JP2020070585A - 耐力壁および建物 - Google Patents

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Keiichi Sato
圭一 佐藤
綾那 久積
Ayana Hisazumi
綾那 久積
清水 信孝
Nobutaka Shimizu
信孝 清水
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Abstract

【課題】部品点数が少なく、低層・中低層住宅の建物においても地震時に入力されるエネルギーを合理的かつ十分に吸収することができる耐力壁および建物を提供する。【解決手段】水平方向に距離を隔て、互いの内側フランジ13aが対向して配置されたH形鋼で形成された一方の柱部材11および他方の柱部材11と、一方の柱部材11の内側フランジ13aと他方の柱部材11の内側フランジ13aとに結合されるエネルギー吸収部材15と、柱部材11の上下両端部にそれぞれ接合されるとともに上下の梁20に接合されるエンドプレート16とを備え、柱部材11の外側フランジ13bとウェブ12とのうちの少なくとも外側フランジ13bにエンドプレート16が接合されている。【選択図】図1

Description

本発明は、耐力壁および当該耐力壁を備えた建物に関する。
住宅の耐震構造として、梁等の横架材の間に、地震力(水平力)に抵抗可能な耐力壁を設置した構造が知られている。近年、都心部における狭小住宅や間取りの自由度が高い住宅(大開口、ビルトインガレージ等)に対するニーズが高まる中、壁幅を標準寸法の半分以下とした耐力壁(細幅耐力壁)が志向されている。
耐力壁は、例えば、鉛直力(軸力)を支持する角形鋼管等の柱状の部材(柱部材)に、水平抵抗要素としてブレース(斜材)や耐震デバイス(エネルギー吸収部材)等が接続されて形成される。一般的に、前者は、壁幅が小さくなるほど水平力に対してブレースを急角度で配置することになるため、性能効率が低下し、耐力や剛性の確保が困難となる。これに対し、後者は、デバイスの数量を適宜増やすことで、比較的容易に耐力や剛性を調整することが可能である。しかし、デバイスを支持する部材(ガセットPL等)を柱部材に設ける必要があるため、部材点数や部材品種、加工度が増大する(例えば特許文献1および特許文献2参照)。特に、細幅耐力壁に適用する場合、耐震性能を確保するために必要な壁枚数も増加するため、前記の問題がより顕著となる。
部材の点数や品種、加工度の増大を回避する構造の一例として特許文献3に記載のものが知られている。
この構造は、建築物の主架構柱として複数の部材を連結させて構成され、各々の主架構柱の少なくとも両側部に一対となって配置されるH形鋼の鉛直支持材と、各々の主架構柱の中間部に配置される1箇又は複数のH形鋼の連結材とを備え、前記鉛直支持材及び前記連結材は、前記鉛直支持材の上端及び下端が、建築物の主架構梁に固定されるとともに、前記連結材の上端及び下端が、建築物の主架構梁に固定されることなく間隙を形成させるものであり、前記鉛直支持材のフランジと前記連結材のフランジとが互いに接合されることで、建築物の横方向に連続させて連結されるものとなる。
特許文献3に記載の構造では、鉛直支持材及び連結材に略同一断面形状のH形鋼が用いられるため、各々の主架構柱を構成する複数の部材を共通化させることができるものとなり、鉛直支持材及び連結材の製作コスト、運搬コスト及び主架構柱の施工コストの増大を抑制することが可能となる。
また、特許文献3に記載の構造では、H形鋼で形成された鉛直支持材の両フランジとウェブがエンドプレートに固定され、当該エンドプレートを介して梁と結合されるので、つまり、H形鋼の両フランジの上下端部の全断面およびウェブの上下端部の全断面がエンドプレートを介して梁に強固に拘束されるので、H形鋼が曲げモーメントとせん断力を負担することとなり、水平力に対して高い耐力と剛性を確保できる。さらに、主架構柱の両側部の鉛直支持材から作用する力が、連結材を介して互いに伝達されるため、各々の鉛直支持材を単独で設置する場合よりも、主架構柱全体としての耐力と剛性を強化することができる。
特許第3286611号公報 特許第6103697号公報 特開2016−69839号公報
しかし、特許文献3に記載の構造では、一対の鉛直支持材を構成する一対のH形鋼の両フランジの上下端部の全断面およびウェブの上下端部の全断面がエンドプレートを介して梁に強固に拘束されているので、地震力等の水平力が作用した場合に、一対のH形鋼が水平方向に変位し難くなる。このため、一対のH形鋼の鉛直支持材間に配置され、当該一対の鉛直支持材に結合されているH形鋼で形成された連結材が変形し難くなり、当該連結材に塑性化するほどの変形を与え、耐震デバイスとして使用するためには、一つの主架構柱が負担する水平力を十分大きくする必要がある。したがって、地震等の想定外力が比較的小さい低層・中低層住宅等の建物に適用する場合には、建物内に配置可能な主架構柱の数が少なくなり、構造設計において建物全体としての剛性バランスを確保することが難しくなる。