JP2004111451A - 電磁装置、巻設方法および高電圧発生装置 - Google Patents
電磁装置、巻設方法および高電圧発生装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004111451A JP2004111451A JP2002268454A JP2002268454A JP2004111451A JP 2004111451 A JP2004111451 A JP 2004111451A JP 2002268454 A JP2002268454 A JP 2002268454A JP 2002268454 A JP2002268454 A JP 2002268454A JP 2004111451 A JP2004111451 A JP 2004111451A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electromagnetic device
- winding
- magnetic core
- cylindrical portion
- secondary winding
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Coils Of Transformers For General Uses (AREA)
Abstract
【課題】体積容量的に大型にすることなく、出力を低下させないで2次巻線の抵抗値を小さくする。
【解決手段】円柱状の磁気コア10と、磁気コア10にエッジワイズ巻きにして2層に巻設される平角導線からなる2次巻線12と、2次巻線12上に巻設される絶縁電線からなる1次巻線11と、2次巻線12の各層間に介設される例えば筒状の絶縁体131とにより電磁装置1を構成した。また、電磁装置1をパルストランスとし、GAP(ギャップ放電素子)と、これを介して1次巻線11と並列に接続されるコンデンサとを設けて高電圧発生装置を構成した。
【選択図】 図1
【解決手段】円柱状の磁気コア10と、磁気コア10にエッジワイズ巻きにして2層に巻設される平角導線からなる2次巻線12と、2次巻線12上に巻設される絶縁電線からなる1次巻線11と、2次巻線12の各層間に介設される例えば筒状の絶縁体131とにより電磁装置1を構成した。また、電磁装置1をパルストランスとし、GAP(ギャップ放電素子)と、これを介して1次巻線11と並列に接続されるコンデンサとを設けて高電圧発生装置を構成した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気コアと、この磁気コアにエッジワイズ巻きで巻設される平角導線からなる2次巻線と、この2次巻線上に巻設される1次巻線とを備える電磁装置、巻設方法および高電圧発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高輝度放電ランプ(HIDランプ)を始動点灯する放電ランプ点灯装置には、高輝度放電ランプを瞬時に始動ないし再始動するための高電圧パルスを発生するイグナイタと呼ばれる高電圧発生装置が設けられている。この高電圧発生装置は、一般に、入力の低電圧をパルス状の高電圧に変換するパルストランスと呼ばれる電磁装置を備えている。
【0003】
近年、自動車用のヘッドライトにおいて、安全性およびエコロジーを重視する観点から、従来のハロゲンランプよりも高輝度、低消費電力、長寿命である高圧放電ランプが急速に普及し、これに平行してランプソケットと高電圧発生装置との一体化が進み、そのさらなる小型化が要望されるようになってきている。
【0004】
図30は従来の高電圧発生装置の回路構成図、図31は同高電圧発生装置の斜視図である。
【0005】
図30,図31に示す高電圧発生装置2PAは、パルストランスPTと、GAP(放電ギャップ)21と、このGAP21を介してパルストランスPTの1次巻線n1と並列に接続されるコンデンサ22と、パルストランスPTの2次巻線n2の一端および放電ランプDLの一端と接続される端子T1と、放電ランプDLの他端と接続される端子T2と、コンデンサ22の両端および点灯装置EBと接続される端子T3,T4と、点灯装置EBおよび端子T2と接続される端子T5と、これらを収納ないし保持し放電ランプDLのランプ口金が装着される装置本体(ハウジング)20PAとを備えている。なお、装置本体20PAには、保護用の抵抗、ツェナーダイオード、ノイズフィルタ用コンデンサ、チョークなどが収容されることがある。なお、図31の端子T3〜T5の並びは一例である。
【0006】
高電圧発生装置2PAでは、端子T3,T4を介して点灯装置EBからコンデンサ22の両端に電圧が印加すると、コンデンサ22の両端電圧が上昇する。そして、コンデンサ22の両端電圧がGAP21のブレークダウン電圧に達すると、充電されたコンデンサ22がGAP21を介してパルストランスPTの1次巻線n1に向けて一気に放電し、その昇圧作用により2次巻線n2に高電圧パルスが発生して放電ランプDLに印加する。これにより、放電ランプDLが瞬時に始動ないし再始動する。
【0007】
このように一体化されたいわゆるイグナイタ内蔵型ランプソケットをさらに小型化するためには、部品として大きな割合を占める電磁装置(パルストランス)をさらに小型化する必要がある。
【0008】
図32〜図34に、上記問題を解決し得る従来の電磁装置(例えば特開2002−93635公報(特許文献1)等参照)を示し、図35に同電磁装置を用いた高電圧発生装置の模式図を示す。ただし、図32は電磁装置の断面図、図33は電磁装置の斜視図、図34は電磁装置の一部拡大断面図である。
【0009】
図32〜図34に示す電磁装置1PAは、低抗率(固有抵抗)の大きな特性を有するロッド形の磁気コア(Ni−Znフェライトコア)10PAと、磁気コア10PAの全周にわたって略当接して巻設される巻線12PAとを備え、絶縁皮膜12aで覆われた断面が平角状の導線12bからなる平角導線12PAを磁気コア10PAに直接エッジワイズ巻することで巻線12PAを巻設したものであり、磁気コア10PAと巻線(平角導線)12PAとの間にコイルボビン等の絶縁物を不要にすることができ、巻線12PAの外径を小さく且つ薄く形成することができ、薄型で優れた性能を持つ。なお、図中の11は高耐圧被覆を持つ1次巻線であり、1次2次巻線間の絶縁を確保するため、2次巻線としての上記巻線12PAにおける低圧側に巻設されている。
【0010】
上記電磁装置1PAをパルストランスとして使用し、図35に示すように、装置本体20PA’に電磁装置1PAを収容すれば、より小型の高電圧発生装置2PA’を得ることができる。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−93635公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動車用のHIDランプにおいては、上記小型化に平行して環境に優しい無水銀化も推し進められている。無水銀のHIDランプでは、水銀入りのランプに比べて低ランプ電圧および高ランプ電流となるランプ特性のため、より低い抵抗値を持つ電磁装置が必要となる。高ランプ電流の場合、パルストランスの2次側に流れる電流とその2次巻線の抵抗成分とによってパルストランスの温度が上昇し、その分効率が低下するからである。
【0013】
図32〜図34に示した電磁装置において、上記問題を解決するためには、平角導線の厚みまたは幅を拡げて断面積を増大すればよい。
【0014】
しかしながら、平角導線の厚みを厚くすると、電磁装置の軸方向の長さが勢い長くなり、図35に示した装置本体に収容できなくなる。また、平角導線の幅を拡げると、絶縁機能が低下する問題が発生する。磁気コアは小型化のため平角導線の許容曲率限界を考慮して決められ、その磁気コアに幅を拡げた平角導線をエッジワイズ巻にしたとすれば、平角導線の外側が許容曲率限界を超え、その外側の絶縁被膜が劣化することになるからである。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、体積容量的に大型にすることなく、出力を低下させないで2次巻線の抵抗値を小さくすることができる電磁装置、巻設方法および高電圧発生装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1記載の電磁装置は、磁気コアと、この磁気コアにエッジワイズ巻きにして2層に巻設される平角導線からなる2次巻線と、この2次巻線上に巻設される1次巻線と、前記2次巻線の各層間に介設される絶縁体とを備えることを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の電磁装置は、請求項1記載の電磁装置において、前記2次巻線における前記磁気コア側の平角導線の一端に設けられる高圧端子と、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線の一端に設けられ前記磁気コアの軸方向において前記高圧端子と同じ側に位置する低圧端子とを備えることを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の電磁装置は、請求項2記載の電磁装置において、前記2次巻線における前記磁気コア側および前記1次巻線側の両平角導線の各他端間に設けられる中間端子を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の電磁装置は、請求項1から3のいずれかに記載の電磁装置において、前記絶縁体は絶縁樹脂製のボビンの一部であり、このボビンは、前記絶縁体としての有底筒部と、この有底筒部の底側に形成されるつば部とを有する形状に形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の電磁装置は、請求項1、3または4記載の電磁装置において、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線は、前記2次巻線における前記磁気コア側の平角導線よりも幅広であることを特徴とする。
【0021】
請求項6記載の電磁装置は、請求項1から5のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、直線部を含む断面形状に形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項7記載の電磁装置は、請求項1から6のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、前記1次巻線および前記2次巻線が巻設される棒状部と、この棒状部の一端に設けられるフランジ部とを有する形状に形成されていることを特徴とする。
【0023】
請求項8記載の電磁装置は、請求項1から7のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、Ni−Znフェライトのコア材を含む1000Ω・m以上の抵抗率の各種コア材のいずれかからなり、前記磁気コアには前記巻線が接続される端子が設けられていることを特徴とする。
【0024】
請求項9記載の電磁装置は、請求項1から7のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、珪素鋼鈑コア材およびアモルファスコア材を含む高磁束密度の各種コア材のいずれかおよびこれにモールドされた絶縁樹脂により構成され、前記磁気コアの絶縁樹脂の部分に前記巻線が接続される端子が設けられていることを特徴とする。
【0025】
請求項10記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から9のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンは、前記有底筒部の前記つば部側に設けられランプ口金と嵌合する嵌合部をさらに有する形状に形成されていることを特徴とする。
【0026】
請求項11記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から10のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンには前記巻線が接続される端子が設けられていることを特徴とする。
【0027】
請求項12記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から11のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンは、前記有底筒部の底側に形成された凹条部および凸条部を有していることを特徴とする。
【0028】
請求項13記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から12のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンの有底筒部は、軸方向に沿って肉厚が階段状またはテーパ状に変化することを特徴とする。
【0029】
請求項14記載の巻設方法は、請求項13記載の電磁装置に用いられる巻設方法であって、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線を前記ボビンの階段状の有底筒部に巻設する際に少なくとも2重の筒状部により構成される治具を使用し、前記有底筒部に前記平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を前記治具の外側の筒状部または内側の筒状部で保持しながら、前記平角導線の巻数に応じて前記治具の外側の筒状部または内側の筒状部を前記有底筒部に対して移動させることを特徴とする。
【0030】
請求項15記載の巻設方法は、請求項13記載の電磁装置に用いられる巻設方法であって、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線を前記ボビンのテーパ状の有底筒部に巻設する際に一対の半筒状部を離合自在に設けてなる治具を使用し、前記有底筒部に前記平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を前記治具の一対の半筒状部で保持しながら、前記平角導線の巻数に応じて前記治具を前記有底筒部に対して移動させることを特徴とする。
