JP2003105856A - スプリットティ接合金物及び柱と梁の接合構造 - Google Patents

スプリットティ接合金物及び柱と梁の接合構造

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JP2003105856A
JP2003105856A JP2001300635A JP2001300635A JP2003105856A JP 2003105856 A JP2003105856 A JP 2003105856A JP 2001300635 A JP2001300635 A JP 2001300635A JP 2001300635 A JP2001300635 A JP 2001300635A JP 2003105856 A JP2003105856 A JP 2003105856A
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Hitoshi Ito
均 伊藤
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 T字形接合金物のTウェブを短かくしてカッ
トT形鋼を使用することのできるスプリットティ接合金
物、及びこれを用いることにより作業性が向上しかつこ
の部分の設計の自由度を拡大することのできる柱と梁の
接合構造を提供する。 【解決手段】 梁5のフランジ7a,7bとほぼ等しい
板厚でこのフランジ7a,7bと突合わされるTウェブ
12及び柱1にボルト接合されるTフランジ13からな
り、Tウェブ12が梁5のフランジ7a,7bとほぼ同
一平面に位置する上下一対のT字形接合金物11と、こ
のT字形接合金物11のTウェブ12の間に接合された
ウェブプレート16とによってスプリットティ接合金物
10を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造物の柱又は壁
(本明細書においては、柱と壁を合わせて柱という)に
梁を接合する際に用いられるスプリットティ接合金物及
び柱と梁の接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】H形断面の鋼材(以下、H形鋼という)
からなる柱に、H形鋼からなる梁を高力ボルトにより接
合する方法は、「高力ボルト接合設計施工指針」(日本
建築学会 1993年)に示されている。図8に示す方
法は、梁5の端部に溶接により接合されたエンドプレー
ト40を、柱1のフランジ3に高力ボルトにより摩擦接
合するようにしたものである(従来技術1)。
【0003】また、図9に示す方法は、Tウェブ12と
Tフランジ13からなるT字形接合金物11のTウェブ
12を、梁5の上下のフランジ7a,7bに高力ボルト
により接合すると共に、Tフランジ13を柱1のフラン
ジ3に高力ボルトで接合し、梁5のウェブ6の端部と柱
1のフランジ3を、L字状金物20を用いて高力ボルト
で接合したものである(従来技術2)。
【0004】また、特開平6−280307号公報に
は、主鉄骨の側面に高力ボルトにより接合するためのT
フランジと、Tウェブとからなる上下一対のT字形接合
金物を有し、上側のT字形接合金物のTウェブを梁鉄骨
の上フランジの高さ位置に設け、Tウェブに取付く梁鉄
骨の上フランジを長手方向に所要長切除し、Tウェブと
梁鉄骨の上フランジをスプライスプレートを介して接合
するようにした柱梁接合部が記載されている(従来技術
3)。
【0005】また、特開平6−280308号公報に
は、梁鉄骨のフランジに、T字形接合金物のTウェブと
ほぼ等しい板厚のフィラープレートをTウェブに対して
梁長手方向に近接する形で配設し、さらに、Tウェブと
フィラープレートに跨がる長さのスプライスプレートを
配設して、梁鉄骨のフランジと、T字形接合金物のTウ
ェブとスプライスプレート、及び梁鉄骨のフランジと、
フィラープレートと、スプライスプレートとを、それぞ
れ接合して一体化した柱梁接合部が記載されている(従
来技術4)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来技術1の柱と梁の
接合方法は、梁5の端部にエンドプレート40を完全溶
け込み溶接により接合するため高度な溶接技術を必要と
し、高コストになるばかりでなく溶接部の破断問題を内
包している。
