JP7098363B2 - 梯子型耐力壁架構 - Google Patents

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本発明は、梯子型耐力壁架構に関する。
例えば鉄骨造の住宅では、角形鋼管等からなる柱と、H形鋼等の形鋼材からなる梁とが一次部材として軸組構造を形成し、この軸組構造に対してブレース内蔵型の耐力壁をはじめとする各種の耐力壁をバランスよく配置することにより、所定の耐震性が確保されている。
軸組構造の住宅は、各構面が必要枚数の耐力壁を要することより、デザインの自由度が低くなり易く、従って狭小敷地や変形敷地における施工が困難になることが多い。そのため、ラーメン架構のような軸組構造の構面内の適所に、細幅の耐力壁を配置する方法が適用される。この細幅耐力壁とは、通常の1P幅(Pはモジュールを示し、800mm乃至1100mmの間で、例えば910mm幅等、モジュール設計仕様により任意に設定可能)の耐力壁に対して、0.5P幅や0.25P幅の耐力壁のことである。
上記する細幅耐力壁の一形態として、従来、梯子型耐力壁が開発されている。梯子型耐力壁は、二本の縦材と、これら二本の縦材間において上下方向に配設された横材とを有し、横材は当て板を介して縦材に接続されている(例えば、特許文献1参照)。この梯子型耐力壁では、横材にせん断降伏誘発用の孔を設けておき、大地震時に過大な水平力が作用した際に横材のせん断降伏を促進させるようにしている。
特開2014-47469号公報
しかしながら、特許文献1に記載の梯子型耐力壁では、地震時の水平力に対して縦材と横材の間に介在する当て板が横材に先行して変形する可能性があり、横材による地震時エネルギー吸収量が低下する恐れがある。また、縦材が曲げ変形することも考えられ、柱の曲げ変形により、耐力壁の剛性が大幅に低下する恐れがある。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、細幅を含めて多様な幅の耐力壁架構を形成できるとともに、地震時のエネルギー吸収性に優れた耐力壁を形成することのできる梯子型耐力壁架構を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による梯子型耐力壁架構の一態様は、相互に平行な二本の金属製の縦材と、
二本の前記縦材間において該縦材の長手方向に間隔を置いて配設され、それぞれの該縦材に接続されている複数の横材と、を有する梯子型耐力壁架構であって、
前記横材は、二つの金属製のウエブプレートからなる繋ぎ部と、二つの該繋ぎ部の間に配設されてそれぞれの該繋ぎ部に接続されている金属製のダンパーと、を有し、該ウエブプレートの広幅面が二本の前記縦材で形成される構面に平行に配設されており、
前記ダンパーとの接続端から前記縦材との接続端に向かって、前記ウエブプレートの高さが末広がり状に高くなっていることを特徴とする。
本態様によれば、二本の縦材間に配設される複数の横材が、中央にダンパーを備え、ダンパーが、その左右において、ダンパー側から縦材側に向かって末広がり状に広幅面の高さが高くなるウエブプレートからなる繋ぎ部を介して縦材に接続されていることにより、柱の補剛効果を高めながら、大地震時の水平力に起因するせん断力を横材のダンパーに集中的に負担させることができる。すなわち、従来の梯子型耐力壁架構を形成する横材は、例えば溝形鋼等の形鋼材が水平に配設されているものであるため、上下に配設される横材間のスパンによっては、大地震時において縦材に曲げ変形が生じる可能性があり、地震エネルギー吸収性の低下要因となっている。また、溝形鋼等からなる横材を当て板を介して縦材に接続する構成も一般的であるが、大地震時の水平力によってこの当て板が変形することによっても地震エネルギー吸収性の低下要因となる。