【0031】
請求項16記載の高電圧発生装置は、請求項1から13のいずれかに記載の電磁装置をパルストランスとして備えるとともに、スイッチ手段と、このスイッチ手段を介して前記パルストランスの1次巻線と並列に接続されるコンデンサとを備えることを特徴とする。
【0032】
請求項17記載の発明は、請求項16記載の高電圧発生装置において、前記パルストランス、前記スイッチ手段および前記コンデンサを少なくとも収容し、放電ランプのランプ口金が装着される装置本体を備え、この装置本体に装着された前記放電ランプのランプ口金は、前記パルストランスの2次巻線と電気的に接続されることを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は電磁装置の構造説明図、図2は同電磁装置の従来の電磁装置に対する出力電圧の改善効果を示す図であり、これらの図を参照しながら本発明の第1実施形態について説明する。
【0034】
第1実施形態の電磁装置1は、図1に示すように、例えば円柱状の磁気コア10と、平角導線(絶縁された(絶縁皮膜で覆われた)断面が平角状の導線)からなり磁気コア10にエッジワイズ巻きにして2層に巻設される2次巻線12と、絶縁電線(図1では絶縁された(ビニルなどの絶縁体で覆われた)断面が円状の導線)からなり2次巻線12上に巻設される1次巻線11と、2次巻線12の各層間に介設される例えば筒状の絶縁体131とを備えている。
【0035】
2次巻線12における磁気コア10側の平角導線部分121は、磁気コア10に直接エッジワイズ巻きにして巻設され、2次巻線12における1次巻線11側の平角導線部分122は、絶縁体131上にエッジワイズ巻きにして巻設されている。そして、平角導線部分122上に1次巻線11が巻設されている。
【0036】
また、電磁装置1は、2次巻線12における磁気コア10側の平角導線部分121の一端(図1では右端)に接続される高圧端子14と、2次巻線12における1次巻線11側の平角導線部分122の一端に接続され磁気コア10の軸方向において高圧端子14と同じ側に位置する低圧端子15と、両平角導線部分121,122の各他端間に接続される中間端子16とを備えている。ここで、両平角導線部分121,122を互いに逆巻にすることにより、中間端子16を高圧端子14および低圧端子15と巻方向に対して反対方向に形成される。また、1次巻線11を平角導線部分122上の低圧端子15側に巻設することにより、1次巻線11および2次巻線12間の絶縁性能が2次巻線1層の従来の電磁装置と同程度となる。なお、高圧端子14は図30に示した端子T1に相当する。
【0037】
この従来の電磁装置に対する第1実施形態の電磁装置1の出力電圧の改善効果を確認するために、これらの両電磁装置に対して、1000Ω・m以上の抵抗率持つφ8mmのNi−Znフェライトコアを使用し、70μmの厚みおよび1.2mmの幅の平角導線を使用した。そして、1次巻線の巻数を5ターンとし、2次巻線の巻数を220ターンとした。ただし、電磁装置1では、平角導線部分121を110ターンとし、平角導線部分122を110ターンとし、絶縁体131を高耐圧樹脂により厚みが1mmの筒状に形成した。
【0038】
上記仕様で作製した両電磁装置に対して、800Vの電圧を1次巻線に印加したとき、出力パルス電圧(ピーク電圧)は、従来の電磁装置では図2の点P0に示すように30[kV]であったのに対し、第1実施形態の電磁装置1では図2の点P1に示すように35[kV]程度であった。また、第1実施形態の電磁装置1によれば、従来の電磁装置と同程度の出力パルス電圧を得るためには、2次巻線12の巻数が175ターン程度でよいことが分かった。
【0039】
このように、第1実施形態の電磁装置1において、高出力の改善効果が得られるのは、1次2次巻線間の結合を従来の電磁装置よりもアップさせることができることや、2次巻線に寄生する浮遊容量が変化したことなどによるものと考えられる。
【0040】
以上のように、第1実施形態によれば、体積容量的に大型にすることなく、出力を低下させないで2次巻線の抵抗値を小さくすることができる。つまり、第1実施形態の電磁装置は、従来の電磁装置よりも幅方向の寸法が大きくなるが、軸方向の長さが従来の電磁装置に比べて半分以下となるので、体積容量的には大きくならない。また、2次巻線の抵抗値は、従来の電磁装置では1.3Ωであったのに対し、第1実施形態の電磁装置ではそれよりも30%程度小さい0.9Ω程度であった。
【0041】
(第2実施形態)
図3は電磁装置の構造説明図、図4は同電磁装置の組立説明図、図5は同電磁装置をパルストランスとして使用した高電圧発生装置の模式図であり、これらの図を参照しながら本発明の第2実施形態について説明する。
【0042】
第2実施形態の電磁装置1Aは、図3に示すように、第1実施形態の電磁装置との相違点として、絶縁体131がボビン13の一部により構成されている。すなわち、ボビン13は、絶縁体131としての有底筒部(以下同符号131を使用する)と、この有底筒部131の底130側に延設されるつば部132とを一体に有する形状に絶縁樹脂により形成され、底130には、高圧端子14を有底筒部131内から引き出すための引出孔130aが穿設されている。
【0043】
次に電磁装置1Aの組立手順の一例を説明する。先ず、高圧端子14を有底筒部131内から底130の引出孔130aに通して外部に予め引き出しておく。次いで、高圧端子14をさらに引き出しながら、図4に示すように、2次巻線12における磁気コア10側の平角導線部分121がエッジワイズ巻きにして直接巻設された磁気コア10を、2次巻線12における1次巻線11側の平角導線部分122が有底筒部131上にエッジワイズ巻きにして巻設されたボビン13の有底筒部131内に挿入する。これにより、電磁装置1Aを簡単に組み立てることができる。
【0044】
なお、1次巻線11は平角導線部分122に予め巻設されていても、上記挿入後に巻設されるようにしてもよい。また、組立ては若干複雑になるが、上記挿入後に連続して、2次巻線12における1次巻線11側の平角導線部分122を有底筒部131上にエッジワイズ巻きにして巻設するようにしてもよい。
【0045】
そして、組立後の電磁装置1Aは、図5に示す高電圧発生装置2のパルストランスとして使用される。高電圧発生装置2は、パルストランスとしての電磁装置1Aに加えて、スイッチ手段としてのGAP21と、このGAP21を介してパルストランスの1次巻線11と並列に接続されるコンデンサ22と、これらパルストランス、GAP21およびコンデンサ22を収容し、図示しない放電ランプのランプ口金が装着される装置本体20とを備え、装置本体20に装着された放電ランプのランプ口金がパルストランスの2次巻線12と電気的に接続されるようになっている。ここで、電磁装置1Aは軸方向の長さの短い円筒状になっているので、装置本体20を大型にしなくてもその内部への組込みが可能となる。また、図5中のT3〜T5は図30,図31のそれらと同様の端子である。
【0046】
以上のように、有底筒部131とつば部132とを有する形状にボビン13を形成することにより、1次巻線11および2次巻線12間の絶縁耐圧性能を確保することができるとともに、高圧端子14と低圧端子15との間の沿面距離を長くすることができ、それら端子間の絶縁機能を向上させることができる。また、磁気コア10および平角導線部分121が有底筒部131の底130によって固定され、磁気コア10および平角導線部分121と平角導線部分122との位置ずれを防止することができるので、特性のバラツキを抑えることができる。
【0047】
(第3実施形態)
図6は電磁装置の構造説明図であり、この図を参照しながら本発明の第3実施形態について説明する。
【0048】
第3実施形態の電磁装置1Bは、図6に示すように、第2実施形態の電磁装置との相違点として、2次巻線12に代えて2次巻線12Aを備えている。すなわち、2次巻線12Aにおける1次巻線11側の平角導線部分122Aが、2次巻線12における磁気コア10側の平角導線部分121よりも幅広である点で、第2実施形態の電磁装置と相違している。
【0049】
ここで、2次巻線に平角導線を使用して磁気コアに巻設すると、平角導線の外周側が伸びるので、平角導線の許容曲率限界を超えると平角導線の外周側の絶縁機能が低下する。このため、2次巻線12Aにおける磁気コア10側の平角導線部分121は、2次巻線1層の従来の電磁装置と同様に、磁気コアの径によって曲げ制限を受け、従来の電磁装置の限界よりも幅を広げることができない。これに対し、2次巻線12Aにおける1次巻線11側の平角導線部分122Aは、磁気コアの径ではなくこれよりも大きい有底筒部131の径によって曲げ制限を受けるので、2次巻線12Aにおける磁気コア10側の平角導線部分121よりも幅を広げることができる。
【0050】
以上のように、2次巻線12Aにおける1次巻線11側の平角導線部分122Aを、2次巻線12Aにおける磁気コア10側の平角導線部分121よりも幅広にできるので、その幅広の分だけ2次巻線12Aの抵抗値をさらに小さくすることができる。
【0051】
(第4実施形態)
図7は電磁装置の構造説明図であり、この図を参照しながら本発明の第4実施形態について説明する。
【0052】
第4実施形態の電磁装置は、図7に示すように、第1から第3のいずれかの実施形態の電磁装置との相違点として、磁気コア10に代えて、断面形状が直線部を含む円状となる磁気コア10Aを備え、2次巻線における平角導線部分121が巻設された磁気コア10Aの断面形状に、ボビン13の有底筒部131の穴形状を合わせた構造になっている。
【0053】
この構造の電磁装置によれば、磁気コア10Aおよびこれに直接巻設された平角導線部分121がボビン13に対して回転しなくなるので、固定するべき各端子の位置決めが容易となり、組立作業性が良くなる。
【0054】
なお、第4実施形態では、断面形状が直線部を含む円状となる磁気コア10Aを備える構造になっているが、これに限らず、図8に示すように、断面形状が直線部を含む楕円状となる磁気コア10Bを備え、2次巻線の平角導線部分121が巻設された磁気コア10Bの断面形状に、ボビン13の有底筒部131の穴形状を合わせた構造でもよく、第4実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
(第5実施形態)
図9は電磁装置の構造説明図、図10は同電磁装置に使用される磁気コアの構造説明図であり、これらの図を参照しながら本発明の第5実施形態について説明する。
【0056】
第5実施形態の電磁装置1Cは、図9に示すように、第3実施形態の電磁装置との相違点として、磁気コア10に代えて磁気コア10Cを備えている。すなわち、磁気コア10Cは、図10に示すように、1次巻線11および2次巻線12Aが巻設される棒状(図では円柱状)部101と、この棒状部101の一端に設けられるフランジ部102とを一体に有する形状に形成されている。
【0057】
この電磁装置1Cでは、磁気コア10Cのフランジ部102により当該電磁装置1Cで発生する漏れ磁束を抑制するため、同じパルス出力電圧を得るのに2次巻線の巻数をさらに少なくし、抵抗値をさらに小さくすることができる。また、漏れ磁束を抑制するので、ノイズ抑制の目的で設けられる電磁シールドカバー付のランプソケットに当該電磁装置1Cを内蔵した場合にも、出力パルス電圧の減衰を抑えることができる。さらに、磁気コアのフランジ部102で中間端子16側の2次巻線12Aを固定することができ、組立作業性が良くなる。
【0058】
(第6実施形態)
図11は電磁装置の構造説明図であり、この図を参照しながら本発明の第6実施形態について説明する。
【0059】
第6実施形態の電磁装置は、図11に示すように、第1実施形態の電磁装置との相違点として、円柱状の磁気コア10の両端面中央に高圧端子14および中間端子16がそれぞれ固着された構造になっている。
【0060】
ただし、図11の例では、高圧端子14の先端部は、ばね性を有しランプ口金に嵌合する断面コ字状に形成されている。また、第6実施形態の磁気コア10として、第1実施形態と同様のNi−Znフェライトコアが使用されるので、磁気コア10に直接高圧端子14および中間端子16を固着しても絶縁上の問題はない。
【0061】
第6実施形態の電磁装置では、巻線が接続される端子を直接磁気コア10に固着することができるので、組立作業性が良くなる。また、配線の引回し長を短くすることができるので、安全性向上のために高圧配線の引回しを短くすることができるほか、配線材の使用量削減が可能となる。
【0062】
なお、第6実施形態では、円柱状の磁気コア10の両端面中央に高圧端子14および中間端子16がそれぞれ固着された構造になっているが、例えば、第5実施形態において、図12に示すように、磁気コア10Cの棒状(円柱状)部101の端面中央に高圧端子14が固着され、磁気コア10Cのフランジ部102の外周縁に中間端子16が固着された構造でもよく、第6実施形態と同様の効果が得られる。ただし、図12の磁気コア10Cも第1実施形態と同様のNi−Znフェライトコアであるとする。
【0063】
(第7実施形態)
図13は電磁装置の構造説明図であり、この図を参照しながら本発明の第7実施形態について説明する。
【0064】
第7実施形態の電磁装置は、図13に示すように、第1実施形態の電磁装置との相違点として、磁気コア10に代えて、珪素鋼鈑コア材およびアモルファスコア材を含む高磁束密度の各種金属系コア材のいずれかの金属系コア材101Dからなり、絶縁樹脂でモールドされた円柱状の磁気コア10Dを備え、磁気コア10Dの両端面中央のモールド部分(絶縁樹脂)102Dに高圧端子14および中間端子16がそれぞれ固着された構造になっている。
【0065】
第7実施形態の電磁装置でも、配線の引回し長を短くすることができるので、安全性向上のために高圧配線の引回しを短くすることができるほか、配線材の使用量削減が可能となる。また、2次側の抵抗値を小さくすることができる。
【0066】
(第8実施形態)
図14は電磁装置の構造説明図、図15は同電磁装置の概略斜視図であり、これらの図を参照しながら本発明の第8実施形態について説明する。
【0067】
