JP4408274B2 - 鉄骨組立部材 - Google Patents
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Description
高力ファスナーとは、軸力を導入しない支圧形高力ボルト、高力リベット、高力ピン、孔を明けない形式のセルフドリルビスや打込み鋲等のせん断抵抗体を意味する。降伏点とは、通常の降伏点と、0.2%オフセット耐力を含めるものとする。
また、支圧接合とは、図3に示すように、接合された鋼板11、12が、ずれようとするときのファスナーと鋼板孔壁の接触部の支圧力に主に期待した接合形式であり、高力ボルト摩擦接合のようなファスナーの高い軸力導入は不要である。
(1)熱延H形鋼は、鉄鋼メーカーで形状まで作り込むため完成度が高く、後工程での加工負担が少ないという利点がある。しかし、鉄骨骨組では、形状や規模により様々なサイズのものが必要であり、多数のロールを用意・整備して作業負荷の大きいロール組み替えにより対応する必要があるため、熱延工程でのコスト負担が大きいという問題がある。
(2)また、溶接組み立てによって得られるH形鋼は、注文寸法に応じて切断加工した一枚一枚の厚鋼板を溶接して組み立てる必要があり、熟練度の高い溶接技術と多大の作業負荷を必要とするという問題がある。また、溶接性のある鋼板を使用するためコスト高になるという問題もある。
(3)主に柱材として用いられる角形鋼管は、厚板や熱延鋼板を冷間曲げ加工し、シーム溶接により得られるが、(2)と同様に溶接に絡む問題がある。
上記のように、従来の鉄骨部材は、いずれも低コストで多サイズ化、多特性化に対応し難いという問題に加え、鋼材性能として溶接性を担保する必要から、降伏点400N/mm2未満のものが中心となっており、十分な強度を有する建築鋼構造物を低コストで確保できないという問題もあり、近年の高強度化や、多特性化の要請に十分に応えられていないのが実情である。
(5)一方、近年、非特許文献2の14ページに開示されるように、高強度鋼を曲げ加工し、20T級の高強度ボルトやリベットを用い溶接を使わず組み立てることで上記課題を克服しようとの試みもなされているが、20T級の高強度ボルトによる摩擦接合については、高い軸力導入による遅れ破壊の克服が大きな課題であり、その実現は容易ではない。また、この問題の回避策として提案されている支圧接合については、鋼板の強度と厚み、ファスナーの強度と径によって効果が出ない場合も存在することから、効果を安定確保するための更なる研究が求められる。
「鉄骨の構造設計」1991年10月25日2版6刷発行 編著者 藤本盛久、発行者 長祥隆、発行所 技博堂出版株式会社 「革新的構造材料による新構造システム建築物」の平成16年研究開発活動成果につ いて(平成17年4月13日発表) 発表者:新構造システム建築物推進連絡会、主査 最上公彦 (社)新都市ハウジング協会、(社)日本鉄鋼連盟、(社)日本鋼構造協会 日本鉄鋼連盟・日本鋼構造協会 平成16年度「新構造システム建築物研究開発委 員会」報告(平成17年4月)14ページ。
請求項1は、降伏点600N/mm2以上の鋼板を曲げ成形して幅方向に複数の平坦面を形成した開断面の鉄骨部材からなり、少なくとも一つの平坦面を綴り合わせ部としこの綴り合わせ部を重ね合わせ又は添板を介して、引張強さが1700N/mm2以上2600N/mm2以下の高力ファスナーにより支圧接合で長さ方向に複数箇所で綴り合わせた、高力ファスナーの軸径と鉄骨部材の板厚の比が0.5〜3.0であることを特徴とする鉄骨組立部材である。
請求項2は、請求項1において、綴り合わせる鉄骨部材を、少なくとも一方の側の先端部に未綴り合わせ部を突出させるように先端をずらして配置して、重なり合った綴り合わせ部を高力ファスナーで綴り合わせ、突出した未綴り合わせの綴り合わせ部に、別の鉄骨部材の綴り合わせ部を長さ方向から綴り合わせ、重なり合った綴り合わせ部を高力ファスナーによる支圧接合で綴り合わせて所定の長さに形成したことを特徴とする鉄骨組立部材である。
請求項3は、請求項1または2において、綴り合わせた鉄骨部材の少なくとも1つが、材料特性と形状特性の異なることを特徴とする鉄骨組立部材である。
この鉄骨部材を、複数組み合わせて、引張強さが1700N/mm2超の高強度鋼材からなる支圧・せん断形式の高力ファスナーによる支圧接合により綴り合わせることにより、高力ファスナーの使用量を少なくして接合の省力化、低コスト化を実現しながら高強度の安定した鉄骨組立部材を得ることができる。
この際、高力ファスナーの軸径に対する鉄骨部材の板厚比を0.5〜3.0の範囲内にして、鉄骨部材強度と高力ファスナー強度をバランスよく有効に発揮させ支圧接合強度を効率的に安定確保することができる。
また、鉄骨組立部材では、複数の鉄骨部材を高力ファスナーで支圧接合して綴り合わせるので、鉄骨部材の材料特性や断面(形状)特性を、使用部位の荷重分布に応じて効率的に組み合わせることが容易になる。この場合、鉄骨部材の長さ、綴り合わせ部の綴り合わせ方を工夫して、長さ方向にも綴り合わせのみによって容易に組み立てることができる。
また、この鉄骨組立部材は、溶接ではなくファスナーによる乾式組立てで得られるため、解体・リユースが容易である。
