画像形成装置1Zに関しては、故障発生情報を画像形成装置1Zにより印字出力し、サービス拠点でOCR(Optical Character Reader)入力する構成をとってもよい。
本例では、管理センタ810にて故障診断を行なう形態を採らずに、各画像形成装置1が故障診断装置3を搭載し、画像形成装置1側にて故障診断を行なう形態で示すが、管理センタ810にて故障診断を行なう形態とする場合には、ホストコンピュータには、画像形成装置1側の故障診断装置3を構成するデータ取得機能部908aを除く、故障診断に関わる特徴量取得機能部分や、故障判定機能部分および推論エンジン機能部分や、診断モデルを更新する機能部分(更新制御部310に相当)などのデータ処理機能部分をソフトウェア処理にて実現するためのアプリケーションプログラムがインストールされる。
この場合、基本的には、たとえば、データ受取機能部としての特徴量取得機能部分は特徴量抽出部210である。また、データ処理機能部分としては、たとえば、故障判定部240、推論エンジン260、通知部270などである。このような構成により、故障診断システム800は、インターネットなどの通信回線を利用して、装置外部の管理センタ810に、故障判定部240や推論エンジン260などを備える故障診断部を設けたシステムとなり、管理センタ810のホストコンピュータにて、画像形成装置1について故障診断を行なうように構成される。管理センタ810においては、測定データや、この測定データから抽出される特徴量に基づいて、ホストコンピュータが自動的に、ベイジアンネットワークを利用して部品の故障確率を決定し故障部品を特定する。
以下、本実施形態の管理センタ810が備える診断モデル更新処理機能に関わる部分について詳しく説明する。図示のように、診断モデル更新を管理するため、管理センタ810は、データベース部302と、図2に示した故障診断装置3における更新制御部310の部分を備える。また、管理センタ810は、故障情報を故障部位ごとに収集する故障情報収集部320を備える。データベース部302は、故障情報収集部320によって収集された故障情報を格納する故障情報データベース302aと、故障診断モデルを格納する故障診断モデルデータベース302bを有する。
第1実施形態の更新制御部310は、市場導入後の画像形成装置1自身や同機種の近時の使用状況や故障発生状況などに応じて、故障診断モデルを臨時に更新する仕組みを採る。この実現のため、第1実施形態の更新制御部310は、画像形成装置1側の特徴量抽出部210との協業により故障情報収集部320により収集した故障情報に基づき、故障現象ごとや所定期間ごとに故障部位ごとの発生件数や発生率を算出する故障頻度算出部312と、故障頻度算出部312によって算出された発生件数や発生率に基づいて診断モデルを更新するか否かを判定するための閾値(以下更新閾値と称する)を設定する更新閾値設定部314を備える。
第1実施形態の更新閾値設定部314は、後述する第2実施形態とは異なり、故障頻度算出部312によって算出された発生件数および発生率の何れか一方に基づいて診断モデルを更新するか否かを判定するための更新閾値を1種類設定する。以下、発生件数に基づく更新閾値を発生件数基準更新閾値TH1と称し、発生率に基づく更新閾値を発生率基準更新閾値TH2と称する。
更新閾値設定部314は、更新閾値の設定に当たり、当該故障部位の発生件数や発生率の履歴に基づいて設定するようにする。たとえば、市場導入直後の突発性トラブルや経年経過後の磨耗系トラブルの割合変化や発生頻度変化に対応した更新閾値を設定する。
さらに、第1実施形態の更新制御部310は、更新閾値設定部314によって設定された更新閾値に基づいて条件付確率表の更新を行なうか否かを判定する条件付確率更新判定部316と、条件付確率更新判定部316の判定結果に基づいて(ここでは更新を行なうと言う判定結果が得られているとき)、故障頻度算出部312によって算出された発生件数や発生率に基づいて条件付確率表の更新(具体的には表中の確率値の更新)を行なう、つまり発生件数や発生率の大きさに応じて更新データの寄与度を変更する条件付確率更新部318を備える。
更新制御部310は、更新閾値設定部314によって設定された閾値よりも故障頻度が大きいときには故障頻度算出部312によって算出された故障頻度を示す指標値(前例では発生件数基準更新閾値TH1や発生率基準更新閾値TH2)に基づいて故障診断条件の更新を行なう。
<故障診断処理:用紙搬送故障診断モデル>
図5は、故障診断装置3における故障診断処理の具体的な事例を説明する図である。この図5は、詳細には、用紙故障診断の構成例の中で、各ノードに条件付確率表を備えたベイジアンネットワークで構成される故障診断モデルを表している。詳細には、給紙トレイ51から第3センサ67(プレレジセンサ)までのベイジアンネットワークの用紙搬送故障診断モデルの一部であり、第1ブロック91に属する駆動部材による用紙搬送の監視に資する第1センサ65(プレフィードセンサ)および第2センサ66(フィードアウトセンサ)、つまり給紙トレイ51から用紙を送り出すフィード部53(用紙フィーダ部)の診断モデルである。
