JP4415574B2 - 電磁装置及び高電圧発生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高輝度放電灯を瞬時に始動、再始動させるために高電圧パルスを発生する電磁装置及び高電圧発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
HIDランプ(高輝度放電灯)を始動、点灯させるためにはイグナイタと呼ばれる高電圧を発生する始動装置(高電圧発生装置)が必要であり、高電圧発生装置には低電圧の入力をパルス状の高電圧出力に変換するパルストランスのような電磁装置が用いられている。
【0003】
ところで、近年自動車用の前照灯(ヘッドライト)において、安全性及びエコロジーを重視する観点から従来のハロゲンランプよりも高輝度、低消費電力、長寿命であるHIDランプのような高圧放電ランプが使用されるようになっており、高圧放電ランプの急速な普及に伴ってイグナイタの寸法的な制約(イグナイタのランプソケット内蔵化等)から極めて小型の電磁装置が要望されている。
【0004】
図11及び図12は、自動車用ヘッドライト向けのソケット内蔵型イグナイタ20の回路図及び外観図を示している。イグナイタ20の基本的な回路構成は、入力端子T1〜T3と、出力端子T4,T5と、入力端子T1(高電圧側)−入力端子T2(低電圧側)間に接続したコンデンサC1と、コンデンサC1に並列接続した放電ギャップGAP(スイッチ要素)とパルストランスPTの1次巻線2aとの直列回路と、入力端子T1−出力端子T4(高電圧側)間に接続したパルストランスPTの2次巻線2bと、1次巻線2a、2次巻線2bが巻装した磁気コア1とから構成され、入力端子T3(低電圧側)−出力端子T5(低電圧側)間は短絡されている。高圧放電ランプLaは出力端子T4−T5間に接続されており、点灯装置50は入力端子T1,T2,T3に接続されている。
【0005】
そして、高圧放電ランプLaが点灯していない状態で点灯装置50から入力端子T1,T2を介して電圧が供給されるとコンデンサC1が充電され、コンデンサC1の両端電圧が上昇して所定値に達したときに放電ギャップGAPがオンすることでパルストランスPTの1次巻線2aに放電ギャップGAPを介してコンデンサC1の充電電荷が放電され、パルストランスPTの2次巻線2bにパルス状の高電圧が発生する。この高電圧パルスが出力端子T4,T5を介して高圧放電ランプLaの両端に印加されて高圧放電ランプLaを絶縁破壊に至らしめて始動するものである。
【0006】
また、イグナイタ20は、図12に示すように高圧放電ランプLaが着脱自在に装着されるソケットと一体に構成されており、内部にイグナイタ20を配置した合成樹脂製のソケット本体23を備えて、ソケット本体23の前面には略円形のソケット開口部24と、ソケット開口部24の内側略中央に突出した略円筒形の筒部25とが形成されており、この筒部25の内側にランプ口金の中央電極部(図示せず)と接触導通するランプ口金電極端子T4(図11参照)が収納されている。さらに、ランプ口金の外周面に設けられた外側電極部(図示せず)と接触導通する複数の外側電極T5(図11参照)がソケット開口部24の内側に取り付けられており、ランプ口金をソケット開口部24に挿入すると、イグナイタ20と高圧放電ランプLaとが電気的且つ機械的に接続される。また、ソケット本体23はしばしばノイズ抑制のために金属ケース(図示せず)で覆われる場合がある。
【0007】
そして、上記部品以外に、保護用の抵抗、ツェナダイオード、ノイズフィルター用コンデンサ、チョークコイル等が用いられることもあり、これらのイグナイタ20の部品をソケット本体23内に収納し、且つソケットの一層の小型化、薄型化を実現するには、部品として大きな割合を占めるパルストランスPT(電磁装置)の小型化が大きな条件となっていた。
【0008】
