JP6535695B2 - 制振装置および建物 - Google Patents

制振装置および建物 Download PDF

Info

Publication number
JP6535695B2
JP6535695B2 JP2017079711A JP2017079711A JP6535695B2 JP 6535695 B2 JP6535695 B2 JP 6535695B2 JP 2017079711 A JP2017079711 A JP 2017079711A JP 2017079711 A JP2017079711 A JP 2017079711A JP 6535695 B2 JP6535695 B2 JP 6535695B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
members
cross
longitudinal
joined
beams
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017079711A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017155585A (ja
Inventor
雅人 小山
雅人 小山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Homes Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Homes Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Homes Corp filed Critical Asahi Kasei Homes Corp
Priority to JP2017079711A priority Critical patent/JP6535695B2/ja
Publication of JP2017155585A publication Critical patent/JP2017155585A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6535695B2 publication Critical patent/JP6535695B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、住宅等の建物に用いられる制振装置およびその建物に関する。
地震時の振動エネルギーを吸収するために建築物に備えられる制振ダンパーとしては、例えばオイルダンパー、粘性ダンパー、鋼材ダンパー、摩擦ダンパー等、種々のものが実用化されている。この種の制振装置として、特許文献1には、鋼管等の管状弾塑性部材に生起する捩れ変形により振動エネルギーを吸収する制振ダンパーが記載されている。
この制振ダンパーは、上階の梁と下階の梁との間に設けられており、上階の梁に固定されたトッププレートと、下階の梁に固定されたベースプレートとを有する。トッププレートから垂下する固定プレートには、鋼管が接合されている。鋼管の両端面には捩りプレートが固着されており、捩りプレートの下端部間に鋼棒が配置されている。この鋼棒が、ベースプレートに立設された2枚の平行板の間に配置されることにより、梁間に水平方向の相対変位が生じた場合に、鋼棒および捩りプレートがベースプレートに対して回動し、鋼管に捩れ変形が生じる。
特開平5−239952号公報
上記の制振ダンパーは、上側の梁にトッププレートが固定され、下側の梁にベースプレートが固定され、これらの間に鋼管が支持されるものであるので、例えば梁の間隔が大きくなると、変位が大きくなり過ぎてしまう。また、鋼管に伝達されるモーメントも著しく大きくなる。そのため、モーメントを適切に鋼管に伝達することが難しく、したがって、良好な制振効果を得ることが難しかった。
本発明は、良好な制振効果を得ることができる制振装置を提供することを目的とする。
本発明の制振装置は、一または複数の柱により梁からの荷重を支持する建物の上下一対の梁間に設置される制振装置であって、上下一対の梁間に配置されて、これら一対の梁に連結される複数の縦材と、縦材に交差した状態で設けられる一または複数の横材と、縦材と横材との交差部のそれぞれに設けられる弾塑性部材と、を備え、弾塑性部材の一端側に縦材が接合され、弾塑性部材の他端側に横材が接合されていることを特徴とする。
この制振装置によれば、上下一対の梁間に複数の縦材が設けられ、これらの縦材間に横材が架設される。横材と縦材との交差部のそれぞれに弾塑性部材が設けられ、弾塑性部材の一端側および他端側に縦材および横材がそれぞれ接合される。よって、梁の間隔が大きい場合でも、例えば縦材同士間の距離、横材同士間の距離、または上下一対の梁に対する横材の位置等を適切に決めることにより、弾塑性部材に適切な大きさのモーメントを伝達させることができる。その結果として、弾塑性部材を適度に捩れさせることができ、この捩れによってエネルギーが吸収される。したがって、良好な制振効果を得ることができる。
