JPH0755214Y2 - 梁材ブレース取付金具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、傾斜屋根形成用の高さが異なる梁材間に張設
されるブレースを梁材に近接して接続でき、ブレースを
有効に架設しうる梁材ブレース取付金具に関する。

〔従来の技術及び考案が解決しようとする課題〕

傾斜屋根を形成するには、高さが異なる梁材に平行にか
つ多段に配設されかつ傾斜屋根の傾斜勾配に等しい傾き
で傾斜する複数本の傾斜梁を用いて梁材間を連結するこ
とにより、屋根部の骨組体を形成するとともに、梁材間
にはブレースを架け渡して骨組体を補強していた。

又傾斜梁は、第１図に示すごとく、前記梁材の中間位置
で接続するものにあっては、傾斜梁k1は、断面溝形のも
のが用いられる一方、妻面側に位置する傾斜梁k2にあっ
て側壁を取付けるために逆Ｔ字状のものが採用される。
又妻面側の傾斜梁k2は下方に水平な屋根梁ｌが配設され
るため、その屋根梁ｌから立上げねばならないという問
題がある。このように、同一の梁材間を接続する傾斜梁
にあっても形状、長さの異なる２種類のものが採用さ
れ、従って、両傾斜梁の端部の接続構造も異にする。

前記のごとく接続構造が異なることによって、ブレース
の取付位置も異なり、又ブレースの効果が最も有効とす
る、梁材と傾斜梁との交点においてブレースの端部を接
続し難く、従ってブレースは、傾斜梁の構造及びその接
続構成が異なるごとにその長さに応じたものを予め用意
せねばならないという問題がある。

考案者は、鋭意検討しかつ試作を重ねることにより、新
規な梁材ブレース取付金具を案出し得たのである。

本考案は、梁材の凹部に固定されるコ字枠に、梁材に直
角かつ傾斜梁を固定しうる梁取付片を設けるとともにそ
の梁取付片を用いてブレース取付用のブレース取付片を
取付けることを基本として、ブレースの一端を梁材と傾
斜梁との接続点に近づけて接続でき、簡易な接続構成で
ブレースの効果を高めうる梁材ブレース取付金具の提供
を目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、垂直なウエブ上下にフランジを設けることに
より側面に凹部を形成した梁材に固定される梁材ブレー
ス取付金具であって、前記ウエブと平行な立片の上、下
端に上、下のフランジの下面、上面に接する上片、下片
を有しかつ上片、下片を各上、下のフランジにボルト止
めされることにより前記凹部に固定されるコ字枠と、前
記上片、下片を継ぎかつ上片、下片をその長さ方向中間
位置近傍で継ぎかつ上片、下片をこえて立片と直角に外
方に突出ししかも前記梁材に直角な傾斜梁が固定される
とともに上辺を傾斜梁と同傾斜の斜辺とした垂直な平板
状の梁取付片と、前記梁取付片の前記上辺に固定されか
つブレース取付用の孔部を梁取付片の両側に設けたブレ
ース取付片とを有する梁材ブレース取付金具である。

〔作用〕

本考案は、前記構成を具えることにより、単体の金具で
傾斜梁とブレースとをともに接続でき、両者の接続位置
が近接することにより、ブレースを有効に機能させてブ
レースを張架することができる。又簡易に形成しうるた
め、屋根の施工が容易となる。

〔実施例〕

以下本考案の一実施例を図面に基づき説明する。

図において本考案の梁材ブレース取付金具１は、側面に
凹部３を設けた梁材Ｈのその凹部３に嵌入しうるコ字枠
４と、傾斜梁取付用の梁取付片５とブレース取付用のブ
レース取付片６とを具える。

本実施例では前記梁材Ｈは、第１図に示す傾斜屋根形成
用として高さを異にして前後に平行に架け渡される前の
梁材H2、後の梁材H1の中で前記後の梁材H1として形成さ
れる。

後の梁材H1は、その一端が家屋の妻面に位置する中間柱
D1に接続され、又前の梁材H2は、一端が前記中間柱D1の
軒側に位置する軒柱D2の上端に載置、固定される。又前
の梁材H2には、軒柱D2上に一端が固着されかつ他端が中
間柱D1にのびる屋根梁Ｆが接続され、又該屋根梁Ｆ上に
は、上端が後の梁材H1と略同じ高さで中間柱D1に取付く
斜材連結金具21に固定されかつ傾斜屋根Ｒの傾斜勾配と
同傾斜で前の梁材H2に向かってのび、かつ下端が屋根梁
Ｆ上面で立上る固定金具22に取付く斜材Ｇが設けられ
る。

