JP2019218713A - 耐力壁 - Google Patents

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浩徳 岡崎
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Abstract

【課題】耐力壁を形成する縦材を可及的に細幅にしながら、制振性能に優れた耐力壁を提供すること。【解決手段】間隔を置いて立設される一対の縦材1A,1Bと、一対の縦材1間に間隔を置いて横架される一対の横材2と、一方の縦材1Aに取付けられている複数のダンパー6と、複数のダンパー6を繋ぐ連結材5と、他方の縦材1B及び横材2との交点と、連結材5とを繋ぐ2本のブレース3A,3Bと、を有し、2本のブレース3A,3Bは、それぞれの軸心L2,L3を延ばしてできる仮想交点Pが一方の縦材1Aの軸心L1上に位置するように配設されている。【選択図】図1

Description

本発明は、耐力壁に関する。
例えば鉄骨造の住宅では、角形鋼管等からなる柱と、H形鋼等の形鋼材からなる梁とにより軸組構造を形成し、この軸組構造に対してブレース内蔵型の耐力壁をはじめとする各種の耐力壁をバランスよく配置することにより、所定の耐震性が確保されている。
軸組構造の住宅は、構造的な制約が比較的少なく、デザインの自由度が高く、従って狭小敷地や変形敷地にも対応し易いといった利点を有している。このデザインの自由度と、上記する耐力壁の配置は、往々にして相反する要素となることから、双方の要素の最適解として、軸組構造の構面内の適所に壁厚の可及的に薄い耐力壁を配置することにより、室内空間の有効利用が図られている。
耐力壁の壁厚を可及的に薄くすることから、耐力が許容する範囲で、耐力壁を構成する縦材(架構を形成する柱)も可及的に細幅の縦材が適用されることが望ましい。
上記する耐力壁の一形態として、耐力壁を形成する一方の柱の中心にダンパーを設置し、他方の柱と上下の梁との2つの隅角部から2本のブレースをダンパーに取り付けて構成される耐力壁(ここでは、制振構造)が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2016−211292号公報 特許第4139901号公報
しかしながら、特許文献1,2に記載の耐力壁では、2本のブレースの軸心を延ばしてできる仮想交点がダンパーの中心付近にくるように各部材が配設されていることから、ブレースから作用する軸力に起因して柱には曲げモーメントが作用し易くなる。このように、柱軸心−ダンパー図心間の距離と、ダンパーの中心に作用するブレースから伝達された軸力と、により形成される曲げモーメントに抗し得る断面剛性を有する柱が必要になり、往々にして柱が太くならざるを得ない。
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、耐力壁を形成する縦材(もしくは柱)を可及的に細幅にしながら、制振性能に優れた耐力壁を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による耐力壁の一態様は、
間隔を置いて立設される一対の縦材と、
前記一対の縦材間に間隔を置いて横架される一対の横材と、
一方の前記縦材に取付けられている複数のダンパーと、
前記複数のダンパーを繋ぐ連結材と、
他方の前記縦材及び前記横材との交点と、前記連結材とを繋ぐ2本のブレースと、を有し、
前記2本のブレースは、それぞれの軸心を延ばしてできる仮想交点が前記一方の縦材の軸心上に位置するように配設されていることを特徴とする。
本態様によれば、2本のブレースの軸心を延ばしてできる仮想交点が一方の縦材の軸心上に位置するように各ブレースが配設されていることにより、ブレースからの軸力に起因して縦材に発生し得る曲げモーメントを抑制することができ、可及的に細幅(小断面)の縦材を有する耐力壁を得ることができる。この仮想交点は、一方の縦材の任意の高さ位置において縦材の軸心上に位置すればよいが、2本のブレースが同じ長さを有する好適な形態では、縦材の高さ中心において上記する仮想交点が位置することになる。また、本態様の耐力壁は、複数のダンパーを一方の縦材に取り付けると共に、各ダンパーを共通の連結材で繋ぎ、この連結材に2本のブレースの端部を繋ぐ構成を有する。すなわち、ブレースから作用する軸力は連結材に入力され、連結材を介して複数のダンパーに作用する。複数のダンパーとは、ダンパーの数が2つ、3つ等、多様な形態があるが、仮想交点が縦材の高さ中心に位置する形態では、この仮想交点位置から上下に同数のダンパーが配設されるのが望ましい。2つのダンパーを有する形態では、仮想交点位置から上下に等距離の位置にダンパーが配設される。また、3つのダンパーを有する形態では、仮想交点位置に1つのダンパーが配設され、仮想交点位置から上下に等距離の位置に他の2つのダンパーがそれぞれ配設される。
