JP6095925B2 - 耐力壁フレーム - Google Patents
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Description
耐力要素の断面を大きくすれば、幅の広い耐力壁においても適用は可能であるが、耐力壁の両側の柱間の中間に耐力壁フレームが存在するため、耐力壁を配置する外壁面に開口を設けることが難しい。そのため、建物の間取りのプラン上の制約が生じる。
また、はしご形の耐力壁フレームは、建物の軸柱を兼ねるはしごの縦桟と横桟とが接合されているため、大地震等で耐力壁フレームが損傷した場合は、耐力壁フレームの全体を交換する必要がある。
この発明の他の目的は、大地震等で損傷した場合に、一部の部材の交換で済むようにすることである。
また、前記耐力ユニットは、左右の柱間に横方向に延びて設けるため、左右の柱間に上下方向に沿って介在させるものと異なり、左右の柱間に渡る幅の広い開口部を設けることができ、かつ前記のように応力が分散して支持されるため、左右の柱間の幅が広くても適用することができる。
さらに、前記耐力ユニットは、上下の横桟とこれらを繋ぐせん断力負担部材とで構成されるため、耐力ユニットを一体の部材で構成するものと異なり、せん断力負担部材の個数や断面形状の調整、および単純な形状の部材である上下の横桟の長さの調整により、要求される各種の寸法や強度への対応が容易に行える。
前記耐力ユニットが複数の縦桟を有するはしご形であり、これら複数の縦桟で分担してせん断力を負担するため、応力が分散し、塑性変形能力が向上して、より一層ねばり強い架構を構成できる。はしご形の耐力ユニットは、従来は、縦形として上下の梁間に接続する構成のものしか知られていないが、このように横形に使用することで、耐力壁に幅の広い開口部を設けることができ、かつ柱間の幅が広い場合にも適用できる構成としながら、はしご形の利点である応力分散の作用が得られる。
このように、水平力に抵抗する架構を構成可能で、建物に優れた耐震性能を与えることができ、かつ耐力壁を配置する部分に開口部を設けることができ、また柱間の幅が広い場合にも適用でき、さらに要求される各種の寸法や強度への対応が容易な耐力壁フレームとなる。
耐力ユニットを柱にボルト止めする構成であると、大きな水平荷重を受けたときに建物の他の部分よりも耐力ユニットが先に損傷するように設計しておくことで、その損傷した耐力ユニットを交換するだけで修復が行え、修復が簡単となる。
前記耐力ユニットを上下に並べて複数設けると、応力がより一層分散し、塑性変形能力が向上して、より一層にねばり強い架構を構成できる。
前記縦桟に耐力低下用の孔を設けると、大きな水平力を受けたときに、縦桟が先に破断して他の部分が損傷することを防止でき、修復が容易となる。
この耐力壁フレームは、軸組み構造の建物に用いても、上記のように水平力をこの耐力壁フレームで支持する構成とできる。そのため、適用する建物につき、ラーメン構造のような剛接合を行う必要がなく、柱梁の接合部の構成を、ボルト等によるピン接合の簡易な構成とできる。
この構成の耐力ユニットによると、隣合う柱に両端を接合することで、この発明の耐力壁フレームを構築でき、この発明の耐力壁フレームについて前述した各作用,効果が得られる。
特に、耐力ユニットが、前記上下に離れた一対の横桟と、これら横桟間に長手方向の複数箇所でそれぞれ接合されて前記せん断力負担部材となる複数の縦桟とでなるはしご形であるため、応力が分散し、塑性変形能力が向上して、より一層ねばり強い架構を構成できる。
図5の例では、せん断力負担部材6が、上下の横桟4,5にそれぞれ接合されて壁厚方向に対面する一対の支持部材14と、これら支持部材14間に介在させた粘弾性材15からなる粘弾性ダンパーからなる。せん断力負担部材6を粘弾性ダンパーとした場合は、震動エネルギーの吸収の効果が得られる。
さらに、前記耐力ユニット3は、上下の横桟4,5とこれらを繋ぐせん断力負担部材6とで構成されるため、耐力ユニット3を一体の部材で構成するものと異なり、せん断力負担部材6の個数や断面形状の調整、および単純な形状の部材である上下の横桟4,5の長さの調整により、要求される各種の寸法や強度への対応が容易行える。