ところで、特許文献1には、パルストランスPTのより小型化、薄型化を狙った提案がされている。特許文献1に記載されている従来例1は、図13に示すように、ロッド型の磁気コア1に抵抗率(固有抵抗)が大きいNi−Znフェライト材を用い、このコア1に直接、平角導線を一層にエッジワイズ巻して(厚みの薄い箔状の平角導線をその幅広の面が対向するように巻回する)2次巻線2bを形成したものである。平角導線のエッジワイズ巻による巻線占積率の向上に加えて、磁気コア1と2次巻線2bとの間にコイルボビン等の絶縁物が不要となって、より小型、薄型を追求したパルストランスPTとなっている。さらに、高耐圧被覆を有する1次巻線2aを、2次巻線2b上の低圧側に寄せて巻装しており、1次巻線2aと2次巻線2bとの間の絶縁を確保している。また、図14はこの従来例1のパルストランスPTを用いた自動車用ヘッドライト向けソケット内蔵型イグナイタの部品配置図を示しており、ソケット本体23の内部にコンデンサC1、放電ギャップGAP、パルストランスPTが収納されて、その回路構成は図11で示される。
【0009】
近年、HIDランプを用いた自動車用ヘッドライトは、環境負荷を軽減するという立場から、無水銀化が進みつつある。ここで、無水銀のHIDランプは従来の水銀入りランプよりも低ランプ電圧、高ランプ電流となるランプ特性を有しており、例えば、図11に示した回路構成のイグナイタではパルストランスPTの2次巻線2bにランプ電流が流れるので、従来の2倍程度のランプ電流が流れた場合、2次巻線2bの抵抗成分による温度上昇、効率低下を引き起こすため、より低い巻線抵抗値を有するパルストランスPTが要望されていた。
【0010】
ここで、図13に構造を示す平角導線を用いた従来のパルストランスPTの場合、2次巻線2bの抵抗値を低下させるために2次巻線2bの平角導線の断面積を増加させる方法として、平角導線の厚みを厚くする方法と、巾を広げる方法とが考えられる。平角導線の厚みを厚くする場合は、パルストランスPTが長手方向に非常に長くなることを意味しており、例えば、2次巻線2bの抵抗値を1/3程度にしようとすると、パルストランスPTの長さが2倍以上となり、図14に示すソケット本体23の内部に入らなくなる。
【0011】
また、平角導線の巾を広げる場合は、平角導線の曲率の限界(平角導線がコアに巻装されたときに内周に対する外周の伸び率が大きくなり過ぎると、外周部の絶縁皮膜が劣化し、絶縁性能が低下する)から、平角導線の巾を広くすることは実質不可能である。このように従来例1においては、ソケットに入る小型のイグナイタで、無水銀のHIDランプに対応できるように巻線の低抵抗値化を図ることは困難であった。
【0012】
次にパルストランスPTの巻線抵抗値を下げる他の方法として、磁気コアを閉磁路構成とし、磁気コアの結合を向上させて漏れ磁束を抑制することにより、巻線の巻き数を減少させて巻線抵抗値を下げる方法があり、特許文献2に示される図15(a),(b),(c),図16(a),(b)の構成を従来例2として示す。図15(a),(b),(c)はそれぞれ従来例2によるパルストランスの一実施の形態を示す平面図、正面図、側面図である。また、図16(a)はこのパルストランスの縦断面図、同図(b)は同図(a)のE−E断面図である。
【0013】
図15(a),(b),(c),図16(a),(b)において高電圧パルスを出力する2次巻線2bは平角導線を断面が略長円形の筒状をなすように巻かれている。2次巻線2bを覆って取付けられている絶縁カバー30は樹脂製で、断面形状が略長円形の筒状を成している。絶縁カバー30の両端には2次巻線2bの端子台31a、31bが一体に形成され、これらの端子台31a,31bには2次巻線2bの両端を接続する端子32,33が固定される。
【0014】
2次巻線2bの外周には平角導線でなる1次巻線2aが、絶縁上の安全性の向上を図るため、絶縁カバー30の巻芯方向の中央より端部側に巻装される。すなわち、2次巻線2bの1次巻線2a側が2次巻線2bの低圧側となる。
【0015】
筒状の絶縁カバー30の外周には、1次巻線2aの巻き位置および端末引き出しのための位置決め用ガイド34を突出して一体に設けている。
【0016】
図16(a)において、磁気コア1は2次巻線2bとして巻かれたコイルに挿入された棒状コアである。磁気コア1は、断面形状が2次巻線2bのコイルの内周形状よりわずかに小さい略長円形をなす。磁気コア1として高抵抗のフェライトコアを用いることにより、2次巻線2bとの間に絶縁物を介せずに直接組み込むことができる。
【0017】