本発明の鉄骨組立部材は、鉄骨部材を複数組み合わせ又は形鋼との組み合わせで、綴り合わせ部を直接又は添板を介して、引張強さが1700N/mm2以上2600N/mm2以下の高力ファスナー(軸力導入をしない支圧形高力ボルト、高力リベット、高力ピン、孔を明けない形式のセルフドリルビスや打込み鋲等のせん断抵抗体を意味する、以下「高力ファスナー」という。)による支圧接合で綴り合わせて鉄骨組立部材とするものである。
本発明の鉄骨組立部材は、鉄骨部材を高力ファスナーで綴り合わせて組み立てるため、この鉄骨部材を形成する鋼板は、溶接性を確保する必要はないため、高強度化だけでなく耐火性、軽量化など鋼材の様々な機能を高度化することが容易であり、鉄骨部材として要求される特性を幅広く確保できる。
添板を介して綴り合わせる場合、この添板は、鉄骨部材と同等以上の降伏点を持つものであることが好ましい。
本発明の鉄骨組立部材は、鉄骨部材を支圧・せん断形式の高力ファスナーを用い支圧接合で綴り合わせて組み立てるが、これは、鉄骨部材を降伏点600N/mm2以上の鋼板により形成して高強度化し、高力ファスナーの使用本数を極力少なくし溶接を不要とするところに特徴がある。
即ち、降伏点が600N/mm2未満の場合には、現状使用されている400N/mm2の部材に対して、大幅な鋼材量の減少は望めないが、600N/mm2以上にすると大幅な鋼材使用量が減少できるので、降伏点600N/mm2以上の鉄骨部材を使用することに限定した。
上限については規定していないが、使用部位によっては、高張力が常時、継続して作用する場合があり、この場合、遅れ破壊が発生する懸念があるので、遅れ破壊の発生の懸念がない引張強さを有し、600N/mm2以上の降伏点を持つ鉄骨部材を選択することが好ましい。
また、もう一つの特徴は、高強度化の効果を最大限に発揮させるために、引張強さが1700N/mm2以上の支圧・せん断形式の高力ファスナーを用いることにある。
引張強さが1700N/mm2未満の支圧・せん断形式の高力ファスナーを用いた場合には、使用本数を増やして接合部耐力をある程度確保できるが、接合施工負担が増大するとともに、鉄骨部材の綴り合わせ部の綴り孔面積を増加させることになり、結果として接合部耐力を十分に強化することはできない。したがって、鉄骨部材を降伏点600N/mm2以上の鋼板により形成して高強度化しても、その効果を十分に享受できない。
これに対して、支圧・せん断形式の高力ファスナーを用いる支圧接合では、この遅れ破壊の問題が解消され、高力ファスナーの引張強さ1700N/mm2以上に相応する十分な接合部耐力を確保できる。また、支圧接合のメリットとして、高強度化による高力ファスナーの本数減に加えて、摩擦面の処理が不要、ボルトの軸力やその管理も不要となることが挙げられる。
ただし、支圧・せん断形式の高力ファスナーを用いる支圧接合での接合部耐力は、鉄骨部材と高力ファスナーの軸の接触面(綴り孔面)や高力ファスナー軸の曲げ・せん断面強度により決まるため、鉄骨部材や高力ファスナーの強度と鉄骨部材の板厚又は高力ファスナーの軸径によって決ることになる。これらの組み合わせによっては、鉄骨部材、高力ファスナーの強度アップが無意味になる場合もあることを考慮する必要がある。
よって、高力ファスナーの引張強さが1700N/mm2未満では、高強度化の効果を十分に享受できないので、1700N/mm2とした。また、2600N/mm2を超えると、効果が飽和し、コスト的にも高くなるので、2600N/mm2以下とした。
(1)一面せん断の場合:1.0〜3.0
(例えば鉄骨部材を重ね合わせて直接綴り合わせる場合)
(2)二面せん断の場合:0.5〜1.5
(例えば鉄骨部材を両面に当接の添板を介して綴り合わせる場合)
(1)、(2)において、下限値を下回る場合には、高力ファスナーが大きなせん断力や曲げ力を受けることになり、高力ファスナーの材料強度に見合った支圧接合強度を発揮できない。また、上限値を上回る場合には、高力ファスナーのせん断力や曲げ力に対する強度が大きくなるが、鉄骨部材側が支圧破壊によって、高力ファスナーの材料の高強度化に見合った支圧接合強度を発揮できない。
ここで、高力ファスナーの材料強度を変えずに太径化で対応することも考えられるが、これは綴り孔欠損による鉄骨部材の耐力低下を招くため得策ではない。よって、(高力ファスナーの軸径)/(鉄骨部材の板厚)の比を0.5〜3.0とした。
この場合の綴り合わせ方として、綴り合わせる鉄骨部材は、少なくとも一方の側の先端部に未綴り合わせ部を突出させるように先端をずらして配置して、重なり合った綴り合わせ部を高力ファスナーで綴り合わせて、突出した未綴り合わせの綴り合わせ部に、別の開断面の鉄骨部材の綴り合わせ部の先端部を長さ方向から嵌め合わせ、重なり合った綴り合わせ部を高力ファスナーで綴り合わせるようにして所定の長さの鉄骨組立部材を容易に得ることができる。
例えば、鉄骨組立部材が角形閉断面の柱材の場合、側面に鉄骨梁を取り付けるための接合金物を高力ボルト接合する場合があり、この部位およびその周辺部を重点的に高強度化する組み立ても容易になる。また、接合金物を高力ボルト接合するために、この領域を形成する鉄骨部材に、予めボルト孔をあけ、その内部側にナットを固定したり、ボルト孔の内部側から高力ボルトを挿入・保持させるなどの接合事前作業も容易にできる。
