JP2004207375A - 放電灯点灯装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】同一の巻線工程で一次巻線と二次巻線を連続的に巻回することができ、生産性が向上し、コスト低減を図ることができると共に、定常点灯時のバルブ電圧が低く、電流が大きな放電灯点灯装置を得ることにある。
【解決手段】高電圧発生トランス1を備えた放電灯点灯装置において、前記高電圧発生トランス1の一次巻線5aまたは6aと二次巻線5bまたは6bとを1本の同一線材5または6で構成し、その二次巻線5bまたは6bの外側に一次巻線5aまたは6aを密着させて巻回して高電圧発生トランス1を構成したものである。
【選択図】 図1
【解決手段】高電圧発生トランス1を備えた放電灯点灯装置において、前記高電圧発生トランス1の一次巻線5aまたは6aと二次巻線5bまたは6bとを1本の同一線材5または6で構成し、その二次巻線5bまたは6bの外側に一次巻線5aまたは6aを密着させて巻回して高電圧発生トランス1を構成したものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車の前照灯として用いる放電灯を点灯させるための放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車等の車両用前照灯として高輝度放電灯(HIDバルブ)が普及しており、その点灯装置として、高電圧発生トランスが適用されていることは既に知られている。このような従来の放電灯点灯装置においては、高電圧発生トランスの一次巻線および二次巻線として断面円形の線材(以下、丸線という)を使用している(例えば、特許文献1参照)ものと、平角導線を使用している(例えば特許文献2参照)ものとがある。
【0003】
【特許文献1】
国際特許公開番号 WO 00/64221号
【特許文献2】
特開2002−93635
【0004】
特許文献1に記載された従来の放電灯点灯装置では、線径が異なる2本の丸線を使用し、その小径(例えば、φ0.3mm)の丸線を二次巻線とし、大径(例えば、φ0.5mm)の丸線を一次巻線としている。ここで、前記二次巻線は定常点灯電圧85VのHIDバルブ用の巻線を想定し、バルブ電流を0.4Aとすることでφ0.3を選定し、高電圧パルス発生時の大きな一次電流用にφ0.5を選定することによって、上記サイズの丸線でも水銀使用の高輝度ランプでは充分な放電特性が得られるというものである。
【0005】
特許文献2に記載された従来の放電灯点灯装置では、一次巻線および二次巻線としてそれぞれ異なる平角導線を使用し、その平角導線をエッジワイズ巻して1層の二次巻線を形成し、その二次巻線の低電圧部分に一次巻線を巻き込んだトランス構成としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の放電灯点灯装置は以上のように構成されているので、特許文献1の場合、一次巻線と二次巻線とでは線径が異なる別々の丸線を使用していることにより、一次巻線の巻き工程と二次巻線の巻き工程とを別工程としなければならず、このため、生産性が悪く、コスト高になるという課題があった。特に、近年は、環境問題の点から水銀不使用のHIDバルブが実用化されているが、水銀不使用のHIDバルブは、水銀使用のHIDバルブに比して定常点灯時のバルブ電圧が低く(例えば、定常点灯電圧42V)、バルブ電流が大きい(例えば、バルブ電流0.8Aであって従来の水銀使用のHIDバルブのバルブ電流0.4Aに比して倍である)ため、高電圧発生トランスの直流抵抗を小さく下げるという課題があった。
【0007】
特許文献2の場合、一次巻線と二次巻線とでは互いに分離された異なる平角導線を用いており、しかも、平角導線を1層にエッジワイズ巻して二次巻線とし、この二次巻線の低電圧部分に別の平角導線からなる一次巻線を巻き込んでいるため、トランス外径は細くなるが、軸方向には長いトランス構成となり、このため、トランス全体を小型化することが極めて困難という課題があった。また、上述のように、エッジワイズ巻された二次巻線の低電圧部分に一次巻線を巻き込むという巻き方では、エッジワイズ巻された二次巻線の巻線間にさらに別の一次巻線を挟み込みエッジワイズ巻とすることは極めて困難である。このため、二次巻線とは別の一次巻線を用意し、二次巻線の巻回途中で二次巻線と一次巻線を面接触状態に重ねて同時巻回せざるを得ず、このように2本の平角導線を同時巻回する巻線機は構造が複雑となり、しかも、巻線作業が煩雑となることから巻線作業時間が長くなって製造コストが高くなるという課題があった。
【0008】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、同一の巻線工程で一次巻線と二次巻線を連続的に巻回することができ、生産性が向上し、コスト低減を図ることができると共に、定常点灯時のバルブ電圧が低く、電流が大きな放電灯点灯装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る放電灯点灯装置は、HIDバルブに流す電流に対応する充分に直流抵抗の低い巻線を用い、高電圧発生トランスの一次巻線と二次巻線を1本の同一線材で構成し、その二次巻線の外側に一次巻線を密着させて巻回したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による放電灯点灯装置が備える高電圧発生トランスを一部切欠して示す側面図、図2は図1中のボビン2の要部を示す斜視図、図3は図2のボビン2に対する巻線巻回要領を説明するための斜視図である。
