JP4959636B2 - 制振部材 - Google Patents

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本発明は、制振部材に関するものであり、特に、横揺れの対策に適した制振部材に関するものである。
建築物・建造物(以下、単に「建築物等」と称す)に施される振動対策構造の一つとして、制振構造というものが知られている。制振構造とは、構造躯体の特定部位に設置された制振部材が揺れを抑制することによって、建築物等が振動を受けた際の応答を低減し、建築物等の安全性を確保しようとする構造を示す。なお、本件において「制振構造」と言う場合は、地震だけではなく、風や車の往来などに起因する広範な振動を制する構造を示す。
制振構造に用いられる制振部材には各種のものがあるが、その一つとして、摩擦によって振動エネルギーを減衰させるダンパーを配置するものが知られている。例えば特許文献1には、一対のくの字形の折れ曲り材が、略X形になるように角部分同士を摩擦ダンパーを介して連結するとともに、土台や梁等の横部材へ取り付ける制振部材が開示されている。
具体的には、摩擦ダンパーは、一方の折れ曲り材の角部分に溶接された第1プレートと、他方の折れ曲り材の角部分に溶接された第2プレートと、該第1プレートと該第2プレートとの間に介在されるステンレスプレートと、該第2プレートの該ステンレスプレートとは反対側の面に配設されるステンレスプレート及び板状ワッシャーとを備え、該第1プレート、該ステンレスプレート及び板状ワッシャーには、一対のボルト挿入用の円孔が夫々形成され、該第2プレートには、該ボルト挿入用の長孔が形成され、ボルトを挿入して締め付けることによって、各プレートが摩擦接合されており、該第2プレートの長孔の範囲内で上下方向への移動が許容される構成になっている。一対の折れ曲り材に大きな振動が加わり、所定以上の荷重が摩擦ダンパーに加わると、ステンレスプレートと第2プレートとの間に上下方向への位置ずれが起こる。そして、このときのプレートの位置ずれによる摩擦抵抗によって振動エネルギーが吸収され、ダンパーとして働くという構造である。
特開2001−336303号公報
しかし、特許文献1に開示されている制振構造は、その構造上、大地震のような大きな振動エネルギーが作用した場合には摩擦ダンパーとして機能するものの、中地震や交通振動のような比較的小さな振動エネルギーが作用した場合には、略X形の折れ曲がり材等が筋違いとして機能し、振動エネルギーに抵抗するので、摩擦ダンパーは機能せず、比較的小さな振動エネルギーに対しては、制振効果が十分に得られないという問題があった。
また、特許文献1に開示されている制振構造は、ひとたび制振機能が発揮されてプレートの位置ずれが起こると、摩擦ダンパーの位置ずれを補正するために、内装や壁板などを取り外してボルトを外し建築物等の残留変形を直してからボルトを締め直すという手間が生じた。
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、比較的小さな振動エネルギーに対しても制振効果を発揮可能であると共に、ひとたび制振機能を発揮させても交換や補修の必要が生じ難い制振部材を提供することを課題とする。
本発明に係る制振部材は、「略水平方向に配設された第一水平構造躯体と、該第一水平構造躯体の上側または下側の対向する位置に、略水平方向に配設された第二水平構造躯体と、前記第一水平構造躯体及び前記第二水平構造躯体に対して略垂直方向に且つ互いに平行な状態で立設された一対の垂直構造躯体とで構成される閉空間内に取設される制振部材であって、
該閉空間内の略中央付近に配置されると共にプレート及びブレース材を介して前記第一水平構造躯体に対して連結されて、該第一水平構造躯体の移動に従動する第一支持材と、
該第一支持材を両側から挟み込むように略平行な状態で配置されると共にプレート及びブレース材を介して前記第二水平構造躯体に連結されて、前記第二水平構造躯体の移動に従動する一対の第二支持材と、
前記第一支持材と前記一対の第二支持材との間に夫々配設された重ね板バネとを具備し、
該重ね板バネは、
長尺状の板バネで、両端側が前記第一支持材に対して接続されており、中間部分は前記第一支持材に対して第一空隙が形成されるように湾曲している第一板バネと、
長尺状の板バネで、前記第一板バネに対して両端側が摺動可能に接触していると共に、中間部分は前記第一板バネに対して第二空隙が形成されるように湾曲しており、前記第二支持材の移動に従動して湾曲の状態が変化する第二板バネと、
前記第一板バネ及び前記第二板バネを略中央付近で貫通して束ねている連結部材と、
を有している」ものである。
ここで、「水平構造躯体」とは、略水平方向に架設される構造躯体を示し、例えば梁、胴差、土台等が挙げられる。また、「垂直構造躯体」とは、水平構造躯体に対して略垂直方向に支持され屋根や床の荷重を支える構造躯体であり、管柱や通し柱などの柱部材が例示できる。いずれの構造躯体も、その材質は特に限定されるものではなく、木質材料でも良いし、鉄骨材料でも良い。
また、第一板バネの「両端側が第一支持材に対して接続されて」いる状態としては、第一支持材の動きに連動して第一板バネが動くように接続されている形態であれば良く、例えば、第一板バネの両端側を第一支持材に対して固定する、何れか一端側のみを固定する、両端側を第一支持材に対して接触させると共に摺動可能な状態で接続する、等の状態が例示できる。