以下に本発明の鉄骨組立部材を形成する鉄骨部材例を図1に基づいて説明する。
この実施例1の鉄骨部材1は、厚みが6mm超の降伏点600N/mm2以上で、降伏比(降伏点/引張強さ)の制限や、溶接性を担保しない高強度鋼板sを、両側端から幅の約1/5の位置で、曲げ成形により、角度α(ここでは45度)折り曲げて、傾斜フランジ1a、1bとウェブ1uの3面の平坦面からなる溝形に形成し、ここでは、フランジ1a、1bを、高力ファスナーでの支圧接合による綴り合わせ部とするため、このフランジ1a、1bの長さ方向に綴り孔1oを1列設けた開断面の鉄骨部材である。
高力ファスナーとして、セルフドリルビスや打込み鋲を用いる場合もあり、その場合、ボルト使用の場合のように予め綴り孔1oを設けることは不可欠ではない。
なお、ここでは、両側の傾斜フランジ1aと1bは、鋼板幅の約1/5程度の位置相当位置を、曲げ成形により、角度α(ここでは45度)で折り曲げて形成したものであり、ウェブ1uは、鋼板幅の3/5程度の幅であるが、傾斜フランジ1a、1bの、ウェブ1uの幅比、フランジの傾斜角度αなどは固定されるものではなく、この鉄骨部材1を綴り合わせて形成する鉄骨組立部材の断面形状、サイズ、特性などに応じて決定するものである。
図2(a)、(b)は、図1で示した鉄骨部材1と同様の鉄骨部材による本発明の鉄骨組立部材例を示したものである。
この鉄骨組立部材1Aは、傾斜フランジ1a、1bに綴り孔1oを設けた4枚の鉄骨部材11、12、13、14を組み合わせてなる角形断面(閉断面)の鉄骨組立部材であって、4隅部の外側で隣り合う開断面の鉄骨部材1の綴り合わせ部を重ね合わせ、綴り孔1oに高力ファスナー6を挿し込み支圧接合して得られた鉄骨組立部材である。
この鉄骨組立部材1Aにおける(高力ファスナーの軸径)/(鉄骨部材の板厚)の比は、1.0であった。
この実施例1の鉄骨組立部材1Aは、4枚の鉄骨部材を隅部の外側で綴り合わせているので、いずれの高力ファスナーを用いても接合施工が容易であり、綴り合わせ部が補強部としても機能するので、鉄骨組立部材の強度を安定確保できる。この鉄骨組立部材1Aは、主として柱材として用いるものである。
なお、鉄骨部材は、すべて同じ材質(特性)の鋼板で形成する必要はなく、鉄骨組立部材1Aの形成部位に求められる強度に応じて、材質を使い分けたり、同じ材質にして厚さを使い分けることもできる。
図4は、図1に示した鉄骨部材1と同様の鉄骨部材による本発明の鉄骨組立部材例を示したものである。
この鉄骨組立部材1Bで用いた2枚の鉄骨部材1、12は、鉄骨組立部材1Aで用いた鉄骨部材1と同様、傾斜フランジ1a、1bとウェブ1uの3面の平坦面からなる溝形に形成した開断面の鋼板部材であるが、ウェブ1uを高力ファスナー6で支圧接合する綴り合わせ部とするため、ウェブ1uの長さ方向に綴り孔1oを2列設けた開断面の鉄骨部材である。
この鉄骨組立部材1Bにおける(高力ファスナーの軸径)/(鉄骨部材の板厚)の比は、1.2であった。
この鉄骨組立部材1Bは、2枚の鉄骨部材11、12を組み合わせ、ウェブ1uの背面を重ね合わせて高力ファスナー6で綴り合わせて、ウェブ1uの2枚重ね部とその先端部にV字型のフランジを形成した開断面の鉄骨組立部材である。
この鉄骨組立部材1Bは、ここでは高力ファスナー6として支圧形高力ボルトを用いたものであるが、開断面であるので、いずれの高力ファスナーを用いても接合施工が容易である。この鉄骨組立部材1Bの鉄骨部材11、12を形成する鋼板s、高力ファスナー6は、鉄骨組立部材1Aと同様のものを用いるので説明は省略する。また、各鉄骨部材は、すべて同じ材質(特性)の鋼板で形成する必要はなく、鉄骨組立部材1Bの形成部位に求められる強度に応じて、材質を使い分けたり、同じ材質にして厚さを使い分けることもできる。この鉄骨組立部材1Bは、主として柱材や梁材として用いるものである。
図5は、図1に示した鉄骨部材1と同様の鉄骨部材による本発明の鉄骨組立部材例を示したものである。
この鉄骨組立部材1Cは、4枚の鉄骨部材11、12、13、14を組み合わせてなる多角形断面(閉断面)の鉄骨組立部材であって、隣り合う開断面の鉄骨部材の傾斜フランジ1aと1bの綴り合わせ部端を突き合わせて、双方の綴り合わせ部に跨がって内部側から当接した綴り孔(図示省略)を有する添板8を介して、鉄骨部材1の綴り孔1oと添板8の綴り孔に高力ファスナー6を挿し込み支圧接合で綴り合わせて得られた鉄骨組立部材である。
ここで用いた添板8は、鉄骨部材と同程度以上の特性を有し、鉄骨部材1とほぼ同じ長さの細長い長方形の鋼板sからなり、隣り合う鉄骨部材1の傾斜フランジ1aと1bの綴り孔1oに対応するように2列の綴り孔(図示省略)を設けたものである。
この鉄骨組立部材1Cにおける(高力ファスナーの軸径)/(鉄骨部材の板厚)の比は、0.5であった。ただし、図5で付記していないが、添板8が外側にある場合も含む。
ここでは、少なくとも閉断面を形成する最終段階で隣り合う一方の鉄骨部材に、添板8の一方の側を内部側から挿通した高力ファスナー6で支圧接合し、この添板8の他方の側の綴り孔には、内部側から高力ファスナー6を挿通して突出・保持しておき、この高力ボルト6に他方の鉄骨部材の綴り孔1oを挿通して添板8に当接し、外部側に突出した高力ファスナー6にナット締めして支圧接合するようにしている。