このように、連結材にて複数のダンパーを繋ぐことにより、縦材における連結材に対応する区間の軸力が低減される。縦材における連結材に対応する区間では、特にダンパーが縦材に取り付けられる位置において曲げモーメントが卓越する傾向にある。しかしながら、縦材においてこの曲げモーメントが卓越する区間(連結材に対応する区間)での軸力が低減されることにより、縦材に作用する合成応力(曲げモーメントに起因する応力と軸力に起因する応力の合計)の増大を抑制することができる。
例えば、連結材に2つのダンパーが繋がれている形態において、作用する水平力によって耐力壁が変形し、この耐力壁の変形に起因してブレースに軸力が生じ、この軸力が連結材に入力される場合を考える。この場合、水平力に縦材の長さを乗じ、これを横材の長さで除した軸力が縦材の一般部に作用し得る。しかしながら、2本のブレースが繋がれた連結材に対応する縦材の区間においては、縦材の一般部に作用し得る軸力の半分程度の軸力が作用するのみとなる。このように、複数のダンパーを一方の縦材に取り付けると共に各ダンパーを共通の連結材で繋ぎ、連結材に2本のブレースの端部を繋ぐ構成を適用することにより、縦材に生じる曲げモーメントと軸力に起因して縦材が太くなることを抑制することができる。
本態様の耐力壁は、複数のダンパーを備えることにより耐力壁の制振性能を高めることができ、2本のブレースの軸線を延ばしてできる仮想交点を一方の縦材の軸心上に位置するように各ブレースを配設すること、及び、複数のダンパーを共通の連結材で繋いでブレースを連結材に繋ぐ構成を適用することにより、可及的に細い縦材を備えた耐力壁を実現することができる。
尚、耐力壁を構成する縦材は角形鋼管やH形鋼等の形鋼材から形成でき、横材はH形鋼等の形鋼材から形成でき、連結材は、H形鋼、溝形鋼、山形鋼等の形鋼材から形成できる。また、ダンパーには、溝形鋼やH形鋼等の形鋼材の他、粘弾性ダンパーや粘性ダンパー、弾塑性ダンパーなど、各種のダンパーが適用できる。
また、1つの連結材を複数の分割連結材をボルト等で繋ぐことにより形成してもよい。この形態では、各分割連結材に固有のダンパーを取り付けておくことにより、任意のダンパーを交換する際に分割連結材同士の連結を解除して交換対象のダンパーを取り外し、新規のダンパーを分割連結材に取り付けて耐力壁に容易に設置することができ、ダンパーの交換作業性が良好になる。
また、本発明による耐力壁の他の態様は、2つの前記ダンパーの図心が、前記2本のブレースの軸心上もしくは軸心の近傍に配設されていることを特徴とする。
本態様によれば、2本のブレースの軸心上もしくは軸心の近傍にダンパーの図心が位置するようにして各ダンパーが配設されていることにより、ブレースから作用する軸力をダンパーに効果的に付与することができ、ダンパーが備える制振機能を有効に発揮させることができる。さらに、2本のブレースの軸心上もしくは軸心の近傍にダンパーの図心が位置することにより、ダンパーに付与され得る、ブレースからの軸力に起因する曲げモーメント等を抑制することができる。尚、例えば4つのダンパーを有する形態では、両端に位置する2つのダンパーの図心が2本のブレースの軸心上もしくはその近傍に位置し、他の2つのダンパーがそれらの内側に配設されるようにして各ダンパーを設置することができる。
また、本発明による耐力壁の他の態様において、前記連結材は前記ダンパーよりも上方および下方に張り出す張出部を有し、
前記張出部に前記ブレースが取り付けられていることを特徴とする。
本態様によれば、連結材においてダンパーよりも上方および下方に張り出す張出部にブレースの端部が取り付けられていることにより、連結材における両端のダンパーに挟まれた区間の曲げモーメント等を低減することができる。従って、この区間に複数の下孔を開設することが可能になる。開設された複数の下孔は、連結材に木桟等の下地材を取り付ける際の取り付け孔(ビス孔等)となり得る。
また、本発明による耐力壁の他の態様において、前記ダンパーと前記連結材は剛接続されており、前記連結材と前記ブレースは剛接続もしくはピン接続されていることを特徴とする。