コの字状の磁気コア4’は、磁気コア1の長手方向の面に対向した面4a’と、磁気コア1の長手方向の両端面に各々対向した面4b’,4c’とを有するコの字形状であり、面4b’,4c’で棒状の磁気コア1の両端から磁気コア1を挟むように絶縁材35を介して取り付けられて閉磁路の磁気回路を構成している。
【0018】
なお、絶縁カバー30と磁気コア1との間は接着剤(図示なし)により固定され、さらに一般的には、1次巻線2aの端末や2次巻線2bの端子32,33以外の部分は樹脂(図示なし)によりモールドされる。
【0019】
【特許文献1】
特開2002−93635号公報(第5頁、図18)
【特許文献2】
特開2000−36416号公報(第3〜4頁、図2)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところが上記従来例2では、磁気コア1,4’の結合を向上させて漏れ磁束を抑制することができ、同程度のパルス電圧ピーク値を得るのに2次巻線2bの巻数を低減できるという利点があるが、コの字状の磁気コア4’が追加されたことで電磁装置(パルストランス)が大型化するという問題や、磁気コア1,4’の結合が向上した分、パルス電圧の立ち上がりが急峻となりパルス巾が小さくなるという問題がある。高圧放電ランプLaを始動、再始動させるのに必要な高電圧パルスはピーク値のみでなく、パルス巾も含めたパルスエネルギで決まるので、従来例2のような構成では結果的に同等の出力パルスエネルギを維持して2次巻線2bの巻数を低減することは困難である。
【0021】
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、小型で、良好な出力特性を有し、さらに2次巻線の抵抗値が小さい電磁装置及び高電圧発生装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、棒状の第1の磁気コア、平角導線を第1の磁気コアに略当接して巻装した2次巻線、及び2次巻線の上に巻装した1次巻線からなる電磁部材と、前記電磁部材の長手方向の面に対向した面を有する第2の磁気コアと、第2の磁気コアを第1の磁気コアの長手方向に分割する1乃至複数のギャップ部を設けて1次巻線並びに2次巻線の全てと鎖交する第1の磁束と、全ての1次巻線並びに少なくとも1次巻線と重なる一部の2次巻線と鎖交する第2の磁束と、1次巻線と重ならない一部の2次巻線と鎖交する第3の磁束とを形成してなることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、第1の磁束と第2の磁束が、電磁装置の等価回路における理想トランスの結合比(結合定数)を増大することでパルス電圧のピーク値の上昇と、負荷である高圧放電灯の絶縁破壊直後の電流を増大させて立ち消えを起こし難くすることができ、また、第3の磁束は、等価回路において限流要素となる2次側漏れインダクタンスの値を増大させることでパルス電流を減少させてパルス電圧の立ち上がりを緩やかにし、パルス巾を大きくすることができるから、大型化を抑制した上で従来と同等以上のパルス出力特性を有し、且つ2次巻線の抵抗値が小さくなる電磁装置が提供できる。
【0024】
請求項2の発明は、上記目的を達成するために、棒状の第1の磁気コア、平角導線を第1の磁気コアに略当接して巻装した2次巻線、及び2次巻線の上に巻装した1次巻線からなる電磁部材と、前記電磁部材の長手方向の面に対向した面を有する第2の磁気コアと、1次巻線と重ならない2次巻線を第1の磁気コアの長手方向に分割する1乃至複数のギャップ部を設けて1次巻線並びに2次巻線の全てと鎖交する第1の磁束と、全ての1次巻線並びに少なくとも1次巻線と重なる一部の2次巻線と鎖交する第2の磁束と、1次巻線と重ならない一部の2次巻線と鎖交する第3の磁束とを形成してなることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、第1の磁束と第2の磁束が、電磁装置の等価回路における理想トランスの結合比(結合定数)を増大することでパルス電圧のピーク値の上昇と、負荷である高圧放電灯の絶縁破壊直後の電流を増大させて立ち消えを起こし難くすることができ、また、第3の磁束は、等価回路において限流要素となる2次側漏れインダクタンスの値を増大させることでパルス電流を減少させてパルス電圧の立ち上がりを緩やかにし、パルス巾を大きくすることができるから、大型化を抑制した上で従来と同等以上のパルス出力特性を有し、且つ2次巻線の抵抗値が小さくなる電磁装置が提供できる