そのために、添板8の綴り孔に高力ファスナー6を内部側から挿通して保持するために、高力ファスナー6を軽度の外力で圧入して脱落しないようにしている。(例えば添板8の綴り孔と高力ファスナー6間に薄板片を差し込むなどを考慮)。
この鉄骨組立部材1Cの各鉄骨部材を形成する鋼板s、高力ファスナー6は、上記各鉄骨組立部材1Aと同様のものを用いるので、説明は省略する。また、各鉄骨部材は、すべて同じ材質(特性)の鋼板で形成する必要はなく、鉄骨組立部材1Cの形成部位に求められる強度に応じて、材質を使い分けたり、同じ材質にして厚さを使い分けることもできる。この鉄骨組立部材1Cは、主として、他の鉄骨部材と組み合わせて柱材や梁材として用いるものである。
図6(a)、(b)は、図1の鉄骨部材1と同様の鉄骨部材11、12を他の鉄骨部材である圧延や溶接組立で得られるH形鋼9と組み合わせた本発明の鉄骨組立部材例を示したものである。
この鉄骨組立部材1Dで用いた2枚の鉄骨部材11、12は、鉄骨組立部材(1B)で用いた鉄骨部材1と同様、ウェブ1uを高力ファスナー6で支圧接合する綴り合わせ部とするため、ウェブ1uの長さ方向に綴り孔1oを設けた鉄骨部材である。
この鉄骨組立部材1Dで用いた2枚の鉄骨部材11、12は、H形鋼9より高強度材からなり、H形鋼9に組み合わせて補強したものであり、H形鋼9の両フランジ9a、9bの外面側に、このフランジ幅より大きい幅の鉄骨部材11、12のウェブ1uの内面側を当接して高力ファスナー6で支圧接合により綴り合わせたものであり、鉄骨部材11、12によりH形鋼9のフランジ9a、9b幅より大きいフランジを形成し、その側端部の傾斜フランジ1a、1bにより内側に傾斜する平坦面を形成して強度を強化した異形H形鋼になる鉄骨組立部材としたものである。傾斜フランジ1a、1bによる平坦面に、綴り孔を設けて他の鉄骨部材などとの綴り合わせ部とすることもできる。
この鉄骨組立部材1Dは、ここでは高力ファスナー6として高力ボルトを用いたものであるが、開断面であるので、いずれの高力ファスナーを用いても接合施工が容易である。
なお、この鉄骨組立部材1Eの鉄骨部材1を形成する鋼板s、高力ファスナー6は、鉄骨組立部材1Aと同様のものを用いるので、説明は省略する。また、この異形H形鋼を形成する各鉄骨部材11、12とH形鋼9は、すべて同じ材料特性のものでもよいし、異なる材料特性のものであってもよい。この鉄骨組立部材1Dは、主として柱材や梁材として用いるものである。
図7は、図1の鉄骨部材1と同様の鉄骨部材11、12を他の鉄骨部材である圧延や曲げ加工で得られる溝形鋼12と組み合わせた本発明の鉄骨組立部材例を示したものである。
この鉄骨組立部材1Eで用いた鉄骨部材11、12は、鉄骨組立部材(1B)で用いた鉄骨部材1と同様、ウェブ1uを高力ファスナー6で支圧接合する綴り合わせ部とするため、ウェブ1uの長さ方向に綴り孔1oを設けた鉄骨部材である。
この鉄骨部材11、12は、それぞれ溝形鋼12の両フランジ12a、12bの外面側に、このフランジ幅より大きい幅のウェブ1uの内面側を当接して高力ファスナー6で支圧接合により綴り合わせて、鉄骨部材11、12をフランジとし溝形鋼12のウェブ12uをウェブとする異形H形鋼としたものである。この鉄骨組立部材1Eにおける(高力ファスナーの軸径)/(と鉄骨部材および溝形鋼の板厚)の比は、2.2であった。
この鉄骨組立部材1Eは、ここでは高力ファスナー6として高力ボルトを用いたものであるが、開断面であるので、いずれの高力ファスナーを用いても接合施工が容易である。
なお、この鉄骨組立部材1Eの鉄骨部材11、12を形成する鋼板s、高力ファスナー6は、鉄骨組立部材1Aと同様のものを用いるので、説明は省略する。また、この異形H形鋼を形成する各鉄骨部材11、12と溝形鋼12は、すべて同じ材料特性のものでもよいし、異なる材料特性のものであってもよい。この鉄骨組立部材1Eは、主として柱材や梁材として用いるものである。
図8は、図1の鉄骨部材1と同様の鉄骨部材11、12を他の鉄骨部材である異形Z形鋼13と組み合わせた本発明の鉄骨組立部材例を示したものである。
この鉄骨組立部材1Fで用いた鉄骨部材11、12は、鉄骨組立部材(1B)で用いた鉄骨部材1と同様、ウェブ1uを高力ファスナー6で支圧接合する綴り合わせ部とするため、ウェブ1uの長さ方向に綴り孔1oを設けた鉄骨部材である。
この鉄骨部材11、12は、それぞれ異形Z形鋼12の両フランジ13a、13bの外面側に、このフランジ幅より大きい幅のウェブ1uの内面側を当接して高力ファスナー6で支圧接合により綴り合わせて、鉄骨部材11、12をフランジとし異形Z形鋼13のウェブ13uをウェブとする異形H形鋼としたものである。
この鉄骨組立部材1Fにおける(高力ファスナーの軸径)/(鉄骨部材および異形Z形鋼の板厚)の比は、2.5であった。
この鉄骨組立部材1Fは、ここでは高力ファスナー6として高力ボルトを用いたものであるが、開断面であるので、いずれの高力ファスナーを用いても接合施工が容易である。
なお、この鉄骨組立部材1Fの鉄骨部材11、12を形成する鋼板s、高力ファスナー6は、鉄骨組立部材1Aと同様のものを用いるので説明は省略する。また、この異形H形鋼を形成する各鉄骨部材11、12と異形Z形鋼13は、すべて同じ材料特性のものでもよいし、異なる材料特性のものであってもよい。この鉄骨組立部材1Fは、主として柱材や梁材として用いるものである。