本態様によれば、ダンパーと連結材が剛接続されていることにより、ブレースから伝達された軸力を、連結材を介してダンパーに確実に伝達することができると共に、連結材に生じる曲げモーメントをダンパーに伝達することができる。剛接続は、ダンパーと連結材を溶接にて接続することにより形成できる他、複数本の中ボルトを相互にある程度の間隔を置いて配設した状態で接続することによっても形成することができる。一方、ブレースと連結材の接続は、ブレースから連結材に軸力が伝達できれば必要十分であることから、剛接続であってもピン接続であってもよい。ピン接続は、複数本の中ボルトを相互に間隔を置かずに(最低限の間隔を置いて)配設した状態で接続することにより、形成することができる。
また、本発明による耐力壁の他の態様は、前記縦材と前記ダンパーの間に補強プレートが介在することを特徴とする。
本態様によれば、縦材のうち、曲げモーメントが卓越し易いダンパーの取り付け箇所において、ダンパーとの間に補強プレートが介在することにより、縦材の全体を可及的に細幅としながら、曲げモーメント卓越箇所の曲げ耐力のみを効果的に高めることができる。例えば、鋼製の補強プレートを鋼製の縦材に対して溶接にて取り付けることにより、縦材におけるダンパー取り付け箇所において縦材と補強プレートによる合成断面を形成することができる。
また、本発明による耐力壁の他の態様において、前記ダンパーは、前記横材の長手方向に直交する断面の形状がΣ形の鋼材からなるダンパーであることを特徴とする。
本態様によれば、Σ形の鋼材からなるダンパーの上下のフランジが作用する曲げモーメントに対抗することができ、このように作用外力に抗しながら地震エネルギー吸収性に優れたダンパーを有する耐力壁が得られる。Σ形の鋼材は、鉛直方向のせん断剛性と鉛直方向の変形性能の双方を有する。そのため、大地震時の過大な水平力に対して強さとしなやかさで地震エネルギーを効果的に吸収することができる。特に、鋼材を曲げ加工等して断面形状をΣ形としたダンパーであることから、粘弾性ダンパーや粘性ダンパー、弾塑性ダンパーといった各種ダンパーと比べてその製作コストは格段に廉価になる。
以上の説明から理解できるように、本発明の耐力壁によれば、耐力壁を形成する縦材を可及的に細幅にしながら、制振性能に優れた耐力壁を提供することができる。
実施形態に係る耐力壁の正面図である。 ダンパーと補強プレート、及び連結材の一部を拡大した斜視図である。 耐力壁に水平力が作用した際の各部材に作用する軸力を示す模式図である。 耐力壁に水平力が作用した際の、連結材、ダンパー、及び縦材の連結材に対応する区間に作用する曲げモーメントを示す模式図である。
以下、実施形態に係る耐力壁について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態に係る耐力壁]
はじめに、図1及び図2を参照して、実施形態に係る耐力壁を説明する。ここで、図1は、実施形態に係る耐力壁の正面図であり、図2は、ダンパーと補強プレート、及び連結材の一部を拡大した斜視図である。図示する耐力壁10は、鉄骨造の住宅の1階もしくは上階を構成する架構内に配設される耐力壁として以下説明する。
耐力壁10は、間隔を置いて立設される一対の縦材1A,1Bと、一対の縦材1A,1B間に間隔を置いて横架される一対の横材2と、一方の縦材1Aに取付けられている2つのダンパー6と、2つのダンパーを繋ぐ連結材5と、他方の縦材1B及び横材2との交点と、連結材5とを繋ぐ2本のブレース3A,3Bとを有する。尚、耐力壁10は建物の構面内に配設されるようになっており、縦材1A,1Bのいずれか一方が構面を形成する柱であってもよい。尚、この構面は、ブレース架構やラーメン架構等を含む。また、耐力壁10は1階、2階以上の上階のいずれに配設されてもよく、1階に配設される場合は、下方の横材2が基礎梁となり、2階に配設される場合は、下方の横材2が床梁となる。また、耐力壁10の幅t3は、例えば通常の1P幅(例えば910mm幅等)に設定される。
