JP4413299B2 - 像振れ補正機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光学機器の像振れ補正機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、カメラ等の光学機器において手振れ等による光学的な像振れを補正する機構を搭載した製品が実用化されている。このような像振れ補正機構は、例えばその一方法として、光学機器の他の光学系の光軸の移動による像の移動を打ち消すよう、補正レンズをその光軸に直交する面内において互いに直交する2つの軸線に沿って駆動することにより像振れを補正している。
【0003】
補正レンズは、補正レンズを保持する保持部材を二重構造にしたり、あるいは単一の保持部材を案内するガイド部材を別途設けることにより、上述のように駆動される。前者の保持部材は、光学機器を通常に支持した状態において水平方向に駆動可能な枠部材と垂直方向に駆動可能な枠部材を用意し、一方の枠部材を他方の枠部材内に組み入れた構造を有している。また、後者の保持部材は、単一の保持部材を光学機器を通常に支持した状態において垂直方向若しくは水平方向に沿って案内するガイド部材がそれぞれ別途設けられた構成を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、補正レンズの保持部材を二重構造にするのは複雑であり、また組み込まれる枠部材を正確に駆動するためには、各枠部材の寸法や形状を高精度に成型することが要求される。また、ガイド部材を設ける場合は、ガイド部材に水平方向若しくは垂直方向に沿った高精度な直線性が要求される。すなわち、いずれの場合も製造が非常に困難であり、保持部材のスムーズな駆動を実現するために多大な労力が費やされるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の問題を解決するものであり、構成が簡易でかつ正確に補正レンズを駆動できる像振れ補正機構を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる像振れ補正機構は、光学機器の像振れを補正する補正光学系と、補正光学系を保持する保持枠と、保持枠を補正光学系の光軸に直交する平面内の第1の軸線に沿って駆動する第1の駆動手段及び第2の駆動手段からなる第1の一対の駆動機構と、保持枠を平面内において第1の軸線に直交する第2の軸線に沿って駆動する第3の駆動手段及び第4の駆動手段からなる第2の一対の駆動機構とを備え、第1の駆動手段と第2の駆動手段、及び第3の駆動手段と第4の駆動手段が、それぞれ補正光学系の光軸を挟んで配設されることを特徴とする。
【0007】
好ましくは、さらに、光学機器の撮影光学系の光軸の振れの角速度を検出する角速度検出手段と、角速度から撮影光学系の光軸のぶれ角度を求めるぶれ角度算出手段と、ぶれ角度が相殺されるよう補正光学系を駆動するための第1、第2、第3及び第4の駆動手段の駆動量を演算する制御手段とを備え、制御手段により、第1の一対の駆動機構において第1の駆動手段及び第2の駆動手段がそれぞれ同量駆動され、第2の一対の駆動機構において第3の駆動手段及び第4の駆動手段がそれぞれ同量駆動される。
【0008】
好ましくは、第1の一対の駆動機構において、第1及び第2の駆動手段はそれぞれ同一の部材で構成をされ、第2の一対の駆動機構において、第3及び第4の駆動手段はそれぞれ同一の部材で構成される。
【0009】
第1の駆動手段及び第2の駆動手段がそれぞれ、例えば、第1の軸線と平行な軸線周りに回転可能な第1のモータと、第1のモータの回転に応じて第1の軸線に沿って移動可能な第1の可動部とを有し、第1の駆動手段の第1の可動部と第2の駆動手段の第1の可動部の動きに応じて保持枠が第1の軸線に沿って駆動され、第3の駆動手段及び第4の駆動手段がそれぞれ、例えば、第2の軸線と平行な軸線周りに回転可能な第2のモータと、第2のモータの回転に応じて第2の軸線に沿って移動可能な第2の可動部とを有し、第3の駆動手段の第2の可動部と第4の駆動手段の第2の可動部の動きに応じて保持枠が第2の軸線に沿って駆動される。
【0010】
第1及び第2の駆動手段において、例えば、第1のモータはステッピングモータであり、第1の可動部は、第1のモータを軸支し、かつ保持枠を直接押圧するロッドであり、第3及び第4の駆動手段において、例えば、第2のモータはステッピングモータであり、第2の可動部は、第2のモータを軸支し、かつ保持枠を直接押圧するロッドである。
【0011】
第1及び第2の駆動手段において、例えば、第1のモータはDCモータであり、第1の可動部は、保持枠を直接押圧する送りねじであり、第1及び第2の駆動手段は、さらに第1のモータの回転運動を第1の可動部の直線運動に変換する第1の伝達手段を有し、第3及び第4の駆動手段において、例えば、第2のモータはDCモータであり、第2の可動部は、保持枠を直接押圧する送りねじであり、第3及び第4の駆動手段は、さらに第2のモータの回転運動を第2の可動部の直線運動に変換する第2の伝達手段を有する。
【0012】
好ましくは、第1、第2、第3及び第4の駆動手段が、それぞれコイルと永久磁石とを備える電磁コイルであり、例えばコイルは保持枠に固定され、永久磁石は光学機器の内部に固定されている。
【0013】
好ましくは、さらに、第1の軸線に沿う方向における保持枠の位置を検出する第1の位置検出手段及び第2の位置検出手段からなる第1の一対の位置検出機構と、第2の軸線に沿う方向における保持枠の位置を検出する第3の位置検出手段及び第4の位置検出手段からなる第2の一対の位置検出機構とを備え、第1の位置検出手段と第2の位置検出手段、及び第3の位置検出手段と第4の位置検出手段が、それぞれ光軸を挟んで配設される。
【0014】
第1、第2、第3及び第4の位置検出手段はそれぞれ、例えば光学機器の内部に固定されたフォトインタラプタと、DCモータの端部に固定されたコード板から成るエンコーダである。
【0015】
第1、第2、第3及び第4の位置検出手段はそれぞれ、例えば発光素子と入射光の位置を検出する位置検出素子とを備え、発光素子と位置検出素子が保持枠に刻設されたスリットを挟んで光軸に沿って配設されている。