さらに、主架構柱の負担する水平力に合わせて、主架構柱が取り付く周辺部材やその接合部を部分的に補強しなければならず、このため、補強部材が必要になるという問題がある。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、低層・中低層住宅等の建物においても地震時に入力されるエネルギーを合理的かつ十分に吸収することができるとともに、建物全体としての剛性バランスを確保でき、さらに補強部材も不要な耐力壁および建物を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の耐力壁は、水平方向に距離を隔て、互いの内側フランジが対向して配置されたH形鋼で形成された一方の柱部材および他方の柱部材と、
一方の前記柱部材の前記内側フランジと他方の前記柱部材の前記内側フランジとに結合されるエネルギー吸収部材と、
前記柱部材の上下両端部にそれぞれ接合されるとともに上下の水平構造材に接合されるエンドプレートと、を備え、
前記柱部材の前記内側フランジが前記エンドプレートに接合されずに、
前記柱部材の外側フランジとウェブとのうちの少なくとも前記外側フランジに前記エンドプレートが接合されていることを特徴とする。
本発明においては、一方の柱部材の内側フランジと他方の柱部材の内側フランジとにエネルギー吸収部材が結合されているので、エネルギー吸収部材を支持する部材を柱部材に別途設ける必要がない。また、後述するように、柱部材が負担する水平力を抑制できるので、柱部材が取り付く周辺部材やその接合部を部分的に補強する必要もない。このため、補強部材も不要となる。
また、柱部材の内側フランジがエンドプレートに接合されずに、柱部材の外側フランジとウェブとのうちの少なくとも外側フランジにエンドプレートが接合されているので、柱部材の両フランジの上下端部の全断面およびウェブの上下端部の全断面がエンドプレートを介して水平構造材に強固に拘束されず、柱部材の上下端部の断面の一部のみが拘束される。このため、柱部材の負担する水平力を抑制できる。
したがって、地震力等の水平力が作用した場合に、柱部材が水平方向に変位し易くなって、エネルギー吸収部材が変形し易くなるので、地震等の想定外力が比較的小さい低層・中低層住宅等の建物に適用した場合においても、当該エネルギー吸収部材によって地震時に入力されるエネルギーを合理的かつ十分に吸収することができる。また、建物内に本発明に係る耐力壁を適宜配置することにより、構造設計において建物全体としての剛性バランスを確保できる。
また、本発明の前記構成において、前記柱部材の前記外側フランジと前記ウェブの少なくとも一部とに前記エンドプレートが接合されていてもよい。
この場合、ウェブは外側フランジの側に寄った当該ウェブの幅方向における半分以下の部分がエンドプレートに接合されているのが好ましい。
このような構成によれば、エンドプレートを介して水平構造材によって拘束されるのは、柱部材の外側フランジとウェブの少なくとも一部とであるので、柱部材の水平方向変位に伴う、エネルギー吸収部材の変形を誘起しつつ、ウェブとエンドプレートの接合部を介して、柱部材と上下の水平構造材との間で効率良く水平力が伝達されるため、当該エネルギー吸収部材によって地震時に入力されるエネルギーをさらに十分に吸収することができる。
また、本発明の前記構成において、一方の前記柱部材の前記外側フランジの板厚中心と他方の前記柱部材の前記外側フランジの板厚中心の間の距離に対し、前記柱部材の上下方向の長さが5.5倍以上であってもよい。
このような構成によれば、耐力壁の幅に対して、上下方向の長さが5.5倍以上となるので、耐力壁の細幅化を図ることができる。したがって、耐力壁の省スペース化による建物のプラン自由度が向上する。
また、本発明の前記構成において、前記エネルギー吸収部材が、前記柱部材の端部から前記柱部材の幅の2倍以上の距離を隔てて配置されていてもよい。
ここで、前記柱部材の幅とは、当該柱部材の前記外側フランジの外側を向く面と前記内側フランジの内側を向く面との間の水平距離のことを言う。
このような構成によれば、エネルギー吸収部材が柱部材の上下端部に配置されないので、エネルギー吸収部材の変形に起因して柱部材のウェブの上下端部に作用する圧縮力を緩和し、当該ウェブの上下端部の局部座屈を抑制できる。
また、本発明の前記構成において、前記エネルギー吸収部材が、鋼板をU形に折り曲げて成形されたU形部材であり、
当該U形部材の一片が一方の前記柱部材の前記内側フランジに結合され、他片が他方の前記柱部材の前記内側フランジに結合されていてもよい。
このような構成によれば、エネルギー吸収部材としてのU形部材の一片が一方の柱部材の内側フランジに結合され、他片が他方の柱部材の内側フランジに結合されているので、一方の前記柱部材の前記内側フランジと他方の前記柱部材の前記内側フランジとに相対変位が生じた場合に、U形部材の一片と他片の間に設けられた略半円筒状の繋ぎ部が位置を移動させながらU形部材が弾塑性変形することとなる。そのため、前記の相対変位に対するエネルギー吸収部材(U形部材)の変形追従性を向上させ、エネルギー吸収部材自体の過大な耐力上昇を抑制することができ、耐力壁としてより安定したエネルギー吸収性能を発揮できる。また、エネルギー吸収部材がU形部材であるので、板状のエネルギー吸収部材を用いる場合に比べて、形状設計における設計変数が増し、当該変数を適宜調整することで、容易に耐力壁としての構造性能を調整することが可能となる。