縦材1は角形鋼管から形成され、横材2はH形鋼等の形鋼材から形成され、相互にボルト固定(例えば複数の中ボルトによる固定)され、もしくは溶接にて固定されている。なお、本明細書において、「溶接」とは、開先溶接(完全溶け込み溶接、部分溶け込み溶接)や隅肉溶接など、接続部に要求される強度や接続態様(剛接続、ピン接続)に応じて選択される適宜の溶接を示す。また、剛接続をボルトにて形成する場合、仮にボルトに中ボルトを使用した場合でも、複数本の中ボルトを相互にある程度の間隔を置いて配設した状態で接続する場合は、接続部材間で曲げモーメントの伝達が十分になされることから、このような配設形態の中ボルトによる接続によっても剛接続が形成されることとする。それに対して、複数本の中ボルトを相互に間隔を置かずに配設した状態で接続する場合は、ピン接続とする。
縦材1Bと上下の横材2との交点(隅角部)には、ブラケット4が固定されており、ブラケット4の端部に接続プレート4aが溶接にて接続されている。ブラケット4は接続されるブレース3と同仕様の鋼材から形成でき、平鋼板、H形鋼、山形鋼、溝形鋼等の形鋼材、角形鋼管などにより形成される。
2つの隅角部に設けられたブラケット4に対して、それぞれブレース3A,3Bが接続される。ブレース3A,3Bは、平鋼板、H形鋼、山形鋼、溝形鋼等の形鋼材、角形鋼管などにより形成され、端部に接続プレート3aが溶接にて接続されており、この接続プレート3aとブラケット4の接続プレート4aがボルト等にて接続される。平鋼板にてブラケット4が形成される場合、このブラケット4はガセットプレートであり、例えばH形鋼にてブレース3が形成される場合、ガセットプレートとブレース3のウエブとが両側面に配設された添接板を介してボルト接続される。
縦材1Aは長さt1を有し、その中央位置である下端からの長さt2(t1/2)の位置を中心として、上下に等距離t4の位置にそれぞれダンパー6が配設される。ダンパー6は、平鋼板等により形成される補強プレート7にその一側面が溶接等により固定され、補強プレート7は角形鋼管により形成される縦材1Aの側面に溶接等により固定される。そして、2つのダンパー6は連結材5にて繋がれており、連結材5のうち、ダンパー6の取り付け箇所よりも外側(上下側)の張出部5aに各ブレース3A,3Bの端部が溶接等により接続されている。尚、図示する連結材5は、ウエブ5cとフランジ5bを有するH形鋼にて形成されているが、溝形鋼等の他の形鋼材や角形鋼管などにより形成されてもよく、ブレース3からの軸力をダンパー6に伝達できる剛性を備えていることを要する。また、図示する連結材5は1つの鋼材等により形成されるものであるが、複数の分割連結材(図示せず)をボルト等で繋ぐことにより形成してもよい。この形態では、各分割連結材に固有のダンパー6を取り付けておくことにより、任意のダンパー6を交換する際に分割連結材同士の連結を解除して交換対象のダンパー6を取り外し、新規のダンパー6を分割連結材に取り付けて耐力壁10に容易に設置することができ、ダンパー6の交換作業性が良好になる。
図1において、縦材1Aの軸心をL1で示し、ブレース3A、3Bの軸心をそれぞれ、L2、L3で示している。2本のブレース3A,3Bは連結材5に接続されているが、各ブレース3A,3Bの軸心L2,L3を延ばしてできる仮想交点Pが、縦材1Aの軸心L1上に位置するように各ブレース3A,3Bが配設されている。尚、図示例の耐力壁10では、2本のブレース3A,3Bが同じ長さを有していることから、仮想交点Pは、縦材1Aの軸心L1上であって、かつ縦材1Aの高さ中心位置(下端から長さt2の位置)に位置決めされる。図1からも明らかなように、縦材1Aと、2本のブレース3A,3Bとを取り出した形状はK型を成していることから、図示例の耐力壁10に組み込まれるダンパーをK型ダンパーと称することができる。
また、縦材1Aの高さ中心から上下に等距離t4の位置に配設されているダンパー6は、ダンパー6の図心Fが各ブレース3A,3Bの軸心L2、L3上に位置するように配設されている。なお、図示例はダンパー6の配設位置が軸心L2,L3上に位置する形態であるが、軸心L2,L3の近傍にダンパー6の図心Fが配設される形態であってもよい。
このように、2本のブレース3の軸心L2,L3上(もしくは軸心の近傍)にダンパー6の図心Fが位置するようにして各ダンパー6が配設されていることにより、ブレース3から作用する軸力をダンパー6に効果的に付与することができ、ダンパー6が備える制振機能を有効に発揮させることができる。さらに、2本のブレース3の軸心L2,L3上(もしくは軸心の近傍)にダンパー6の図心Fが位置することにより、ダンパー6に付与され得る、ブレース3からの軸力に起因する曲げモーメント等を抑制することが可能になる。
