JP2022056010A - 耐力壁 - Google Patents

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浩徳 岡崎
Hironori Okazaki
珠希 前田
Tamaki Maeda
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Abstract

【課題】柱に相当する縦材に大きな鉛直荷重が作用する場合であっても、縦材の外形寸法の変更やダブル柱の適用を不要にでき、耐力壁の構成部材の種類の増加を抑制できる耐力壁を提供する。【解決手段】耐力壁70は、相互に平行な二本の金属製の縦材10と、二本の縦材10を繋ぎ、ダンパー30を備える金属製の横材もしくは斜材20と、を有し、少なくとも一方の縦材10が、外管11と、内管12とを備える二重管で構成している。【選択図】図2

Description

本発明は、耐力壁に関する。
例えば鉄骨造の住宅では、角形鋼管等からなる柱と、H形鋼等の形鋼材からなる梁とが一次部材として軸組構造を形成し、この軸組構造に対してブレース内蔵型の耐力壁をはじめとする各種の耐力壁をバランスよく配置することにより、所定の耐震性が確保されている。
軸組構造の住宅は、各構面が必要枚数の耐力壁を要することから、デザインの自由度が低くなり易く、従って狭小敷地や変形敷地における施工が困難になることが多い。そのため、軸組構造の構面内の適所に、例えば細幅の耐力壁を配置する方法が適用される。ここで、細幅の耐力壁とは、通常の1P幅(Pはモジュールを示し、800mm乃至1100mmの間で、例えば910mm幅等、モジュール設計仕様により任意に設定可能)の耐力壁に対して、0.5P幅や0.25P幅の耐力壁のことである。
上記する細幅の耐力壁の一形態として、地震時のエネルギー吸収性に優れた耐力壁を形成することのできる梯子型耐力壁架構が提案されている。具体的には、相互に平行な二本の金属製の縦材と、二本の縦材間において縦材の長手方向に間隔を置いて配設され、それぞれの縦材に接続されている複数の横材と、を有する梯子型耐力壁架構である。この梯子型耐力壁架構において、横材は、二つの金属製のウエブプレートからなる繋ぎ部と、二つの繋ぎ部の間に配設されてそれぞれの繋ぎ部に接続されている金属製のダンパーとを有し、ダンパーとの接続端から縦材との接続端に向かってウエブプレートの高さが末広がり状に高くなっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2019-157518号公報
ところで、耐力壁を構成する柱が大きな鉛直荷重を受ける場合には、柱の外形寸法や板厚を大きくする必要がある。建物の柱が大きな鉛直荷重を受けるケースとしては、例えば、多雪地域における建物の柱や、多層階の建物における下層階の柱等が挙げられる。しかしながら、壁厚を大きくできず、かつ耐力壁の幅も大きくできないケース(例えば、上記する細幅の耐力壁が適用されるケース等)では、例えば二本の柱を抱き合わせてダブル柱とし、ダブル柱の内側の柱を耐力壁の内側に配置することにより、耐力壁の幅を広げることなく圧縮耐力を向上させる措置が講じられている。また、柱の断面を横長の長方形とし、耐力壁の内側に柱の断面を延ばすことにより、耐力壁の幅を広げることなく圧縮耐力を向上させる措置が講じられている。
しかしながら、耐力壁を構成する二本の柱(縦材)の各芯間距離を変更できない場合に、耐力壁の構成部材である斜材の角度が相違し、このことに起因して斜材の長さが相違することになる。このことを、図1を参照して説明する。
図1(a)乃至図1(c)は、三種類の耐力壁の正面図であり、いずれの耐力壁ともに最外周の縦材の芯間距離(耐力壁の幅)はt1で共通である。図1(a)に示す耐力壁T1は、縦材として二本のシングル柱Cを有し、長さt2の二本の斜材(ブレース)B1により形成されているK型の耐力壁である。耐力壁T1における左側の柱Cに大きな鉛直荷重が作用する場合は、耐力壁の幅t1を確保しつつ左側の柱Cの圧縮耐力を高めるべく、図1(b)に示すように、左側の柱Cをダブル柱とした耐力壁T2が形成される。この耐力壁T2では、ダブル柱を構成する内側の柱Cが付加されたことにより、ダブル柱の内側の柱Cと右側の柱Cの芯間距離が短くなり、耐力壁T2を構成する斜材B2の長さt3は斜材B1の長さt2よりも短くなる。