また、本発明の前記構成において、前記エネルギー吸収部材が、一方の前記柱部材の前記内側フランジと他方の前記柱部材の前記内側フランジとに着脱可能に結合されていてもよい。
このような構成によれば、エネルギー吸収部材を容易に取り付けることができるとともに、地震力が作用した後にエネルギー吸収部材のみを取替えることが容易となる。
また、本発明に係る建物は、上述したような耐力壁を備えたことを特徴する。
本発明においては、地震時に入力されるエネルギーを十分に吸収することができるとともに、建物全体としての剛性バランスを確保でき、さらに補強部材も不要な耐力壁を備えた建物を容易に得ることができる。
また、耐力壁の細幅化を図ることができるので、耐力壁の省スペース化による建物のプラン自由度が向上する。
本発明によれば、部品点数が少なく、低層・中低層住宅等の建物においても地震時に入力されるエネルギーを合理的かつ十分に吸収することができるとともに建物全体としての剛性バランスを確保でき、さらに補強部材も不要な耐力壁および建物を得ることができる。
本発明の第1の実施の形態に係る耐力壁を示すもので、斜視図である。 同、外力が作用している状態を示す耐力壁の正面図である。 同、変形例を示すもので、(a)は第1変形例を示す正面図、(b)は第2変形例を示す正面図である。 同、変形例を示すもので、(a)は第3変形例を示す平断面図、(b)は第4変形例を示す平断面である。 本発明の第2の実施の形態に係る耐力壁を示す斜視図である。 本発明の第3の実施の形態に係る耐力壁を示す斜視図である。 本発明の第3の実施の形態に係る耐力壁に使用されるエネルギー吸収部材を示すもので、(a)は縦断面図、(b)側面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る耐力壁の第1変形例を示すもので、要部の正面図である。 同、外力が作用している状態を示す耐力壁の要部の正面図である。 本発明の第3の実施の形態に係る耐力壁の第2変形例を示す正面図である。 本発明に係る耐力壁の実施例1〜4を示す正面図である。 本発明に係る耐力壁の実施例1〜4のそれぞれにおいて、水平力を一方向に加力した際に、柱部材の下端部に発生する主応力分布を示す図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の耐力壁10を示す斜視図である。
この耐力壁10は、水平方向に距離を隔てて配置された一方の柱部材11と他方の柱部材11とを備えている。
一方および他方の柱部材11,11はそれぞれH形鋼によって形成されており、当該H形鋼によって形成された柱部材11は、上下に長尺の矩形板状のウェブ12と、このウェブ12の長手方向(上下方向)に沿う縁部に溶接によって結合された左右一対のフランジ13a,13bとを備えている。フランジ13a,13bは上下に長尺な矩形板状に形成されるとともにウェブ12に対して直角に配置されている。
左右一対の柱部材(H形鋼)11,11の内側を向くフランジ13aが内側フランジ13aであり、外側を向くフランジ13bが外側フランジ13bである。
なお、柱部材11は、熱間圧延H形鋼(ロールH形鋼)によって形成してもよいし、溶接組立H形鋼(ビルドH形鋼)または溶接軽量H形鋼によって形成してもよい。
また、耐力壁10はエネルギー吸収部材15を備えている。このエネルギー吸収部材15は縦長の直方体状に形成されており、一方の柱部材11の内側フランジ13aと他方の柱部材11の内側フランジ13aとに結合されている。すなわち、エネルギー吸収部材15の左右の幅寸法は、内側フランジ13a,13aの離間距離と略等しく、エネルギー吸収部材15の奥行方向の寸法は、内側フランジ13aの幅寸法と等しくなっている。
そして、エネルギー吸収部材15の一方の側面が一方の内側フランジ13aに結合され、他方の側面が他方の内側フランジ13aに結合されている。
また、エネルギー吸収部材15の高さ寸法は柱部材11の高さ寸法より短くなっており、本実施の形態では、3個のエネルギー吸収部材15が上下に略等しい間隔で配置されている。
このようなエネルギー吸収部材15は、鋼材や粘弾性体(高分子ゴム等)によって形成され、鋼材としては例えば低降伏点鋼が使用されるが、エネルギー吸収部材15の材質はこれに限ることはない。エネルギー吸収部材15を低降伏点鋼で形成することによって、当該エネルギー吸収部材15を早期に降伏させることができ、これによってエネルギーの吸収を誘起することができる。
また、エネルギー吸収部材15の材質が鋼材の場合、当該エネルギー吸収部材15を溶接等によって内側フランジ13aに結合すればよいし、エネルギー吸収部材15の材質が粘弾性体(高分子ゴム等)の場合、当該エネルギー吸収部材15を接着剤等によって内側フランジ13aに結合すればよい。
