JP4878144B2 - 制振壁の連結構造 - Google Patents
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また、このような耐力壁は基礎上に設置固定され、該基礎から突出するアンカーに連結されている。
前記制振壁パネルは、基礎上に敷き込まれた床上に立設するとともに、基礎から突出して床を貫通するアンカーに連結されている。したがって、地震力によって建物に生じる震動を制振壁パネルによって制振する場合、制振壁パネルが床に当接しているので、地震の際に制振壁パネルが床にめり込んでしまって、制振機能を十分に発揮できなくなるというおそれがある。
前記アンカー6の上端部には、前記制振壁11を前記床3から上方に離間させた状態で前記アンカー6に連結する連結手段8が設けられ、
前記連結手段8は、前記アンカー6の上端部に前記床3と接しない状態で固定されて、前記制振壁パネル11を下方から支持する支持部材15と、この支持部材15に設置された制振壁パネル11の下端部に挿入されたアンカー6に設けられて、前記制振壁パネル11を前記支持部材15に固定する固定部材(ナット)18とを備えていることを特徴とする。
また、支持部材15を床3と接しない状態でアンカー6の上端部に固定する場合、支持部材15を床3の上方でアンカー6に固定してもよいし、床3に座掘り等の凹3a所を形成しておき、この凹所3cに支持部材15を凹所3cの内壁に接しないようにしてアンカー6に固定してもよい。
前記支持部材15は、前記床3の上面に形成された凹所3cに配置されていることを特徴とする。
前記制振壁11の下端部には連結室14aが設けられており、
前記連結手段8は、前記連結室14aに設置されるとともに、この連結室14aに挿入された前記アンカー6が下端部に螺合する高ナット36と、この高ナット36の上端部に螺合されて前記連結室14aの上壁に当接可能なボルト40とを備えていることを特徴とする。
したがって、制振壁11を床3から上方に離間した状態でアンカー6に固定することができるので、地震の際に制振壁11が床3にめり込むのを防止でき、よって、建物に生じる震動を制振壁11によって確実に制振できる。
また、高ナット36へのボルト40のねじ込み長さを調整することによって、高ナット36の高さを調整でき、これによって、制振壁11の高さ、つまり、制振壁11の床3からの離間距離を容易に調整できる。
前記アンカー6は連結室14aの床部に形成された孔41を貫通することによって前記連結室14a内に挿入されており、前記孔41は前記制振壁11の表面に開口していることを特徴とする。
前記アンカー6に連結された制振壁(制振壁パネル)11上には上階床43が設置され、前記制振壁11の上方には前記上階床43を挟んで、上階制振壁(上階制振壁パネル)45が設けられており、この上階制振壁45と前記制振壁11とが前記上階床43を貫通する軸状部材(胴差ボルト)48によって連結されており、
この軸状部材48の上端部には、前記上階制振壁45を前記上階床43から上方に離間させた状態で前記軸状部材48に連結する連結手段50が設けられていることを特徴とする。
また、上階制振壁45と制振壁11とが軸状部材48によって連結されているので、地震力によって建物に生じる震動を、上階と下階とで効率よく制振できる。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態を示すもので、基礎構造の断面図である。第1図において符号1は、基礎を示す。この基礎1は断面T字形をなす布基礎であり、フーチング部1aと立上り部1bとから構成されている。立上り部1bは地盤面Gから上方に突出しており、その上端面には台輪2が設けられている。この台輪2に床3が敷設されており、該床3は台輪2を介して基礎1によって下方から支持されている。床3は複数の床パネル4を水平方向に連結することによって構成されており、基礎1の上端面において隣り合う床パネル4,4が連結されている。床パネル4は、框材4aを矩形枠状に組み立てるとともに、この矩形枠の内側に補強桟材を縦横に組み付け、さらに、矩形枠の上面に合板等からなる面材4bを取り付けてなるものである。
