JPH11148174A - 閉鎖形断面柱と梁の接合構造 - Google Patents

閉鎖形断面柱と梁の接合構造

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JPH11148174A
JPH11148174A JP31708197A JP31708197A JPH11148174A JP H11148174 A JPH11148174 A JP H11148174A JP 31708197 A JP31708197 A JP 31708197A JP 31708197 A JP31708197 A JP 31708197A JP H11148174 A JPH11148174 A JP H11148174A
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column
bolt
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steel column
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Kuniaki Sato
邦昭 佐藤
Shoei Ito
昭栄 伊藤
Eiji Matsushita
英二 松下
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ARUTESU KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】閉鎖形断面柱と梁の接合部において、鉄骨柱へ
のダイヤフラムやブラケットの溶接固定等を必要とせ
ず、通し鉄骨柱に1ピースの鉄骨梁を直接接合でき、接
合構造の品質の安定化とコストダウンを図り、鉄骨柱に
増厚加工や補強板取付を施すことなく、鉄骨柱にボルト
穴を設ける必要もなく、剛接合のラーメン構造を得るこ
とができ、また太径ボルトの使用も可能とする。 【解決手段】水平材3aを鉄骨柱1の周囲にバンド状に
固定して水平枠体(柱側接合金物)3を構成し、梁側接
合金物には先端に係止部(ナットやボルト頭)6を備え
たパドルボルト4を用い、水平枠体3は、パドルボルト
4の先端部を梁長手方向の直交方向から挿入可能で先端
係止部を梁長手方向に係止可能な形状に形成し、パドル
ボルト4の平板部は梁フランジに重ねてボルト・ナット
で緊締し、鉄骨柱1の側板と梁ウェブを連結し、剛接合
のラーメン構造を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土木、建築の鉄骨
構造物において、角形鋼管や円形鋼管等の閉鎖形断面の
鉄骨柱と、H形鋼等の上下フランジとウェブを有する鉄
骨梁とを接合し、ラーメン構造を構成する閉鎖形断面柱
と梁の接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図9(a) に、従来から用いられている標
準的な柱梁接合部を持つラーメン構造を示す。この構造
においては、角形鋼管からなる鉄骨柱1は、上柱1A
と、パネルゾーン1Bと、下柱1Cに切断分割し、この
各部材間に上部の通しダイヤフラム50と下部の通しダ
イヤフラム51を配置して溶接で一体化し、さらにブラ
ケット梁52の上下フランジをそれぞれ上下ダイヤフラ
ム50、51に溶接すると共に、ブラケット梁52のウ
ェブを鉄骨柱1の側板に溶接して構成され、鉄骨柱1か
らブラケット梁52が突出した形で工場製作される。ま
た、工事現場では、ブラケット梁52の先端に鉄骨梁2
のフランジ、ウェブをそれぞれ継手板53を用いて高力
ボルト接合している。
【0003】図9(b) は、図9(a) に示すラーメン構造
の改良形式であり(1997年ビルディングレター8月
号:日本建築センター発行)、梁側にスプリットティー
60を用い、鉄骨柱1の柱梁接合部における側板にボル
ト穴を穿ち、このボルト穴に対して梁側の一方向から締
結可能なワンサイドボルト(トルシア形高力ワンサイド
ボルト)61を挿入することによって鉄骨柱1と鉄骨梁
2を結合する構造である。この工法は、溶接接合など高
度な技術を用いることなく接合部の品質を確保し施工の
省力化を図ることを目的とした鉄骨柱と鉄骨梁の接合方
法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述し