また、耐力壁10はエンドプレート16を備えている。エンドプレート16は鋼板で形成された板状のものであり、柱部材11の上下両端部にそれぞれ溶接によって接合されるとともに、上下の梁(水平構造材)20,20にボルト止めまたは溶接によって接合されている。
また、エンドプレート16は柱部材11の外側フランジ13bとウェブ12とのうちの少なくとも外側フランジ13bに接合されるが、本実施の形態では、外側フランジ13bとウェブ12の一部とに接合されている。この場合、ウェブ12は外側フランジ13bの側に寄った当該ウェブ12の幅方向における半分以下の部分がエンドプレート16に接合されている。
また、上下の梁(水平構造材)20,20はそれぞれH形鋼によって形成されており、その長手方向は柱部材11,11の並設方向に向けられている。また、梁20,20のウェブ20aはその幅方向を上下に向けて配置され、上下のフランジ20b,20bは水平に向けられている。
エンドプレート16のフランジ20bの幅方向における長さ寸法は、フランジ20bの幅寸法以下になっており、エンドプレート16はその幅方向の中央部をフランジ20bの幅方向の中央部に揃えたうえで、フランジ20bにボルト止めまたは溶接によって接合されている。なお、柱部材11の上端側のエンドプレート16は上側の梁20の下側フランジ20bに接合され、柱部材11の下端側のエンドプレート16は下側の梁20の上側フランジ20bに接合されている。
また、本実施の形態では、一方の柱部材11の外側フランジ13bの板厚中心と他方の柱部材11の外側フランジ13bの板厚中心の間の距離に対し、柱部材11の上下方向の長さが5.5倍以上となっている。
このような構成とすると、耐力壁10の幅に対して、上下方向の長さが5.5倍以上となるので、耐力壁10の細幅化を図ることができる。したがって、耐力壁10の省スペース化による建物のプラン自由度が向上する。
なお、耐力壁10はその骨組が一方および他方の左右一対の柱部材11,11によって構成されるが、当該柱部材11,11の正面側および/または背面側に面材を取り付けることで、建物の外壁面や内壁面を構成してもよい。
図2に示すように、このような構成の耐力壁10に、地震等によって水平方向の外力(地震力)Fが作用すると、上下の梁20,20が相対的に水平方向に変位する。これによって、耐力壁10が倒れるように変位し、これに伴ってエネルギー吸収部材15が正面視において略平行四辺形状にせん断変形し、外力(地震力)のエネルギーを吸収する。これによって、耐力壁10が地震力に対してエネルギー吸収する性能を高めることができ、耐力壁10の耐震性能を向上させることができる。
本実施の形態によれば、一方の柱部材11の内側フランジ13aと他方の柱部材11の内側フランジ13aとにエネルギー吸収部材15が結合されているので、エネルギー吸収部材15を支持する部材を柱部材11,11に別途設ける必要がない。また、後述するように、柱部材11が負担する水平力を抑制できるので、柱部材11が取り付く周辺部材やその接合部を部分的に補強する必要もない。このため、補強部材も不要となる。
また、柱部材11の外側フランジ13bおよび外側フランジ13bの側に寄ったウェブ12の幅方向における半分以下の部分にエンドプレート16が接合されているので、柱部材11の両フランジ13a,13bの上下端部の全断面およびウェブ12の上下端部の全断面がエンドプレート16を介して梁20,20に強固に拘束されず、柱部材11の上下端部の断面の一部が拘束され、柱部材11の負担する水平力を抑制できる。
したがって、耐力壁10に地震力等の水平力が作用した場合に、柱部材11,11が水平方向に変位し易くなって、エネルギー吸収部材15が変形し易くなるので、地震等の想定外力が比較的小さい低層・中低層住宅に適用した場合においても、当該エネルギー吸収部材15によって地震時に入力されるエネルギーを合理的かつ十分に吸収することができる。また、建物内に耐力壁10を適宜配置することにより、構造設計において建物全体としての剛性バランスを確保できる。
図3は第1の実施の形態の耐力壁10の変形例を示すもので、図3(a)は第1変形例の正面図、図3(b)は第2変形例の正面図である。
第1および第2の変形例の耐力壁10では、一方および他方の柱部材11,11の上下端部の内側がそれぞれ斜めに切断されている。
第1変形例の耐力壁10では、図3(a)に示すように、柱部材11のウェブ12の上端部の内側と内側フランジ13aの上端部とが正面視において略直角二等辺三角形状に切断されている。
第2変形例の耐力壁10では、図3(b)に示すように、柱部材11のウェブ12の上端部の内側と内側フランジ13aの上端部とが正面視において略直角三角形状に切断されており、第1の実施の形態に比して大きく切断されている。また、第2変形例では、このように大きく切断することによって、エンドプレート16に外側フランジ13bは接合されているが、ウェブ12はその上端部12a(外側フランジ13bとの交差部)のみがエンドプレート16に接合されている。