【0016】
好ましくは、第1の駆動手段及び第2の駆動手段の第1の可動部の端部が保持枠に常に当接しかつ第3の駆動手段及び第4の駆動手段の第2の可動部の端部が保持枠に常に当接するよう保持枠を付勢する付勢手段を有する。
【0017】
好ましくは、保持枠の一部に、第1、第2、第3及び第4の駆動手段に対応して切り欠き部が形成されており、第1、第2、第3及び第4の駆動手段は、それぞれ少なくとも一部が、対応する切り欠き部に配設される。
【0018】
好ましくは、第1の駆動手段が配設される切り欠き部及び第2の駆動手段が配設される切り欠き部は、第1の軸線に直交する被押圧面を有し、第1の可動部及び第2の可動部はそれぞれ対応する切り欠き部の第1の軸線に直交する被押圧面に当接し、第3の駆動手段が配設される切り欠き部及び第4の駆動手段が配設される切り欠き部は、第2の軸線に直交する被押圧面を有し、第3の可動部及び第4の可動部はそれぞれ対応する切り欠き部の第2の軸線に直交する被押圧面に当接する。
【0019】
好ましくは、保持枠の補正光学系の光軸に沿った動きを規制し、かつ補正光学系の光軸と光学機器の他の光学系の光軸を常に平行に保持する、保持枠の支持手段を備える。
【0020】
好ましくは、支持手段が、光学機器の内壁面に設けられ、補正光学系の光軸と直交する保持枠の一方の平面に当接する突起部材と、補正光学系の光軸と直交する保持枠の他方の平面において突起部材に対応する位置に当接し、補正光学系の光軸に沿って駆動可能な押圧部材と、押圧部材を補正光学系の光軸に沿って保持枠に向かって付勢する付勢部材とを備え、付勢部材の付勢力により突起部と押圧部材で保持枠が挟持される。
【0021】
また、本発明に係る像振れ補正機構は、光学機器の像振れを補正する補正光学系と、補正光学系を保持する保持枠と、保持枠を補正光学系の光軸に直交する平面内の同一軸線に沿って駆動する一対の駆動手段とを備え、一対の駆動手段が、それぞれの駆動力が光軸を挟んで保持枠に作用するよう配設されることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明に係る第1実施形態が適用される像振れ補正機構の正面図であり、この像振れ補正機構が搭載される光学機器を通常の姿勢で支持した場合の状態を示している。尚、本明細書で「縦方向」とは光学機器を通常の姿勢で支持した場合に鉛直方向と一致する方向であり、「横方向」とは光学機器を通常の姿勢で支持した場合に水平方向と一致する方向である。
【0023】
光学機器の像振れを補正する補正レンズ10は、略正方形の単一の板状部材である補正レンズ枠100の中央に固定されている。第1のアクチュエータ110(第1の駆動手段)は、図1において補正レンズ枠100の左端部に形成された切り欠き部101に位置決めされており、ステッピングモータ111とロッド112から成る直動型アクチュエータである。ステッピングモータ111は、光学機器の内壁面に固定されており(図示せず)、光学機器を通常の姿勢で支持した場合に鉛直方向と一致する軸線Y1周りに回転可能である。ロッド112はステッピングモータ111の回転に応じて軸線Y1に沿って進退するよう支持されている。ロッド112の端部は切り欠き部101を規定する側面のうち軸線Y1と直交する側面101Aに当接している。
【0024】
同様に、第2のアクチュエータ120(第2の駆動手段)は、ステッピングモータ121とロッド122から成る直動型アクチュエータであり、図1において補正レンズ枠100の右端部に形成された切り欠き部102に位置決めされている。ステッピングモータ121は、光学機器の内壁面に固定されており(図示せず)、軸線Y1と平行な軸線Y2周りに回転可能であり、ロッド122は、ステッピングモータ121の回転に応じて軸線Y2に沿って進退する。ロッド122の端部は切り欠き部102を規定する側面のうち軸線Y2と直交する側面102Aに当接している。
【0025】
上述のように第1のアクチュエータ110は補正レンズ枠100の左端部の切り欠き部101に位置決めされ、第2のアクチュエータ120は補正レンズ枠100の右端部の切り欠き部102に位置決めされている。すなわち、第1のアクチュエータ110と第2のアクチュエータ120は、補正レンズ10の光軸OPを挟んで対称に位置決めされている。
【0026】
また、第1のアクチュエータ110及び第2のアクチュエータ120は、それぞれ同一の部材、すなわち、ステッピングモータとロッドから成る直動型アクチュエータで構成されている。
【0027】
図1において補正レンズ枠100の上端部に形成された切り欠き部103には第3のアクチュエータ130(第3の駆動手段)が配設されている。第3のアクチュエータ130は、光学機器を通常の姿勢で支持した場合に水平方向と一致する軸線X1周りに回転可能なステッピングモータ131と、ステッピングモータ131の回転に応じて軸線X1に沿って進退するロッド132から成る直動型アクチュエータである。ステッピングモータ131は、ステッピングモータ111、121と同様、光学機器の内壁面に固定されている(図示せず)。ロッド132の端部は切り欠き部103を規定する側面のうち軸線X1と直交する側面103Aに当接している。
【0028】
図1において補正レンズ枠100の下端部に形成された切り欠き部104には第4のアクチュエータ140(第4の駆動手段)が配設されている。第4のアクチュエータ140は、軸線X1と平行な軸線X2周りに回転可能なステッピングモータ141と、ステッピングモータ141の回転に応じて軸線X2に沿って進退するロッド142から成る直動型アクチュエータである。ステッピングモータ141は、ステッピングモータ111、121、131と同様、光学機器の内壁面に固定されている(図示せず)。ロッド142の端部は切り欠き部104を規定する側面のうち軸線X2と直交する側面104Aに当接している。
【0029】
上述のように第3のアクチュエータ130は、補正レンズ枠100の上端部の切り欠き部103に位置決めされ、第4のアクチュエータ140は、補正レンズ枠100の下端部の切り欠き部104に位置決めされている。すなわち、第3のアクチュエータ130と第4のアクチュエータ140は、光軸OPを挟んで対称に位置決めされている。
【0030】