図9は、実施例1の鉄骨部材1と同様の鉄骨部材による本発明の鉄骨組立部材例を示したものである。
この鉄骨組立部材1Gは、4枚の鉄骨部材11、12、13、14を組み合わせてなる略角形断面(閉断面)の鉄骨組立部材であって、隣り合う鉄骨部材(例えば11、12)の傾斜フランジ1aと1bの綴り合わ部を重ね合わせて、高力ファスナー6で支圧接合により綴り合わせて得られるものである。
この鉄骨組立部材1Gにおける(高力ファスナーの軸径)/(鉄骨部材の板厚)の比は、0.8であった。ただし、図14では付記していないが、添板8が外側にある場合を含む。
この鉄骨組立部材1Gは、隣り合う鉄骨部材(例えば11、12)の傾斜フランジ1aと1bの綴り合わせ部を重ね合わせ、直接に高力ファスナーで綴り合わせており、添板を省略できるので、例えば鉄骨組立部材例1Cと比較すると接合施工が簡易である。
なお、この鉄骨組立部材1Gの鉄骨部材を形成する鋼板s、高力ファスナー6は、実施例1の鉄骨組立部材1Aと同様のものを用いるので、説明は省略する。また、各鉄骨部材は、すべて同じ材質(特性)の鋼板sで形成する必要はなく、使用部位に求められる強度に応じて、材質を使い分けたり、同じ材質にして厚さを使い分けることもできる。この鉄骨組立部材1Gは、主として柱材として用いるものである。
本発明の実施例2の本発明の鉄骨組立部材を形成する他の鉄骨部材例を図10に基づいて説明する。
この鉄骨部材2は、鋼板sを、両側端から幅の約2/7の位置で、角度α(ここでは45度)折り曲げ、更に内側に角度β(ここでは90度)折り曲げる、2回の折り曲げで直角な2面2aと2c、2bと2dの平坦面を有する屈曲フランジとウェブ2uの5面の平坦面からなる異形の溝形に形成した開断面の鋼板部材であり、各平坦面を綴り合わせ部とすることができるが、ここでは、屈曲フランジのウェブ2u側の平坦面2a、2bを、高力ファスナーで支圧接合する綴り合わせ部とするため、その長さ方向に綴り孔2oを1列設けた開断面の鉄骨部材である。ただし、高力ファスナーとしてセルフドリルビス、打込み鋲などを使用する場合もあり、綴り孔2oが必要ない場合もある。
この鉄骨部材2を形成する鋼板sは、実施例1の鉄骨部材1と同様のものなので説明は省略する。
鉄骨部材2のウェブ2uも綴り合わせ部とする場合もあり、また、鉄骨部材2のウェブ2uのみを綴り合わせ部とする場合もあり、この場合、ウェブ2uにのみ綴り孔2oを設ける。
なお、両側の屈曲フランジの幅と、ウェブ2uの幅比、屈曲フランジの2面の平坦面2aと2c、2bと2dを形成する角度α、βなどは固定されるものではなく、この鉄骨部材2を綴り合わせて形成する鉄骨組立部材の断面形状、サイズに応じて決定するものである。
図11(a)、(b)は、図10の鉄骨部材による本発明の鉄骨組立部材例を示したものである。
この鉄骨組立部材2Aは、4枚の鉄骨部材2(21、22、23、24)組み合わせてなる角形断面(閉断面)の鉄骨組立部材であって、4隅部の外側で隣り合う鉄骨部材2の屈曲フランジのウェブ2u側の平坦面2a、2bを綴り合わせ部を重ね合わせ、綴り孔2oに高力ファスナー6を挿し込み支圧接合で綴り合わせて得られた鉄骨組立部材である。
この鉄骨組立部材2Aは、隣り合う鉄骨部材2を隅部の外側で綴り合わせているので、いずれの高力ファスナーを用いても接合施工が容易であり、綴り合わせ部が補強部としても機能するので、鉄骨組立部材の強度を安定確保できる。
この鉄骨組立部材2Aにおける(高力ファスナーの軸径)/(鉄骨部材の板厚)の比は、1.0であった。
なお、この鉄骨組立部材2Aの鉄骨部材1を形成する鋼板s、高力ファスナー6は、実施例1の鉄骨組立部材1Aと同様のものを用いるので説明は省略する。各鉄骨部材は、すべて同じ材質(特性)の鋼板sで形成する必要はなく、使用部位に求められる強度に応じて、材質を使い分けたり、同じ材質にして厚さを使い分けることもできる。この鉄骨組立部材2Aは、主として柱材として用いるものである。
図12(a)、(b)は、図10に示す鉄骨部材と同様の2枚の鉄骨部材21、22を、異形X形の鉄骨組立部材7に組み合わせた本発明の鉄骨組立部材例を示したものである。
この鉄骨組立部材2Bで用いた鉄骨部材21、22は、基本形状が図10に示した鉄骨部材と同様のものであるが、屈曲フランジの先端側の平坦面2c、2dを綴り合わせ部とするため、その長さ方向に綴り孔2oを1列設けた開断面の鉄骨部材である。
また、異形X形の鉄骨組立部材7は、基本形は、実施例1の図4に示した鉄骨組立部材例1Bに類似するもので、ウェブ1uに綴り孔を有する鉄骨部材11、12を、ウェブ1uの背面側を重ね合わせて高力ファスナー6(ここでは1列)で支圧接合により綴り合わせたものであり、両側部にV字形のフランジ7a、7bを形成し、その先端部の長さ方向に綴り孔を1列設けた鉄骨組立部材である。
この鉄骨組立部材2Bにおける(高力ファスナーの軸径)/(鉄骨部材の板厚)の比は、2.3であった。
なお、この鉄骨組立部材2Bの鉄骨部材2と異形X形の鉄骨組立部材7を形成する鋼板s、高力ファスナー6は、基本的には鉄骨組立部材1Aと同様のものを用いるので、説明は省略する。各鉄骨部材は、すべて同じ材質(特性)の鋼板sで形成する必要はなく、使用部位に求められる強度に応じて、材質を使い分けたり、同じ材質にして厚さを使い分けることもできる。この鉄骨組立部材2B、主として他の鉄骨部材と組み合わせ柱材や梁材として用いるものである。
