JP5908688B2 - 鉄骨柱の露出型柱脚構造 - Google Patents

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本発明は、柱脚部に作用する曲げモーメントに対し、大きな弾性回転剛性を確保し得、かつ引張側及び圧縮側双方で効率の良いエネルギー吸収性能を発揮させることが可能な鉄骨柱の露出型柱脚構造に関する。
従来の鉄骨柱の露出型柱脚構造では、地震等のエネルギーを、アンカーボルトやベースプレートを塑性変形させて吸収するものと、鉄骨柱を塑性変形させて吸収するものとがある。
前者のアンカーボルト等で負担させてエネルギー吸収するものでは、アンカーボルト等が塑性変形してしまうと、ベースプレートが基礎コンクリートから浮き上がるなど、基礎コンクリートへの荷重伝達を殆どなし得ない状態に至る場合があり、エネルギー吸収能力が乏しい。アンカーボルトやベースプレートの塑性化を遅らせるために、ボルト径を太くしたりベースプレートを厚くすると、鉄骨柱の方が塑性変形してしまうため、それには限度がある。また、ボルト径を太くするなどすると、コストアップになってしまう。
他方、後者の鉄骨柱に負担させてエネルギー吸収するものでは、塑性変形した鉄骨柱を交換する必要があって、改修作業が大掛かりとなる。
以上のことから、前者の構成を前提として、アンカーボルト等に代わるエネルギー吸収部位を備えるようにした技術が特許文献1や特許文献2で開示されている。特許文献1の「柱脚部の制震構造」は、柱の脚部に制震機能を付与することにより地震時における構造物の安全性を容易に確保することが可能となる柱脚部の制震構造を提供することを課題とし、柱の脚部を、基礎部分に固定された案内支柱に水平方向の変位が拘束された状態で上下方向に変位可能に設けるとともに、上記脚部と基礎部分との間に、柱に引張力が作用した際に、曲げ降伏またはせん断降伏して上記引張力を吸収するベースプレートダンパを介装したものである。
詳細には、第1実施形態では、鉄骨柱を取り囲む配置で、鉄骨柱の柱脚部と基礎部分に固定した取付プレートとの間に、基礎部分に当接させた状態で、引張力を吸収する曲げパネルを設けている。第2実施形態では、第1実施形態と同様に鉄骨柱を取り囲む配置で、鉄骨柱の柱脚部と基礎部分上の支承プレートに固定した支持プレートとの間に、支承プレートに当接させた状態で、せん断パネルを設けている。
特許文献2の「鉄骨柱の柱脚固定構造」は、厚板のベースプレートや、鉄骨柱への突き合わせ溶接を不要とし、かつ、地震エネルギーを縦リブまたはアンカーボルトの降伏変形によって吸収するようにした鉄骨柱の柱脚固定構造を提供することを課題とし、鉄骨柱の脚部の周側面に、アンカーボルト挿通部を有する縦リブが前記鉄骨柱の周方向に間隔をおいて複数配置されていると共に、前記各縦リブの先端部が鉄骨柱に固定され、基礎コンクリートに固定されたアンカーボルトを、前記縦リブにおけるアンカーボルト挿通部に挿通してナットにより縦リブを固定することで、鉄骨柱の柱脚をこれに固定された縦リブと、基礎コンクリートに固定されたアンカーボルトを介して基礎コンクリートに定着し、鉄骨柱に作用する引張応力を、ベースプレートを介さずに縦リブとアンカーボルトを介して基礎コンクリートに伝達させるようにしている。
詳細には、第1〜3実施形態では、鉄骨柱は短尺芯材により水平方向の変位が拘束され、縦リブは、鉄骨柱の脚部とアンカーボルトとの間に、ベースプレートに当接させた状態で設けられている。第4実施形態では、短尺芯材で水平方向の変位を拘束した鉄骨柱を、基礎コンクリートから上方に間隔を隔てて、縦リブ及びアンカーボルトで支持するようにしている。
特開2004−92096号公報 特開2009−24367号公報
いずれの特許文献も、鉄骨柱を引き抜く鉛直方向の力を吸収するためのエネルギー吸収構造であって、案内支柱や短尺芯材で鉄骨柱の水平変位を拘束するようにしており、このため、鉄骨柱に作用する曲げモーメントに対しては、案内支柱等が当該曲げモーメントに抵抗してしまって、これら特許文献のベースプレートダンパや縦リブは、曲げモーメントに対して効率良くエネルギー吸収し得るものではなかった。
