JP5358231B2 - 仕口補強構造 - Google Patents

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Description

本発明は、主構造材に対し1ないしそれ以上の構造材を組み合わせて接合する仕口構造に対して、開放端付き補強構造材(補強プレート)を適用することにより有効な補強効果を期待し得る仕口補強構造に関する。ここで、開放端付き補強構造材とは、丸型管材、角型管材その他袋状体等のような閉じられた断面のみを有する構造材ではなく、主として板状体、ヒレ状補強部の開放端部を備えた構造材であり、またこれらと同様の補強構造材が被着された丸型管材、角型管材、柱状体、筒状体等を包含するものをいう。
各種建築物その他の構造体において、柱、梁、桁等の主構造材の側面に対し1ないしそれ以上の構造材を接合する構造が仕口(しぐち)となる。素材が木材である場合には接合される側の部材にほぞ穴を、そして接合する側の部材端部にほぞを、それぞれ設け、ほぞ穴にほぞを挿入する仕口構造が広く採用される。これに対して、複数の金属構造材を組み合わせた仕口形成には、一般に溶接による接合が行われる。このような溶接箇所の強度が、溶接作業時の使用素材並びに施工技術によって大きく異なることは経験上良く知られている。
金属材料、例えば各種鋼鉄製素材によって十分な強度を有する仕口構造を形成するには、構成材料の素材および寸法等を選定し、それぞれの性質および特徴を踏まえた上で然るべき溶接技能を有する作業者により適切な溶接作業を行わなければならない。それぞれの所要条件が確保できない場合は、当該構造物は地震、台風その他自然災害や天変地異によって甚大な被害を被る可能性がある。
例えば特許文献1は、角型鋼管柱または鋼管コンクリート柱と梁による仕口構造を形成する手段を開示している。かかる柱類と梁による仕口構造を形成するに当たって、鋼管柱または鋼管コンクリート柱1の内部に角型の内部補強プレート3を溶接して、鋼管柱等の柱内部側を予め補強しておき、その外部に梁材2を溶接固定する構造を開示している。しかし、かかる手段は補強プレートを内部に溶接可能な柱類の端部においてのみ適用可能で、管内部への溶接処理が不可能である管状柱類の中間部における仕口構造形成には適用できない。
また特許文献2は、角型鋼管柱1に対して梁部材2を組合わせて仕口構造を形成する際に、補強を行うための構造を開示している。この場合、角型鋼管柱の外周4面に予め仕口補強プレート4(5、6、7、8)を溶接しておき、この補強プレート4に対してH型鋼である梁部材2を溶接結合する手段を開示している。角型鋼管柱1に対する補強板4の溶接自体は周知の技術と解されるが、溶接母材である角型鋼管柱に対する入熱影響を低減する効果も期待できる旨開示している。しかしながら、この構造においては仕口補強プレート3を介在させて鋼管柱1と梁部材2とを接合しているにすぎない。
特開平06−299602号公報
特開2007−284932号公報
本発明の課題は、主に金属製の主構造材に対し1ないしそれ以上の構造材を組み合わせて接合する仕口構造に対して、開放端付き補強構造材(補強プレート)を適用することにより有効な補強効果を期待し得る仕口補強構造を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、梁と柱の間に補強材として斜めに取り付けられ梁を支える斜め柱材を接合する仕口部分のH型鋼である主構造材に対して、少なくとも1部に開放端を有する締結用板状体を溶接し、該締結用板状体の対向する両側辺及び上方斜辺3S、23Sの開放端部に対して補強プレートが略直角をなし、それぞれの断面が略T字状となるように溶接され、前記締結用板状体に接続される前記斜め柱材の接続端部に接続用板状体を溶接し、該接続用板状体の対向する両側辺の開放端部に対して補強プレートが略直角をなし、それぞれの断面が略T字状となるように溶接され、そして、該締結用板状体の両側辺の開放端部に溶接された各補強プレートに対応する部位の裏面に相当するH型鋼に対して、該主構造材であるH型鋼の2つの開放部間を連結する補強プレートが溶接される仕口補強構造であることを特徴とする。主構造材は構造物の柱、梁、桁材等を指称し、ここでは、補強材としては主として梁と柱の間に補強材として斜めに取り付けられる斜め柱材(方杖)を想定している。なお、以下の説明において「梁と柱の間に補強材として斜めに取り付けられ梁を支える斜め柱材」を「補強材」又は「斜め補強材」ともいう