図5は、故障診断装置3における故障診断処理の具体的な事例を説明する図である。この図5は、詳細には、用紙故障診断の構成例の中で、各ノードに条件付確率表を備えたベイジアンネットワークで構成される故障診断モデルを表している。詳細には、給紙トレイ51から第3センサ67(プレレジセンサ)までのベイジアンネットワークの用紙搬送故障診断モデルの一部であり、第1ブロック91に属する駆動部材による用紙搬送の監視に資する第1センサ65(プレフィードセンサ)および第2センサ66(フィードアウトセンサ)、つまり給紙トレイ51から用紙を送り出すフィード部53(用紙フィーダ部)の診断モデルである。
本例のベイジアンネットワークでは、用紙が用紙タイミングセンサ69を通過する時間をベースに考えるので、第1センサ65〜第3センサ67が、先に用紙をセンシングする順に、シリアルにアークで結ばれている。モータ、ソレノイド、ギア、ロールなどの状態を表しているコンポーネント状態ノードを中心にネットワークが構成されている。各センサへのノードは、原因系のネットワークがアークで結ばれている。
また、図6は、第1実施形態の故障診断システム800で用いる確率表の一例を示す図表である。図5の各ノードには、予め図6に示すような条件付確率表中の中から該当する確率値を設定しておく。図5では、プレフィードセンサ通過時間ノードに割り当てられる本例で用いる確率値も併せて示している。
確率値は、たとえば、故障を起したときの各種の条件とその条件での故障が起こる確率を纏めた図6に示すような確率表をノードごとに用意しておき、その確率表中から対応する条件の確率値を読み出す形で設定する。確率値自体は、経験値によるものもあれば、実測によるデータも使ってもよい。故障の可能性が最も高い部品を推測すると言う意味では、絶対値自体よりむしろ大小関係の方が重要となる。
図5において、白地ノードが故障箇所ノードに対応し、グレー地ノードが故障箇所を特定するための診断特徴量ノードである。本例で採用する条件付確率は、たとえば故障発生件数に基づいて設定され、各故障箇所ノードの近傍に記述されている数字が故障発生の割合を示している。ここで、故障発生の割合は、故障部位子ノードに入力される全ての故障部位親ノードに関する故障発生件数の総和に対する割合により算出される。また、図5において、括弧“( )”付の数字は、故障部位子ノードにリンクされる親ノードの不具合の原因となる親ノードでの故障確率値であり、その故障確率は当該親ノードに含まれて故障割合が算出されている。
図5において、プレフィードセンサ通過時間のフェイルが用紙フィーダ部診断モデルの診断開始のトリガとなる診断情報で、故障現象に対応する。用紙が第1センサ65(プレフィードセンサ)を通過する時間(プレフィードセンサ通過時間と称する)のフェイル(Fail:故障)に対する故障確率が、プレフィードセンサ通過時間ノードに接続されている故障部位ノード(1次的要因ノード)の矢印の数字に反映(全体で100)されている。ただし、「フィードモータドライブ回路」や「フィード部コネクタ接触状態」は、2次的要因ノードとして、2次的要因の結果が反映されている1次的要因ノードに加算されている。たとえば、「フィードモータドライブ回路」の故障確率は、「フィードモータドライブ回路」が原因となる1次的要因ノード「フィードモータ状態」の故障確率に加算されている。
図6に、本例の因果ネットワークのプレフィードセンサ通過時間ノードに関わる条件付確率表の一例が示されている。図6において、プレフィードセンサ通過時間ノードのFail(故障)、Normal(正常)に対するプレフィードセンサ通過時間のFail(故障)、Normal(正常)が条件付確率として表現されている。なお、図6では故障確率はパーセント表示されている。
更新制御部310による条件付確率の更新は、たとえば、前記のように所定の故障状態に対する各故障部位ノードの故障確率に基づいて行なわれる。ベイジアンネットワークによる故障診断では、推論エンジン260により、各ノードの故障確率を条件付確率表に基づいて、伝搬させることにとより、診断モデルを構成する全故障部位ノードの故障確率を算出する。
そして、ベイジアンネットワークによるによる故障診断において、故障箇所候補の抽出に際しては、これらのノードの中で最も故障確率が大きいノードの部品が故障していると推論することにより、故障箇所を特定する。推論により抽出した故障箇所候補の情報をカスタマーやカスタマーエンジニアに提示するに際しては、故障箇所候補は何処であるという情報だけでなく、その故障箇所候補の故障確率も合わせて提示するのがよい。
搬送系における駆動部材に起因した故障を診断するに際して、駆動部材の動作状態を示す信号(たとえば駆動電流や振動など)について、故障を診断するためのベイジアンネットワークモデルに基づき推論することで、駆動機構を構成する個々の構成部材について、故障診断を行なうのではなく、総合的に故障判定を行なう。たとえば、用紙通過時間の履歴情報や、装置内の温度・湿度などの環境情報、装置が使用する用紙や色剤などの消耗材情報、あるいは装置の仕様情報など、動作状態信号以外にも取得される様々なデータについても、ベイジアンネットワークモデルに基づき推論することで、1つの事象について複数の特徴量に基づいて故障確率を求めて、故障判定を行なう。
<動作例:第1実施形態>