本発明の制振部材によれば、第一支持材は第一水平構造躯体に従動するように連結されている。従って、地震や交通振動等による振動が建築物に加わり、第一水平構造躯体が水平方向に揺動すると、その動きに従動して第一支持材も水平方向に揺動する。一方、第二支持材は、第二水平構造躯体に従動するように連結されているので、振動によって第二水平構造躯体が水平方向に揺動すると、その動きに従動して第二支持材も水平方向に揺動する。そして、第一水平構造躯体と第二水平構造躯体との位置関係が、振動前の互いの位置関係に対して相対的に変化すると、第一支持材と第二支持材との間に配設された重ね板バネに水平方向の力が加わる。これにより、第二板バネ等による減衰力が発揮されて、建築物に加えられた振動の収束が早まる。
この点を、より具体的に説明する。第一水平構造躯体及び第二水平構造躯体の間には、一対の垂直構造躯体が垂直に且つ互いに平行な状態で立設されており、振動が加わらない平常時には、これらの構造躯体は、略長方形(または正方形)の閉空間を構成している。しかし、地震や交通振動等によって建築物に左右方向の振動が加わると、その振動が第一水平構造躯体、第二水平構造躯体、及び一対の垂直構造躯体(以下、単に「構造躯体」と称す)に伝わって、第一水平構造躯体と第二水平構造躯体とが左右方向(水平方向)に揺動する。
例えば、第一水平構造躯体が第二水平構造躯体に対して相対的に右側に移動した場合を仮定する。そうすると、第一支持材が、第一水平構造躯体の動きに従動して右側へ移動する。なお、本例における「右側」及び「左側」とは、説明の便宜上想定した移動方向であって、構造躯体の構成する略長方形の閉空間を正面視とした場合の水平方向の移動を仮定したものである。第一支持材が右側へ移動すると、第一支持材の右側に配置されていた一方の第二支持材との間隙が狭まり、これらの支持材の間に配設されていた一方の重ね板バネには、水平方向に圧縮しようとする力が加わる。一方、第一支持材と他方の第二支持材との間隔は広がるので、これらの間に配設されていた他方の重ね板バネには、水平方向に広げようとする力が加わる。
ところで、第二板バネの両端側は、第一板バネに対して摺動可能な状態で接触しているので、その接触面には所定の静摩擦力が働いている。ここで、一方の重ね板バネに加わった圧縮される方向の力が当該接触面の摩擦力よりも大きくなると、一方の重ね板バネの第二板バネ(以下、「単に「一方の第二板バネ」と称す)の両端側が摺動を開始し、湾曲状態が変化する。具体的には、第一支持材と一方の第二支持材との間隔が狭まることで、一方の第二板バネの第二空隙が狭まる方向に力を受ける。その力が一方の第二板バネの接触面に発生する静摩擦力より大きくなることで、両端側が摺動し、第二空隙が狭まって第二板バネが伸びる(湾曲状態が変化する)。また、第一支持材と他方の第二支持材との間隔は大きくなるので、その動きに従動して他方の重ね板バネの第二板バネ(以下、単に「他方の第二板バネ」と称す)は、両端側が摺動して第二空隙が広がる方向に湾曲状態を変化させる。
そうすると、第二板バネの摺動面において摩擦熱が発生するので、振動のエネルギーが摩擦により熱エネルギーに変換され、振動が減衰する。つまり、第二板バネの両端側が摺動する際に発生する摩擦熱が振動のエネルギーを減衰し、構造躯体に伝わった振動の収束を早めるから、建築物内の人間や備品に揺れを伝わりにくくし、居住性の向上を図ることができる。なお、第一板バネの両端側(若しくは何れか一端側)が摺動可能な状態であった場合は、その接触面にも所定の摩擦力が働くので、第二板バネと同様に振動のエネルギーが減衰し、制振部材全体の減衰効果をより強化することができる。
一方、第一水平構造躯体が第二水平構造躯体に対して左側に移動した場合は、第一支持材が左側へ移動し、他方の第二支持材との間隙が狭まり、これらの支持材の間に配設されていた他方の重ね板バネには、水平方向に圧縮される方向へ力が加わる。一方、第一支持材と一方の第二支持材との間隔は広がるので、これらの間に配設されていた一方の重ね板バネには、水平方向に広げようとする力が加わる。他方の重ね板バネに加わった圧縮される方向の力が他方の第二板バネの接触面に発生する静摩擦力よりも大きくなると、両端部が摺動し、第二空隙が狭まる方向に第二板バネが伸びる。同時に、一方の重ね板バネに加わった水平方向に広げようとする力が一方の第二板バネの接触面に発生する静摩擦力よりも大きくなると、一方の第二板バネの両端側が摺動し、第二空隙が広がる方向に湾曲状態を変化させる。こうして一方と他方との重ね板バネの第二板バネの両端側が夫々が摺動すると、その接触面において摩擦熱が発生し、構造躯体に加えられた振動エネルギーの収束が早まる。
なお、第二水平構造躯体が第一水平構造躯体に対して右側に移動した場合は、相対的に、第一水平構造躯体が第二水平構造躯体に対して左側に移動した場合と同様の作用を生じる。すなわち、第二水平構造躯体の動きに従動して第二支持材が右側へ移動し、第一支持材と他方の第二支持材との間隙が狭まると同時に、第一支持材と一方の第二支持材との間隔は広がるので、第一水平構造躯体が第二水平構造躯体に対して左側に移動した場合と同様の作用を生じる。第二水平構造躯体が第一水平構造躯体に対して左側に移動した場合は、相対的に、第一水平構造躯体が第二水平構造躯体に対して右側に移動した場合と同様の作用を生じる。すなわち、第二水平構造躯体の動きに従動して第二支持材が左側へ移動し、第一支持材とその右側に配置されていた一方の第二支持材との間隙が狭まると同時に、第一支持材と他方の第二支持材との間隔は広がるので、第一水平構造躯体が第二水平構造躯体に対して右側に移動した場合と同様の作用を生じる。
