JPH0541157Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は、例えば梁を構成するＨ型鋼のフラン
ジに水平支保工や床パネルの端部を吊り下げ支持
するのに用いる吊持機構に関する。

＜従来の技術＞ 従来、水平支保工をＨ型鋼に吊持支持させる手
段として、例えば第５図に示すように、Ｈ型鋼２
の上フランジ２ａの端部上面に縦断面形状がＵ字
形の取付ピース１０を溶接によつて固定し、この
ピース１０の上フランジ２ａからの突出部分に吊
り下げボルト１３を取り付け、この吊り下げボル
ト１３を床板ベニヤ５や水平支保工３の端部に挿
通してナツト１４で固定する手段や、吊り下げボ
ルト１３自体の上部を屈曲して上フランジ２ａの
上面に溶接する手段が知られている。

＜考案が解決しようとする問題点＞ しかし、上記従来手段では、取付ピース１０や
吊り下げボルト１３をＨ型鋼２の上フランジ２ａ
を溶接固定するために、施工に手数がかかり、作
業性が低いものになつていた。また、溶接固定で
あるため、固定した後の位置変更や修正が極めて
困難であつた。さらに、最近の建設現場では、溶
接作業が規制されることもあつて、実施が難しい
という問題もあつた。

本考案は、このような問題点に着目してなされ
たものであつて、面倒な溶接を行うことなく、被
取付フランジに対して簡単、迅速に着脱できるよ
うにして、作業性の向上を図ることを目的として
いる。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案は、上記目的を達成するために、被取付
フランジに重量物体を吊り下げ支持するのに用い
る吊持機構を提案するものである。

本考案の吊持機構では、被取付フランジの上面
に幅方向に横切るとともに先端部が被取付フラン
ジの一側端縁より突出する状態に載せられる取付
ピースと、取付ピースの先端側および後端側を被
取付フランジにそれぞれ固定する固定金具と、取
付ピースの先端側において被取付フランジよりも
突出する部位に垂下状態に取り付けられて、下方
に吊り下げ対象が係止される吊り下げボルトとを
備えている。

＜作用＞ 組み立ては、まず、例えばＨ型鋼の上フランジ
の上面に取付ピースを載せ、この取付ピースの先
端側および後端側を上フランジの両側に固定金具
でそれぞれ固定する。この取付ピースの先端側に
吊り下げボルトを垂下状に取り付ける。

このようにＨ型鋼の上フランジに組み付けた吊
持機構に対して水平支保工などの重量物体を吊り
下げ支持させればよいのである。すなわち、吊り
下げボルトの下方に水平支保工などの重量物体の
端部を係止すればよい。また、取付ピースの固定
位置や取付状態が適正でなければ、固定金具を外
してやりなおせばよい。

さらに、被取付フランジに取付ピースを一体的
に取り付けるようにしているから、吊り下げ対象
は被取付フランジそのもので支えられるようにな
り、耐荷重能力が向上する。

＜実施例＞ 第４図に、本考案の吊持機構の使用状態が示さ
れている。同図の使用状態では、本考案の吊持機
構を用いてＨ型鋼２間に伸縮調節自在な水平支保
工３を架設し、この水平支保工３上に根太４を介
してベニヤ板であるパネル５を敷きつめて型枠を
構成し、床スラブ６のコンクリートを打設してい
る。

上記吊持機構は、Ｈ型鋼２の上フランジ２ａの
上面に幅方向に横切るとともに先端部が上フラン
ジ２ａの一側端縁より突出する状態に載せられる
取付ピース１０と、取付ピース１０の先端側およ
び後端側を上フランジ２ａにそれぞれ固定する固
定金具１，１と、取付ピース１０の先端側におい
て上フランジ２ａよりも突出する部位に垂下状態
に取り付けられて、下方に吊り下げ対象である水
平支保工３や床パネル５の端部が係止される吊り
下げボルト１３とを備えている。

具体的に、固定金具１は、第３図に示すよう
に、鋼板材を屈曲してなるコの字形部材７の上辺
部７ａにクランプボルト８を貫通螺挿するととも
に、その縦辺部７ｂに幅広の開口９を形成して構
成されている。

