JP2013199823A - ダンパーブレース及び制震構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】土木用構造物に対して定着箇所を2箇所にできるダンパーブレースを提供すること。
【解決手段】高架橋に対して設置されたダンパーブレース10において、2本のブレース21,22が2本の橋脚に対して斜めの姿勢で同軸上に配置され、ブレース21の左端部が橋脚に定着されるとともに、ブレース22の右端部が橋脚に設置される。そして、ブレース21の右端部21bとブレース22の左端部22bとがダンパー30を介して連結される。ダンパー30では、ブレース21の右端部21bとブレース22の左端部22bを囲む円筒の連結管32が配置され、複数のせん断パネル31がブレース21,22の軸方向に沿って配置され且つ径方向に突設している。そして、各せん断パネル31では、内方側端部31aがブレース21,22に接合し、外方側端部31bが連結管32の内側面32aに接合している。
【選択図】 図4

Description

本発明は、同軸に配置された2本のブレースが、複数のせん断パネルから成るダンパーを介して連結されるダンパーブレース、及びそのダンパーブレースが土木用構造物に対して2箇所で定着される制震構造に関する。
土木用構造物には、建築用構造物と同様、地震に対する耐震性や制震性が求められるため、例えば高架橋等の既設の柱構造に対して補強が行われるようになっている。このような補強において、地震によって柱構造に生じる横揺れを抑えるために、ブレースを設置していて、横揺れの水平力をブレースに引張力又は圧縮力を作用させることで吸収する制震構造がある。
そこで、下記特許文献1では、ダンパーブレースを使用した制震構造について提案がなされている。図24は、同文献に記載された従来の制震構造を示した図であり、この制震構造は土木用構造物である高架橋201に適用されている。高架橋201は、ラーメン構造をした柱構造であり、左右の橋脚202と橋梁203とによって構成され、その内側にダンパーブレース210が取付けられている。ダンパーブレース210では、中央のダンパー230に4本のブレース221が連結され、X状に4方向へ延びたブレース221が左右の橋脚202に定着している。
ここで、図25は、ダンパーブレース210のダンパー230の変形状態を示した図である。ダンパー230は、図25に示すように、上下左右の4箇所にせん断パネル231を配置したものであり、各せん断パネル231は、所定のせん断変形量を超えると塑性変形を生じるバイリニア履歴減衰部材で構成されている。このため、地震によって高架橋201に水平方向の力が作用すると、2本の対角線L1,L2に沿った軸方向の力が、交互に作用する。その際、各せん断パネル231が、図25に示すようにせん断変形して、その履歴減衰によって振動エネルギーを吸収するようになっている。なお、履歴減衰とは、材料の塑性化による履歴ループでエネルギー吸収を行い、減衰効果となる現象である。
特開2005−188240号公報
しかし、図24に示す制震構造では、各ブレース221が中央のダンパー230から4方向に延びてX型に形成されているため、2本の橋脚202(柱構造)に対して4箇所で定着させる必要がある。このため、ダンパーブレース210そのものの部品点数が多くなって、コストが高くなる。また、4本のブレース221を橋脚202に定着させる4箇所分の定着部材が必要になる他、ダンパーブレース210の据え付けに手間を要し、この点でもコストが高くなる。
そこで、本発明は、上記した課題を解決すべく、土木用構造物に対して定着箇所を2箇所にできてコストを低減できるダンパーブレース、及びそのダンパーブレースを使用した制震構造を提供することを目的とする。
本発明に係るダンパーブレースは、土木用構造物に対して設置され、複数のせん断パネルを有して構成されるダンパーと直線状に延びるブレースとを備え、前記土木用構造物に生じる横揺れを抑えるために、前記ブレースから前記ダンパーに作用する軸方向の力を前記せん断パネルがせん断変形することによって吸収するものであって、2本の前記ブレースが前記土木用構造物に対して斜めの姿勢で同軸上に配置され、前記各ブレースの一端部が前記土木用構造物に定着され、前記各ブレースの他端部が前記ダンパーを介して連結していて、前記ダンパーでは、前記各ブレースの他端部の外側に連結部材が配置され、前記複数のせん断パネルが前記各ブレースの他端部に対して軸方向に沿って配置され且つその軸方向に直交する方向に突設していて、前記せん断パネルの内方側端部が前記各ブレースの他端部に接合し、前記せん断パネルの外方側端部が前記連結部材に接合していることを特徴とする。
また、本発明に係るダンパーブレースにおいて、前記連結部材には、前記せん断パネルの外方側端部をその連結部材より外側へ突設させるスリットが形成されていて、前記せん断パネルの外方側端部は、前記スリットから突設した状態で前記連結部材に外側から溶接によって接合していることが好ましい。
また、本発明に係るダンパーブレースにおいて、前記ブレースは、断面が正方形である鋼管であり、前記連結部材は、前記各ブレースの他端部を囲んで断面が正方形である中空部材であり、前記複数のせん断パネルは、前記ブレースの軸方向から見たときに前記ブレースの周りで上下左右にそれぞれ配置されていて、突設している方向の長さがそれぞれ等しいものであることが好ましい。
又は、本発明に係るダンパーブレースにおいて、前記ブレースは円鋼管であり、前記連結部材は前記各ブレースの他端部を囲む中空円形部材であることが好ましい。
或いは、本発明に係るダンパーブレースにおいて、前記ブレースは断面がH形状であるH形鋼材であり、前記連結部材は前記各ブレースの他端部を囲む断面が矩形の中空環状部材であることが好ましい。
また、本発明に係るダンパーブレースにおいて、前記複数のせん断パネルは、前記ブレースの周りで等間隔に配置されていることが好ましい。
また、本発明に係るダンパーブレースにおいて、前記ブレースは、中空の鋼管にコンクリート又はモルタルを入れた充填鋼管であっても良い。
また、本発明に係るダンパーブレースにおいて、2本の前記ブレースは、普通鋼で構成されている1本のH形鋼材を2つに分割したものであると良い。