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記締結用板状体の主構造材に締結する側の開放端部並びに当該締結用板状体の両側辺に対して溶接された補強プレートの開放端部が溶接により取付けられた板状材が、前記斜め柱材が取付けられる仕口部分の主構造材に対して溶接および/またはボルト・ナットの締結手段により固着される仕口補強構造であることを特徴とする。ここでは、仕口部分に接合する締結部として、補強プレート4、5、24、25が溶接された締結用板状体3、23が取付けられた板状材13を一体として予め製作しておき、当該締結部を主構造材1、20に対して溶接又はボルト・ナット等の締結手段により固着する。ボルト・ナット等の締結手段により固着する場合は主構造材として木材、プラスチック材等を採用することができる。
本発明においては、仕口補強構造における前記主構造材1、20および補強材2、22をH型鋼、角型鋼管材、丸型鋼管材(円筒状鋼管材)、C型鋼から選択されたいずれかの抗圧縮鋼材とすることができ、前記主構造材1、20および補強材2、22をアルミ材またはアルミ合金材することができる
本発明においては、仕口補強構造における前記主構造材1、20がH型鋼であり、前記補強プレート4、5、24、25、9、10、29、30に加えて、該各補強プレートに対応する部位の裏面にH型鋼の2つの開放部間を連結する補強プレート6、7、26、27をすることができ、付加される補強プレートの取付け数は一方側の2つの開放部間を連結する(空間を塞ぐように)2枚、さらにこれらに対向する他方側の空間を塞ぐように2枚、或いはそれ以上とすることができる。なお、本発明においては、例えば構造物のコーナー部のように、仕口構造形成部において複数の前記主構造材が交差する構造である場合、前記補強プレートの他の開放端部を各々の主構造材との接合部に対しても溶接するように構成することができる。
本発明により特定される構成を備えた仕口補強構造によれば、主構造材に固着(溶接)される締結用板状体の選ばれた開放端部に対して略直角であって、その断面がT字状となるように補強プレートが溶接により取付けられる。このように溶接された補強プレートは、固着された締結用板状体の開放端部に作用する曲げ荷重、捻り荷重、せん断力等の不整荷重に対応する対抗応力を生じ、仕口構造部分における構造材の曲がり、捩れ、破断等のような致命的損傷を防止する効果を発揮する。したがって、このような仕口補強構造を適用することにより、各種建築物の鉄骨、鉄道や道路の橋梁、鉄塔その他鋼鉄製構造物の構成に対して有効な補強効果が期待できる。
本発明における仕口部分に接合する締結部として、補強プレートと締結用板状体とが取り付けられた板状材を一体として予め制作しておき、当該一体の締結部を主構造材に対してボルト・ナット等の締結手段により固着する構成とすることができる。この場合主構造材として木材、プラスチック材等の利用が可能となる。本発明においては、主構造材および補強材としてH型鋼、角型鋼管材、丸型鋼管材(円筒状鋼管材)、C型鋼から選択されたいずれかの抗圧縮鋼材を適用でき、またそれらの素材をアルミ材またはアルミ合金材とすることができる。このような鋼材を適用することにより構造材自体十分な強度を保有するものである。