また、耐力壁T1における左右の柱Cに大きな鉛直荷重が作用する場合は、耐力壁の幅t1を確保しつつ左右の柱Cの圧縮耐力を高めるべく、図1(c)に示すように、左右の柱Cをいずれもダブル柱とした耐力壁T3が形成される。この耐力壁T3では、左右のダブル柱を構成する内側の柱Cが付加されたことにより、左右のダブル柱の内側の柱Cの芯間距離がさらに短くなり、耐力壁T3を構成する斜材B3の長さt4は斜材B2の長さt3よりも短くなる。
図示を省略するが、耐力壁が斜材に代わって横材(もしくは綴材)を有する場合においても、一定幅の耐力壁において左右のいずれか一方もしくは双方の柱がダブル柱となることにより、横材の長さが変化することは斜材の場合と同様である。
建物を構成する複数の構面に設置される耐力壁ごとに、各縦材(柱)に作用する鉛直荷重は往々にして相違するが、左右の縦材の一方にのみ大きな鉛直荷重が作用する耐力壁や、左右の縦材の双方に大きな鉛直荷重が作用する耐力壁が混在することにより、それぞれに長さの異なる斜材や横材が組み込まれることになる。このことにより、耐力壁の構成部材の種類が増加することとなり、複数種の斜材や横材を備えた複数種の耐力壁を製作する必要が生じる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、柱に相当する縦材に大きな鉛直荷重が作用する場合であっても、縦材の外形寸法の変更やダブル柱の適用を不要にでき、耐力壁の構成部材である斜材や横材等の種類増を抑制できる耐力壁を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による耐力壁の一態様は、
相互に平行な二本の金属製の縦材と、
二本の前記縦材を繋ぎ、ダンパーを備える金属製の横材もしくは斜材と、を有し、
少なくとも一方の前記縦材が、外管と、内管とを備える二重管であることを特徴とする。
本態様によれば、耐力壁を構成する二本の縦材のうちの少なくとも一方の縦材が、外管と、内管とを備える二重管であることにより、縦材の外形寸法を大きくすることなく、縦材の圧縮耐力を向上させることができる。このことにより、耐力壁の構成部材である斜材や横材等を複数種類用意する必要がなく、耐力壁の製作に手間がかかるといった課題を解消できる。
ここで、「少なくとも一方の縦材が二重管である」とは、耐力壁を構成する二本の縦材のうち、作用する大きな鉛直荷重に起因して大きな圧縮力が生じ得る、いずれか一方もしくは双方の縦材が二重管であることを意味しており、大きな鉛直荷重が作用せず、従って大きな圧縮力が生じ得ない縦材は一重管(単管)により形成されてよい。一重管の縦材と二重管の縦材はいずれも、角形鋼管や鋼管(円形管)等により形成される。また、斜材や横材は溝形鋼やH形鋼等の形鋼材から形成でき、ダンパーには、溝形鋼やH形鋼等の形鋼材の他、粘弾性ダンパーや粘性ダンパー、弾塑性ダンパーなど、各種のダンパーが適用できる。また、本態様の耐力壁には、一本の斜材を備える形態、二本の斜材を備えるK型の形態、複数の横材を備える梯子型の形態などがあり、横材や斜材の間にダンパー(デバイス)が介在する形態や、横材の途中位置や斜材の途中位置にダンパーが介在する形態などがある。
また、本発明による耐力壁の他の態様は、前記横材、前記斜材、もしくは前記ダンパーが前記外管にのみ接続されていることを特徴とする。
本態様によれば、横材、斜材、もしくはダンパーが外管にのみ接続されていること、言い換えれば、横材等が内管に接続されていないことにより、地震時の水平力を負担する横材等から作用する水平力に起因する曲げモーメントを、外管のみに生じさせることができる。このことにより、相対的に耐力の小さな内管と、相対的に耐力の大きな外管のそれぞれの耐力を有効に発揮させることが可能になる。