本発明に係る制震構造は、土木用構造物と、この土木用構造物に対して設置されるダンパーブレースとを備え、前記ダンパーブレースは、複数のせん断パネルを有して構成されるダンパーと直線状に延びるブレースとを備え、地震によって前記土木用構造物に生じる横揺れを抑えるために、前記ブレースから前記ダンパーに作用する軸方向の力を前記せん断パネルがせん断変形することによって吸収するものであって、前記2本のブレースが前記土木用構造物に対して斜めの姿勢で同軸上に配置され、前記各ブレースの一端部が前記土木用構造物に定着され、前記各ブレースの他端部が前記ダンパーを介して連結していて、前記ダンパーでは、前記各ブレースの他端部の外側に連結部材が配置され、前記複数のせん断パネルが前記各ブレースの他端部に対して軸方向に沿って配置され且つその軸方向に直交する方向に突設していて、前記せん断パネルの内方側端部が前記各ブレースの他端部に接合し、前記せん断パネルの外方側端部が前記連結部材に接合していることを特徴とする。
また、本発明に係るダンパーブレースにおいて、前記連結部材には、前記せん断パネルの外方側端部をその連結部材より外側へ突設させるスリットが形成されていて、前記せん断パネルの外方側端部は、前記スリットから突設した状態で前記連結部材に外側から溶接によって接合していることが好ましい。
また、本発明に係るダンパーブレースにおいて、前記ブレースは、断面が正方形である鋼管であり、前記連結部材は、前記各ブレースの他端部を囲んで断面が正方形である中空部材であり、前記複数のせん断パネルは、前記ブレースの軸方向から見たときに前記ブレースの周りで上下左右にそれぞれ配置されていて、突設している方向の長さがそれぞれ等しいものであることが好ましい。
又は、本発明に係る制震構造において、前記ブレースは円鋼管であり、前記連結部材は前記各ブレースの他端部を囲む中空円形部材であることが好ましい。
或いは、本発明に係る制震構造において、前記ブレースは断面がH形状であるH形鋼材であり、前記連結部材は前記各ブレースの他端部を囲む断面が矩形の中空環状部材であることが好ましい。
また、本発明に係る制震構造において、前記複数のせん断パネルは、前記ブレースの周りで等間隔に配置されていることが好ましい。
また、本発明に係る制震構造において、前記ブレースは、中空の鋼管にコンクリート又はモルタルを入れた充填鋼管であっても良い。
また、本発明に係る制震構造において、2本の前記ブレースは、普通鋼で構成されている1本のH形鋼材を2つに分割したものであると良い。
本発明によれば、柱構造に横揺れが生じた場合に、ブレースに引張力又は圧縮力を作用させて、ブレースの軸方向の力をダンパーに作用させる。これにより、せん断パネルが純せん断変形して、履歴減衰によって振動エネルギーを吸収した制震が行われる。そして、ダンパーブレースは、同軸上に配置された2本のブレース同士がダンパー(せん断パネル)で連結した1本の棒状のものであるため、土木用構造物に対して斜めの姿勢で2箇所で定着した制震構造とすることができる。この結果、ダンパーブレースの部品点数や定着部材の数などを減らして、コストダウンや軽量化を図ることができる。
第1実施形態の制震構造を示した図である。 図1の左側上部に位置する定着部材を示した図である。 図2のA−A線に沿った断面図である。 図1のダンパーブレースを構成するダンパーを示した断面図である。 図4のB−B矢視方向で示した図である。 図4のダンパーに圧縮方向の力が作用した状態を示した図である。 図4のダンパーに引張方向の力が作用した状態を示した図である。 (A)ブレースの軸線上にせん断パネルを配置した場合に、ブレースから引張力を受けたせん断パネルの状態を示した図である。(B)ブレース同士を径方向に離間させて、そのブレースの間にせん断パネルを配置した場合に、ブレースから引張力を受けたせん断パネルの状態を示した図である。 第2実施形態の制震構造を示した図である。 図9のダンパーブレースを示した拡大図である。 図10のC−C矢視方向で示した図である。 図10のダンパーに圧縮方向の力が作用した状態を示した図である。 図10のダンパーに引張方向の力が作用した状態を示した図である。 第3実施形態のダンパーブレースを示した外観図である。 図14に示したダンパーブレースの縦断面図である。 図14のD−D矢視方向で示した図である。 図14に示したE部分の拡大図である。 図15のダンパーに圧縮方向の力が作用した状態を示した図である。 図15のダンパーに引張方向の力が作用した状態を示した図である。 (A)ダンパーブレースの第1変形例を示した断面図である。(B)ダンパーブレースの第2変形例を示した断面図である。(C)ダンパーブレースの第3変形例を示した断面図である。 第2実施形態の制震構造の変形例を示した図である。 第3実施形態のダンパーの第1変形例を示した図である。 第3実施形態のダンパーの第2変形例を示した図である。 従来の特許文献に記載された制震構造を示した図である。 図24のダンパーブレースのダンパーの変形状態を示した図である。
本発明に係るダンパーブレース及び制震構造の実施形態について、図面を参照しながら以下に説明する。図1は、第1実施形態の制震構造を示した図であり、第1実施形態の制震構造は、土木用構造物である高架橋に適用されたものである。図1に示すように、高架橋1は、平行に建てられている2本の橋脚2を有し、その橋脚2の上に横梁3が載せられたラーメン構造をしている。第1実施形態の制震構造は、高架橋1に対して地震による水平方向の振動が作用した際、その横揺れを抑えるためのものである。
橋脚2には、図1に示すように、棒状のダンパーブレース10が斜めの姿勢で取付けられている。このダンパーブレース10は、直線状に延びる2本のブレース21,22と、その間を連結するダンパー30とを備えて構成されたものであり、左右2本の橋脚2に対し各1箇所ずつで定着している。ブレース21,22を連結するダンパー30は、低い位置にあるため、上側に位置する図1の左側のブレース21は、下側に位置する図1の右側のブレース22より長く形成されている。
ブレース21の左端部(一端部)21aは、定着部材40によって左側の橋脚2に取付けられ、ブレース22の右端部(一端部)22aは、定着部材40によって右側の橋脚2に取付けられている。そして、ブレース21の右端部(他端部)21bとブレース22の左端部(他端部)22bとがダンパー30を介して連結することで、2本のブレース21,22が斜めの姿勢で同軸上に配置されている。