仮に、特許文献1において、ベースプレートダンパである曲げパネルやせん断パネルが曲げモーメントを負担して変形するとしても、次のような課題があった。
鉄骨柱の柱脚部で曲げモーメントに対するエネルギー吸収を行って建築物の損傷を低減するためには、可能な限り、小さい回転変形の段階からエネルギー吸収すること、すなわち、柱脚部の弾性回転剛性を極力大きく設定することが望ましい。弾性回転剛性が小さいと、曲げモーメントを効率良くエネルギー吸収することができない。
特許文献1の曲げパネルは、面外曲げ降伏によって曲げモーメントに対するエネルギー吸収作用を発揮し得るが、面外曲げ降伏では、大きな弾性回転剛性を確保することはできない。大きな弾性回転剛性を得るには、板厚の厚い曲げパネルを使用しなければならず、コストアップになってしまう。
また、鉄骨柱の左右で見た場合、曲げモーメントによる引張側では、曲げパネルがエネルギー吸収作用を発揮し得るものの、圧縮側では、曲げパネルが基礎部分に突き当たってしまって、このため曲げパネルは機能し得ず、引張側と圧縮側双方でエネルギー吸収することはできない。
せん断パネルであっても、その一端が支持プレートを介して支承プレートに固定されているため、曲げパネルと同様に、面外変形が生じ易く弾性回転剛性が小さいと共に、圧縮側となるせん断パネルは、曲げモーメントを効果的に吸収することはできず、引張側と圧縮側双方でエネルギー吸収することはできない。
特許文献2について、第1〜第3実施形態の構成では、縦リブにより大きな弾性回転剛性を確保することはできるものの、縦リブがベースプレートと当接状態にあるため、特許文献1と同様に、圧縮側では曲げモーメントを効率良く吸収することはできない。
第4実施形態の構成では、静的状態で、縦リブは鉄骨柱に作用する建築物の鉛直荷重を負担している。この状態で鉄骨柱に曲げモーメントが作用して、圧縮側の縦リブに圧縮荷重が、引張側の縦リブに引張荷重が作用すると、圧縮側の縦リブは、鉛直荷重に加えて圧縮荷重を負担する一方、引張側の縦リブには、鉛直荷重から引張荷重を減殺した力が作用することとなり、曲げモーメントに対し、鉄骨柱の引張側と圧縮側とでエネルギー吸収作用に大きな差が生じ、鉄骨柱の左右両側で効率の良いエネルギー吸収性能を確保することができない。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、柱脚部に作用する曲げモーメントに対し、大きな弾性回転剛性を確保し得、かつ引張側及び圧縮側双方で効率の良いエネルギー吸収性能を発揮させることが可能な鉄骨柱の露出型柱脚構造を提供することを目的とする。
本発明に係る鉄骨柱の露出型柱脚構造は、基礎コンクリートに定着され、鉛直方向上向きに作用する力に抵抗する主アンカーボルトと、該主アンカーボルトにナットで締結されるベースプレートが下端に接合され、該ベースプレートを介して上記基礎コンクリート上面に設置される鉄骨柱と、上記基礎コンクリートに、上記ベースプレートの外周を取り囲む配列で定着された複数のアンカーボルトと、上記ベースプレートから上方に間隔を隔てて、上記基礎コンクリート上面における上記鉄骨柱と上記アンカーボルトとの平面配置において、上記鉄骨柱の側部に内端を取り付けかつ上記アンカーボルトに外端を取り付けて設けられ、該鉄骨柱に作用する曲げモーメントに対し、せん断変形されつつエネルギー吸収するエネルギー吸収部材とを備え、前記エネルギー吸収部材は、鋼板製であって、前記アンカーボルトに取り付けられるボルト側取付部と、前記鉄骨柱の側部に取り付けられる柱側取付部と、これらボルト側取付部と柱側取付部との間に鉄骨柱の柱軸方向に沿って上記基礎コンクリートに対し縦向きにかつ該鉄骨柱から外方へ該アンカーボルトに向けて張り出してこれら鉄骨柱とアンカーボルトとの間に設けられ、該鉄骨柱に作用する曲げモーメントに対し、せん断変形されつつエネルギー吸収する変形吸収部とから構成されることを特徴とする。