図7〜図9は、第1実施形態の更新制御部310における故障診断モデル更新処理を説明する図である。因みに、故障診断モデルの更新は、条件付確率表を更新することで実現される。ここで、図7は第1実施形態の故障診断モデル更新処理の手順を示すフローチャートである。図8は、更新制御部310による故障診断モデルの更新タイミングの一例を説明する図である。図9は、第1実施形態の故障診断モデル更新処理において適用される条件付確率値の変化の様子を示す図である。
図7〜図9は、第1実施形態の更新制御部310における故障診断モデル更新処理を説明する図である。因みに、故障診断モデルの更新は、条件付確率表を更新することで実現される。ここで、図7は第1実施形態の故障診断モデル更新処理の手順を示すフローチャートである。図8は、更新制御部310による故障診断モデルの更新タイミングの一例を説明する図である。図9は、第1実施形態の故障診断モデル更新処理において適用される条件付確率値の変化の様子を示す図である。
故障情報データベース302aの故障情報は、リスト形式で構成され、たとえば、日時、機械番号、サービスエリアコード、地域エリアコード、お客様コード、故障箇所情報コード、故障現象情報コード、処置情報コードで構成されている。なお、故障現象コードに対応する故障現象は、故障診断モデルごとに設定される。故障情報データベース302aには、サービスエンジニアの訪問履歴情報から上記内容が抽出され格納される(S100)。
更新制御部310においては、先ず、故障頻度算出部312は、定期的な更新期間よりも短い所定期間ごとに(S110−YES)、故障情報データベース302aに格納された画像形成装置1の種類(たとえば機種名)ごと、故障現象ごと、所定期間ごとの故障情報をアクセスし、故障部位ごとの発生件数や発生率を算出する(S112)。たとえば、所定期間を1ヶ月単位とし、1ヶ月分の故障情報にアクセスして、故障部位ごとの発生件数や発生率を算出することとする。また、故障頻度算出部312は、算出した故障部位ごとの発生件数や発生率を、画像形成装置1の種類ごとに故障情報データベース302aに故障発生頻度情報として格納する。故障発生頻度情報は、リスト形式で構成され、たとえば、機種コード、エリアコード、故障部位を表すサブエリアコード、当該機種のトータル機械台数、故障発生件数、故障発生率が格納されている。本例では、所定期間は、1ヶ月単位としたが、1週間単位と1ヶ月単位を組み合わせてもよい。複数の期間を組み合わせることにより、突発性故障が急増した場合によりタイムリーに更新の有無を判定することで、1つの所定期間では抽出できない故障発生に対応する。
更新閾値設定部314は、更新閾値の設定に当たり、市場導入直後の突発性トラブルや経年経過後の磨耗系トラブルの割合変化や発生頻度変化に対応した更新閾値を、故障部位の発生件数および発生率の何れか一方の履歴に基づいて設定するようにするが、第1実施形態では、その具体例として、故障頻度算出部312によって算出された発生率に基づいて更新閾値(発生率基準更新閾値TH2)を設定するものとして説明する。
すなわち、更新閾値設定部314は、故障頻度算出部312で算出された故障現象ごとや故障部位ごとの発生率の所定期間、たとえば1年間の平均を基に更新閾値を設定する(S120)。たとえば、更新閾値設定部314は、故障部位ごとの平均的な故障発生率に基づいて、たとえば過去1年間の平均的な故障発生率の2倍の値を設定する。また、更新閾値設定部314は、市場導入直後の機種の閾値に関しては、当該機種同等クラスの従来機種の故障発生率を基に更新閾値を設定する。
条件付確率更新判定部316は、所定期間ごと、たとえば故障頻度算出部312で集計するタイミングで、故障部位ごとに、故障発生率と当該故障部位に対応して設定された閾値を比較し、条件付確率表の更新の必要性を判定する(S130)。
図8に市場導入直後に故障発生件数が増加した場合の更新タイミングの一例を示す。図8において、波線は更新閾値を示すが、市場導入直後であるため、当該機種同等クラスの従来機種の故障発生率を基に設定されている。図8では、市場導入2ヶ月後に更新閾値を超えており、条件付確率表の更新が行なわれるともに、更新閾値も更新される。また、次月度に関しても、その更新後の更新閾値を超えており、条件確率表の更新が行なわれる。このように、臨時の更新を行なうタイミングが定期更新タイミングと一致することもある。以降、更新閾値を越えないが、定期的な更新タイミングになると、条件付確率表の更新および更新閾値の更新が行なわれる。
条件付確率更新部318は、条件付確率更新判定部316で更新が必要と判定された故障現象に対応する故障診断モデルを故障診断モデルデータベース302bより取得し、更新が必要と判定された故障部位が関連するノードの条件付確率表を更新する。すなわち、発生件数や発生率が更新閾値以上となると臨時更新の対象候補となるが(S150−YES)、条件付確率表の更新に当たり、先ず、発生件数や発生率が更新閾値に対して所定倍以上であるか否かに応じて確率値を調整する。このとき、発生件数や発生率が更新閾値に対して所定倍未満のときには更新閾値を前記所定倍に維持する(S152−NO,S154)。一方、発生件数や発生率が更新閾値に対して所定倍以上のときには、故障部位ごとの発生件数や発生率に応じて更新データの寄与度を変更するべく、故障部位ごとに所定倍とは異なるように(具体的にはより大きな倍率で)発生件数重み付け係数を調整する(S152−YES,S156)。更新データの寄与度の変更に当たっては、直近の故障情報が強調されるようにする。条件付確率更新部318は、条件付確率表の更新が終了した故障診断モデルを、故障診断モデルデータベース302bに格納する(S160)。「発生件数重み付け係数」は、条件確率表のベースとなる故障発生割合を算出する際、たとえば直近3ヶ月の発生件数に重み付けをするための係数である。