第8実施形態の電磁装置1Dは、図14,図15に示すように、第2実施形態の電磁装置との相違点として、ボビン13に代えて、図示しないランプ口金と嵌合する嵌合部133が有底筒部131のつば部132側(図では底130)にさらに一体的に形成されているボビン13Aを備え、円柱状の磁気コア10の両端面中央に高圧端子14および中間端子16がそれぞれ固着された構造になっている。
【0068】
嵌合部133は、第6実施形態と同様に先端部がばね性を有しランプ口金に嵌合する断面コ字状に形成された高圧端子14を挿入するためのものであって引出孔130aに連設された内筒状部133aと、これを同軸に囲繞する外筒状部133bとにより構成されている。なお、図14,図15において、T2は図30と同様の端子であり、17はその端子T2と接続される端子である。また、18は1次巻線11の両端に接続される端子である。
【0069】
この電磁装置1Dによれば、放電ランプを支持固定する部材を別に用意する必要がなく、部品点数を削減でき、組立作業性も向上する。また、高圧端子14と、低圧端子15、端子17および一対の端子18との間の沿面距離を長くし、高圧−低圧端子間の絶縁機能を高めることができる。
【0070】
(第9実施形態)
図16は電磁装置の構造説明図、図17は同電磁装置をボビンのフランジ部側から見た図であり、これらの図を参照しながら本発明の第9実施形態について説明する。
【0071】
第9実施形態の電磁装置1Eは、図16,図17に示すように、第8実施形態の電磁装置との相違点として、低圧端子15、端子17および一対の端子18がボビン13Aのつば部132の外周縁に固着された構造になっている。ただし、それらピン状の端子が固着される部分は、矩形面状に切り欠かれている。また、その矩形面状の部分にその他の端子を固着するようにしてもよい。
【0072】
この電磁装置1Eによれば、絶縁性を確保して各端子を安定に固定することができ、組立作業性をより向上させることができる。さらに、配線の引回し長を短くすることができるので、安全性向上のために高圧配線の引回しを短くすることができるほか、配線材の使用量削減が可能となる。
【0073】
(第10実施形態)
図18は電磁装置の構造説明図、図19は同電磁装置をボビンのフランジ部側から見た図であり、これらの図を参照しながら本発明の第10実施形態について説明する。
【0074】
第10実施形態の電磁装置1Fは、図18,図19に示すように、第2実施形態の電磁装置との相違点として、ボビン13に代えて、有底筒部131の底130外面およびこれに連なるつば部132の面に、円状の凹条部134および凸条部135が複数条交互に同心となるように形成されているボビン13Bを備え、ボビン13Bのつば部132の外周縁に低圧端子15および一対の端子18が固着された構造になっている。
【0075】
ただし、それらピン状の端子が固着される部分は、矩形面状に切り欠かれている。また、高圧端子14の先端部は、ばね性を有しランプ口金に嵌合する断面コ字状に形成され、引出孔130aは、高圧端子14の先端部を挿通可能な径に設定されている。
【0076】
この電磁装置1Fによれば、高圧端子14と低圧端子15および一対の端子18との間に複数条の凹条部134および凸条部135が介在して沿面距離が長くなるから、高圧−低圧端子間の絶縁機能を向上させることができる。
【0077】
なお、第10実施形態では、有底筒部131の底130外面およびこれに連なるつば部132の面に、円状の凹条部134および凸条部135が複数条交互に同心となるように形成された構造になっているが、図20に示すように同心でなくても良い。図20に示す構造では、半円状の突条部135aが多めに形成されているので、第10実施形態よりも高圧−低圧端子間の絶縁機能を向上させることができる。
【0078】
(第11実施形態)
図21は電磁装置の構造説明図であり、この図を参照しながら本発明の第11実施形態について説明する。
【0079】
第11実施形態の電磁装置1Gは、図21に示すように、第2実施形態の電磁装置との相違点として、ボビン13に代えてボビン13Cを備え、ばね性を有しランプ口金に嵌合する断面コ字状に形成された先端部を持つ高圧端子14が、円柱状の磁気コア10の端面中央に固着され、1次巻線11が後述の有底筒部131Aの開口A側に巻設された構造になっている。
【0080】
ボビン13Cは、有底筒部131Aが軸方向に沿って肉厚が階段状に1段変化し、底130側の肉厚の方が開口A側の肉厚よりも厚くなっている点、引出孔130aが高圧端子14の先端部を挿通可能な径に設定されている点で、ボビン13と相違している。有底筒部131Aの底130側の肉厚は、2次巻線12における平角導線部分121の高圧端子側と平角導線部分122の低圧端子側との間の所定の絶縁機能を確保する厚みに設定され、有底筒部131Aの開口A側の肉厚は、2次巻線12の中間端子側において平角導線部分121,122間の電位差が低くなった分だけ薄い厚みに設定されている。
【0081】
この電磁装置1Gによれば、有底筒部131Aの厚みの薄い方に巻設される2次巻線12の巻径が小さくなってその線長が短くなるので、2次巻線12の抵抗値を小さくすることができる。また、有底筒部131Aの厚みの薄い方に1次巻線11を巻設することにより、電磁装置1Gの小型化が可能となる。
【0082】
(第12実施形態)
図22は電磁装置の構造説明図であり、この図を参照しながら本発明の第12実施形態について説明する。
【0083】
第12実施形態の電磁装置1Hは、図22に示すように、第11実施形態の電磁装置との相違点として、ボビン13Cに代えて、有底筒部131Bが軸方向に沿って肉厚がテーパ状に変化し、底130側ほど肉厚がより厚くなるボビン13Dを備えている。
【0084】
有底筒部131Bの肉厚は、2次巻線12における平角導線部分121の高圧端子側と平角導線部分122の低圧端子側との間の所定の絶縁機能を確保するように設定され、2次巻線12の中間端子側ほど平角導線部分121,122間の電位差がより低くなるので、それに応じて厚みが連続的に薄くなるように設定されている。
【0085】
この電磁装置1Hでも、有底筒部131Bの厚みの薄い方に巻設される2次巻線12の巻径が小さくなってその線長が短くなるので、2次巻線12の抵抗値を小さくすることができる。また、有底筒部131Bの厚みの薄い方に1次巻線11を巻設することにより、電磁装置1Hの小型化が可能となる。
【0086】
(第13実施形態)
図23は第11実施形態の電磁装置に用いられる巻設方法の説明図であり、この図を参照しながら本発明の第13実施形態について説明する。
【0087】
第13実施形態の巻設方法では、図23に示すように、第11実施形態の電磁装置1Gの2次巻線における1次巻線11側の平角導線部分122を、ボビン13Cの階段状の有底筒部131Aに巻設する際に、治具3が使用される。
【0088】
治具3は、有底筒部131Aの開口A側の外径と同じか若干大きめの内径寸法に設定されるとともに、有底筒部131Aの底130側の外径と同じか若干大きめの外径寸法に設定された筒状部31と、この筒状部31の外径と同じか若干大きめの内径寸法に設定された筒状部32とにより構成されている。
【0089】
次に第13実施形態の巻設方法について説明する。先ず、有底筒部131Aの開口A側を、治具3の筒状部31内にこの先端が段差Bに当たるまで填め込む。
【0090】
この後、図23(a)に示すように、有底筒部131Aの底側130に平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を外側の筒状部32で保持し(押さえ)ながら、平角導線の巻数の増大に応じて筒状部32を底130側から離していく。
【0091】
この後、有底筒部131Aにおける肉厚の厚い部分への平角導線のエッジワイズ巻きが完了すれば、図23(b)に示すように、有底筒部131Aの開口側に平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を内側の筒状部31で保持しながら、平角導線の巻数の増大に応じて筒状部31,32を底130側から離していく。この後、有底筒部131Aにおける肉厚の薄い部分への平角導線のエッジワイズ巻きが完了すれば、有底筒部131Aへの平角導線部分122の巻設が完了する。
【0092】
このように、治具3を使用することにより、軸方向に沿って肉厚が階段状に変化する有底筒部131Aへの平角導線のエッジワイズ巻きが容易となる。
【0093】
(第14実施形態)
図24は第12実施形態の電磁装置に用いられる巻設方法の説明図であり、この図を参照しながら本発明の第14実施形態について説明する。
【0094】
第14実施形態の巻設方法では、図24に示すように、第12実施形態の電磁装置1Hの2次巻線における1次巻線11側の平角導線部分122を、ボビン13Dのテーパ状の有底筒部131Bに巻設する際に、一対の半筒状部31A,32Aをばね33により離合自在に設けてなる治具3Aが使用される。
【0095】
次に第14実施形態の巻設方法について説明する。先ず、有底筒部131Bの開口A側を治具3Aに填め込む。
【0096】
この後、図24(a)に示すように、有底筒部131Bに平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を治具131Bで保持しながら、平角導線の巻数の増大に応じて治具3Aを底130側から離していく。このとき、ばね33により、一対の半筒状部31A,32Aは径が変わる有底筒部131Bに常に密着した状態となるので、エッジワイズ巻きにした平角導線を好適に保持することができる。
【0097】
このように、治具3Aを使用することにより、軸方向に沿って肉厚がテーパ状に変化する有底筒部131Bへの平角導線のエッジワイズ巻きが容易となる。
【0098】
(第15実施形態)
図25は電磁装置の構造説明図、図26は同電磁装置の概略斜視図であり、これらの図を参照しながら本発明の第15実施形態について説明する。
【0099】
第15実施形態の電磁装置1Jは、図25,図26に示すように、第9実施形態の電磁装置との相違点として、磁気コア10に代えて第5実施形態と同様の磁気コア10Cを備え、この磁気コア10Cのフランジ部102の外周縁に中間端子16が固着され、1次巻線11が平角導線部分122の中央寄りに巻設され、嵌合部133、低圧端子15、端子17および一対の端子18を露出させた状態でそれら以外を絶縁樹脂19により封止成形した構造になっている。
【0100】
この電磁装置1Jによれば、例えば高電圧発生装置などの各種装置への組込み部品としての利用が可能となる。
【0101】
なお、第15実施形態では、断面が円状の導線からなる1次巻線11が巻設された構成になっているが、これに限らず、図27に示すように、平角導線(絶縁された(絶縁皮膜で覆われた)断面が平角状の導線)からなる1次巻線11Aが巻設された構成でもよい。また、中間端子16も露出させるようにしてもよい。
【0102】
(第16実施形態)
図28,図29は高電圧発生装置の構造説明図であり、これらの図を参照しながら本発明の第16実施形態について説明する。
【0103】
第16実施形態の高電圧発生装置2Aは、図28,図29に示すように、第16実施形態の電磁装置1Jをパルストランスとして備えるとともに、スイッチ手段としてのGAP21と、このGAP21を介してパルストランスの1次巻線11と並列に接続されるコンデンサ22と、これらパルストランス、GAP21およびコンデンサ22を収容し、図示しない放電ランプのランプ口金が装着される装置本体20とを備え、装置本体20に装着された放電ランプのランプ口金がパルストランスの2次巻線12と電気的に接続されるようになっている。
【0104】
この高電圧発生装置2Aでは、電磁装置1Jにより、体積容量的に大型にすることなく、出力を低下させないで2次巻線の抵抗値を小さくすることができるほか、組立てが容易であり、GAP(放電ギャップ)21およびコンデンサ22等との絶縁を考慮した配線も容易にできる。
【0105】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、請求項1記載の電磁装置は、磁気コアと、この磁気コアにエッジワイズ巻きにして2層に巻設される平角導線からなる2次巻線と、この2次巻線上に巻設される1次巻線と、前記2次巻線の各層間に介設される絶縁体とを備えるので、体積容量的に大型にすることなく、出力を低下させないで2次巻線の抵抗値を小さくすることができる。
【0106】
請求項2記載の電磁装置は、請求項1記載の電磁装置において、前記2次巻線における前記磁気コア側の平角導線の一端に設けられる高圧端子と、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線の一端に設けられ前記磁気コアの軸方向において前記高圧端子と同じ側に位置する低圧端子とを備えるのであり、この構成でも、体積容量的に大型にすることなく、出力を低下させないで2次巻線の抵抗値を小さくすることができる。
【0107】
請求項3記載の電磁装置は、請求項2記載の電磁装置において、前記2次巻線における前記磁気コア側および前記1次巻線側の両平角導線の各他端間に設けられる中間端子を備えるのであり、この構成でも、体積容量的に大型にすることなく、出力を低下させないで2次巻線の抵抗値を小さくすることができる。
【0108】
請求項4記載の電磁装置は、請求項1から3のいずれかに記載の電磁装置において、前記絶縁体は絶縁樹脂製のボビンの一部であり、このボビンは、前記絶縁体としての有底筒部と、この有底筒部の底側に形成されるつば部とを有する形状に形成されているので、例えば、1次巻線および2次巻線間の絶縁耐圧性能を確保することができるとともに、それらに接続される端子間の沿面距離を長くすることができ、絶縁機能を向上させることができる。
【0109】
請求項5記載の電磁装置は、請求項1、3または4記載の電磁装置において、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線は、前記2次巻線における前記磁気コア側の平角導線よりも幅広であるので、平角導線の絶縁機能を低下させることなく2次巻線の抵抗値をさらに小さくすることができる。
【0110】