【0007】また、従来技術2は、T字形接合金物11
のTウェブ12と、梁5のフランジ7a,7bとのボル
ト接合が摩擦接合となるため、ボルトに高力ボルトを用
いたとしてもボルト数が多くなり、T字形接合金物11
のTウェブ12が長くなる。T字形接合金物11は、H
形鋼をそのウェブの中央部でカットしたT形鋼で製作す
ることが望ましいが、Tウェブ12が長いと適当なT形
鋼の入手が困難になる。
【0008】従来技術3は、梁鉄骨のウェブが大幅に切
り欠かれており、さらに柱に接合されていないので、せ
ん断力がフランジを通して伝達されるため、フランジに
付加的な曲げモーメントが生じる。また、従来技術4
は、スプライスプレートへ流れる力がフィラープレート
を介して梁鉄骨のフランジに伝達されるため、力の流れ
が非対称で偏心を生じるおそれがあり、その上接合金物
の部品数も多い。
【0009】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたもので、梁のフランジとT字形接合金物のTウェ
ブとの接合にダブルスプライススプリットティ法を適用
することにより、Tウェブを短かくすることができ、こ
れによってカットT形鋼を使用することのできるスプリ
ットティ接合金物を提供すること、及びこのスプリット
ティ接合金物を用いることにより、作業性が向上し、か
つこの部分の設計の自由度を拡大することのできる柱と
梁の接合構造を提供することを目的としたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】(1)本発明に係るスプ
リットティ接合金物は、梁のフランジとほぼ等しい板厚
で該フランジと突合わされるTウェブ及び柱にボルト接
合されるTフランジからなり、前記Tウェブが前記梁の
フランジとほぼ同一平面上に位置する上下一対のT字形
接合金物と、このT字形接合金物のTウェブ間に接合さ
れたウェブプレートとによって構成したものである。
【0011】(2)上記(1)のT字形接合金物のTウ
ェブの板厚を、梁のフランジの板厚より薄く形成した。 (3)上記(1)又は(2)のT字形接合金物のTフラ
ンジの板厚を、剛であるT字形接合金物のTフランジの
板厚より薄く形成した。
【0012】(4)上記(1)〜(3)のいずれかのT
字形接合金物に低降伏点鋼を用いた。 (5)上記(1)〜(4)のいずれかのスプリットティ
接合金物のウェブプレートに低降伏点鋼を用いた。
【0013】(6)本発明に係る柱と梁の接合構造は、
上記(1)〜(5)のいずれかのスプリットティ接合金
物と、突き合わされた梁のフランジとスプリットティ接
合金物のTウェブの上下に配設されてボルト接合される
上下各一対のスプライスプレートと、前記梁のウェブと
ウェブプレートとに接合されるスプライスプレートとを
備えたものである。 (7)上記(6)の柱のフランジとウェブプレートに接
合されるL字状金物を備えた。
【0014】(8)また、本発明に係る柱と梁の接合構
造は、ウェブの端部がフランジより延長された梁と、こ
の梁のフランジと突合わされるTウェブ及び柱にボルト
接合されるTフランジからなる一対のT字形接合金物
と、突合わされた前記梁のフランジと前記T字形接合金
物のTウェブの上下に配設されてボルト接合される上下
各一対のスプライスプレートと、前記柱のフランジと梁
のウェブに接合されるL字状金物とを備えたものであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】[実施の形態1]図1は本発明の
実施の形態1に係る柱と梁の接合構造の正面図、平面図
及び側面図、図2は図1の分解斜視図である。両図にお
いて、1はH形鋼からなる柱であり、2はウェブ、3は
フランジで、フランジ3には後述のスプリットティ接合
金物10を接合するための複数のボルト挿通穴4が設け
られており、また、これらボルト挿通穴4の間の上下方
向には、後述のL字形金物20を接合するための複数の
ボルト挿通穴5が設けられている。3aはダイヤフラム
である(実施例では、柱1はSS400、SN490等
からなり、そのせいが500mmのものを使用した)。
【0016】5はH形鋼からなる梁で、6はウェブ、7
aは上フランジ、7bは下フランジである。ウェブ6の
端部側の上下方向には後述のスプライスプレート30を
接合するための複数のボルト挿通穴8が設けられてお