たとえば、過去1年間の故障発生件数に基づいて、故障発生割合が算出される。そして、たとえば、図9に示すように、前例の更新閾値を超えて更新タイミングの対象となった故障部位の発生件数や発生率に応じて、過去3ヶ月の発生件数の重みを変化させる。たとえば、1ヶ月間の発生率が更新閾値以上となると臨時更新の対象候補となるが(S150−YES)、所定倍を“2”としたとき、発生率が更新閾値の1〜2倍の範囲では発生件数重み付け係数を2倍に維持するのに対し、2倍以上の発生率では発生件数重み付け係数を4倍にする。このような仕組みをとることで、直近の故障情報が強調されることになり、緊急度が高い突発性故障に対する発見確率が高くなる。
このように、第1実施形態の故障診断モデル更新処理によれば、市場導入前に構成した診断モデルの更新を予め設定されたタイミングだけでなく、市場導入後の市場での故障発生状況(市場のトラブル状況)に対応して、発生件数や発生率が更新閾値以上となると臨時にも更新するようにしたので、市場導入直後に発生する突発性故障に対応した診断モデルが提供されることになる。これによって、診断対象の画像形成装置1の実状態に合わせた対応がなされることになり、より精度の高い診断を行なうようになる。
特に、条件付確率更新部318は、故障の発生件数や発生率の大きさに応じて、更新データの寄与度を変更するようにしているので、故障診断モデルは特定故障の急激な増加が反映されるため診断性能が向上する。特定の部品故障が急増しているなどのメンテナンス情報をサービスエンジニアが知らない場合でも、更新データの反映度を高めることにより、的確な判断が行なわれるようになる。
たとえば、特許文献1,2に記載の仕組みでは、予め定めた定期的なタイミングで故障診断モデルの更新を行なうが、本実施形態の仕組みでは、市場導入前に構成した診断モデルを市場導入後の市場での実際の状況に対応して、適宜更新することにより、診断性能を向上させる。また、同一機種であっても、市場導入直後は突発性トラブルの割合が高いのに対して、トラブル対策導入により、経年経過後は磨耗系トラブルの割合が高くなるため、市場導入後も、適宜診断モデルを更新すること要望されるが、本実施形態では、その要望に対応するようになる。また、市場導入直後の突発性トラブルに関しては対策部品が導入されることが多く、対策部品導入前後では故障発生割合が大きく変化するが、それに対応して、本実施形態では適宜診断モデルを更新するようになる。特許文献1,2の仕組みは、更新タイミングが一定であるので、特定故障が急激に増加した場合やトラブル対策が導入され減少する場合にタイムリーに対応することができず、誤診断が発生する大きな要因となり得るが、本実施形態のように、市場導入後の市場での実際の状況に対応した臨時のタイミングで故障診断モデルの更新を行なうと、実情に合わせたタイムリーな対応がなされることになる。
<故障診断システム:第2実施形態>
図10は、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第2実施形態を示す図である。第1実施形態との相違は、故障診断装置3を構成する更新制御部310の構成が異なる点にある。
図10は、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第2実施形態を示す図である。第1実施形態との相違は、故障診断装置3を構成する更新制御部310の構成が異なる点にある。
具体的には、第2実施形態の更新制御部310においては先ず、更新閾値設定部314は、故障頻度算出部312によって算出された発生件数および発生率に基づいて診断モデルを更新するか否かを判定するための更新閾値を発生件数および発生率のそれぞれに対応して設定する。つまり、第2実施形態の更新閾値設定部314は、第1実施形態とは異なり、故障頻度算出部312によって算出された発生件数および発生率の双方に基づいて診断モデルを更新するか否かを判定するための更新閾値を2種類(つまり発生件数基準更新閾値TH1と発生率基準更新閾値TH2の双方を)設定する。
また、第2実施形態の更新制御部310は、更新閾値設定部314によって設定された2種類の更新閾値の内の一方に基づいて条件付確率更新候補部位を抽出する条件付確率更新候補部位抽出部330を新たに備えている。そして、条件付確率更新判定部316は、条件付確率更新候補部位抽出部330によって抽出された条件付確率更新候補部位に対し、更新閾値設定部314によって設定された2種類の更新閾値の内の他方に基づいて条件付確率表の更新を行なうか否かを判定する。条件付確率更新部318は、第1実施形態と同様に、条件付確率更新判定部316の判定結果に基づいて条件付確率表の更新を行なう。
<動作例:第2実施形態>