さらに、アンカーボルト6の上端部には、図1および図2に示すように、張出部10が設けられている。この張出部10はアンカーボルト6から外側に張り出す断面L字形のプレートであり、水平板部10aと垂直板部10bとによって構成されており、これら水平板部10aと垂直板部10bとは直角に一体的に形成されている。水平板部10aの中央部にはねじ穴10cが形成されており、このねじ穴10cをアンカーボルト6の上端部に形成されている雄ねじ6aに螺合させることによって、張出部10がアンカーボルト6の上端部に取り付けられている。
また、張出部10はその水平板部10aの上面が、基礎1の上端面と面一になるようにして配置されており、水平板部10aの端部は基礎1の立上り部1bの側面とほぼ面一となっている。
さらに、張出部10の垂直板部10bは、基礎鉄筋5の上端筋5bに向けて垂設されており、該垂直板部10bの下端部が上端筋5bに当接され、溶接や番線等の結束によって該上端筋5bに固定されている。
制振壁パネル11は建築用の壁パネル12と、この壁パネル12に形成された開口部12dに取り付けられた制振装置13とを備えている。壁パネル12は上下に間隔をおいて設けられた小壁パネル12a、腰壁パネル12bと、これらパネル12a,12bを連結する柱状の結合材12c,12cとを備えて構成されている。
すなわち、前記結合材12cの下端部には、鋼製の連結金具14が取り付けられている。この連結金具14は、図4に示すように、矩形状の連結室14aを有しており、この連結室14aに、前記アンカーボルト6の上端部が下方から連結金具14の下壁部を貫通して挿入されている。
また、前記連結室14aに挿入されたアンカーボルト6には、座金16、ばね座金17が外挿されたうえで、ナット(固定部材)18が螺合している。そして、このナット18を締め付けることによって、連結金具14が支持部材15に固定され、これによって制振壁パネル11が支持部材15に固定されている。したがって、制振壁パネル11は、アンカーボルト6の上端部に、該制振壁パネル11を床3から上方に離間させた状態で連結されている。
なお、制振壁パネル11の上端部は上階の床の下面に当接され、複数のガセット19によって床に結合されている。
すなわち、図3および図5に示すように、制振装置13はフレーム22と、このフレーム22に対向して設けられた一対の支持部23,23と、この支持部23,23によって支持された振り子部材24と、前記フレーム22に取り付けられた制振ボックス25とを備えている。
すなわち、振り子部材24は板状でかつ略菱形状に形成されており、長手方向を上下に向けて配置されている。振り子部材24の中央部の左半分は、一方の支持部23の支持板23a,23a間に挟まれており、右半分は他方の支持部3の支持板23a,23a間に挟まれている。
また、一方の支持部23の支持板23a,23aの頂部には孔が形成されており、他方の支持部23の支持板23a,23aの頂部にも孔が形成されている。一方、振り子部材24の中央部には、左右に離間して孔が形成されており、これら孔のうち左側の孔24aは左右に長い長孔となっている。
これによって、振り子部材24は、一対の支持部23,23によって軸30,30を介して支持されており、この振り子部材24は、震動によって一対の支持部23,23が変位した場合に、該一対の支持部23,23間の略中央部、言い換えれば、軸30,30間の中央部を中心として振れるように構成されている。
制振ボックス25内には、一対の制振ゴム(制振部材)26,26と、これら制振ゴム26,26間に挿入されかつ該一対の制振ゴム26,26に固着されたプレート27とが設けられている。プレート27の一端部(上端部)は、ボックス25より上方に突出しており、この突出した部分が、プレート28を介して振り子部材24の端部に連結されている。
一対の支持部23,23が変位することによって、振り子部材24が一対の支持部23,23間の略中央部を中心として振り子のように振れ、この振り子部材24の端部は振れが増幅され、これによって、前記一対の支持部23,23の変位が増幅される。
そして、振り子部材24の端部と制振ボックス25のプレート27とが連結されており、この連結プレート27は制振ゴム26,26間に挿入されかつ該一対の制振ゴム26,26に固着されているので、この制振ゴム26,26の変形を増幅できる。したがって、建物の小さな変形から制振機能を有効に働かせることができる。