前記ベースプレートは、前記鉄骨柱の柱芯からその外周縁部までのモーメントアームを小さくするために、該鉄骨柱の下端に接合し得る外形寸法で形成されることを特徴とする。
前記基礎コンクリート上面と向かい合う前記ベースプレートの下面は、三次元曲面で形成されることを特徴とする。
前記変形吸収部には、エネルギー吸収能力を調整する欠損部が形成されることを特徴とする。
前記ボルト側取付部は、前記アンカーボルトが挿通される中空筒体状に形成されることを特徴とする。
本発明に係る鉄骨柱の露出型柱脚構造にあっては、柱脚部に作用する曲げモーメントに対し、大きな弾性回転剛性を確保できると共に、引張側及び圧縮側双方で効率の良いエネルギー吸収性能を発揮させることができる。また、鉄骨柱に上方への引き抜き荷重が作用した場合には、主アンカーボルトがこれを阻止すると共に、すべてのエネルギー吸収部材が補助的に、変形作用を伴って抵抗することができる。詳細には、基礎コンクリート上面における鉄骨柱とアンカーボルトとの平面配置において、鉄骨柱の側部に内端を取り付けかつアンカーボルトに外端を取り付けて、鉄骨柱に作用する曲げモーメントに対し、せん断変形されつつエネルギー吸収するエネルギー吸収部材を設けるようにしたので、せん断変形してエネルギー吸収するエネルギー吸収部材により大きな弾性回転剛性を確保することができて、鉄骨柱の柱脚部における小さい回転変形の段階からエネルギー吸収させることができ、建築物の損傷を適切に低減することができる。エネルギー吸収部材を、ベースプレートから上方に間隔を隔てて設けるようにしたので、すなわち両者が当接状態にないので、変形作用で曲げモーメントのエネルギーを吸収する際、引張側であっても圧縮側であっても、エネルギー吸収部材がベースプレートや基礎コンクリートと干渉してその変形が妨げられることがなく、曲げモーメントに対し、引張側及び圧縮側双方で効率の良いエネルギー吸収作用を確保することができる。エネルギー吸収部材を、アンカーボルトに取り付けられるボルト側取付部(外端側)と、鉄骨柱の側部に取り付けられる柱側取付部(内端側)と、これらボルト側取付部と柱側取付部との間に設けられ、鉄骨柱に作用する曲げモーメントに対し、せん断変形されつつエネルギー吸収する変形吸収部とから構成したので、簡単な構成で鉄骨柱及びアンカーボルトに容易に取り付けることができる。変形吸収部を、鉄骨柱の柱軸方向に沿って縦向きにかつ柱側取付部とボルト側取付部との間に、鉄骨柱から外方へアンカーボルトに向けて張り出して設けるようにしたので、鉄骨柱に作用する曲げモーメントに対し、簡単かつ確実に変形吸収部をせん断変形主体で変形させてエネルギー吸収することができる。
本発明に係る鉄骨柱の露出型柱脚構造の好適な一実施形態を示す一部破断側面図である。 図1に示した露出型柱脚構造を、基礎コンクリートを省略して示す斜視図である。 図1に示した露出型柱脚構造の作用を模式的に説明する側面図である。 本発明に係る鉄骨柱の露出型柱脚構造の変形例を示す側面図である。 図4に示した変形例の作用を説明する側面図である。 本発明に係る鉄骨柱の露出型柱脚構造の他の変形例を説明する説明図である。
以下に、本発明に係る鉄骨柱の露出型柱脚構造の好適な一実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る鉄骨柱の露出型柱脚構造の一部破断側面図、図2は、図1に示した露出型柱脚構造を、基礎コンクリートを省略して示す斜視図、図3は、図1に示した露出型柱脚構造の作用を説明する側面図である。
本実施形態にあっては、鉄骨柱として、平断面四角形状であって、上下端が開放された中空筒体状の角形鋼管柱1が例示されている。角形鋼管柱1の柱脚部1a下端にはこれを塞いで、鋼板製のベースプレート2が溶接等によって接合される。ベースプレート2には、角形鋼管柱1の柱芯位置に、ボルト挿通孔2aが形成される。