請求項6記載の電磁装置は、請求項1から5のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、直線部を含む断面形状に形成されているので、磁気コア側が絶縁体に対して回転しなくなるため、固定するべき各端子の位置決めが容易となり、組立作業性が良くなる。
【0111】
請求項7記載の電磁装置は、請求項1から6のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、前記1次巻線および前記2次巻線が巻設される棒状部と、この棒状部の一端に設けられるフランジ部とを有する形状に形成されているので、磁気コアのフランジ部により当該電磁装置で発生する漏れ磁束を抑制するため、同じパルス出力電圧を得るのに2次巻線の巻数をさらに少なくし、抵抗値をさらに小さくすることができる。
【0112】
請求項8記載の電磁装置は、請求項1から7のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、Ni−Znフェライトのコア材を含む1000Ω・m以上の抵抗率の各種コア材のいずれかからなり、前記磁気コアには前記巻線が接続される端子が設けられているので、巻線が接続される端子を直接磁気コアに固着することができ、組立作業性が良くなる。また、配線の引回し長を短くすることができるので、安全性向上のために高圧配線の引回しを短くすることができるほか、配線材の使用量削減が可能となる。
【0113】
請求項9記載の電磁装置は、請求項1から7のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、珪素鋼鈑コア材およびアモルファスコア材を含む高磁束密度の各種コア材のいずれかおよびこれにモールドされた絶縁樹脂により構成され、前記磁気コアの絶縁樹脂の部分に前記巻線が接続される端子が設けられているので、配線の引回し長を短くすることができるため、安全性向上のために高圧配線の引回しを短くすることができるほか、配線材の使用量削減が可能となる。
【0114】
請求項10記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から9のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンは、前記有底筒部の前記つば部側に設けられランプ口金と嵌合する嵌合部をさらに有する形状に形成されているので、放電ランプを支持固定する部材を別に用意する必要がなく、部品点数を削減でき、組立作業性も向上する。
【0115】
請求項11記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から10のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンには前記巻線が接続される端子が設けられているので、絶縁性を確保して各端子を安定に固定することができ、組立作業性をより向上させることができる。
【0116】
請求項12記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から11のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンは、前記有底筒部の底側に形成された凹条部および凸条部を有しているので、沿面距離を長くし、高圧−低圧端子間の絶縁機能を向上させることができる。
【0117】
請求項13記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から12のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンの有底筒部は、軸方向に沿って肉厚が階段状またはテーパ状に変化するので、有底筒部の厚みの薄い方に巻設される2次巻線の巻径が小さくなってその線長が短くなり、これにより2次巻線の抵抗値を小さくすることができる。
【0118】
請求項14記載の巻設方法は、請求項13記載の電磁装置に用いられる巻設方法であって、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線を前記ボビンの階段状の有底筒部に巻設する際に少なくとも2重の筒状部により構成される治具を使用し、前記有底筒部に前記平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を前記治具の外側の筒状部または内側の筒状部で保持しながら、前記平角導線の巻数に応じて前記治具の外側の筒状部または内側の筒状部を前記有底筒部に対して移動させるので、軸方向に沿って肉厚が階段状に変化する有底筒部への平角導線のエッジワイズ巻きが容易となる。
【0119】
請求項15記載の巻設方法は、請求項13記載の電磁装置に用いられる巻設方法であって、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線を前記ボビンのテーパ状の有底筒部に巻設する際に一対の半筒状部を離合自在に設けてなる治具を使用し、前記有底筒部に前記平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を前記治具の一対の半筒状部で保持しながら、前記平角導線の巻数に応じて前記治具を前記有底筒部に対して移動させるので、軸方向に沿って肉厚がテーパ状に変化する有底筒部への平角導線のエッジワイズ巻きが容易となる。
【0120】
請求項16記載の高電圧発生装置は、請求項1から13のいずれかに記載の電磁装置をパルストランスとして備えるとともに、スイッチ手段と、このスイッチ手段を介して前記パルストランスの1次巻線と並列に接続されるコンデンサとを備えるので、小型化に平行して推し進められている環境に優しい無水銀化のHIDランプに適した高電圧発生装置の提供が可能となる。
【0121】
請求項17記載の発明は、請求項16記載の高電圧発生装置において、前記パルストランス、前記スイッチ手段および前記コンデンサを少なくとも収容し、放電ランプのランプ口金が装着される装置本体を備え、この装置本体に装着された前記放電ランプのランプ口金は、前記パルストランスの2次巻線と電気的に接続されるので、小型化に平行して推し進められている環境に優しい無水銀化のHIDランプに適した高電圧発生装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁装置の構造説明図である(第1実施形態)。
【図2】同電磁装置の従来の電磁装置に対する出力電圧の改善効果を示す図である。
【図3】電磁装置の構造説明図である(第2実施形態)。
【図4】同電磁装置の組立説明図である。
【図5】同電磁装置をパルストランスとして使用した高電圧発生装置の模式図である。
【図6】電磁装置の構造説明図である(第3実施形態)。
【図7】電磁装置の構造説明図である(第4実施形態)。
【図8】同電磁装置の変形例を示す図である。
【図9】電磁装置の構造説明図である(第5実施形態)。
【図10】同電磁装置に使用される磁気コアの構造説明図である。
【図11】電磁装置の構造説明図である(第6実施形態)。
【図12】同電磁装置の変形例を示す図である。
【図13】電磁装置の構造説明図である(第7実施形態)。
【図14】電磁装置の構造説明図である(第8実施形態)。
【図15】同電磁装置の概略斜視図である。
【図16】電磁装置の構造説明図である(第9実施形態)。
【図17】同電磁装置をボビンのフランジ部側から見た図である。
【図18】電磁装置の構造説明図である(第10実施形態)。
【図19】同電磁装置をボビンのフランジ部側から見た図である。
【図20】同電磁装置の変形例を示す図である。
【図21】電磁装置の構造説明図である(第11実施形態)。
【図22】電磁装置の構造説明図である(第12実施形態)。
【図23】巻設方法の説明図である(第13実施形態)。
【図24】巻設方法の説明図である(第14実施形態)。
【図25】
電磁装置の構造説明図である(第15実施形態)。
【図26】同電磁装置の概略斜視図である。
【図27】同電磁装置の変形例を示す図である。
【図28】高電圧発生装置の構造説明図である(第16実施形態)。
【図29】同高電圧発生装置の構造説明図である。
【図30】従来の高電圧発生装置の回路構成図である。
【図31】同高電圧発生装置の斜視図である。
【図32】別の従来の電磁装置の構造説明図である。
【図33】同電磁装置の構造説明図である。
【図34】同電磁装置の構造説明図である。
【図35】同電磁装置を用いた高電圧発生装置の模式図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J 電磁装置
10,10A,10B,10C,10D 磁気コア
11 1次巻線
12 2次巻線
13,13A,13B,13C,13D ボビン
130 底
130a 引出孔
131,131A 絶縁体(有底筒部)
132 つば部
133 嵌合部
14 高圧端子
15 低圧端子
16 中間端子
2 高電圧発生装置
20 装置本体
21 GAP
22 コンデンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気コアと、この磁気コアにエッジワイズ巻きで巻設される平角導線からなる2次巻線と、この2次巻線上に巻設される1次巻線とを備える電磁装置、巻設方法および高電圧発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、高輝度放電ランプ(HIDランプ)を始動点灯する放電ランプ点灯装置には、高輝度放電ランプを瞬時に始動ないし再始動するための高電圧パルスを発生するイグナイタと呼ばれる高電圧発生装置が設けられている。この高電圧発生装置は、一般に、入力の低電圧をパルス状の高電圧に変換するパルストランスと呼ばれる電磁装置を備えている。
【0003】
近年、自動車用のヘッドライトにおいて、安全性およびエコロジーを重視する観点から、従来のハロゲンランプよりも高輝度、低消費電力、長寿命である高圧放電ランプが急速に普及し、これに平行してランプソケットと高電圧発生装置との一体化が進み、そのさらなる小型化が要望されるようになってきている。
【0004】
図30は従来の高電圧発生装置の回路構成図、図31は同高電圧発生装置の斜視図である。
【0005】
図30,図31に示す高電圧発生装置2PAは、パルストランスPTと、GAP(放電ギャップ)21と、このGAP21を介してパルストランスPTの1次巻線n1と並列に接続されるコンデンサ22と、パルストランスPTの2次巻線n2の一端および放電ランプDLの一端と接続される端子T1と、放電ランプDLの他端と接続される端子T2と、コンデンサ22の両端および点灯装置EBと接続される端子T3,T4と、点灯装置EBおよび端子T2と接続される端子T5と、これらを収納ないし保持し放電ランプDLのランプ口金が装着される装置本体(ハウジング)20PAとを備えている。なお、装置本体20PAには、保護用の抵抗、ツェナーダイオード、ノイズフィルタ用コンデンサ、チョークなどが収容されることがある。なお、図31の端子T3〜T5の並びは一例である。
【0006】
高電圧発生装置2PAでは、端子T3,T4を介して点灯装置EBからコンデンサ22の両端に電圧が印加すると、コンデンサ22の両端電圧が上昇する。そして、コンデンサ22の両端電圧がGAP21のブレークダウン電圧に達すると、充電されたコンデンサ22がGAP21を介してパルストランスPTの1次巻線n1に向けて一気に放電し、その昇圧作用により2次巻線n2に高電圧パルスが発生して放電ランプDLに印加する。これにより、放電ランプDLが瞬時に始動ないし再始動する。
【0007】
このように一体化されたいわゆるイグナイタ内蔵型ランプソケットをさらに小型化するためには、部品として大きな割合を占める電磁装置(パルストランス)をさらに小型化する必要がある。
【0008】
図32〜図34に、上記問題を解決し得る従来の電磁装置(例えば特開2002−93635公報(特許文献1)等参照)を示し、図35に同電磁装置を用いた高電圧発生装置の模式図を示す。ただし、図32は電磁装置の断面図、図33は電磁装置の斜視図、図34は電磁装置の一部拡大断面図である。
【0009】
図32〜図34に示す電磁装置1PAは、低抗率(固有抵抗)の大きな特性を有するロッド形の磁気コア(Ni−Znフェライトコア)10PAと、磁気コア10PAの全周にわたって略当接して巻設される巻線12PAとを備え、絶縁皮膜12aで覆われた断面が平角状の導線12bからなる平角導線12PAを磁気コア10PAに直接エッジワイズ巻することで巻線12PAを巻設したものであり、磁気コア10PAと巻線(平角導線)12PAとの間にコイルボビン等の絶縁物を不要にすることができ、巻線12PAの外径を小さく且つ薄く形成することができ、薄型で優れた性能を持つ。なお、図中の11は高耐圧被覆を持つ1次巻線であり、1次2次巻線間の絶縁を確保するため、2次巻線としての上記巻線12PAにおける低圧側に巻設されている。
【0010】
上記電磁装置1PAをパルストランスとして使用し、図35に示すように、装置本体20PA’に電磁装置1PAを収容すれば、より小型の高電圧発生装置2PA’を得ることができる。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−93635公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、自動車用のHIDランプにおいては、上記小型化に平行して環境に優しい無水銀化も推し進められている。無水銀のHIDランプでは、水銀入りのランプに比べて低ランプ電圧および高ランプ電流となるランプ特性のため、より低い抵抗値を持つ電磁装置が必要となる。高ランプ電流の場合、パルストランスの2次側に流れる電流とその2次巻線の抵抗成分とによってパルストランスの温度が上昇し、その分効率が低下するからである。
【0013】
図32〜図34に示した電磁装置において、上記問題を解決するためには、平角導線の厚みまたは幅を拡げて断面積を増大すればよい。
【0014】
しかしながら、平角導線の厚みを厚くすると、電磁装置の軸方向の長さが勢い長くなり、図35に示した装置本体に収容できなくなる。また、平角導線の幅を拡げると、絶縁機能が低下する問題が発生する。磁気コアは小型化のため平角導線の許容曲率限界を考慮して決められ、その磁気コアに幅を拡げた平角導線をエッジワイズ巻にしたとすれば、平角導線の外側が許容曲率限界を超え、その外側の絶縁被膜が劣化することになるからである。