さらに前、後の梁材H2、H1の間には、上端を本考案に係
る梁材ブレース取付金具１を用いて後の梁材H1に接続す
るとともに、下端を梁固定金具23を介して前の梁材H2に
連結される傾斜梁Ｋが架け渡される。

このように中間柱D1、梁材H1、H2、屋根梁Ｆ、斜材Ｇ、
傾斜梁Ｋによって傾斜屋根Ｒを支持する屋根構造体が形
成されるのであるが、屋根勾配面に対する剛性を高める
ため、これ等の構造部材の間に十字に架け渡されるブレ
ースＢ、BAが設けられる。

前記前、後の梁材H1、H2は垂直なウエブ25の上、下に上
フランジ26、下フランジ27を設けた断面Ｉ型をなし、前
記ウエブ25と上、下のフランジ26,27とによって梁材H1
の側面に凹部３が形成される。

斜材Ｇは、本実施例では水平片29の上面に垂直片30を立
上げた逆Ｔ字状をなし、水平片29の下面には壁パネルＷ
取付用のアングル材31が取付けられる。

傾斜梁Ｋは、縦片33の上、下端縁から夫々上の横片34、
下の横片35を側出する溝形材であって、該上、下の横片
34、35から向き合う方向にのびるリブを張出す。

ブレースＢは中間にタイロット36を有する棒体37の両端
に、取付孔39を有する平板状の取付板40を夫々溶着して
いる。

本考案は、後の梁材H1と傾斜梁Ｋの交点と、前の梁材H2
と屋根梁Ｆとの交点との間に架設されるブレースＢの一
端を接続するために設けた梁材ブレース取付金具１であ
る。なおブレースＢの他端は、ブレース取付金具２に接
続される。

梁材ブレース取付金具１は、第２図に示すごとく梁材H1
のウエブ25と平行な立片９の上端に上のフランジ26の下
面に接する上片10と該立片９の下端に下のフランジ27の
上面に接する下片11を有しかつ上片10、下片11を各上、
下のフランジ26、27にボルト止めされることにより凹部
３に嵌入されかつ固定されるコ字枠４を具える。又コ字
枠４には前記上片10、下片11をその長さ方向中間位置近
傍で継ぎ、かつ上片10、下片11をこえて前記立片９と直
角に梁材H1の外方に突出ししかも前記梁材H1に直角かつ
上辺を傾斜梁Ｋと同傾斜の斜辺5aとした垂直な平板状の
梁取付片５と、該梁取付片５の前記上辺をなす前記斜辺
5aに固定される平板状のブレース取付片６が取付けられ
る。

ブレース取付片６には、梁取付片５より中間柱D1側に位
置してブレースＢ取付用の孔部12が透設されるととも
に、梁取付辺５を挟む反対側にもこの孔部が設けられ
る。

傾斜梁Ｋの後の梁材H1に向く後端には、縦片33に添着さ
れかつ後方に突出する接続片42が設けられ、該接続片42
を前記梁取付片５にボルト止めすることにより、傾斜梁
Ｋの後端は、後の梁材H1に固定される。

傾斜梁Ｋの前端には、前方に突出する接続片が設けら
れ、該接続片は梁材ブレース取付金具１と同様なコ字枠
と梁取付片とを有する梁固定金具23を介して前の梁材H2
に接続される。傾斜梁Ｋは前記接続により屋根の傾斜と
同じ傾斜角度で前、後の梁材H2、H1間に架け渡される。

ブレース取付金具２は、第３図に示すごとく前の梁材H2
の上のフランジ26上面に載置される下片14と、該下片14
の他方の梁材である後の梁材H1の反対側の外縁26bで立
上る立片15と、該立片15の上縁から後の梁材H1に向かっ
てのび傾斜屋根Ｒと同勾配の上片16とからなる溝形枠20
を具えている。該溝形枠20は、屋根梁Ｆとの交点を中間
に位置させ、下片14と梁材H2の上のフランジ26とをボル
ト止めすることにより梁材H2上に溝部Ｕを、後の梁材H1
に向けて固定される。又溝部Ｕには屋根梁Ｆの傾斜梁Ｋ
に向く内側縁上方に位置して補強片17が、前記下片14と
上片16とを継ぎかつ梁材H2と直角にかつ垂直に取付けら
れる。なお溝部Ｕには前記補強片17の両側に複数個のリ
ブ片44…が補強片17と同様に取付けられる。前記補強片
17は、傾斜屋根Ｒと同傾斜で傾くとともに、ブレースＢ
取付用の孔18を具えるブレース取付片19を溶着により固
定する。なお上片16の上面には、傾斜屋根Ｒを形成する
屋根部材が載置され、ボルト等の固定具を用いて適宜固
定される。