また、第2の変形例の耐力壁10では、柱部材11,11の上下端部を上述したように大きく切断したため、内側フランジ13a,13aの上下の高さ寸法が短くなっている。このため、エネルギー吸収部材15は、第1変形例に比して、上下方向中央部に寄せた状態となっている。
このような第1および第2変形例では、柱部材11,11の上下端部の内側がそれぞれ斜めに切断されているので、大地震等によって水平方向の外力が大きく作用して耐力壁10が大きく倒れるように変位した場合に、柱部材11,11の内側の上下端部が周囲の他の部材(例えば梁等)に接触するのを回避でき、安定して変形させることができる。また、耐力壁10の軽量化を図ることもできる。
図4は第1の実施の形態の耐力壁10の変形例を示すもので、図4(a)は第3変形例の平断面図、図4(b)は第4変形例の平断面図である。
第3変形例の耐力壁10では、図4(a)に示すように、柱部材(H形鋼)11の外側フランジ13bの板厚(t1)が、内側フランジ13aの板厚(t2)よりも大きくなっている。また、表1にこのような耐力壁10における板厚(t1)と板厚(t2)の組合せを例示する。
Figure 2020070585
このように、外側フランジ13bの板厚(t1)を内側フランジ13aの板厚(t2)よりも大きくすることで、鋼重すなわち耐力壁10の重量の増加を最小限に抑えつつ、柱部材11の軸方向耐力の強化が可能となる。
第4変形例の耐力壁10では、図4(b)に示すように、柱部材(H形鋼)11の内側フランジ13aの幅(b2)が、外側フランジ13bの幅(b1)よりも小さくなっている。また、表2にこのような耐力壁10における外側フランジ13bの幅(b1)と内側フランジ13aの幅(b2)の組合せを例示する。
Figure 2020070585
このように、内側フランジ13aの幅を外側フランジ13bの幅より小さくすることで、内・外装材や断熱材の取り付けスペースSの確保が可能となる。
(第2の実施の形態)
図5は、第2の実施の形態の耐力壁10Aを示す斜視図である。本実施の形態の耐力壁10Aが第1の実施の形態の耐力壁10と異なる点は、第1の実施の形態におけるエネルギー吸収部材15を他のエネルギー吸収部材25に変更した点であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付してその説明を省略することもある。
また、本実施の形態においては、上側の梁20は図示を省略している。
本実施の形態において、エネルギー吸収部材25はH形鋼によって形成され、当該H形鋼によって形成されたエネルギー吸収部材25は上下に長尺の矩形板状のウェブ25aと、このウェブ25aの長手方向(上下方向)に沿う縁部に結合された左右一対のフランジ25b,25bとを備えている。フランジ25b,25bは上下に長尺な矩形板状に形成されるとともにウェブ25aに対して直角に配置されている。なお、エネルギー吸収部材25は、熱間圧延H形鋼(ロールH形鋼)によって形成してもよいし、溶接組立H形鋼(ビルドH形鋼)または溶接軽量H形鋼によって形成してもよい。
また、エネルギー吸収部材25を形成するH形鋼の断面は、柱部材11を形成するH形鋼の断面と等しくなっている。したがって、エネルギー吸収部材25のフランジ25bの幅寸法は、柱部材11の内側フランジ13aの幅寸法と等しくなっている。
このようなエネルギー吸収部材25は、そのフランジ25b,25bを柱部材11,11の内側フランジ13a,13aと平行に配置したうえで、当該内側フランジ13a,13aに当接し、フランジ25bの幅方向の端部を内側フランジ13aの幅方向の端部に揃えたうえで、フランジ25b,25bを内側フランジ13a,13aに結合されている。この結合はボルト止めによって行ってもよいし、溶接によって行ってもよい。ボルト止めによって行う場合、柱部材11の内側フランジ13aとエネルギー吸収部材25のフランジ25bとにそれぞれボルト挿通孔を形成し、当該ボルト挿通孔にボルトを挿通したうえで、ナットを螺合して締め付ければよい。
エネルギー吸収部材25を柱部材11の内側フランジ13aにボルト止めによって結合することによって、エネルギー吸収部材25を着脱可能に結合することができる。したがって、建設現場等においてもエネルギー吸収部材25を容易に取り付けることができるとともに、その取替えも容易となる。
また、第1の実施の形態と同様に、エンドプレート16は柱部材11の外側フランジ13bおよびウェブ12の一部に接合されている。この場合、ウェブ12は外側フランジ13bの側に寄った当該ウェブ12の幅方向における半分以下の部分がエンドプレート16に接合されている。
さらに、第1の実施の形態と同様に、一方の柱部材11の外側フランジ13bの板厚中心と他方の柱部材11の外側フランジ13bの板厚中心の間の距離に対し、柱部材11の上下方向の長さが5.5倍以上となっている。
なお、耐力壁10Aはその骨組が一方および他方の左右一対の柱部材11,11によって構成されるが、当該柱部材11,11の正面側および/または背面側に面材を取り付けることで、建物の外壁面や内壁面を構成してもよい。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得られるのは勿論のこと、エネルギー吸収部材25を、柱部材11を形成するH形鋼と同断面のH形鋼によって形成したので、部材品種の低減(材料コスト削減)を図ることができる。