本態様の梯子型耐力壁架構では、曲げモーメントが卓越する縦材と横材の接続部やその周辺の曲げ剛性が、横材を形成する金属製(特に鋼製)のウエブプレートの末広がり状の領域によって高められることにより、かかる接続部やその周辺の曲げ耐力が向上し、縦材の曲げ変形を効果的に抑制することができる。本態様においては、縦材の曲げ剛性が高められることは、ウエブプレートの末広がり状の領域により、縦材の剛域が広げられることでもある。このことにより、曲げによるウエブプレートの面外への変形等も抑制でき、大地震時の水平力によってウエブプレートを破損させることなく、この水平力に起因するせん断力をダンパーに集中的に負担させることができる。そのため、縦材と横材を形成するウエブプレートを曲げ降伏やせん断降伏させることなく、ダンパーをせん断変形させながら大地震時の地震エネルギーを効果的に吸収することが可能になる。これらのことより、大地震時において、梯子型耐力壁架構の構成部材を破損させることなく、この梯子型耐力壁架構が組み込まれた建物の鉛直構面に対して、高い耐震性能を付与することができる。
ここで、縦材は角形鋼管等から形成できる。また、横材を形成する左右の繋ぎ部は、鋼製プレートから形成できる。さらに、左右の繋ぎ部の間に組み込まれるダンパーとしては、溝形鋼やH形鋼等の形鋼材の他、粘弾性ダンパーや粘性ダンパー、弾塑性ダンパーなど、各種のダンパーが適用できる。
本態様の梯子型耐力壁架構は、建物の鉛直構面を形成するラーメン架構(柱と梁が剛接続された門型架構)等の内部において、適宜の幅(1P幅乃至0.25P幅)に形成された梯子型耐力壁架構が組み込まれる態様で適用されてもよいし、その他、門型架構を形成する柱として本態様の梯子型耐力壁架構が適用されてもよい。
また、本発明による梯子型耐力壁架構の他の態様において、前記繋ぎ部は、前記ウエブプレートと、該ウエブプレートの上下端に接続されるフランジプレートとを有することを特徴とする。
本態様によれば、ウエブプレートの上下にフランジプレートが接続されることにより、繋ぎ部の曲げ剛性やせん断剛性が高められ、大地震時の水平力に起因するせん断力をダンパーに対してより一層集中的に負担させることができる。
また、本発明による梯子型耐力壁架構の他の態様は、前記ウエブプレートの広幅面の上辺と下辺が湾曲状の線形を有し、該湾曲状の線形が前記縦材との接続端に向かって該縦材の長手方向に漸近していることを特徴とする。
本態様によれば、ウエブプレートの広幅面の面積を広くし過ぎることなく、縦材と横材(ウエブプレート)の接続部の剛域を広くすることができる。このことは、例えば、テーパー状に末広がりに広がるウエブプレートと比較すると容易に理解できる。テーパー状に末広がりに広がるウエブプレートに比べて、ウエブプレートの面積を可及的に少なくでき、その上で、末広がりの幅(ウエブプレートの端部の高さ)を所望に広げた分だけ剛域を広げることが可能になる。従って、より一層優れた縦材の補剛効果が得られるとともに、ダンパー側から縦材側に向かって末広がり状の広幅面を有するウエブプレートの材料コストを可及的に抑制することができる。
また、本発明による梯子型耐力壁架構の他の態様において、前記ウエブプレートの広幅面は、2つの傾斜辺と上底と下底とを有する台形状を呈しており、
前記ウエブプレートの前記傾斜辺と上下の2つのフランジプレートは折り曲げ部を介して連続しており、前記上底と前記下底も折り曲げ部を介して金属製の当て板に連続しており、折り曲げされた状態において隣接する前記フランジプレートと前記当て板は溶接部を介して接続されており、双方の該当て板が前記縦材と前記ダンパーに接続されていることを特徴とする。