また、第3のアクチュエータ130及び第4のアクチュエータ140は、それぞれ同一の部材、すなわち、ステッピングモータとロッドから成る直動型アクチュエータで構成されている。
【0031】
さらに、補正レンズ枠100の外形は4つの頂角が面取りされた正方形の板状部材であり、その中央部を補正レンズ10の光軸OPが直交して貫くよう補正レンズ10は保持されている。従って、補正レンズ10を含む補正レンズ枠100の重心は、補正レンズ枠100の中央、すなわち光軸OPと略一致している。換言すると、第1及び第2のアクチュエータ110、120は重心を挟んで横方向に沿って対称に位置決めされ、第3及び第4のアクチュエータ130、140は重心を挟んで縦方向に沿って対称に位置決めされている。
【0032】
すなわち、図1に示す正方形状の補正レンズ枠100の場合、重心からロッド112が当接している面101Aまでの距離と重心からロッド122が当接している面102Aまでの距離とは互いに等しく設定されている。同様に、重心からロッド132が当接している面103Aまでの距離と、重心からロッド142が当接している面104Aまでの距離とは互いに等しく設定されている。
【0033】
以上のような構成により、補正レンズ枠100の重心に対していずれの駆動方向においても対称に駆動力の作用点があるので、各駆動手段へ加わる負荷は均一化される。従って、不均衡な駆動により一方の駆動手段の部材のみが疲弊したり、補正レンズ枠100の特定の部分のみが摩耗してしまう等の問題が生じず、各部材の耐久性の面等で望ましい。
【0034】
コイルバネ30は切り欠き部101と切り欠き部104に挟まれた角部100Aの近傍に位置決めされている。コイルバネ30の一方の端部は補正レンズ枠100の平面上に設けられたピン31に係合し、他方の端部は光学機器の内壁面(図示せず)に固定されたピン32に係合しており、補正レンズ枠100を光軸OPに垂直な面において光軸点から45度方向で離れる方向に付勢している。すなわち、コイルバネ30は、ロッド112、122、132、142の先端が、常に側面101A、102A、103A、104Aにそれぞれ均等の付勢力で当接するように、補正レンズ枠100を付勢している。
【0035】
ステッピングモータ111及び121が正転するとロッド112及び122がそれぞれ軸線Y1、Y2に沿って突出し、補正レンズ枠100はコイルバネ30の付勢力に抗して軸線Y1、Y2と平行なV1方向に駆動される。ステッピングモータ111及び121が逆転するとロッド112及び122がそれぞれ軸線Y1、Y2に沿って後退し、補正レンズ枠100はコイルバネ30の付勢力により軸線Y1、Y2と平行なV2方向に駆動される。
【0036】
同様に、ステッピングモータ131及び141が正転するとロッド132及び142がそれぞれ軸線X1、X2に沿って突出し、補正レンズ枠100はコイルバネ30の付勢力に抗して軸線X1、X2と平行なH1方向に駆動される。ステッピングモータ131及び141が逆転するとロッド132及び142がそれぞれ軸線X1、X2に沿って後退し、補正レンズ枠100はコイルバネ30の付勢力により軸線X1、X2と平行なH2方向に駆動される。
【0037】
図2は、図1の線A−A矢視断面図である。
光学機器の外枠内部において補正レンズ枠100の切り欠き部101と切り欠き部103に挟まれた角部100B(図1参照)に対応する位置には、所定の間隔をおいて光学機器内部に延出する内壁面40及び41が形成されている。同様に光学機器の外枠内部において補正レンズ枠100の切り欠き部102と切り欠き部104に挟まれた角部100C(図1参照)に対応する位置には、所定の間隔をおいて光学機器内部に延出する内壁面50及び51が形成されている。内壁面40及び50は、それぞれの内壁面41、51側の側面が同一平面に含まれ、かつその同一平面が光学機器の他の光学系の光軸と直交するよう位置決めされている。補正レンズ枠100は、角部100Bが内壁面40と内壁面41により規定される間隙の間に位置決めされ、角部100Cが内壁面50と内壁面51により規定される間隙の間に位置決めされるよう配設される。
【0038】
内壁面40において角部100Bに対向する側面上には、補正レンズ枠100側に向かって突出する突起部42が形成されている。内壁面41において角部100Bと対向する側面には突起部42に対応する位置に所定の深さを有する穴43が穿設されている。穴43にはピン44が配設され、ピン44の端部と穴43の底部との間には圧縮ばね45が配設されている。圧縮ばね45の付勢力によりピン44は常時、角部100Bを押圧している。図1の破線で示すポイントSP1が、角部100Bにおいて突起部42が当接しピン44に押圧される位置である。
【0039】
内壁面50において角部100Cに対向する側面上には、補正レンズ枠100側に向かって突出する突起部52が形成されている。突起部52は、突起部42と同一の高さを有している。内壁面51において角部100Cと対向する側面には突起部52に対応する位置に所定の深さを有する穴53が穿設されている。穴53にはピン54が配設され、ピン54の端部と穴53の底部との間には圧縮ばね55が配設されている。圧縮ばね55の付勢力によりによりピン54は常時、角部100Cを押圧している。図1の破線で示すポイントSP2が、角部100Cにおいて突起部52が当接しピン54に押圧される位置である。
【0040】
また、補正レンズ枠100の角部100A(図1参照)に対応する位置、及び切り欠き部102と切り欠き部103に挟まれた角部100D(図1参照)に対応する位置にも、内壁面40、41、50、51と同様に光学機器内部に向かって延出する内壁面(図示せず)が形成されており、角部100A、100Dはそれぞれ対応する内壁面により規定される間隙に位置決めされている。さらに、角部100B、100Cと同様に、角部100A、100Dには突起部42及び52と同一の高さを有する突起部(図示せず)が当接し、ピン44、54と同様のピン(図示せず)が圧縮ばねの付勢力により角部100A、100Dを押圧している。図1のポイントSP3、SP4がそれぞれ角部100A、100Dにおいて突起部が当接しピンに押圧される位置である。
【0041】
