JP6830394B2 - 剪断補強部材及び柱梁接合部構造 - Google Patents

剪断補強部材及び柱梁接合部構造 Download PDF

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Description

本発明は、鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合の構造と、柱梁接合部に取付けられる剪断補強部材とに関するものである。
従来、鉄筋コンクリート柱(以下、RC柱という)と鉄骨梁(以下、S梁という)との接合部の構造として、図5(a),(b)に示すように、RC柱1の柱主筋2を取り囲むように、帯筋3をロ形にして複数段設置するとともに、S梁4の上下フランジ4Fとウェブ4Wとの間に、剪断補強部材としての平板状のベアリングプレート5を溶接した構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−329616号公報
しかしながら、ベアリングプレート5は平板状であるため、地震時に水平力を受けた場合に、RC柱とS梁とで囲まれた部分のコンクリートに作用する剪断応力に対する耐性が十分とはいえなかった。
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、柱梁接合部を確実に剪断補強できる剪断補強部材と、剪断応力耐性の高い柱梁接合部の構造を提供することを目的とする。
本発明は、RC柱とS梁との接合部の前記S梁の一方のフランジとウェブとの間に取付けられる剪断補強部材であって、板面が前記鉄骨梁のフランジ面に平行な板状の水平片と、板面が前記フランジ面と前記ウェブ面とに垂直な板状の垂直片とを備え、前記水平片の一方の板面が、前記一方のフランジの、前記鉄骨梁の他方のフランジに対向する側の面に取付けられ、前記垂直片の前記一方のフランジ側の端面が、前記水平片の前記鉄筋コンクリート柱の周縁部側の端面に接続され、前記水平片のウェブ側の端面と前記垂直片のウェブ側の端面とが前記ウェブに取付けられていることを特徴とする。
このように、剪断補強部材として、S梁のウェブの面に垂直な方向から見たときの形がL字状の剪断補強部材(以下、L型ベアリングプレートという)を用いれば、コンクリート打設後の柱梁接合部の圧縮ストラットの反力を受ける面積を大きくできるので、圧縮ストラット域を拡大でき、接合部に打設されたコンクリートに作用する剪断応力に対する耐性を向上させることができる。
また、前記水平片として、前記ウェブ側とは反対側の端部が前記S梁の幅方向外側に位置するような、フランジのウェブよりも外側の幅よりも幅の広い水平片を用いることで、圧縮ストラット域を更に拡大できるようにしたので、接合部に打設されたコンクリートに作用する剪断応力に対する耐性が更に向上した。
また、前記垂直片を、前記鉄筋コンクリート柱の周縁部の上部に位置させ、水平片を前記接合部に打設されるコンクリート内に埋設されるようにしたので、コンクリートの剪断応力耐性が一層向上した。
また、L型ベアリングプレートの水平片と垂直片との間に、スチフナ用鋼板を配置することでL型ベアリングプレートの剛性を高めるようにしたので、コンクリートの剪断応力耐性を更に向上させることができる。
また、RC柱とS梁との接合部の構造において、RC柱とS梁との接合部の、前記S梁の一方のフランジとウェブとの間、及び、他方のフランジと前記ウェブとの間に、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の剪断補強部材をそれぞれ取付けたので、RC柱とS梁との接合部の剪断応力に対する耐性が向上した。
なお、前記発明の概要は、本発明の必要な全ての特徴を列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
本実施の形態に係る柱梁接合部の構造を示す図である。 本実施の形態に係るL型ベアリングプレートを示す図である。 柱梁接合部構造における圧縮ストラット構成域を示す図である。 柱梁接合部構造における圧力ストラットを示す図である。 従来の柱梁接合部を示す図である。
図1(a),(b)は本実施の形態に係る柱梁接合部の構造を示す図で、(a)図は斜視図、(b)図は平面図である。各図において、1は鉄筋コンクリート柱(RC柱)、2はRC柱1の柱主筋、3は帯筋、4は鉄骨梁(S梁)、10は本発明によるL型ベアリングプレートである。
RC柱1は、鉛直方向に延長する鉄筋コンクリートから成る平面視矩形の柱で、RC柱1表面の4隅からは、それぞれ、3本の柱主筋2が上方に延長している。
帯筋3は、柱主筋2を外側から取り囲むように柱主筋2にワイヤ等で固定されるかもしくは溶接される平面視ロの字状の鉄筋で、本例では、帯筋3を上下方向に3段配置した。
S梁4は、RC柱1の上部に配置されて、 (b)図の左右方向である前後方向に延長する第1のS梁41と、 (b)図の上下方向である左右方向に延長して、RC柱1の上部にて第1のS梁41の右側に溶接される第2のS梁42と、第1のS梁41の左に溶接される第3のS梁43とがあるが、これらS梁41〜43は、本例の柱梁接合部の構造では区別されないので、以下、S梁41〜43をS梁4という。
図2(a),(b)に示すように、L型ベアリングプレート10は、板面がS梁4のフランジ4Fの板面に平行な板状の水平片11と、板面がフランジ4Fの板面とウェブ4Wの板面とに垂直な板状の垂直片12とを備えた、L字形もしくは逆L字形のプレート本体13と、水平片11と垂直片12とに間に配置されてプレート本体13に溶接されるスチフナ用鋼板14とを備える。