尚、図示例は、2つのダンパー6が縦材1Aの高さ中心から上下に等距離t4の位置に配設された形態であるが、ダンパー6の数は、3つ以上であってもよい。例えば3つのダンパー6が適用される形態では、そのうちの2つは図1に示すように、縦材1Aの高さ中心から上下に等距離の位置に配設され、残りの1つは縦材1Aの高さ中心位置に配設される。また、例えば4つのダンパー6が適用される形態では、縦材1Aの高さ中心から上下に等距離の2つの位置に各ダンパー6が配設される。
次に、ダンパー6の具体的な構成について説明する。耐力壁10に適用されるダンパー6としては、図2に示すように、断面の形状がΣ形を成す、鋼材からなるダンパーであり、Σ形デバイスと称することもできる。
Σ形のダンパー6は、上下に平鋼板にて形成されるフランジ6aを有し、上下のフランジ6a間には、平鋼板がVの字状に曲げ加工等されたウエブ6bを有する。尚、ウエブ6bは、2枚の平鋼板の端面同士が開先溶接にて接続されてもよい。また、ウエブ6bとフランジ6aは、例えば隅肉溶接により接続される。ウエブ6bは、上下の平鋼板がVの字状に開いた形状を有している。そのため、ウエブ6bは、鉛直方向のせん断剛性と鉛直方向の変形性能の双方を有する。従って、大地震時の過大な水平力に対して強さとしなやかさで地震エネルギーを効果的に吸収することができる。また、平鋼板にて形成されるフランジ6aを上下に有することから、ブレース3からの軸力が連結材5を介してダンパー6に入力された際に、この軸力に起因して発生する曲げモーメントをフランジ6aにて対抗することができる。また、鋼材を曲げ加工等して断面形状をΣ形とした形態では、粘弾性ダンパーや粘性ダンパー、弾塑性ダンパーといった各種ダンパーと比べてその製作コストは格段に廉価になる。
また、図2に示すように、連結材5において、上下のダンパー6の間の区間(図2では上方のダンパー6のみを図示)には、不図示の下地材を連結材5に取り付ける際に適用される複数の取り付け孔5dが開設されている。以下で詳説するが、連結材5の張出部5aにブレース3を接続したことにより、連結材5における2つのダンパー6の間の区間の曲げモーメントが低減される。そのため、この区間に取り付け孔5dを開設し、この取り付け孔5dによって多少の断面欠損が生じた場合でも、発生応力に堪え得る断面が確保されることになり、取り付け孔5dの開設が可能になる。
また、ダンパー6と連結材5は剛接続されており、連結材5とブレース3は剛接続もしくはピン接続されている。ダンパー6と連結材5が剛接続されていることにより、ブレース3から伝達された軸力を、連結材5を介してダンパー6に確実に伝達することができると共に、連結材5に生じる曲げモーメントをダンパー6に伝達することができる。一方、ブレース3と連結材5の接続は、ブレース3から連結材5に軸力が伝達できれば必要十分であることから、剛接続であってもピン接続であってもよい。
次に、図3及び図4を参照して、耐力壁10に水平力が作用した際の各部材に作用する断面力について説明すると共に、耐力壁10の各構成による効果を説明する。ここで、図3は、耐力壁に水平力が作用した際の各部材に作用する軸力を示す模式図である。また、図4は、耐力壁に水平力が作用した際の、連結材、ダンパー、及び縦材の連結材に対応する区間に作用する曲げモーメントを示す模式図である。
図3は、図1に示す耐力壁10の各部材を線材モデルとして模擬した図である。上方の横材2に例えば地震時の水平力Sが作用した場合を考える。この場合、上方のブレース3Aには左斜め下方への引張力N1が作用し、一方、下方のブレース3Bには右斜め下方への圧縮力N2が作用する。引張力N1は、左水平力N1xと下鉛直力N1yの各分力で表すことができ、圧縮力N2は、右水平力N2xと下鉛直力N2yの各分力で表すことができる。
ブレース3A,3Bが同じ長さを有し、仮想交点Pが縦材1Aの高さ中心に位置することから、引張力N1と圧縮力N2は大きさが同じ軸力となる(N1=N2)。従って、左右方向が異なるN1xとN2x(共に同じ大きさのNxと表せる)は相殺される。一方、下鉛直力に関しては、2つのブレース3A,3Bが連結材5に接続されていることにより、縦材1Aでは、場所により作用する下鉛直力の大きさが相違する。
具体的には、縦材1Aにおいて、上下のダンパー6で囲まれた区間の下鉛直力はN1y(=Nyとする)である。一方、縦材1Aにおいてこの区間よりも下方(下方のダンパー6よりも下方)では2つのNyが合算された2Nyの下鉛直力が作用することになる。