た通しダイヤフラムによる従来形式の接合構造では、次
のような問題点がある(図9(a) 、図10参照)。
【0005】 鉄骨柱と鉄骨柱の間に鉄骨梁を掛け渡
すために、左右のブラケット梁および現場で取り付ける
鉄骨梁の3ピースが必要となり、部材数、接合箇所など
が増える。
【0006】 鉄骨柱が上柱、パネルゾーン、下柱に
分割され、ダイヤフラムを挟んで溶接されるので、鉄骨
柱材の耐力はこれらの溶接部を施工する技術に依存し、
かつ鉄骨柱の軸芯を一致させる組立工程を必要とするこ
とから、高度な技術を必要とし、また溶接部が縮小する
ので寸法精度の管理が難しい。
【0007】 ブラケット梁は、中柱では四方に、側
柱では三方に、隅柱では二方に突出するため、鉄骨柱の
工場溶接が作業姿勢の関係で困難であり、また鉄骨柱に
対するブラケット梁の溶接による歪みも生じ易く、鉄骨
柱に対するブラケット梁の直角度を保持するための精度
管理が難しい。さらに、鉄骨柱からブラケット梁が突出
しているため、工場から現場への運搬効率が悪い。
【0008】 鉄骨柱は多くのピースを溶接で集結固
定する構造である。溶接構造においては、溶接部の品質
が接合部の耐力を支配し、建造物の健全性を左右するの
で、可能な限り溶接箇所の少ない接合部が望ましい。
【0009】 現場では、中間の鉄骨梁をブラケット
梁先端部で継手板を介して高力ボルト接合するため、ボ
ルト穴の穴明け加工と精度確保が必要である。従って、
工場での加工工数が多く、現場での高力ボルト接合のた
め、製作段階での品質管理に細心の配慮が必要である。
【0010】また、前述したスプリットティーとワンサ
イドボルトによる従来形式の接合構造も、次のような問
題点がある(図9(b) 、図11参照)。
【0011】 この接合方式では、取付けられた梁端
部のフランジの引張力や圧縮力などは、スプリットティ
ー、ワンサイドボルトを介して柱側板に面外力として作
用する。このとき、図11に示すように柱側板が面外力
によって変形し易くこれを防ぐために、外力が働く部分
の鉄骨柱の側板にカバープレートを溶接で取付ける方法
や高周波誘導加熱による増厚加工等で増厚したりする等
の高度な手段が採られている。
【0012】 この種の工法は、鉄骨柱に対して梁側
から梁締結用のボルトを挿入する必要があり、鉄骨柱の
側板における梁フランジに対向する部分に、ナットの径
に相当するボルト頭(トルシア形高力ワンサイドボルト
の場合、スリーブを変形させる頭)を挿入可能なボルト
挿入孔を穿つ必要がある。このボルト貫通孔は角形鉄骨
柱断面の四方外周上の同一水平面位置に多数設ける必要
がある。このようなボルト貫通孔は、ラーメン構造構成
部材のうち特に重要な柱に対して、さらに架構中最大応
力の発生する柱と梁の接合部に、重大な断面欠損を生じ
させ、建物の健全性を大いに損なうことになる。
【0013】 ワンサイドボルトは、ボルト軸部にス
リーブを嵌合し、ボルト軸部を外側に引っ張ることによ
りスリーブを柱内部で圧縮膨出させてボルト頭を形成す
るメカニズムであり、ボルト軸部とスリーブからなる二
重構造であるため、外径寸法に比べてボルト軸断面積が
小さくなり、所定の引張強さを得るためにはボルト本数
が増加する。
【0014】 様々な断面組み合わせに対して柱側板
の面外力に対する応力、局部変形を検討するに複雑な計
算や実験を伴い、普遍性に乏しい。
【0015】本発明は、前述のような問題点を解消すべ
くなされたもので、その目的は、従来のような鉄骨柱へ
のダイヤフラムやブラケットの溶接固定などを必要とせ
ず、通し鉄骨柱に1ピースの鉄骨梁を直接接合すること
ができ、接合構造の品質の安定化とコストダウンを図る
ことができ、また鉄骨柱に従来のような増厚加工や補強
板取付を施すことなく、鉄骨柱にボルト穴を設ける必要
もなく、剛接合のラーメン構造を得ることができ、さら
に太径のボルトの使用が可能となってボルト本数の低減
も可能となる閉鎖形断面柱と梁の接合構造を提供するこ
とにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明においては、 従来のダイヤフラムやブラ
ケットを無くし、鉄骨柱を通し鉄骨柱とし、鉄骨柱と鉄
骨柱とに掛け渡す鉄骨梁は1ピースで構成されるシンプ
ルな構成とする、 特殊なワンサイドボルトを使用し
ない、 応力伝達メカニズムは、鉄骨柱の側板へ直接
引張力または圧縮力を加えるのではなく、鉄骨柱の四周
