JP6251701B2 - 制震装置 - Google Patents
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Description
図1は、ここで提案される制震装置100を示す正面図である。ここで提案される制震装置100は、図1に示すように、仮想の矩形領域Aに収められる。矩形領域Aは、上下縦方向に沿って設定されており、左右横方向の中間部に、予め定められた幅で上下縦方向に沿って縦軸領域Bが設定されている。さらに、矩形領域Aは、上下縦方向、左右横方向および法線方向(厚さ方向)に予め定められた大きさを有している。
制震装置100は、複数の制震ユニット10と、上側伝達部材30と、下側伝達部材50とを備えている。
制震ユニット10は、矩形領域A内において、縦軸領域Bの左右両側に少なくとも1つずつ配置されている。図2は、上側伝達部材30と制震ユニット10とを示す正面図である。図3は、上側伝達部材30と下側伝達部材50とに取り付けられた制震ユニット10の側面図である。図4は、制震ユニット10と上側伝達部材30のIV−IV縦断断面図である。ここでは、制震ユニット10の一例を説明する。ここで例示される制震ユニット10は、図2から図4に示されるように、粘弾性体11、12と、プレート13、14、15とを備えている。
ここで、プレート13、14、15は、それぞれ所要の剛性を有する鋼板である。プレート13、14は、プレート15を挟んで、プレート15に対向するように配置されている。この実施形態では、プレート13、14は、長辺が両方とも円弧状に膨らんだ曲線で形成された略長方形の鋼板である。プレート13、14は、所要の間隔を開けて対向し、長辺の向きを揃えて平行に配置されている。プレート15は、長方形である。プレート15の長手方向片側は、プレート13とプレート14との間に配置され、プレート13とプレート14とに対向している。プレート15の反対側は、プレート13とプレート14の一方の長辺からはみ出ている。
粘弾性体11、12は、対向するプレート13、14、15の間に配置されている。この実施形態では、粘弾性体11、12は、それぞれ矩形の平板状に成形されている。粘弾性体11、12は、プレート13、14、15の法線方向から見て、プレート13、14、15が重なった領域内にそれぞれ配置されている。ここで、粘弾性体11は、プレート13とプレート15の間に配置され、それぞれに接着されている。粘弾性体12は、プレート14とプレート15の間に配置され、それぞれに接着されている。粘弾性体11、12は、例えば、高減衰性を有する粘弾性ゴム(制震ゴム)で構成されている。粘弾性体11、12と、プレート13、14、15とは、それぞれ加硫接着によって接着されている。
ここで、制震ユニット10は、プレート13およびプレート14に対してプレート15が平行移動すると、粘弾性体11、12にせん断変形が生じる。このとき、粘弾性体11、12に生じたせん断変位と、せん断荷重との関係から、ヒステリシスループ(実測ヒステリシス曲線)が描かれる。横軸はせん断方向の変位を示し、縦軸はその際のせん断荷重を示している。かかるヒステリシスループによれば、せん断変位の増加につれてせん断荷重が高くなり、粘弾性体11、12の抵抗力が大きくなることが分かる。この粘弾性体11、12は、せん断変形を伴う振動を受けると、一周期毎に、当該ヒステリシスループで囲まれたエネルギに相当するエネルギを吸収し得る。
ここで提案される制震装置100では、制震ユニット10は、上述した矩形領域A内において、縦軸領域Bの左右両側に少なくとも1つずつ配置されているとよい。図1に示す例では、制震ユニット10は、縦軸領域Bの左右両側に1つずつ配置されている。
図5は、図1の形態における上側伝達部材30の底面図(矩形領域Aに取り付けられた状態を下から見た図)である。また、上側伝達部材30については、図2に拡大図が示されており、図3に側面図が示されている。図1に示す例では、制震ユニット10は、縦軸領域Bの左右両側に1つずつ配置されている。縦軸領域Bの左右両側の制震ユニット10は、それぞれ上側伝達部材30によって、建物1000の矩形の枠組み200に取り付けられている。上側伝達部材30は、図2に示すように、第1基部31と、第1被取付部32とを備えている。