り、また、上下のフランジ7a,7bの端部側には、ウ
ェブ6の両側において梁5の長手方向に沿って後述のス
プライスプレート25,27を接合するための複数のボ
ルト挿通穴9が設けられている(実施例では、梁5はS
S400、SN490等からなり、そのせいが700m
mのものを使用した)。
【0017】10はスプリットティ接合金物で、その一
例を図3に示す。11は上下一対のT字形接合金物で、
梁5の上下のフランジ7a,7bの幅及び板厚とほぼ等
しい幅と板厚で、後述のスプライスプレート25,27
を接合するための複数のボルト挿通穴14が設けられた
Tウェブ12と、Tウェブ12の端部にこれと直交して
設けられ、柱1のフランジ3に設けたボルト挿通穴4に
対応してボルト挿通穴15が設けられたTフランジ13
とからなっている(実施例では、T字形接合金物11
は、H−900×300×16×28等からなるH形鋼
のウェブをカットしたT形鋼によって形成した)。
【0018】16はTウェブ12の長さとほぼ等しい幅
のウェブプレートで、一対のTウェブ12が梁5の上下
のフランジ7a,7bと整合する位置に配設されたT字
形接合金物11のTウェブ12の間において、その幅方
向の中央部及びTフランジ13に隅肉溶接により接合さ
れたものであり、Tフランジ13側及びその反対側の上
下方向には、それぞれL字状金物20及びスプライスプ
レート30を接合するための複数のボルト挿通穴17,
18が設けられている(実施例では、ウェブプレート1
6は、SS400又はSN490等からなる板厚12m
mの鋼板を使用した。
【0019】20はその高さがスプリットティ接合金物
10の上下のT字形接合金物11のTフランジ13の端
部間の間隔より若干短かいL字状金物で、一方の辺には
柱1のフランジ3に設けたボルト挿通穴5に対応してボ
ルト挿通穴21が設けられており、これと直交する他方
の辺にはスプリットティ接合金物10のウェブプレート
16に設けたボルト挿通穴17に対応してボルト挿通穴
22が設けられている(実施例では、L字状金物20
は、SS400又はSN490等からなる板厚16mm
の鋼板を使用した)。
【0020】25は梁5の上下のフランジ7a,7bと
ほぼ等しい幅の外側スプライスプレートで、梁5の上下
フランジ7a,7bに設けたボルト挿通穴9、及びT字
形接合金物11のTウェブ12に設けたボルト挿通穴1
4に対応してボルト挿通穴26が設けられている。27
は梁5のウェブ6から上下のフランジ7a,7bの側端
部までの幅とほぼ等しい幅の左右一対の内側スプライス
プレートで、外側スプライスプレート25のボルト挿通
穴26に対応してボルト挿通穴28が設けられている。
なお、図示してないが、外側スプライスプレート25と
内側スプライスプレート27は、同じ構造のものが梁5
とスプリットティ接合金物10の下側を接合するために
もう1組設けられている(実施例では、外側及び内側の
スプライスプレート25,27は、SS400又はSN
490等からなる板厚9mmの鋼板を使用した)。
【0021】30は梁5のウェブのせいより若干短かい
長さ(高さ)のスプライスプレートで、一方の側の上下
方向には、スプリットティ接合金物10のウェブプレー
ト16に設けたボルト挿通穴18に対応してボルト挿通
穴31が設けられており、他方の側には梁5のウェブ6
に設けたボルト挿通穴8に対応してボルト挿通穴32が
設けられている。なお、このスプライスプレート30
は、梁5のウェブ6とウェブプレート16の両面に対向
して取付けられるように一対設けてもよい(実施例では
スプライスプレート30は、SS400又はSN490
等からなる板厚9mmの鋼板を使用した)。
【0022】次に、上記のような部材により柱に梁を接
合する手順の一例について説明する。先ず、スプリット
ティ接合金物10のTウェブ12の端部を梁5のフラン
ジ7a,7bの端部に近接して突合わせて配置し、梁5
のウェブ6とスプリットティ接合金物10のウェブプレ
ート16にスプライスプレート30を当接する。そし
て、各ボルト挿通穴32,8と31,18をそれぞれ整
合させ、ボルトとナットにより一体に固定する。これに
より、梁5の上下のフランジ7a,7bとスプリットテ
ィ接合金物10の上下のTウェブ12とが位置決めさ
れ、それぞれ同一平面上に配設される。
【0023】ついで、梁5の上フランジ7aと上部のT