鉄骨柱は、平断面四角形状の角形鋼管柱1に限らず、平断面多角形状や円形状の鋼管柱であっても、あるいはH形鋼柱であっても良い。H形鋼柱の場合には、ベースプレート2に形成されるボルト挿通孔2aは、ウエブを挟む位置に一対形成される。
他方、角形鋼管柱1を設置する基礎コンクリート3には、当該基礎コンクリート上面3aから突出させて、主アンカーボルト4が定着される。基礎コンクリート上面3aに施工したグラウトG上に、主アンカーボルト4をベースプレート2のボルト挿通孔2aに挿通しつつ、当該ベースプレート2を介して角形鋼管柱1を設置し、その後、角形鋼管柱1に設けた作業穴(図示せず)から主アンカーボルト4の上端ネジ部にワッシャ5を介してナット6を締結することで、角形鋼管柱1は基礎コンクリート3の上面3aに設けられる。
主アンカーボルト4は、鉛直方向上向きに作用する力に抵抗して、角形鋼管柱1の引き抜きを阻止する。同時に、角形鋼管柱1は、主アンカーボルト4による基礎コンクリート3へのピン接合で、柱脚部1aに作用する曲げモーメントM(図3参照)に起因する前後左右方向への傾動が許容される。なお、主アンカーボルト4については、特段設けなくても良く、後述するアンカーボルト7のみで角形鋼管柱1と基礎コンクリート3とを接合しても良い。
そしてまた、外力が作用しない静的状態において、角形鋼管柱1が伝達する建築物の鉛直荷重はすべて、ベースプレート2を介して、基礎コンクリート3に伝達され、この基礎コンクリート3で支持負担するようになっている。
ベースプレート2は、曲げモーメントMで角形鋼管柱1の柱脚部1aが僅かながら前後左右に傾動する際、柱芯からの大きなモーメントアームでその外周下縁部が基礎コンクリート上面3aやグラウトGと干渉して突き当たらないように、すなわちモーメントアームを小さくするために、角形鋼管柱1の平面外形寸法よりも僅かに大きな平面外形寸法で形成される。好ましくは、ベースプレート2は、角形鋼管柱1の下端に溶接等によって接合し得る最小限の平面外形寸法に設定される。
基礎コンクリート3には、当該基礎コンクリート上面3aから突出させて、ベースプレート2の外周を取り囲む配列で、互いに適宜間隔を隔てて複数のアンカーボルト7が定着される。従って、アンカーボルト7は、角形鋼管柱1の側方に配設される。図示例にあっては、平断面四角形状の角形鋼管柱1の隅角部1b外方に位置させて、4本のアンカーボルト7が設けられている(図2参照)。
アンカーボルト7は、角形鋼管柱1の4つの側面部1cに面するように4本設けても良く、あるいは側面部1c及び隅角部1b双方に面するように8本設けるなど、配設位置及び本数は、適宜に設定して良い。もちろん、鉄骨柱が平断面多角形状や円形状の鋼管柱であっても、あるいはH形鋼柱であっても、適宜本数を適宜位置に設ければよい。好ましくは、アンカーボルト7は鉄骨柱の前後左右に対し、均等に配設される。アンカーボルト7としては、異形鉄筋や丸鋼など、従来周知のどのようなものを使用しても良い。
角形鋼管柱1と当該角形鋼管柱1の側方に位置する各アンカーボルト7との間には、エネルギー吸収部材8が設けられる。基礎コンクリート上面3aにおける角形鋼管柱1とアンカーボルト7との平面配置において、エネルギー吸収部材8は、内端8aが角形鋼管柱1の側部(隅角部1b)に取付固定され、外端8bがアンカーボルト7に取付固定されて、角形鋼管柱1とアンカーボルト7との間に設けられる。
詳細には、エネルギー吸収部材8は、鋼板製であって、角形鋼管柱1の柱軸方向に沿って基礎コンクリート3に対し縦向きの変形吸収部8cを主体として構成され、変形吸収部8cの外端8bがアンカーボルト7に取付固定されるボルト側取付部として、内端8aが角形鋼管柱1の側部に取付固定される柱側取付部として構成され、これら柱側取付部とボルト側取付部との間に、角形鋼管柱1から外方へアンカーボルト7に向けて張り出して変形吸収部8cが備えられる。
本実施形態にあっては、柱側取付部は、角形鋼管柱1の隅角部1bに面して、当該隅角部1bに対し突き合わせ溶接される変形吸収部8cの縦方向端縁(内端8a)で構成され、当該溶接接合によりエネルギー吸収部材8は角形鋼管柱1に取付固定される。