すなわち、上述の突起部、ピン、圧縮ばねにより、補正レンズ枠100に固定された補正レンズ10の光軸OPが光学機器の他の光学系の光軸に対して常時平行に維持され、かつ補正レンズ枠100の光軸OPに沿った動きが規制されつつ、補正レンズ枠100は光学機器の内部において支持されている。
【0042】
尚、上述の圧縮ばねの付勢力は、第1〜第4のアクチュエータ110、120、130、140による補正レンズ枠100の駆動を妨げないよう調整されている。また、ポイントSP1〜SP4と補正レンズ枠100とは、補正レンズ枠100が最大限に駆動されても上述の突起部及び穴から外れないよう、相対的に位置決めされている。
【0043】
図3は第1実施形態における縦方向の光軸の移動を補正する補正レンズ駆動回路のブロック図である。Vジャイロセンサ151は、光学機器の撮影光学系の垂直方向における光軸ぶれ角速度を検出し出力する。Vジャイロセンサ151には積分回路152が接続されている。Vジャイロセンサ151から出力された光軸ぶれ角速度は、積分回路152において積分演算され、光軸角度ぶれ量に変換され出力される。積分回路152にはA/D変換器153が接続されており、光軸角度ぶれ量はA/D変換器153においてデジタル値に変換される。
【0044】
Vステップカウンタ154は第1のアクチュエータ110及び第2のアクチュエータ120のステップ駆動数を、それぞれのステッピングモータ111、121の回転方向に応じて加算または減算する。第1実施形態において、ステッピングモータ111、121が正転する場合は、第1及び第2のアクチュエータ110、120のステップ駆動数が加算され、逆転する場合は、第1及び第2のアクチュエータ110、120のステップ駆動数が減算される。
【0045】
比較回路155には、A/D変換器153及びVステップカウンタ154が接続されており、それぞれの出力信号の差分が演算される。すなわち、A/D変換器153から出力される撮影光学系の光軸のぶれ量と、第1及び第2のアクチュエータ110、120の1ステップ駆動当たりの駆動量にVステップカウンタ154が算出したステップ数を積算することにより得られる補正レンズ枠100の駆動量との差分が算出され出力される。
【0046】
比較回路155にはパルス発生器156が接続されている。パルス発生器156は、比較回路155から出力される上記差分が解消されるよう、第1及び第2のアクチュエータ110、120に駆動パルスを印可する。
【0047】
すなわち、上述の比較回路155の演算処理により、第1及び第2のアクチュエータ110、120はそれぞれ同量駆動される。
【0048】
尚、第3及び第4のアクチュエータ130、140には、同様のジャイロセンサ、ステップカウンタ、比較回路等が接続されており、縦方向における像振れ補正と同様に、横方向における撮影光学系の光軸のぶれ角度量と、補正レンズ枠100の駆動量の差分が解消されるよう、第3及び第4のアクチュエータ130、140はそれぞれ同量駆動される。
【0049】
図4は本発明に係る第2実施形態が適用される像振れ補正機構の正面図であり、第1実施形態と同様の部材には同一の符号を付してある。
図4において補正レンズ枠200の左端部には切り欠き部201が形成されており、切り欠き部201には第1の縦方向駆動手段210(第1の駆動手段)が配設されている。第1の縦方向駆動手段210のDCモータ211は、切り欠き部201近傍において光学機器の内壁面に固定されており(図示せず)、軸線Y1周りに回転可能である。DCモータ211の出力軸212の底面側の端部にはピニオンギヤ213が固定されている。ピニオンギヤ213には平ギヤ214が噛合しており、平ギヤ214の中心には送りネジ215がカシメ固定されている。送りネジ215は、光学機器の内壁面に図示しない方法で固定された軸受け216の穴を挿通している。送りネジ215は軸受け216の穴の内壁面に刻設されたネジ山に螺合している。また、送りネジ215において平ギヤ214にカシメ固定された端部と反対側の端部は、切り欠き部201において軸線Y1と平行な軸線に直交する側面201Aに当接している。
【0050】
すなわち、第1の縦方向駆動手段210において、DCモータ211の軸線Y1周りに回転し、その回転運動が出力軸212、ピニオンギア213、平ギヤ214を介して送りネジ215に伝達されると、軸受け216は光学機器の内壁面に固定されているため、送りネジ215は軸線Y1に沿って進退する。
【0051】
出力軸212においてピニオンギヤ213が固定された端部と反対側の端部側にはエンコーダ217(第1の位置検出手段)が配設されている。光学機器の内壁面に固定された一対のフォトインタラプタ217Aと、コード板217Bを備える。コード板217Bは出力軸212の端部に固定されている。一対のフォトインタラプタ217Aは、コード板217Bの回転に応じてそれぞれから発生するパルスが所定量分だけ位相がずれるよう、配設されている。従って、一対のフォトインタラプタ217Aのどちらのフォトインタラプタから先にパルスが発生するかを検出することにより、コード板217Bの回転方向が検知できる。すなわち、エンコーダ217により、DCモータ211の回転量及び回転方向が検出される。
【0052】
図4において補正レンズ枠200の右端部には切り欠き部202が形成されている。切り欠き部202には第2の縦方向駆動手段220(第2の駆動手段)が配設されている。第2の縦方向駆動手段220は、軸線Y1と平行な軸線Y2周りに回転可能なDCモータ221、DCモータ221の出力軸222に固定されたピニオンギヤ223、ピニオンギヤ223に噛合する平ギヤ224、平ギヤ224にカシメ固定された送りネジ225が、第1の縦方向駆動手段210と同様に設けられている。送りネジ225において平ギヤ224にカシメ固定された端部と反対側の端部は、切り欠き部202において軸線Y2と平行な軸線に直交する側面202Aに当接している。また、出力軸222においてピニオンギヤ223が固定された端部と反対側の端部側には、エンコーダ217と同様のエンコーダ227(第2の位置検出手段)が配設されており、エンコーダ227により、DCモータ221の回転量及び回転方向が検出される。
【0053】