このように、この耐力壁フレーム1によると、水平力に抵抗する架構を構成可能で、建物に優れた耐震性能を与えることができ、かつ耐力壁を配置する部分に開口部を設けることができ、また柱2,2間の幅が広い場合にも適用でき、さらに要求される各種の寸法や強度への対応が容易な耐力壁フレームとなる。
図12の具体例の場合、柱2,2間の幅が広く、また縦桟9の間隔が広いため、同図にハッチングを付して開口形成スペースSを示すように、耐力壁に左右幅の大きな開口を設けることができる。このように開口形成スペースSの幅の調整も可能である。その他の構成は、図7に示す具体例と同様である。
図14(A)の例は、耐力ユニット3を3つとし、各耐力ユニット3は、せん断力負担部材6となる縦桟9を2本有している。この耐力ユニット3の幅は、1P幅(Pはモジュールであり、各実施形態では910mmである)。図14(B)はその変形例の概略の斜視図であり、縦桟9は3本としている。
図17(A)は、外壁30に図16(A)の例の耐力壁フレーム1を設置し、開口31を設けた例を示す。同図(B)のように、耐力ユニット3を2つとし、開口31を広げても良い。同図(A),(B)のように、耐力ユニット3の幅を広げて耐力壁となる部分の開口31の横幅を広げることができる。
水平力V=16.5kNを上端に負荷すると、層間変位は12.7mmであり、約1/200であった。
水平力V=16.5kNを上端に負荷すると、層間変位は9.9mmであった。
・耐力壁フレームを配置しつつ、開口部を建物に設けることができる。
・建物の全幅開口も可能である。
・スパンが長い大開口部を設けると同時に、水平力に抵抗する架構を構成できる。
・柱2と耐力ユニット3に応力が分散し、粘り強い架構を構成できる。
・柱2とボルト取り合いとした場合、連続配置、T形配置等も可能である。
・横方向に連続配置も可能である。なお、柱への曲げの影響は単独配置の場合と変わらない。
2…柱
3…耐力ユニット
4,5…横桟
6…せん断力負担部材
7,8…梁
9…縦桟
6a…せん断力負担主部材
12…ブレース
13…縦桟
16…耐力低下用の孔
17…柱接合部
18…ボルト挿通孔
19…ユニット取付片
20…ボルト
Claims (7)
- 隣合う一対の柱に耐力ユニットの両端が接合されてなり、前記耐力ユニットが、上下に離れた一対の横桟と、これら横桟間に長手方向の複数箇所でそれぞれ接合されてせん断力負担部材となる複数の縦桟とでなるはしご形であり、前記各縦桟は溝形鋼からなり、これら各縦桟は、ウェブ外面が前記横桟の側面と同一平面に配置され、上下の接合プレートがそれぞれ前記縦桟の上下の端部と前記上下の横桟の側面とに跨がり重なって前記縦桟と前記横桟とに接合されていることを特徴とする耐力壁フレーム。
- 請求項1に記載の耐力壁フレームにおいて、前記耐力ユニットは、前記上下の横桟の両端が前記柱にボルトで接合された耐力壁フレーム。
- 請求項1または請求項2に記載の耐力壁フレームにおいて、前記耐力ユニットが、前記隣合う柱間に互いに上下に並べて複数設けられた耐力壁フレーム。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の耐力壁フレームにおいて、前記縦桟に耐力低下用の孔が設けられた耐力壁フレーム。
- 請求項4に記載の耐力壁フレームにおいて、前記耐力低下用の孔は、前記縦桟における前記接合プレートの重ならない範囲で複数設けられている耐力壁フレーム。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の耐力壁フレームにおいて、前記柱は、軸組み構造の建物の梁にピン接合される耐力壁フレーム。
- 隣合う柱に両端が接合される耐力ユニットであって、上下に離れた一対の横桟と、これら上下の横桟間に長手方向の複数箇所でそれぞれ接合されてせん断力負担部材となる複数の縦桟とでなるはしご形であり、前記各横桟の両端に、前記柱と固定具で接合する柱接合部を有し、前記各縦桟は溝形鋼からなり、これら各縦桟は、ウェブ外面が前記横桟の側面と同一平面に配置され、上下の接合プレートがそれぞれ前記縦桟の上下の端部と前記上下の横桟の側面とに跨がり重なって前記縦桟と前記横桟とに接合されている耐力ユニット。
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