水平片11の一方の板面は、一方のフランジ4F2(または、フランジ4F1)の他方のフランジ4F1(または、フランジ4F2)に対向する側の面に取付けられ、垂直片12の一方のフランジ4F2(または、フランジ4F1)側の端面が、水平片11のRC柱1の周縁部側の端面に接続される。
また、水平片11のウェブ4W側の端面と垂直片12のウェブ4W側の端面とはウェブ4Wに溶接により取付けられる
本例では、水平片11のフランジ4Fの幅方向の長さである幅aを、水平片11のウェブW側とは反対側の端部11kがS梁4の幅方向外側に位置するように設定した。すなわち、水平片11の幅aは、フランジ4Fの幅であるフランジ寸法をB、ウェブ4Wの厚さをtWとしたとき、a>(B−tW)/2である。
また、本例では、L型ベアリングプレート10を、S梁4の一方の側(ここでは、上側)のフランジ4F1の内側の面と、他方の側(ここでは、下側)のフランジ4F2の内側の面の両方に、垂直片12がRC柱1の周縁部の上部に(詳細には、垂直片12のRC柱1の中心側とは反対側の面が、RC柱1の側面を上部に延長した面上に)位置するように配置した。
なお、L型ベアリングプレート10を、上側のフランジ4F1と下側のフランジ4F2の両方に取付ける場合には、対向する2つの垂直片12が離れている必要がある。すなわち、垂直片12の高さをbとすると、高さbは、ウェブ寸法をH、フランジ4Fの厚さをtFとすると、b<(H−tF)/2である。
また、L型ベアリングプレート10は、S梁4のフランジ4Fとウェブ4Wとにそれぞれ溶接にて取付けられるので、水平片11の厚さt11をフランジ4Fの厚さtFよりも厚くし、垂直片12の厚さt12をウェブ4Wの厚さtよりも厚くすることが好ましい。
スチフナ用鋼板14は、帯筋3を挿通するための貫通孔14hを備えた、直角三角形の各頂点部を切欠いた板状の部材で、直角を構成する2辺が、それぞれ、水平片11と垂直片12とに溶接される。スチフナ用鋼板14は、プレート本体13の両端部にそれぞれ配置される。
RC柱1にS梁4、帯筋3、及び、L型ベアリングプレート10を組付けた後には、隣接する2つのS梁4で囲まれた4つの空間をそれぞれ取り囲むように、所定の断面(ここでは、RC柱1の上面と等しい断面)の型枠を組み立て、この型枠内にコンクリートを打設して、柱梁接合部を構築する。このとき、水平片11は、柱接合部に打設されるコンクリート内に埋設されるので、柱梁接合部の剪断応力耐性が向上する。
なお、垂直片12については、コンクリート内に埋設してもよいし、RC柱1の外側の板面を外部に露出させてもよい。
柱梁接合部の強度は、接合部の破壊時の抵抗機構をストラット機構と仮定して計算された圧縮ストラットの面積が大きいほど高いとされている。圧縮ストラットの面積は、柱梁接合部に打設したコンクリートと接合しているS梁4とL型ベアリングプレート10などの剪断補強部材とにより決定される。
図3(a)の斜線部は、従来の柱梁接合部における圧縮ストラット構成域を示す図で、図3(b)の斜線部は、本発明による柱梁接合部における圧縮ストラット構成域を示す図である。(a)図と(b)図とを比較して分かるように、剪断補強部材としてL型ベアリングプレート10を用いた場合には、従来のベアリングプレート5を用いた場合に比較して、圧縮ストラット構成域が広がっていることが分かる。
図4(a),(b)は、従来の柱梁接合部における圧縮ストラットと本発明の柱梁接合部における圧縮ストラットを示す図で、(b)図に示すように、剪断補強部材として、フランジ4Fよりも外側まで延長する水平片を有するL型ベアリングプレート10を用いた場合には、(a)に示すベアリングプレート5よりも広い範囲で圧縮ストラットの反力を受けることができるので、圧縮ストラット幅及び圧縮ストラットの面積が広くなる。
したがって、柱梁接合部の直上に構築されたスラブ7に水平方向の剪断力が入力した際にコンクリートに作用する圧縮応力及び引張応力を小さくすることできるので、柱梁接合部の剪断応力耐性が向上する。
なお、L型ベアリングプレート10の水平片11の幅a、垂直片12の高さb、水平片11の厚さt11、及び、垂直片12の厚さt12については、好適な圧縮ストラット幅及び圧縮ストラットの面積が得られる範囲であれば、適宜設定することが可能である。例えば、あるa,b,t11,t12を用いて得られた圧縮ストラット幅及び圧縮ストラットの面積よりも圧縮ストラット幅及び圧縮ストラットの面積が小さくても、柱梁接合部の剪断応力耐性が十分な場合には、上記のa,b,t11,t12のいずれか1つ、または、複数、または、全部を小さくしてもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に記載の範囲には限定されない。前記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者にも明らかである。そのような変更または改良を加えた形態も発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲から明らかである。
例えば、前記実施の形態では、スチフナ用鋼板14を備えたL型ベアリングプレート10について説明したが、スチフナ用鋼板14を省いたプレート本体13のみでも、柱梁接合部の剪断応力耐性を十分に向上させることができる。
また、前記実施の形態では、帯筋3を平面視ロの字状とした柱梁接合部について説明したが、本発明のL型ベアリングプレート10は、帯筋3を平面視L字状とし、その端部をS梁4に溶接する構成の柱梁接合部などの他の形態の柱梁接合部にも適用可能である。
1 鉄筋コンクリート柱(RC柱)、2 柱主筋、3 帯筋、4 鉄骨梁(S梁)、
4F S梁のフランジ、4W S梁のウェブ、
10 L型ベアリングプレート、11 水平片、12 垂直片。