上下一対の梁の水平方向における相対変位が生じた場合に、縦材の上下端が相対変位することにより縦材が水平面に対してなす角度が変化し、横材が水平面に対してなす角度は変化しない。この構成によれば、縦材と横材の交差する角度が変化するため、弾塑性部材がより確実に捩れ、より良好な制振効果を得ることができる。
縦材は、一方の梁にピン接合され、当該一方の梁の曲げ剛性よりも小さい曲げ剛性を有する他方の梁に鉛直ローラ接合されている。この構成によれば、縦材は軸力およびモーメントを支持しない状態で一対の梁間に連結されているため、この制振装置は荷重を負担せずに振動だけを低減させる装置として機能する。また、一方の梁に縦材をピン接合し、他方の梁に縦材を鉛直ローラ接合しているので、梁の水平変位により、縦材は回転することになる。これによって、エネルギーが弾塑性部材に集中的に伝達され、弾塑性部材のエネルギー吸収能を十分に発揮させることができる。特に、曲げ剛性の大きい一方の梁に対して縦材をピン接合し、曲げ剛性の小さい他方の梁に対して縦材を鉛直ローラ接合しているので、他方の梁が制振装置からの反力等により曲げ変形を生じてしまうことを防止でき、制振効果が十分に発揮される。
縦材は、一方の梁との間に隙間を設けた状態で当該一方の梁にピン接合されている。この構成によれば、縦材は、左右に容易に倒れることが可能な状態で一方の梁にピン接合されている。よって、縦材は、梁の相対変位に伴って大きな抵抗を受けることなく回転し、これによって弾塑性部材へ良好に変位を伝達することができる。
横材は複数設けられており、横材は、一方の梁に近接して設けられる第一の横材と、他方の梁に近接して設けられる第二の横材と、を有する。この構成によれば、梁の間隔が大きいために縦材が長い場合でも、一方の梁に第一の横材が近接し、他方の梁に第二の横材が近接するため、各梁から交差部までの距離も短くなり、モーメントを弾塑性部材に確実に伝達することができる。
横材は少なくとも3本設けられており、等間隔に配置されている。3本以上の横材を等間隔に配置することにより、梁間に生じる相対変位を均等に分散させ、各弾塑性部材の協働によってより良好な制振効果を得ることができる。
縦材は少なくとも3本設けられており、等間隔に配置されている。3本以上の縦材を等間隔に配置することにより、梁間に生じる相対変位を均等に分散させ、各弾塑性部材の協働によってより良好な制振効果を得ることができる。
縦材と横材とのそれぞれはU字状の断面形状を有し、縦材と横材とは、開放された面が向かい合うように交差する。この構成によれば、縦材の溝部と横材の溝部とが連通し、縦材と横材との間に内部空間が形成される。この内部空間を利用して弾塑性部材を設けることができるので、面外方向における制振装置のスリム化を図ることができる。
縦材と横材との間に配置されて、弾塑性部材が貫通する貫通孔を有する軸ずれ防止プレートを備え、軸ずれ防止プレートは縦材と横材とのいずれか一方に接合されている。軸ずれ防止プレートによって、弾塑性部材の軸心がずれることが防止される。よって、弾塑性部材を良好に捩れ変形させることができる。
本発明の建物は、上記したいずれかの制振装置を備える。
本発明によれば、良好な制振効果を得ることができる。
本発明の第一実施形態に係る制振装置が設けられた架構を示す正面図である。 図1中の制振装置の正面図である。 図2の制振装置の下梁に対する接合部を示す正面図である。 図2の制振装置の上梁に対する接合部を示す正面図である。 図3のV−V線に沿う断面図である。 図3のVI−VI線に沿う断面図である。 建物に水平力が入力された場合における図2の制振装置の変形を模式的に示す図である。 (a)は第一変形例に係る制振装置の下梁に対する接合部を示す正面図、(b)は(a)のVIIIb−VIIIb線に沿う断面図である。 (a)は第一変形例に係る制振装置の上梁に対する接合部を示す正面図、(b)は(a)のIXb−IXb線に沿う断面図である。 (a)は第二変形例に係る制振装置の上梁に対する接合部を示す正面図、(b)は(a)のXb−Xb線に沿う断面図である。 本発明の第二実施形態に係る制振装置が設けられた架構を示す正面図である。 図11の制振装置の平面図である。 図11のXIII−XIII線に沿う断面図である。 図11の制振装置の上部を拡大して示す正面図である。 図14のXV−XV線に沿う断面図である。 建物に水平力が入力された場合における図12の制振装置の変形を模式的に示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、本実施形態の制振装置1は、例えば鉄骨造の架構Aを有する建物Xに設けられて、例えば地震等により建物Xに振動が発生した場合に、振動を効果的に減衰させるための装置である。制振装置1が設けられる建物Xとしては、例えば、戸建て住宅又は低層の集合住宅等が挙げられる。以下の説明では、制振装置1が建物Xの1階部分に設けられる場合について説明するが、制振装置1は、建物Xの2階部分又はそれより上層の階に設けられてもよい。