【0015】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、体積容量的に大型にすることなく、出力を低下させないで2次巻線の抵抗値を小さくすることができる電磁装置、巻設方法および高電圧発生装置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための請求項1記載の電磁装置は、磁気コアと、この磁気コアにエッジワイズ巻きにして2層に巻設される平角導線からなる2次巻線と、この2次巻線上に巻設される1次巻線と、前記2次巻線の各層間に介設される絶縁体とを備えることを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の電磁装置は、請求項1記載の電磁装置において、前記2次巻線における前記磁気コア側の平角導線の一端に設けられる高圧端子と、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線の一端に設けられ前記磁気コアの軸方向において前記高圧端子と同じ側に位置する低圧端子とを備えることを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の電磁装置は、請求項2記載の電磁装置において、前記2次巻線における前記磁気コア側および前記1次巻線側の両平角導線の各他端間に設けられる中間端子を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の電磁装置は、請求項1から3のいずれかに記載の電磁装置において、前記絶縁体は絶縁樹脂製のボビンの一部であり、このボビンは、前記絶縁体としての有底筒部と、この有底筒部の底側に形成されるつば部とを有する形状に形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項5記載の電磁装置は、請求項1、3または4記載の電磁装置において、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線は、前記2次巻線における前記磁気コア側の平角導線よりも幅広であることを特徴とする。
【0021】
請求項6記載の電磁装置は、請求項1から5のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、直線部を含む断面形状に形成されていることを特徴とする。
【0022】
請求項7記載の電磁装置は、請求項1から6のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、前記1次巻線および前記2次巻線が巻設される棒状部と、この棒状部の一端に設けられるフランジ部とを有する形状に形成されていることを特徴とする。
【0023】
請求項8記載の電磁装置は、請求項1から7のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、Ni−Znフェライトのコア材を含む1000Ω・m以上の抵抗率の各種コア材のいずれかからなり、前記磁気コアには前記巻線が接続される端子が設けられていることを特徴とする。
【0024】
請求項9記載の電磁装置は、請求項1から7のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、珪素鋼鈑コア材およびアモルファスコア材を含む高磁束密度の各種コア材のいずれかおよびこれにモールドされた絶縁樹脂により構成され、前記磁気コアの絶縁樹脂の部分に前記巻線が接続される端子が設けられていることを特徴とする。
【0025】
請求項10記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から9のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンは、前記有底筒部の前記つば部側に設けられランプ口金と嵌合する嵌合部をさらに有する形状に形成されていることを特徴とする。
【0026】
請求項11記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から10のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンには前記巻線が接続される端子が設けられていることを特徴とする。
【0027】
請求項12記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から11のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンは、前記有底筒部の底側に形成された凹条部および凸条部を有していることを特徴とする。
【0028】
請求項13記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から12のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンの有底筒部は、軸方向に沿って肉厚が階段状またはテーパ状に変化することを特徴とする。
【0029】
請求項14記載の巻設方法は、請求項13記載の電磁装置に用いられる巻設方法であって、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線を前記ボビンの階段状の有底筒部に巻設する際に少なくとも2重の筒状部により構成される治具を使用し、前記有底筒部に前記平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を前記治具の外側の筒状部または内側の筒状部で保持しながら、前記平角導線の巻数に応じて前記治具の外側の筒状部または内側の筒状部を前記有底筒部に対して移動させることを特徴とする。
【0030】
請求項15記載の巻設方法は、請求項13記載の電磁装置に用いられる巻設方法であって、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線を前記ボビンのテーパ状の有底筒部に巻設する際に一対の半筒状部を離合自在に設けてなる治具を使用し、前記有底筒部に前記平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を前記治具の一対の半筒状部で保持しながら、前記平角導線の巻数に応じて前記治具を前記有底筒部に対して移動させることを特徴とする。
【0031】
請求項16記載の高電圧発生装置は、請求項1から13のいずれかに記載の電磁装置をパルストランスとして備えるとともに、スイッチ手段と、このスイッチ手段を介して前記パルストランスの1次巻線と並列に接続されるコンデンサとを備えることを特徴とする。
【0032】
請求項17記載の発明は、請求項16記載の高電圧発生装置において、前記パルストランス、前記スイッチ手段および前記コンデンサを少なくとも収容し、放電ランプのランプ口金が装着される装置本体を備え、この装置本体に装着された前記放電ランプのランプ口金は、前記パルストランスの2次巻線と電気的に接続されることを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は電磁装置の構造説明図、図2は同電磁装置の従来の電磁装置に対する出力電圧の改善効果を示す図であり、これらの図を参照しながら本発明の第1実施形態について説明する。
【0034】
第1実施形態の電磁装置1は、図1に示すように、例えば円柱状の磁気コア10と、平角導線(絶縁された(絶縁皮膜で覆われた)断面が平角状の導線)からなり磁気コア10にエッジワイズ巻きにして2層に巻設される2次巻線12と、絶縁電線(図1では絶縁された(ビニルなどの絶縁体で覆われた)断面が円状の導線)からなり2次巻線12上に巻設される1次巻線11と、2次巻線12の各層間に介設される例えば筒状の絶縁体131とを備えている。
【0035】
2次巻線12における磁気コア10側の平角導線部分121は、磁気コア10に直接エッジワイズ巻きにして巻設され、2次巻線12における1次巻線11側の平角導線部分122は、絶縁体131上にエッジワイズ巻きにして巻設されている。そして、平角導線部分122上に1次巻線11が巻設されている。
【0036】
また、電磁装置1は、2次巻線12における磁気コア10側の平角導線部分121の一端(図1では右端)に接続される高圧端子14と、2次巻線12における1次巻線11側の平角導線部分122の一端に接続され磁気コア10の軸方向において高圧端子14と同じ側に位置する低圧端子15と、両平角導線部分121,122の各他端間に接続される中間端子16とを備えている。ここで、両平角導線部分121,122を互いに逆巻にすることにより、中間端子16を高圧端子14および低圧端子15と巻方向に対して反対方向に形成される。また、1次巻線11を平角導線部分122上の低圧端子15側に巻設することにより、1次巻線11および2次巻線12間の絶縁性能が2次巻線1層の従来の電磁装置と同程度となる。なお、高圧端子14は図30に示した端子T1に相当する。
【0037】
この従来の電磁装置に対する第1実施形態の電磁装置1の出力電圧の改善効果を確認するために、これらの両電磁装置に対して、1000Ω・m以上の抵抗率持つφ8mmのNi−Znフェライトコアを使用し、70μmの厚みおよび1.2mmの幅の平角導線を使用した。そして、1次巻線の巻数を5ターンとし、2次巻線の巻数を220ターンとした。ただし、電磁装置1では、平角導線部分121を110ターンとし、平角導線部分122を110ターンとし、絶縁体131を高耐圧樹脂により厚みが1mmの筒状に形成した。
【0038】
上記仕様で作製した両電磁装置に対して、800Vの電圧を1次巻線に印加したとき、出力パルス電圧(ピーク電圧)は、従来の電磁装置では図2の点P0に示すように30[kV]であったのに対し、第1実施形態の電磁装置1では図2の点P1に示すように35[kV]程度であった。また、第1実施形態の電磁装置1によれば、従来の電磁装置と同程度の出力パルス電圧を得るためには、2次巻線12の巻数が175ターン程度でよいことが分かった。
【0039】
このように、第1実施形態の電磁装置1において、高出力の改善効果が得られるのは、1次2次巻線間の結合を従来の電磁装置よりもアップさせることができることや、2次巻線に寄生する浮遊容量が変化したことなどによるものと考えられる。
【0040】
以上のように、第1実施形態によれば、体積容量的に大型にすることなく、出力を低下させないで2次巻線の抵抗値を小さくすることができる。つまり、第1実施形態の電磁装置は、従来の電磁装置よりも幅方向の寸法が大きくなるが、軸方向の長さが従来の電磁装置に比べて半分以下となるので、体積容量的には大きくならない。また、2次巻線の抵抗値は、従来の電磁装置では1.3Ωであったのに対し、第1実施形態の電磁装置ではそれよりも30%程度小さい0.9Ω程度であった。
【0041】
(第2実施形態)
図3は電磁装置の構造説明図、図4は同電磁装置の組立説明図、図5は同電磁装置をパルストランスとして使用した高電圧発生装置の模式図であり、これらの図を参照しながら本発明の第2実施形態について説明する。
【0042】
第2実施形態の電磁装置1Aは、図3に示すように、第1実施形態の電磁装置との相違点として、絶縁体131がボビン13の一部により構成されている。すなわち、ボビン13は、絶縁体131としての有底筒部(以下同符号131を使用する)と、この有底筒部131の底130側に延設されるつば部132とを一体に有する形状に絶縁樹脂により形成され、底130には、高圧端子14を有底筒部131内から引き出すための引出孔130aが穿設されている。
【0043】
次に電磁装置1Aの組立手順の一例を説明する。先ず、高圧端子14を有底筒部131内から底130の引出孔130aに通して外部に予め引き出しておく。次いで、高圧端子14をさらに引き出しながら、図4に示すように、2次巻線12における磁気コア10側の平角導線部分121がエッジワイズ巻きにして直接巻設された磁気コア10を、2次巻線12における1次巻線11側の平角導線部分122が有底筒部131上にエッジワイズ巻きにして巻設されたボビン13の有底筒部131内に挿入する。これにより、電磁装置1Aを簡単に組み立てることができる。
【0044】
なお、1次巻線11は平角導線部分122に予め巻設されていても、上記挿入後に巻設されるようにしてもよい。また、組立ては若干複雑になるが、上記挿入後に連続して、2次巻線12における1次巻線11側の平角導線部分122を有底筒部131上にエッジワイズ巻きにして巻設するようにしてもよい。
【0045】
そして、組立後の電磁装置1Aは、図5に示す高電圧発生装置2のパルストランスとして使用される。高電圧発生装置2は、パルストランスとしての電磁装置1Aに加えて、スイッチ手段としてのGAP21と、このGAP21を介してパルストランスの1次巻線11と並列に接続されるコンデンサ22と、これらパルストランス、GAP21およびコンデンサ22を収容し、図示しない放電ランプのランプ口金が装着される装置本体20とを備え、装置本体20に装着された放電ランプのランプ口金がパルストランスの2次巻線12と電気的に接続されるようになっている。ここで、電磁装置1Aは軸方向の長さの短い円筒状になっているので、装置本体20を大型にしなくてもその内部への組込みが可能となる。また、図5中のT3〜T5は図30,図31のそれらと同様の端子である。
【0046】
以上のように、有底筒部131とつば部132とを有する形状にボビン13を形成することにより、1次巻線11および2次巻線12間の絶縁耐圧性能を確保することができるとともに、高圧端子14と低圧端子15との間の沿面距離を長くすることができ、それら端子間の絶縁機能を向上させることができる。また、磁気コア10および平角導線部分121が有底筒部131の底130によって固定され、磁気コア10および平角導線部分121と平角導線部分122との位置ずれを防止することができるので、特性のバラツキを抑えることができる。
【0047】
(第3実施形態)
図6は電磁装置の構造説明図であり、この図を参照しながら本発明の第3実施形態について説明する。