図13は、本発明の実施例3の本発明の鉄骨組立部材を形成する他の鉄骨部材例を示したものである。
この鉄骨部材3は、鋼板sを、長方形に裁断し、曲げ成形により、一方の側では端から幅の約2/7の位置で、角度α(ここでは45度)折り曲げ、更に角度β(ここでは90度)折り曲げる、2回の折り曲げで直角な2面3aと3cの平坦面を有する屈曲フランジを形成し、他方の側では端端から幅の約1/7の位置で、角度α(ここでは45度)折り曲げて傾斜フランジ3bを形成した非対称断面で3aと3c、3b、3uの4面の平坦面を有する開断面の鋼板部材であり、各平坦面を綴り合わせ部とすることができるが、ここでは、傾斜フランジ3ac、3bを支圧接合する綴り合わせ部とするため、一方の側では屈曲フランジの平坦面3cに、また他方の側では傾斜フランジ3bに、それぞれ長さ方向に綴り孔3oを1列設けた鉄骨部材である。
この鉄骨部材例3を形成する鋼板sついては、実施例1の各鉄骨組立部材と同様のものなので、説明は省略する。
また、綴り孔3oの形成についても実施例1の鉄骨部材例1と同様であるので、説明は省略する。
なお、両側の屈曲フランジの幅と、ウェブ3uの幅比、屈曲フランジの2面の平坦面3aと3c、3bを形成する角度α、βなどは固定されるものではなく、この鉄骨部材3を綴り合わせて形成する鉄骨組立部材の断面形状、サイズに応じて決定するものである。
図14(a)、(b)は、図13の鉄骨部材による実施例3の本発明の鉄骨組立部材例を示したものである。
この鉄骨組立部材3Aは、実施例3の開断面の鉄骨部材3を4枚(31、32、33、34)組み合わせてなる多角断面(閉断面)の鉄骨組立部材であって、内部側において、一方の側では隣り合う鉄骨部材3の傾斜フランジ3aの先端の平坦面3cを重ね合わせ直接に、また、他方の側では隣り合う鉄骨部材3の傾斜フランジ3bを綴り合わせ部として突き合わせ添板8を介して、綴り孔に高力ファスナー6を押し込み支圧接合して得られた鉄骨組立部材である。
この鉄骨組立部材3Aにおける(高力ファスナーの軸径)/(鉄骨部材の板厚)の比は、2.8であった。
この実施例の閉断面の鉄骨組立部材3Aでは、屈曲フランジを形成する傾斜フランジ3aの先端にある平坦面3cの綴り合わせ部は内部側にあり、傾斜フランジ2bの突き合わせ部で添板8を用いる。この添板8は、鉄骨部材3と同程度の強度レベルのものでよい。
なお、この鉄骨組立部材3Aで用いる高力ファスナー6は、実施例1の鉄骨組立部材1Aと同様のものを用いるので、説明は省略する。また、鉄骨部材は、すべて同じ材質(特性)の鋼板sで形成する必要はなく、使用部位に求められる強度に応じて、材質を使い分けたり、同じ材質にして厚さを使い分け、複数綴り合わせて使用することもできる。この鉄骨組立部材3Aは、主として柱材として用いるものである。
図15は、本発明の実施例4の鉄骨組立部材を形成する他の鉄骨部材例を示したものである。
この鉄骨部材4は、鋼板sを、長方形に裁断し、冷間ロール成形により、幅中央部付近の位置で、角度θ(ここでは90度)折り曲げて、直角な2面の平坦面4a、4bを形成し、一方の平坦面、ここでは4bの先端部をさらに折り曲げて、この一方の平坦面4bと平行で鋼板sの厚みt相当の段差面になる平坦面4cを形成してなる基本形がL形である開断面の鋼板成形材である。
この鋼板成形材の一方の平坦面4aの先端部と、他方の平坦面4bの先端側の段差面である平坦面4cを、高力ファスナーによる支圧接合する綴り合わせ部とするため、この2面の綴り合わせ部に、綴り孔4oを長さ方向に等ピッチで1列設けた開断面の鉄骨部材4としたものである。
この鉄骨部材4を形成する鋼板sは、実施例1の鉄骨部材1と同様であるので、説明は省略する。
図16(a)、(b)は、図15の鉄骨部材による実施例4の本発明の鉄骨組立部材例を示したものである。
この鉄骨組立部材4Aは、開断面の鉄骨部材4を組み合わせてなる角形断面(閉断面)の鉄骨組立部材であって、例えば、鉄骨部材41の段差面である平坦面4cと鉄骨部材42の平坦面4aを、また、鉄骨部材43の段差面である平坦面4cと鉄骨部材44の平坦面4cを、それぞれ高力ファスナー6で支圧接合により綴り合わせて一対の溝形部材を形成し、一方の溝形部材を形成する鉄骨部材41の平坦面4aの綴り合わせ部と、他方の溝形部材を形成する鉄骨部材44の段差面である平坦面4cの綴り合わせ部を重ね合わせ、また、一方の溝形部材を形成する鉄骨部材42の段差面である平坦面4cの綴り合わせ部と、他方の溝形部材を形成する鉄骨部材43の平坦面4aの綴り合わせ部を重ね合わせ、それぞれ、綴り孔4oに高力ファスナー6を挿し込み支圧接合して得られる鉄骨組立部材である。
ここでは、予め2枚の鉄骨部材で一対の溝形部材を形成してから、一対の溝形部材を組み合わせ、綴り合わせて角形断面(閉断面)の鉄骨組立部材4Aを形成したが、4枚(41、42、43、44)の鉄骨部材を順次綴り合わせて角形断面(閉断面)の鉄骨組立部材4Aを形成することもできる。
この鉄骨組立部材4Aにおける(高力ファスナーの軸径)/(鉄骨部材の板厚)の比は、3.0であった。