このように、本発明の制振部材によれば、水平構造躯体が揺動すると、第一支持材及び第二支持材がその揺動に従動する。これにより、これらの支持材の間に配設される重ね板バネが夫々湾曲し、摺動可能な端部が摺動するので、水平構造躯体に加わった振動エネルギーが熱エネルギーに変換され振動が減衰する。これにより、水平構造躯体の揺動周期の収束を早めることができるので、建築物内の人間や備品に揺れを伝わりにくくし、居住性の向上を図ることができる。
また、本発明の制振部材は、比較的小さな振動に対して効果的に制振効果を発揮できるという優れた特徴を有している。なぜならば、従来の重ね板バネ機構は、複数の板バネ同士が全面的に接触しているのに対し、本発明では、第一板バネと第二板バネとの間には第二空隙が設けられているからである。すなわち、第一板バネに対する第二板バネの接触面積は、その両端付近に限定されているので、これらを全面的に接触させる場合に比べて、両板バネ間に発生する摩擦力を小さくできる。これにより、比較的小さな振動であっても第二板バネの摺動が開始され、振動エネルギーを減衰させるので、微振動時においても制振効果が発揮される高感度な制振部材を提供できる。
さらに、本発明の制振部材は、第二板バネ等の湾曲状態が変化することでその制振効果が発揮される。従って、振動が収束した後は湾曲状態が元に戻るだけであり、従来のように内装や壁板などを取り外してボルトを外し、建築物等の残留変形を直してからボルトを締め直すという手間が無いから、ひとたび制振機能を発揮させても交換や補修の必要が生じ難い制振部材を提供できる。
また、本発明の制振部材において、「前記ブレース材は、
前記第一水平構造躯体及び一方の垂直構造躯体の為す第一入隅部から、前記閉空間の略中央付近に向って斜めに配設された棒状の第一ブレース材と、
前記第一水平構造躯体及び他方の垂直構造躯体の為す第二入隅部から、前記閉空間の略中央付近に向って斜めに配設された棒状の第二ブレース材と、
前記第二水平構造躯体及び前記一方の垂直構造躯体の為す第三入隅部から、前記閉空間の略中央付近に向って斜めに配設された棒状の第三ブレース材と、
前記第二水平構造躯体及び前記他方の垂直構造躯体の為す第四入隅部から、前記閉空間の略中央付近に向って斜めに配設された棒状の第四ブレース材とから成り、
前記第一支持材は、前記第一ブレース材と、前記第二ブレース材と、該第一ブレース材及び該第二ブレース材の反入隅部側に配設されたプレートとを介して前記第一水平構造躯体に連結されており、
夫々の前記第二支持材は、前記第三ブレース材と、前記第四ブレース材と、該第三ブレース材及び該第四ブレース材の反入隅部側に配設されたプレートとを介して前記第二水平構造躯体に連結されている」ものとしても良い。
ここで、「第一入隅部」、「第二入隅部」、「第三入隅部」、及び「第四入隅部」とは、第一・第二水平構造躯体と、一対の垂直構造躯体とで構成される閉空間内側角部分を夫々示している。なお、「第一ブレース材」、「第二ブレース材」、「第三ブレース材」、及び「第四ブレース材」とは、棒状の部材を用いてブレース状に配置することに基づく名称であり、これらの部材がブレースとしての機能を必ず保証することを示しているとは限らない。
ところで、第一支持材を第一水平構造躯体に、および/又は第二支持材を第二水平構造躯体に連結する構成としては、様々な形態が考えられる。例えば、一本の棒材を、第一水平構造躯体または第二水平構造躯体に夫々垂直な状態で(すなわち、第一水平構造躯体・第二水平構造躯体と棒材とで夫々Tの字を形成するように)接合し、この棒材を介して第一支持材・第二支持材を夫々連結する、という構成が考えられる。
しかし、上記の構成のように、第一水平構造躯体と第一支持材および/または第二水平構造躯体と第二支持材とを一本の棒材で連結すると、棒材が撓みやすくなるので、第一水平構造躯体・第二水平構造躯体に伝わる振動が棒材の撓みに吸収され、重ね板バネの減衰効果を十分に生かせない場合が考えられる。この懸念を払拭するためには、例えば棒材の厚みや太さを増大させ、剛性を向上させる等の方法が考えられるが、そうすると、制振部材の重量が増大する傾向があった。
これに対し、本発明の制振部材によれば、第一支持材は、棒状の第一ブレース材と第二ブレース材の二本のブレース材と第一水平構造躯体とが為す略三角形状の連結構造をしている。従って、一本の棒材を用いてTの字状に連結される場合よりも、略三角形状の連結構造の方が連結部材の撓みや変形による問題を払拭できる。これにより、連結部材を大型化することなく安定して第一支持材を支持できるので、制振部材の軽量化に貢献できる。制振部材を軽量化できると、運搬や保管に要する手間やコストを大きく削減でき経済的である。
また、本発明の制振部材において、「両端部が一対の前記垂直構造躯体に夫々当接するように配設され前記第一水平構造躯体に取り付けられる第一介挿部材と、
両端部が一対の前記垂直構造躯体に夫々当接するように配設され前記第二水平構造躯体に取り付けられる第二介挿部材と
をさらに有し、
前記第一ブレース材及び前記第二ブレース材は、前記第一介挿部材に対して連結されることで略三角形状の連結構造が形成されており、