本態様によれば、例えば一枚の鋼製のプレート材を切断加工することにより、台形の四辺と、この四辺に連続するフランジプレート及び当て板とを有する、高剛性の繋ぎ部を製作することができる。この繋ぎ部では、広幅面が台形状のウエブプレートの各辺に対してフランジプレートと当て板が90度に折り曲げられた状態において、隣接するフランジプレートと当て板の接触辺同士を溶接することにより箱型の繋ぎ部を形成することができる。従って、例えば、台形状のウエブプレートに対して、2枚のフランジプレートと、2枚の当て板をそれぞれウエブプレートの対応する辺に溶接し、さらに隣接するウエブプレートと当て板の接触辺同士も溶接して箱型の繋ぎ部を製作する場合と比べて、溶接長を格段に短くすることができ、製作コストを削減することができる。
また、本発明による梯子型耐力壁架構の他の態様において、前記ダンパーは、前記横材の長手方向に直交する断面の形状がΣ型の鋼材からなるダンパーであることを特徴とする。
本態様によれば、横材の長手方向に直交する断面の形状がΣ型の鋼材からなるダンパーを適用することにより、製作コストが可及的に抑制され、地震エネルギー吸収性に優れたダンパーを有する梯子型耐力壁架構が得られる。Σ型の鋼材は、中央に斜材(鉛直材と水平材の中間材)を有していることから、この斜材が、鉛直材の備える鉛直支持性能と、水平材の備える水平方向への変形性能の双方の性能を有することになる。そのため、大地震時の過大な水平力に対して強さとしなやかさで地震エネルギーを効果的に吸収することができる。特に、鋼材を曲げ加工等して断面形状をΣ型としたダンパーであることから、粘弾性ダンパーや粘性ダンパー、弾塑性ダンパーといった各種ダンパーと比べてその製作コストは格段に廉価になる。
以上の説明から理解できるように、本発明の梯子型耐力壁架構によれば、細幅を含めて多様な幅の耐力壁架構を形成できるとともに、地震時のエネルギー吸収性に優れた梯子型耐力壁架構を提供することができる。
第1の実施形態に係る梯子型耐力壁架構の正面図を、地震時の水平力が作用した際の曲げモーメント図とともに示す図である。 (a)は、第1の実施形態に係る梯子型耐力壁架構において、一つの横材と縦材を拡大した斜視図であり、(b)は、図2(a)のb-b矢視図である。 第1の実施形態に係る梯子型耐力壁架構が組み込まれた鉛直構面の一例を示す正面図である。 第2の実施形態に係る梯子型耐力壁架構において、一つの横材と縦材を拡大した斜視図である。 第2の実施形態に係る梯子型耐力壁架構を形成する繋ぎ部の変形例を、製作方法とともに示す図である。 第3の実施形態に係る梯子型耐力壁架構の正面図である。 第3の実施形態に係る梯子型耐力壁架構において、一つの横材と縦材を拡大した斜視図である。
以下、各実施形態に係る梯子型耐力壁架構について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[第1の実施形態に係る梯子型耐力壁架構]
はじめに、図1及び図2を参照して、第1の実施形態に係る梯子型耐力壁架構を説明する。ここで、図1は、第1の実施形態に係る梯子型耐力壁架構の正面図を、地震時の水平力が作用した際の曲げモーメント図とともに示す図である。また、図2(a)は、第1の実施形態に係る梯子型耐力壁架構において、一つの横材と縦材を拡大した斜視図であり、図2(b)は、図2(a)のb-b矢視図である。図1に示す梯子型耐力壁架構10は、相互に平行な二本の縦材1と、二本の縦材1間において縦材1の長手方向に間隔を置いて配設され、それぞれの縦材1に接続されている複数の横材4(図示例は3本)と、を有する。縦材1は角形鋼管から形成され、下端には基礎に固定されるベースプレート1aが角形鋼管に溶接等で固定されている。