このように、連結材5にブレース3を接続する構成を適用したことにより、縦材1Aにおいて、2つのダンパー6で囲まれた区間の軸力が低減される。ところで、図4に示すように、縦材1Aにおいてダンパー6が取り付けられる箇所には、このダンパー6を介して付与される曲げモーメントが卓越する(図4のM1)。従って、縦材1Aにおいて、2つのダンパー6で包囲される区間には大きな曲げモーメントM1が作用することになる。しかしながら、上記するように、この区間に作用する軸力は低減されている。そのため、曲げモーメントによる応力と軸力による応力とによる合成応力の増大を抑制することができる。このことにより、縦材1Aの断面積が増大することを抑制でき、細幅の縦材1Aを実現することができる。
また、縦材1Aのうち、曲げモーメントが卓越するダンパー6の取り付け箇所において、ダンパー6と縦材1Aの間に補強プレート7が介在することにより、縦材1Aの全体を可及的に細幅としながら、曲げモーメント卓越箇所の曲げ耐力のみを効果的に高めることができる。
また、連結材5のうち、ダンパー6の取り付け箇所よりも外側(上下側)の張出部5aにおいて、各ブレース3A,3Bの端部が接続されている。そのため、図4に示すように、この張出部5aに生じる曲げモーメントM3により、ダンパー6の端部の曲げモーメントM2が低減されることとなり、連結材5における2つのダンパー6で挟まれた区間に生じる曲げモーメントM4は低減された曲げモーメントM4となる。このことにより、図2に示すように、この区間において下地材を取り付ける際に使用される複数の取り付け孔5dを開設することが可能になる。
以上、耐力壁10の有する種々の構成により、少なくとも縦材1を可及的に細幅にすることができ、コンパクトで制振性能に優れた耐力壁10を形成することができる。
上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、また、本発明はここで示した構成に何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
1,1A,1B:縦材、2:横材、3,3A,3B:ブレース、4:ブラケット、5:連結材、5a:張出部、5d:取り付け孔、6:ダンパー、6a:フランジ、6b:ウエブ、7:補強プレート、10:耐力壁、L1、L2,L3:軸心、P:仮想交点、F:図心

Claims (7)

  1. 間隔を置いて立設される一対の縦材と、
    前記一対の縦材間に間隔を置いて横架される一対の横材と、
    一方の前記縦材に取付けられている複数のダンパーと、
    前記複数のダンパーを繋ぐ連結材と、
    他方の前記縦材及び前記横材との交点と、前記連結材とを繋ぐ2本のブレースと、を有し、
    前記2本のブレースは、それぞれの軸心を延ばしてできる仮想交点が前記一方の縦材の軸心上に位置するように配設されていることを特徴とする、耐力壁。
  2. 2つの前記ダンパーの図心が、前記2本のブレースの軸心上もしくは軸心の近傍に配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の耐力壁。
  3. 前記連結材は前記ダンパーよりも上方および下方に張り出す張出部を有し、
    前記張出部に前記ブレースが取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の耐力壁。
  4. 前記ダンパーと前記連結材は剛接続されており、前記連結材と前記ブレースは剛接続もしくはピン接続されていることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の耐力壁。
  5. 前記連結材のうち、前記2本のブレースの軸心上もしくは軸心の近傍に配設されている2つの前記ダンパーの内側の領域に、該連結材に対して下地材を取付けるための取付け孔が設けられていることを特徴とする、請求項2、請求項2に従属する請求項3又は4のいずれか一項に記載の耐力壁。
  6. 前記縦材と前記ダンパーの間に補強プレートが介在することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の耐力壁。
  7. 前記ダンパーは、前記横材の長手方向に直交する断面の形状がΣ形の鋼材からなるダンパーであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の耐力壁。
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