然してブレースＢは、その一端が取付板40を梁材ブレー
ス取付金具１のブレース取付片６に重ね合わせブレース
Ｂの取付孔39とブレース取付片６の孔部12とをともに挿
通するボルト45を用いて固定する一方、ブレースＢの他
端においては、取付板40をブレース取付金具２のブレー
ス取付片19に重ね合わせ、ブレースＢの取付孔39とブレ
ース取付片19の孔18とを前記と同様ボルト46によりボル
ト止めする。

然る後、タイロット36の操作によりブレースＢの長さを
調整しブレースを緊張させ梁材ブレース取付金具１とブ
レース取付金具２の間にブレースＢを張設する。

なお斜材Ｇを中間柱D1に接続する前記斜材連結金具21
と、傾斜梁Ｋに前の梁材H2を接続する接続部分との間に
も他のブレースBAが張設される。

他のブレースBAの一端は、斜材連結金具21に付設され、
かつ傾斜屋根Ｒの傾きと同様に傾斜する連結片49にボル
ト止めされ、又その他端は、傾斜梁Ｋの前端部において
上の横片34から斜材Ｇに向かって張出す側出片50にボル
ト止めされる。このように他のブレースBAが取付けられ
ることによりブレースＢと他のブレースBAとが中間位置
で交差して架設され、傾斜屋根Ｒを支持する屋根構造体
の剛性を高める。

又本実施例のように、ブレースＢは、一端を傾斜梁Ｋが
連結される梁材ブレース取付金具１に、又他端を斜材Ｇ
の接続点上のブレース取付金具２に夫々接続しているた
め、ブレースは効率よく機能しうるとともに、傾斜する
２つの部材が異なる構成であっても、ブレースＢと、そ
れに交差する他方のブレースBAとの長さを近づけること
ができ、タイロット36の調整範囲でブレースＢと他方の
ブレースBAとを共通部材として扱うことも可能となる。

〔考案の効果〕

叙上のごとく本考案の梁材ブレース取付金具は、梁材に
取付くコ字枠に傾斜梁が接続される梁取付片を取付け、
その梁取付片にブレースを取付けるブレース取付片を固
定することを要旨とするため、傾斜梁が梁材に接続され
る接続点近傍でブレースを接続でき、ブレースを有効に
機能させて張設しうる。又１つの金具で傾斜梁の接続
と、ブレースの接続とができるため、接続構造が単純化
されコストの低減に役立つ。又前記コ字枠は、その上
片、下片が夫々梁材の上のフランジ、下のフランジにボ
ルト止めされるため、取付強度を高めうるとともに、前
記梁取付片は、前記上片、下片をその長さ方向中間位置
近傍で継ぐ垂直な平板状をなすため、梁材ブレース取付
金具の強度バランスを高めかつ傾斜梁を梁材ブレース取
付金具に中心を略揃えて固定でき、骨組体の組立精度を
向上しうる。さらに前記ブレース取付片は、梁取付片の
上辺に該梁取付片の両側から突出させて固定されるた
め、ブレースに大きな負荷が作用しても梁取付片により
ブレース取付片の変形を防止でき、ブレースを確実に保
持して該ブレース取付片を強固に支持しうるとともに、
梁材ブレース取付金具の強度バランスをより一層高めう
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す斜視図、第２図はその
分解斜視図、第３図はブレース取付金具を例示する斜視
図である。 ３……凹部、４……コ字枠、５……梁取付片、5a……斜
辺、６……ブレース取付片、９……立片、10……上片、
11……下片、12……孔部、25……ウエブ、26、27……フ
ランジ、Ｂ……ブレース、Ｈ、H1……梁材、Ｋ……傾斜
梁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】垂直なウエブ上下にフランジを設けること
   により側面に凹部を形成した梁材に固定される梁材ブレ
   ース取付金具であって、前記ウエブと平行な立片の上、
   下端に上、下のフランジの下面、上面に接する上片、下
   片を有しかつ上片、下片を各上、下のフランジにボルト
   止めされることにより前記凹部に固定されるコ字枠と、
   前記上片、下片をその長さ方向中間位置近傍で継ぎかつ
   上片、下片をこえて立片と直角に外方に突出ししかも前
   記梁材に直角な傾斜梁が固定されるとともに上辺を傾斜
   梁と同傾斜の斜辺とした垂直な平板状の梁取付片と、前
   記梁取付片の前記上辺に固定されかつブレース取付用の
   孔部を梁取付片の両側に設けたブレース取付片とを有す
   る梁材ブレース取付金具。