横材4は、鋼製のウエブプレート3からなる繋ぎ部と、二つの繋ぎ部3の間に配設されてそれぞれの繋ぎ部3に接続されている鋼製のダンパー2とを有する。横材4を形成するウエブプレート3は当て板5に溶接にて接続され、当て板5は縦材1に溶接にて接続される。このように、縦材1間において上下方向に間隔を置いて配設される複数の横材4は、綴り材と称することもできる。なお、本明細書において、「溶接」とは、開先溶接(完全溶け込み溶接、部分溶け込み溶接)や隅肉溶接など、接続部に要求される強度や接合態様(剛接続、ピン接続)に応じて選択される適宜の溶接を示す。
ウエブプレート3は、二本の縦材1で形成される構面に広幅面が平行に配設される。また、図1及び図2に示すように、ウエブプレート3の広幅面の形状は、ダンパー2との接続端から縦材1との接続端に向かって、ウエブプレート3の高さが末広がり状に高くなっている。図1及び図2に示す例は、ウエブプレート3の広幅面の上下の辺がともにテーパー状に末広がりとなる台形状を呈している。台形状の上底(平行な辺のうちの短辺)に、ダンパー2の端部の接続プレート2aが溶接にて接続される。図1及び図2に示すように、中央のダンパー2と、その左右の広幅面が台形状の繋ぎ部3とを有する横材4は、正面形状が蝶形を呈している。
ダンパー2は、図2(a)及び図2(b)に示すように、横材4の長手方向に直交する断面の形状がΣ型を成す、鋼材からなるダンパーである。このようなΣ型のダンパー2(Σ型デバイス)は、中央に斜材(鉛直材と水平材の中間材)を有していることから、この斜材が、鉛直材の備える鉛直剛性と、水平材の備える水平方向への変形性能の双方の性能を有することになる。そのため、大地震時の過大な水平力に対して強さとしなやかさで地震エネルギーを効果的に吸収することができる。特に、鋼材を曲げ加工等して断面形状をΣ型としたダンパーであることから、粘弾性ダンパーや粘性ダンパー、弾塑性ダンパーといった各種ダンパーと比べてその製作コストは格段に廉価になる。
図1の曲げモーメント図に示すように、梯子型耐力壁架構10に対して地震時の水平力Hが作用した際には、縦材1と横材4のいずれにおいても、双方の接合部となる端部に大きな曲げモーメントが生じ得る。一般の地震ではなくて、希にしか発生しない大地震時においても同様の曲げモーメント分布となり得るが、曲げモーメントの大きさは一般の地震時に比べて格段に大きくなるため、縦材が過度に曲げ変形して塑性域に至り得る。梯子型耐力壁架構10では、横材4を形成する繋ぎ部3が縦材1との接続部に向かって末広がり状に広幅面の高さが高くなっていることにより、縦材1と横材2の接合部の剛域が広くなる。このように縦材1においてウエブプレート3との接続部からの剛域が広がることにより、縦材1における曲げスパンが短くなり、縦材1の曲げ剛性が高められる。
また、ウエブプレート3が縦材1との接続部に向かって末広がり状を呈していることにより、ウエブプレート3の曲げ剛性も高められ、作用する地震時の水平力に起因するウエブプレート3の面外への変形等も抑制される。このことにより、大地震時の水平力によってウエブプレート3を破損させることなく、この水平力に起因するせん断力をダンパー2に集中的に負担させることが可能になる。これらのことから、梯子型耐力壁架構10では、縦材1とウエブプレート3を曲げ降伏やせん断降伏させることなく、ダンパー2を集中的にせん断変形させながら、大地震時の地震エネルギーを効果的に吸収することができる。
図1及び図2から明らかなように、縦材1に向かって末広がり状のウエブプレート3の上下辺の傾斜角度を所望に調整することにより、縦材1の剛域を自由に調整することができる。ウエブプレート3の上下辺の水平方向からの傾斜角度を大きくするにつれてウエブプレート3の広幅面の面積が広くなり、縦材1の剛域も広くなるが、一方で、ウエブプレート3の材料コストは上昇する。従って、ウェーブレット3の材料コストと縦材1及び横材4の補剛効果の双方を勘案して、ウエブプレート3の広幅面の面積(上下辺の傾斜角度)を設定するのが好ましい。