架構Aは、ラーメン構造を有しており、水平方向Dに延在するコンクリート製の連続基礎(下梁)2と、水平方向Dに所定距離離間して連続基礎2に立設された一対の柱3,3と、一対の柱3,3間に設置された梁(上梁)4とを備える。連続基礎2及び梁4は、上下一対の梁である。この架構Aに制振装置1が組み込まれることにより、制振構造Bが形成されている。なお、制振装置1が設けられる躯体は、架構Aのように柱勝ち工法からなる場合に限られず、梁勝ち工法からなってもよい。
一方の水平材である連続基礎2は、例えば布基礎である。柱3,3は、例えば角形鋼管からなる。他方の水平材である梁4は、例えばH形鋼からなる。梁4の両端は、柱3,3に接合されている。柱3,3は、梁4から伝達される荷重を支持する。連続基礎2と梁4とは、上下方向において対向するようにして、互いに平行に延在する。すなわち、連続基礎2と梁4とは、同じ方向すなわち水平方向Dに延在している。連続基礎2の曲げ剛性は、梁4の曲げ剛性よりも大きい。すなわち、梁4は、連続基礎2よりも小さい曲げ剛性を有する。
制振構造Bは、連続基礎2と、柱3,3と、梁4と、制振装置1とを備えて構成される。
図1及び図2に示されるように、制振装置1は、連続基礎2と梁4との間に設けられている。より詳しくは、制振装置1は、水平方向D及び鉛直方向に沿って配置されたパネル状を呈している。すなわち、制振装置1は、連続基礎2と、柱3,3と、梁4とによって形成される面内に配置された耐力パネルである。
制振装置1は、梁4と連続基礎2との間に配置されて、梁4と連続基礎2とに連結される一対の縦材6,6と、縦材6,6に交差した状態で設けられる2本(上下一対)の横材7,8と、を備える。縦材6は、例えばH形鋼からなり、鉛直方向に沿って延びる。縦材6のウェブ部6cは、水平方向D及び鉛直方向に沿って配置される。
2本の横材7,8のうち下側の横材(第一の横材)8は、梁4に近接して設けられており、上側の横材(第二の横材)7は、連続基礎2に近接して設けられている。上側の横材7と下側の横材8とのそれぞれは、例えばH形鋼からなる本体部7c,8cと、本体部7c,8cの左右両端に接合された端部7a,8aとを有する。本体部7c,8cは、一対の縦材6,6間に配置されている。端部7a,8aは、縦材6,6に対して、後述する鋼管10を介して接合されている。横材7,8は、例えば水平方向Dに延び、縦材6,6に直交する方向に延在している。本体部7c,8cのウェブ部7d,8dは、水平方向D及び鉛直方向に沿って配置される。
まず、上下一対の梁4,2に対する縦材6,6の接合構造について説明する。図3および図5に示されるように、縦材6の下端には、長方形状の下端プレート6bが接合されている。下端プレート6bは、水平方向に延在している。下端プレート6bと連続基礎2の上面2aとの間には、長方形状のプレート13が介在されている。プレート13は、下端プレート6bよりも小さく、水平方向Dにおける下端プレート6bの一方側(図3および図5では左側)に偏って配置されている。これにより、下端プレート6bと連続基礎2の上面2aとの間には、隙間20が設けられている。すなわち、プレート13は、隙間20を維持するためのスペーサとして機能する。
連続基礎2に埋設された2本のアンカーボルト等が下端プレート6bおよびプレート13を貫通し、ナット等により締結されることにより、縦材6の下端部が連続基礎2にピン接合されている。アンカーボルト及びナットは、縦材6の下端部を連続基礎2に接合するための締結部材14であり、縦材6のウェブ部6cの両側(面外方向における両側)に配置される(図5参照)。
図4に示されるように、縦材6の上端には、長方形状の上端プレート6aが接合されている。上端プレート6aは、水平方向に延在している。上端プレート6aと梁4の下部のフランジ4aとの間には、長方形状のプレート17が介在されている。プレート17は、上端プレート6aよりも小さく、水平方向Dにおける上端プレート6aの一方側(図4では左側)に偏って配置されている。上端プレート6aに対するプレート17の大きさ及び配置は、下端プレート6bに対するプレート13の大きさ及び配置(図5参照)と略同じである。これにより、上端プレート6aと梁4の下部のフランジ4aとの間には、隙間21が設けられている。すなわち、プレート17は隙間21を維持するためのスペーサとして機能する。