図1に示す高電圧発生トランス1は絶縁性のボビン2を備えている。このボビン2は、軸方向の貫通孔を有する巻線巻回用の軸部(以下、巻線軸部という)20と、この巻線軸部20の一端部に一体形成されたHIDバルブ装着用のコネクタ部21と、前記巻線軸部20の他端部に一体形成された円形状のフランジ部22とを有している。また、前記巻線軸部20には、巻線の巻回領域を高電圧側のセクションAと低電圧側のセクションBとに仕切り形成する円形フランジ状の隔壁23が一体形成されている。
【0011】
ここで、前記コネクタ部21は、HIDバルブの基部を収容する外筒部21aと、HIDバルブの高電圧端子が嵌め込まれる内筒部21bとから構成されている。そして、前記巻線軸部20の貫通孔には磁気コア3と後述する出力端子4が挿着され、その出力端子4における前記高電圧端子の接続部が前記内筒部21b内に収容されている。
【0012】
以上のように構成されたボビン2の巻線軸部20に一次巻線5aと二次巻線5bが巻回されている。その一次巻線5aと二次巻線5bは、断面円形で全長に亘って同一線径の連続した1本の同一線材(丸線)5からなっているもので、その巻回方法については後述する。
【0013】
次に、前記隔壁23の詳細な構成を図2および図3に基づいて説明する。円形フランジ状の隔壁23において、低電圧側のセクションB側の面には、隔壁23の外周面の一部から巻線軸部20の方向に延びる径方向溝24が形成されている。また、前記隔壁23における前記径方向溝24の近傍には、隔壁23の外周面の肉厚幅内に部分的に開口し且つ巻線軸部20の方向に延びて前記径方向溝24全体に連通する径方向のスリット25が形成されている。それらの径方向溝24とスリット25は、高電圧側セクションAに巻回された二次巻線5bを低電圧側セクションBの巻線軸部20に向かって引き回すための二次巻線5bの渡り線5cを収めるためのものである。
【0014】
前記隔壁23の外周面において、前記径方向溝24およびスリット25が開口していない領域には一次巻線5aを納めるための周方向溝26が形成され、また、前記スリット25の外向き開口部における前記径方向溝24と反対側の開口端部近傍には渡り線引掛用の第1の突起27が一体形成されている。さらに、前記隔壁23の外周面には、径方向溝24側に位置して低電圧側のセクションB側から一次巻線5aを前記周方向溝26に引き入れるための第2の突起28と、前記突起27の近傍に離間位置して前記周方向溝26から一次巻線5aを引き出すための第3の突起29が一体形成されている。
【0015】
次に、巻線の巻回について説明する。まず、ボビン2の高電圧側セクションAの巻線軸部20に二次巻線5bを巻回積層する。そして、高電圧側セクションAに二次巻線5bを所定の積層段数まで巻回したならば、その積層外径側の二次巻線5bを第1の突起27に引っ掛けて渡り線5cとし、その渡り線5cをスリット25内に納めながら渡り線5c以降の二次巻線5bを径方向溝24から低電圧側セクションB側に引き出して巻線軸部20に巻回積層していく。そして、低電圧側セクションBに二次巻線5bを所定の積層段数まで巻回したならば、二次巻線の終端5bb(6bb)として外部に引き出し、折り返して、再び、先に巻回した二次巻線5bの上に巻回することによって、その二次巻線5bに連続した同一線材5からなる一次巻線5aを積層外径側の二次巻線5bの外側に密着させて巻回する。引き出し、折り返した端子は図8の巻き終り5aa(6aa)と巻き始め5ab(6ab)となる。次いで、その密着巻回以降の一次巻線5aを図3に示すように隔壁23外周の第2の突起28に引っ掛けて周方向溝26に掛け回し収納させた後、第3の突起29に引っ掛けて引き出すことにより、高電圧発生トランス1が完成する。なお、巻線軸部20の片方端部のフランジ部22には、二次巻線5bの巻き始め端部側を出力端子4との接続方向に引き出すための径方向切欠部22a(図2、図3参照)が設けられている。
【0016】
以上説明した実施の形態1によれば、HIDバルブに通電する電流に対し充分低い直流抵抗となる太目の二次巻線と高電圧パルス発生時に通電する大電流を流し得る細目の一次巻線を同時に満し、共用できる線径の線材によって、高電圧発生トランス1の一次巻線5aと二次巻線5bを断面円形の1本の同一線材5で形成し、二次巻線5bの外側(二次巻線5bの電圧が低い部分)に一次巻線5aを密着させて巻回するように構成したので、同一の巻線工程で一次巻線5aと二次巻線5bを連続的に巻回することができ、このため、生産性が向上し、製造コストの低減が図れるという効果がある。
【0017】
また、上記実施の形態1によれば、ボビン2の巻線軸部20に、巻線領域を高電圧側セクションAと低電圧側セクションBとに分割する円形フランジ状の隔壁23を設け、この隔壁23には、高電圧側セクションAからの二次巻線5bの渡り線5cを納めるスリット25と、このスリット25に納めた渡り線5c以降の二次巻線5bを低電圧側セクションBに引き出す径方向溝24とを形成するように構成したので、高電圧を発生する二次巻線5bの中で最も線間電圧が高くなる前記両セクションA、B間の渡り線5cに、印加される高電圧によって二次巻線5bの線間に生じる絶縁破壊を回避することができるという効果がある。
【0018】
さらに、上記実施の形態1によれば、隔壁23の外周面に低電圧側セクションBからの一次巻線5aを引き回し収納するための周方向溝26を形成するように構成したので、一次巻線5aを高電圧側の二次巻線5bに近づけて配置することができ、このため、一次巻線5aが高電圧側の二次巻線5bにまで及ぼす電気的結合を強めることができるという効果がある。