前記第三ブレース材及び前記第四ブレース材は、前記第二介挿部材に対して連結されることで略三角形状の連結構造が形成されている」ものとすることができる。
ここで、「第一ブレース材および第二ブレース材は、第一介挿部材に対して連結される」とは、第一ブレース材および第二ブレース材をそれぞれ第一介挿部材に直接連結させる状態だけではなく、プレート等の所定の部材を介して第一介挿部材に連結させる状態も含む。また、第一ブレース材または第二ブレース材のいずれか一方を第一介挿部材に直接連結させ、他方を前記所定の部材を介して第一介挿部材に連結させる状態も含む。同様にして、「第三ブレース材および第四ブレース材は、第二介挿部材に対して連結される」とは、第三ブレース材および第四ブレース材をそれぞれ第二介挿部材に直接連結させる状態、プレート等の所定の部材を介して第二介挿部材に連結させる状態、および、第三ブレース材または第四ブレース材のいずれか一方を第二介挿部材に直接連結させ、他方を前記所定の部材を介して第二介挿部材に連結させる状態を含む。
ところで、本発明の制振部材は、様々な工法の建築物に対応でき、例えば木造軸組構法や鉄骨構造のブレース構造などに特に好適に取設できるが、その取設方法は特に限定されない。全ての構成要素を工場で組み立ててから現場に搬入しても良いし(プレハブ工法等)、逆に、全ての構成要素を現場で組み立てても構わない。しかし、本発明のように、第一ブレース材及び第二ブレース材を、夫々第一介挿部材に対して連結させる略三角形状の連結構造を形成すると、所望の形状バランスを保った状態で、既設の第一水平構造躯体等に第一ブレース材と第二ブレース材とを簡単に取設することが可能となる。例えば、工場等のような作業条件の良い場所で第一ブレース材と第二ブレース材との連結構造の形状バランスを調整してから現場に持ち込むことが可能となる。従って、作業条件が限定される現場で、第一ブレース材と第二ブレース材とを夫々直接第一水平構造躯体に連結させる場合に比べて、現場での作業時間を短くし、施工の精度を比較的簡単に向上させることができる。
また、第一介挿部材は、両端部が一対の垂直構造躯体に夫々当接するように配設し、第一水平構造躯体に連結されるので、棒状の第一ブレース材や第二ブレース材を直接第一水平構造躯体に連結させる場合に比べて、接合方法に自由度が増し、作業性も向上する。よって、現場での作業時間の短縮化や施工精度の向上にさらに貢献できる。
同様にして、第三ブレース材及び第四ブレース材を、夫々第二介挿部材に対して連結させることで略三角形状の連結構造を形成すると、比較的作業性の良い状態で第三ブレース材と第四ブレース材との連結構造の形状バランスを調整し、第二水平構造躯体に連結できる。さらに、棒状の第三ブレース材や第四ブレース材を直接第二水平構造躯体に連結させる場合に比べて、接合方法に自由度が増し、現場での作業時間の短縮化や施工精度の向上に貢献できる。
また、本発明の制振部材によれば、第一介挿部材及び第二介挿部材は、夫々一対の垂直構造躯体に対し両端部が当接状態で介挿されている。従って、垂直構造躯体の立設状態を若干ながら補強する効果が期待できるので、制振効果と共に補強効果も期待できる制振部材を提供できる。
このように、本発明の制振部材によれば、建築物等に加わる横揺れを制振し、建築物内の人間や備品に揺れを伝わりにくくできるので、居住性の向上を図ることができる。特に、本発明の制振部材は、比較的小さな振動に対しても効果的に制振効果を発揮できるという優れた特徴を有しているので、中規模以下の地震や交通振動等の小さな振動を効果的に制振できる高感度な制振部材を提供できる。また、本発明の制振部材によれば、振動が収束した後は重ね板バネの湾曲状態が元に戻り、設計当初の取設位置に戻る。従って、一度制振効果を発揮させた後も部品を交換する必要はなく、度重なる振動にも繰り返し制振機能を発揮する保守性に優れた制振部材を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態である制振部材について、図1乃至図4に基づき説明する。図1は制振部材の使用状態を示す正面図、図2は図1の一部を拡大した拡大図、図3は重ね板バネの断面を示す断面図、図4は制振部材の働きを説明する説明図である。
本例の制振部材1は、図1に主に示すように、略水平方向に架設された上部梁2と、上部梁2の下側に架設された下部梁3と、上部梁2と下部梁3との間に立設された一対の柱4及び柱5とで構成される略長方形の閉空間R内に取設されるものである。閉空間R内の略中央付近には、第一支持材6が備えられている。また、第一支持材6の左右両側には、第一支持材6を両側から挟み込むように略平行な状態で配置された一対の第二支持材7a,7bが更に備えられている。そして、第一支持材6と第二支持材7a,7bとの間には、一対の重ね板バネ8a,8bが夫々具備されている。なお、上部梁2、下部梁3、及び柱4,5は、本例では木造軸組構法によって立設された木製の構造躯体を例示している。ここで、「上部梁2」が本発明の「第一水平構造躯体」に相当し、「下部梁3」が「第二水平構造躯体」に、「柱4,5」が「一対の垂直構造躯体」に夫々相当する。
第一支持材6は、図1乃至図3に示すように、重ね板バネ8a,8bの第一板バネ9a,9b(図2参照:詳細は後述する)を支持する部材であり、閉空間R内の略中央付近に配置され、第一介挿部材11、第一ブレース材13、第二ブレース材15、第一プレート16、第二プレート17、および第三プレート18を介して上部梁2に連結されている。