第1基部31は、図1に示すように、矩形領域Aの上側面に沿って配置されている。この実施形態では、第1基部31は、図1に示すように、制震ユニット10のプレート13、14よりも長い略長方形の板状の部材である。第1基部31の両側部には、図5に示すように、建物1000の矩形の枠組み200を構成する上側の部材(図1に示す例では、上側の梁201)に取り付けるボルト孔31aが形成されている。この実施形態では、第1基部31は、ビスあるいはラグスクリューボルト235によって上側の梁201に固定されている。
第1被取付部32は、複数の制震ユニット10の第1取付部(この実施形態では、プレート13、14)に取り付けられる部位である。この実施形態では、第1被取付部32は、第1基部31から下方に延びた取付片32a、32bで構成されている。取付片32a、32bは、矩形領域Aの上側面の左右横方向に沿って予め定められた間隔を空けて配置されている。取付片32a、32bの間隔は、図2に示すように、制震ユニット10のプレート15および粘弾性体11、12が収まり、かつ、プレート13、14の長さ方向の両側部に取付片32a、32bが取り付けられるように設定されている。取付片32a、32bの先端部には、ボルト18(図3参照)を挿通させるためのボス32a1、32b1が設けられている。ボス32a1、32bは、プレート13、14の間隙に応じた長さを有しており、プレート13、14間に配置され、プレート13、14の間隔を維持するスペーサとしての機能を有する。
縦軸領域Bの左右両側の制震ユニット10は、それぞれ下側伝達部材50によって、建物1000の矩形の枠組み200を構成する下側の部材(図1に示す例では、下側の梁202)に取り付けられている。下側伝達部材50は、第2基部51と、第2被取付部52とを備えている。この実施形態では、下側伝達部材50は、第2基部51と、第2被取付部52との間に中間材70を備えている。この実施形態では、縦軸領域Bの左右両側に、第2基部51と第2被取付部52とがそれぞれ設けられている。
第2基部51は、矩形領域Aの下側面に沿って配置されている。この実施形態では、第2基部51は、図1に示すように、建物1000の矩形の枠組み200を構成する下側の部材(図1に示す例では、下側の梁202)に取り付けられる。第2基部51には、後述する中間材70の下端部70aが取り付けられる。図6は、図1における右側の第2基部51を拡大した正面図である。この実施形態では、第2基部51は、鋼板を折り曲げた部材であり、下側の梁202に取り付けられるベースプレート51aと、矩形領域Aの厚さ方向の両側においてベースプレート51aから折り曲げられて上方に立ち上がった取付プレート51bとを備えている。
第2被取付部52は、図3に示すように、複数の制震ユニット10の第2取付部(プレート15)に取り付けられる部位である。第2被取付部52は、所要の剛性を有する鋼板を折り曲げた部材である。第2被取付部52の一端には、プレート15を接続する接続部52aが設けられており、他端には、中間材70の上端部70bを取り付ける接続部52bが設けられている。ここでは、第2被取付部52について、一例を示しているに過ぎず、第2被取付部52の構造は、図3の形態に限定されない。
この実施形態では、下側伝達部材50は、中間材70を備えている。中間材70は、下側伝達部材50の第2基部51と第2被取付部52とを接続している。そして、中間材70は、矩形領域Aのうち縦軸領域Bを一箇所において横切っている。
11、12 粘弾性体
13、14、15 プレート
18 ボルト
18a 挿通孔
19 ボルト
19a 挿通孔
30、30A 上側伝達部材
31、31A 第1基部
32、32A 第1被取付部
50、50A、50B 下側伝達部材
51、51A、51B 第2基部
52、52A、52B 第2被取付部
70、70A 中間材
70a 下端部
70b 上端部
71a、71b ブレース材
72a、72b ブレース材
72c ブレース材72a、72bが交わった部位
90 中間材
90c 中間プレート
91a、91b ブレース材
92a〜92d ブレース材
93a、93b 横桟
100、100A、100B 制震装置
200 建物
201 上側の梁
202 下側の梁
203、204 柱
205 間柱
205a 欠き込み
205b 蓋材
230 鉄筋コンクリート基礎
231〜234 アンカーボルト
235、236 ビス、ラグスクリューボルト
1000 建物
A 矩形領域
B 縦軸領域
Claims (6)
- 仮想の矩形領域Aに収まる制震装置であって、
前記矩形領域Aは、
上下縦方向に沿って設定されており、
左右横方向の中間部に、予め定められた幅で前記上下縦方向に沿って縦軸領域Bが設定されており、かつ、