【0019】
すなわち、高電圧発生トランス1においては、一次巻線5aと二次巻線5bとの線間の電気的結合が大きい程、HIDバルブを点灯させるエネルギの伝達が大きくなるため、高電圧発生トランス1として好ましいものとなる。然るに、前記両セクションA、B間の隔壁23に引き回し用スリット25と径方向溝24を設けた前記隔壁23は、肉厚分だけ高電圧側セクションAの二次巻線5bと低電圧側セクションBの一次巻線5aとが遠ざかるため、この場合、低電圧側の直上だけに巻回された一次巻線5aでは、高電圧側の二次巻線5bにまで強い電気的結合を及ぼすことができない。
【0020】
そこで、上記実施の形態1では、隔壁23の外周に径方向に凹んだ溝26を設け、この溝26に一次巻線5aを巻回し収納する構成としたことにより、上述のように、一次巻線5aを高電圧側の二次巻線5bに近づけて配置することができるため、その一次巻線5aが高電圧側の二次巻線5bにまで及ぼす電気的結合を高めることができて良好なイグナイタ特性を得ることができるという効果がある。
【0021】
さらに、上記実施の形態1によれば、隔壁23の外周に第1〜第3の突起27〜29を設けるように構成したので、高電圧側セクションAからの二次巻線5bのスリット25に対する渡り線5cの引き回し収納、および、低電圧側セクションBからの一次巻線5aの周方向溝26に対する引き回し収納を容易かつ確実に行うことができるという効果がある。
【0022】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスを一部切欠して示す側面図、図5は図4の斜視図であり、図1から図3と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
この実施の形態2では、1本の平角導線6をトラバース巻きして高電圧発生トランス1を構成したものである。
【0023】
さらに詳しく述べると、この実施の形態2では、高電圧発生トランス1の一次巻線6aと二次巻線6bとを連続形成する同一線材として1本の薄い平角導線6を使用し、この平角導線6を巻回するボビン2は1セクションの構成としている。そして、平角導線6からなる二次巻線6bをボビン2の巻線軸部20に所定の積層段数までトラバース巻きする。このトラバース巻きとは、前記巻線軸部20上で軸方向に沿って二次巻線6bの幅方向両側縁部が隣り合うように巻回した後、その巻回層上に二次巻線6bを面接触状態に折り返して軸方向に巻回する工程を連続して繰り返すことを言う。
【0024】
そして、前記巻線軸部20上に所定の積層段数(所定の外径部位)まで二次巻線6bをトラバース巻きした後、その最外径側の二次巻線6b上に該二次巻線6bと一連の一次巻線6aを密着状態にトラバース巻きすることで高電圧発生トランス1が完成する。
【0025】
以上説明した実施の形態2によれば、1セクションのボビン2に平角導線6をトラバース巻きするように構成したので、平角導線6の1層あたりの巻回数は少なくなるが、平角導線6の積層厚さは薄くなるため、その積層厚の最外径を細くできて高電圧発生トランス1の全体を小型化できるという効果がある。
【0026】
すなわち、高電圧を発生する高電圧発生トランスの二次巻線を巻回するにあたり、耐電圧の高い線材を用いれば、二次巻線の層間で電圧破壊せずに容易に高電圧を得ることができる。しかしながら、現存の線材では精々4000V程度の耐電圧しかなく、ボビン上で巻線を層状に巻回して折り返すことで、下層の巻線上に上層の巻線を重ね巻きすれば、層間上下の線材には各層巻回数の2倍の電圧が印加され、1巻きあたり200V程度の電圧を発生する高電圧発生トランスにおいては、1層あたり10回しか線材を巻回できない。
【0027】
したがって、上記実施の形態1の場合のように断面円形の線材を用いると、ボビンの1セクションに1層あたり10回しか線材を巻くことができず、その巻回層の最外径を細くするためには、ボビンを幾つかのセクションに分割せざるを得ないが、上記実施の形態2では、平角導線6をトラバース巻きするので、平角導線6の1層あたりの巻回数は少なくなるが、平角導線6の積層厚さは薄くなるため、その積層厚の最外径を細くできて高電圧発生トランス1の全体を小型化できるという効果がある。
【0028】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスを示す斜視図であり、図1から図4と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
この実施の形態3では、上記実施の形態2による1セクションのボビン2の巻線軸部20に径方向外方に延びる突起部20aを一体に設けたものである。すなわち、上記実施の形態2のように、1セクションのボビン2にトラバース巻きした平角導線6は、各積層線材間、および、同一層の隣り合う線材間で接触状態となるため、絶縁用樹脂の注入時にその樹脂が線材間に浸み込み難くなる。
【0029】
そこで、この実施の形態3では、上述のようにボビン2の巻線軸部20に突起部20aを設け、この突起部20aを避けて平角導線6をトラバース巻きするように構成したので、平角導線6の各巻回層間において、前記突起部20aを挟む両側の平角導線6間には隙間Sが発生し、この隙間Sから平角導線6の各巻回層間に絶縁用樹脂が流れ込み易くなり、その各巻回層間に絶縁用樹脂を浸み込ませることができるという効果がある。
【0030】
実施の形態4.
