JP6505377B2 - 斜材・変形吸収デバイス付き耐力壁 - Google Patents
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引張り型耐力ブレースは、比較的軽量な鋼材を用いて安価に生産できる特長を持つ一方、荷重・変形履歴(復元力特性)は、「スリップ型」の特性を示す。スリップ型の欠点としては、次の点が挙げられる。
・大地震の際、ブレースが塑性化して伸びた後、地震による揺れ戻しの力が作用したとき、伸びた分だけブレースが水平力に全く抵抗しない。
・そのため、揺れ戻し時には、建物が逆方向の水平力に対してブレースで抵抗するまで、何の抵抗力も持たないままで水平に動くことになり、ブレースが抵抗し出すときに衝撃を生じる。このことは、住人が建物に対する不安や不満を持つ一要因となり得る。
メンブレン型耐力壁は、一例を示すと、図30のように、壁面を複数(4分割または6分割)に区画し、各区画層に折板104を用いている。地震時に、水平力に対しては折板104がエネルギーを吸収する機構となっている。同耐力壁は、実験により適切な条件下では紡錘型に近い挙動を示すことが確認されている。
・耐力壁の全面に折板104を張るため、設備開口用等の孔を得ることができない。孔を開けることで耐力性能低下が予測される。耐力壁に設備開口用の孔を設けないようにするには、建物のプランが制約される。建築物建築計画においては、やむなくその耐力壁位置に開口部(給・排気用貫通口、採光用開口等)を設けなくてはならないこともある。
・切り欠かれた設備開口部分を、施工現場において同様な折板を増し張りする補強方法が先行技術として提案されているが、その施工の手間、品質保持、施工管理上等の現場省略施工の観点から、採用するには難がある。
・仮に折板104に設備開口用の孔を開けて補強したとしても、その部分の剛性評価方法が確立されていない。
すなわち、ブレース105で構成される区画層と折板104で構成される区画層の剛性が異なるため、縦フレーム材に曲げ応力が発生してしまう。具体的には、図32(A)のように地震が来て水平力Pがかかったときに、同図(B)のように耐力壁の各区画層の剛性が同じであると、各区画層の変形が同じとなり、縦フレーム材101に入力される曲げを極力抑えることができる。しかし、同図(C)のように、折板104を用いた区画層に対してブレース105を用いた区画層の剛性が高くて曲がり難いと、折板104を用いた区画層とブレース105を用いた区画層との間の部分106で縦フレーム材101に、層ごとの剛性の相違に応じた曲げ応力が発生してしまう。
この場合、縦フレーム材101に地震時の前述の負荷(曲げ)応力を考慮した構造計算が必要であり、構造計算が煩雑となる。このため、煩雑な構造計算を必要とせずに、鉛直方向の荷重(圧縮、引張り)のみを受けるようにしたい。この為には、折板104を用いた区画層とブレース105を用いた区画層の剛性(単位変形量当たりの力の大きさ)を合わせる必要がある。
少なくとも一部の前記区画層に設けられた耐力要素が、互いに逆V字またはV字状に配置された一対の斜材からなり、これら一対の斜材の互いの近寄り側端と前記横フレーム材との間に、前記斜材が設けられた区画層の変形を吸収する変形吸収デバイスを備え、
この変形吸収デバイスは、互いに壁幅方向に離れて平行に配置される一対の縦姿勢の平行板部と、これら一対の平行板部を連結したエネルギー吸収用の板状のウェブ部と、前記一対の平行板部の上端間および下端間にそれぞれ接続した一対の水平板部とでなり、前記変形吸収デバイスは、前記一対の平行板部と前記ウェブ部とでΣ字形を成し、かつ前記ウェブ部は前記一対の水平板部に溶接され、前記一対の水平板部のうち、片方の水平板部が前記横フレーム材に接合され、もう片方の水平板部が前記一対の斜材の端部に接合され、前記ウェブ部が、壁面および前記平行板部に対して傾斜を成して長手方向の一部と他部とで傾斜方向が異なる断面山形とされ、前記平行板部における前記ウェブ部の縁が連結される位置が、前記ウェブ部が成す前記山形の高さ方向に前記平行板部の縁から離れていることを特徴とする。
前記変形吸収デバイスは、地震により耐力壁が壁面に沿う水平方向の繰り返し荷重を受けたときに、せん断変形に曲げ変形成分が加わった変形を生じてエネルギー吸収を行う。
この大きな変形能力が、材料として低降伏点鋼を用いたり、ウェブ部にスリットなどの加工を施したりすることなく得られる。なお、低降伏点鋼を用い、あるいはウェブ部にスリットを設けた場合は、より大きな変形能力が得られる。
変形吸収デバイスのせん断耐力・剛性は、前記ウェブ部のせん断耐力・剛性は、ウェブ部の厚さ、長さ、奥行き、および平行板部に対する傾斜角度を変えることで容易に調整可能である。変形吸収デバイスのせん断耐力・剛性を調整することで、この変形吸収デバイスが設けられた区画層の荷重・変形履歴を制御することができる。
この構成の場合、ウェブ部が折り返し部等を介して複数面の部分で構成されるので、その複数面の部分を合わせた1枚の平板状のウェブ部とする場合に比べて狭く構成できて、変形吸収デバイスが耐力壁の厚み範囲内に納まり易い。また座屈面の長さを短くできて、座屈耐力も向上する。