図11および図12は、第2実施形態の更新制御部310における故障診断モデル更新処理を説明する図である。ここで、図11は第2実施形態の故障診断モデル更新処理の手順を示すフローチャートである。図12は、第2実施形態の故障診断モデル更新処理において適用される条件付確率値の変化の様子を示す図である。
図11および図12は、第2実施形態の更新制御部310における故障診断モデル更新処理を説明する図である。ここで、図11は第2実施形態の故障診断モデル更新処理の手順を示すフローチャートである。図12は、第2実施形態の故障診断モデル更新処理において適用される条件付確率値の変化の様子を示す図である。
更新閾値設定部314は、更新閾値の設定に当たり、市場導入直後の突発性トラブルや経年経過後の磨耗系トラブルの割合変化や発生頻度変化に対応した更新閾値を、故障部位の発生件数や発生率の履歴に基づいて設定するようにするが、第2実施形態では、その具体例として、故障頻度算出部312によって算出された発生率に基づいて2種類の更新閾値の内の一方(発生率基準更新閾値TH2)を設定するとともに、故障頻度算出部312によって算出された発生件数に基づいて2種類の更新閾値の内の他方(発生件数基準更新閾値TH1)を設定するものとして説明する。つまり、第2実施形態の具体例では、更新閾値設定部314は、発生率基準更新閾値TH2(第2の更新閾値)は第1実施形態の具体例と同様に発生率に基づき設定し、発生件数基準更新閾値TH1(第1の更新閾値)は発生件数に基づいて設定し、発生率だけでなく発生件数にも基づいて更新閾値を設定する。そして、条件付確率更新判定部316や条件付確率更新部318によって、2種類の更新閾値に基づいて故障診断モデルの臨時更新を行なうことにより、より効果的な臨時更新を行なうようにする。
第1実施形態の具体例にて説明したように、故障発生率と更新閾値の関係のみで条件付確率表の更新の必要性を判定してもよいが、元々故障発生率の少ない故障部位では、少ない故障発生でも閾値を越えてしまい必要以上に更新判定が発生する場合がある。これに対して第2実施形態(その具体例)では、発生率だけでなく発生件数をも考慮して更新閾値を設定する。
たとえば、発生件数や発生率が更新閾値以上となると臨時更新の対象候補となるが、条件付確率表の更新に当たり、先ず、条件付確率更新候補部位抽出部330は、発生件数が所定件数に対して多いか少ないか、またどの程度多いかに応じて確率値を調整する。たとえば、発生件数が第1の判定件数を超える(以上でもよい)ときには条件付確率更新候補部位に設定するとともに、第1の判定件数を超え第2の判定件数(第1の判定件数よりも多い)よりも少ない(以下でもよい)ときの更新閾値は平均的な故障発生率のm倍であるとし、第2の判定件数を超える(以上でもよい)ときの更新閾値を平均的な故障発生率のn倍(n<mとする)とする(S142−YES,S144)。一方、条件付確率更新候補部位抽出部330は、第1の判定件数よりも少ない発生件数では、条件付確率更新候補部位に設定しないようにする(S142−NO,S146)。条件付確率更新候補部位に設定しないようにするには、たとえば、調整後の発生件数基準更新閾値TH1を最大値に設定すればよい。
このようにして、条件付確率更新候補部位抽出部330により、予め発生件数に基づき抽出された条件付確率更新候補部位に対して、条件付確率更新判定部316は、第1実施形態の具体例と同様に、発生率に基づいて条件付確率表の更新を行なうか否かを判定する(S150〜S156)。条件付確率更新部318は、条件付確率表の更新が終了した故障診断モデルを、故障診断モデルデータベース302bに格納する(S160)。
たとえば、図12に例示するように、本実施形態を適用しない場合は(図12の閾値調整前)、1ヶ月間の総発生件数に関わらず更新閾値は平均的な故障発生率の2倍であるものとする。これに対して、本実施形態では、条件付確率更新候補部位抽出部330は、1ヶ月間の総発生件数が“5”を越える場合の更新閾値は平均的な故障発生率の2倍である(つまり閾値調整前と同じとする)のに対し、“3〜4”の発生件数では更新閾値を平均的な故障発生率の3倍とし(つまり閾値調整前に対して3/2倍にし)、これらの場合は条件付確率更新候補部位に設定するが、“1〜2”の発生件数では調整後の発生件数基準更新閾値TH1を最大値(max)に設定して条件付確率更新候補部位に設定しないことで、条件付確率更新部318における更新判定を実施しないようにする。因みに、図12では、小数点以下第2位を四捨五入して小数点以下第1位までを有効数字としている。
図12から分るように、本実施形態を適用しない場合は(図12の閾値調整前)、所定期間(具体的には1ヶ月間)の総発生件数に関わらず発生件数基準更新閾値TH1を設定するのに対して、第2実施形態では、所定期間(具体的には1ヶ月間)の総発生件数に基づき発生件数基準更新閾値TH1を設定している。発生件数によって発生件数基準更新閾値TH1(第1の更新閾値)が調整されていることが理解される。
このように、第2実施形態の故障診断モデル更新処理によれば、市場導入前に構成した診断モデルの更新を予め設定されたタイミングだけでなく、市場導入後の市場での実際の状況に対応して、発生件数や発生率が更新閾値以上となると臨時にも更新するようにしたので、市場導入直後に発生する突発性故障に対応した診断モデルが提供されることになる。