図6はこの発明に実施の形態4による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスを示す斜視図、図7は図6の部分的な要部拡大斜視図であり、図1から図5と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
この実施の形態4では、上記実施の形態2および/または上記実施の形態3によるボビン2の外筒部21aの外側に二次巻線用の端子部材7と一次巻線用の端子部材8を一体に設けたものである。二次巻線巻回用の端子部材7は、ボビン2の巻線軸部20と平行する方向に延びて平角導線6が巻回される段違い棒状の2本以上(図では2本)の端子片部71,72と、二次巻線6bの端子片部73とを一体に有している。一次巻線巻回用の端子部材8は、前記二次巻線巻回用の端子部材7と同一形状に構成されている。したがって、一次巻線巻回用の端子部材8にあっても、前記巻線軸部20と平行する方向に延びる2本以上の端子片部81,82と、一次巻線6aの端子片部83とを一体に有する構成となっている。
【0031】
そして、平角導線6の巻回に際して、二次巻線巻回用の端子部材7においては、図7に示すように、その端子片部71,72のうち、下段側の端子片部71の下側から該端子片部71と上段側の端子片部72との間に平角導線6を巻回した後、その平角導線6を上段側の端子片部72の上側から該端子片部72と下段側の端子片部71との間に通して該端子片部71に巻回して導出している。したがって、平角導線6は端子片部71と72とに跨って略8字形状に巻回されている。これと同様にして、一次巻線巻回用の端子部材8にも平角導線6が巻回されるものである。
【0032】
このように構成した実施の形態4によれば、平角導線6を捻らずに端子部材7に巻回接続することができる。すなわち、平角導線6の巻回にあたり、平角導線6は厚みが薄い方向にしか曲がらず、端子に係止し難いため、平角導線6の巻回作業の弊害となるが、この実施の形態4のように、ボビン2の巻線軸部20と平行する方向に延びる2本以上の端子片部71,72および81,82を有する端子部材7,8を設けるように構成すれば、前記端子片部71,72および81,82に巻回した平角導線6は薄い方向の屈曲のみとなり、平角導線6を捻らずにその巻回方向の転換が容易になるという効果がある。また、前記各端子片部71,81と72,82との長さを変えれば、平角導線6をいっそう容易に巻回することができると共に、端子の端部をレーザ溶接等により電気的に接触させることができるという効果がある。したがって、自由度の少ない簡易な巻線機によって、平角導線6を容易に巻回することができ、高価な設備投資が不要となって短時間で平角導線6の巻線仕上げを行うことができ、良好なイグナイタ特性の高電圧発生トランスを廉価に製造できるという効果がある。
【0033】
実施の形態5.
図8はこの発明の各実施の形態による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスに適用する回路構成を示す回路図である。
図8において、高電圧発生トランス1とスイッチ11とコンデンサ12とによって、点灯装置としての起動回路13を構成している。この起動回路13は、HIDバルブ14の駆動電源(図示せず)を含む駆動回路15を備えている。そして、実施の形態1から実施の形態4の一次及び二次の巻回順序と接続先を示し、高電圧発生トランス1の出力端子4がHIDバルブ14の高電圧側の端子14aに接続されている。
【0034】
実施の形態4による高電圧発生トランス1の場合は、二次巻線巻回用の端子部材7の端子片部73が起動回路13のスイッチ11と駆動回路15に接続され、一次巻線巻回用の端子部材8の端子片部83が起動回路13のコンデンサ12に接続されている。
【0035】
このような実施の形態5による回路構成によって、二次巻線5bまたは6bからHIDバルブ14に高電圧(二次電圧)を印加することができるので、HIDバルブ14の点灯が可能な小型の点灯装置を実現できるという効果がある。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、高電圧発生トランスの一次巻線と二次巻線を1本の同一線材で構成し、その二次巻線の外側に一次巻線を密着させて巻回するように構成したので、同一の巻線工程で一次巻線と二次巻線を連続的に巻回することができ、このため、一次巻線と二次巻線が別々の2本の巻線を個々に巻回するような複雑構造の巻線機が不要となり、設備投資が低減して生産性が向上し、製造コストの低減が図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置が備える高電圧発生トランスを一部切欠して示す側面図である。
【図2】図1中のボビンの要部を示す斜視図である。
【図3】図2のボビンに対する巻線巻回要領を説明するための斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態2による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスを一部切欠して示す側面図である。
【図5】この発明の実施の形態3による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスを示す斜視図である。
【図6】この発明に実施の形態4による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスを示す斜視図である。
【図7】図6の部分的な要部拡大斜視図である。