また、本発明による耐力壁の他の態様は、前記外管の内周面と前記内管の外周面との間に、水平クリアランスが設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、外管と内管の間に水平クリアランスが設けられていることにより、内管と、曲げモーメントを負担する外管との干渉を抑制することができる。ここで、水平クリアランスとしては、2mm乃至10mm程度の範囲が設定でき、例えば5mm程度に設定できる。
また、本発明による耐力壁の他の態様は、前記外管の下端と前記内管の下端が金属製の脚部プレートに溶接接合され、該外管の上端が金属製の頭部プレートに溶接接合されており、
前記内管の上端が、該頭部プレートにメタルタッチされている、もしくは、該頭部プレートから鉛直クリアランスを介した下方位置にあることを特徴とする。
本態様によれば、外管の下端と内管の下端が金属製の脚部プレートに溶接接合されているとともに、外管の上端が金属製の頭部プレートに溶接接合され、内管の上端が、頭部プレートにメタルタッチされている、もしくは、頭部プレートから鉛直クリアランスを介した下方位置にあることにより、外管と内管の間に所定の水平クリアランスを確保した状態で二重管を形成することができる。例えば、内管の脚部近傍と頭部近傍の外周のそれぞれの複数箇所において、所定の水平クリアランスに対応したスペーサが取り付けられていることにより、内管と外管の間に所定の水平クリアランスが確保された状態で二重管を形成することができる。
本態様において、「内管の上端が、頭部プレートから鉛直クリアランスを介した下方位置にある」形態では、二重管に上部構造体の鉛直荷重が作用した当初は、全鉛直荷重が外管に作用し、外管が圧縮変形して頭部プレートが内管の上端に当接した後に、内管が鉛直荷重の一部を負担することになる。従って、内管の負担を低減したい場合や、全ての曲げモーメントを外管に負担させた場合でも外管の耐力に未だ余裕がある場合等において、この形態の耐力壁が適用されるのが好ましい。
また、本発明による耐力壁の他の態様は、複数の前記ダンパーのそれぞれの一端が一方の前記縦材に取り付けられ、それぞれの他端が連結材に繋がれており、
他方の前記縦材と前記連結材を二本の前記斜材が繋いでいることを特徴とする。
本態様によれば、複数のダンパーを一方の縦材に取り付けると共に、各ダンパーを共通の連結材で繋ぎ、この連結材に二本の斜材の端部が繋がれていることから、斜材から作用する軸力(地震時の水平力に起因する軸力)は連結材に入力され、連結材を介して複数のダンパーに作用することになる。
また、本発明による耐力壁の他の態様は、複数の前記横材が前記縦材の長手方向に間隔を置いて配設されており、
前記横材は、以下のいずれか一種であることを特徴とする。
(1)二本の前記縦材に接続される二つの金属製の横材と、二つの該横材の間に配設されてそれぞれの該横材に接続されている前記ダンパーを備えている第一形態、
(2)一方の前記縦材に接続される一つの金属製の横材と、該横材と他方の前記縦材に接続される前記ダンパーを備えている第二形態。
本態様のうち、第一形態によれば、二本の縦材間に配設される二つの横材が、中央にダンパーを備えていることにより、大地震時の水平力に起因するせん断力を左右の横材に挟まれたダンパーに集中的に負担させることができる。ここで、二つの横材とダンパーを一組として、複数組の横材及びダンパーが縦材の長手方向に間隔を置いて複数組設けられている梯子型の形態であってもよい。また、ダンパーの左右端において、ダンパー側から縦材側に向かって末広がり状に高さが高くなるウエブプレートからなる横材が接続されている形態であってもよく、この形態によれば柱の補剛効果を高めることができる。
一方、本態様のうち、第二形態によれば、一つの金属製の横材と一つの金属製のダンパーとを有していることにより、建物の鉛直構面に耐力壁が組み込まれた際に、例えば作用する軸力が相対的に大きくなる一方の縦材にダンパーを接続し、他方の縦材に横材を接続するように配置することで、一方の縦材に生じる曲げモーメントを低減し、一方の縦材に生じる軸力と曲げモーメントによる断面力(複合断面力という)を小さくすることができる。このことにより、他方の縦材に比べて、一方の縦材に生じる複合断面力が大きくなる場合において、当該一方の縦材の断面を大きくすることを解消できる。