なお、この鉄骨組立部材4Aで用いる高力ファスナー6は、実施例1の鉄骨組立部材1Aと同様のものを用いるので、説明は省略する。各鉄骨部材は、すべて同じ材質(特性)の鋼板sで形成する必要はなく、使用部位に求められる強度に応じて、材質を使い分けたり、同じ材質にして厚さを使い分けることもできる。この鉄骨組立部材4Aは、主として柱材として用いるものである。
図17は、本発明の実施例5の鉄骨組立部材を形成する鉄骨部材例を示したものである。
この鉄骨部材5は、鋼板sを、長方形に裁断し、曲げ成形により、幅中央部付近の位置で、角度θ(ここでは90度)折り曲げて、直角な2面の平坦面5a、5bを形成してなる基本形がL形である開断面の鋼板成形材である。
この鋼板成形材の2つ平坦面5aと5bを綴り合わせ部とするものであり、それぞれの平坦面5aの側端部を、高力ファスナー接合による綴り合わせ部とするため、綴り孔5oを長さ方向に1列設けた開断面の鉄骨部材5としたものである。
この鉄骨部材5を綴り合わせる場合には、隣合う鉄骨部材5の綴り合わせ部側端を突き合わせて、綴り合わせ部に跨がって当接した、双方の綴り孔5oに対応する綴り孔を設けた添板を介して支圧接合する。
この鉄骨部材5を形成する鋼板sは、実施例1の鉄骨部材1と同様なので説明は省略する。
図18(a)、(b)は、図17の鉄骨部材による実施例5の本発明の鉄骨組立部材例を示したものである。
この鉄骨組立部材5Aは、開断面の鉄骨部材例5を4枚(51、52、53、54)を組み合わせ綴り合わせてなる角形断面(閉断面)の鉄骨組立部材であって、例えば、鉄骨部材51の平坦面5bと鉄骨部材52の平坦面5aを、また、鉄骨部材53の平坦面5aと鉄骨部材54の平坦面5bを、それぞれ突き合わせて内部側に当接した添板8を介して高力ファスナー6で支圧接合により綴り合わせて一対の溝形部材を形成し、一方の溝形部材を形成する鉄骨部材51の平坦面5aの綴り合わせ部と他方の溝形部材を形成する鉄骨部材54の平坦面5bの綴り合わせ部を、また、一方の溝形部材を形成する鉄骨部材52の平坦面5bの綴り合わせ部と他方の溝形部材を形成する鉄骨部材53の平坦面5aの綴り合わせ部を、それぞれ、突き合わせて添板8を介して綴り孔4oに高力ファスナー6を挿し込み支圧接合して得られる鉄骨組立部材である。
この鉄骨組立部材4Aにおける(高力ファスナーの軸径)/(鉄骨部材の板厚)の比は、0.9であった。ただし、図18では付記していないが、添板8が外側にある場合を含む。
この鉄骨組立部材5Aは閉断面であり、一対の溝形材は、それぞれ内部側に当接した添板8を介して高力ファスナー6で支圧接合するが、一対の溝形材は、添板8を介して高力ファスナー6で支圧接合しており、例えば一方の溝形材側に接合した添板8に、他方の溝形材側の綴り孔に挿通する高力ファスナー6を、内部側から挿通・保持させておくことにより、接合施工に際して困難はない。
なお、この鉄骨組立部材5Aで用いる高力ファスナー6は、実施例1の鉄骨組立部材1Aと同様のものを用いるので、説明は省略する。各鉄骨部材は、すべて同じ材質(特性)の鋼板sで形成する必要はなく、使用部位に求められる強度に応じて、材質を使い分けたり、同じ材質にして厚さを使い分けることもできる。この鉄骨組立部材例5Aは、主として柱材として用いるものである。
本発明の実施例6の鉄骨組立部材を形成する鉄骨部材例を図19に基づいて説明する。
この鉄骨部材10は、鋼板sを、長方形に裁断し、曲げ成形により、両側端から幅の約2/7の位置で、角度α(ここでは45度)折り曲げ、更に反対側に角度γ(ここでは90度)折り曲げる、2回の折り曲げで直角な2面10aと10b、10cと10dの平坦面を有する屈曲フランジとウェブ10uの5面の平坦面からなる異形の溝形に形成した開断面の鋼板部材であり、各平坦面を綴り合わせ部とすることができるが、ここでは、屈曲フランジのウェブ10u側の平坦面10c、10dを、高力ファスナーで支圧接合する綴り合わせ部とするため、その長さ方向に綴り孔10oを1列設けた鉄骨部材である。
この鉄骨部材10を形成する鋼板sは、実施例1の鉄骨部材1と同様のものなので説明は省略する。
鉄骨部材10のウェブ10uも綴り合わせ部とする場合もあり、鉄骨部材10のウェブ10uのみを綴り合わせ部とする場合もあり、この場合、ウェブ10uにのみ綴り孔を設ける。
なお、両側の屈曲フランジの幅と、ウェブ10uの幅比、屈曲フランジの平坦面10aと10b、10cと10dを形成する角度α、γなどは固定されるものではなく、この鉄骨部材10を綴り合わせて形成する鉄骨組立部材10Aの断面形状、サイズに応じて決定するものである。
図20(a)、(b)は、図19の鉄骨部材による実施例6の本発明の鉄骨組立部材例を示したものである。
この鉄骨組立部材10Aは、鉄骨部材10を4枚(101、102、103、104)を組み合わせてなる角形断面(閉断面)の鉄骨組立部材であって、4隅部の外側で隣り合う鉄骨部材10の屈曲フランジの先端側の平坦面10c、10dの綴り合わせ部を重ね合わせ、綴り孔10oに高力ファスナー6を挿し込み支圧接合で綴り合わせて得られた鉄骨組立部材である。
この鉄骨組立部材10Aは、鉄骨部材10を隅部の外側で綴り合わせているので、他の高力ファスナーを用いても接合施工が容易であり、綴り合わせ部が補強部としても機能するので、鉄骨組立部材の強度を安定確保できる。