【0026】
請求項の発明は、上記目的を達成するために、請求項1又はに記載された電磁装置からなるパルストランスと、パルストランスの1次巻線に並列接続されたコンデンサと、コンデンサから1次巻線への放電経路を開閉するスイッチ要素と、少なくとも前記パルストランス、コンデンサ、スイッチ要素を収容する装置本体とを備え、この装置本体に放電ランプのランプ口金が電気的且つ機械的に接続されるソケット部を設け、このソケット部を介して前記パルストランスの2次巻線に発生する高電圧パルスをランプ口金に印加することを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、電磁装置の大型化を抑制した上で従来と同等以上のパルス出力特性を有し、且つ2次巻線の抵抗値が小さくなる高電圧発生装置が提供できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本実施形態の電磁装置(パルストランスPT)は、図1に示すように棒状の磁気コア1(第1の磁気コア)、平角導線を磁気コア1に略当接して一層にエッジワイズ巻で巻装した2次巻線2b、及び高耐圧被覆を有して2次巻線2bの上に巻装した1次巻線2aからなる電磁部材Aと、フェライトによって平板状に形成され、磁気コア1の長手方向(軸方向)の面(周面)に対向して一列に配置される一対の磁気コア4(第2の磁気コア)4a,4bとを備える。1次巻線2aは、2次巻線2b上の低圧側に寄せて巻装されており、1次巻線2aと2次巻線2bとの間の絶縁を確保して、従来例1と同様の絶縁性能を有している。そして、磁気コア1として高抵抗のフェライトコアを用いることにより、2次巻線2bとの間に絶縁物を介せずに直接組み込むことができる。さらに、一方の磁気コア4bが1mm程度のギャップを介して概ね1次巻線2aに対向する位置に配置され、他方の磁気コア4aが同じく1mm程度のギャップを介して概ね2次巻線2bの高圧側の出力端T2を含む2次巻線2bのみに対向する位置に配置されている。
【0029】
次に、本実施形態のパルストランスPTと、図3に示すような従来例2の構造を有するパルストランスPT’との出力特性を比較した実験結果について説明する。この実験では、本実施形態のパルストランスPT及び従来例2の構造を有するパルストランスPT’として、磁気コア1を直径7mm,長さ30mmのNi−Znフェライトとし、1次巻線2aの巻数(1次巻数)N1は4ターン、2次巻線2bの巻数(2次巻数)N2は180ターンとし、平角導線は厚み120μm,巾1.5mmとしたものを用いた。なお、このときの2次巻線2bの抵抗値は0.5Ω程度であった。また、従来例2の構造を有するパルストランスPT’では、磁気コア4’を直径7mm相当のコア断面を有するNi−Znフェライトからなるコの字状とし、磁気コア1の端面と、磁気コア1の長手方向の両端面に各々対向した磁気コア2の面4b’,4c’との間のギャップが各々1.5mmずつのものを用いた。一方、本実施形態のパルストランスPTでは、磁気コア4a,4bをそれぞれ磁気コア1の断面積のおよそ半分の断面積を有し10mm×15mm×2mm寸法の矩形平板状に形成されたNi−Znフィライトとし、磁気コア1との対向距離(ギャップ)を5mmとり、2つの磁気コア4a,4bを1mmのギャップ(ギャップ部)G1を設けて一列に配置したものを用いた。
【0030】
まず、パルストランスPT,PT’の1次巻線2aへの入力電圧を800Vとしたとき、従来例2における2次巻線2bでのパルス出力電圧特性は、パルスピーク電圧Vopが35KV程度、パルスの立ち上がりが350kV/μsで半値巾τが150ns程度であった。
【0031】
これに対して、本実施形態においては、パルスピーク電圧Vopが32KV程度、パルスの立ち上がりが200kV/μsで半値巾τが180ns程度となり、パルスピーク電圧Vopは従来例2と比べて若干低いが高圧放電ランプLaを絶縁破壊させるには充分値であり、且つパルスの立ち上がり及び半値巾τについては、従来例2と比べて立ち上がりが緩やかで半値巾τも大きくなっており、高圧放電ランプLaを始動及び再始動させるのに充分なパルスエネルギを持つことが確認された。