図2及び図3は、定着部材40を示した図であり、図2は図1の左側上部に位置する定着部材40を示した図であり、図3は図2のA−A線に沿った断面図である。ところで、橋脚2は、図3に示すように、例えば強度の高いPC鋼材4で囲まれていて、橋脚2とPC鋼材4との間にプレストレスト・コンクリート5を充填することによって補強が行われている。こうして、橋脚2は、地震の際における水平方向の耐力などを改善して耐震性を向上させている。
定着部材40では、図2に示すように、角柱の橋脚2の周りにそれぞれ配置されたアングル41が、同じ高さに溶接接合されている。断面L字形のアングル41は、橋脚2から水平に張り出した支持台になっており、その上に複数のプレート42(42a,42b,42c,42d)が起立して溶接される。このプレート42では、図3に示すように、先ず橋脚2の幅全体に相当する大きさのプレート42a,42bと、その半分の大きさのプレート42c,42dとが、図3の左右にそれぞれコの字形に溶接される。その後にプレート42cとプレート42dとの隙間を塞ぐように裏板49を裏側から当て、表側から溶接してプレート42c,42dの接合が行われている。
また、定着部材40では、図3に示すように、橋脚2の周りをプレート42によって囲み、アングル41によって底を塞ぐことによって、環状の空間43が形成される。そして、その空間43の中にモルタル44が充填されている。図3には、一点鎖線で円弧状に囲んだ部分が、モルタル44が充填された状態を示している。こうして、空間43にモルタル44を注入して硬化させることにより、橋脚2に対するプレート42の固定強度、即ち定着部材40の固定強度を得ることができる。
この定着部材40では、図2に示すように、プレート42bに対して継手45が溶接接合されている。継手45は、斜め方向に突設され、継手プレートが十字に組まれたものである。継手45が接合されたプレート42bには、補助プレート46も上下に溶接接合され、継手45は補助プレート46に形成された図示しないスリットに嵌め込まれるようにして組まれている。このような構成である定着部材40は、図1に示すように、左右一対の橋脚2に対してそれぞれ所定の高さに設けられ、互いの継手45の中心軸が同軸上になるように配置されている。そして、一対の定着部材40の間にダンパーブレース10が取付けられている。
ダンパーブレース10を構成するブレース21,22は、丸型パイプの一般構造用炭素鋼鋼管(例えばSKT490)であり、ブレース21の左端部21a(図1参照)及びブレース22の右端部22a(図1参照)には、図2に示すように、定着部材40へ締結するための継手23が形成されている。継手23は、定着部材40側の継手45と同様に、継手プレートが十字に組まれたものであり、各ブレース21,22の端部21a,22aに形成されたスリット(図示省略)に嵌め込まれ、溶接接合によって一体に形成されている。各ブレース21,22側の継手23は、定着部材40側の継手45に対して、図2に示すように位置合わせした後、締結プレート48によって挟み込まれ、ボルトとナットの締め付けによって締結される。
次に、図4は、図1のダンパーブレース10を構成するダンパー30を示した断面図であり、図5は、図4のB−B矢視方向で示した図である。図4及び5に示すように、各ブレース21,22は、中空の円鋼管であり、ブレース21の右端部21bの先端とブレース22の左端部22bの先端には、塞ぎ板24が溶接接合されていて、各塞ぎ板24の間に隙間が形成されている。即ち、ブレース21,22の先端同士は、隙間を介して配置され、直接的には接合されていない。しかし、一対のブレース21,22は、同軸上に配置されていて、ダンパー30を介して一体に接続されている。
ダンパー30においては、図4に示すように、複数のせん断パネル31が、ブレース21の右端部21b及びブレース22の左端部22bから径方向に突き出すように溶接接合されている。各せん断パネル31は、全て同じサイズの矩形の板材であって、各ブレース21,22に対して4枚ずつ設けられている。そして、各4枚のせん断パネル31は、ブレース21,22の軸方向に沿って配置され且つ径方向に突設していて、図5に示すように、ブレース21,22の周方向に対して90度で均等に配置されている。また、このダンパー30では、ブレース21の右端部21b及びブレース22の左端部22bを囲むように、中空円筒の連結管(連結部材)32が配置されている。
図5に示すように、放射状に延びているせん断パネル31では、内方側端部31aがブレース21,22に溶接接合される一方、外方側端部31bが連結管32の内側面32aに溶接接合されている。こうして、一対のブレース21,22は、せん断パネル31と連結管32を介して一体になり、棒状になった一本のダンパーブレース10として構成されている。このとき、連結管32と各ブレース21,22とは同軸であり、ブレース21側に配置されたせん断パネル31とブレース22側に配置された各せん断パネル31とが軸方向に重なっている。
このダンパーブレース10は、ブレース21,22に軸方向の力が作用した場合に、ダンパー30のせん断パネル31がせん断変形することによって、その力を吸収するものである。即ち、ダンパーブレース10は、変形性能を有するせん断パネル31の履歴減衰を利用して、地震によって発生する大きなエネルギーを吸収するものである。このため、各せん断パネル31は、所定のせん断変形量を超えると塑性変形を生じるバイリニア履歴減衰部材で構成されていて、破壊されるまでの変形量が大きく低温での靭性を有し脆性破壊を起こし難い材料(例えばSM490B)が使用される。
この第1実施形態では、ダンパーブレース10の軸方向寸法は約6000mmであり、ブレース21の軸方向寸法は約3500mmであり、ブレース22の軸方向寸法は約1000mmである。そして、ブレース21,22の直径は約250mmであり、連結管32の直径は約660mmである。また、1枚のせん断パネル31において、横方向(軸方向)寸法は約150mmであり、縦方向(径方向)寸法は約170mmであり、厚さは約30mmである。なお、上記した各寸法は、高架橋1の大きさや高架橋1に必要とされる強度に応じて適宜変更可能である。