(第3の実施の形態)
図6は、第3の実施の形態の耐力壁10Bを示す斜視図である。本実施の形態の耐力壁10Bが第1の実施の形態の耐力壁10と異なる点は、第1の実施の形態におけるエネルギー吸収部材15を他のエネルギー吸収部材35に変更した点であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施の形態と同一構成には同一符号を付してその説明を省略することもある。
また、本実施の形態においては、上側の梁20は図示を省略している。
本実施の形態において、エネルギー吸収部材35は鋼板をU形に折り曲げて成形されたU形部材35である。
エネルギー吸収部材(U形部材)35は、平行離間して配置された一片35aと他片35aと、これら一片35aおよび他片35aを繋ぐ繋ぎ部35bによって構成されている。一片35aおよび他片35aは上下に長尺な矩形板状に形成され、繋ぎ部35bは略半円筒状に形成されている。
また、一片35aの外側を向く面と、他片35aの外側を向く面との間の距離は、柱部材11,11の対向する内側フランジ13a,13a間の距離と略等しくなっている。
さらに、一片35aおよび他片35aの幅方向の寸法は、柱部材11の内側フランジ13aの幅方向の寸法と略等しくなっている。
また、図7に示すように、エネルギー吸収部材(U形部材)35の一片35aと他片35aにはそれぞれ貫通孔36が、上下方向に所定間隔で3個、左右方向に所定間隔で2個、合計で6個形成されている。
一方、柱部材11の内側フランジ13aには、エネルギー吸収部材(U形部材)35の貫通孔36に対応させて図示しないフランジ孔が貫通孔36と同軸に形成されている。なお、フランジ孔は内側フランジ13aを厚さ方向に貫通する貫通孔である。
このようなエネルギー吸収部材(U形部材)35は、図6に示すように、柱部材11の上端部、下端部および中央部にそれぞれ上下一対ずつ配置される。
この場合、上側のエネルギー吸収部材(U形部材)35は、繋ぎ部35bを上方に向けて配置し、一片35aと他片35aを柱部材11,11の内側フランジ13a,13aと平行に配置したうえで、当該内側フランジ13a,13aに当接するとともに、貫通孔36とフランジ孔を同軸に合わせたうえで、これら貫通孔36およびフランジ孔にボルトを挿通し、当該ボルトにナットを螺合して締め付けることによって、内側フランジ13a,13aに結合されている。
また、下側のエネルギー吸収部材(U形部材)35は、繋ぎ部35bを下方に向けて配置し、一片35aと他片35aを柱部材11,11の内側フランジ13a,13aと平行に配置したうえで、当該内側フランジ13a,13aに当接するとともに、貫通孔36とフランジ孔を同軸に合わせたうえで、これら貫通孔36およびフランジ孔にボルトを挿通し、当該ボルトにナットを螺合して締め付けることによって、内側フランジ13a,13aに結合されている。
このように、エネルギー吸収部材35,35は、その開口(繋ぎ部35bに対向する開口)を互いに上下に対向させた状態で、ボルトとナットによって内側フランジ13a,13aに着脱可能に結合される。
また、第1および第2の実施の形態と同様に、エンドプレート16は柱部材11の外側フランジ13bおよびウェブ12の一部に接合されている。この場合、ウェブ12は外側フランジ13bの側に寄った当該ウェブ12の幅方向における半分以下の部分がエンドプレート16に接合されている。
さらに、第1および第2の実施の形態と同様に、一方の柱部材11の外側フランジ13bの板厚中心と他方の柱部材11の外側フランジ13bの板厚中心の間の距離に対し、柱部材11の上下方向の長さが5.5倍以上となっている。
なお、耐力壁10Bはその骨組が一方および他方の左右一対の柱部材11,11によって構成されるが、当該柱部材11,11の正面側および/または背面側に面材を取り付けることで、建物の外壁面や内壁面を構成してもよい。
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得られるのは勿論のこと、エネルギー吸収部材35としてのU形部材35の一片35aが一方の柱部材11の内側フランジ13aに結合され、他片35aが他方の柱部材11の内側フランジ13aに結合されているので、一方の柱部材11の内側フランジ13aと他方の柱部材11の内側フランジ13aとに相対変位が生じた場合に、U形部材35の一片35aと他片35aの間に設けられた略半円筒状の繋ぎ部35bが位置を移動させながらU字部材35が弾塑性変形することとなる。そのため、前記の相対変位に対するエネルギー吸収部材(U形部材)35の変形追従性を向上させ、エネルギー吸収部材35自体の過大な耐力上昇を抑制することができ、耐力壁10Bとしてより安定したエネルギー吸収性能を発揮できる。また、エネルギー吸収部材35がU形部材35であるので、板状のエネルギー吸収部材を用いる場合に比べて、形状設計における設計変数が増し、当該変数を適宜調整することで、容易に耐力壁10Bとしての構造性能を調整することが可能となる。