以上の説明から理解できるように、本発明の耐力壁によれば、柱に相当する縦材に大きな鉛直荷重が作用する場合であっても、縦材の外形寸法の変更やダブル柱の適用を不要にでき、耐力壁の構成部材である斜材や横材等の種類増を抑制することができる。
(a)、(b)、(c)はいずれも、従来の耐力壁の一例の正面図である。 (a)は第1実施形態に係る耐力壁の正面図であり、(b)は図2(a)のb-b矢視図である。 耐力壁を構成する縦材の脚部の縦断面図である。 耐力壁を構成する縦材の頭部の一例の縦断面図である。 耐力壁を構成する縦材の頭部の他の例の縦断面図である。 地震時の水平力が耐力壁に作用した際の縦材に生じる曲げモーメントを示す模式図である。 第2実施形態に係る耐力壁の正面図である。 第3実施形態に係る耐力壁の正面図である。
以下、各実施形態に係る耐力壁について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[第1実施形態に係る耐力壁]
はじめに、図2乃至図5を参照して、第1実施形態に係る耐力壁の一例について説明する。ここで、図2(a)は、第1実施形態に係る耐力壁の正面図であり、図2(b)は、図2(a)のb-b矢視図である。また、図3は、耐力壁を構成する縦材の脚部の縦断面図であり、図4Aと図4Bはそれぞれ、耐力壁を構成する縦材の頭部の一例の縦断面図である。
耐力壁70は、間隔を置いて立設される相互に平行な一対の縦材(柱)10A,10Bと、一方の縦材10Aに取付けられている複数(図示例は二つ)のダンパー30と、複数のダンパー30を繋ぐ連結材25と、他方の縦材10Bと連結材25とを繋ぐ二本の斜材(ブレース)20とを有する。ここで、耐力壁70は、建物の構面内に配設されるようになっており、縦材10A,10Bのいずれか一方が構面を形成する柱であってもよい。また、耐力壁70は、一階、二階以上の上階のいずれに配設されてもよい。例えば一階に配設される場合は、縦材10の下端が接合金物50を介して土台と接続され、縦材10の上端が接合金物40を介して二階の床梁に接続される。また、耐力壁70の幅t1は、例えば通常の1P幅(例えば910mm幅等)に設定される。
左右の縦材10A,10Bはいずれも二重管により形成されており、図2(b)に示すように、各縦材10はいずれも角形鋼管により形成される外管11と内管12を備えている。外管11の内周面と内管12の外周面との間には、幅t5の水平クリアランス15が設けられている。また、幅t5の水平クリアランス15を確保するべく、外管11と内管12の間には、山形鋼により形成されているスペーサ60が取り付けられている。
ここで、耐力壁70においては、左右の縦材10A,10Bの双方に対して、上部構造体による大きな鉛直荷重が作用することを前提として、双方の縦材10A,10Bをともに二重管構造としている。このように、大きな鉛直荷重が作用する縦材10が二重管構造を有していることにより、縦材10の外形寸法を大きくすることなくその耐力を向上させることが可能になり、左右の縦材10の間の幅を変化させることを不要にできる。このことにより、左右の縦材10の間に配設される斜材20や横材の長さを一定の長さに保持することができ、耐力壁の構成部材の種類増を抑制することが可能になる。尚、一方の縦材10に作用する鉛直荷重が大きくない場合(一重管で対応可能な場合)は、大きな鉛直荷重が作用する側の縦材10のみを二重管構造とすればよい。
外管11と内管12は、角形鋼管や鋼管等により形成される。例えば、外管11として、80×80×6(mm厚)の角形鋼管を適用し、内管12として、60×60×6(mm厚)の角形鋼管を適用することにより、内管12の四方において幅t5が4mm程度の水平クリアランス15が形成される。水平クリアランス15は、2mm乃至10mm程度の範囲で設定でき、耐力壁70に地震時の水平力が作用した際に内管12と外管11の接触を確実に抑止する観点から、幅t5として5mm程度が設定されるのが好ましい。