以上のような第1実施形態の制震構造の設置においては、先ず左右一対の橋脚2に対して、PC鋼材4やプレストレスト・コンクリート5(図3参照)等によって耐震補強した後、定着部材40が取付けられる。そして、橋脚2の所定位置に定着した定着部材40には、ダンパーブレース10が取付けられる。ダンパーブレース10の取付けでは、図2に示すように、ブレース21,22側の継手23を定着部材40側の継手45に対して位置合わせを行い、締結プレート48で挟み込み、ボルトとナットを用いて締結する。こうして、図1に示すように、高架橋1にダンパーブレース10が設置される。
そこで、地震によって高架橋1に横揺れが生じると、橋脚2の上方の振れ幅が大きくなる。このため、高架橋1が図1の右方向に振れた場合には、ブレース21が図1の右方向へ移動しようとすることで、ダンパー30に圧縮方向の力が作用する。これにより、圧縮方向の力が作用したダンパー30では、図6に示すように、ブレース21,22が軸方向に接近して、各せん断パネル31がせん断変形することになる。一方、高架橋1が図1の左方向に振れた場合には、ブレース21が図1の左方向へ移動しようとすることで、ダンパー30に引張方向の力が作用する。これにより、引張方向の力が作用したダンパー30では、図7に示すように、ブレース21,22が軸方向に離間して、各せん断パネル31がせん断変形することになる。
こうして、高架橋1に設けた第1実施形態の制震構造では、せん断パネル31がせん断変形することにより履歴減衰が起こり、高架橋1に生じる振動エネルギーを吸収した制震が行われる。ところで、このダンパーブレース10では、図4及び図5に示すように、各せん断パネル31の内方側端部31aがブレース21,22に接合し、外方側端部31bが連結管32の内側面32aに接合している。これにより、図6及び図7に示すように、ブレース21,22が軸方向に変位したとき、各せん断パネル31を純せん断変形させることができる。即ち、せん断パネル31は、連結管32に接合された外方側端部31bを固定状態にして、各ブレース21,22に接合された内方側端部31aを介して伝達される力によって変形することになる。
ここで、仮に、図8(A)に示すように、ブレース21A,22Aの軸線上にせん断パネル31Aを配置した場合には、そのせん断パネル31Aには、ブレース21,22から圧縮力又は引張力を受けても、せん断変形が生じない。また、仮に、図8(B)に示すように、ブレース21Bとブレース22Bを径方向に離間(偏心)させて、そのブレース21B,22Bの間にせん断パネル31Bを配置した場合には、そのせん断パネル31Bには、ブレース21B,22Bから圧縮力又は引張力を受けると、せん断力に加えて偶力Fが作用する。このように偶力Fが作用する場合には、純せん断変形(図6及び図7参照)する場合に比べて、力の加わり方が複雑になり、せん断パネルの強度を上げるための特別な構造が必要になる。更に、この場合には、ブレース21,22及び定着部材40に、軸方向の力以外に曲げや捩りに対する力が多く作用することになり、強度計算が複雑になってしまう。
これに対して、本実施形態のダンパーブレース10によれば、ブレース21,22にほぼ軸方向の力のみが作用し、せん断パネル31にほぼせん断力のみが作用する。このため、各部材へ余分な荷重が作用することを抑えることができ、強度計算を容易にすることができるとともに、せん断パネル31の強度を上げるための特別な構造が不要である。こうして、ダンパーブレース10の材料を減らして、コストダウンや軽量化を図ることができる。
また、本実施形態のダンパーブレース10によれば、図5に示すように、ブレース21,22が円鋼管であるとともに連結管32が中空円形部材であり、各せん断パネル31がブレース21,22の周りで等間隔に配置されている。このため、ダンパーブレース10の周方向における各部位で剛性が均等になり、特定の方向から作用する曲げ外力に対して弱い構造になることを防止できる。
また、本実施形態の高架橋1では、図1に示すように、ダンパーブレース10が1本の棒状であるため、2本の橋脚2に対して2箇所で定着させる制震構造とすることができる。この結果、定着部材の数やブレースの数を少なくして、部品コストの低下やダンパーブレースの据え付けコストの低下が可能である。また、1本のダンパーブレース10が高架下の空間に対して斜めの姿勢で配置されているため、従来のX型やK型のダンパーブレースに比べて、高架下のスペースを広く空けることができ、そのスペースを有効利用することができる。
次に、第2実施形態について説明する。図9は、第2実施形態の制震構造を示した図であり、第2実施形態の制震構造は、土木用構造物であるベントに適用されたものである。図9に示すように、ベント6は、それぞれ平行に建てられている4本の鋼管柱7A,7B,7C,7Dを有し、各鋼管柱7A,7B,7C,7Dが水平方向に延びる連結鋼8によって連結されたラーメン構造をしている。
各鋼管柱7A,7B,7C,7Dには、上端部と中間部と下端部にそれぞれ定着部材50が取付けられていて、直線状に延びる補強材9が斜めの姿勢で定着部材50に定着している。こうして、ベント6は、水平方向の耐力などを改善して耐震性を向上させている。また、この第2実施形態のベント6においても、地震による水平方向の振動が作用した際に横揺れを抑えるために、連結鋼8の真ん中に取付けられた定着部材50と、鋼管柱7B,7Cの中間部に取付けられた定着部材50とによって、棒状のダンパーブレース60が斜めの姿勢で取付けられている。
ところで、第2実施形態のベント6は、上記した第1実施形態の高架橋1より小さい土木用構造物であるため、第2実施形態では第1実施形態より小さいダンパーブレースを用いる必要がある。しかしながら、第1実施形態のような形状のダンパーブレース10を用いると、以下の問題点がある。即ち、第1実施形態のダンパーブレース10のブレース21,22より径が小さい円鋼管は、必要強度を満たしつつ製作することが難しいものであり、製作しようとすると市販品を用いることができずにコストが高くなってしまう。また、第1実施形態のダンパーブレース10のブレース21,22及び連結管32は共に断面が円形であるため、せん断パネル31の径方向長さに対して断面形状全体が大きいものになる。このため、第2実施形態のベント6においては、第1実施形態のような形状のダンパーブレース10を用いると、スペース面で不利になる。そこで、上記した問題に対処すべく、第2実施形態のダンパーブレース60は、以下のように構成されている。