特に、条件付確率更新候補部位抽出部330により予め発生件数に基づき抽出された条件付確率更新候補部位に対して、条件付確率更新判定部316は、第1実施形態の具体例と同様に発生率に基づいて条件付確率表の更新を行なうか否かを判定するので、つまり、事実上、故障の発生率だけでなく発生件数の大きさにも応じて、更新データの寄与度を変更するようにしているので、故障診断モデルは特定故障の急激な増加が反映されるため診断性能が向上するだけでなく、第1実施形態に比較して、市場のトラブル状況により適切に対応した閾値設定がなされる。
つまり、故障診断モデルの更新条件を1つの指標ではなく、複数の指標で評価するので、本来更新する必要が無いような、元々の発生率が少なく、たまたま少ない発生件数で更新閾値を超えた場合を除くなど、市場のトラブル状況により適切に対応した故障診断モデルの更新処理がなされる。
<故障診断システム:第3実施形態>
図13および図13Aは、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第3実施形態を示す図である。因みに、図13に示す第1例は第1実施形態の構成に対しての変形例であり、図13Aに示す第2例は第2実施形態の構成に対しての変形例である。
図13および図13Aは、複数台の画像形成装置1と通信回線を介して管理センタ810が接続されている故障診断システム800の第3実施形態を示す図である。因みに、図13に示す第1例は第1実施形態の構成に対しての変形例であり、図13Aに示す第2例は第2実施形態の構成に対しての変形例である。
第3実施形態と第1・第2実施形態との相違は、故障診断装置3は、画像形成装置1の故障事象と当該故障事象に対して故障が発生し得ると予想される複数の予想故障部位との対応関係を故障確率で示す故障部位対応関係表を故障診断モデルとして使用し、この故障部位対応関係表に基づいて故障個所を特定する点にある。この相違点に基づき、故障診断装置3を構成する更新制御部310の構成が異なる。
具体的には、第3実施形態の更新制御部310は、更新閾値設定部314によって設定された更新閾値(発生率基準更新閾値TH2および/または発生件数基準更新閾値TH1)に基づいて故障部位対応関係表の更新を行なうか否かを判定する故障部位対応関係表更新判定部346と、故障部位対応関係表更新判定部346の判定結果に基づいて(ここでは更新を行なうと言う判定結果が得られているとき)、故障頻度算出部312によって算出された発生件数や発生率に基づいて故障部位対応関係表の更新を行なう故障部位対応関係表更新部348を備える。構成上は、第1・第2実施形態の条件付確率更新判定部316を故障部位対応関係表更新判定部346に置き換え、条件付確率更新部318を故障部位対応関係表更新部348に置き換えた状態である。
故障部位対応関係表更新部348は、故障部位対応関係表を利用して、発生件数や発生率の大きさに応じて更新データの寄与度を変更することになるが、その趣旨は、第1・第2実施形態の条件付確率更新部318と同様である。
<動作例:第3実施形態>
図14および図15は、第3実施形態の更新制御部310における故障診断モデル更新処理を説明する図である。ここで、図14は第3実施形態の故障診断モデル更新処理の手順を示すフローチャートである。因みに、図7に示した第1実施形態のフローチャートに対する変形例で示すが、図11に示した第2実施形態のフローチャートに対して同様の変形を適用してもよい。図15は、第3実施形態の故障診断モデル更新処理において適用される故障部位対応関係表の一例を示す図である。
図14および図15は、第3実施形態の更新制御部310における故障診断モデル更新処理を説明する図である。ここで、図14は第3実施形態の故障診断モデル更新処理の手順を示すフローチャートである。因みに、図7に示した第1実施形態のフローチャートに対する変形例で示すが、図11に示した第2実施形態のフローチャートに対して同様の変形を適用してもよい。図15は、第3実施形態の故障診断モデル更新処理において適用される故障部位対応関係表の一例を示す図である。
第3実施形態では、画像形成装置1の故障事象と当該故障事象に対して故障が発生し得ると予想される複数の予想故障部位との対応関係を故障確率で示す故障部位対応関係表を用意しておき、故障部位対応関係表更新部348は、市場の状況(詳しくは故障の発生率および/または発生件数の変化状況)に応じて、故障部位対応関係表を更新する(S170)。
第3実施形態は、故障部位対応関係表のみから故障部位を診断する簡易診断システムであるが、故障部位対応関係表中の故障確率の更新は、第1実施形態と同様に、故障現象ごとの故障部位の発生率や発生件数が過去の発生履歴に基づく閾値を超えた場合(S150−YES)に更新される。簡易診断システムではあるが、第1実施形態と同様に、市場導入前に構成した故障部位対応関係表(事実上の故障診断モデル)の更新を予め設定されたタイミングだけでなく、市場導入後の市場での故障発生状況(市場のトラブル状況)に対応して、発生件数や発生率が更新閾値以上となると臨時にも故障確率を更新するようにしたので、市場導入直後に発生する突発性故障に対応した診断モデルが提供されることになる。