字形接合金物11のTウェブ12の上面に外側スプライ
スプレート25を、また、下面に内側スプライスプレー
ト27をそれぞれ当接して挾み込み、各ボルト挿通穴2
6,9,28と、26,14,28をそれぞれ整合さ
せ、ボルトとナットにより一体に固定する。同様にし
て、梁5の下フランジ7bと下部のT字形接合金物11
のTウェブ12とを、外側スプライスプレート25と内
側スプライスプレート27を介して、ボルトとナットに
より一体に固定する。
【0024】次に、梁5の端部に接合されたスプリット
ティ接合金物10の上下のT字形接合金物11のTフラ
ンジ13を柱1のフランジ3に当接し、ボルト挿通穴4
と15を整合させてボルトとナットにより固定する。そ
して、柱1のフランジ3とウェブプレート16にL字状
金物20を当接し、各ボルト挿通穴5,21と17,2
2を整合させ、ボルトとナットにより固定する。これに
より、梁5はスプリットティ接合金物10を介して柱1
に接合される。
【0025】上記の説明では、スプリットティ接合金物
10のウェブプレート16と柱1のフランジ3とを、L
字状金物20で接合した場合を示したが、柱1と梁5の
接合部分の荷重状態によっては、図4に示すように、L
字状金物20を省略してもよい。
【0026】上記のように構成した本実施の形態によれ
ば、梁5のフランジ7a,7bと、スプリットティ接合
金物10のT字形接合金物11のTウェブ12とを、外
側スプライスプレート25と内側スプライスプレート2
7で挾んで、ボルトとナットによりダブルスプライスス
プリットティ法という接合方法によって摩擦接合したの
で、T字形接合金物11のTウェブ12を短かくするこ
とができ(例えば、図9に示す従来技術2のTウェブの
2分の1程度)、作業性を向上することができる。
【0027】また、T字形接合金物11のTウェブ12
を短かくできるので、H形鋼のウェブを切断したカット
T形鋼を使用できるため、製作が容易でコストを低減す
ることができる。さらに、梁5のフランジ7a,7bと
スプリットティ接合金物10のTウェブ12とを、ダブ
ルスプライススプリットティ法で接合したので、シング
ルスプライス接合や従来技術4の場合のように、梁5の
フランジ7a,7bに偏心を生じることがない。
【0028】また、スプリットティ接合金物10は、柱
1及び梁5から独立しているため、この部分に柱1や梁
5と異なる構造性能を付与して設計者の望む骨組を構成
することができるので、梁5の端部にエネルギー吸収機
能等の性能を付与することができる。
【0029】[実施の形態2]図5は本発明の実施の形
態2に係る柱と梁の接合構造の正面図である。本実施の
形態は、前述の実施の形態1と同様に、スプリットティ
接合金物10は柱1及び梁5と独立しているので、梁5
の柱1への接合部、したがって、スプリットティ接合金
物10の剛性と強度を剛接の場合に比べて小さい半剛接
構造としたものである。ここで、半剛接とは、剛性と強
度がピン接合の場合の零と、剛接の場合の無限大との中
間の有限値を持つ接合部をいう。
【0030】すなわち、実施の形態1においては、スプ
リットティ接合金物10の上下のT字形接合金物11の
Tウェブ12の板厚を、梁5のフランジ7a,7bの板
厚とほぼ等しく、またTフランジ13の板厚を厚く形成
したが、本実施の形態においては、上下のT字形接合金
物11のTウェブ12の板厚を、梁5の板厚より薄く形
成すると共に、Tフランジ13の板厚も実施の形態1の
Tフランジ13の板厚より薄く形成したものである。こ
の場合、Tウェブ12又はTフランジ13のいずれか一
方の板厚だけを薄くしてもよい。なお、35はTウェブ
12側を梁5のフランジ7a,7bの板厚とほぼ等しく
するために、Tウェブ12と外側スプライスプレート2
5及び内側スプライスプレート27との間に介装したフ
イラープレートである。
【0031】本実施の形態は、スプリットティ接合金物
10の上下のT字形接合金物11以外の各部材は実施の
形態1の場合と同様であり、実施の形態1の場合と同様
の手順で柱1と梁を接合することができ、T字形接合金
物11のTウェブ12を短かくできる、カットT形鋼を
使用できるなど、その効果も実施の形態1の場合とほぼ
同様である。
【0032】[実施の形態3]図6は本発明の実施の形
態3に係る柱と梁の接合構造の正面図である。本実施の
形態は、梁5の端部に接合するスプリットティ接合金物