【図8】この発明の各実施の形態による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスに適用する回路構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 高電圧発生トランス、2 ボビン、3 磁気コア、4 出力端子、5 同一線材、5a 一次巻線、5b 二次巻線、5c 渡り線、6 平角導線、6a一次巻線、6b 二次巻線、7,8 端子部材、11 スイッチ、12 コンデンサ、15 駆動回路、20 巻線軸部、21 コネクタ部、21a 外筒部、21b 内筒部、22 フランジ部、22a 径方向切欠部、23 隔壁、24 径方向溝、25 スリット、26 周方向溝、27〜29 突起、71〜73 端子片部、81〜83 端子片部。
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車の前照灯として用いる放電灯を点灯させるための放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車等の車両用前照灯として高輝度放電灯(HIDバルブ)が普及しており、その点灯装置として、高電圧発生トランスが適用されていることは既に知られている。このような従来の放電灯点灯装置においては、高電圧発生トランスの一次巻線および二次巻線として断面円形の線材(以下、丸線という)を使用している(例えば、特許文献1参照)ものと、平角導線を使用している(例えば特許文献2参照)ものとがある。
【0003】
【特許文献1】
国際特許公開番号 WO 00/64221号
【特許文献2】
特開2002−93635
【0004】
特許文献1に記載された従来の放電灯点灯装置では、線径が異なる2本の丸線を使用し、その小径(例えば、φ0.3mm)の丸線を二次巻線とし、大径(例えば、φ0.5mm)の丸線を一次巻線としている。ここで、前記二次巻線は定常点灯電圧85VのHIDバルブ用の巻線を想定し、バルブ電流を0.4Aとすることでφ0.3を選定し、高電圧パルス発生時の大きな一次電流用にφ0.5を選定することによって、上記サイズの丸線でも水銀使用の高輝度ランプでは充分な放電特性が得られるというものである。
【0005】
特許文献2に記載された従来の放電灯点灯装置では、一次巻線および二次巻線としてそれぞれ異なる平角導線を使用し、その平角導線をエッジワイズ巻して1層の二次巻線を形成し、その二次巻線の低電圧部分に一次巻線を巻き込んだトランス構成としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の放電灯点灯装置は以上のように構成されているので、特許文献1の場合、一次巻線と二次巻線とでは線径が異なる別々の丸線を使用していることにより、一次巻線の巻き工程と二次巻線の巻き工程とを別工程としなければならず、このため、生産性が悪く、コスト高になるという課題があった。特に、近年は、環境問題の点から水銀不使用のHIDバルブが実用化されているが、水銀不使用のHIDバルブは、水銀使用のHIDバルブに比して定常点灯時のバルブ電圧が低く(例えば、定常点灯電圧42V)、バルブ電流が大きい(例えば、バルブ電流0.8Aであって従来の水銀使用のHIDバルブのバルブ電流0.4Aに比して倍である)ため、高電圧発生トランスの直流抵抗を小さく下げるという課題があった。
【0007】
特許文献2の場合、一次巻線と二次巻線とでは互いに分離された異なる平角導線を用いており、しかも、平角導線を1層にエッジワイズ巻して二次巻線とし、この二次巻線の低電圧部分に別の平角導線からなる一次巻線を巻き込んでいるため、トランス外径は細くなるが、軸方向には長いトランス構成となり、このため、トランス全体を小型化することが極めて困難という課題があった。また、上述のように、エッジワイズ巻された二次巻線の低電圧部分に一次巻線を巻き込むという巻き方では、エッジワイズ巻された二次巻線の巻線間にさらに別の一次巻線を挟み込みエッジワイズ巻とすることは極めて困難である。このため、二次巻線とは別の一次巻線を用意し、二次巻線の巻回途中で二次巻線と一次巻線を面接触状態に重ねて同時巻回せざるを得ず、このように2本の平角導線を同時巻回する巻線機は構造が複雑となり、しかも、巻線作業が煩雑となることから巻線作業時間が長くなって製造コストが高くなるという課題があった。
【0008】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、同一の巻線工程で一次巻線と二次巻線を連続的に巻回することができ、生産性が向上し、コスト低減を図ることができると共に、定常点灯時のバルブ電圧が低く、電流が大きな放電灯点灯装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る放電灯点灯装置は、HIDバルブに流す電流に対応する充分に直流抵抗の低い巻線を用い、高電圧発生トランスの一次巻線と二次巻線を1本の同一線材で構成し、その二次巻線の外側に一次巻線を密着させて巻回したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による放電灯点灯装置が備える高電圧発生トランスを一部切欠して示す側面図、図2は図1中のボビン2の要部を示す斜視図、図3は図2のボビン2に対する巻線巻回要領を説明するための斜視図である。
図1に示す高電圧発生トランス1は絶縁性のボビン2を備えている。このボビン2は、軸方向の貫通孔を有する巻線巻回用の軸部(以下、巻線軸部という)20と、この巻線軸部20の一端部に一体形成されたHIDバルブ装着用のコネクタ部21と、前記巻線軸部20の他端部に一体形成された円形状のフランジ部22とを有している。また、前記巻線軸部20には、巻線の巻回領域を高電圧側のセクションAと低電圧側のセクションBとに仕切り形成する円形フランジ状の隔壁23が一体形成されている。
【0011】
ここで、前記コネクタ部21は、HIDバルブの基部を収容する外筒部21aと、HIDバルブの高電圧端子が嵌め込まれる内筒部21bとから構成されている。そして、前記巻線軸部20の貫通孔には磁気コア3と後述する出力端子4が挿着され、その出力端子4における前記高電圧端子の接続部が前記内筒部21b内に収容されている。
【0012】
以上のように構成されたボビン2の巻線軸部20に一次巻線5aと二次巻線5bが巻回されている。その一次巻線5aと二次巻線5bは、断面円形で全長に亘って同一線径の連続した1本の同一線材(丸線)5からなっているもので、その巻回方法については後述する。