このように、第3実施形態の故障診断モデル更新処理によれば、画像形成装置1の故障事象と当該故障事象に対して故障が発生し得ると予想される複数の予想故障部位との対応関係を故障確率で示す故障部位対応関係表を診断モデルとして利用して故障箇所を特定する場合に、市場導入前に構成した故障部位対応関係表(診断モデル)の更新を予め設定されたタイミングだけでなく、市場導入後の市場での実際の状況に対応して、発生件数および/または発生率が更新閾値以上となると臨時にも更新するようにしたので、市場導入後の市場での実際の状況に対応して、適切に更新された故障部位対応関係表が提供されることになる。
特許文献3の仕組みでは、個々の部品ごとの管理情報に基づいて個々の部品ごとの寿命予測や交換時期予測を行なうものの、ベイジアンネットワークを利用した故障診断システムのように、診断モデルが対象とする診断領域全体に対する個々の部品特性の影響を含めた不良解析や不良予測を簡単に行なうことはできないが、本実施形態での仕組みでは個々の部品の市場での実態状況に合わせてタイムリーな対応がなされることになる。
特許文献4の仕組みでは、個々の部品ごとの故障予測閾値に基づく故障部位予測は可能であるが、特許文献3の仕組みと同様に、診断モデルが対象とする診断領域全体に対する個々の部品特性の影響を定量的に扱い個々の部品故障確率を定量的に示すことはできないが、本実施形態での仕組みでは個々の部品の市場での実態状況に合わせてタイムリーな対応がなされることになる。
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、上記の実施形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明が抽出され得る。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
たとえば、第1・第2実施形態では故障診断モデルを、また、第3実施形態では故障部位対応関係表を、それぞれ更新対象となる故障診断条件として扱ったが、これは一例に過ぎない。また、第1〜第3実施形態では、市場での対象装置自身やその装置と同類の装置(たとえば同機種など)の故障状況を直接的に示す故障の発生件数や発生率を、臨時更新をするか否かの判定のための指標値として扱ったが、これも一例に過ぎない。たとえば、故障の発生に対する対処として部品交換を伴うケースでは、故障状況を間接的に示す指標値ではあるが交換部品の使用度合いを臨時更新をするか否かの判定のための指標値として扱ってもよい。
また、上記実施形態では、複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、あるいはそれらの機能を組み合わせて有する複合機などの画像形成装置に故障診断装置を適用した事例において、特に、メカ系(用紙搬送系)の故障箇所を特定する故障診断への適用例で説明したが、適用範囲は、このような事例に限定されない。たとえば、画像欠陥発生時に、ベイジアンネットワークを利用して、画像画質欠陥系の故障箇所を特定する故障診断を行なう仕組みにおいて、前記実施形態の仕組みを適用してもよい。
また、上記実施形態では、複写機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能、あるいはそれらの機能を組み合わせて有する複合機などの画像形成装置に故障診断装置を適用した事例で示したが、故障診断装置が適用される装置は、画像形成装置に限らず、家電品や自動車などその他の任意の機器に適用してもよい。
1…画像形成装置、10…情報取得部、200…故障診断部、210…特徴量抽出部、230…基準特徴量格納部、240…故障判定部、260…推論エンジン、270…通知部、3…故障診断装置、30…画像形成部、302…データベース部、302a…故障情報データベース、302b…故障診断モデルデータベース、310…更新制御部、312…故障頻度算出部、314…更新閾値設定部、316…条件付確率更新判定部、318…条件付確率更新部、320…故障情報収集部、330…条件付確率更新候補部位抽出部、346…故障部位対応関係表更新判定部、348…故障部位対応関係表更新部、50…給紙搬送機構部、69…用紙タイミングセンサ、70…排紙搬送機構部、800…故障診断システム、806…通信網、810…管理センタ810、90…駆動機構部
Claims (8)
- 故障情報を故障部位ごとに収集する故障情報収集部と、
前記故障情報収集部によって収集された故障情報に基づき、故障現象ごとや所定期間ごとに故障部位ごとの発生件数および発生率の少なくとも一方を算出する故障頻度算出部と、
前記故障頻度算出部によって算出された発生件数や発生率に基づいて更新処理の閾値を設定する更新閾値設定部と、
前記更新閾値設定部によって設定された閾値に基づいて条件付確率表の更新を行なうか否かを判定する条件付確率更新判定部と、
前記条件付確率更新判定部の判定結果が更新を行なう旨を示しているときには前記故障頻度算出部によって算出された発生件数や発生率に基づいて前記条件付確率表の更新を行なう条件付確率更新部と
を備え、
因果ネットワークを構成する各ノードに前記条件付確率表を備えた因果ネットワークで構成される故障診断モデルに基づいて診断対象装置に生じる故障を診断する