前記上下縦方向、前記左右横方向および法線方向に予め定められた大きさを有しており、
前記制震装置は、
複数の制震ユニットと、
上側伝達部材と、
下側伝達部材と
を備え、
前記制震ユニットは、
前記矩形領域A内において、前記縦軸領域Bの左右両側に少なくとも1つずつ配置されており、かつ、
前記上側伝達部材に接続される第1取付部と、
前記下側伝達部材に接続される第2取付部と、
前記第1取付部と前記第2取付部との間に配置され、前記第1取付部と前記第2取付部との相対変位に対して抗力を生じさせる制震材と
を備え、
前記上側伝達部材は、
前記矩形領域Aの上側面に沿って配置された第1基部と、
前記複数の制震ユニットの前記第1取付部に取り付けられる第1被取付部と
を備え、
前記下側伝達部材は、
前記矩形領域Aの下側面に沿って配置された第2基部と、
前記複数の制震ユニットの前記第2取付部に取り付けられる第2被取付部と
を備え、
前記第1基部と前記第1被取付部、および、前記第2基部と前記第2被取付部は、それぞれ前記縦軸領域Bの左右両側に配置されており、
前記上側伝達部材の前記第1基部と前記第1被取付部、または、前記下側伝達部材の前記第2基部と前記第2被取付部、を接続する中間材が設けられており、
ここで、中間材は、
前記縦軸領域Bに対する左側において、上下縦方向に沿って延びた第1のブレース材と、
前記縦軸領域Bに対する右側において、上下縦方向に沿って延びた第2のブレース材と、
矩形領域Aに対して斜めに延びた第3のブレース材と、
矩形領域Aに対して斜めに延びた第4のブレース材と
を備え、
前記第3のブレース材と第4のブレース材は、前記縦軸領域Bを一箇所において横切っており、かつ、前記縦軸領域Bを横切る部位で一体となって交わっている、
制震装置。 - 仮想の矩形領域Aに収まる制震装置であって、
前記矩形領域Aは、
上下縦方向に沿って設定されており、
左右横方向の中間部に、予め定められた幅で前記上下縦方向に沿って縦軸領域Bが設定されており、かつ、
前記上下縦方向、前記左右横方向および法線方向に予め定められた大きさを有しており、
前記制震装置は、
複数の制震ユニットと、
上側伝達部材と、
下側伝達部材と
を備え、
前記制震ユニットは、
前記矩形領域A内において、前記縦軸領域Bの左右両側に少なくとも1つずつ配置されており、かつ、
前記上側伝達部材に接続される第1取付部と、
前記下側伝達部材に接続される第2取付部と、
前記第1取付部と前記第2取付部との間に配置され、前記第1取付部と前記第2取付部との相対変位に対して抗力を生じさせる制震材と
を備え、
前記上側伝達部材は、
前記矩形領域Aの上側面に沿って配置された第1基部と、
前記複数の制震ユニットの前記第1取付部に取り付けられる第1被取付部と
を備え、
前記下側伝達部材は、
前記矩形領域Aの下側面に沿って配置された第2基部と、
前記複数の制震ユニットの前記第2取付部に取り付けられる第2被取付部と
を備え、
前記第1基部と前記第1被取付部、および、前記第2基部と前記第2被取付部は、それぞれ前記縦軸領域Bの左右両側に配置されており、
前記上側伝達部材の前記第1基部と前記第1被取付部、または、前記下側伝達部材の前記第2基部と前記第2被取付部、を接続する中間材が設けられており、
当該中間材は、前記縦軸領域Bを一箇所において横切っており、かつ、当該縦軸領域Bを横切る部位に前記矩形領域Aの法線方向に直交するように配置された中間プレートを備えている、
制震装置。 - 前記中間プレートは、前記矩形領域Aの法線方向の片側に偏って配置されている、請求項2に記載された制震装置。
- 前記中間プレートの厚さは、前記縦軸領域Bの厚さの1/4以下である、請求項2または3に記載された制震装置。
- 前記縦軸領域Bの左側で、前記第1基部と前記2基部とうち一方の基部と、前記中間プレートとを接続する第1ブレース材と、
前記縦軸領域Bの左側で、前記第1被取付部と前記2被取付部とのうち一方の被取付部と、前記中間プレートとを接続する第2ブレース材と、
前記縦軸領域Bの右側で、前記第1基部と前記2基部とのうち一方の基部と、前記中間プレートとを接続する第3ブレース材と、
前記縦軸領域Bの右側で、前記第1被取付部と前記2被取付部とのうち一方の被取付部と、前記中間プレートとを接続する第4ブレース材と
を備えた、
請求項2から4までの何れか一項に記載された制震装置。 - 請求項1から5までの何れか一項に記載された制震装置が取り付けられた建物。
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