さらに本発明においては、主構造材をH型鋼とし、前記した補強プレートに加えて、補強プレートに対応する部位の裏面にH型鋼の2つの開放部間を連結する追加補強プレートを任意数溶接により付加することができる。このような構成により、各種建築構造物の構成に対してさらに有効な補強効果を発揮することが可能となる。
本発明に係る仕口補強構造が有効な理由は、構造部材本体の大部分は十分な強度を保有するにも拘わらず、各構造部材の弱点は両端部およびそれらの接続部分付近にある。すなわち、曲がり、捩れ、接続部破断等の不具合の多くは、構造材の両端接合部に集中するとの知見に基づくものである。したがって、仕口構造における構成部材の両端側接続部に存在する各開放端部に対して補強プレートを略直交させるように溶接して補強処理することにより、仕口補強構造を構成することができる。
このように、金属製構造材の仕口構造部における曲がり、捩れ等の変形、破断、さらには接合のための補助的連繋部材の変形等の危惧を未然に防止することができる。その結果、かかる仕口部を有する構造体の安全性を高め、気温や気候の変化、地震その他外部からの振動、構造体内部に生ずる不整応力等による変形や歪み、損傷等を防止し、耐用年数または構造体寿命を延伸することができる。
主構造材として垂直構造材である柱に対して補強材を取付けた仕口補強構造を示す斜視図である。 主構造材として水平構造材である梁又は桁に対して補強材を取付けた仕口補強構造を示す斜視図である。 補強プレートが溶接された締結用板状体が取付けられた板状材が主構造材に対して固着された構成例を示す斜視図である。 本発明に係る仕口補強構造による補強プレートの取り付け構造の主要部の構成例を示す四面詳細図である。
以下、添付図を参照しつつ本発明に係る仕口補強構造の実施の形態について詳細に説明する。図1は、主構造材としての垂直構造材(H型鋼)である柱1の中間側面に対して、補強材としての角型鋼管である斜め補強材(方杖)2を取付ける場合の仕口補強構造を示す斜視図である。図2は、本発明に係る仕口補強構造において、主構造材として水平構造材である梁又は桁20を適用する構造例を示すものである。このように水平構造材である梁又は桁の参照符号を20とし、その他の殆どの構成部材には図1において対応する部材の参照符号に対してそれぞれ数字20を加えた参照符号を表記している。したがって、各部材は、補強材22、締結用鋼材23、補強プレート24、25、29、30、補強プレート(追加補強プレート)26、27、接続用板材28となる。また、連結当て板31および締結用ボルト・ナット32として表わしている。
図2に示す各構成部材の特徴並びに効果等は、各荷重の作用方向が図1の垂直構造材である柱1に対する場合と異なる部分はあるものの、本質的な仕口補強構造における補強効果と同様である。なお、図1は垂直構造材である柱1に対する適用例を図示し、図2は水平構造材である梁または桁20に対する適用例を図示しているが、本発明に係る仕口補強構造はこれらの中間的配位にあるような傾斜構造材に対する仕口構造としても適用可能である。
なお、図中の太破線で示す部分は対応する部材間が溶接されていることを示す溶接線である。柱1並びに梁又は桁20の正面(図1右側面、図2底面)の仕口形成部には、ここでは変形五角形として形成された締結用板状体としての締結用鋼材3、23が柱1並びに梁又は桁20に沿う垂直部3V、水平部23Hにおいて溶接される。この締結用鋼材3、23の上辺、右側辺には補強プレート4、24がそれぞれ溶接され、該締結用鋼材に溶接された補強プレート4、24の底辺、上辺は柱1並びに梁又は桁20にも水平方向にそれぞれ溶接される。また、締結用鋼材3、23の下辺、左側辺には同様に補強プレート5、25がそれぞれ溶接され、該締結用鋼材に溶接された補強プレート5、25の底辺、上辺は柱1並びに梁又は桁材20にも水平方向に強固に溶接される。なお、図においては補強プレートの形状を変形六角形としているが、補強プレートの形状はこれに限定されるものではなく三角形、四角形、台形等とすることは任意である。