ことを特徴とする故障診断装置。 - 前記故障頻度算出部は、故障部位ごとの発生件数および発生率の双方を算出するものであり、
前記更新閾値設定部は、前記更新処理の閾値として、前記故障頻度算出部によって算出された発生件数に基づく発生件数基準更新閾値および前記故障頻度算出部によって算出された発生率に基づく発生率基準更新閾値を設定するものであり、
さらに、前記更新閾値設定部によって設定された前記発生件数基準更新閾値および前記発生率基準更新閾値の内の一方に基づいて条件付確率更新候補部位を抽出する条件付確率更新候補部位抽出部を備え、
前記条件付確率更新判定部は、前記条件付確率更新候補部位抽出部によって抽出された条件付確率更新候補部位に対して、前記更新閾値設定部によって設定された前記発生件数基準更新閾値および前記発生率基準更新閾値の内の他方に基づいて条件付確率表の更新を行なうか否かを判定するものである
ことを特徴とする請求項1に記載の故障診断装置。 - 故障情報を故障部位ごとに収集する故障情報収集部と、
前記故障情報収集部によって収集された故障情報に基づき、故障現象ごとや所定期間ごとに故障部位ごとの発生件数および発生率の少なくとも一方を算出する故障頻度算出部と、
前記故障頻度算出部によって算出された発生件数や発生率に基づいて更新処理の閾値を設定する更新閾値設定部と、
前記更新閾値設定部によって設定された閾値に基づいて、診断対象装置に生じる故障事象と当該故障事象に対して故障が発生し得ると予想される複数の予想故障部位との対応関係を故障確率で示す故障部位対応関係表の更新を行なうか否かを判定する故障部位対応関係表更新判定部と、
前記故障部位対応関係表更新判定部の判定結果が更新を行なう旨を示しているときには前記故障頻度算出部によって算出された発生件数や発生率に基づいて前記故障部位対応関係表の更新を行なう条件付確率更新部と
を備え、
前記故障部位対応関係表に基づいて診断対象装置に生じる故障を診断する
ことを特徴とする故障診断装置。 - 前記更新閾値設定部は、故障部位の発生件数や発生率の履歴に基づいて、前記更新処理の閾値を設定する
ことを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の故障診断装置。 - 前記条件付確率更新部は、故障の発生件数や発生率の大きさに応じて、更新データの寄与度を変更する
ことを特徴とする請求項1〜4のうちの何れか1項に記載の故障診断装置。 - 因果ネットワークを構成する各ノードに前記条件付確率表を備えた因果ネットワークで構成される故障診断モデルに基づいて、診断対象装置に生じる故障を、電子計算機を用いて診断するためのプログラムであって、前記電子計算機に、
故障情報を故障部位ごとに収集する故障情報収集手順と、
前記故障情報収集手順によって収集された故障情報に基づき、故障現象ごとや所定期間ごとに故障部位ごとの発生件数および発生率の少なくとも一方を算出する故障頻度算出手順と、
前記故障頻度算出手順によって算出された発生件数や発生率に基づいて更新処理の閾値を設定する更新閾値設定手順と、
前記更新閾値設定手順によって設定された閾値に基づいて条件付確率表の更新を行なうか否かを判定する条件付確率更新判定手順と、
前記条件付確率更新判定手順の判定結果が更新を行なう旨を示しているときには前記故障頻度算出手順によって算出された発生件数や発生率に基づいて前記条件付確率表の更新を行なう条件付確率更新手順と
を実行させることを特徴とするプログラム。 - 診断対象装置に生じる故障事象と当該故障事象に対して故障が発生し得ると予想される複数の予想故障部位との対応関係を故障確率で示す故障部位対応関係表に基づいて、診断対象装置に生じる故障を、電子計算機を用いて診断するためのプログラムであって、前記電子計算機に、
故障情報を故障部位ごとに収集する故障情報収集手順と、
前記故障情報収集手順によって収集された故障情報に基づき、故障現象ごとや所定期間ごとに故障部位ごとの発生件数および発生率の少なくとも一方を算出する故障頻度算出手順と、
前記故障頻度算出手順によって算出された発生件数や発生率に基づいて更新処理の閾値を設定する更新閾値設定手順と、
前記更新閾値設定手順によって設定された閾値に基づいて、前記故障部位対応関係表の更新を行なうか否かを判定する故障部位対応関係表更新判定手順と、
前記故障部位対応関係表更新判定手順の判定結果が更新を行なう旨を示しているときには前記故障頻度算出手順によって算出された発生件数や発生率に基づいて前記故障部位対応関係表の更新を行なう条件付確率更新手順と
を実行させることを特徴とするプログラム。 - 故障情報を故障部位ごとに収集する故障情報収集部と、
前記故障情報収集部によって収集された故障情報に基づき、故障部位ごとの故障頻度を示す指標値を算出する故障頻度算出部と、
前記故障頻度算出部によって算出された故障頻度を示す指標値に基づいて更新処理の閾値を設定する更新閾値設定部と、
前記更新閾値設定部によって設定された閾値よりも故障頻度が大きいときには前記故障頻度算出部によって算出された故障頻度を示す指標値に基づいて故障診断条件の更新を行なう更新制御部と
を備えたことを特徴とする故障診断装置。
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