このように、上端プレート6aは、梁4のフランジ4aと隙間21を介して対向している。上端プレート6aには貫通孔23が形成され、プレート17には、貫通孔23と重なる位置に貫通孔22が形成されている。貫通孔23と貫通孔22とは連通している。貫通孔23および貫通孔22には、梁4のフランジ4aに固定されたボルト(軸部)18が挿通されており、ナット等によって締結されている。
貫通孔23と貫通孔22とは、ボルト18の直径よりも大きい内径を有しており、したがって上端プレート6aおよびプレート17は、ボルト18すなわち梁4に対して上下方向に相対移動可能になっている。貫通孔23内および貫通孔22内に配置されるボルト18の一部分には、雄ネジが形成されていなくてもよいし、雄ネジが形成されていてもよい。
上記の構成により、制振装置1の上部は、梁4からの水平方向の力は伝達し、鉛直方向の力は伝達しないいわゆる鉛直ローラ接合によって、梁4に接合されている。より詳細には、梁4が連続基礎2に対して水平方向Dに変位した場合には、この水平変位に伴う縦材6,6の回転により上端プレート6a,6aが回転し、それとともに軸部としてのボルト18が、上端プレート6aの貫通孔23内およびプレート17の貫通孔22内を上下することとなり、上下方向の荷重は伝達されず回転変位のみが伝達可能になっている。
次に、縦材6,6に対する横材7,8の接合構造について説明する。図2に示されるように、縦材6,6と横材7,8との交差部のそれぞれには、鋼管(管状部材)10が設けられている。鋼管10は、それらの軸心が面外方向に向くように配置されている。鋼管10の一端側には縦材6が溶接等により剛接合され、鋼管10の他端側には横材7または横材8が溶接等により剛接合されている。
図6は、図3のVI−VI線に沿う断面図である。すなわち、図6では、下側の横材8の接合構造が示されている。図3および図6に示されるように、縦材6のウェブ部6cの表面および裏面には、長方形状の第1プレート11,11が溶接されている。縦材6の面外方向における一方側および他方側には、第2プレート12,12が配置されている。第2プレート12,12は、横材8のフランジ部8bの両端に溶接等により接合されている。第1プレート11と第2プレート12とは面外方向において対向している。言い換えれば、第2プレート12,12の間に縦材6が配置されている。
第1プレート11には、鋼管10の一端側が溶接等により剛接合され、第2プレート12には、鋼管10の他端側が溶接等により剛接合されている。縦材6のウェブ部6cの表面側および裏面側に配置された鋼管10,10の軸心は一致している(図6中の軸心L参照)。縦材6,6と横材7,8との交差部に設けられた複数の鋼管10(制振装置1全体では8個)は、縦材6,6の回転変位が生じた際に捩れ変形することにより、建物Xに加わる水平力のエネルギーを吸収するものである。
なお、縦材6,6に対する上側の横材7の接合構造も、上記した横材8の接合構造と同じである。
縦材6,6に対する横材7,8の接合は、次の手順で行われる。まず、第2プレート12に鋼管10を溶接等により接合する。次に、鋼管10に第1プレート11を溶接等により接合する。次に、一体化された第2プレート12、鋼管10、および第1プレート11のうち、第1プレート11を縦材6のウェブ部6cに溶接等により接合する。第1プレート11は、ウェブ部6cに対する溶接が容易となるように、第2プレート12の上下端よりも上下方向に突出している。そして、ウェブ部6cの表面および裏面に同様の接合作業を行った後、対向する第2プレート12,12に対して、横材8のフランジ部8bを溶接等により接合し、第2プレート12,12同士を連結する。
図7に示されるように、制振装置1では、例えば建物Xに水平力が作用して連続基礎2と梁4との水平方向Dにおける相対変位が生じた場合に、縦材6,6の上下端(具体的には上端プレート6aおよび下端プレート6b)が相対変位することにより、縦材6,6が回転し、横材7,8が水平な状態を保つ構造となっている。言い換えれば、縦材6,6が水平面に対してなす角度は変化するが、横材7,8が水平面に対してなす角度は変化せず、横材7,8は姿勢を維持する構造となっている。この際、縦材6,6と横材7,8との間を接合する鋼管10が捩れ変形する。
以上の構成を有する制振装置1によれば、上下一対の梁2,4間に一対の縦材6,6が設けられ、これらの縦材6,6間に横材7,8が架設される。横材7,8と縦材6,6との交差部のそれぞれに鋼管10が設けられ、鋼管10の一端側および他端側に縦材6,6および横材7,8がそれぞれ剛接合される。よって、梁2,4の間隔が大きい場合でも、例えば縦材6,6同士間の距離、横材7,8同士間の距離、または上下一対の梁2,4に対する横材7,8の位置等を適切に決めることにより、鋼管10に適切な大きさのモーメントを伝達させることができる。その結果として、鋼管10を適度に捩れさせることができ、この捩れによってエネルギーが吸収される。したがって、良好な制振効果を得ることができる。