【0032】
すなわち、本実施形態においては、図1(b)に示すように1次巻線2aに電流を流したときに、磁気コア1の一端から出て磁気コア4a,4bを通過した後に他端に戻ることで1次巻線2a並びに2次巻線2bの全てと鎖交する第1の磁束φ1と、磁気コア4bの一端から出て磁気コア1を通過した後にギャップG1を介して他端に戻ることで全ての1次巻線2a並びに少なくとも1次巻線2aと重なる一部の2次巻線2bと鎖交する第2の磁束φ2と、磁気コア4aの一端から出てギャップG1を介して磁気コア1を通過した後に他端に戻ることで1次巻線2aと重ならない一部の2次巻線2bと鎖交する第3の磁束φ3とが発生することになる。ここで、本実施形態のパルストランスPTの出力時における等価回路は、図2に示すように理想トランスTaの2次側に2次側漏れインダクタンスL2pと2次側浮遊容量Cpが直列に接続された回路で表される。第1の磁束φ1と第2の磁束φ2は、等価回路における理想トランスTaの結合比(結合定数)を増大することでパルス電圧のピーク値の上昇と、高圧放電ランプLaの絶縁破壊直後の電流を増大させて立ち消えを起こし難くすることができる。また、第3の磁束φ3は、等価回路において限流要素となる2次側漏れインダクタンスL2pの値を増大させることでパルス電流を減少させてパルス電圧の立ち上がりを緩やかにし、パルス巾(半値巾τ)を大きくすることができる。
【0033】
一方、従来例2の構造を有するパルストランスPT’では、図3に示すように1次巻線2aに流れる電流で生じた磁束φ’は磁気コア1,4’を通って1次巻線2a及び2次巻線2bの全てと鎖交し、本実施形態のように2次巻線2bの一部のみと鎖交する第3の磁束φ3が生じない。このため、等価回路における2次側漏れインダクタンスL2pの値が小さく、パルス電圧の立ち上がりが急峻になるとともにパルス巾が小さくなったものと考えられる。
【0034】
上述のように本実施形態では、2次巻線2bの抵抗値を0.5Ω程度と非常に小さくしてもパルスピーク電圧Vop及びパルス巾を大きくしてパルス出力特性を高くすることができる。また、磁気コア4a,4bを薄い板状に形成しているから、従来例2におけるコの字状の磁気コア4’に比べて小さいコア形状、つまり、より小さいトランスサイズで高い出力特性が得られる。したがって、本実施形態のパルストランスPTは、大型化を抑制した上で従来と同等以上のパルス出力特性を有し、且つ2次巻線2bの抵抗値が小さくなるものである。
【0035】
ところで、2次巻線2bの絶縁を補償するため、図4に示すように電磁部材Aのみを合成樹脂の成型品3でモールドするようにしても構わない。この場合、第2の磁気コア4a,4bは成型品3の外側に配置されるが、成型品3が膨張や収縮してもストレスを受け難く、従来例2よりも厚みを薄くすることが可能である。なぜなら、従来例2のようなコの字状の磁気コア4’では、図15に示すように棒状の第1の磁気コア1が絶縁材35を介して第2の磁気コア4’で挟まれた構造のため、第1の磁気コア1の長手方向に沿った絶縁材35の膨張、収縮のストレスが第2の磁気コア4’にかかって割れやすく、厚みを厚くしなければならなかったからである。
【0036】
なお、本実施形態では第2の磁気コア4をギャップG1を介して2つに分割しているが、磁気コア4の形状や分割数、並びにギャップG1の数はこれらに限定されるものではない。例えば、図5に示すように第2の磁気コア4を2つのギャップG1,G2によって3つの磁気コア4a,4b,4cに分割すれば、2次巻線2bの一部のみに鎖交する第3の磁束φ3がさらに増えてパルス巾をより大きくすることができるという利点がある。
【0037】
(実施形態2)
実施形態1では第2の磁気コア4にギャップG1を設けて2つの磁気コア4a,4bに分割しているが、本実施形態の電磁装置(パルストランスPT)は、2次巻線2bにギャップG2を設けて分割している点に特徴がある。但し、実施形態1と共通の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0038】