【0048】
第3実施形態の電磁装置1Bは、図6に示すように、第2実施形態の電磁装置との相違点として、2次巻線12に代えて2次巻線12Aを備えている。すなわち、2次巻線12Aにおける1次巻線11側の平角導線部分122Aが、2次巻線12における磁気コア10側の平角導線部分121よりも幅広である点で、第2実施形態の電磁装置と相違している。
【0049】
ここで、2次巻線に平角導線を使用して磁気コアに巻設すると、平角導線の外周側が伸びるので、平角導線の許容曲率限界を超えると平角導線の外周側の絶縁機能が低下する。このため、2次巻線12Aにおける磁気コア10側の平角導線部分121は、2次巻線1層の従来の電磁装置と同様に、磁気コアの径によって曲げ制限を受け、従来の電磁装置の限界よりも幅を広げることができない。これに対し、2次巻線12Aにおける1次巻線11側の平角導線部分122Aは、磁気コアの径ではなくこれよりも大きい有底筒部131の径によって曲げ制限を受けるので、2次巻線12Aにおける磁気コア10側の平角導線部分121よりも幅を広げることができる。
【0050】
以上のように、2次巻線12Aにおける1次巻線11側の平角導線部分122Aを、2次巻線12Aにおける磁気コア10側の平角導線部分121よりも幅広にできるので、その幅広の分だけ2次巻線12Aの抵抗値をさらに小さくすることができる。
【0051】
(第4実施形態)
図7は電磁装置の構造説明図であり、この図を参照しながら本発明の第4実施形態について説明する。
【0052】
第4実施形態の電磁装置は、図7に示すように、第1から第3のいずれかの実施形態の電磁装置との相違点として、磁気コア10に代えて、断面形状が直線部を含む円状となる磁気コア10Aを備え、2次巻線における平角導線部分121が巻設された磁気コア10Aの断面形状に、ボビン13の有底筒部131の穴形状を合わせた構造になっている。
【0053】
この構造の電磁装置によれば、磁気コア10Aおよびこれに直接巻設された平角導線部分121がボビン13に対して回転しなくなるので、固定するべき各端子の位置決めが容易となり、組立作業性が良くなる。
【0054】
なお、第4実施形態では、断面形状が直線部を含む円状となる磁気コア10Aを備える構造になっているが、これに限らず、図8に示すように、断面形状が直線部を含む楕円状となる磁気コア10Bを備え、2次巻線の平角導線部分121が巻設された磁気コア10Bの断面形状に、ボビン13の有底筒部131の穴形状を合わせた構造でもよく、第4実施形態と同様の効果が得られる。
【0055】
(第5実施形態)
図9は電磁装置の構造説明図、図10は同電磁装置に使用される磁気コアの構造説明図であり、これらの図を参照しながら本発明の第5実施形態について説明する。
【0056】
第5実施形態の電磁装置1Cは、図9に示すように、第3実施形態の電磁装置との相違点として、磁気コア10に代えて磁気コア10Cを備えている。すなわち、磁気コア10Cは、図10に示すように、1次巻線11および2次巻線12Aが巻設される棒状(図では円柱状)部101と、この棒状部101の一端に設けられるフランジ部102とを一体に有する形状に形成されている。
【0057】
この電磁装置1Cでは、磁気コア10Cのフランジ部102により当該電磁装置1Cで発生する漏れ磁束を抑制するため、同じパルス出力電圧を得るのに2次巻線の巻数をさらに少なくし、抵抗値をさらに小さくすることができる。また、漏れ磁束を抑制するので、ノイズ抑制の目的で設けられる電磁シールドカバー付のランプソケットに当該電磁装置1Cを内蔵した場合にも、出力パルス電圧の減衰を抑えることができる。さらに、磁気コアのフランジ部102で中間端子16側の2次巻線12Aを固定することができ、組立作業性が良くなる。
【0058】
(第6実施形態)
図11は電磁装置の構造説明図であり、この図を参照しながら本発明の第6実施形態について説明する。
【0059】
第6実施形態の電磁装置は、図11に示すように、第1実施形態の電磁装置との相違点として、円柱状の磁気コア10の両端面中央に高圧端子14および中間端子16がそれぞれ固着された構造になっている。
【0060】
ただし、図11の例では、高圧端子14の先端部は、ばね性を有しランプ口金に嵌合する断面コ字状に形成されている。また、第6実施形態の磁気コア10として、第1実施形態と同様のNi−Znフェライトコアが使用されるので、磁気コア10に直接高圧端子14および中間端子16を固着しても絶縁上の問題はない。
【0061】
第6実施形態の電磁装置では、巻線が接続される端子を直接磁気コア10に固着することができるので、組立作業性が良くなる。また、配線の引回し長を短くすることができるので、安全性向上のために高圧配線の引回しを短くすることができるほか、配線材の使用量削減が可能となる。
【0062】
なお、第6実施形態では、円柱状の磁気コア10の両端面中央に高圧端子14および中間端子16がそれぞれ固着された構造になっているが、例えば、第5実施形態において、図12に示すように、磁気コア10Cの棒状(円柱状)部101の端面中央に高圧端子14が固着され、磁気コア10Cのフランジ部102の外周縁に中間端子16が固着された構造でもよく、第6実施形態と同様の効果が得られる。ただし、図12の磁気コア10Cも第1実施形態と同様のNi−Znフェライトコアであるとする。
【0063】
(第7実施形態)
図13は電磁装置の構造説明図であり、この図を参照しながら本発明の第7実施形態について説明する。
【0064】
第7実施形態の電磁装置は、図13に示すように、第1実施形態の電磁装置との相違点として、磁気コア10に代えて、珪素鋼鈑コア材およびアモルファスコア材を含む高磁束密度の各種金属系コア材のいずれかの金属系コア材101Dからなり、絶縁樹脂でモールドされた円柱状の磁気コア10Dを備え、磁気コア10Dの両端面中央のモールド部分(絶縁樹脂)102Dに高圧端子14および中間端子16がそれぞれ固着された構造になっている。
【0065】
第7実施形態の電磁装置でも、配線の引回し長を短くすることができるので、安全性向上のために高圧配線の引回しを短くすることができるほか、配線材の使用量削減が可能となる。また、2次側の抵抗値を小さくすることができる。
【0066】
(第8実施形態)
図14は電磁装置の構造説明図、図15は同電磁装置の概略斜視図であり、これらの図を参照しながら本発明の第8実施形態について説明する。
【0067】
第8実施形態の電磁装置1Dは、図14,図15に示すように、第2実施形態の電磁装置との相違点として、ボビン13に代えて、図示しないランプ口金と嵌合する嵌合部133が有底筒部131のつば部132側(図では底130)にさらに一体的に形成されているボビン13Aを備え、円柱状の磁気コア10の両端面中央に高圧端子14および中間端子16がそれぞれ固着された構造になっている。
【0068】
嵌合部133は、第6実施形態と同様に先端部がばね性を有しランプ口金に嵌合する断面コ字状に形成された高圧端子14を挿入するためのものであって引出孔130aに連設された内筒状部133aと、これを同軸に囲繞する外筒状部133bとにより構成されている。なお、図14,図15において、T2は図30と同様の端子であり、17はその端子T2と接続される端子である。また、18は1次巻線11の両端に接続される端子である。
【0069】
この電磁装置1Dによれば、放電ランプを支持固定する部材を別に用意する必要がなく、部品点数を削減でき、組立作業性も向上する。また、高圧端子14と、低圧端子15、端子17および一対の端子18との間の沿面距離を長くし、高圧−低圧端子間の絶縁機能を高めることができる。
【0070】
(第9実施形態)
図16は電磁装置の構造説明図、図17は同電磁装置をボビンのフランジ部側から見た図であり、これらの図を参照しながら本発明の第9実施形態について説明する。
【0071】
第9実施形態の電磁装置1Eは、図16,図17に示すように、第8実施形態の電磁装置との相違点として、低圧端子15、端子17および一対の端子18がボビン13Aのつば部132の外周縁に固着された構造になっている。ただし、それらピン状の端子が固着される部分は、矩形面状に切り欠かれている。また、その矩形面状の部分にその他の端子を固着するようにしてもよい。
【0072】
この電磁装置1Eによれば、絶縁性を確保して各端子を安定に固定することができ、組立作業性をより向上させることができる。さらに、配線の引回し長を短くすることができるので、安全性向上のために高圧配線の引回しを短くすることができるほか、配線材の使用量削減が可能となる。
【0073】
(第10実施形態)
図18は電磁装置の構造説明図、図19は同電磁装置をボビンのフランジ部側から見た図であり、これらの図を参照しながら本発明の第10実施形態について説明する。
【0074】
第10実施形態の電磁装置1Fは、図18,図19に示すように、第2実施形態の電磁装置との相違点として、ボビン13に代えて、有底筒部131の底130外面およびこれに連なるつば部132の面に、円状の凹条部134および凸条部135が複数条交互に同心となるように形成されているボビン13Bを備え、ボビン13Bのつば部132の外周縁に低圧端子15および一対の端子18が固着された構造になっている。
【0075】
ただし、それらピン状の端子が固着される部分は、矩形面状に切り欠かれている。また、高圧端子14の先端部は、ばね性を有しランプ口金に嵌合する断面コ字状に形成され、引出孔130aは、高圧端子14の先端部を挿通可能な径に設定されている。
【0076】
この電磁装置1Fによれば、高圧端子14と低圧端子15および一対の端子18との間に複数条の凹条部134および凸条部135が介在して沿面距離が長くなるから、高圧−低圧端子間の絶縁機能を向上させることができる。
【0077】
なお、第10実施形態では、有底筒部131の底130外面およびこれに連なるつば部132の面に、円状の凹条部134および凸条部135が複数条交互に同心となるように形成された構造になっているが、図20に示すように同心でなくても良い。図20に示す構造では、半円状の突条部135aが多めに形成されているので、第10実施形態よりも高圧−低圧端子間の絶縁機能を向上させることができる。
【0078】
(第11実施形態)
図21は電磁装置の構造説明図であり、この図を参照しながら本発明の第11実施形態について説明する。
【0079】
第11実施形態の電磁装置1Gは、図21に示すように、第2実施形態の電磁装置との相違点として、ボビン13に代えてボビン13Cを備え、ばね性を有しランプ口金に嵌合する断面コ字状に形成された先端部を持つ高圧端子14が、円柱状の磁気コア10の端面中央に固着され、1次巻線11が後述の有底筒部131Aの開口A側に巻設された構造になっている。
【0080】
ボビン13Cは、有底筒部131Aが軸方向に沿って肉厚が階段状に1段変化し、底130側の肉厚の方が開口A側の肉厚よりも厚くなっている点、引出孔130aが高圧端子14の先端部を挿通可能な径に設定されている点で、ボビン13と相違している。有底筒部131Aの底130側の肉厚は、2次巻線12における平角導線部分121の高圧端子側と平角導線部分122の低圧端子側との間の所定の絶縁機能を確保する厚みに設定され、有底筒部131Aの開口A側の肉厚は、2次巻線12の中間端子側において平角導線部分121,122間の電位差が低くなった分だけ薄い厚みに設定されている。
【0081】
この電磁装置1Gによれば、有底筒部131Aの厚みの薄い方に巻設される2次巻線12の巻径が小さくなってその線長が短くなるので、2次巻線12の抵抗値を小さくすることができる。また、有底筒部131Aの厚みの薄い方に1次巻線11を巻設することにより、電磁装置1Gの小型化が可能となる。
【0082】
(第12実施形態)
図22は電磁装置の構造説明図であり、この図を参照しながら本発明の第12実施形態について説明する。
【0083】
第12実施形態の電磁装置1Hは、図22に示すように、第11実施形態の電磁装置との相違点として、ボビン13Cに代えて、有底筒部131Bが軸方向に沿って肉厚がテーパ状に変化し、底130側ほど肉厚がより厚くなるボビン13Dを備えている。
【0084】
有底筒部131Bの肉厚は、2次巻線12における平角導線部分121の高圧端子側と平角導線部分122の低圧端子側との間の所定の絶縁機能を確保するように設定され、2次巻線12の中間端子側ほど平角導線部分121,122間の電位差がより低くなるので、それに応じて厚みが連続的に薄くなるように設定されている。
【0085】
この電磁装置1Hでも、有底筒部131Bの厚みの薄い方に巻設される2次巻線12の巻径が小さくなってその線長が短くなるので、2次巻線12の抵抗値を小さくすることができる。また、有底筒部131Bの厚みの薄い方に1次巻線11を巻設することにより、電磁装置1Hの小型化が可能となる。
【0086】
(第13実施形態)
図23は第11実施形態の電磁装置に用いられる巻設方法の説明図であり、この図を参照しながら本発明の第13実施形態について説明する。
【0087】
第13実施形態の巻設方法では、図23に示すように、第11実施形態の電磁装置1Gの2次巻線における1次巻線11側の平角導線部分122を、ボビン13Cの階段状の有底筒部131Aに巻設する際に、治具3が使用される。
【0088】
治具3は、有底筒部131Aの開口A側の外径と同じか若干大きめの内径寸法に設定されるとともに、有底筒部131Aの底130側の外径と同じか若干大きめの外径寸法に設定された筒状部31と、この筒状部31の外径と同じか若干大きめの内径寸法に設定された筒状部32とにより構成されている。
【0089】
次に第13実施形態の巻設方法について説明する。先ず、有底筒部131Aの開口A側を、治具3の筒状部31内にこの先端が段差Bに当たるまで填め込む。
【0090】
この後、図23(a)に示すように、有底筒部131Aの底側130に平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を外側の筒状部32で保持し(押さえ)ながら、平角導線の巻数の増大に応じて筒状部32を底130側から離していく。
【0091】