また、制振ゴム26,26の変形速度も建物の変形速度より増幅することができるため、エネルギー吸収性能が変形速度に比例する粘弾性材料から形成された制振ゴムを用いる場合には、より効率的にエネルギーを吸収でき、大きな減衰力を発揮できる。
したがって、地震によって制振壁パネル11が変形して、アンカーボルト6に圧縮力が作用した場合に、該圧縮力に十分耐えることができる。
また、アンカーボルト6の下端部にはナット7が設けられているので、このナット7によてアンカーボルト6の引き抜き力に耐えることができるが、前記張出部10が断面L字型のプレートであり、このプレートの垂直板部10bが基礎鉄筋5の上端筋5bに固定されているので、アンカーボルト6の引き抜き強度を向上させることができる。
さらに、この張出部10が垂直板部10bを有しているので、アンカーボルト6に地震等の際に横揺れが作用した際に、垂直板部10bによってアンカーボルト6の倒れを防止できる。
また、前記支持部材15およびナット35は、凹所3cの内壁面(側面と底面)に接しないようにして配置されている。
上記のように制振壁パネル11を下方から支持する支持部材15およびナット35が床3の上面の凹所3cに配置されているので、支持部材15およびナット35が露出するのを防止できるとともに、制振壁パネル11と床3との間の隙間を狭くできる。
図8は、第2の実施の形態を示すもので、制振壁パネル11と床3の連結部を示す断面図である。
この図に示すように、制振壁パネル11を床3から上方に離間させた状態でアンカーボルト6に連結する連結手段8は以下のように構成されている。
すなわち、制振壁パネル11の下端部には鋼製の連結金具14が取り付けられており、この連結金具14には連結室14aが設けられている。この連結室14aは制振壁パネル11の表面側と裏面側に開口している。
また、高ナット36の上端部には、ボルト40が螺合しており、このボルト40の頭部40aは連結室14aの上壁に当接可能となっている。
この高ナット36の下端部にはアンカーボルト6の上端部が螺合して固定されているので、制振壁パネル11を床3から上方に離間した状態で連結金具14を介してアンカーボルト6に固定することができるので、地震の際に制振壁パネル11が床3にめり込むのを防止でき、よって、建物に生じる震動を制振壁パネル11によって確実に制振できる。
また、高ナット36へのボルト40のねじ込み長さを調整することによって、高ナット36の高さを調整でき、これによって、制振壁パネル11の高さ、つまり、制振壁パネル11の床3からの離間距離を容易に調整できる。
すなわち、図9に示すように、連結室14aの床部には、孔41が形成されている。この孔41は床部を上下に貫通するとともに、床部の中央部から連結室14の開口部側、つまり制振壁パネル11の表面側に向けて延在しており、この制振壁パネル11の表面に開口している。
本実施の形態では、1階の制振壁パネル11の上方に2階床(上階床)43を挟んで上階制振壁パネル45が設けられている。
2階床43は、複数の床パネル4を水平方向に連結することによって構成されており、1階の壁パネルや1階の制振壁パネル11の上端面において隣り合う床パネル4,4が連結されている。
この連結金具46は、矩形状の連結室46aを有しており、この連結室46aの上壁面には、ナット47が溶接によって固定されている。また、連結金具46の上壁部には、ナット47のねじ穴と同軸の貫通孔46bが形成されている。
ナット47には2階床43を貫通する胴差ボルト(軸状部材)48の下端部が螺合されており、さらに、この胴差ボルト46の下端部には、ナット47の下側においてナット49が螺合されている。
壁パネル12は上下に間隔をおいて設けられた小壁パネル12a、腰壁パネル12bと、これらパネル12a,12bを連結する柱状の結合材12c,12cとを備えて構成されている。なお、上階制振壁パネル45の制振装置13は、1階の制振壁パネル14の制振装置13と同様の構造であるので、構成部材については同一符号を付してその説明を省略する。
すなわち、図11に示すように、上階制振壁パネル45の結合材12cの下端部には、鋼製の連結金具54が取り付けられている。この連結金具54は、矩形状の連結室54aを有しており、この連結室54aに、前記胴差ボルト48の上端部が下方から連結金具54の下壁部を貫通して挿入されている。