より具体的には、第一支持材6の上端側は、第三プレート18に対して連結されている。そして、第三プレート18には、第一ブレース材13および第二ブレース材15がさらに連結されている。第一ブレース材13は、上部梁2と柱4との第一入隅部12から、閉空間Rの略中央付近に向って斜めに配設され、第二ブレース材15は、上部梁2と柱5との第二入隅部14から、閉空間Rの略中央付近に向って斜めに配設されている。第一ブレース材13および第二ブレース材15の下端側は、夫々第三プレート18に対して連結されている。ここで、「第三プレート18」が、本発明の「第一ブレース材と第二ブレース材の反入隅部側に配設されたプレート」に相当する。
さらに、第一ブレース材13および第二ブレース材15の上端側は、夫々第一プレート16および第二プレート17を介して第一介挿部材11に連結されている。このように、第一支持材6は、第一介挿部材11、第一ブレース材13、第二ブレース材15、第一プレート16、第二プレート17、および第三プレート18を介して上部梁2に連結されている。なお、第一ブレース材13及び第二ブレース材15は、第一介挿部材11及び第三プレート18に連結されていることにより、略三角形状の連結構造が形成されている。
第一介挿部材11は、平行な二つのフランジ部41a,41bのうち一方のフランジ部41aが上部梁2の下面に当接し、左右の両端部(右端部19a、左端部19b)が柱4,5に夫々当接状態で横架されている。フランジ部41aには、接合部材20(図1では二つの接合部材20のみを図示している)が貫通しており第一介挿部材11を上部梁2に連結させている。他方のフランジ部41bには第一プレート16及び第二プレート17が夫々接合されている。
第二支持材7a,7bは、図1乃至図3に示すように、下部梁3の揺動を第二板バネ33a,33b(図2参照:詳細は後述する)に伝達する部材であり、重ね板バネ8a,8bの連結部材40a,40b(後述する)の一端部が固定されていると共に、第二介挿部材22、第三ブレース材24、第四ブレース材26、第四プレート27、第五プレート28、および第六プレート29を介して下部梁3に連結されている。
より具体的には、第二支持材7の上端側は、図2に示すように、重ね板バネ8a,8bの連結部材40a,40b(後述する)の一端部が固定されている。また、第二支持材7の下端側は、図1乃至図3に示すように、第六プレート29に対して連結されている。第六プレート29には、さらに第三ブレース材24および第四ブレース材26の上端側が連結されている。第三ブレース材24は、下部梁3と柱4との第三入隅部23から、閉空間Rの略中央付近に向って斜めに配設され、第四ブレース材26は、下部梁3と柱5との第四入隅部25から、閉空間Rの略中央付近に向って斜めに配設されている。ここで、「第六プレート29」が、本発明の「第三ブレース材と第四ブレース材の反入隅部側に配設されたプレート」に相当する。
さらに、第三ブレース材24の下端側は、第四プレート27を介して第二介挿部材22に連結されていると共に、第四ブレース材26の下端側は、第五プレート28を介して第二介挿部材22に連結されている。このように、第二支持材7は、第二介挿部材22、第三ブレース材24、第四ブレース材26、第四プレート27、第五プレート28、および第六プレート29を介して下部梁3に連結されている。なお、第三ブレース材24及び第四ブレース材26は、第二介挿部材22及び第六プレート29に連結されていることにより、略三角形状の連結構造が形成されている。
第二介挿部材22(図1参照)は、平行な二つのフランジ部42a,42bのうち一方のフランジ部42aが下部梁3の上面に当接し、左右の両端部(右端部30a、左端部30b)が柱4,5に夫々当接状態で横架されている。フランジ部42aには、四つの接合部材31(図1では二つの接合部材31のみを図示している)が貫通しており第二介挿部材22を下部梁3に連結させている。他方のフランジ部42bには第四プレート27及び第五プレート28が夫々接合されている。
重ね板バネ8aは、より具体的には図2及び図3に示すように、第一支持材6と第二支持材7aとの間に配設され、第一板バネ9aと、第二板バネ31a,33aと、連結部材40aとを主に具備している。なお、図2は、図1の一部を拡大して示した図であり、図3は、図1中のA−A断面を示す断面図である。
第一板バネ9aは、両端側が第一支持材6に接触しており、ビス34によって固定されている。そして、中間部分は第一支持材6に対して非接触であり、第一支持材6との間に第一空隙35aが形成されるように湾曲している。材質としては特に限定されず、鉄板やアルミニウム板などの金属板の他硬質系ゴム等硬度が高く摩擦力を生じる材質が適宜に選択可能であるが、本例では鋼板を使用している。
第二板バネ31aは、第一板バネ9aと同じ材質の鋼板であり、幅は第一板バネ9aと略等しく、長さは第一板バネ9aよりも短い。第二板バネ31aの両端側36aは第一板バネ9aの表面に接触しており、中間部分は第一板バネ9aに非接触で第二空隙37aが形成されるように湾曲している。
本例では、第二板バネは複数枚で構成されており、第二板バネ31aに加えさらに第二板バネ33aを具備している。第二板バネ33aは、第一板バネ9aと同じ材質の鋼板であり、幅は第一板バネ9a及び第二板バネ31aと略等しく、長さは第二板バネ31aよりもさらに短い。第二板バネ33aの両端側38aは第二板バネ31aの表面に接触しており、中間部分は第二板バネ31aに非接触で空隙39aが形成されるように湾曲している。