この鉄骨組立部材10Aにおける(高力ファスナーの軸径)/(鉄骨部材の板厚)の比は、0.8であった。
なお、この鉄骨組立部材10Aの鉄骨部材10を形成する鋼板s、高力ファスナー6は、実施例1の鉄骨組立部材1Aと同様のものを用いるので、説明は省略する。各鉄骨部材は、すべて同じ材質(特性)の鋼板sで形成する必要はなく、使用部位に求められる強度に応じて、材質を使い分けたり、同じ材質にして厚さを使い分けることもできる。この鉄骨組立部材10Aは、主として柱材として用いるものである。
図21(a)、(b)、(c)、(d)は、本発明の鉄骨組立部材における長さ方向の組立(継手)構造例を示したものである。
この鉄骨組立部材11は、図21(a)に示すように、実施例1の図2と同様、4枚の鉄骨部材(11、12、13、14)を高力ファスナー6で支圧接合により綴り合わせた長さL1の鉄骨組立部材111と、長さL2の鉄骨組立部材112を突き合わせ、高力ファスナー6で支圧接合により長さ方向に綴り合わせて長さL(L1+L2)の鉄骨組立部材としたものである。
ここでは、図21(b)、(c)に示すように、鉄骨組立部材111と112の突き合わせ側において、一方の鉄骨組立部材111側では、鉄骨部材12と14を、隣り合う鉄骨部材11と13より長くして長さLsの未綴り合わせ部が突出するように配置して、この未綴り合わせ部を残した状態で、他の重なり合った隣合う綴り合わせ部を高力ファスナー6による支圧接合で綴り合わせる。
他方の鉄骨組立部材112側では、鉄骨部材11と13を、隣合う鉄骨部材12と14より長くしてLsの未綴り合わせ部が突出するように配置して、この未綴り合わせ部を残した状態で、他の重なり合った隣り合う綴り合わせ部を高力ファスナー6による支圧接合で綴り合わせる。
この鉄骨組立部材11では、添板などの別途の接合手段を用いることなく、高力ファスナー6による支圧接合で綴り合わせるのみで、所定の長さにすることができる。
この鉄骨組立部材11における(高力ファスナーの軸径)/(鉄骨部材の板厚)の比は、1.5であった。
なお、この鉄骨組立部材11の各鉄骨部材を形成する鋼板s、高力ファスナー6は、実施例1の鉄骨組立部材1Aと同様のものを用いるので、説明は省略する。この鉄骨組立部材11は、主として柱材として用いるものである。
また、鉄骨組立部材11は、同じ特性の鉄骨部材で形成した特性の同じ鉄骨組立部材111と他方の鉄骨組立部材112で形成したり、一方の鉄骨組立部材111と他方の鉄骨組立部材112を異なる特性の鉄骨部材で形成することもできる。
また、複数種の特性の鉄骨部材を綴り合わせて、各部位に求められる特性に対応した、きめ細かく特性を備えた鉄骨組立部材を形成することもできる。
このような、考え方は、上記各実施例1〜実施例6の鉄骨組立部材においても同様に適用できる。
1u:ウェブ 1o:綴り孔 s:厚鋼板
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G:鉄骨組立部材
2、21、22、23、24:鉄骨部材2 2a、2b:傾斜フランジ
2c、2d:先端平坦面 2o:綴り孔 2A、2B:鉄骨組立部材
3、31、32、33、34:鉄骨部材3 3a、3b:傾斜フランジ
3c:先端平坦面 3o:綴り孔 3A:鉄骨組立部材
4、41、42、43、44:鉄骨部材4 4a、4b:平坦面
4c:段差平坦面 4o:綴り孔 4A:鉄骨組立部材
5、51、52、53、54:鉄骨部材5 5a、5b:平坦面
5o:綴り孔 5A:鉄骨組立部材
6:高力ファスナー(支圧形高力ボルト) 7:異形X形の鉄骨組立部材
7a、7b:V字形フランジ 8:添板 9:鉄骨部材(H形鋼)
10、101、102、103、104:鉄骨部材 10o:綴り孔
10a、10b、10c、10d:平坦面 10A:鉄骨組立部材
11:鉄骨組立部材(長尺) 111 、112 :鉄骨組立部材(短尺)
12:溝形鋼 12a、12b:フランジ 12u:ウェブ
13:異形Z形鋼 13a、13b:フランジ 13u:ウェブ
Claims (3)
- 降伏点600N/mm2以上の鋼板を曲げ成形して幅方向に複数の平坦面を形成した開断面の鉄骨部材からなり、少なくとも一つの平坦面を綴り合わせ部としこの綴り合わせ部を重ね合わせ又は添板を介して、引張強さが1700N/mm2以上2600N/mm2以下の高力ファスナーにより支圧接合で長さ方向に複数箇所で綴り合わせた、高力ファスナーの軸径と鉄骨部材の板厚の比が0.5〜3.0であることを特徴とする鉄骨組立部材。
- 綴り合わせる鉄骨部材を、少なくとも一方の側の先端部に未綴り合わせ部を突出させるように先端をずらして配置して、重なり合った綴り合わせ部を高力ファスナーで綴り合わせ、突出した未綴り合わせの綴り合わせ部に、別の鉄骨部材の綴り合わせ部を長さ方向から綴り合わせ、重なり合った綴り合わせ部を高力ファスナーによる支圧接合で綴り合わせて所定の長さに形成したことを特徴とする請求項1に記載の鉄骨組立部材。
- 綴り合わせた鉄骨部材の少なくとも1つが、材料特性と形状の異なることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄骨組立部材。
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