本実施形態における電磁部材Aは、図6に示すように第1の磁気コア1の長手方向中央部に平角導線が巻装されないギャップG2が設けてあり、このギャップG2から低電圧側の2次巻線2b1上に1次巻線2aが巻装されている。その代わり、第2の磁気コア4はギャップを設けずに第1の磁気コア1の長手寸法とほぼ同じ寸法の矩形板状に形成されている。
【0039】
図6に示すように本実施形態においても実施形態1と同様に、1次巻線2aに電流を流したときに、磁気コア1の一端から出て磁気コア4を通過した後に他端に戻ることで1次巻線2a並びに2次巻線2b1,2b2の全てと鎖交する第1の磁束φ1と、磁気コア1の中央部(ギャップG2に対応する部位)から出て磁気コア4を通過した後に他端に戻ることで全ての1次巻線2a並びに2次巻線2 1 と鎖交する第2の磁束φ2と、磁気コア1の一端から出て磁気コア4を通過した後にギャップG2を介して中央部に戻ることで高圧側の2次巻線2b2と鎖交する第3の磁束φ3とが発生することになる。よって、本実施形態のパルストランスPTも実施形態1と同様に、大型化を抑制した上で従来と同等以上のパルス出力特性を有し、且つ2次巻線2bの抵抗値が小さくなるものである。
【0040】
なお、図7に示すように2次巻線2b1,2b2の間に設けたギャップG2に絶縁性を有する合成樹脂成型品からなるスペーサSを配設すれば、2次巻線2b1,2b2の位置ずれが抑制でき、特性のばらつきを抑えることができるという利点がある。
【0041】
あるいは、図8に示すように磁気コア1の中央部にフランジ1aを突設し、このフランジ1aを挟んで低圧側と高圧側にそれぞれ2次巻線2b1,2b2を巻装することにより、2つの2次巻線2b1,2b2の間のギャップG2をフランジ1aで埋めるようにしても構わない。このような構成とすれば、実施形態1や2に対して第2及び第3の磁束φ2,φ3を増大させることができ、パルス出力特性をさらに向上することができる。また、2次巻線2b1,2b2の位置ずれが抑制でき、特性のばらつきを抑えることができるとともに、スペーサSのような別部材が不要であるから組立作業が簡単であるという利点もある。
【0042】
(実施形態3)
図9及び図10は、実施形態1の図4に示すパルストランスPT(電磁装置)を用いた自動車用ヘッドライト向けソケット内蔵型イグナイタ(高電圧発生装置)の部品配置図を示しており、ソケット本体(装置本体)23の内部にコンデンサC1、放電ギャップGAP、パルストランスPTが収納されて、その外形及び回路構成は従来例同様に図11及び図12で示される。
【0043】
本実施形態では、パルストランスPTの一端側に、1次巻線2aの高圧側端末に接続した端子T10、1次巻線2aの低圧側端末に接続した端子T11、2次巻線2bの低圧側端末に接続した端子T12を備え、パルストランスPTの他端側には、2次巻線2bの高圧側端末T2に接続したランプ口金電極端子T4を備えている。端子T10〜T12はソケット本体23の内部でコンデンサC1や放電ギャップGAPに接続され、ランプ口金電極端子T4はソケットに装着された高圧放電ランプLaのランプ口金と接続されるものである。
【0044】
したがって、配線は端子間で行うことができるので、高電圧発生装置の配線、組み立てが容易となり、さらにはコンデンサC1,放電ギャップGAP,パルストランスPT間の絶縁を考慮した実装も容易となる。
【0045】
また、ソケット本体23の前面には略円形のソケット開口部24と、ソケット開口部24の内側略中央に突出した略円筒形の筒部25とが形成されており(図10参照)、この筒部25の内側にランプ口金の中央電極部(図示せず)と接触導通するランプ口金電極端子T4が収納されている。さらに、ランプ口金の外周面に設けられた外側電極部(図示せず)と接触導通する複数の外側電極T5がソケット開口部24の内側に取り付けられており、ランプ口金をソケット開口部24に挿入すると、高電圧発生装置と高圧放電ランプとが電気的且つ機械的に接続される。
【0046】
なお、ソケット本体23はノイズ抑制のために金属製のケース30で覆われるが、本実施形態の電磁装置(パルストランスPT)の場合、第2の磁気コア4a,4bの影響による漏れ磁束がソケット本体23の外に漏れるのをケース30で抑制することができ、パルス出力特性の劣化が防止できるという利点がある。