第二板バネ31a,33aは、第一支持材6と第二支持材7aとの間隙が広がると湾曲状態が変化し、第二支持材7aの移動に従動して湾曲が大きくなる状態へと変化する。一方、第一支持材6と第二支持材7aとの間隙が狭まると、これに伴い第二空隙37a及び空隙39aが狭まって、摺動可能な両端部36a,38aが伸びる方向に湾曲状態が変化する。
第一板バネ9a、及び第二板バネ31a,33a(以下、単に「一方の各板バネ」と称す)は、長手方向の略中央部分において連結部材40aによって束ねられている。より具体的には、各板バネの長手方向略中央部分に孔(図略)が穿設されており、この孔に連結部材40aがはめ込まれることによって互いに束ねられている。各板バネに穿設されている孔の径は、連結部材40aの太さよりも若干大きめに設定されており、且つ、第二空隙37aや空隙39aが設けられているから、一方の各板バネは、その積層方向H(図3(a)参照。詳細は後述する)への移動がある程度許容されている。許容されている範囲としては、本例の場合は、一方の各板バネの厚みと第一空隙35a、第二空隙37a、及び空隙39aを足し合わせた空隙の量を最大とし、第一支持材6と第二支持材7aとが近接して、第二空隙37a、及び空隙39aの間隙の量がゼロになるまでの範囲である。
重ね板バネ8bは、第一支持材6と第二支持材7bとの間に配設され、第一板バネ9b、第二板バネ31b,33b、及び、連結部材40bを主に具備している。その構成は、重ね板バネ8aと略等しい為説明を省略する。
続いて、本例の制振部材1の取設方法の一例について、図1に基づき説明する。まず、柱4,5の間隔や、上部梁2と下部梁3との間隔などに応じて、第一ブレース材13及び第二ブレース材15の下端部を第三プレート18に連結する。そして、第一ブレース材13及び第二ブレース材15の上端側を、夫々第一プレート16および第二プレート17を介して第一介挿部材11に連結する。こうして、第一ブレース材13及び第二ブレース材15の略三角形状の連結構造を固定する。なお、第一ブレース材13及び第二ブレース材15の連結順序はこれに限定されず、最初に第一ブレース材13及び第二ブレース材15の上端側を第一介挿部材11に対して固定し、後に夫々の下端側を第三プレート18に連結しても良い。
さらに、第三ブレース材24及び第四ブレース材26の上端側を第六プレート29に連結する。そして、第三ブレース材24の下端側を、第四プレート27を介して第二介挿部材22に連結すると共に、第四ブレース材26の下端部を、第五プレート28を介して第二介挿部材22に連結する。
次に、第一支持材6を第三プレート18に連結する。また、第六プレート29に一対の第二支持材7a,7bを取設する。そして、一方の各板バネと他方の各板バネとを夫々連結部材40a,40b(図2参照。以下同じ)で貫通させて束ね、第二支持材7a,7bに固定する。各板バネは、搬送中に分解されないように適宜に仮固定する。
そして、第一介挿部材11を閉空間R内に挿入し、一対の柱4,5間に右端部19a及び右端部19bが夫々当接状態で横架させる。そして、接合部材20を用いて上部梁2に対して第一介挿部材11を固定する。こうして、第一支持材6が上部梁2に対して連結される。
次に、第二介挿部材22を下部梁3に固定させ、第二支持部材7a,7bを下部梁3に対して連結させる。なお、重ね板バネ8a,8bは、工場等で予め第一支持材6に取設した状態で現場に搬入しても良いし、現場で第一支持材6に取設しても良い。こうして、制振部材1が設置される。
続いて、制振部材1の制振作用について、主に図1、図3、及び図4に基づき説明する。図4(a)は、上部梁2が下部梁3に対して相対的に右側に移動した状態を模式的に示した図である。図4(b)は、図4(a)のB−B断面図を示している。なお、本例における「右側」及び「左側」とは、説明の便宜上想定した移動方向であって、図1における略長方形の閉空間Rを正面視とした場合において水平方向の移動を仮定したものである。また、図4(a)における二点鎖線部は、平常時における重ね板バネ8a,8b等の位置を示したものである。
図1に示すように、上部梁2及び下部梁3の間には、一対の柱4,5が垂直に且つ互いに平行な状態で立設している。振動が加わらない平常時には、これらの構造躯体は、図1に示すような略長方形の閉空間Rを構成している。しかし、地震や交通振動等によって建築物等に振動が加わると、その振動が上部梁2、下部梁3、及び一対の柱4,5に伝わる。そして、伝わった振動が横揺れであった場合は、上部梁2と下部梁3とが主に左右方向(水平方向)に揺動する。そうすると、上部梁2及び下部梁3に対する柱4,5の連結角度が変化し、略垂直な状態が保てなくなることで、略長方形であった閉空間Rの形状が平行四辺形状に変化する。
例えば、上部梁2が下部梁3に対して相対的に右側に移動した場合を仮定する(図4(a)実線矢印参照)。上部梁2が下部梁3に対して相対的に右側に移動すると、図4(a)に示すように、第一介挿部材11(図1参照。以下同じ)、第一ブレース材13、第二ブレース材15、第一プレート16(図1参照。以下同じ)、第二プレート17(図1参照。以下同じ)、および第三プレート18を介して第一支持材6が右側に移動する。そうすると、第一支持材6と第二支持材7aとの間隙が狭まるので、これらの支持材の間に配設されていた重ね板バネ8aが水平方向に圧縮される。逆に、第一支持材6と第二支持材7bとの間隔は広がるので、これらの支持材の間に配設されていた重ね板バネ8bは湾曲が大きくなる方向に力を受ける。