全体に梁フランジの応力を分布伝達させ、剛なラーメン
構造の柱・梁接合部を構成する、 継手効率を上げる
ため、太径のボルトを適用可能とし、梁フランジに対し
て2本のボルトでラーメンを構成可能とする。
【0017】即ち、本発明は、図1、図2に示すよう
に、閉鎖形断面の鉄骨柱(角形鋼管からなるボックス
柱、あるいは円形の鋼管柱など)と鉄骨梁(H形鋼やI
形鋼など)の接合部において、水平材を鉄骨柱の周囲に
バンド状に固定して柱側の接合金物としての水平枠体を
構成し、梁側の接合金物にはボルト部先端に係止部(ナ
ットやボルト頭)を備えた羽子板状ボルト(以下、商品
名:パドルボルトと呼称する。)を用い、前記水平枠体
は、前記パドルボルトのボルト部先端部を梁長手方向と
直交する方向から挿入可能でボルト部先端の係止部を梁
長手方向に係止可能な形状に形成し、このパドルボルト
の平板部は梁フランジに重ねてボルト・ナットで緊締
し、鉄骨柱の側板と梁ウェブを連結してなることを特徴
とする。
【0018】水平枠体を構成する水平材の断面形状は、
図4に示すように、パドルボルトの先端部を横から挿入
可能でパドルボルトの係止部を係止可能な溝と上下一対
のリップ片を有するC形などの種々の形状のものを用い
ることができる。この水平材の断面性能検討に際して
は、水平材の一部を鉄骨柱の側板に溶接接合すること
で、水平材の断面および鉄骨柱の側板の一部を構造力学
上の合成部材とすることができ、この合成部材が面外曲
げに抵抗することになる。また、水平材を鉄骨柱に溶接
する部分は、溶接するのに適した形状とすることができ
る。さらに、水平材の溝を上下二段とすることで、梁フ
ランジの上下に添設した一対のパドルボルトを接続でき
るようにすることもできる。
【0019】水平枠体を構成する水平材の取付方法は、
図5に示すような種々の方法を採用することができ、図
5(a) 、(c)のように、パドルボルトを横から挿入する
際に、水平材のリップ片が邪魔になる場合は、図1に示
すように、角部におけるリップ片を切削除去しておく。
【0020】以上のような構成において、工場におい
て、鉄骨柱の所定箇所の周囲に水平枠体を予め溶接で取
付けておき、水平枠体にはパドルボルトのボルト部先端
を横から挿入して係止部とナットで水平枠体のリップ片
を挟持することでパトルボルトを固定しておき、パドル
ボルトの付いた鉄骨柱を現場の所定位置に建て込み、こ
の鉄骨柱間に鉄骨梁を横方向から吊り込み、鉄骨柱のガ
セットプレートと梁ウェブとを高力ボルトで仮締め固定
した後、パドルボルトの平板部を梁フランジに高力ボル
トで本締めし、最後に鉄骨柱のガセットプレートと梁ウ
ェブとを本締め固定することにより、閉鎖形断面柱と梁
によるラーメン構造が構成される。
【0021】図8は、本発明の接合構造における応力伝
達メカニズムを示す。この図においては、柱梁接合部に
加わる応力状態を示すために、鉄骨柱の片側だけに鉄骨
梁が取付く場合を代表として示したものである。一般に
梁端には曲げモーメントと剪断力が同時に作用する。梁
端の剪断力は、鉄骨柱の側板に突設したガセットプレー
トと梁ウェブを高力ボルト接合することによって伝達す
る。梁端の曲げモーメントに対しては、上フランジに引
張力、下フランジに圧縮力が作用する。この曲げモーメ
ントは地震時においては逆転するが、引張力に対して
は、梁フランジに固定したパドルボルトに伝達され、パ
ドルボルトの先端部は水平枠体に係止用ナット(ボルト
頭)と締付用ナットで固定されているので、水平枠体に
は外側(梁側)に引張力として加わる。圧縮力に対して
は、パドルボルトの締付用ナットが水平枠体の梁側の面
に当接しているので、直接圧縮力として水平枠体を内側
(柱側)に押すことになる。
【0022】水平枠体に加わる引張力・圧縮力は正負逆
になるだけであるから、ここで、引張力が加わったとき
の水平枠体と鉄骨柱の関係を、図8により説明する。鉄
骨柱は鋼板からなり、面外剛性が小さいので、引張力に
対して、側板中央部では引張反力が小さく、隅部に向か
って大きくなる傾向があるが、多くの応力は水平枠体の
両側水平材に伝わる。水平枠体は、四隅が互いに溶接で
固定されるなどして一体化しているので、ボルトからの
引張力は、ボルトと平行な水平材と鉄骨柱との溶接の剪
断抵抗で鉄骨柱に伝達される。水平枠体は平面的に見て
閉鎖形であり、鉄骨柱の四周を固定しているので、前述
のように伝達された応力の残余は、ボルトと反対側の鉄