図10は、図9に示したダンパーブレース60の拡大図である。図10に示すように、ダンパーブレース60は、直線状に延びる2本のブレース71,72と、その間を連結するダンパー80とを備えて構成されたものであり、鋼管柱7B(7C)と連結鋼8に対し各1箇所ずつで定着している。ブレース71の上端部(一端部)71aが定着部材50によって連結鋼8に取付けられ、ブレース72の下端部(一端部)72aが定着部材50によって鋼管柱7B(7C)に取付けられている。そして、ブレース71の下端部(他端部)71bとブレース72の上端部(他端部)72bとがダンパー80を介して連結することで、2本のブレース71,72が斜めの姿勢で同軸上に配置されている。
図11は、図10のC−C矢視方向で示した図である。図11に示すように、ダンパーブレース60を構成するブレース71(72)は、断面がH形状であるH形鋼材であり、ウェブ71c(72c)とフランジ71d(72d)を有している。これら2本のブレース71(72)は、製作コストを低くできるように、普通鋼で構成されている1本のH形鋼材を2つに分割したものである。ここで、ブレース71(72)を構成している普通鋼とは、例えばSM400Aである。また、図10に示すように、各ブレース71,72の先端同士は隙間を介して配置され、直接的には接合されていない。しかし、一対のブレース71,72は、同軸上に配置されていて、ダンパー80を介して一体に接続されている。
ダンパー80においては、図10及び図11に示すように、複数のせん断パネル81が、ブレース71の下端部71b及びブレース72の上端部72bから、軸方向に直交する方向(図11の上下方向)に突き出すように溶接接合されている。各せん断パネル81は、全て同じサイズの矩形の板材であって、各ブレース71,72に対して2枚ずつ設けられている。そして、2枚のせん断パネル81は、ブレース71,72の軸方向に沿って配置され且つその軸方向と直交する方向に突設していて、図11に示すように、ブレース71,72の周りで上下対称(180度で等間隔)に配置されている。また、このダンパー80では、ブレース71の下端部71b及びブレース72の上端部72bを囲むように、断面が矩形の中空環状部材である連結管(連結部材)82が配置されている。
図11に示すように、上下一対のせん断パネル81では、内方側端部81aがブレース71(72)に溶接接合される一方、外方側端部81bが連結管82の内側面82aに溶接接合されている。こうして、一対のブレース71,72は、せん断パネル81と連結管82を介して一体になり、棒状になった一本のダンパーブレース60として構成されている。このとき、連結管82と各ブレース71,72とは同軸であり、ブレース71側に配置された各せん断パネル81とブレース72側に配置された各せん断パネル81とが軸方向に重なっている。
この第2実施形態では、ダンパーブレース60の軸方向寸法は約2200mmであり、ブレース71,72の軸方向寸法は約1000mmである。そして、ブレース71,72のウェブ71c,72cの長さが約150mmであり、ブレース71,72のフランジ71d,72dの長さが約120mmである。また、連結管82の断面は正方形であり、この正方形の一辺は約275mmである。そして、1枚のせん断パネル81において、横方向(軸方向)寸法は約50mmであり、縦方向寸法は約100mmであり、厚さは約9mmである。なお、上記した各寸法は、ベント6の大きさやベント6に必要とされる強度に応じて適宜変更可能である。
以上のような第2実施形態の制震構造においては、ベント6に横揺れが生じると、ブレース71,72からダンパー80へ圧縮方向又は引張方向の力が作用する。これにより、ダンパー80へ圧縮方向の力が作用する場合には、図12に示すように、ブレース71,72が接近して、各せん断パネル81がせん断変形することになる。一方、ダンパー80へ引張方向の力が作用する場合には、図13に示すように、ブレース71,72が離間して、各せん断パネル81がせん断変形することになる。
こうして、ベント6に設けた第2実施形態の制震構造では、せん断パネル81がせん断変形することにより履歴減衰が起こり、ベント6に生じる振動エネルギーを吸収した制震が行われる。ところで、このダンパーブレース60では、図11に示すように、各せん断パネル81の内方側端部81aがブレース71,72に接合し、外方側端部81bが連結管82の内側面82aに接合している。これにより、図12及び図13に示すように、ブレース71,72が軸方向に変位しても、各せん断パネル81を純せん断変形させることができる。即ち、せん断パネル81は、連結管82に接合された外方側端部81bを固定状態にして、各ブレース71,72に接合された内方側端部81aを介して伝達される力によって変形することになる。
このため、第2実施形態のダンパーブレース60によれば、ブレース71,72には、ほぼ軸方向の力のみが作用し、せん断パネル81には、ほぼせん断力のみが作用する。従って、各部材へ余分な荷重が作用することを抑えることができ、強度計算を容易にすることができるとともに、せん断パネル81の強度を上げるための特別な構造が不要になる。こうして、ダンパーブレース60の材料を減らして、コストダウンや軽量化を図ることができる。更に、ダンパーブレース60が1本の棒状であるため、図9に示すように、1本の鋼管柱7B(7C)と1本の連結鋼8の合計2本の骨組みに対して、2箇所で定着させる制震構造とすることができる。
ところで、第2実施形態のダンパーブレース60では、図11に示すように、各せん断パネル81の内方側端部81aがブレース71(72)のウェブ71c(72c)に接合され、各せん断パネル81の外方側端部81bが連結管82の内側面82aに接合されていて、断面形状全体が矩形になっている。このように、せん断パネル81と、断面がH形状であるブレース71(72)と、断面が矩形である連結管82とが配置されているため、ダンパーブレース60の断面形状全体を小さくすることができる。