また、例えば建物Xに水平力が作用して連続基礎2と梁4との水平方向Dにおける相対変位が生じた場合に、縦材6,6が水平面に対してなす角度は変化するが、横材7,8が水平面に対してなす角度は変化しないため、縦材6,6と横材7,8の交差する角度が確実に変化する(図7参照)。よって、鋼管10がより確実に捩れ、より良好にエネルギーを吸収させることができる。
また、縦材6,6は、曲げ剛性が大きい連続基礎2にピン接合され、連続基礎2の曲げ剛性よりも小さい曲げ剛性を有する梁4に鉛直ローラ接合されているため、縦材6,6は軸力およびモーメントを支持しない状態で一対の梁2,4間に連結される。そのため、制振装置1は軸力を負担せずに振動だけ(水平荷重)を低減させる装置として機能する。連続基礎2に縦材6,6をピン接合し、梁4に縦材6,6を鉛直ローラ接合しているので、梁4の水平変位により、縦材6,6は軸力による曲げを受けることなく水平力のみによって回転することになる。これによって、エネルギーが鋼管10に集中的に伝達され、鋼管10のエネルギー吸収能を十分に発揮させることができる。特に、曲げ剛性の大きい連続基礎2に対して縦材6,6をピン接合し、曲げ剛性の小さい梁4に対して縦材6,6を鉛直ローラ接合しているので、梁4が制振装置からの反力等により曲げ変形を生じてしまうことを防止でき、制振効果が十分に発揮される。
縦材6,6は、連続基礎2との間に隙間20を設けた状態で連続基礎2にピン接合されているため、縦材6,6は、左右に容易に倒れることが可能な状態で連続基礎2にピン接合されている。よって、縦材6,6は、梁2,4の相対変位に伴って大きな抵抗を受けることなく回転し、これによって鋼管10へ良好に変位を伝達することができる。
連続基礎2に近接して設けられる下側の横材8と、梁4に近接して設けられる上側の横材7と、が設けられるため、梁2,4の間隔が大きいために縦材6,6が長い場合でも、各梁2,4から交差部までの距離も短くなり、モーメントを鋼管10に確実に伝達することができる。
さらには、鋼管10の捩れ変形をエネルギー吸収に利用しているため、鋼管10の直径、肉厚、軸心方向の長さ等のあらゆる設計要素をもって、鋼管10の性能を調整することができる。これにより、容易かつフレキシブルな設計が可能となっている。また、縦材6または横材7,8の断面形状により制振装置1の性能を調整することもできる。
以上、制振装置1の構成について説明したが、縦材6および横材7,8の接合構造は、上記の構造に限られない。たとえば、図8(a)および(b)に示されるように、縦材6の面外方向における両側に配置される板状のフランジ部30と、フランジ部30同士を連結するウェブ部31とを備えた横材8Aであってもよい。例えば連続基礎2に対する接合構造として、下端プレート6bの面外方向中央部の一箇所のみに、ボルト・ナットからなる締結部材31を設けてもよい。フランジ部30の水平方向D中央部に狭幅部30aを設け、ハンチさせた形状としてもよい。
図9(a)および(b)に示されるように、例えば梁4に対する接合構造として、上端プレート6aと梁4のフランジ4aとの間にプレートを介在させずに、十分に大きな隙間21Bを設けてもよい。この場合、上端プレート6aの4箇所にボルト33を挿通し、ボルト33が上端プレート6aに対して上下方向に移動可能とすることにより、鉛直ローラ接合を形成することができる。なお、横材7Bは、上記の横材8Aと同じ構成を有している。
図10(a)および(b)に示されるように、一対の縦材6,6間に長方形状のプレート36を架設し、このプレート36と梁4の中央部のフランジ4aとの間にさらにプレート37を挟み込んだ構成としてもよい。プレート37をプレート36よりも小さくし、プレート36の一部に重ねることにより隙間21Cを確保することができる。また、プレート36およびプレート37の4箇所にボルト38を挿通することにより、梁4の中央部に制振装置1の上端を連結する。梁4が長い場合、梁4の中央部は僅かに撓むものとなり、水平力作用時には当該撓み分だけ上下動するものとなるが、プレート37は当該上下動に追従可能であって、これにより上下動可能となり、鉛直ローラ接合と同様の挙動を示す。
図11は、第二実施形態に係る制振装置1Dが設けられた架構を示す正面図、図12は、制振装置1Dの平面図、図13は、図11のXIII−XIII線に沿う断面図である。図11〜図13に示される制振装置1Dが第一実施形態に係る制振装置1と違う点は、3本(複数)の縦材6Dおよび6本(複数)の横材7Dを設け、これらを互いに等間隔に配置した点と、縦材6Dおよび横材7Dとして、U字状の断面形状を有する鋼材を用いた点である。縦材6Dと横材7Dとの交差部には、18個の鋼管10が設けられている。