【0047】
【発明の効果】
請求項1又は2の発明によれば、第1の磁束と第2の磁束が、電磁装置の等価回路における理想トランスの結合比(結合定数)を増大することでパルス電圧のピーク値の上昇と、負荷である高圧放電灯の絶縁破壊直後の電流を増大させて立ち消えを起こし難くすることができ、また、第3の磁束は、等価回路において限流要素となる2次側漏れインダクタンスの値を増大させることでパルス電流を減少させてパルス電圧の立ち上がりを緩やかにし、パルス巾を大きくすることができるから、大型化を抑制した上で従来と同等以上のパルス出力特性を有し、且つ2次巻線の抵抗値が小さくなる電磁装置が提供できる。
【0048】
また請求項の発明によれば、電磁装置の大型化を抑制した上で従来と同等以上のパルス出力特性を有し、且つ2次巻線の抵抗値が小さくなる高電圧発生装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の電磁装置を示し、(a)は正面図、(b)は断面図である。
【図2】同上の等価回路を示す回路図である。
【図3】従来例2の構造を有する電磁装置の断面図である。
【図4】同上の他の構成を示す断面図である。
【図5】同上のさらに他の構成を示す断面図である。
【図6】実施形態2の電磁装置を示す断面図である。
【図7】同上の他の構成を示す断面図である。
【図8】同上のさらに他の構成を示す断面図である。
【図9】実施形態3のソケット内蔵型イグナイタの部品配置を示す図である。
【図10】同上の部品配置を示す図である。
【図11】ソケット内蔵型イグナイタの回路図である。
【図12】ソケット内蔵型イグナイタの外観図である。
【図13】同上の構造を示す図である。
【図14】従来例1のソケット内蔵型イグナイタの部品配置を示す図である。
【図15】(a),(b),(c)は従来例2を示す平面図、正面図、側面図である。
【図16】(a),(b)は同上の縦断面図、及びE−E断面図である。
【符号の説明】
PT パルストランス
A 電磁部材
1 第1の磁気コア
2a 1次巻線
2b 2次巻線
4a,4b 第2の磁気コア
G1 ギャップ
φ1 第1の磁束
φ2 第2の磁束
φ3 第3の磁束

Claims (3)

  1. 棒状の第1の磁気コア、平角導線を第1の磁気コアに略当接して巻装した2次巻線、及び2次巻線の上に巻装した1次巻線からなる電磁部材と、前記電磁部材の長手方向の面に対向した面を有する第2の磁気コアと、第2の磁気コアを第1の磁気コアの長手方向に分割する1乃至複数のギャップ部を設けて1次巻線並びに2次巻線の全てと鎖交する第1の磁束と、全ての1次巻線並びに少なくとも1次巻線と重なる一部の2次巻線と鎖交する第2の磁束と、1次巻線と重ならない一部の2次巻線と鎖交する第3の磁束とを形成してなることを特徴とする電磁装置。
  2. 棒状の第1の磁気コア、平角導線を第1の磁気コアに略当接して巻装した2次巻線、及び2次巻線の上に巻装した1次巻線からなる電磁部材と、前記電磁部材の長手方向の面に対向した面を有する第2の磁気コアと、1次巻線と重ならない2次巻線を第1の磁気コアの長手方向に分割する1乃至複数のギャップ部を設けて1次巻線並びに2次巻線の全てと鎖交する第1の磁束と、全ての1次巻線並びに少なくとも1次巻線と重なる一部の2次巻線と鎖交する第2の磁束と、1次巻線と重ならない一部の2次巻線と鎖交する第3の磁束とを形成してなることを特徴とする電磁装置
  3. 請求項1又は2に記載された電磁装置からなるパルストランスと、パルストランスの1次巻線に並列接続されたコンデンサと、コンデンサから1次巻線への放電経路を開閉するスイッチ要素と、少なくとも前記パルストランス、コンデンサ、スイッチ要素を収容する装置本体とを備え、この装置本体に放電ランプのランプ口金が電気的且つ機械的に接続されるソケット部を設け、このソケット部を介して前記パルストランスの2次巻線に発生する高電圧パルスをランプ口金に印加することを特徴とする高電圧発生装置。
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