前記胴差ボルト48の上端部には、支持部材55が設けられている。この支持部材55は鋼製の円板状のプレートであり、その中央部にはねじ穴55aが形成されている。そして、支持部材55はそのねじ穴55aを胴差ボルト48の雄ねじ48aに螺合することによって、胴差ボルト48の上端部に固定されている。この状態において支持部材55と2階床43との間には若干の隙間Sが設けられている。そして、この支持部材55に前記連結金具54が設置されることによって、支持部材55によって上階制振壁パネル45が下方から支持されており、該2階制振壁パネル45は床43から上方に離間した状態となっている。
なお、2階制振壁パネル45の上端部は2階の梁の下面に当接され、複数のガセット19によって床に結合されている。
また、上階制振壁パネル45と1階の制振壁パネル11とが胴差ボルト48によって連結されているので、地震力によって建物に生じる震動を、上階と下階とで効率よく制振できる。
また、本実施の形態では、胴差ボルト48の上端部を連結室54aに挿入する際に、連結室54aの床部に貫通孔を形成し、この貫通孔を通して下方から挿入したが、これに代えて、胴差ボルト48を、図9に示すものと同様にして、横から挿入するようにしてもよい。
さらに、図12に示すように、連結金具46と上階床43との間に、ナット59を装入してこのナット59を胴差ボルト48に螺合し、さらに、この胴差ボルト48の下端部に、座金60、ばね座金61を外挿したうえで、ナット62を螺合し、このナット62と前記ナット59を締め付けることによって、前記胴差ボルト48を連結金具46に固定してもよい。また、ナット59と上階床43との間に隙間を設けてもよい。
3 床
3c 凹所
6 アンカーボルト(アンカー)
8 連結手段
11 制振壁パネル(制振壁)
13 制振装置
14a 連結室
15 支持部材
18 ナット(固定部材)
22 フレーム
23 支持部
24 振り子部材
26 制振ゴム(制振部材)
36 高ナット
40 ボルト
41 孔
43 2階床(上階床)
45 上階制振壁パネル(上階制振壁)
48 胴差ボルト(軸状部材)
50 連結手段
Claims (5)
- 基礎上に床が設置され、前記基礎から突出するアンカーが前記床を貫通しており、このアンカーに制振壁が連結された制振壁の連結構造であって、
前記アンカーの上端部には、前記制振壁を構成する制振壁パネルを前記床から上方に離間させた状態で前記アンカーに連結する連結手段が設けられ、
前記連結手段は、前記アンカーの上端部に前記床と接しない状態で固定されて、前記制振壁パネルを下方から支持する支持部材と、この支持部材に設置された制振壁パネルの下端部に挿入されたアンカーに設けられて、前記制振壁パネルを前記支持部材に固定する固定部材とを備えていることを特徴とする制振壁の連結構造。 - 請求項1に記載の制振壁の連結構造において、
前記支持部材は、前記床の上面に形成された凹所に配置されていることを特徴とする制振壁の連結構造。 - 請求項1に記載の制振壁の連結構造において、
前記制振壁の下端部には連結室が設けられており、
前記連結手段は、前記連結室に設置されるとともに、この連結室に挿入された前記アンカーが下端部に螺合する高ナットと、この高ナットの上端部に螺合されて前記連結室の上壁に当接可能なボルトとを備えていることを特徴とする制振壁の連結構造。 - 請求項3に記載の制振壁の連結構造において、
前記アンカーは連結室の床部に形成された孔を貫通することによって前記連結室内に挿入されており、前記孔は前記制振壁の表面に開口していることを特徴とする制振壁の連結構造。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の制振壁の連結構造において、
前記アンカーに連結された制振壁上には上階床が設置され、前記制振壁の上方には前記上階床を挟んで、上階制振壁が設けられており、この上階制振壁と前記制振壁とが前記上階床を貫通する軸状部材によって連結されており、
この軸状部材の上端部には、前記上階制振壁を前記上階床から上方に離間させた状態で前記軸状部材に連結する連結手段が設けられていることを特徴とする制振壁の連結構造。
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