すなわち、第1及び第2の縦方向駆動手段210、220と、エンコーダ217、227は、それぞれ光軸OPを挟んで対称に位置決めされている。また、第1及び第2の縦方向駆動手段210、220は、それぞれ同一の部材、すなわちDCモータ、ピニオンギヤ、平ギヤ、送りネジで構成されている。
【0054】
図4において補正レンズ枠200の上端部には切り欠き部203が形成されている。切り欠き部203には第1の横方向駆動手段230(第3の駆動手段)が配設されている。第1の横方向駆動手段230は、軸線X1周りに回転可能なDCモータ231、DCモータ231の出力軸232に固定されたピニオンギヤ233、ピニオンギヤ233に噛合する平ギヤ234、平ギヤ234にカシメ固定された送りネジ235が、第1及び第2の縦方向駆動手段210、220と同様に設けられている。送りネジ235において平ギヤ234にカシメ固定された端部と反対側の端部は、切り欠き部203において軸線X1と平行な軸線に直交する側面203Aに当接している。また、出力軸232においてピニオンギヤ233が固定された端部と反対側の端部側には、上述のエンコーダと同様のエンコーダ237が配設されており、エンコーダ237により、DCモータ231の回転量及び回転方向が検出される。
【0055】
同様に、図4において補正レンズ枠200の下端部には切り欠き部204が形成されている。切り欠き部204には第2の横方向駆動手段240(第4の駆動手段)が配設されている。第2の横方向駆動手段240は、軸線X1と平行な軸線X2周りに回転可能なDCモータ241、DCモータ241の出力軸242に固定されたピニオンギヤ243、ピニオンギヤ243に噛合する平ギヤ244、平ギヤ244にカシメ固定された送りネジ245が、同様に設けられている。送りネジ245において平ギヤ244にカシメ固定された端部と反対側の端部は、切り欠き部204において軸線X2と平行な軸線に直交する側面204Aに当接している。また、出力軸242においてピニオンギヤ243が固定された端部と反対側の端部側には、上述のエンコーダと同様のエンコーダ247が配設されており、エンコーダ247により、DCモータ241の回転量及び回転方向が検出される。
【0056】
すなわち、第1及び第2の横方向駆動手段230、240と、エンコーダ237、247は、それぞれ光軸OPを挟んで対称に位置決めされている。また、第1及び第2の横方向駆動手段230、240は、それぞれ同一の部材、すなわちDCモータ、ピニオンギヤ、平ギヤ、送りネジで構成されている。
【0057】
さらに、第2実施形態においても、第1実施形態と同様のコイルバネ30が配設されており、送りネジ215、225、235、245の先端が、常に側面201A、202A、203A、204Aにそれぞれ均等の付勢力で当接するように、補正レンズ枠200を付勢している。
【0058】
すなわち、DCモータ211が軸線Y1周りのa1方向に回転し、DCモータ221が軸線Y2周りのb1方向に回転すると送りネジ215及び225がそれぞれ軸線Y1、Y2に沿って突出し、補正レンズ枠200はコイルバネ30の付勢力に抗して軸線Y1、Y2と平行なV1方向に駆動される。DCモータ211が軸線Y1周りのa2方向に回転し、DCモータ221が軸線Y2周りのb2方向に回転すると送りネジ215及び225がそれぞれ軸線Y1、Y2に沿って後退し、補正レンズ枠200はコイルバネ30の付勢力により軸線Y1、Y2と平行なV2方向に駆動される。
【0059】
同様に、DCモータ231が軸線X1周りのc1方向に回転し、DCモータ241が軸線X2周りのd1方向に回転すると送りネジ235及び245がそれぞれ軸線X1、X2に沿って突出し、補正レンズ枠200はコイルバネ30の付勢力に抗して軸線X1、X2と平行なH1方向に駆動される。DCモータ231が軸線X1周りのc2方向に回転し、DCモータ241が軸線X2周りのd2方向に回転すると送りネジ235及び245がそれぞれ軸線X1、X2に沿って後退し、補正レンズ枠200はコイルバネ30の付勢力により軸線X1、X2と平行なH2方向に駆動される。
【0060】
また、補正レンズ枠200は第1実施形態の補正レンズ枠100と同様の正方形状を有し、その中央部を補正レンズ10の光軸OPが直交して貫くよう補正レンズ10は保持されている。すなわち、重心から送りネジ215が当接している面201Aまでの距離と重心から送りネジ225が当接している面202Aまでの距離とは互いに等しく、重心から送りネジ235が当接している面203Aまでの距離と、重心から送りネジ245が当接している面204Aまでの距離とは互いに等しい。従って、補正レンズ枠200の重心に対していずれの駆動方向においても対称に駆動力の作用点があるので、各駆動手段へ加わる負荷は均一化される。すなわち、第1実施形態と同様、各部材の耐久性等の面で望ましい構成を有している。
【0061】
さらに、第1実施形態の補正レンズ枠100と同様に、補正レンズ枠200の角部200A、200B、200C、200Dにおいて光学機器の内壁面に設けられた突起部、ピン、圧縮ばねにより支持されている。従って、補正レンズ10の光軸OPが光学機器の他の光学系の光軸に対して常時平行に維持され、かつ光軸OPに沿った補正レンズ枠200の動きが規制される。
【0062】
図5は第2実施形態における縦方向の光軸の移動を補正する補正レンズ駆動回路のブロック図である。第1実施形態と同様、Vジャイロセンサ251により光学機器の撮影光学系の垂直方向における光軸ぶれ角速度が検出され、積分回路252において光軸ぶれ角速度が積分演算され光軸角度ぶれ量に変換され、A/D変換器253において光軸角度ぶれ量がデジタル値に変換される。
【0063】
Vカウンタ254はエンコーダ217に接続されており、一対のフォトインタラプタ217Aから出力されるパルス列に基づいてDCモータ211の回転量及び回転方向を検知し、DCモータ211による補正レンズ枠200の駆動量を加算又は減算する。同様に、Vカウンタ255はエンコーダ227に接続されており、一対のフォトインタラプタ227Aから出力されるパルス列に基づいてDCモータ221の回転量及び回転方向を検知し、DCモータ221による補正レンズ枠200の駆動量を加算又は減算する。
【0064】