柱側取付部は、変形吸収部8cの当該端縁に、角形鋼管柱1の隅角部1bあるいは側面部1cに沿う形態のL字状もしくは平板状のブラケットを接合して構成しても良い。ブラケットで取り付けを行う場合には、溶接接合に代えて、高力ボルトによるボルト接合としても良い。
ボルト側取付部は、変形吸収部8cの外端8bに縦向きに接合され、アンカーボルト7がこれに挿通される中空筒体状のスリーブ9で構成される。スリーブ9に挿通するアンカーボルト7には、当該スリーブ9を上下方向から挟むように、上下一対でナット10,11が締結される。下方のナット11を予めアンカーボルト7に螺合しておき、アンカーボルト7にスリーブ9を挿通した後、上方のナット10をアンカーボルト7に締結しつつ下方のナット11をスリーブ9に突き当てるように締結することで、エネルギー吸収部材8はアンカーボルト7に取付固定される。
スリーブ9は、変形吸収部8cを曲げ加工することにより、当該変形吸収部8cに一体的に形成するようにしても良い。ボルト側取付部は、スリーブ9で取り付けることに代えて、柱側取付部と同様に、アンカーボルト7に対し直接溶接接合するようにしても良い。
さらに、エネルギー吸収部材8は、全体がベースプレート2から上方に間隔Cを隔てて設けられる。エネルギー吸収部材8の下端とベースプレート2の上面と間の当該間隔Cは、後述するように変形吸収部8cが変形する際に、当該変形吸収部8cが基礎コンクリート3やグラウトGと干渉してその変形が妨げられることがないように設定される。
エネルギー吸収部材8の変形吸収部8cの降伏強度は、角形鋼管柱1やアンカーボルト7、スリーブ9のいずれの降伏強度よりも小さく設定され、露出型柱脚構造において当該変形吸収部8cに変形が集中するように設定される。変形吸収部8cの降伏強度は、板厚や高さ寸法、幅寸法により適宜に設定される。
静的状態においては、建築物の鉛直荷重はすべて、ベースプレート2を介して基礎コンクリート3で負担するようになっていて、エネルギー吸収部材8はほぼ無負荷状態であるように設定される。
次に、本実施形態に係る鉄骨柱の露出型柱脚構造の作用について説明する。施工に際しては、角形鋼管柱1に予め、ベースプレート2及びエネルギー吸収部材8を取り付けておく。また、基礎コンクリート3には、主アンカーボルト4及びエネルギー吸収部材8を取り付けるアンカーボルト7を定着しておく。
次いで、角形鋼管柱1を基礎コンクリート3上に吊り込み、ベースプレート2のボルト挿通孔2aに主アンカーボルト4を挿通すると共に、エネルギー吸収部材8のスリーブ9にアンカーボルト7を挿通し、基礎コンクリート上面3aに設けたレベルモルタルを介して、基礎コンクリート3上に角形鋼管柱1を設置する。
次いで、主アンカーボルト4及びアンカーボルト7にナット6,10,11を締結し、ベースプレート2と基礎コンクリート上面3aとの隙間にグラウトGを充填して、ベースプレート2を介して基礎コンクリート3上に角形鋼管柱1を固定支持する。以上により、角形鋼管柱1の設置作業が完了される。
外力が作用しない静的状態では、角形鋼管柱1の柱軸方向に沿って作用する建築物の鉛直荷重は、基礎コンクリート2が負担している。
建築物に外力が加わって、角形鋼管柱1の柱脚部1aに曲げモーメントMが発生すると、エネルギー吸収部材8は図3に示すように、当該曲げモーメントMに対し、主としてせん断変形されつつ、場合によっては曲げ変形を伴って、エネルギーを吸収する。
具体的には、エネルギー吸収部材8の変形吸収部8cは、曲げモーメントMによって傾動し得る角形鋼管柱1の柱脚部1aの引張側(図中、矢印tで示す)においては、引き上げ作用でせん断変形等し、また圧縮側(図中、矢印cで示す)においては、相対的な押し下げ作用でせん断変形等して、この変形作用でエネルギー吸収を行う。この際、エネルギー吸収部材8は、ベースプレート2から上方に間隔Cを隔てて設けられているので、変形吸収部8cが基礎コンクリート3やベースプレート2に当接されて、変形によるエネルギー吸収作用が阻害されるようなことはない。