Claims (5)

  1. 鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部の前記鉄骨梁の一方のフランジとウェブとに取付けられる剪断補強部材であって、
    板面が前記鉄骨梁のフランジ面に平行な板状の水平片と、
    板面が前記フランジ面と前記ウェブ面とに垂直な板状の垂直片とを備え、
    前記水平片の一方の板面が、前記一方のフランジの、前記鉄骨梁の他方のフランジに対向する側の面に取付けられ、
    前記垂直片の前記一方のフランジ側の端面が、前記水平片の前記鉄筋コンクリート柱の周縁部側の端面に接続され、
    前記水平片のウェブ側の端面と前記垂直片のウェブ側の端面とが前記ウェブに取付けられていることを特徴とする剪断補強部材。
  2. 前記水平片の前記ウェブ側とは反対側の端部が前記鉄骨梁の幅方向外側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の剪断補強部材。
  3. 前記垂直片は、前記鉄筋コンクリート柱の周縁部の上部に位置し、
    前記水平片は、前記接合部に打設されるコンクリート内に埋設されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の剪断補強部材。
  4. 前記水平片と前記垂直片との間にスチフナ用鋼板を配置したことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の剪断補強部材。
  5. 鉄筋コンクリート柱と鉄骨梁との接合部の前記鉄骨梁の一方のフランジとウェブとの間と、他方のフランジと前記ウェブとの間とに、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の剪断補強部材が、それぞれ取付けられていることを特徴とする柱梁接合部構造。
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