第二板バネ31a(図4(b)参照。以下同じ)の両端側36aは、第一板バネ9aに対して摺動可能な状態で接触しているので、その接触面には所定の静摩擦力が働いている。また、第二板バネ33aの両端側38aは第二板バネ31aに対して摺動可能に接触しているので、その接触面にも所定の静摩擦力が働いている。ここで、振動により重ね板バネ8aに加わった力が、当該接触面の静摩擦力よりも大きくなると、両端側36a,38aが摺動するので、第二板バネ31a,33a(図4(b)参照。以下同じ)の湾曲状態が変化する。すなわち、図4(b)に示すように、第二空隙37aと空隙39aとの間隔が振動を受ける前よりも狭まる。これにより、第二板バネ31a,33aが伸びる方向に湾曲状態が変化する。そうすると、摺動面の摩擦により振動エネルギーが熱エネルギーに変換され、振動が減衰する。
一方、第一支持材6と第二支持材7bとの間隔は広がるので、これらの支持材の間に配設されていた重ね板バネ8bは湾曲が大きくなる。そして、当該接触面が摺動し、第二板バネ31b,33bの湾曲状態が変化する。すなわち、第二空隙37bや空隙39bが広がり、湾曲が大きくなる。この時、両端側36b,38bが摺動するから、摩擦により振動エネルギーが熱エネルギーに変換され、重ね板バネ8bに加わった振動が減衰する。
次に、上部梁2が下部梁3に対して相対的に左側に移動した場合を仮定する(図示は省略する)。この場合は、上述とは逆に、重ね板バネ8bが水平方向に圧縮される方向に力を受け、重ね板バネ8aは湾曲が大きくなる。具体的には、重ね板バネ8bに加わった力が、両端側36b,38bの接触面の静摩擦力よりも大きくなると、両端側36b,38bが摺動する。そして、第二空隙37bと空隙39bとの間隔が振動を受ける前よりも狭まって、第二板バネ31b,33bが伸びる。一方、重ね板バネ8aは湾曲が大きくなり、両端側36a,38aが摺動する。そして、第二空隙37aと空隙39aとの間隔が振動を受ける前よりも広がって、第二板バネ31a,33aの湾曲が大きくなる。そうすると、摺動面において摩擦により振動エネルギーが熱エネルギーに変換され、振動が減衰する。
このように、本例の制振部材1によれば、振動によって上部梁2と下部梁3との水平方向の相対位置が変化すると、重ね板バネ8aと重ね板バネ8bとが交互に湾曲状態を変化させ、各板バネの摺動面の摩擦により振動エネルギーが熱エネルギーに変換されるので、振動が減衰する。これにより、振動の収束を早め、建築物内の居住性の向上を図ることができる。特に、本例の制振部材1によれば、第二板バネ31a,31bは湾曲しており、両端側36a,36bのみが第一板バネ9a,9bに対して接触しているので、全体的に接触している場合に比べて、比較的小さな振動でも効果的に減衰する。従って、高感度な制振部材1を提供できる。
また、本例の制振部材1によれば、第二板バネ31a,31b及び第二板バネ33a,33bの湾曲状態が交互に変化することで減衰するから、振動が収束した後は、各板バネの湾曲状態が元に戻り、従来のように内装や壁板などを取り外してボルトを外し、建築物等の残留変形を直してからボルトを締め直すという手間が無い。よって、交換や補修の必要が生じ難い制振部材1を提供することができる。
さらに、本例の制振部材1によれば、第一支持材6は、棒状の第一ブレース材13と第二ブレース材15、および上部梁2とが形成する略三角形状の連結構造をしている。従って、第一支持材6を一本の棒材を用いてTの字状に上部梁2に連結するよりも、略三角形状の連結構造の方が連結部材の撓みや変形による問題を払拭できる。これにより、連結部材を大型化することなく安定して第一支持材6を支持できるので、制振部材1の軽量化に貢献できる。制振部材1を軽量化できると、運搬や保管に要する手間やコストを大きく削減でき経済的である。
また、本例の制振部材1によれば、第一ブレース材13及び第二ブレース材15は、夫々第一介挿部材11に対して連結されており、略三角形状の連結構造が固定されている。さらに、第三ブレース材24及び第四ブレース材26は、夫々第二介挿部材22に対して連結され、略三角形状の連結構造が固定されている。従って、工場などの作業条件の良い場所で所望の形状バランスにて連結構造を固定し、既設の構造躯体(上部梁2や下部梁3等)に第一ブレース材13乃至第四ブレース材26を取設することが可能となるから、現場での作業性が向上すると共に、施工の精度を比較的簡単に向上させることができる。
さらに、本例の制振部材1によれば、第一介挿部材11の両端部(右端部19a、左端部19b)、及び第二介挿部材22の両端側(右端部30a、左端部30b)が夫々柱4,5に当接している。また、当該両端側が第一入隅部12,第二入隅部14,第三入隅部23,第四入隅部25に夫々当接しているから、制振効果と共に柱4,5の立設状態を補強する効果も期待できる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、本例の制振部材1によれば、第一板バネ9a,9bの両端側は第一支持材6に対して固定したが、この構成には限定されない。例えば、第一板バネ9a,9bの両端側に長孔を形成し、この長孔の中にビス等を打つ構成でも良い。このような構成で第一板バネ9a,9bを第一支持材6に対して位置決めすると、第一板バネ9a,9bの両端側を、第一支持材6に対して接触した状態で長孔の範囲内を摺動させることができる。そうすると、第二板バネ31a,31b及び33a,33bの減衰効果に加え、第一板バネ9a,9bによる減衰効果をさらに発揮させることができる。