即ち、第1実施形態のダンパーブレース10では、図5に示すように、断面が円形である連結管32と断面が円形であるブレース22との間に、せん断パネル31が接合されるため、仮にせん断パネル31の縦方向(径方向)寸法を大きくする場合には、連結管32の径を大きくする必要があり、断面形状が全体的に大きくなる。これに対して、第2実施形態のダンパーブレース60では、仮にせん断パネル31の縦方向寸法を大きくする場合には、連結管82の縦方向寸法を大きくすれば良く、連結管82の横方向寸法を大きくする必要がなくて、断面形状の増加が小さく済む。
こうして、第2実施形態のダンパーブレース60は、第1実施形態のダンパーブレース10に比べて、ダンパー部分における出っ張りが小さいものになり、土木用構造物に取付けた際のスペース面で有利である。特に、ベント6のような仮設備においては、人が通る際に邪魔になり難いものになる。また、第2実施形態では、ブレース71,72がH形鋼材であるため、比較的径が小さい中空の円鋼管を製作する場合に比べて、ブレースを製作し易い。従って、ダンパーブレースの製作コストを低くすることができる。
次に、第3実施形態について説明する。第1実施形態のダンパーブレース10では、図5に示すように、せん断パネル31の外方側端部31bが連結管32の内側面32aに溶接によって接合され、第2実施形態のダンパーブレース60でも、図11に示すように、せん断パネル81の外方側端部81bが連結管82の内側面82aに溶接によって接合されている。しかしながら、せん断パネル31,81を連結管32,82の内部に入れ込んだ状態では、せん断パネル31,81の外方側端部31a,81aを連結管32,82の内側面32a,82aに対して内側から溶接し難くて、ダンパーブレース10,60を製造し難いという問題点があった。特に、第2実施形態のような比較的小さい連結管82を用いる場合に大きな問題点になっていた。そこで、上記した問題点を解消すべく、第3実施形態のダンパーブレース110は、以下のように構成されている。
図14は、第3実施形態のダンパーブレース110を示した外観図であり、図15は、図14に示したダンパーブレース110の縦断面図である。ダンパーブレース110は、図14及び図15に示すように、直線状に延びる2本のブレース121,122と、その間を連結するダンパー130とを備えて構成されたものである。なお、このダンパーブレース110は、第2実施形態のようなベント6に対して適用されたものであるが、第1実施形態のような高架橋1に対しても適用可能である。
図16は、図14のD−D矢視方向で示した図である。図16に示すように、ダンパーブレース110を構成するブレース121(122)は、断面が正方形である中空鋼材であり、図14及び図15に示すように、ブレース121の左端部121bの先端と、ブレース122の右端部122bの先端には、塞ぎ板124が溶接接合されていて、各塞ぎ板124の間に隙間が形成されている。即ち、ブレース121,122の先端同士は、隙間を介して配置され、直接的には接合されていない。しかし、一対のブレース121,122は、同軸上に配置されていて、ダンパー130を介して一体に接続されている。そして、ブレース121の右端部(図示省略)はベント6(図9参照)に定着され、ブレース122の左端部(図示省略)はベント6に定着されている。なお、図示を省略しているが、ブレース121,122の内部には補強板が適宜溶接接合されている。
ダンパー130においては、図14〜図16に示すように、複数のせん断パネル131が、ブレース121の左端部121b及びブレース122の右端部122bから、軸方向(図14及び図15の左右方向)に直交する方向(図16の上下方向及び左右方向)に突き出ている。各せん断パネル131は、全てが同じサイズの矩形の板材であって、各ブレース121,122に対して4枚ずつ設けられている。そして、4枚のせん断パネル131は、ブレース121,122の軸方向に沿って配置され且つその軸方向と直交する方向に突設していて、図16に示すように、ブレース121,122の周りで上下左右にそれぞれ配置されている。また、このダンパー130では、ブレース121の左端部121b及びブレース122の右端部122bを囲むように、断面が正方形の中空部材である連結管(連結部材)132が配置されている。
図16に示すように、上下左右に配置された各せん断パネル131では、内方側端部131aがブレース121(122)に溶接接合されている。そして、この第3実施形態では、連結管132の上辺部と下辺部と左辺部と右辺部に、各せん断パネル131の外方側端部131bをその連結管132より外側へ突設させるスリット132aが形成されている。ここで、図17は、図14に示したE部分の拡大図である。図17に示すように、スリット132aは、せん断パネル131の断面形状より僅かに大きくなっていて、せん断パネル131が貫通できるようになっている。これにより、図16に示すように、各せん断パネル131の外方側端部131bは、各スリット132aから突設した状態で連結管132の上辺部と下辺部と左辺部と右辺部に、外側から溶接によって接合されている。
こうして、一対のブレース121,122は、せん断パネル131と連結管132を介して一体になり、棒状になった一本のダンパーブレース110として構成されている。このとき、連結管132と各ブレース121,122とは同軸であり、ブレース121側に配置された各せん断パネル131とブレース122側に配置された各せん断パネル131とが軸方向に重なっている。この第3実施形態では、連結管132の断面である正方形の一辺は約210mmであり、ブレース121,122の断面である正方形の一辺は約100mmである。そして、1枚のせん断パネル131において、横方向(軸方向)寸法は約40mmであり、縦方向(突設している方向)寸法は約60mmであり、厚さは約3mmである。なお、上記した各寸法は、ダンパーブレース110が適用される土木用構造物の大きさやその土木用構造物に必要とされる強度に応じて適宜変更可能である。
以上のような第3実施形態のダンパーブレース110においては、ダンパー130へ圧縮方向の力が作用すると、図18に示すように、ブレース121,122が接近して、各せん断パネル131がせん断変形することになる。一方、ダンパー130へ引張方向の力が作用すると、図19に示すように、ブレース121,122が離間して、各せん断パネル131がせん断変形することになる。こうして、第3実施形態の制震構造でも、せん断パネル131がせん断変形することにより履歴減衰が起こり、ベント6に生じる振動エネルギーを吸収した制震が行われる。