骨柱の側板を支圧することになる。この支圧力の分布
は、隅部の方が大きく、中央部が小さいのは、引張側と
同様に、側板の面外剛性が小さいからである。
【0023】このように本発明の水平枠体は、鉄骨柱を
四周から束縛しているので、鉄骨柱の板厚が小さい場合
でも、ボルトから加わる引張力・圧縮力は、円滑に鉄骨
柱に伝達させることができる。即ち、水平枠体全体が有
効に働く。
【0024】なお、水平枠体自体もボルト位置に加わる
応力を伝達する強度を有していなければならないが、図
4に示すように、水平枠体の水平材を断面C字状等とし
て鉄骨柱に溶接した場合、鉄骨柱の側板も水平枠体の断
面と合成され、あたかも箱形断面の形で面外曲げに抵抗
することになる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施の形
態に基づいて説明する。図1、図2は、本発明の閉鎖形
断面柱と梁の接合構造の1例を示したものである。図3
は、本発明の水平枠体とパドルボルトの詳細を示したも
のである。図4は、水平枠体の種々の断面形状を示した
ものである。図5は、水平枠体の種々の取付方法を示し
たものである。図6は複数の鉄骨梁の形状が異なる場合
と多段の水平枠体を設けた場合の例である。図7は鉄骨
柱が円形の鋼管柱に適用した例である。
【0026】図1、図2に示すように、本発明の閉鎖形
断面柱と梁の接合構造は、角形鋼管からなる鉄骨柱1の
接合部における周囲にバンド状に固定される柱側接合金
物としての上下一対の水平枠体3と、H形断面からなる
鉄骨梁2の接合端部における上下梁フランジ2aに取付
けられる梁側接合金物としてのパドルボルト4と、上下
の水平枠体3間における鉄骨柱1の側板1aに突設され
梁ウェブ2bに高力ボルト接合されるガセットプレート
5などから構成されている。
【0027】パドルボルト4は、一側の平板部4aと他
側のボルト部4bから楷状に形成され、通常は、平板部
4aを梁フランジ2aに添接して高力ボルト接合し、ボ
ルト部4bを開放形断面(H形)の柱フランジに貫通さ
せて内側の調整用ナットと外側の締付用ナットで固定す
るが、本発明では、鉄骨柱1が閉鎖形断面であるため、
調整用ナットを係止部として水平枠体3に取付け、この
係止用ナット6と締付用ナット7で後述する水平枠体3
のリップ片を挟持することでボルト部4bを水平枠体3
に固定する。
【0028】そのため、水平枠体3は、係止用ナット6
が取付けられたパドルボルト4のボルト部4bの先端部
を梁長手方向と直交する方向から水平に挿入可能で係止
用ナット6を梁長手方向に係止可能な形状に形成する。
従って、水平枠体3を構成する水平材3aの断面形状
は、図3に示すように、断面C字状などとし、係止用ナ
ット6が横方向に移動可能な溝3bと、ボルト部4bが
移動可能なスリット3cを形成する。スリット3cを構
成する上下のリップ片3dが係止用ナット6の離脱を阻
止する。なお、上下のスリット3cの間隔は、パドルボ
ルト4のボルト部4bの最大径よりも若干大きくしてお
くのが望ましい。また、水平枠体3の角部においては、
リップ片3dがあると係止用ナット6を横から溝部3b
内に挿入できないので、図1〜図3に示すように、角部
における隣接するリップ片3dを切削除去するか、ある
いは図4(c) に示すように、梁と対向する側から係止用
ナット6を挿入することができるように、スリット3c
を部分的に拡げてスリット拡張部3fを形成することも
ある。
【0029】図4に示すのは、水平枠体3の水平材3a
の形状の種々の例である。図4(a)は、C字形(リップ
溝形)断面の金物の例を示す。図4(b) は、コ字状断面
の金物を開口が対向するように上下に配設してC字形断
面とした例を示す。図4(c)は、逆C字形断面の金物を
開口側が柱側に位置するように固定し、梁側の片に長手
方向中央部(図の斜線部分)を除いてスリット3cを形
成した例を示す。スリット3cは金物端部から最も中央
に位置するボルトの位置まで形成し、金物の長手方向中
央部を残すことで金物の耐力を増している。また、柱側
にリップのないコ字形断面の金物の梁側に3d、3cの
切り込みを設けることもできる。図4(d) は、L形断面
の金物をリップ片が対向するように上下一対で配設して
固定した例を示す。図4(e) は、C字形断面の金物の柱
側の片の中央部に隅肉溶接用の溝を設けた例を示す。図