次に、図3を参照して、梯子型耐力壁架構10が組み込まれた建物の鉛直構面の一例を説明する。ここで、図3は、梯子型耐力壁架構10が組み込まれた建物の鉛直構面の一例を示す正面図である。図示例の鉛直構面は、鉄骨造の軸組構法建物の一つの構面を、二本の通し柱21と、通し柱21に対して溶接等で剛接続される大梁22と、を有する軸組架構20にて形成するものである。この軸組架構20内において、所定幅Bの梯子型耐力壁架構10が組み込まれる。大梁を形成するH形鋼の下方のフランジに対して、梯子型耐力壁架構10の縦材1の上端に固定された不図示のエンドプレートが複数の中ボルト等で接続される。一方、梯子型耐力壁架構10を形成する各縦材1の下端のベースプレート1aがコンクリート製の基礎30上に載置され、ベースプレート1aに開設されているボルト孔に対して、基礎30から上方に突設したアンカーボルト31が挿通され、ナット締めされることにより、梯子型耐力壁架構10が基礎30に対して固定される。
梯子型耐力壁架構10の所定幅Bは、通常の1P幅(Pはモジュールを示し、例えば910mm幅等、モジュール設計仕様により任意に設定可能)や、0.5P幅、0.25P幅等、様々な幅に設定できる。特に、0.25P幅等の狭幅の梯子型耐力壁架構10が適用されることにより、軸組架構20の開口面積を広く採ることができ、設計自由度の高い建物となる。なお、梯子型耐力壁架構10の幅Bは勿論のこと、軸組架構20内における梯子型耐力壁架構10の配設位置は適宜設定できる。また、軸組架構20内において、複数の梯子型耐力壁架構10を配設してもよく、その際に、各梯子型耐力壁架構10の幅Bを変化させてもよい。
梯子型耐力壁架構10を内部に備えた建物の鉛直構面20は、この鉛直構面20に対して大地震時の水平力が作用した際に、梯子型耐力壁架構10の構成部材が破損することなく、この水平力に起因するせん断力をダンパー2に集中的に負担させることができる。そのため、高い耐震性能を有する鉛直構面20となり、このような鉛直構面20を他の外壁面や内壁面に備えた建物は、地震エネルギー吸収性に優れた建物となる。
[第2の実施形態に係る梯子型耐力壁架構]
次に、図4を参照して、第2の実施形態に係る梯子型耐力壁架構を説明する。ここで、図4は、第2の実施形態に係る梯子型耐力壁架構において、一つの横材と縦材を拡大した斜視図であり、図2(a)に対応した図である。従って、第2の実施形態に係る梯子型耐力壁架構も、上下方向に間隔を置いて例えば3本の横材が配設される。
図4に示す梯子型耐力壁架構10Aは、横材4Aを形成する繋ぎ部3Aが、ウエブプレート3aの上下にフランジプレート3bを有する点において、梯子型耐力壁架構10と相違する。ウエブプレート3aは、ダンパー2との接続部から縦材1との接続部に向かって末広がり状に広幅面の高さが高くなっている。そして、ウエブプレート3aの上下端において、ウエブプレート3aの左右側方に張出すようにしてフランジプレート3bが溶接にて接続されている。このフランジプレート3bのフランジ幅は、例えば縦材1を形成する角形鋼管の幅と同程度かそれ以下に設定されているのが好ましい。
このように、ウエブプレート3aの上下にフランジプレート3bが接続されることにより、繋ぎ部3Aの曲げ剛性やせん断剛性がより一層高められる。そのため、大地震時の水平力に起因するせん断力を、ダンパー2に対してより一層集中的に負担させることができる。
<変形例>
次に、図5を参照して、第2の実施形態に係る梯子型耐力壁架構を形成する繋ぎ部の変形例を説明する。ここで、図5は、第2の実施形態に係る梯子型耐力壁架構を形成する繋ぎ部の変形例を製作方法とともに示す図である。図5の上図に示すように、一つの鋼製のプレートPを切断ラインCLに沿って切断加工することにより、組立て前の繋ぎ部を取り出す。