【0013】
次に、前記隔壁23の詳細な構成を図2および図3に基づいて説明する。円形フランジ状の隔壁23において、低電圧側のセクションB側の面には、隔壁23の外周面の一部から巻線軸部20の方向に延びる径方向溝24が形成されている。また、前記隔壁23における前記径方向溝24の近傍には、隔壁23の外周面の肉厚幅内に部分的に開口し且つ巻線軸部20の方向に延びて前記径方向溝24全体に連通する径方向のスリット25が形成されている。それらの径方向溝24とスリット25は、高電圧側セクションAに巻回された二次巻線5bを低電圧側セクションBの巻線軸部20に向かって引き回すための二次巻線5bの渡り線5cを収めるためのものである。
【0014】
前記隔壁23の外周面において、前記径方向溝24およびスリット25が開口していない領域には一次巻線5aを納めるための周方向溝26が形成され、また、前記スリット25の外向き開口部における前記径方向溝24と反対側の開口端部近傍には渡り線引掛用の第1の突起27が一体形成されている。さらに、前記隔壁23の外周面には、径方向溝24側に位置して低電圧側のセクションB側から一次巻線5aを前記周方向溝26に引き入れるための第2の突起28と、前記突起27の近傍に離間位置して前記周方向溝26から一次巻線5aを引き出すための第3の突起29が一体形成されている。
【0015】
次に、巻線の巻回について説明する。まず、ボビン2の高電圧側セクションAの巻線軸部20に二次巻線5bを巻回積層する。そして、高電圧側セクションAに二次巻線5bを所定の積層段数まで巻回したならば、その積層外径側の二次巻線5bを第1の突起27に引っ掛けて渡り線5cとし、その渡り線5cをスリット25内に納めながら渡り線5c以降の二次巻線5bを径方向溝24から低電圧側セクションB側に引き出して巻線軸部20に巻回積層していく。そして、低電圧側セクションBに二次巻線5bを所定の積層段数まで巻回したならば、二次巻線の終端5bb(6bb)として外部に引き出し、折り返して、再び、先に巻回した二次巻線5bの上に巻回することによって、その二次巻線5bに連続した同一線材5からなる一次巻線5aを積層外径側の二次巻線5bの外側に密着させて巻回する。引き出し、折り返した端子は図8の巻き終り5aa(6aa)と巻き始め5ab(6ab)となる。次いで、その密着巻回以降の一次巻線5aを図3に示すように隔壁23外周の第2の突起28に引っ掛けて周方向溝26に掛け回し収納させた後、第3の突起29に引っ掛けて引き出すことにより、高電圧発生トランス1が完成する。なお、巻線軸部20の片方端部のフランジ部22には、二次巻線5bの巻き始め端部側を出力端子4との接続方向に引き出すための径方向切欠部22a(図2、図3参照)が設けられている。
【0016】
以上説明した実施の形態1によれば、HIDバルブに通電する電流に対し充分低い直流抵抗となる太目の二次巻線と高電圧パルス発生時に通電する大電流を流し得る細目の一次巻線を同時に満し、共用できる線径の線材によって、高電圧発生トランス1の一次巻線5aと二次巻線5bを断面円形の1本の同一線材5で形成し、二次巻線5bの外側(二次巻線5bの電圧が低い部分)に一次巻線5aを密着させて巻回するように構成したので、同一の巻線工程で一次巻線5aと二次巻線5bを連続的に巻回することができ、このため、生産性が向上し、製造コストの低減が図れるという効果がある。
【0017】
また、上記実施の形態1によれば、ボビン2の巻線軸部20に、巻線領域を高電圧側セクションAと低電圧側セクションBとに分割する円形フランジ状の隔壁23を設け、この隔壁23には、高電圧側セクションAからの二次巻線5bの渡り線5cを納めるスリット25と、このスリット25に納めた渡り線5c以降の二次巻線5bを低電圧側セクションBに引き出す径方向溝24とを形成するように構成したので、高電圧を発生する二次巻線5bの中で最も線間電圧が高くなる前記両セクションA、B間の渡り線5cに、印加される高電圧によって二次巻線5bの線間に生じる絶縁破壊を回避することができるという効果がある。
【0018】
さらに、上記実施の形態1によれば、隔壁23の外周面に低電圧側セクションBからの一次巻線5aを引き回し収納するための周方向溝26を形成するように構成したので、一次巻線5aを高電圧側の二次巻線5bに近づけて配置することができ、このため、一次巻線5aが高電圧側の二次巻線5bにまで及ぼす電気的結合を強めることができるという効果がある。
【0019】
すなわち、高電圧発生トランス1においては、一次巻線5aと二次巻線5bとの線間の電気的結合が大きい程、HIDバルブを点灯させるエネルギの伝達が大きくなるため、高電圧発生トランス1として好ましいものとなる。然るに、前記両セクションA、B間の隔壁23に引き回し用スリット25と径方向溝24を設けた前記隔壁23は、肉厚分だけ高電圧側セクションAの二次巻線5bと低電圧側セクションBの一次巻線5aとが遠ざかるため、この場合、低電圧側の直上だけに巻回された一次巻線5aでは、高電圧側の二次巻線5bにまで強い電気的結合を及ぼすことができない。
【0020】
そこで、上記実施の形態1では、隔壁23の外周に径方向に凹んだ溝26を設け、この溝26に一次巻線5aを巻回し収納する構成としたことにより、上述のように、一次巻線5aを高電圧側の二次巻線5bに近づけて配置することができるため、その一次巻線5aが高電圧側の二次巻線5bにまで及ぼす電気的結合を高めることができて良好なイグナイタ特性を得ることができるという効果がある。
【0021】
さらに、上記実施の形態1によれば、隔壁23の外周に第1〜第3の突起27〜29を設けるように構成したので、高電圧側セクションAからの二次巻線5bのスリット25に対する渡り線5cの引き回し収納、および、低電圧側セクションBからの一次巻線5aの周方向溝26に対する引き回し収納を容易かつ確実に行うことができるという効果がある。
【0022】
実施の形態2.