本実施例においては、主構造材としての柱1、梁又は桁20をH型鋼とし、補強材としての斜め補強材2を角型鋼管としているが、柱、梁又は桁並びに斜め補強材はH型鋼、角型鋼管に限定されるものではなく、強固な抗圧縮力を示す構造材、例えば方形断面の角型鋼管、円形断面或いは円筒状の丸型鋼管、H型鋼、C型鋼等から選ばれた適宜材料を使用できる。なお、湾曲面、円形面等の平面を形成しない構造材を使用する場合は、締結用鋼材、補強プレートを溶接するための平面形状の取付け材等を介在させることが必要となる。また、これらの構造材を軽量で強度なアルミ材またはアルミ合金材等とすることができる。
本発明に係る仕口補強構造において、締結用鋼材3、23は、柱1並びに梁又は桁20と斜め補強材2、22との取付け角度および溶接線の長さ、各補強プレート4、5、24、25との溶接線長さ、斜め補強材側との連結部の寸法および構成部材等に影響を及ぼすため、仕口補強構造の目的および構造に応じて材質、形状および寸法等を選択する必要がある。なお、本実施例における締結用鋼材3、23は、図示しているような角度で傾斜している斜め補強材2、22を利用する際に適する変形五角形の構造を例示したに過ぎない。例えば、斜め補強材2、22を直交またはそれに近い角度で取付ける場合には、正方形ないし長方形であっても良く、それぞれの用途、取付け角度、設計強度等に応じて締結用鋼材3、23の形状や素材の変更が可能である。
図1、2に示すように垂直構造材である柱1、水平構造材である梁又は桁20がH型鋼である場合には、各補強プレート4、5、24、25に対応する部位の裏面に、H型鋼の2つの開放部間を連結する(塞ぐ)付加的な追加補強プレート6、7、26、27を介在させてその補強プレートの両側辺および底辺をそれぞれH型鋼の面に対して溶接することにより、仕口構成部周辺の剛性が高められる結果、より強固な補強効果が期待できる。追加補強プレートの取付け数は一方の空間を塞ぐように2枚でもよく、さらにこれらに対向する他方の空間を塞ぐように2枚、或いはその中間等を含めて4枚以上とすることができる。なお、H型鋼製の柱1並びに梁又は桁材20自体の強度が、当該仕口部の構造からみて十分であると解される場合には、これら付加的な追加補強プレート6、7、26及び27は省略しても差し支えない。
その結果、締結用鋼材3、23は、垂直構造材である柱1並びに水平構造材である梁又は桁20との間で、締結用鋼材自体の垂直部3V、水平部23H並びに上下辺、左右側辺の補強プレート4、5、24、25とも相俟って強固に接合されることになり、捩れ、歪み、曲げ等の荷重に伴う変形に対して強い抵抗力を発揮する。この締結用鋼材3、23の下方斜辺には、連結用のボルト・ナット締結穴が所要個数、本実施例では3個×2列で合計6個設けられている。なお、締結用鋼材3、23の上方斜辺3S、23Sの上端縁に対してもT字断面を形成するように補強プレートを溶接することにより、さらに強固な仕口補強構造を形成することができる。
補強材2、22の接続端には、ここでは羽子板状に形成された接続用板状体としての接続用板材8、28が溶接されている。この接続用板材8、28は所要強度を有し、かつ補強材2、22に対して所要強度を達成するに足りる長さにわたり堅固に溶接される。また、接続用板材8、28の上端部側、右端部側には締結用鋼材3、23の下方斜辺の締結用穴と対応して連結用のボルト・ナット締結用穴が所要数、本実施例では3個×2列で合計6個設けられている。さらに、接続用板材8、28の開放側端部には、略直角の断面となるように補強プレート9、10、29、30がそれぞれ溶接されている。そのため、接続用板材8、28はこれら両補強プレート9、10及び29、30によって捩れや曲がりに対する強度が大幅に改善される。