この後、有底筒部131Aにおける肉厚の厚い部分への平角導線のエッジワイズ巻きが完了すれば、図23(b)に示すように、有底筒部131Aの開口側に平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を内側の筒状部31で保持しながら、平角導線の巻数の増大に応じて筒状部31,32を底130側から離していく。この後、有底筒部131Aにおける肉厚の薄い部分への平角導線のエッジワイズ巻きが完了すれば、有底筒部131Aへの平角導線部分122の巻設が完了する。
【0092】
このように、治具3を使用することにより、軸方向に沿って肉厚が階段状に変化する有底筒部131Aへの平角導線のエッジワイズ巻きが容易となる。
【0093】
(第14実施形態)
図24は第12実施形態の電磁装置に用いられる巻設方法の説明図であり、この図を参照しながら本発明の第14実施形態について説明する。
【0094】
第14実施形態の巻設方法では、図24に示すように、第12実施形態の電磁装置1Hの2次巻線における1次巻線11側の平角導線部分122を、ボビン13Dのテーパ状の有底筒部131Bに巻設する際に、一対の半筒状部31A,32Aをばね33により離合自在に設けてなる治具3Aが使用される。
【0095】
次に第14実施形態の巻設方法について説明する。先ず、有底筒部131Bの開口A側を治具3Aに填め込む。
【0096】
この後、図24(a)に示すように、有底筒部131Bに平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を治具131Bで保持しながら、平角導線の巻数の増大に応じて治具3Aを底130側から離していく。このとき、ばね33により、一対の半筒状部31A,32Aは径が変わる有底筒部131Bに常に密着した状態となるので、エッジワイズ巻きにした平角導線を好適に保持することができる。
【0097】
このように、治具3Aを使用することにより、軸方向に沿って肉厚がテーパ状に変化する有底筒部131Bへの平角導線のエッジワイズ巻きが容易となる。
【0098】
(第15実施形態)
図25は電磁装置の構造説明図、図26は同電磁装置の概略斜視図であり、これらの図を参照しながら本発明の第15実施形態について説明する。
【0099】
第15実施形態の電磁装置1Jは、図25,図26に示すように、第9実施形態の電磁装置との相違点として、磁気コア10に代えて第5実施形態と同様の磁気コア10Cを備え、この磁気コア10Cのフランジ部102の外周縁に中間端子16が固着され、1次巻線11が平角導線部分122の中央寄りに巻設され、嵌合部133、低圧端子15、端子17および一対の端子18を露出させた状態でそれら以外を絶縁樹脂19により封止成形した構造になっている。
【0100】
この電磁装置1Jによれば、例えば高電圧発生装置などの各種装置への組込み部品としての利用が可能となる。
【0101】
なお、第15実施形態では、断面が円状の導線からなる1次巻線11が巻設された構成になっているが、これに限らず、図27に示すように、平角導線(絶縁された(絶縁皮膜で覆われた)断面が平角状の導線)からなる1次巻線11Aが巻設された構成でもよい。また、中間端子16も露出させるようにしてもよい。
【0102】
(第16実施形態)
図28,図29は高電圧発生装置の構造説明図であり、これらの図を参照しながら本発明の第16実施形態について説明する。
【0103】
第16実施形態の高電圧発生装置2Aは、図28,図29に示すように、第16実施形態の電磁装置1Jをパルストランスとして備えるとともに、スイッチ手段としてのGAP21と、このGAP21を介してパルストランスの1次巻線11と並列に接続されるコンデンサ22と、これらパルストランス、GAP21およびコンデンサ22を収容し、図示しない放電ランプのランプ口金が装着される装置本体20とを備え、装置本体20に装着された放電ランプのランプ口金がパルストランスの2次巻線12と電気的に接続されるようになっている。
【0104】
この高電圧発生装置2Aでは、電磁装置1Jにより、体積容量的に大型にすることなく、出力を低下させないで2次巻線の抵抗値を小さくすることができるほか、組立てが容易であり、GAP(放電ギャップ)21およびコンデンサ22等との絶縁を考慮した配線も容易にできる。
【0105】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、請求項1記載の電磁装置は、磁気コアと、この磁気コアにエッジワイズ巻きにして2層に巻設される平角導線からなる2次巻線と、この2次巻線上に巻設される1次巻線と、前記2次巻線の各層間に介設される絶縁体とを備えるので、体積容量的に大型にすることなく、出力を低下させないで2次巻線の抵抗値を小さくすることができる。
【0106】
請求項2記載の電磁装置は、請求項1記載の電磁装置において、前記2次巻線における前記磁気コア側の平角導線の一端に設けられる高圧端子と、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線の一端に設けられ前記磁気コアの軸方向において前記高圧端子と同じ側に位置する低圧端子とを備えるのであり、この構成でも、体積容量的に大型にすることなく、出力を低下させないで2次巻線の抵抗値を小さくすることができる。
【0107】
請求項3記載の電磁装置は、請求項2記載の電磁装置において、前記2次巻線における前記磁気コア側および前記1次巻線側の両平角導線の各他端間に設けられる中間端子を備えるのであり、この構成でも、体積容量的に大型にすることなく、出力を低下させないで2次巻線の抵抗値を小さくすることができる。
【0108】
請求項4記載の電磁装置は、請求項1から3のいずれかに記載の電磁装置において、前記絶縁体は絶縁樹脂製のボビンの一部であり、このボビンは、前記絶縁体としての有底筒部と、この有底筒部の底側に形成されるつば部とを有する形状に形成されているので、例えば、1次巻線および2次巻線間の絶縁耐圧性能を確保することができるとともに、それらに接続される端子間の沿面距離を長くすることができ、絶縁機能を向上させることができる。
【0109】
請求項5記載の電磁装置は、請求項1、3または4記載の電磁装置において、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線は、前記2次巻線における前記磁気コア側の平角導線よりも幅広であるので、平角導線の絶縁機能を低下させることなく2次巻線の抵抗値をさらに小さくすることができる。
【0110】
請求項6記載の電磁装置は、請求項1から5のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、直線部を含む断面形状に形成されているので、磁気コア側が絶縁体に対して回転しなくなるため、固定するべき各端子の位置決めが容易となり、組立作業性が良くなる。
【0111】
請求項7記載の電磁装置は、請求項1から6のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、前記1次巻線および前記2次巻線が巻設される棒状部と、この棒状部の一端に設けられるフランジ部とを有する形状に形成されているので、磁気コアのフランジ部により当該電磁装置で発生する漏れ磁束を抑制するため、同じパルス出力電圧を得るのに2次巻線の巻数をさらに少なくし、抵抗値をさらに小さくすることができる。
【0112】
請求項8記載の電磁装置は、請求項1から7のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、Ni−Znフェライトのコア材を含む1000Ω・m以上の抵抗率の各種コア材のいずれかからなり、前記磁気コアには前記巻線が接続される端子が設けられているので、巻線が接続される端子を直接磁気コアに固着することができ、組立作業性が良くなる。また、配線の引回し長を短くすることができるので、安全性向上のために高圧配線の引回しを短くすることができるほか、配線材の使用量削減が可能となる。
【0113】
請求項9記載の電磁装置は、請求項1から7のいずれかに記載の電磁装置において、前記磁気コアは、珪素鋼鈑コア材およびアモルファスコア材を含む高磁束密度の各種コア材のいずれかおよびこれにモールドされた絶縁樹脂により構成され、前記磁気コアの絶縁樹脂の部分に前記巻線が接続される端子が設けられているので、配線の引回し長を短くすることができるため、安全性向上のために高圧配線の引回しを短くすることができるほか、配線材の使用量削減が可能となる。
【0114】
請求項10記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から9のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンは、前記有底筒部の前記つば部側に設けられランプ口金と嵌合する嵌合部をさらに有する形状に形成されているので、放電ランプを支持固定する部材を別に用意する必要がなく、部品点数を削減でき、組立作業性も向上する。
【0115】
請求項11記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から10のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンには前記巻線が接続される端子が設けられているので、絶縁性を確保して各端子を安定に固定することができ、組立作業性をより向上させることができる。
【0116】
請求項12記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から11のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンは、前記有底筒部の底側に形成された凹条部および凸条部を有しているので、沿面距離を長くし、高圧−低圧端子間の絶縁機能を向上させることができる。
【0117】
請求項13記載の電磁装置は、請求項4またはこれに従属する請求項5から12のいずれかに記載の電磁装置において、前記ボビンの有底筒部は、軸方向に沿って肉厚が階段状またはテーパ状に変化するので、有底筒部の厚みの薄い方に巻設される2次巻線の巻径が小さくなってその線長が短くなり、これにより2次巻線の抵抗値を小さくすることができる。
【0118】
請求項14記載の巻設方法は、請求項13記載の電磁装置に用いられる巻設方法であって、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線を前記ボビンの階段状の有底筒部に巻設する際に少なくとも2重の筒状部により構成される治具を使用し、前記有底筒部に前記平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を前記治具の外側の筒状部または内側の筒状部で保持しながら、前記平角導線の巻数に応じて前記治具の外側の筒状部または内側の筒状部を前記有底筒部に対して移動させるので、軸方向に沿って肉厚が階段状に変化する有底筒部への平角導線のエッジワイズ巻きが容易となる。
【0119】
請求項15記載の巻設方法は、請求項13記載の電磁装置に用いられる巻設方法であって、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線を前記ボビンのテーパ状の有底筒部に巻設する際に一対の半筒状部を離合自在に設けてなる治具を使用し、前記有底筒部に前記平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を前記治具の一対の半筒状部で保持しながら、前記平角導線の巻数に応じて前記治具を前記有底筒部に対して移動させるので、軸方向に沿って肉厚がテーパ状に変化する有底筒部への平角導線のエッジワイズ巻きが容易となる。
【0120】
請求項16記載の高電圧発生装置は、請求項1から13のいずれかに記載の電磁装置をパルストランスとして備えるとともに、スイッチ手段と、このスイッチ手段を介して前記パルストランスの1次巻線と並列に接続されるコンデンサとを備えるので、小型化に平行して推し進められている環境に優しい無水銀化のHIDランプに適した高電圧発生装置の提供が可能となる。
【0121】
請求項17記載の発明は、請求項16記載の高電圧発生装置において、前記パルストランス、前記スイッチ手段および前記コンデンサを少なくとも収容し、放電ランプのランプ口金が装着される装置本体を備え、この装置本体に装着された前記放電ランプのランプ口金は、前記パルストランスの2次巻線と電気的に接続されるので、小型化に平行して推し進められている環境に優しい無水銀化のHIDランプに適した高電圧発生装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁装置の構造説明図である(第1実施形態)。
【図2】同電磁装置の従来の電磁装置に対する出力電圧の改善効果を示す図である。
【図3】電磁装置の構造説明図である(第2実施形態)。
【図4】同電磁装置の組立説明図である。
【図5】同電磁装置をパルストランスとして使用した高電圧発生装置の模式図である。
【図6】電磁装置の構造説明図である(第3実施形態)。
【図7】電磁装置の構造説明図である(第4実施形態)。
【図8】同電磁装置の変形例を示す図である。
【図9】電磁装置の構造説明図である(第5実施形態)。
【図10】同電磁装置に使用される磁気コアの構造説明図である。
【図11】電磁装置の構造説明図である(第6実施形態)。
【図12】同電磁装置の変形例を示す図である。
【図13】電磁装置の構造説明図である(第7実施形態)。
【図14】電磁装置の構造説明図である(第8実施形態)。
【図15】同電磁装置の概略斜視図である。
【図16】電磁装置の構造説明図である(第9実施形態)。
【図17】同電磁装置をボビンのフランジ部側から見た図である。
【図18】電磁装置の構造説明図である(第10実施形態)。
【図19】同電磁装置をボビンのフランジ部側から見た図である。
【図20】同電磁装置の変形例を示す図である。
【図21】電磁装置の構造説明図である(第11実施形態)。
【図22】電磁装置の構造説明図である(第12実施形態)。
【図23】巻設方法の説明図である(第13実施形態)。
【図24】巻設方法の説明図である(第14実施形態)。
【図25】
電磁装置の構造説明図である(第15実施形態)。
【図26】同電磁装置の概略斜視図である。
【図27】同電磁装置の変形例を示す図である。