図4はこの発明の実施の形態2による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスを一部切欠して示す側面図、図5は図4の斜視図であり、図1から図3と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
この実施の形態2では、1本の平角導線6をトラバース巻きして高電圧発生トランス1を構成したものである。
【0023】
さらに詳しく述べると、この実施の形態2では、高電圧発生トランス1の一次巻線6aと二次巻線6bとを連続形成する同一線材として1本の薄い平角導線6を使用し、この平角導線6を巻回するボビン2は1セクションの構成としている。そして、平角導線6からなる二次巻線6bをボビン2の巻線軸部20に所定の積層段数までトラバース巻きする。このトラバース巻きとは、前記巻線軸部20上で軸方向に沿って二次巻線6bの幅方向両側縁部が隣り合うように巻回した後、その巻回層上に二次巻線6bを面接触状態に折り返して軸方向に巻回する工程を連続して繰り返すことを言う。
【0024】
そして、前記巻線軸部20上に所定の積層段数(所定の外径部位)まで二次巻線6bをトラバース巻きした後、その最外径側の二次巻線6b上に該二次巻線6bと一連の一次巻線6aを密着状態にトラバース巻きすることで高電圧発生トランス1が完成する。
【0025】
以上説明した実施の形態2によれば、1セクションのボビン2に平角導線6をトラバース巻きするように構成したので、平角導線6の1層あたりの巻回数は少なくなるが、平角導線6の積層厚さは薄くなるため、その積層厚の最外径を細くできて高電圧発生トランス1の全体を小型化できるという効果がある。
【0026】
すなわち、高電圧を発生する高電圧発生トランスの二次巻線を巻回するにあたり、耐電圧の高い線材を用いれば、二次巻線の層間で電圧破壊せずに容易に高電圧を得ることができる。しかしながら、現存の線材では精々4000V程度の耐電圧しかなく、ボビン上で巻線を層状に巻回して折り返すことで、下層の巻線上に上層の巻線を重ね巻きすれば、層間上下の線材には各層巻回数の2倍の電圧が印加され、1巻きあたり200V程度の電圧を発生する高電圧発生トランスにおいては、1層あたり10回しか線材を巻回できない。
【0027】
したがって、上記実施の形態1の場合のように断面円形の線材を用いると、ボビンの1セクションに1層あたり10回しか線材を巻くことができず、その巻回層の最外径を細くするためには、ボビンを幾つかのセクションに分割せざるを得ないが、上記実施の形態2では、平角導線6をトラバース巻きするので、平角導線6の1層あたりの巻回数は少なくなるが、平角導線6の積層厚さは薄くなるため、その積層厚の最外径を細くできて高電圧発生トランス1の全体を小型化できるという効果がある。
【0028】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスを示す斜視図であり、図1から図4と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
この実施の形態3では、上記実施の形態2による1セクションのボビン2の巻線軸部20に径方向外方に延びる突起部20aを一体に設けたものである。すなわち、上記実施の形態2のように、1セクションのボビン2にトラバース巻きした平角導線6は、各積層線材間、および、同一層の隣り合う線材間で接触状態となるため、絶縁用樹脂の注入時にその樹脂が線材間に浸み込み難くなる。
【0029】
そこで、この実施の形態3では、上述のようにボビン2の巻線軸部20に突起部20aを設け、この突起部20aを避けて平角導線6をトラバース巻きするように構成したので、平角導線6の各巻回層間において、前記突起部20aを挟む両側の平角導線6間には隙間Sが発生し、この隙間Sから平角導線6の各巻回層間に絶縁用樹脂が流れ込み易くなり、その各巻回層間に絶縁用樹脂を浸み込ませることができるという効果がある。
【0030】
実施の形態4.
図6はこの発明に実施の形態4による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスを示す斜視図、図7は図6の部分的な要部拡大斜視図であり、図1から図5と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
この実施の形態4では、上記実施の形態2および/または上記実施の形態3によるボビン2の外筒部21aの外側に二次巻線用の端子部材7と一次巻線用の端子部材8を一体に設けたものである。二次巻線巻回用の端子部材7は、ボビン2の巻線軸部20と平行する方向に延びて平角導線6が巻回される段違い棒状の2本以上(図では2本)の端子片部71,72と、二次巻線6bの端子片部73とを一体に有している。一次巻線巻回用の端子部材8は、前記二次巻線巻回用の端子部材7と同一形状に構成されている。したがって、一次巻線巻回用の端子部材8にあっても、前記巻線軸部20と平行する方向に延びる2本以上の端子片部81,82と、一次巻線6aの端子片部83とを一体に有する構成となっている。
【0031】
そして、平角導線6の巻回に際して、二次巻線巻回用の端子部材7においては、図7に示すように、その端子片部71,72のうち、下段側の端子片部71の下側から該端子片部71と上段側の端子片部72との間に平角導線6を巻回した後、その平角導線6を上段側の端子片部72の上側から該端子片部72と下段側の端子片部71との間に通して該端子片部71に巻回して導出している。したがって、平角導線6は端子片部71と72とに跨って略8字形状に巻回されている。これと同様にして、一次巻線巻回用の端子部材8にも平角導線6が巻回されるものである。
【0032】
このように構成した実施の形態4によれば、平角導線6を捻らずに端子部材7に巻回接続することができる。すなわち、平角導線6の巻回にあたり、平角導線6は厚みが薄い方向にしか曲がらず、端子に係止し難いため、平角導線6の巻回作業の弊害となるが、この実施の形態4のように、ボビン2の巻線軸部20と平行する方向に延びる2本以上の端子片部71,72および81,82を有する端子部材7,8を設けるように構成すれば、前記端子片部71,72および81,82に巻回した平角導線6は薄い方向の屈曲のみとなり、平角導線6を捻らずにその巻回方向の転換が容易になるという効果がある。また、前記各端子片部71,81と72,82との長さを変えれば、平角導線6をいっそう容易に巻回することができると共に、端子の端部をレーザ溶接等により電気的に接触させることができるという効果がある。したがって、自由度の少ない簡易な巻線機によって、平角導線6を容易に巻回することができ、高価な設備投資が不要となって短時間で平角導線6の巻線仕上げを行うことができ、良好なイグナイタ特性の高電圧発生トランスを廉価に製造できるという効果がある。
【0033】
実施の形態5.