第2実施形態において、DCモータ211が回転方向a1に回転しDCモータ221が回転方向b1に回転する場合は、補正レンズ枠200の駆動量が加算され、DCモータ211が回転方向a2に回転しDCモータ221が回転方向b2に回転する場合は、補正レンズ枠200の駆動量が減算される。
【0065】
比較回路256にはA/D変換器253及びVカウンタ254が接続されている。比較回路256では、A/D変換器253から出力されるデジタル値の光軸角度ぶれ量とVカウンタ254から出力される補正レンズ枠200の駆動量との差分量が算出され、その差分量が減少するようDCモータ211の回転情報が演算されD/A変換器258に出力される。D/A変換器258は比較回路256で算出された差分量をアナログ値に変換し、DCモータ211へ出力する。DCモータ211はD/A変換器258から出力されるアナログ値に基づいて所定量、所定方向に駆動される。同様に、比較回路257にはA/D変換器253及びVカウンタ255が接続されており、A/D変換器253から出力されるデジタル値の光軸角度ぶれ量とVカウンタ255から出力される補正レンズ枠200の駆動量との差分量が算出され、その差分量が減少するようDCモータ221の回転情報が演算されD/A変換器259に出力される。D/A変換器259において、比較回路256で算出された差分量がアナログ値に変換され、DCモータ221へ出力される。DCモータ221はD/A変換器259から出力されるアナログ値に基づいて所定量、所定方向に駆動される。
【0066】
尚、DCモータ231、241には、撮影光学系の横方向における光軸ぶれ角速度を算出するジャイロセンサ、エンコーダ237、247のパルス列を検知するカウンタ等が接続されており、縦方向における像振れ補正と同様に、横方向における撮影光学系の光軸のぶれ角度量と、補正レンズ枠200の駆動量の差分が解消されるよう、DCモータ231、241が駆動される。
【0067】
図6は本発明に係る第3実施形態が適用される像振れ補正機構の正面図、図7は図6の線B−B矢視断面図である。尚、図6において像振れ補正機構の要部を明示するために一部の部材が省略されている。また、図6及び図7において、第1実施形態及び第2実施形態と同様の部材には同一の符号を付してある。
【0068】
図6において補正レンズ枠300の左端部には第1の縦方向駆動手段310(第1の駆動手段)が配設されている。第1の縦方向駆動手段310は、補正レンズ枠300の表面に固定された扁平コイル311、光学機器の内壁面60に固定されたヨーク312及び313、ヨーク312に磁力により吸着した永久磁石314、ヨーク313に磁力により吸着した永久磁石315を備えている。
【0069】
扁平コイル311は、補正レンズ10の光軸OPと平行な軸の回りに巻回される導線の軸方向の厚みが薄い扁平状コイルである。扁平コイル311において、光軸OPと平行な軸の回りに巻回される導線の軸方向の寸法は、その軸方向に直交する面、すなわち光軸OPと直交する面と平行な面方向の寸法より小さい。さらに、光軸OPと平行な軸の近傍には導線は巻き回されておらず空芯部が形成されている。
【0070】
ヨーク312、313はそれぞれ断面形状がコの字型を有している。補正レンズ枠300の左端部の上半分はヨーク312の凹部に位置決めされ、補正レンズ枠300の左端部の下半分はヨーク313の凹部に位置決めされている。
【0071】
永久磁石314は矩形の平板であり、ヨーク312の凹部において補正レンズ枠300と対向する内側面312Aの表面上に位置決めされている。永久磁石314のN極側の平面はヨーク312に吸着し、S極側の平面は補正レンズ枠300上の扁平コイル311に対向するよう、同様に、永久磁石315も矩形の平板であり、S極側の平面がヨーク313に吸着しN極側の平面が扁平コイル311に対向するよう、ヨーク313の凹部において補正レンズ枠300と対向する内側面313Aの表面上に位置決めされている。
【0072】
すなわち、扁平コイル311は、上辺部において永久磁石314、ヨーク312により形成される磁束密度の影響を受け、下辺部において永久磁石315、ヨーク313により形成される磁束密度の影響を受ける位置に位置決めされている。従って、扁平コイル311にe1方向に電流が流されると扁平コイル311に電磁力が作用し、補正レンズ枠300はV1方向に駆動され、扁平コイル311にe2方向に電流が流されると電磁力により補正レンズ枠300はV2方向に駆動される。
【0073】
補正レンズ枠300において扁平コイル311の導線の巻き回しの軸に対応する位置(扁平コイル311の空芯部の中心)には、スリット316が刻設されている。スリット316の断面形状は、長手方向が横方向に延びる細長の矩形である。光学機器の内壁面60においてスリット316に対応する位置にはPSD(Position Sensitive Device)317が配設されている。スリット316を挟んでPSD317の反対側にはLED(Light Emitting Diode)318が配設されている。
【0074】
すなわち、補正レンズ枠300、PSD317及びLED318は、LED318から出射される光束がスリット316を通過し、PSD317に入射するよう相対的に位置決めされている。従って、LED318から出射されPSD317に入射する光束の量に応じて変化するPSD317の出力電流に基づいて、補正レンズ枠300のV1方向若しくはV2方向への移動量が検出される。
【0075】
図6において補正レンズ枠300の右端部には第2の縦方向駆動手段320(第2の駆動手段)が配設されている。第2の縦方向駆動手段320は第1の縦方向駆動手段310と同様の構成を有している。すなわち、第2の縦方向駆動手段320は、補正レンズ枠300の表面に固定された扁平コイル321、光学機器の内壁面60に固定された一対のヨーク(図示せず)、それぞれのヨークに磁力により吸着した永久磁石324、325を備えており、扁平コイル321に所定の向きに電流を流すことにより、電磁力で補正レンズ枠300がV1方向若しくはV2方向に駆動される。
【0076】