また、角形鋼管柱1に上方への引き抜き荷重が作用した場合には、主アンカーボルト4がこれを阻止すると共に、すべてのエネルギー吸収部材8が補助的に、変形吸収部8cの変形作用を伴って抵抗する。
以上説明した本実施形態に係る鉄骨柱の露出型柱脚構造にあっては、角形鋼管柱1の隅角部1bや側面部1cに内端8aを取り付けかつアンカーボルト7に外端8bを取り付けて、角形鋼管柱1に作用する曲げモーメントMに対し、せん断変形されつつエネルギー吸収するエネルギー吸収部材8を設けるようにしたので、せん断変形してエネルギー吸収するエネルギー吸収部材8により大きな弾性回転剛性を確保することができて、角形鋼管柱1の柱脚部1aにおける小さい回転変形の段階からエネルギー吸収させることができ、建築物の損傷を適切に低減することができる。
エネルギー吸収部材8を、ベースプレート2から上方に間隔Cを隔てて設けるようにしたので、すなわち両者が当接状態にないので、変形作用で曲げモーメントMのエネルギーを吸収する際、引張側であっても圧縮側であっても、エネルギー吸収部材8がベースプレート2や基礎コンクリート3と干渉してその変形が妨げられることがなく、曲げモーメントMに対し、引張側及び圧縮側双方で効率の良いエネルギー吸収作用を確保することができる。
ベースプレート2を、角形鋼管柱1の下端に接合し得る外形寸法で形成するようにしたので、ベースプレート2におけるモーメントアームを小さくすることができて、曲げモーメントMに伴ってベースプレート2から基礎コンクリート3へ伝達され得る力を極力小さくすることができ、これにより基礎コンクリート3から角形鋼管柱1に作用する抵抗力を低減することができる。また、ベースプレート2のコンパクト化により、コストダウンを達成できる。
エネルギー吸収部材8を、アンカーボルト7に取り付けられるボルト側取付部(外端8b側)と、角形鋼管柱1の隅角部1b等に取り付けられる柱側取付部(内端8a側)と、これらボルト側取付部と柱側取付部との間に設けられ、せん断変形されつつエネルギー吸収する変形吸収部8cとから構成したので、簡単な構成で角形鋼管柱1及びアンカーボルト7に容易に取り付けることができる。
変形吸収部8cを、角形鋼管柱1の柱軸方向に沿って縦向きにかつ柱側取付部とボルト側取付部との間に、角形鋼管柱1から外方へアンカーボルト7に向けて張り出して設けるようにしたので、角形鋼管柱1に作用する曲げモーメントMに対し、簡単かつ確実に変形吸収部8cをせん断変形主体で変形させてエネルギー吸収することができる。
ボルト側取付部を、アンカーボルト7が挿通される中空筒体状のスリーブ9で構成したので、角形鋼管柱1を基礎コンクリート3上へ設置する作業と並行して、エネルギー吸収部材8をアンカーボルト7に取り付けることができ、施工性を向上することができる。
図4及び図5には、上記実施形態の変形例が示されている。この変形例が上記実施形態と異なる点は、基礎コンクリート上面3aと向かい合うベースプレート2の下面2bを、三次元曲面で形成したことにある。本変形例にあっては、基礎コンクリート3上に施工させるグラウトG上面には、ベースプレート2の三次元曲面に沿って、三次元曲面形態の凹部12が形成されている。
ベースプレート下面2bの三次元曲面は例えば、球面であるが、曲率半径が一定の球面に限らず、ベースプレート2の中央から周縁に向かって曲率半径が次第に大きくなるような三次元曲面であっても良い。
ベースプレート2の下面2bを三次元曲面で形成すると、角形鋼管柱1の柱脚部1aに曲げモーメントMが作用した際、引張側で柱軸方向に迫り上がり変位(図中、uで示す)が生じると同時に、圧縮側で明らかに沈み込み変位(図中、dで示す)が生じることとなり、これにより圧縮側においても変形吸収部8cに十分な変形を生じさせることができ、圧縮側及び引張側双方のエネルギー吸収部材8にほぼ均等なエネルギー吸収作用を発揮させることができ、効率の良いエネルギー吸収性能を確保することができる。