そして、第１図及び第２図に示すように、コの
字形部材７をＨ型鋼２の上フランジ２ａに側方よ
り嵌めつけるとともに、コの字形部材７の縦辺部
材７ｂと下辺部７ｃとのなすコーナーにフランジ
２ａ端部を当接して位置決めし、更に、縦断面形
状Ｕ字形の取付ピース１０を、縦辺部７ｂの開口
９を貫通する状態で、上フランジ２ａの上面に載
せつけ、この取付ピース１０の上面にクランプボ
ルト８を当てつけて締め上げることで、取付ピー
ス１０をフランジ上に固定するようになつてい
る。

なお、取付ピース１０としては、Ｈ型鋼２の上
フランジ２ａの幅より長尺なものを用い、取付ピ
ース１０の両端部材のうち、少なくとも吊り下げ
ボルト１３の取り付け側とは反対の端部を固定金
具１によりフランジに固定する。

取付ピース１０の突出端部には透孔１１が形成
されていて、ここに上端に袋ナツト１２を備えた
吊り下げボルト１３を挿通するとともに、吊り下
げボルト１３の下部に床板ベニヤ５と水平支保工
３を差し込んだのち、ナツト１４で下方より締め
上げて固定する。

また、取付ピース１０の透孔１１は、挿通した
吊り下げボルト１３が上フランジ２ａの端縁に接
することができるように形成され、一方、コの字
形部材７の縦辺部７ｂに形成した開口９の下縁に
は、下辺部７ｃに亙る切り欠き凹部１５が形成さ
れており、吊り下げボルト１３がこの切り欠き凹
部１５に係入することで、ボルト１３がフランジ
２ａ端縁に接することができるようになつてい
る。さらに、開口９の上縁には、ナツト１２との
接触を逃げるための大きい切り欠き凹部１６が形
成されている。なお、取付ピース１０の吊り下げ
ボルト１３の取り付け側とは反対の端部（後端）
を固定する固定金具１は、要するに、取付ピース
１０の浮き押さえとなればよいので、形状など特
に限定されない。

＜考案の効果＞ 以上説明したように、本考案の吊持機構は、被
取付フランジに対して取り付けつつ組み立てるも
のであるから、溶接が不要で簡単かつ迅速に着脱
できるようになる。したがつて、取付ピースの取
付位置や取付状態が不適正な場合などそれらを容
易に変更・修正できるようになるので、特に、コ
ンクリート建築構造での鉄骨組み作業などに利用
すると、能率良く安全に行えるなど、作業性の向
上に貢献できるようになる。さらに、被取付フラ
ンジに取付ピースを一体化することにより吊り下
げ対象を被取付フランジそのもので支えるように
しているから、耐荷重能力が向上し、吊り下げ対
象が大重量であつても安定的に支持できるように
なる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る吊持機構を用いての水平
支保工取り付け状態を示す要部の縦断側面図、第
２図はその斜視図、第３図は固定金具単体の外観
図、第４図は床スラブ打設状態の縦断側面図、第
５図は従来構造の要部側面図である。 １……固定金具、２……Ｈ型鋼、３……水平支
保工、７……コの字形部材、７ａ……上辺部、７
ｂ……縦辺部、８……クランプボルト、９……開
口、１０……取付ピース、１３……吊り下げボル
ト、１５，１６……切り欠き凹部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 被取付フランジ２ａに重量物体３，５を吊り下
   げ支持するのに用いる吊持機構であつて、 被取付フランジ２ａの上面に幅方向に横切ると
   ともに先端部が被取付フランジ２ａの一側端縁よ
   り突出する状態に載せられる取付ピース１０と、 取付ピース１０の先端側および後端側を被取付
   フランジ２ａにそれぞれ固定する固定金具１，１
   と、 取付ピース１０の先端側において被取付フラン
   ジ２ａよりも突出する部位に垂下状態に取り付け
   られて、下方に吊り下げ対象３，５が係止される
   吊り下げボルト１３と、 を備えている、ことを特徴とする吊持機構。