縦材10Bの上下端近傍にはブラケット27が固定されており、ブラケット27は、接続される斜材20と同仕様の鋼材から形成でき、平鋼、H形鋼、山形鋼、溝形鋼等の形鋼材、角形鋼管などにより形成される。
縦材10Bの上下端近傍に設けられたブラケット27に対してそれぞれ、斜材20が接続される。斜材20は、平鋼、H形鋼、山形鋼、溝形鋼等の形鋼材、角形鋼管などにより形成され、斜材20の端部とブラケット27の端部同士がボルト等により接続される。平鋼にてブラケット27が形成される場合、このブラケット27はガセットプレートであり、例えばH形鋼にて斜材20が形成される場合、ガセットプレートと斜材20のウエブとが両側面に配設された添接板を介してボルト接合される。
縦材10Aの軸方向の中央位置に、二つのダンパー30が固定される。ダンパー30は、平鋼等により形成される当て板28にその一端が溶接等により固定され、当て板28は、縦材10Aを構成する外管11の側面に溶接等により固定される。そして、二つのダンパー30は連結材25に繋がれており、連結材25のうち、ダンパー30の取り付け箇所よりも外側(上下側)の張出部25aに各斜材20の端部が溶接等により接続されている。尚、図示する連結材25は、H形鋼や溝形鋼等の形鋼材や角形鋼管などにより形成されており、斜材20からの軸力をダンパー30に伝達できる剛性を備えている。図示する連結材25は1つの鋼材等により形成されるものであるが、複数の分割連結材(図示せず)をボルト等で繋ぐことにより形成してもよい。ここで、本明細書において、「溶接」とは、開先溶接(完全溶け込み溶接、部分溶け込み溶接)や隅肉溶接など、接続部に要求される強度や接続態様(剛接続、ピン接続)に応じて選択される適宜の溶接を示す。
ダンパー30には、粘弾性ダンパーや粘性ダンパー、弾塑性ダンパーといった各種ダンパーが適用できるが、例えば、断面の形状がΣ形を成し、鋼材からなるΣ形ダンパー(デバイス)が好適に用いられる。Σ形のダンパー30は、上下に平鋼にて形成されるフランジを有し、上下のフランジ間には、平鋼がVの字状に曲げ加工等されたウエブを有する。ウエブは、上下の平鋼板がVの字状に開いた形状を有しており、この構成により、ウエブは、鉛直方向のせん断剛性と鉛直方向の変形性能の双方を有する。従って、大地震時の過大な水平力に対して強さとしなやかさで地震エネルギーを効果的に吸収することができる。また、平鋼にて形成されるフランジを上下に有することから、斜材20からの軸力が連結材25を介してダンパー30に入力された際に、この軸力に起因して発生する曲げモーメントをフランジにて抵抗することができる。
図3に示すように、縦材10を構成する外管11の下端11aと内管12の下端12aはいずれも、接合金物50を構成する脚部プレート51に溶接部Yを介して接合されている。接合金物50は、縦材10と、土台梁や上階の床梁とを接続する金物であり、脚部プレート51である上方フランジと、下方フランジ53と、これらを繋ぐ複数の縦リブ52とにより構成されており、耐力壁70の内側に位置する縦リブ52と下方フランジ53を繋ぐ補強リブ54をさらに備えている。
縦材10の脚部近傍においては、外管11と内管12の間に所定の水平クリアランス15を確保するべく、例えば外管11の内周面にスペーサ60が取り付けられている。図示例のスペーサ60は山形鋼により形成されており、山形鋼の厚みは水平クリアランス15の幅t5に相当する厚みに設定されている。
一方、図4Aに示すように、縦材10を構成する外管11の上端11bと内管12の上端12bはいずれも、接合金物40を構成する頭部プレート41に溶接部Yを介して接合されている。接合金物40は、縦材10と上階の床梁とを接続する金物であり、頭部プレート41である下方フランジと、上方フランジ43と、これらを繋ぐウエブ42とを有するH形鋼ブロック等により形成されており、ウエブ42と上方フランジ43と頭部プレート41の間に補強リブ44をさらに備えている。