制振装置1Dでは、縦材6Dと横材7Dとは、開放された面が向かい合うように交差する。これにより、縦材6Dの溝部と横材7Dの溝部とが連通し、縦材と横材との間に内部空間50(図15参照)が形成される。なお、縦材6Dまたは横材7Dとして、既成の溝形鋼(チャンネル材)が用いられてもよいし、縦材6Dまたは横材7Dが、鋼板をロールフォーミングまたは折り曲げ加工等することにより作製されてもよい。
この内部空間50に鋼管10が配置され、鋼管10の一端側に縦材6Dの溝部の底部が溶接等により接合され、鋼管10の他端側に横材7Dの溝部の底部が溶接等により接合される。ここで、図14および図15に示されるように、溶接作業を考慮して、鋼管10と縦材6Dとの間にはプレート46が介在されており、鋼管10と横材7Dとの間にはプレート47が介在されている。
制振装置1Dは、縦材6Dと横材7Dとの間に配置されて、鋼管10が貫通する貫通孔51aを有する軸ずれ防止プレート51を備える。この軸ずれ防止プレート51は、縦材6Dと横材7Dとの間に配置され、縦材6Dの開口端面に溶接等により接合されている。軸ずれ防止プレート51には、鋼管10は接合されておらず、鋼管10は、軸ずれ防止プレート51に対して回転可能になっている。なお、軸ずれ防止プレート51は、横材7Dの開口端面に溶接等により接合されてもよい。
図12に示されるように、縦材6Dの上端および下端には、四角形状のプレート41が接合されており、このプレート41間に長尺状のプレート42が架設されている。これらのプレート41およびプレート42に複数のボルトが挿通されており、制振装置1Dの下端部がピン接合され、制振装置1Dの上端部が鉛直ローラ接合されている。
上記構成を有する制振装置1Dによっても、例えば建物Xに水平力が作用して連続基礎2と梁4との水平方向Dにおける相対変位が生じた場合に、複数の縦材6Dの上下端が連続基礎2に対して相対変位することにより、縦材6Dが回転し、横材7Dが水平な状態を保つ構造となっている(図16参照)。言い換えれば、縦材6Dが水平面に対してなす角度は変化するが、横材7Dが水平面に対してなす角度は変化せず、横材7Dは姿勢を維持する構造となっている。この際、縦材6Dと横材7Dとの間を接合する各鋼管10が捩れ変形する。この捩れによってエネルギーが吸収される。したがって、良好な制振効果を得ることができる。
また、3本以上の横材7Dを等間隔に配置することにより、梁2,4間に生じる相対変位を均等に分散させ、各鋼管10の協働によってより良好な制振効果を得ることができる。
3本以上の縦材6Dを等間隔に配置することにより、梁2,4間に生じる相対変位を均等に分散させ、各鋼管10の協働によってより良好な制振効果を得ることができる。
縦材6Dの溝部と横材7Dの溝部とが連通し、縦材6Dと横材7Dとの間に内部空間50が形成されるので、内部空間50を利用して鋼管10を設けることができ、面外方向における制振装置1Dのスリム化を図ることができる。スリム化が図られた制振装置1Dは、特に、低層住宅に適している。
軸ずれ防止プレート51によって、鋼管10の軸心がずれることが防止されるので、鋼管10を良好に捩れ変形させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。第一実施形態において、種々の変形を加えてもよい。例えば、縦材6を3本またはそれ以上設けてもよく、横材7,8を3本またはそれ以上設けてもよい。その場合、縦材6または横材7,8を等間隔に配置してもよい。
縦材6の両側に配置されたプレート12,12を1本の鋼管で連結してもよい。この場合、縦材(例えばウェブ部6c)に鋼管が貫通する貫通孔を形成しておき、貫通孔に鋼管の軸心方向中央部を溶接等により接合することができる。
U字状の断面形状を有する溝形鋼を第一実施形態の制振パネル1の縦材または横材として採用してもよい。
また、第二実施形態において、種々の変形を加えてもよい。例えば、横材7Dを2本設け、上梁4に近接する位置と下梁(連続基礎2等)に近接する位置とに各横材7Dを配置してもよい。また、上梁4に近接する位置と下梁(連続基礎2等)に近接する位置とに複数本の横材7Dを設けてもよい。曲げ剛性の小さい方の梁に近接する横材7Dを、曲げ剛性の大きい方の梁に近接する横材より多く配置してもよい。
1…制振装置、2…連続基礎(下梁、一方の梁)、3…柱、4…梁(上梁、他方の梁)、6…縦材、6D…縦材、7…横材(第二の横材)、7D…横材、8…横材(第一の横材)、10…鋼管(管状部材)、51…軸ずれ防止プレート、51a…貫通孔、B…制振構造、D…水平方向、X…建物。