Σ字形であると、壁幅方向のどちらから力を受けた場合でも、同等のせん断耐力・剛性性能が得られる。
この場合、紡錘型の荷重・変形履歴としつつ、鋼材使用量が少なくすることができる。
前記波板の他に、図8に示すように平坦な板材を用いても良い。この場合、例えば前記面材7として、スキンパネルや耐力合板を使用しても良い。
例えば、図24に示すデバイスと図25に示すデバイスを比較してみる。図24のデバイス41は、左右一対の平行板部42を、これら平行板部42と直交させて配したパネル状のウェブ部43で連結したものである。図25のデバイス41は、図24のデバイス41のウェブ部43をせん断軸に対して回転させたもの、つまりウェブ部43を壁面に対して傾斜させたものである。これらのデバイス41にせん断力Fが作用した場合、せん断力Fに対する剛性は図24のデバイス41の方が図25のデバイス41よりも高いが、変形能力は図25のデバイス41の方が図24のデバイス41よりも高い。ウェブ部43の傾斜が大きくなるほど、剛性は低くなるが、変形能力は高くなると考えられる。
図11(B)の例は、斜材8を設けた区画層bを中央側の2箇所とし、これらの区画層aでは、いずれも2本の斜材8は上端側が交点側となり、交点の付近にデバイス9を配置している。
図11(C)の例は、同図(B)の例と同じく、斜材8を設けた区画層bを中央側の2箇所としているが、中央側2箇所の区画層bにおいて、斜材8の傾斜方向が互いに逆であり、上側の区画層bの斜材8と下側の区画層の斜材8とが一直線上に位置してX形を成すように配置されている。デバイス9は、4本の斜材8の交点に配置している。この場合、デバイス9は、各区画層b毎に別々に設けるが、一つで2つの区画層bの変形を吸収する構成としても良い。
図13に示す変形吸収デバイス9は、1枚の平板状の鋼板を断面Σ字形に曲げ加工して一対の平行板部22,22と断面山形のウェブ部23とを一体に形成している。一対の平行板部22,22とウェブ部23とが続く部分は、2段に折り曲げている。ウェブ部23の上下両端縁が略全長に渡って隅肉溶接により上下の水平板部24,24に溶接されていることは、図2〜図4の変形吸収デバイス9と同様であり、また以下に示す各例においても同様である。この例の場合、曲げ加工だけで済み、溶接が不要であるため、生産性に優れ、安価に製造できる。その他の構成および作用効果は図2〜図4の変形吸収デバイス9の場合と同様である。図14には、この変形吸収デバイス9の耐力試験結果をグラフで示している。
同じH形鋼であっても、図23(B)のようにそのウェブ部が壁面と平行になるように配置した場合、図25を参照して説明したように変形能力は小さくなるが、この参考提案例のようにウェブ部を壁面に対して傾斜させることで変形性能を大きくすることができる。すなわち、この参考提案例の場合も、図2〜図4の変形吸収デバイス9の場合と略同様の作用効果を得ることができる。
2…枠体
3…縦フレーム材
4,5…横フレーム材
6…横フレーム材(中桟)
7…面材(耐力要素)
8…斜材(耐力要素)
9…変形吸収デバイス
22…平行板部
23…ウェブ部
24…水平板部
a,b…区画層
Claims (3)
- 左右の縦フレーム材と、これら左右の縦フレーム材の上端間および下端間にそれぞれ接合された上下の横フレーム材と、前記左右の縦フレーム材間に接合された中桟となる横フレーム材とを備え、前記中桟となる横フレーム材を境界として上下に並ぶ複数の区画層に区画され、各区画層に耐力要素が設けられた耐力壁であって、
少なくとも一部の前記区画層に設けられた耐力要素が、互いに逆V字またはV字状に配置された一対の斜材からなり、これら一対の斜材の互いの近寄り側端と前記横フレーム材との間に、前記斜材が設けられた区画層の変形を吸収する変形吸収デバイスを備え、
この変形吸収デバイスは、互いに壁幅方向に離れて平行に配置される一対の縦姿勢の平行板部と、これら一対の平行板部を連結したエネルギー吸収用の板状のウェブ部と、前記一対の平行板部の上端間および下端間にそれぞれ接続した一対の水平板部とでなり、前記変形吸収デバイスは、前記一対の平行板部と前記ウェブ部とでΣ字形を成し、かつ前記ウェブ部は前記一対の水平板部に溶接され、前記一対の水平板部のうち、片方の水平板部が前記横フレーム材に接合され、もう片方の水平板部が前記一対の斜材の端部に接合され、前記ウェブ部が、壁面および前記平行板部に対して傾斜を成して長手方向の一部と他部とで傾斜方向が異なる断面山形とされ、前記平行板部における前記ウェブ部の縁が連結される位置が、前記ウェブ部が成す前記山形の高さ方向に前記平行板部の縁から離れていることを特徴とする斜材・変形吸収デバイス付き耐力壁。 - 請求項1に記載の斜材・変形吸収デバイス付き耐力壁において、前記複数の区画層のうちのいずれかの区画層の前記耐力要素が、この耐力要素を設けた区画層を覆う面材である斜材・変形吸収デバイス付き耐力壁。
- 請求項2に記載の斜材・変形吸収デバイス付き耐力壁において、前記複数の区画層のうちの最上層の区画層の耐力要素が逆V字状に配置された一対の斜材からなり、他の各区画層の耐力要素が前記面材である斜材・変形吸収デバイス付き耐力壁。
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