縦材10の頭部近傍においても、外管11と内管12の間に所定の水平クリアランス15を確保するべく、例えば外管11の内周面に、幅t5に相当する厚みを備えたスペーサ60が取り付けられている。
図4Aに示す例では、内管12の上端12bが、頭部プレート41にメタルタッチされている。図3に示す脚部構造と図4Aに示す頭部構造を備えた縦材10の製作方法は、次の通りとなる。
すなわち、まず、内管12の脚部近傍の外周と頭部近傍の外周のそれぞれの複数箇所(それぞれ、四つの側面に対応する四箇所)において、所定の水平クリアランス15の幅t5に相当する厚みを備えたスペーサ60を溶接等にて取り付けておき、内管12の下端12aと接合金物50を構成する脚部プレート51を溶接接合した後、内管12の頭部から外管11を嵌め込み、脚部プレート51と外管11の下端11aを溶接接合する。
次いで、外管11の上端11bと内管12の上端12bに、接合金物40を構成する頭部プレート41を載置し、頭部プレート41と外管11の上端11bとを溶接接合する。この製作方法により、内管12と外管11の間に所定幅t5の水平クリアランス15が確保された状態で、外管11と内管12の脚部が脚部プレート51に溶接接合され、外管11の頭部が頭部プレート41に溶接接合され、内管12の頭部が頭部プレート41にメタルタッチされた二重管10を形成することができる。
一方、図4Bに示す例では、内管12の上端12bと頭部プレート41の間に鉛直クリアランス16が設けられている点において、内管12の上端12bと頭部プレート41がメタルタッチされている図4Aの例と相違する。
図4Aに示す例では、外管11と内管12の頭部がいずれも頭部プレート41に当接していることから、縦材10に対して上方から大きな鉛直荷重が作用した当初から、分担荷重が外管11と内管12に作用する。これに対して、図4Bに示す例では、縦材10に対して上方から大きな鉛直荷重が作用した際に、当初は外管11のみが鉛直荷重を負担し、外管11が変形して内管12の上端12bが頭部プレート41に当接した後に、鉛直荷重の一部が内管12に作用することになる。以下で説明するように、耐力壁70は、地震時の水平力が作用した際に縦材10に生じる曲げモーメントを外管11のみで負担するものであるが、外管11の耐力に十分な余力がある場合には、図4Bに示すように、当初作用する鉛直荷重の全部を外管11に負担させることにより、外管11と内管12の耐力をより一層有効に発揮させることが可能になる。
次に、図5を参照して、地震時の水平力が耐力壁に作用した際の縦材に生じる曲げモーメントについて説明する。耐力壁70に対して地震時の水平力Hが作用した際には、縦材10の中間位置から上下にhd離れた位置にダンパー30が取り付けられている(ダンパー芯線がある)ことにより、ダンパー30を介して作用する地震時の水平力Hに起因して、縦材10の中間位置にて正負が反転する曲げモーメント(最大値Mc)が縦材10に生じる。
この際、ダンパー30は当て板28を介して縦材10を構成する外管11にのみ接続され、外管11と内管12は水平クリアランス15を介して離れていることから、縦材10に生じる曲げモーメントは全て外管11が負担することになる。このように、地震時の水平力Hに起因して生じる曲げモーメントを外管11のみに作用させることにより、二重管を構成する内管12と外管11のそれぞれの有する耐力を有効に発揮させることが可能になる。この点について、以下、説明する。
二重管の柱頭に鉛直荷重が作用した場合、二重管を構成する外管11と内管12に作用する分担荷重のみに基づく圧縮応力は、各断面積の比率に応じて決定され、外管の圧縮応力と断面積をそれぞれNc(外)、A(外)とし、内管の圧縮応力と断面積をそれぞれNc(内)、A(内)とした場合、Nc(外):Nc(内)=A(外):A(内)が成立する。しかしながら、外管11と内管12を比べた場合に内管12の方が細長比は大きくなることから、細長比を勘案して、外管11と内管12のそれぞれの短期許容圧縮応力をNy(外)、Ny(内)とした場合に、Nc(内)/Nc(外)>Ny(内)/Ny(外)の関係となる。