また、補正レンズ枠300において扁平コイル321の導線の巻き回しの軸に対応する位置(扁平コイル321の空芯部の中心)には、断面形状の長手方向が横方向に延びるスリット326が刻設され、光学機器の内壁面60においてスリット326に対応する位置にはPSD327が配設され、スリット326を挟んでPSD327の反対側にはLED328が配設されている。上述のPSD327及びLED328と同様、PSD327の出力電流に基づいて補正レンズ枠300のV1方向若しくはV2方向への移動量が検出される。
【0077】
上述のように、第1及び第2の縦方向駆動手段310、320は、それぞれ光軸OPを挟んで対称に位置決めされ、同一の部材、すなわち扁平コイル、ヨークに磁力により吸着した永久磁石で構成されている。
【0078】
図6において補正レンズ枠300の上端部には第1の横方向駆動手段330(第3の駆動手段)が配設され、下端部には第2の横方向駆動手段340(第4の駆動手段)が配設されている。第1及び第2の横方向駆動手段330、340は、上述の第1及び第2の縦方向駆動手段310、320と同様の構成を有している。すなわち、第1の横方向駆動手段330は補正レンズ枠300の表面に固定された扁平コイル331、光学機器の内壁面60に固定された一対のヨーク(図示せず)、それぞれのヨークに磁力により吸着した永久磁石334、335を備え、第2の横方向駆動手段340は補正レンズ枠300の表面に固定された扁平コイル341、光学機器の内壁面60に固定された一対のヨーク(図示せず)、それぞれのヨークに磁力により吸着した永久磁石344、345を備えている。扁平コイル331及び341に所定の向きに電流を流し、それぞれの扁平コイルに発生する電磁力により補正レンズ枠300はH1方向若しくはH2方向に駆動される。
【0079】
上述のように、第1及び第2の横方向駆動手段330、340は、それぞれ光軸OPを挟んで対称に位置決めされ、同一の部材、すなわち扁平コイル、ヨークに磁力により吸着した永久磁石で構成されている。
【0080】
また、補正レンズ枠300において扁平コイル331の導線の巻き回しの軸に対応する位置(扁平コイル331の空芯部の中心)には、断面形状の長手方向が縦方向に延びるスリット336が刻設され、光学機器の内壁面60においてスリット336に対応する位置にはPSD337が配設され、スリット336を挟んでPSD337の反対側にはLED338が配設されている。同様に、補正レンズ枠300において扁平コイル341の導線の巻き回しの軸に対応する位置(扁平コイル341の空芯部の中心)には、断面形状の長手方向が縦方向に延びるスリット346が刻設され、光学機器の内壁面60においてスリット346に対応する位置にはPSD347が配設され、スリット346を挟んでPSD347の反対側にはLED348が配設されている。PSD337とLED338、及びPSD347とLED348により、補正レンズ枠300のH1方向若しくはH2方向への移動量が検出される。
【0081】
また、第1及び第2実施形態の補正レンズ枠100、200と同様に、補正レンズ枠300の角部300A、300B、300C、300Dにおいて光学機器の内壁面に設けられた突起部、ピン、圧縮ばねにより支持されている。従って、補正レンズ10の光軸OPが光学機器の他の光学系の光軸に対して常時平行に維持され、かつ光軸OPに沿った補正レンズ枠300の動きが規制される。
【0082】
図8は第3実施形態における縦方向の光軸の移動を補正する補正レンズ駆動回路のブロック図である。第1及び第2実施形態と同様、Vジャイロセンサ351により光学機器の撮影光学系の縦方向における光軸ぶれ角速度が検出され、積分回路352において光軸ぶれ角速度が積分演算され光軸角度ぶれ量に変換される。
【0083】
PSD317にはV方向位置演算回路353が接続されており、PSD317から出力される電流に基づいて補正レンズ枠300の縦方向における位置を演算し出力する。同様に、PSD327にはV方向位置演算回路354が接続されており、PSD327から出力される電流に基づいて補正レンズ枠300の縦方向における位置を演算し出力する。
【0084】
比較回路355には積分回路352及びV方向位置演算回路353が接続されている。比較回路355において、積分回路352から出力される撮影光学系の光軸の縦方向における光軸角度ぶれ量と、V方向位置演算回路353から出力される補正レンズ枠300の縦方向における位置情報との差分量が算出される。さらに、補正レンズ枠300が駆動されてこの差分量が減少するよう、扁平コイル311に流される電流の向きが比較回路355において演算され出力される。比較回路355の出力信号は増幅回路357で電力増幅され扁平コイル311に出力され、扁平コイル311に所定の向きの電流が流される。
【0085】
同様に、比較回路356には積分回路352及びV方向位置演算回路354が接続されており、比較回路356において、積分回路352から出力される撮影光学系の光軸の縦方向における光軸角度ぶれ量と、V方向位置演算回路354から出力される補正レンズ枠300の縦方向における位置情報との差分量が算出される。さらに、補正レンズ枠300が駆動されてこの差分量が減少するよう、扁平コイル321に流される電流の向きが比較回路356において演算され出力される。比較回路356の出力信号は増幅回路358で電力増幅され扁平コイル321に出力され、扁平コイル321に所定の向きの電流が流される。
【0086】
尚、第3実施形態において、横方向の光軸の移動の補正に関しても図8と同様の構成を有する補正レンズ駆動回路が備えられている。すなわち、横方向用のジャイロセンサ、積分回路により算出される撮影光学系の光軸の横方向におけるぶれ角度量と、PSD337及び347の出力電流に基づいて検出される補正レンズ枠300の横方向の位置との差分が減少するよう、扁平コイル331、341に所定の方向に電流が流される。
【0087】
以上のように、第1〜第3実施形態によれば、補正レンズ枠を同一方向に駆動する駆動手段を補正レンズ10の光軸OPを挟んで2つ設けているので、補正レンズ枠の駆動において直線性が容易に保たれる。すなわち、補正レンズの駆動方向の直線性を保つための、高精度の寸法や形状が要求される枠部材やガイド部材を必要としない。従って補正レンズ枠のスムーズな駆動が容易に行われ、かつ像振れ補正機構の製造も容易である。
【0088】