切断加工にて取り出された繋ぎ部は、広幅面が台形状のウエブプレート3aと、ウエブプレート3aのテーパー辺に対して折り曲げラインBLを介して連続する2つのフランジプレート3b'と、ウエブプレート3aの台形の上底と下底に対して、それぞれ折り曲げラインBLを介して連続する当て板3c及び3dとを有する。
切断加工にて取り出された繋ぎ部において、各折り曲げラインBLにてフランジプレート3b'と当て板3c、3dをウエブプレート3aに対して90度に折り曲げ加工することにより、箱型の繋ぎ部が形成される。そして、図5の下図に示すように、折り曲げ加工された状態において相互に接触する、フランジプレート3b'と当て板3c、3dの接触部を溶接部Wにて接続することにより、同下図で示すように箱型の繋ぎ部3A'が製作される。
図4に示す繋ぎ部3Aと異なり、繋ぎ部3A'ではウエブプレート3aのテーパー状の端辺の中央位置にフランジプレート3b'が配設されていない。しかしながら、繋ぎ部3A'においても、ウエブプレート3aのテーパー状の上下の端辺にフランジプレート3b'が接続されていることから、剛性の高い繋ぎ部3A'が形成される。ここで、相対的に小面積の当て板3cはダンパー2に接続され、他方の当て板3dは縦材1に接続される。
また、繋ぎ部3A'が図示例の製作方法によって製作されることにより、例えば、台形状のウエブプレートに対して2枚のフランジプレートと2枚の当て板をそれぞれウエブプレートの対応する辺に溶接した上で、さらに隣接するウエブプレートと当て板の接触辺も溶接して箱型の繋ぎ部を製作する場合と比べて、溶接長を格段に短くすることができ、繋ぎ部3A'の製作コストを削減することができる。
[第3の実施形態に係る梯子型耐力壁架構]
次に、図6及び図7を参照して、第3の実施形態に係る梯子型耐力壁架構を説明する。ここで、図6は、第3の実施形態に係る梯子型耐力壁架構の正面図である。また、図7は、第3の実施形態に係る梯子型耐力壁架構において、一つの横材と縦材を拡大した斜視図であり、図2(a)や図4に対応した図である。図6及び図7に示す梯子型耐力壁架構10Bは、横材4Bを形成する繋ぎ部3Bにおいて、ウエブプレート3eの広幅面の上辺と下辺が湾曲状の線形を有し、この湾曲状の線形が縦材1との接続端に向かって縦材1の長手方向に漸近している構成を有している点で、梯子型耐力壁架構10Aと相違している。さらに、このウエブプレート3eの上下辺の線形に相補的な平面形状(湾曲状)を示す上下のフランジプレート3fを有する点においても、梯子型耐力壁架構10Aと相違している。
図示するように,ウエブプレート3eが広幅面の上下辺において湾曲状の線形を有することにより、広幅面の面積を広くし過ぎることなく、縦材1との接続部の剛域を広くすることができる。すなわち、例えば、テーパー状に末広がりに広がるウエブプレートと比較すると双方の面積の大小が容易に理解できるが、図示するウエブプレート3eが縦材1と接続される上下の端点を通るテーパー状のウエブプレートの面積を想起すると、図示例のウエブプレート3eとの間に大きな面積の相違があることが理解できる。
図6には、繋ぎ部3Bによって形成される剛域を図示している。図1に示す梯子型耐力壁架構10における剛域と比較すると明らかであるが、ウエブプレート3eが縦材1の長手方向により一層延びていることから、このウエブプレート3eの延びに応じて縦材1の剛域をより一層広げることができる。そして、このように縦材1の剛域が広がることにより、縦材1の曲げ剛性がより一層高められ、大地震時において縦材1が曲げ変形して先行降伏する危険性を一層低減することができる。