そして、この第3実施形態のダンパーブレース110によれば、各せん断パネル131の外方側端部131bを連結管132に接合する場合に、各外方側端部131bを各スリット132aから突設した状態で外側から溶接するため、製造し易いものになっている。即ち、ダンパーブレース110を製造する場合、先ず、各ブレース121,122の上辺部と下辺部と左辺部と右辺部に各せん断パネル131の内方側端部131aを溶接によって接合しておく。次に、各せん断パネル131を各スリット132aに嵌め込むように、ブレース121の左端部121bを軸方向の一方側から連結管132の中に挿入すると共に、ブレース122の右端部122bを軸方向の他方側から連結管132の中に挿入する。最後に、各スリット132aから突設している各せん断パネル131の外方側端部131bを外側から連結管132に溶接によって接合する。こうして、第1実施形態のダンパーブレース10及び第2実施形態のダンパーブレース60のように、各せん断パネル131の外方側端部131bを連結管132の内側から溶接する必要がないため、製造し易いダンパーブレース110になっている。
更に、この第3実施形態のダンパーブレース110によれば、図16に示すように、各せん断パネル131が、ブレース121(122)の周りに上下左右にそれぞれ配置されていて、突設している方向の長さがそれぞれ等しいものである。このため、ダンパー130における上下左右の剛性が均等になり、曲げや捩りの外力に対して強い構造にすることができる。言い換えると、図11に示した第2実施形態のダンパーブレース60では、H形鋼材であるブレース71(72)を用いているため、せん断パネル81が配置されていない左右方向の剛性が弱くなるが、図16に示した第3実施形態のダンパーブレース110では、断面が正方形であるブレース121(122)及び連結管132を用いているため、各せん断パネル131を上下左右に同じ長さで配置することができ、特定の方向から作用する外力に対して弱い構造になることを防止できる。
また、この第3実施形態のダンパーブレース110によれば、第1実施形態のダンパーブレース10に比べて、コンパクトに構成することができる。即ち、第1実施形態のダンパーブレース10では、図5に示すように、ブレース21,22が中空の円鋼管であるため、ブレース21,22の径が一定以上に大きくなり、全体の形状を小さくし難い。これに対して、第3実施形態のダンパーブレース110では、図16に示すように、ブレース121,122は断面が正方形の中空鋼管であるため、小さく構成しても必要強度を満たすことができるようになっていて、全体の形状をコンパクトに構成することができる。更に、第1実施形態の連結管32は中空の円鋼管であるため、板材から円鋼管を製作する場合に、曲げ加工が難しくて高価になるが、第3実施形態の連結管132は断面が正方形の中空鋼管であるため安価に製作することができる。こうして、第3実施形態のダンパーブレース110は、コンパクト且つ安価に構成できて、製造し易いものになっている。
以上、本発明に係るダンパーブレース及び制震構造について各実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第1実施形態におけるダンパーブレース10では、ダンパー30の連結管32が中空円形部材であるが、この連結管32に換えて、図20(A)に示す第1変形例のダンパー90Aのように、連結管82は断面が矩形の中空環状部材であっても良い。
また、第2実施形態におけるダンパーブレース60では、ブレース71に対してせん断パネル81が2枚であるが、図20(B)に示す第2変形例のダンパー90Bのように、ブレース71に対してせん断パネル81を4枚にして、追加したせん断パネル81において、内方側端部81aをブレース71のフランジ71dに接合し、外方側端部81bを連結管82の内側面82aに接合しても良い。
更に、図20(C)に示す第3変形例のダンパー90Cのように、中空円形部材である連結管32を用いても良い。これらのように、ブレースの断面形状、連結管の断面形状、せん断パネルの数は適宜変更可能である。
また、第2実施形態のベント6では、2本の鋼管柱7B,7Cと1本の連結鋼8に対して2本のダンパーブレース60を取付けたが、図21に示す変形例のベント6Aのように、2本の鋼管柱7B,7Cと1本の連結鋼8に対して1本のダンパーブレース60を取付けても良い。このように、土木用構造物に対して取付けるダンパーブレースの数は適宜変更可能である。
また、第3実施形態のダンパー130(ダンパーブレース110)では、ブレース121,122として断面が正方形である中空鋼管を用い、連結管132として断面が正方形である中空部材を用いたが、ブレース及び連結管の断面形状は適宜変更可能である。このため、例えば図22に示す第1変形例のダンパー130Aのように、中空円形部材であるブレース121A,122Aと、中空円形部材である連結管132Aを用いても良い。また、第3実施形態のダンパー130では、矩形であるせん断パネル131を用いたが、せん断パネル131の形状は適宜変更可能であり、例えば図23に示す第2変形例のダンパー130Bのように、疲労強度を向上させるためにフィレットを有するせん断パネル131Bを用いても良い。
また、第1実施形態のブレース21,22及び第3実施形態のブレース121,122は、中空の円鋼管であるが、この中空の円鋼管の中にコンクリート又はモルタルを入れた充填鋼管であっても良い。この場合には、ブレース21,22、121,122自体の剛性を大きくすることができる。
また、第1〜第3実施形態において、せん断パネル31,81,131を保護するため、連結管32、82,132はブレース21,22、71,72、121,122を囲むように断面が環状に形成されているが、連結管の断面は環状でなくても良い。
また、第1〜第3実施形態において、高架橋1又はベント6に適用した制震構造を説明したが、制震が必要な土木用構造物であれば、高架橋又はベントに限定されるものではない。
1 高架橋
2 橋脚
3 橋梁
6 ベント
7A,7B,7C,7D 鋼管柱
8 連結鋼
10,60,110 ダンパーブレース
21、22,71,72,121,122 ブレース