【図28】高電圧発生装置の構造説明図である(第16実施形態)。
【図29】同高電圧発生装置の構造説明図である。
【図30】従来の高電圧発生装置の回路構成図である。
【図31】同高電圧発生装置の斜視図である。
【図32】別の従来の電磁装置の構造説明図である。
【図33】同電磁装置の構造説明図である。
【図34】同電磁装置の構造説明図である。
【図35】同電磁装置を用いた高電圧発生装置の模式図である。
【符号の説明】
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G,1H,1J 電磁装置
10,10A,10B,10C,10D 磁気コア
11 1次巻線
12 2次巻線
13,13A,13B,13C,13D ボビン
130 底
130a 引出孔
131,131A 絶縁体(有底筒部)
132 つば部
133 嵌合部
14 高圧端子
15 低圧端子
16 中間端子
2 高電圧発生装置
20 装置本体
21 GAP
22 コンデンサ
Claims (17)
- 磁気コアと、この磁気コアにエッジワイズ巻きにして2層に巻設される平角導線からなる2次巻線と、この2次巻線上に巻設される1次巻線と、前記2次巻線の各層間に介設される絶縁体とを備えることを特徴とする電磁装置。
- 前記2次巻線における前記磁気コア側の平角導線の一端に設けられる高圧端子と、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線の一端に設けられ前記磁気コアの軸方向において前記高圧端子と同じ側に位置する低圧端子とを備えることを特徴とする請求項1記載の電磁装置。
- 前記2次巻線における前記磁気コア側および前記1次巻線側の両平角導線の各他端間に設けられる中間端子を備えることを特徴とする請求項2記載の電磁装置。
- 前記絶縁体は絶縁樹脂製のボビンの一部であり、このボビンは、前記絶縁体としての有底筒部と、この有底筒部の底側に形成されるつば部とを有する形状に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電磁装置。
- 前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線は、前記2次巻線における前記磁気コア側の平角導線よりも幅広であることを特徴とする請求項1、3または4記載の電磁装置。
- 前記磁気コアは、直線部を含む断面形状に形成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電磁装置。
- 前記磁気コアは、前記1次巻線および前記2次巻線が巻設される棒状部と、この棒状部の一端に設けられるフランジ部とを有する形状に形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電磁装置。
- 前記磁気コアは、Ni−Znフェライトのコア材を含む1000Ω・m以上の抵抗率の各種コア材のいずれかからなり、前記磁気コアには前記巻線が接続される端子が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電磁装置。
- 前記磁気コアは、珪素鋼鈑コア材およびアモルファスコア材を含む高磁束密度の各種コア材のいずれかおよびこれにモールドされた絶縁樹脂により構成され、前記磁気コアの絶縁樹脂の部分に前記巻線が接続される端子が設けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電磁装置。
- 前記ボビンは、前記有底筒部の前記つば部側に設けられランプ口金と嵌合する嵌合部をさらに有する形状に形成されていることを特徴とする請求項4またはこれに従属する請求項5から9のいずれかに記載の電磁装置。
- 前記ボビンには前記巻線が接続される端子が設けられていることを特徴とする請求項4またはこれに従属する請求項5から10のいずれかに記載の電磁装置。
- 前記ボビンは、前記有底筒部の底側に形成された凹条部および凸条部を有していることを特徴とする請求項4またはこれに従属する請求項5から11のいずれかに記載の電磁装置。
- 前記ボビンの有底筒部は、軸方向に沿って肉厚が階段状またはテーパ状に変化することを特徴とする請求項4またはこれに従属する請求項5から12のいずれかに記載の電磁装置。
- 請求項13記載の電磁装置に用いられる巻設方法であって、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線を前記ボビンの階段状の有底筒部に巻設する際に少なくとも2重の筒状部により構成される治具を使用し、前記有底筒部に前記平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を前記治具の外側の筒状部または内側の筒状部で保持しながら、前記平角導線の巻数に応じて前記治具の外側の筒状部または内側の筒状部を前記有底筒部に対して移動させることを特徴とする巻設方法。
- 請求項13記載の電磁装置に用いられる巻設方法であって、前記2次巻線における前記1次巻線側の平角導線を前記ボビンのテーパ状の有底筒部に巻設する際に一対の半筒状部を離合自在に設けてなる治具を使用し、前記有底筒部に前記平角導線をエッジワイズ巻きにするとともに、そのエッジワイズ巻きにした平角導線を前記治具の一対の半筒状部で保持しながら、前記平角導線の巻数に応じて前記治具を前記有底筒部に対して移動させることを特徴とする巻設方法。
- 請求項1から13のいずれかに記載の電磁装置をパルストランスとして備えるとともに、スイッチ手段と、このスイッチ手段を介して前記パルストランスの1次巻線と並列に接続されるコンデンサとを備えることを特徴とする高電圧発生装置。
- 前記パルストランス、前記スイッチ手段および前記コンデンサを少なくとも収容し、放電ランプのランプ口金が装着される装置本体を備え、この装置本体に装着された前記放電ランプのランプ口金は、前記パルストランスの2次巻線と電気的に接続されることを特徴とする請求項16記載の高電圧発生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002268454A JP2004111451A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | 電磁装置、巻設方法および高電圧発生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002268454A JP2004111451A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | 電磁装置、巻設方法および高電圧発生装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004111451A true JP2004111451A (ja) | 2004-04-08 |
Family
ID=32266661
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002268454A Withdrawn JP2004111451A (ja) | 2002-09-13 | 2002-09-13 | 電磁装置、巻設方法および高電圧発生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004111451A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004207405A (ja) * | 2002-12-24 | 2004-07-22 | Matsushita Electric Works Ltd | 電磁装置および高電圧発生装置 |
JP2006080532A (ja) * | 2004-09-10 | 2006-03-23 | Patent Treuhand Ges Elektr Gluehlamp Mbh | 変圧器および変圧器を備えた点弧装置並びに変圧器を備えた高圧放電ランプ |
WO2006126289A1 (ja) * | 2005-05-26 | 2006-11-30 | Minebea Co., Ltd. | 高圧トランス |
DE112006003787T5 (de) | 2006-03-13 | 2009-01-02 | Mitsubishi Electric Corp. | Hochspannung erzeugender Transformator für eine Entladungslampenbeleuchtungsvorrichtung |
KR20180111462A (ko) * | 2017-03-30 | 2018-10-11 | 스미다 코포레이션 가부시키가이샤 | 트랜스 및 트랜스의 제조방법 |
-
2002
- 2002-09-13 JP JP2002268454A patent/JP2004111451A/ja not_active Withdrawn
Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004207405A (ja) * | 2002-12-24 | 2004-07-22 | Matsushita Electric Works Ltd | 電磁装置および高電圧発生装置 |
JP4506078B2 (ja) * | 2002-12-24 | 2010-07-21 | パナソニック電工株式会社 | 電磁装置および高電圧発生装置 |
JP2006080532A (ja) * | 2004-09-10 | 2006-03-23 | Patent Treuhand Ges Elektr Gluehlamp Mbh | 変圧器および変圧器を備えた点弧装置並びに変圧器を備えた高圧放電ランプ |
WO2006126289A1 (ja) * | 2005-05-26 | 2006-11-30 | Minebea Co., Ltd. | 高圧トランス |
DE112006003787T5 (de) | 2006-03-13 | 2009-01-02 | Mitsubishi Electric Corp. | Hochspannung erzeugender Transformator für eine Entladungslampenbeleuchtungsvorrichtung |
US7652550B2 (en) | 2006-03-13 | 2010-01-26 | Mitsubishi Electric Corporation | High-voltage generating transformer for discharge lamp lighting apparatus |
KR20180111462A (ko) * | 2017-03-30 | 2018-10-11 | 스미다 코포레이션 가부시키가이샤 | 트랜스 및 트랜스의 제조방법 |
KR101995737B1 (ko) | 2017-03-30 | 2019-07-03 | 스미다 코포레이션 가부시키가이샤 | 트랜스포머 및 트랜스포머의 제조방법 |
US11257618B2 (en) | 2017-03-30 | 2022-02-22 | Sumida Corporation | Transformer and method for manufacturing transformer |
EP3382723B1 (en) * | 2017-03-30 | 2023-04-19 | Sumida Corporation | Transformer and method for manufacturing transformer |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7652550B2 (en) | High-voltage generating transformer for discharge lamp lighting apparatus | |
US8011354B2 (en) | Ignition coil for internal combustion engine | |
JP4226318B2 (ja) | 放電灯点灯装置 | |
JP3777962B2 (ja) | 電磁装置及び高電圧発生装置 | |
US8193891B2 (en) | High voltage transformer with space-saving primary windings | |
JP2004111451A (ja) | 電磁装置、巻設方法および高電圧発生装置 | |
JPS6060270A (ja) | 高エネルギ点火装置 | |
JP4506078B2 (ja) | 電磁装置および高電圧発生装置 | |
JP2009038198A (ja) | 点火コイル | |
JP6397687B2 (ja) | 交流点火装置 | |
KR101105573B1 (ko) | 평면 변압기 및 그 제조방법 | |
JP4415574B2 (ja) | 電磁装置及び高電圧発生装置 | |
JP2004014832A (ja) | 電磁装置及び高電圧発生装置 | |
JP2001257087A (ja) | 放電灯起動装置 | |
JP2011069272A (ja) | 内燃機関の点火装置 | |
JP2004207404A (ja) | 電磁装置及び高電圧発生装置 | |
KR100715387B1 (ko) | 방전등 점등 장치 | |
KR101481412B1 (ko) | 몰드인덕터용 공심코일의 구조 | |
JP4239871B2 (ja) | 放電灯始動装置および放電灯点灯装置および車両用前照灯器具および車両 | |
JP2004312047A (ja) | 内燃機関用点火装置 | |
JP4535579B2 (ja) | 放電灯起動装置 | |
JPH10340822A (ja) | 内燃機関用点火装置 | |
JP2003173920A (ja) | 内燃機関用点火コイル | |
JPH11297550A (ja) | 高電圧発生コイル | |
JP2021072371A (ja) | 雑音防止抵抗器およびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060110 |