Claims (10)

  1. 一または複数の柱により梁からの荷重を支持する建物の上下一対の梁間に設置される制振装置であって、
    前記上下一対の梁間に配置されて、これら一対の梁に連結される複数の縦材と、
    前記上下一対の梁によって構成される面の面外方向に対向するようにして前記縦材に交差した状態で設けられる一または複数の横材と、
    前記縦材と前記横材との交差部のそれぞれに設けられる弾塑性部材と、を備え、
    前記弾塑性部材は捩れ変形によりエネルギーを吸収するように前記弾塑性部材の前記面外方向の一端側に前記縦材が接合され、前記弾塑性部材の前記面外方向の他端側に前記横材が接合されている
    ことを特徴とする制振装置。
  2. 前記上下一対の梁の水平方向における相対変位が生じた場合に、前記縦材の上下端が相対変位することにより前記縦材が水平面に対してなす角度が変化し、前記横材が水平面に対してなす角度は変化しない
    ことを特徴とする請求項1に記載の制振装置。
  3. 前記縦材は、一方の梁にピン接合され、当該一方の梁の曲げ剛性よりも小さい曲げ剛性を有する他方の梁に鉛直ローラ接合されている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の制振装置。
  4. 前記縦材は、一方の梁との間に隙間を設けた状態で当該一方の梁にピン接合されている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の制振装置。
  5. 前記横材は複数設けられており、
    前記横材は、一方の梁に近接して設けられる第一の横材と、他方の梁に近接して設けられる第二の横材と、を有する
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の制振装置。
  6. 前記横材は少なくとも3本設けられており、等間隔に配置されている
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の制振装置。
  7. 前記縦材は少なくとも3本設けられており、等間隔に配置されている
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の制振装置。
  8. 一または複数の柱により梁からの荷重を支持する建物の上下一対の梁間に設置される制振装置であって、
    前記上下一対の梁間に配置されて、これら一対の梁に連結される複数の縦材と、
    前記上下一対の梁によって構成される面の面外方向に対向するようにして前記縦材に交差した状態で設けられる一または複数の横材と、
    前記縦材と前記横材との交差部のそれぞれに設けられる弾塑性部材と、を備え、
    前記弾塑性部材の前記面外方向の一端側に前記縦材が接合され、前記弾塑性部材の前記面外方向の他端側に前記横材が接合され、
    前記縦材と前記横材とのそれぞれはU字状の断面形状を有し、
    前記縦材と前記横材とは、開放された面が向かい合うように交差する
    ことを特徴とする制振装置。
  9. 前記縦材と前記横材との間に配置されて、前記弾塑性部材が貫通する貫通孔を有する軸ずれ防止プレートを備え、
    前記軸ずれ防止プレートは前記縦材と前記横材とのいずれか一方に接合されている
    ことを特徴とする請求項8に記載の制振装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の制振装置を備える建物。
JP2017079711A 2017-04-13 2017-04-13 制振装置および建物 Active JP6535695B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017079711A JP6535695B2 (ja) 2017-04-13 2017-04-13 制振装置および建物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017079711A JP6535695B2 (ja) 2017-04-13 2017-04-13 制振装置および建物