図8はこの発明の各実施の形態による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスに適用する回路構成を示す回路図である。
図8において、高電圧発生トランス1とスイッチ11とコンデンサ12とによって、点灯装置としての起動回路13を構成している。この起動回路13は、HIDバルブ14の駆動電源(図示せず)を含む駆動回路15を備えている。そして、実施の形態1から実施の形態4の一次及び二次の巻回順序と接続先を示し、高電圧発生トランス1の出力端子4がHIDバルブ14の高電圧側の端子14aに接続されている。
【0034】
実施の形態4による高電圧発生トランス1の場合は、二次巻線巻回用の端子部材7の端子片部73が起動回路13のスイッチ11と駆動回路15に接続され、一次巻線巻回用の端子部材8の端子片部83が起動回路13のコンデンサ12に接続されている。
【0035】
このような実施の形態5による回路構成によって、二次巻線5bまたは6bからHIDバルブ14に高電圧(二次電圧)を印加することができるので、HIDバルブ14の点灯が可能な小型の点灯装置を実現できるという効果がある。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、高電圧発生トランスの一次巻線と二次巻線を1本の同一線材で構成し、その二次巻線の外側に一次巻線を密着させて巻回するように構成したので、同一の巻線工程で一次巻線と二次巻線を連続的に巻回することができ、このため、一次巻線と二次巻線が別々の2本の巻線を個々に巻回するような複雑構造の巻線機が不要となり、設備投資が低減して生産性が向上し、製造コストの低減が図れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による放電灯点灯装置が備える高電圧発生トランスを一部切欠して示す側面図である。
【図2】図1中のボビンの要部を示す斜視図である。
【図3】図2のボビンに対する巻線巻回要領を説明するための斜視図である。
【図4】この発明の実施の形態2による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスを一部切欠して示す側面図である。
【図5】この発明の実施の形態3による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスを示す斜視図である。
【図6】この発明に実施の形態4による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスを示す斜視図である。
【図7】図6の部分的な要部拡大斜視図である。
【図8】この発明の各実施の形態による放電灯点灯装置の高電圧発生トランスに適用する回路構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1 高電圧発生トランス、2 ボビン、3 磁気コア、4 出力端子、5 同一線材、5a 一次巻線、5b 二次巻線、5c 渡り線、6 平角導線、6a一次巻線、6b 二次巻線、7,8 端子部材、11 スイッチ、12 コンデンサ、15 駆動回路、20 巻線軸部、21 コネクタ部、21a 外筒部、21b 内筒部、22 フランジ部、22a 径方向切欠部、23 隔壁、24 径方向溝、25 スリット、26 周方向溝、27〜29 突起、71〜73 端子片部、81〜83 端子片部。
Claims (6)
- 高電圧発生トランスを備えた放電灯点灯装置において、前記高電圧発生トランスの一次巻線と二次巻線を1本の同一線材で構成し、その二次巻線の外側に一次巻線を密着させて巻回したことを特徴とする放電灯点灯装置。
- 一次巻線と二次巻線は断面円形の同一線材からなり、その一次巻線と二次巻線を連続的に巻回するボビンには、高圧側のセクションと低圧側のセクションとに仕切り形成する隔壁を設け、この隔壁には、前記セクション間で二次巻線の渡り線を引き回すスリットを設けたことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
- 隔壁の外周には一次巻線の巻回収納部を設けたことを特徴とする請求項2記載の放電灯点灯装置。
- 一次巻線と二次巻線は連続した同一の平角導線からなり、その平角導線をトラバース巻きして高電圧発生トランスを構成したことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
- 高電圧発生トランスは、平角導線の巻線軸部に径方向外方に延びる突起部が設けられたボビンを備え、このボビンの巻線軸部に同一の平角導線が連続巻回されていることを特徴とする請求項1または請求項4記載の放電灯点灯装置。
- 高電圧発生トランスにおいて、ボビンのフランジ部外周には、その巻線軸部と平行する段違い棒状の端子片部を2本以上有する端子部材が設けられ、その端子片部に平角導線が巻回されていることを特徴とする請求項4または請求項5記載の放電灯点灯装置。
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