従って、断面積の比率に応じた分担荷重が外管11と内管12の双方に作用した場合でも、細長比により内管12は外管11に比べて早期に短期許容圧縮応力に達することになり、その際に外管11は耐力に余力を残した状態となっている。すなわち、二重管の耐力が内管12の耐力で決定され、外管11の耐力が有効に発揮されないことになる。
耐力壁70によれば、耐力に余裕のある外管11のみに地震時の水平力Hに起因する曲げモーメントを負担させることにより、内管12と外管11の双方の耐力を有効に発揮させることが可能になる。
また、外管11がさらに耐力に余裕がある場合は、図4Bに示すように内管12の上端12bと頭部プレート41の間に鉛直クリアランス16を設けておくことにより、当初作用する鉛直荷重の全部を外管11に負担させることで、外管11と内管12の耐力をより一層有効に発揮させることが可能になる。
[他の実施形態に係る耐力壁]
次に、図6A及び図6Bを参照して、第2実施形態に係る耐力壁と第3実施形態に係る耐力壁の一例について説明する。ここで、図6Aと図6Bはそれぞれ、第2実施形態に係る耐力壁と第3実施形態に係る耐力壁の正面図である。
図6Aに示す耐力壁70Aは、梯子型耐力壁であり、相互に平行な二本の縦材10A、10Bと、二本の縦材10A,10B間において縦材10の長手方向に間隔を置いて配設され、それぞれの縦材10A,10Bに接続されている二つで一組の横材22を複数組(図示例は三組)有し、各組の二つの横材22の間にダンパー30が配設されている耐力壁である。
大きな鉛直荷重が作用する双方もしくは一方の縦材10が、外管11と内管12とを備える二重管により形成されている。
横材22はウエブプレートにより形成され、横材22が当て板28に溶接接合され、当て板28は縦材10に溶接接合されている。二重管により形成される縦材10に対しては、当て板28を介して外管11にのみ横材22が取り付けられている。このように、縦材10A,10B間において、上下方向に間隔を置いて配設される複数組の横材22及びダンパー30は、綴り材と称することもできる。
ウエブプレートからなる横材22は、二本の縦材10A,10Bにて形成される構面に広幅面が平行に配設されている。また、横材22の広幅面の形状は、ダンパー30との接続端から縦材10との接続端に向かって、ウエブプレート22の高さが末広がり状に高くなっている。図示例は、ウエブプレート22の広幅面の上下の辺がともにテーパー状に末広がりとなる台形状を呈しており、台形状の上底(平行な辺のうちの短辺)に、ダンパー30の端部が溶接接合されている。
耐力壁70Aに対して地震時の水平力が作用した際には、縦材10と横材22のいずれにおいても、双方の接合部となる端部に大きな曲げモーメントが生じ得る。例えば、極めて希にしか発生しない大地震時において、各部材に生じる曲げモーメントの大きさは一般の地震時に比べて格段に大きくなることから、縦材は過度に曲げ変形して塑性域に至り得る。耐力壁70Aでは、横材22が縦材10との接続部に向かって末広がり状に広幅面の高さが高くなっていることにより、縦材10と横材22の接合部の剛域が広くなる。このように縦材10においてウエブプレート22との接続部からの剛域が広がることにより、縦材10における曲げスパンが短くなり、縦材10の曲げ剛性が高められる。
また、ウエブプレート22が縦材10との接続部に向かって末広がり状を呈していることにより、ウエブプレート22の曲げ剛性も高められ、作用する地震時の水平力に起因するウエブプレート22の面外への変形等も抑制される。このことにより、大地震時の水平力によってウエブプレート22を破損させることなく、この水平力に起因するせん断力をダンパー30に集中的に負担させることが可能になる。これらのことから、耐力壁70Aでは、縦材10とウエブプレート22を曲げ降伏やせん断降伏させることなく、ダンパー30を集中的にせん断変形させながら、大地震時の地震エネルギーを効果的に吸収することができる。