10の上下のT字形接合金物11、又は上下のT字形接
合金物11とウェブプレート16を、例えば、極軟鋼の
如き降伏点が低く破断に至る間での伸び能力が大きい低
降伏点鋼で製作したものである。
【0033】このように構成したことにより、スプリッ
トティ接合金物10に早期降伏によるエネルギー吸収能
力を持たせることができ、梁5の端部にコンパクトに配
設できる制震ダンパーとして機能させることができる。
本実施の形態の施工手順は実施の形態1の場合と同様で
あり、また、上記の制震ダンパー効果に加えて、T字形
接合金物11のTウェブ12を短かくできる、カットT
形鋼を使用できるなど、実施の形態1の場合とほぼ同様
の効果を得ることができる。
【0034】[実施の形態4]図7は本発明の実施の形
態4に係る柱と梁の接合構造の正面図である。本実施の
形態は、実施の形態1〜3と異なり、スプリットティ接
合金物10のウェブプレート16を省略すると共に、梁
5のウェブ6の先端部を、先端部が細くなるように上下
のフランジ7a,7bよりほぼ台形状に延長して先端部
近傍の上下方向に複数のボルト挿通穴(図示せず)を設
けたものである。
【0035】本実施の形態においては、梁5の上下のフ
ランジ7a,7bの端部に近接し、かつ同一平面上に上
下のT字形接合金物10のTウェブ12の端部を突合わ
せて配設し、フランジ7a,7bとTウェブ12を外側
スプライスプレート25と内側スプライスプレート27
でそれぞれ挾持して、これらをボルトとナットにより固
定する。そして、梁5の端部に接合された上下のT字形
接合金物11のTフランジ13を柱1のフランジ3に当
接し、ボルトとナットにより固定する。最後にL字状金
物20を柱1のフランジ3と、梁5のウェブ6に当接
し、ボルトとナットにより固定する。これにより、梁5
はT字形接合金物11を介して柱1に接合される。
【0036】本実施の形態においても、T字形接合金物
11のTウェブ12を短かくできる、カットT形鋼を使
用できるなど、実施の形態1の場合とほぼ同様の効果が
得られるが、さらに部品点数を減らすことができる。な
お、本実施の形態においても、実施の形態2又は3のT
字形接合金物11を用いることができる。
【0037】[実施の形態5]実施の形態1〜4におい
ては、端部にスプリットティ接合金物10又はT字形接
合金物11をダブルスプライススプリットティ法により
接合した梁5を、柱1のフランジ3に接合した場合を示
したが、本実施の形態は、柱1の頂部(柱頭部)にこれ
と直交して梁5を接合したものである。以下、本実施の
形態を実施の形態1(図1)を参照して説明する。
【0038】柱1のウェブ2とスプライスティ接合金物
10のウェブプレート16とをスプライスプレート30
を介してボルト接合すると共に、柱1の両フランジ3と
スプライスティ接合金物10のT字形接合金物11のT
ウェブ12とを、それぞれスプライスプレート25,2
7を介してボルト接合し、柱頭部にスプライスティ接合
金物10を取付ける。そして、Tフランジ13上に梁5
を設置してそのTフランジ7bとTフランジ13とをボ
ルト接合する。これにより、柱頭部上に梁5が接合され
る。なお、必要に応じて、柱1のウェブ2と梁5の下フ
ランジ7bとの間にL字状金物20を接合してもよい。
【0039】上記では、実施の形態1を参照して本実施
の形態を説明したが、実施の形態4(図7)において
も、上記に準じて柱頭部に梁5を接合することができ
る。なお、本実施の形態においても、実施の形態2又は
3のスプリットティ接合金物10若しくはT字形接合金
物11を用いることができる。
【0040】
【発明の効果】本発明に係るスプリットティ接合金物
は、梁のフランジとほぼ同一平面上に位置する上下のT
字形接合金物のTウェブ間に、ウェブプレートを接合し
て一体化したので、梁との接合にあたって位置決めが容
易であり、作業性を向上することができる。
【0041】また、本発明に係る柱と梁の接合構造は、
梁のフランジと、上記のスプリットティ接合金物のTウ
ェブ、又はT字形接合金物のTウェブとを、上下一対の
スプライスプレートを用いてダブルスプライススプリッ
トティ法により接合したので、Tウェブの長さを短かく
することができる。また、これにより、TウェブにH形
鋼のウェブを切断したカットT形鋼を用いることができ
るため、製作が容易でコストを低減することができる。