図8は、第2の実施の形態の耐力壁10Bの第1変形例の要部を示す正面図である。
本変形例の耐力壁10Bでは、エネルギー吸収部材(U形部材)35がスペーサ37を介して、柱部材11の内側フランジ13a,13aに結合されている。
すなわち、エネルギー吸収部材(U形部材)35の一片35aと一方の内側フランジ13aとの間にスペーサ37が配置され、他片35aと他方の内側フランジ13aとの間にスペーサ37が配置されている。
スペーサ37は鋼板によって形成された矩形板状の部材であり、その幅寸法は、内側フランジ13aの幅寸法およびエネルギー吸収部材(U形部材)35の一片35aおよび他片35aの幅寸法と略等しくなっている。
また、スペーサ37の上下方向の寸法は、エネルギー吸収部材(U形部材)35の上下方向の寸法より短くなっている。具体的には、スペーサ37の上下方向の一端部はエネルギー吸収部材(U形部材)35の一片35aおよび他片35aの端部とほぼ一致しており、他端部は一片35aおよび他片35aの上下方向の略半分より繋ぎ部35b側に寄った位置とほぼ一致している。つまり、エネルギー吸収部材(U形部材)35の繋ぎ部35bと、一片35aおよび他片35aの一部はスペーサ37の端部から突出しており、一片35aおよび他片35aは、内側フランジ13a,13aに対して所定の隙間Sをもって配置されている。この隙間Sはスペーサ37の厚さをSに設定することによって形成されている、つまり隙間Sとスペーサ37の厚さとは等しくなっている。
スペーサ37およびエネルギー吸収部材(U形部材)35は、第2の実施の形態と同様にボルトとナットによって柱部材11の内側フランジ13a,13aに結合してもよいし、溶接によって結合してもよい。
本変形例によれば、図9に示すように、大地震等によって水平方向の外力が大きく作用して耐力壁10Bが大きく倒れるように変位した場合にエネルギー吸収部材(U形部材)35が柱部材11の内側フランジ13aに接触することを抑制できるため、接触に起因する過大な耐力上昇や接触部近傍における局所的なひずみの進展を回避することが可能となり、エネルギー吸収の安定性を保持できる。
図10は、第2の実施の形態の耐力壁10Bの第2変形例を示す正面図である。なお、図10ではエンドプレート、上下の梁は図示を省略している。
本変形例の耐力壁10Bでは、エネルギー吸収部材35が、柱部材11の端部から柱部材11の幅の2倍以上の距離を隔てて配置されている。
すなわちまず、エネルギー吸収部材35はスペーサ37,37を介して柱部材11の内側フランジ13aに結合されている。また、エネルギー吸収部材35は合計6個配置されており、柱部材11の上下方向中央部に、上下一対配置され、この上下一対のエネルギー吸収部材35,35から上下方向にそれぞれ所定間隔で2個のエネルギー吸収部材35が配置されている。
上側の2個のエネルギー吸収部材35は、その開口(繋ぎ部35bに対向する開口)を下方に向けて配置され、下側の2個のエネルギー吸収部材35は、その開口(繋ぎ部35bに対向する開口)を上方に向けて配置されている。
最も上側に配置されているエネルギー吸収部材35は、柱部材11の上端部から柱部材11の幅の3.25倍の距離を隔てて配置され、最も下側に配置されているエネルギー吸収部材35は、柱部材11の下端部から柱部材11の幅の3.25倍の距離を隔てて配置されている。つまり柱部材11の幅をwとすると、最も上側に配置されているエネルギー吸収部材35は柱部材11の上端部から3.25wの距離を隔てて配置され、最も下側に配置されているエネルギー吸収部材35は柱部材11の下端部から3.25wの距離を隔てて配置されている。したがって、6個全てのエネルギー吸収部材35は、柱部材11の端部から柱部材11の幅の2倍以上の距離を隔てて配置されている。
本変形例によれば、エネルギー吸収部材35が、柱部材11の端部から柱部材11の幅の2倍以上の距離を隔てて配置されており、柱部材11の上下端部に配置されないので、エネルギー吸収部材35の変形に起因して柱部材11のウェブ12の上下端部に作用する圧縮力を緩和し、当該ウェブ12の上下端部の局部座屈を抑制できる。
なお、上述した第1の実施の形態から第3の実施の形態における耐力壁10,10A,10Bにおいて、一方および他方の柱部材11の外側フランジ13bにウェブ12よりも高強度な鋼材を用いてもよい。このようにすれば、軸力に対する柱部材11の耐力を強化することができる。
また、上述した耐力壁10,10A,10Bを、建物を構成する外壁や内壁の少なくとも一部として、水平構造材(梁20や基礎上の土台)にエンドプレート16を介して結合することによって、当該耐力壁10,10A,10Bを備えた建物となり、地震時に入力されるエネルギーを十分に吸収することができる。
また、耐力壁の細幅化を図ることができるので、耐力壁の省スペース化による建物のプラン自由度が向上する。
次に、本発明を適用した耐力壁の構造性能について、数値実験(有限要素解析)の結果に基づき説明する。