一方、図6Bに示す耐力壁70Bは、二本の縦材10A,10B間において縦材10の長手方向に間隔を置いて配設され、それぞれの縦材10A,10Bに接続されている複数の横材22と、各横材22に接続されているダンパー30とを有する。
耐力壁70Bにおいても、大きな鉛直荷重が作用する双方もしくは一方の縦材10が、外管11と内管12とを備える二重管により形成されている。
耐力壁70Bでは、一つの横材22と一つのダンパー30を一組として縦材10の長手方向に複数組備えていることにより、建物の鉛直構面に耐力壁70Bが組み込まれた際に、例えば作用する軸力が相対的に大きくなる一方の縦材10Bにダンパー30を接続し、他方の縦材10Aに横材22を接続するように配置することで、一方の縦材10Bに生じる曲げモーメントを低減し、軸力と曲げモーメントによる複合断面力を小さくすることが可能になる。このことにより、縦材10Bの複合断面力が大きくなり得る場合においても、縦材10Bの断面を大きくすることを解消できる。
また、耐力壁70A,70Bによっても、耐力壁70と同様に、耐力に余裕のある外管11のみに地震時の水平力Hに起因する曲げモーメントを負担させることにより、内管12と外管11の双方の耐力を有効に発揮させることが可能になる。
上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10、10A,10B:縦材
11:外管
11a:下端
11b:上端
12:内管
12a:下端
12b:上端
15:水平クリアランス
16:鉛直クリアランス
20:斜材(ブレース)
22:横材(ウエブプレート)
25:連結材
25a:張出部
27:ブラケット
28:当て板
30:ダンパー
40:接合金物
41:頭部プレート(下方フランジ)
42:ウエブ
43:上方フランジ
44:補強リブ
50:接合金物
51:脚部プレート(上方フランジ)
52:縦リブ
53:下方フランジ
54:補強リブ
60:スペーサ
70,70A,70B:耐力壁

Claims (6)

  1. 相互に平行な二本の金属製の縦材と、
    二本の前記縦材を繋ぎ、ダンパーを備える金属製の横材もしくは斜材と、を有し、
    少なくとも一方の前記縦材が、外管と、内管とを備える二重管であることを特徴とする、耐力壁。
  2. 前記横材、前記斜材、もしくは前記ダンパーが前記外管にのみ接続されていることを特徴とする、請求項1に記載の耐力壁。
  3. 前記外管の内周面と前記内管の外周面との間に、水平クリアランスが設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の耐力壁。
  4. 前記外管の下端と前記内管の下端が金属製の脚部プレートに溶接接合され、該外管の上端が金属製の頭部プレートに溶接接合されており、
    前記内管の上端が、該頭部プレートにメタルタッチされている、もしくは、該頭部プレートから鉛直クリアランスを介した下方位置にあることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の耐力壁。
  5. 複数の前記ダンパーのそれぞれの一端が一方の前記縦材に取り付けられ、それぞれの他端が連結材に繋がれており、
    他方の前記縦材と前記連結材を二本の前記斜材が繋いでいることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の耐力壁。
  6. 複数の前記横材が前記縦材の長手方向に間隔を置いて配設されており、
    前記横材は、以下のいずれか一種であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の耐力壁。
    (1)二本の前記縦材に接続される二つの金属製の横材と、二つの該横材の間に配設されてそれぞれの該横材に接続されている前記ダンパーを備えている第一形態、
    (2)一方の前記縦材に接続される一つの金属製の横材と、該横材と他方の前記縦材に接続される前記ダンパーを備えている第二形態。
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