制振部材の使用状態を示す正面図である。 図1の一部を拡大した拡大図である。 重ね板バネのA−A断面を示す断面図である。 (a)上部梁が下部梁に対して相対的に右側に移動した状態を模式的に示した説明図であり、(b)は(a)のB−B断面図を示している。
符号の説明
1 制振部材
2 上部梁(第一水平構造躯体)
3 下部梁(第二水平構造躯体)
4,5 柱(一対の垂直構造躯体)
6 第一支持材
7a,7b 第二支持材
8a,8b 重ね板バネ
9a,9b 第一板バネ
11 第一介挿部材
12 第一入隅部
13 第一ブレース材
14 第二入隅部
15 第二ブレース材
18 第三プレート(第一ブレース材と第二ブレース材の反入隅部側に配設されたプレート)
19a 右端部(両端部)
19b 左端部(両端部)
22 第二介挿部材
23 第三入隅部
24 第三ブレース材
25 第四入隅部
26 第四ブレース材
29 第六プレート(第三ブレース材と第四ブレース材の反入隅部側に配設されたプレート)
30a 右端部(両端部)
30b 左端部(両端部)
31a,31b,33a,33b 第二板バネ
35a,35b 第一空隙
36a,36b,38a,38b (第二板バネの)両端側
37a,37b 第二空隙
40a,40b 連結部材
R 閉空間

Claims (3)

  1. 略水平方向に配設された第一水平構造躯体と、該第一水平構造躯体の上側または下側の対向する位置に、略水平方向に配設された第二水平構造躯体と、前記第一水平構造躯体及び前記第二水平構造躯体に対して略垂直方向に且つ互いに平行な状態で立設された一対の垂直構造躯体とで構成される閉空間内に取設される制振部材であって、
    該閉空間内の略中央付近に配置されると共にプレート及びブレース材を介して前記第一水平構造躯体に対して連結されて、該第一水平構造躯体の移動に従動する第一支持材と、
    該第一支持材を両側から挟み込むように略平行な状態で配置されると共にプレート及びブレース材を介して前記第二水平構造躯体に連結されて、前記第二水平構造躯体の移動に従動する一対の第二支持材と、
    前記第一支持材と前記一対の第二支持材との間に夫々配設された重ね板バネとを具備し、
    該重ね板バネは、
    長尺状の板バネで、両端側が前記第一支持材に対して接続されており、中間部分は前記第一支持材に対して第一空隙が形成されるように湾曲している第一板バネと、
    長尺状の板バネで、前記第一板バネに対して両端側が摺動可能に接触していると共に、中間部分は前記第一板バネに対して第二空隙が形成されるように湾曲しており、前記第二支持材の移動に従動して湾曲の状態が変化する第二板バネと、
    前記第一板バネ及び前記第二板バネを略中央付近で貫通して束ねている連結部材と、
    を有していることを特徴とする制振部材。
  2. 前記ブレース材は、
    前記第一水平構造躯体及び一方の垂直構造躯体の為す第一入隅部から、前記閉空間の略中央付近に向って斜めに配設された棒状の第一ブレース材と、
    前記第一水平構造躯体及び他方の垂直構造躯体の為す第二入隅部から、前記閉空間の略中央付近に向って斜めに配設された棒状の第二ブレース材と、
    前記第二水平構造躯体及び前記一方の垂直構造躯体の為す第三入隅部から、前記閉空間の略中央付近に向って斜めに配設された棒状の第三ブレース材と、
    前記第二水平構造躯体及び前記他方の垂直構造躯体の為す第四入隅部から、前記閉空間の略中央付近に向って斜めに配設された棒状の第四ブレース材とから成り、
    前記第一支持材は、前記第一ブレース材と、前記第二ブレース材と、該第一ブレース材及び該第二ブレース材の反入隅部側に配設されたプレートとを介して前記第一水平構造躯体に連結されており、
    夫々の前記第二支持材は、前記第三ブレース材と、前記第四ブレース材と、該第三ブレース材及び該第四ブレース材の反入隅部側に配設されたプレートとを介して前記第二水平構造躯体に連結されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の制振部材。
  3. 両端部が一対の前記垂直構造躯体に夫々当接するように配設され前記第一水平構造躯体に取り付けられる第一介挿部材と、
    両端部が一対の前記垂直構造躯体に夫々当接するように配設され前記第二水平構造躯体に取り付けられる第二介挿部材と
    をさらに有し、
    前記第一ブレース材及び前記第二ブレース材は、前記第一介挿部材に対して連結されることで略三角形状の連結構造が形成されており、
    前記第三ブレース材及び前記第四ブレース材は、前記第二介挿部材に対して連結されることで略三角形状の連結構造が形成されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の制振部材。
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