【0042】さらに、上記のスプライスティ接合金物又
はT字形接合金物は、柱及び梁から独立しているため、
この部分に柱や梁と異なる構造機能を付与することがで
きるので設計の自由度を拡大することができ、設計者の
望む骨組を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る柱と梁の接合構造
の正面図、平面図及び側面図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】図1のスプリットティ接合金物の縦断面図、平
面図及び側面図である。
【図4】実施の形態1の他の例の正面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る柱と梁の接合構造
の正面図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る柱と梁の接合構造
の正面図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る柱と梁の接合構造
の正面図である。
【図8】従来の柱と梁の接合構造の一例の正面図であ
る。
【図9】従来の柱と梁の接合構造の他の例の正面図であ
る。
【符号の説明】
1 柱 3 フランジ 5 梁 6 ウェブ 7a 上フランジ 7b 下フランジ 10 スプリットティ接合金物 11 T字形接合金物 12 Tウェブ 13 Tフランジ 16 ウェブプレート 20 L字状金物 25,27,30 スプライスプレート

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 H形鋼からなる梁の端部に取付けられて
    柱に接合されるスプリットティ接合金物であって、 前記梁のフランジとほぼ等しい板厚で該フランジと突合
    わされるTウェブ及び前記柱にボルト接合されるTフラ
    ンジからなり、前記Tウェブが前記梁のフランジとほぼ
    同一平面に位置する上下一対のT字形接合金物と、該T
    字形接合金物のTウェブ間に接合されたウェブプレート
    とによって構成したことを特徴とするスプリットティ接
    合金物。
  2. 【請求項2】 T字形接合金物のTウェブの板厚を、梁
    のフランジの板厚より薄く形成したことを特徴とする請
    求項1記載のスプリットティ接合金物。
  3. 【請求項3】 T字形接合金物のTフランジの板厚を、
    剛であるT字形接合金物のTフランジの板厚より薄く形
    成したことを特徴とする請求項1又は2記載のスプリッ
    トティ接合金物。
  4. 【請求項4】 T字形接合金物が低降伏点鋼からなるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスプリ
    ットティ接合金物。
  5. 【請求項5】 スプリットティ接合金物のウェブプレー
    トが低降伏点鋼からなることを特徴とする請求項1〜4
    のいずかに記載のスプリットティ接合金物。
  6. 【請求項6】 柱と梁の接合構造において、 請求項1〜5のいずかのスプリットティ接合金物と、突
    合わされた前記梁のフランジと前記スプリットティ接合
    金物のTウェブの上下に配設されてボルト接合される上
    下各一対のスプライスプレートと、前記梁のウェブとウ
    ェブプレートとにボルト接合されるスプライスプレート
    とを備えたことを特徴とする柱と梁の接合構造。
  7. 【請求項7】 柱のフランジとウェブプレートに接合さ
    れるL字状金物を備えたことを特徴とする請求項6記載
    の柱と梁の接合構造。
  8. 【請求項8】 柱と梁の接合構造において、 ウェブの端部がフランジより延長された梁と、該梁のフ
    ランジと突合わされるTウェブ及び前記柱にボルト接合
    されるTフランジからなる一対のT字形接合金物と、突
    合わされた前記梁のフランジと前記T字形接合金物Tウ
    ェブの上下に配設されてボルト接合される上下各一対の
    スプライスプレートと、前記柱のフランジと梁のウェブ
    に接合されるL字状金物とを備えたことを特徴とする柱
    と梁の接合構造。
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