柱部材にH−200×80×3.2×6(400N級鋼)を、エネルギー吸収部材にU形鋼(低降伏点鋼、形状は図7に示すものと同じ、配置は図11の通りである。)を用いた耐力壁を対象に、柱部材の上下端部断面を平行に保った状態(逆対称曲げ条件)で、柱の上端部に水平力を一方向に加力した。実施例1〜4は、柱部材の上下端部において外側フランジとウェブの一部(外側フランジ側に寄ったウェブの幅方向における半分以下の部分)とを拘束、つまり、外側フランジを含む柱部材断面の外側半分のみを拘束し、比較例1では柱部材の上下端部断面全体を拘束した。表3に解析結果として、荷重変形関係より得られた降伏耐力、最大耐力、塑性率(最大耐力の90%まで耐力低下した時点での水平変位を降伏耐力時の水平変位で除した値)を示す。
なお、図11において、実施例1と比較例1では、柱部材の上下端部の拘束範囲は異なるが、エネルギー吸収部材の配置が同じであるため、実施例1と比較例1は同一図面としてある。なお、図11において、長さを示す数値の単位はmmである。
Figure 2020070585
(1)柱部材の端部断面を部分的に拘束することの効果の説明
表3により、柱部材の端部断面全体を拘束した仕様(比較例1)に比べ、外側フランジとウェブの一部(外側フランジ側に寄ったウェブの幅方向における半分以下の部分)とを拘束、つまり、外側フランジを含む柱部材断面の外側半分のみを拘束した仕様(実施例1)では、住宅用の耐力壁として適当な耐力(30kN/m程度)と優れた塑性変形性能を両立できる。
耐力壁の耐力が小さい場合には耐震性能不足を、大きすぎる場合には周辺部材や接合部のコストアップ(壁の耐力に見合うだけの補強等)を招く虞がある。
(2)エネルギー吸収部材を柱部材の端部から所定の距離を隔てて配置することの効果の説明
柱部材の端部にエネルギー吸収部材を設置した仕様(実施例2、3)に比べ、柱部材のウェブ幅の2倍以上離れた位置にエネルギー吸収部材を設けた仕様(実施例1、4)では、柱部材端部のウェブに作用する圧縮応力が緩和され(図12参照)、当該柱部材端部のウェブの局部座屈を抑制できるため、耐力を保ったまま塑性変形性能が向上する。すなわち、耐力壁として吸収可能なエネルギーが更に増大する。
なお、図12は、実施例1〜4のそれぞれにおいて、水平力を一方向に加力した際に、柱部材の下端部に発生する主応力(圧縮応力)分布を示すもので、濃い部分ほど高い圧縮応力が発生している状態を示す。
10,10A,10B 耐力壁
11 柱部材
12 柱部材のウェブ
13a 柱部材の内側フランジ
13b 柱部材の外側フランジ
15,25 エネルギー吸収部材
20 梁(水平構造材)
35 エネルギー吸収部材(U形部材)
35a エネルギー吸収部材(U形部材)の一片
35a エネルギー吸収部材(U形部材)の他片
37 エンドプレート

Claims (7)

  1. 水平方向に距離を隔て、互いの内側フランジが対向して配置されたH形鋼で形成された一方の柱部材および他方の柱部材と、
    一方の前記柱部材の前記内側フランジと他方の前記柱部材の前記内側フランジとに結合されるエネルギー吸収部材と、
    前記柱部材の上下両端部にそれぞれ接合されるとともに上下の水平構造材に接合されるエンドプレートと、を備え、
    前記柱部材の前記内側フランジが前記エンドプレートに接合されずに、
    前記柱部材の外側フランジとウェブとのうちの少なくとも前記外側フランジに前記エンドプレートが接合されていることを特徴とする耐力壁。
  2. 前記柱部材の前記外側フランジと前記ウェブの少なくとも一部とに前記エンドプレートが接合されていることを特徴とする請求項1に記載の耐力壁。
  3. 一方の前記柱部材の前記外側フランジの板厚中心と他方の前記柱部材の前記外側フランジの板厚中心の間の距離に対し、前記柱部材の上下方向の長さが5.5倍以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の耐力壁。
  4. 前記エネルギー吸収部材が、前記柱部材の端部から前記柱部材の幅の2倍以上の距離を隔てて配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐力壁。
  5. 前記エネルギー吸収部材が、鋼板をU形に折り曲げて成形されたU形部材であり、
    当該U形部材の一片が一方の前記柱部材の前記内側フランジに結合され、他片が他方の前記柱部材の前記内側フランジに結合されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐力壁。
  6. 前記エネルギー吸収部材が、一方の前記柱部材の前記内側フランジと他方の前記柱部材の前記内側フランジとに着脱可能に結合されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の耐力壁。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐力壁を備えたことを特徴する建物。
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