また、同一方向への駆動力が2つの駆動手段に分散されるので、個々の駆動手段が小型化される。その結果、像振れ補正機構が搭載される光学機器全体の小型化が実現できる。
【0089】
また、第1及び第2実施形態によれば、各駆動手段がレンズ保持枠の一部に設けられた切り欠き部に配設されているため、装置全体の小型化が図られる。
【0090】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、構成が簡易でかつ正確に補正レンズを駆動できる像振れ補正機構が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態が適用される補正制御機構の正面図である。
【図2】第1実施形態の補正制御機構の断面図である。
【図3】第1実施形態のブロック図である。
【図4】本発明の第2実施形態が適用される補正制御機構の正面図である。
【図5】第2実施形態のブロック図である。
【図6】本発明の第3実施形態が適用される補正制御機構の正面図である。
【図7】第3実施形態の補正制御機構の断面図である。
【図8】第3実施形態のブロック図である。
【符号の説明】
10 補正レンズ
100、200、300 補正レンズ枠
111、121、131、141 ステッピングモータ
112、122、132、142 ロッド
211、221、231、241 DCモータ
215、225、235、245 送りネジ
217、227、237、247 エンコーダ
311、321、331、341 扁平コイル
312、322、332、342 永久磁石
313、323、333、343 永久磁石
317、327、337、347 PSD
318、328、338、348 LED
Claims (7)
- 光学機器の像振れを補正する補正光学系と、
前記補正光学系を保持する保持枠と、
前記保持枠を前記補正光学系の光軸に直交する平面内の第1の軸線に沿って互いに平行な方向に同量駆動する第1の駆動手段及び第2の駆動手段からなる第1の一対の駆動機構と、
前記保持枠を前記平面内において前記第1の軸線に直交する第2の軸線に沿って互いに平行な方向に同量駆動する第3の駆動手段及び第4の駆動手段からなる第2の一対の駆動機構と、
前記第1の軸線に沿う方向における前記保持枠の位置を検出する第1の位置検出手段及び第2の位置検出手段からなる第1の一対の位置検出機構と、
前記第2の軸線に沿う方向における前記保持枠の位置を検出する第3の位置検出手段及び第4の位置検出手段からなる第2の一対の位置検出機構と、
前記光学機器の撮影光学系の光軸の振れの前記第1の軸線方向の角速度を検出する第1の角速度検出手段と、
前記撮影光学系の光軸の振れの前記第2の軸線方向の角速度を検出する第2の角速度検出手段と、
前記第1の軸線方向の角速度から前記撮影光学系の光軸の前記第1の軸線方向のぶれ角度を求める第1のぶれ角度算出手段と、
前記第2の軸線方向の角速度から前記撮影光学系の光軸の前記第2の軸線方向のぶれ角度を求める第2のぶれ角度算出手段と、
前記第1、第2、第3及び第4の駆動手段の駆動量を演算する制御手段とを備え、
前記第1、第2、第3及び第4の駆動手段が、それぞれコイルと永久磁石とを備える電磁コイルであり、
前記第1の駆動手段と前記第2の駆動手段、及び前記第3の駆動手段と前記第4の駆動手段が、それぞれ前記補正光学系の光軸を挟んで対称に配設され、
前記第1の位置検出手段と前記第2の位置検出手段が、前記第2の軸線に沿って前記補正光学系の光軸を挟んで配設されており、前記第3の位置検出手段と前記第4の位置検出手段が、前記第1の軸線に沿って前記補正光学系の光軸を挟んで配設されており、
前記制御手段が、前記第1の軸線方向については、前記第1のぶれ角度算出手段の出力と前記第1の位置検出手段の出力との差分量が減少するように前記第1の駆動手段を駆動し、前記第1のぶれ角度算出手段の出力と前記第2の位置検出手段の出力との差分量が減少するように前記第1の駆動手段を駆動し、前記第2の軸線方向については、前記第2のぶれ角度算出手段の出力と前記第3の位置検出手段の出力との差分量が減少するように前記第3の駆動手段を駆動し、前記第2のぶれ角度算出手段の出力と前記第4の位置検出手段の出力との差分量が減少するように前記第4の駆動手段を制御することを特徴とする像振れ補正機構。 - 前記第1の一対の駆動機構において、前記第1及び第2の駆動手段はそれぞれ同一の部材で構成をされ、
前記第2の一対の駆動機構において、前記第3及び第4の駆動手段はそれぞれ同一の部材で構成されることを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正機構。 - 前記第1、第2、第3及び第4の駆動手段の前記コイルは前記保持枠に固定され、前記第1、第2、第3及び第4の駆動手段の前記永久磁石は前記光学機器の内部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正機構。
- 前記第1の位置検出手段と前記第2の位置検出手段、及び前記第3の位置検出手段と前記第4の位置検出手段が、それぞれ対称に配設されることを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正機構。
- 前記第1、第2、第3及び第4の位置検出手段がそれぞれ、発光素子と入射光の位置を検出する位置検出素子とを備え、前記発光素子と前記位置検出素子が前記保持枠に刻設されたスリットを挟んで前記補正光学系の光軸に沿って配設されていることを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正機構。
- 前記保持枠の前記補正光学系の前記光軸に沿った動きを規制し、かつ前記補正光学系の前記光軸と前記光学機器の他の光学系の光軸を常に平行に保持する、前記保持枠の支持手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正機構。
- 前記第1の一対の駆動手段、及び前記第2の一対の位置検出機構が、それぞれの駆動力が前記補正光学系の光軸を挟んで前記保持枠に作用するよう配設されることを特徴とする請求項1に記載の像振れ補正機構。
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