以上のことから、繋ぎ部3Bを有する横材4Bが適用されることにより、より一層優れた縦材1に対する補剛効果が得られるとともに、ダンパー2側から縦材1側に向かって末広がり状の広幅面を有するウエブプレート3eの材料コストを可及的に抑制することができる。なお、図示を省略するが、図6及び図7に示すウエブプレート3eを有し、上下のフランジプレート3fのない繋ぎ部を備えた梯子型耐力壁架構であってもよい。
上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
1:縦材、1a:ベースプレート、2:ダンパー、2a:接続プレート、3:繋ぎ部(ウエブプレート)、3A,3A',3B:繋ぎ部、3a,3e:ウエブプレート、3b、3b'、3f:フランジプレート、3c、3d:当て板、4,4A,4B:横材、5:当て板、10,10A,10B:梯子型耐力壁架構、20:鉛直構面(軸組架構20)、21:通し柱、22:大梁、30:基礎、31:アンカーボルト、32:ナット、W:溶接部、P:プレート、CL:切断ライン、BL:折り曲げライン

Claims (4)

  1. 相互に平行な二本の金属製の縦材と、
    二本の前記縦材間において該縦材の長手方向に間隔を置いて配設され、それぞれの該縦材に接続されている複数の横材と、を有する梯子型耐力壁架構であって、
    前記横材は、二つの金属製のウエブプレートからなる繋ぎ部と、二つの該繋ぎ部の間に配設されてそれぞれの該繋ぎ部に接続されている金属製のダンパーと、を有し、該ウエブプレートの広幅面が二本の前記縦材で形成される構面に平行に配設されており、
    前記ダンパーとの接続端から前記縦材との接続端に向かって、前記ウエブプレートの高さが末広がり状に高くなっており、
    前記ウエブプレートの広幅面の上辺と下辺が湾曲状の線形を有し、該湾曲状の線形が前記縦材との接続端に向かって該縦材の長手方向に漸近していることを特徴とする、梯子型耐力壁架構。
  2. 相互に平行な二本の金属製の縦材と、
    二本の前記縦材間において該縦材の長手方向に間隔を置いて配設され、それぞれの該縦材に接続されている複数の横材と、を有する梯子型耐力壁架構であって、
    前記横材は、二つの金属製のウエブプレートからなる繋ぎ部と、二つの該繋ぎ部の間に配設されてそれぞれの該繋ぎ部に接続されている金属製のダンパーと、を有し、該ウエブプレートの広幅面が二本の前記縦材で形成される構面に平行に配設されており、
    前記ダンパーとの接続端から前記縦材との接続端に向かって、前記ウエブプレートの高さが末広がり状に高くなっており、
    前記ウエブプレートの広幅面は、2つの傾斜辺と上底と下底とを有する台形状を呈しており、
    前記ウエブプレートの前記傾斜辺と上下の2つのフランジプレートは折り曲げ部を介して連続しており、前記上底と前記下底も折り曲げ部を介して金属製の当て板に連続しており、折り曲げされた状態において隣接する前記フランジプレートと前記当て板は溶接部を介して接続されており、双方の該当て板が前記縦材と前記ダンパーに接続されていることを特徴とする、梯子型耐力壁架構。
  3. 前記繋ぎ部は、前記ウエブプレートと、該ウエブプレートの上下端に接続されるフランジプレートとを有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の梯子型耐力壁架構。
  4. 前記ダンパーは、前記横材の長手方向に直交する断面の形状がΣ型の鋼材からなるダンパーであることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項に記載の梯子型耐力壁架構。
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