また、ベースプレート2が基礎コンクリート上面3aでほぼ転動する態様なので、ベースプレート2から基礎コンクリート3への荷重伝達をさらに確実に抑えることができる。
図6には、上記実施例の他の変形例が示されている。この変形例が上記実施形態と異なる点は、変形吸収部8cに、エネルギー吸収能力を調整するために、欠損部を形成したことにある。
図6(a)は、横向きのスリット13aを柱軸方向に間隔を隔てて複数形成したもの、図6(b)は、柱軸方向に沿って縦向きのスリット13bを配設したもの、図6(c)は、上端及び下端に湾曲させた形態で切り欠き部13cを形成したものである。これら欠損部により、鋼板製の変形吸収部8cの変形性能もしくは降伏強度を設定して、エネルギー吸収能力を容易に調整することができる。
以上の変形例にあっても、上記実施形態と同様の作用を奏することはもちろんである。
上記実施形態にあっては、スリーブ9によりエネルギー吸収部材8をアンカーボルト7に取り付けるようにしたが、スリーブ9に代えて、内周面に雌ネジが形成されたカプラーを用いるようにしても良い。この場合は、カプラーに螺合する追加のボルトを用意し、アンカーボルト7の上端に追加のナットを介して連結すればよい。
1 角形鋼管柱
2 ベースプレート
2b ベースプレートの下面
3 基礎コンクリート
3a 基礎コンクリート上面
7 アンカーボルト
8 エネルギー吸収部材
8a エネルギー吸収部材の内端
8b エネルギー吸収部材の外端
8c 変形吸収部
9 スリーブ
13a 横向きのスリット
13b 縦向きのスリット
13c 切り欠き部
C 間隔

Claims (5)

  1. 基礎コンクリートに定着され、鉛直方向上向きに作用する力に抵抗する主アンカーボルトと、
    該主アンカーボルトにナットで締結されるベースプレートが下端に接合され、該ベースプレートを介して上記基礎コンクリート上面に設置される鉄骨柱と、
    上記基礎コンクリートに、上記ベースプレートの外周を取り囲む配列で定着された複数のアンカーボルトと、
    上記ベースプレートから上方に間隔を隔てて、上記基礎コンクリート上面における上記鉄骨柱と上記アンカーボルトとの平面配置において、上記鉄骨柱の側部に内端を取り付けかつ上記アンカーボルトに外端を取り付けて設けられ、該鉄骨柱に作用する曲げモーメントに対し、せん断変形されつつエネルギー吸収するエネルギー吸収部材とを備え、
    前記エネルギー吸収部材は、鋼板製であって、前記アンカーボルトに取り付けられるボルト側取付部と、前記鉄骨柱の側部に取り付けられる柱側取付部と、これらボルト側取付部と柱側取付部との間に鉄骨柱の柱軸方向に沿って上記基礎コンクリートに対し縦向きにかつ該鉄骨柱から外方へ該アンカーボルトに向けて張り出してこれら鉄骨柱とアンカーボルトとの間に設けられ、該鉄骨柱に作用する曲げモーメントに対し、せん断変形されつつエネルギー吸収する変形吸収部とから構成されることを特徴とする鉄骨柱の露出型柱脚構造。
  2. 前記ベースプレートは、前記鉄骨柱の柱芯からその外周縁部までのモーメントアームを小さくするために、該鉄骨柱の下端に接合し得る外形寸法で形成されることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨柱の露出型柱脚構造。
  3. 前記基礎コンクリート上面と向かい合う前記ベースプレートの下面は、三次元曲面で形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の鉄骨柱の露出型柱脚構造。
  4. 前記変形吸収部には、エネルギー吸収能力を調整する欠損部が形成されることを特徴とする請求項1から3いずれかの項に記載の鉄骨柱の露出型柱脚構造。
  5. 前記ボルト側取付部は、前記アンカーボルトが挿通される中空筒体状に形成されることを特徴とする請求項1から4いずれかの項に記載の鉄骨柱の露出型柱脚構造。
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