このように形成された上方側の締結用鋼材3、23と下方側の補強材2、22の接続用板材8、28とにそれぞれ形成されたボルト・ナット締結用穴が、本実施例では前述のようにそれぞれ3個×2列で合計6個設けられている。そして、これらのボルト・ナット締結用穴に合わせて12個の締結用穴が形成された連結当て板11、31を表面および裏面(図示していない)にそれぞれ配設し、所要強度を備えたボルト・ナットを挿通して強固に連結される。この場合、表裏それぞれの連結当て板および締結用ボルト・ナット等が所望安全係数を見込んで十分な強度を要求されることは論を待たない。なお、連結当て板11、31の構成および締結用ボルト・ナット12、32の本数などは単なる例示であり、用途に応じて適宜増減すべきものである。
図1に示す垂直構造材である柱1に対して補強材である斜め補強材2を設置するための仕口補強構造は、柱1側の締結用鋼材3と斜め補強材2の接続用板材8と、両者を連結する連結当て板11および締結用ボルト・ナット12を主体とし、それぞれに対する補強プレート4、5および9、10から構成される。また、図2に示す水平構造材である梁又は桁20に対して補強材である斜め補強材22を設置するための仕口補強構造は、梁又は桁20側の締結用鋼材23と斜め補強材22の接続用板材28と、両者を連結する連結当て板31および締結用ボルト・ナット32を主体とし、それぞれに対する補強プレート24、25および29、30から構成される。
また、斜め補強材である補強材2、22に沿う軸線に作用する引っ張り応力ないし圧縮応力に対しては、当然ながら締結用鋼材3、23と下方側の補強材2、22の接続用板材8、28並びに連結用当て板11、31が分担する。そして、各補強プレート4、5及び9、10、24、25及び29、30によって、柱1、梁又は桁20側の締結用鋼材3、23および補強材2、22に沿う軸線と交差するいずれかの向きに作用する不整応力に対して補強効果を増大することが期待できる。したがって、各部材ならびにそれぞれの溶接部に作用する捩れや曲がり等の不整荷重に対する対抗力を大幅に増強することができる。なお、本発明においては、例えば、柱と梁又は桁が交差する構造物のコーナー部のように、仕口構造形成部において複数の主構造材が交差する構造である場合、補強プレートの他の開放端部をそれぞれの主構造材との接合部に対しても溶接するように構成することができる。また、本実施例では主構造材である柱、梁又は桁に補強材(方杖)を上方位置に取付ける場合の仕口補強構造を示し説明しているが、この構造例に対応する下方位置における仕口補強構造も上方位置に取付ける場合の仕口補強構造と同様の構成とすることができることはいうまでもない。
図3は、補強プレート4、5、24、25が溶接された締結用鋼材3、23が取付けられた板状材13が主構造材である柱1、梁又は桁20に対して固着された構成例を示す斜視図である。この実施例においては、予め締結用鋼材3、23に対して補強プレート4及び5、24及び25を溶接しておき、当該補強プレートが溶接された締結用鋼材3、23の開放端部並びに補強プレート4及び5、24及び25の開放端部を板状材13に溶接する。このように補強プレート、締結用鋼材及び板状材を一体とし、板状材13の裏面を溶接或いはボルト・ナット等の締結手段により柱1、梁又は桁20に対して強固に固着する。なお、締結用鋼材3、23に対する補強材2、22の接続構造は上述した構成と同様であり、また図示は省略しているが、柱1並びに梁又は桁20がH型鋼である場合に付加される前述した付加的な追加補強プレート6、7、26、27を取付けることができることは当然である。
図4は、図1のように形成された仕口補強構造の一点鎖線の楕円で示されたX部分の構成例を示す4面の構成図である。参照符号は、図1を主として表記し、カッコ内に図2の参照符号を付記している。図4(A)はH型鋼製の構造材である柱1(図2の梁又は桁20)に対して締結用鋼材3(23)、一方の補強プレート4(24)が太破線で示した溶接線のように溶接された状態を示す正面図である。