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013150600A Division JP6130256B2 (ja) 2013-07-19 2013-07-19 制振装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017155585A JP2017155585A (ja) 2017-09-07
JP6535695B2 true JP6535695B2 (ja) 2019-06-26

Family

ID=59809454

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017079711A Active JP6535695B2 (ja) 2017-04-13 2017-04-13 制振装置および建物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6535695B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09184322A (ja) * 1995-12-28 1997-07-15 Ohbayashi Corp 制震間柱
JP2004300912A (ja) * 2003-03-17 2004-10-28 Taisei Corp 居住性対応制振ダンパー
JP2005325637A (ja) * 2004-05-17 2005-11-24 Panahome Corp 耐力壁フレーム
JP4097223B2 (ja) * 2005-01-31 2008-06-11 住友ゴム工業株式会社 制振構造
JP2008144447A (ja) * 2006-12-08 2008-06-26 Bridgestone Corp 制振ダンパー
JP5192776B2 (ja) * 2007-11-01 2013-05-08 積水化学工業株式会社 制振構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017155585A (ja) 2017-09-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3842484B2 (ja) 柱と梁の接合構造及びこれを備えた建築物
JP4931490B2 (ja) 構面補強構造及び構面の補強方法
JP2010037905A (ja) 連結制震構造、及び建物
JP4289286B2 (ja) 建物の制震構造
JP3664611B2 (ja) 木造建築物の耐震構造
JP6535695B2 (ja) 制振装置および建物
JP2001248324A (ja) 架構用摩擦接合式エネルギー吸収装置
JP5405062B2 (ja) 粘弾性ダンパーと座屈拘束ブレースを併用した制振間柱
JP6130256B2 (ja) 制振装置
JP6723281B2 (ja) 柱梁の接続構造
JP6368545B2 (ja) 制振要素
KR102124584B1 (ko) 구조물용 진동 저감장치
JP7154328B2 (ja) 制振建物
JP6009432B2 (ja) 面材・ブレース併用耐力壁
JP2018199958A (ja) 制震構造
JP2013199823A (ja) ダンパーブレース及び制震構造
JP5318298B1 (ja) 梁の継手構造
JP4909395B2 (ja) 建物の制震構造
JP5116587B2 (ja) ブレース構造による制振装置付門型フレーム
JP6837865B2 (ja) 制振建物
JP4971697B2 (ja) 耐力壁フレーム
JP2019218713A (ja) 耐力壁
JP7227751B2 (ja) 架構式構造
JP6022436B2 (ja) 面材・ブレース併用耐力壁
JP2020002631A (ja) 柱梁接合構造

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180412

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180417

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20181009

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20181206

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190514

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190603

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6535695

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150