30,80,130 ダンパー
31,81,131 せん断パネル
31a,81a,131a 内方側端部
31b,81b,131b 外方側端部
32,82,132 連結管
132a スリット
40,50 定着部材

Claims (16)

  1. 土木用構造物に対して設置され、複数のせん断パネルを有して構成されるダンパーと直線状に延びるブレースとを備え、前記土木用構造物に生じる横揺れを抑えるために、前記ブレースから前記ダンパーに作用する軸方向の力を前記せん断パネルがせん断変形することによって吸収するダンパーブレースにおいて、
    2本の前記ブレースが前記土木用構造物に対して斜めの姿勢で同軸上に配置され、
    前記各ブレースの一端部が前記土木用構造物に定着され、前記各ブレースの他端部が前記ダンパーを介して連結していて、
    前記ダンパーでは、前記各ブレースの他端部の外側に連結部材が配置され、前記複数のせん断パネルが前記各ブレースの他端部に対して軸方向に沿って配置され且つその軸方向に直交する方向に突設していて、前記せん断パネルの内方側端部が前記各ブレースの他端部に接合し、前記せん断パネルの外方側端部が前記連結部材に接合していることを特徴とするダンパーブレース。
  2. 請求項1に記載されたダンパーブレースにおいて、
    前記連結部材には、前記せん断パネルの外方側端部をその連結部材より外側へ突設させるスリットが形成されていて、
    前記せん断パネルの外方側端部は、前記スリットから突設した状態で前記連結部材に外側から溶接によって接合していることを特徴とするダンパーブレース。
  3. 請求項1又は請求項2に記載されたダンパーブレースにおいて、
    前記ブレースは、断面が正方形である鋼管であり、
    前記連結部材は、前記各ブレースの他端部を囲んで断面が正方形である中空部材であり、
    前記複数のせん断パネルは、前記ブレースの軸方向から見たときに前記ブレースの周りで上下左右にそれぞれ配置されていて、突設している方向の長さがそれぞれ等しいものであることを特徴とするダンパーブレース。
  4. 請求項1又は請求項2に記載するダンパーブレースにおいて、
    前記ブレースは円鋼管であり、
    前記連結部材は前記各ブレースの他端部を囲む中空円形部材であることを特徴とするダンパーブレース。
  5. 請求項1又は請求項2に記載するダンパーブレースにおいて、
    前記ブレースは断面がH形状であるH形鋼材であり、
    前記連結部材は前記各ブレースの他端部を囲む断面が矩形の中空環状部材であることを特徴とするダンパーブレース。
  6. 請求項4又は請求項5に記載するダンパーブレースにおいて、
    前記複数のせん断パネルは、前記ブレースの周りで等間隔に配置されていることを特徴とするダンパーブレース。
  7. 請求項4に記載するダンパーブレースにおいて、
    前記ブレースは、中空の円鋼管にコンクリート又はモルタルを入れた充填鋼管であることを特徴とするダンパーブレース。
  8. 請求項5に記載するダンパーブレースにおいて、
    2本の前記ブレースは、普通鋼で構成されている1本のH形鋼材を2つに分割したものであることを特徴とするダンパーブレース。
  9. 土木用構造物と、この土木用構造物に対して設置されるダンパーブレースとを備え、
    前記ダンパーブレースは、複数のせん断パネルを有して構成されるダンパーと直線状に延びるブレースとを備え、
    地震によって前記土木用構造物に生じる横揺れを抑えるために、前記ブレースから前記ダンパーに作用する軸方向の力を前記せん断パネルがせん断変形することによって吸収する制震構造において、
    2本の前記ブレースが前記土木用構造物に対して斜めの姿勢で同軸上に配置され、
    前記各ブレースの一端部が前記土木用構造物に定着され、前記各ブレースの他端部が前記ダンパーを介して連結していて、
    前記ダンパーでは、前記各ブレースの他端部の外側に連結部材が配置され、前記複数のせん断パネルが前記各ブレースの他端部に対して軸方向に沿って配置され且つその軸方向に直交する方向に突設していて、前記せん断パネルの内方側端部が前記各ブレースの他端部に接合し、前記せん断パネルの外方側端部が前記連結部材に接合していることを特徴とする制震構造。
  10. 請求項9に記載された制震構造において、
    前記連結部材には、前記せん断パネルの外方側端部をその連結部材より外側へ突設させるスリットが形成されていて、
    前記せん断パネルの外方側端部は、前記スリットから突設した状態で前記連結部材に外側から溶接によって接合していることを特徴とする制震構造。
  11. 請求項9又は請求項10に記載された制震構造において、
    前記ブレースは、断面が正方形である鋼管であり、
    前記連結部材は、前記各ブレースの他端部を囲んで断面が正方形である中空部材であり、
    前記複数のせん断パネルは、前記ブレースの軸方向から見たときに前記ブレースの周りで上下左右にそれぞれ配置されていて、突設している方向の長さがそれぞれ等しいものであることを特徴とする制震構造。
  12. 請求項9又は請求項10に記載された制震構造において、
    前記ブレースは円鋼管であり、
    前記連結部材は前記各ブレースの他端部を囲む中空円形部材であることを特徴とする制震構造。
  13. 請求項9又は請求項10に記載された制震構造において、
    前記ブレースは断面がH形状であるH形鋼材であり、
    前記連結部材は前記各ブレースの他端部を囲む断面が矩形の中空環状部材であることを特徴とする制震構造。
  14. 請求項12又は請求項13に記載する制震構造において、
    前記複数のせん断パネルは、前記ブレースの周りで等間隔に配置されていることを特徴とする制震構造。
  15. 請求項12に記載する制震構造において、
    前記ブレースは、中空の円鋼管にコンクリート又はモルタルを入れた充填鋼管であることを特徴とする制震構造。
  16. 請求項13に記載する制震構造において、
    2本の前記ブレースは、普通鋼で構成されている1本のH形鋼材を2つに分割したものであることを特徴とする制震構造。
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