図4(B)はX部分の平面図であり、H型鋼製の構造材である柱1(梁又は桁20)の断面並びに締結用鋼材3(23)との関係を図示しており、一方の補強プレート4(24)およびH型鋼内部に取付けられる追加補強プレート6(26)および6’(26’)等の関係を示している。図4(C)はX部分の右側面図であり、補強プレート4(24)が溶着されたH型鋼製の垂直構造材である柱1(梁又は桁20)が図示され、その裏側には追加補強プレート6’(26’)が溶接により固定されている。このような追加補強プレート6’(26’)によってH型鋼の剛性を高めることができ、より強固な補強構造が形成される。
図4(D)は、X部分の底面図であり、平面図の上下反転に相当する。H型鋼製の垂直構造材である柱1(梁又は桁20)は破断面を斜線で示しており、締結用鋼材3(23)の一部、一方の補強プレート4(24)、H型鋼の両側片に間挿されるように溶接された左右の付加的な追加補強プレート6、6’(26、26’)を見ることができる。このような構成を採用した結果、図示されていない補強材2(22)を支持する仕口構造における強度は大幅に増大し、高信頼度の仕口補強構造を形成することができる。
本発明に係る仕口補強構造は、構造材を組み合わせて補強構造体を構成するに当たって垂直構造材である柱の一ないし四方にわたり、経済的に優れた簡易な構成により確実な補強構造を構成することができる。比較的軽量の補強材によって上下構造材間の補強構造が形成可能である。
同様に、水平構造材である梁や桁に対しても適用可能であり、したがって柱のような垂直構造材と梁や桁のような水平構造材間に堅固な補強構造を付加することができる。このように複数の垂直構造材間、複数の水平構造材間、垂直・水平構造材間の堅固な仕口補強構造が経済的に有利な手段によって達成される。したがって、建築物用鉄骨、橋梁、鉄塔等のような金属製各種構造体に対して経済性に優れた補強が可能となり、安全性を確保しながら建設費の低減に資することができる。
1 主構造材(柱)
斜め柱材(補強材、斜め補強材)
3 締結用板状体(締結用鋼材)
3S 締結用鋼材の斜辺
3V 締結用鋼材垂直接続部
4、5 補強プレート
6、6’、7 補強プレート(追加補強プレート)
8 接続用板状体(接続用板材)
9、10 補強プレート
11 連結当て板
12 締結用ボルト・ナット
13 板状材
20 主構造材(梁又は桁)
22 斜め柱材(補強材、斜め補強材)
23 締結用板状体(締結用鋼材)
23H 締結用鋼材水平接続部
23S 締結用鋼材の斜辺
24、25 補強プレート
26、26’、27 補強プレート(追加補強プレート)
28 接続板状体(接続用板材)
29、30 補強プレート
31 連結当て板
32 締結用ボルト・ナット

Claims (2)

  1. 梁と柱の間に補強材として斜めに取り付けられ梁を支える斜め柱材を接合する仕口部分のH型鋼である主構造材に対して、少なくとも1部に開放端を有する締結用板状体を溶接し、該締結用板状体の対向する両側辺及び上方斜辺の開放端部に対して補強プレートが略直角をなし、それぞれの断面が略T字状となるように溶接され、前記締結用板状体に接続される前記斜め柱材の接続端部に接続用板状体を溶接し、該接続用板状体の対向する両側辺の開放端部に対して補強プレートが略直角をなし、それぞれの断面が略T字状となるように溶接され、そして、該締結用板状体の両側辺の開放端部に溶接された各補強プレートに対応する部位の裏面に相当するH型鋼に対して、該主構造材であるH型鋼の2つの開放部間を連結する補強プレートが溶接される、ことを特徴とする仕口補強構造。
  2. 前記締結用板状体の主構造材に締結する側の開放端部並びに当該締結用板状体の両側辺に対して溶接された補強プレートの開放端部が溶接により取付けられた板状材が、前記斜め柱材が取付けられる仕口部分の主構造材に対して溶接および/またはボルト・ナットの締結手段により固着される、ことを特徴とする請求項1に記載の仕口補強構造
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