4(f) は、チャンネル材の開口側に鋼板を取付け、この
鋼板に図4(c) と同様のスリット3cを形成した例を示
す。図4(g) は、L形断面およびT形断面の金物を併設
して多段とした例を示す。
【0030】以上のような水平枠体3の溝3b内に横か
ら挿入される係止用ナット6は、図3に示すように、六
角ナットでも四角ナットでもよく、また短冊形などのそ
の他の形状であってもよい。締付用ナット7の形状も同
様である。係止用ナット6と、締付用ナット7およびワ
ッシャー8とでリップ片3dを挟持することで固定がな
される。なお、係止用ナット6は、ナットとしたが、こ
れに限らず、ボルト部4bの先端に一体的に設けられた
ボルト頭6’でもよい(図6参照)。このボルト頭6’
の形状は、六角ナット状、半球状、フック状、短冊状な
ど、溝3b内に挿入嵌合が容易で係止めできる形状を採
用することができる。なお、係止用ナット6を用いた場
合には、後述するパドルボルト4の接合の際に、係止用
ナット6の位置を調整することができる。
【0031】水平枠体3は、上下梁フランジ2aの位置
に対応させて上下一対で配設し、鉄骨柱1の側板1aに
隅肉溶接で取付けられるが、その取付方法としては、水
平材3aを4つ組み合わせて四角枠状とするのが好まし
い。図5は、水平枠体3の取付方法の種々の例である。
図5(a) は、水平材3aの鉄骨柱1の一辺に取付ける部
分をリップ片3dの付いた断面C字状とし、両端部はリ
ップ片の無い溝形とし、各水平材3aの両端部を平面視
45°で傾斜切断し、端面同士を突き合わせて溶接で一
体化した例である(図1参照)。図5(b) は、鉄骨柱1
の一辺に対応する水平材3aを平面視で卍巴形に組み合
わせた例である。この場合、水平材3aの一方が開口し
ているので、図5(a) 等のように、水平枠体3の角部に
おいてリップ片3dを切削除去する必要がない。図5
(c) は、一端がリップ片の無い溝形とした金物を2つ接
合して平面視L字形の水平材3aを形成し、このL字形
の水平材3aを組み合わせ、端部を鉄骨柱1の一辺の中
央で接合した例である。
【0032】図6(a) に示すのは、鉄骨柱1に接合され
る鉄骨梁2の形状(梁成)に応じて水平枠体3の鉄骨柱
1への取付け位置を適切な位置レベルとした例である。
ここで、下梁フランジに対応する水平枠体3は、水平材
3aを鉄骨柱1の外周に連続して設ける必要はなく、鉄
骨柱に対応する部分だけ断面C字形等の水平材3aと
し、鉄骨梁2の取り合ってこない部分は、水平枠体3を
定着させる役目のリブ3a’を上下に設ければよい。ま
た、リブ3a’の設置に当りバンド状にプレート3eを
取付けることもある。図6(b) に示すのは、図4(g) に
示す多段の水平材3aを使用してパドルボルト4を二段
に配設した例である。この場合、梁フランジ2bと平板
部4aとの間にはフィラープレート9を介在させる。
【0033】図7に示すのは、鉄骨柱1が円形断面の鋼
管柱の場合であり、鉄骨柱1の外殻円周上にリング状の
水平枠体3を固定し、断面C字形等の水平枠体3のリッ
プ片3dを一部切削除去して断面溝形とし、パドルボル
ト4の挿入口を形成している。水平枠体3のリップ片3
dと、ボルト頭6’または係止用ナット6および締付用
ナット7・ワッシャー8との間にテーパー座金10を介
在させて面タッチできるようにする。この円形断面の鋼
管柱の場合、平面的に見て任意の方向から鉄骨梁2を取
付けることができる。
【0034】以上のような接合構造において、次のよう
な手順でラーメン鉄骨の組立てを行う(図1参照)。
【0035】(1) 工場において、通し鉄骨柱1のパネル
ゾーンの所定位置に水平材3aを溶接で固定することに
より、水平枠体3を予め取付けておく。ガセットプレー
ト5も鉄骨柱1の所定の位置に溶接で固定しておく。水
平枠体3およびガセットプレート5の付いた鉄骨柱1を
現場に運搬する。
【0036】(2) 現場では、水平枠体3の溝3b内にパ
ドルボルト4のボルト部4bを横から挿入し、鉄骨梁2
を取付けるのに適した位置までスライド誘導した後、予
めボルト部4bに螺合してある締付用ナット7を締め付
けることで、パドルボルト4を水平枠体3に固定する。
【0037】(3) パドルボルト4の付いた鉄骨柱1を現
場の所定位置に建て込み、鉄骨柱1、1間に鉄骨梁2を
横方向から吊り込み、上下のパトルボルト4の平板部4
a間に鉄骨梁2の接合端部を位置させ、鉄骨柱1のガセ
ットプレート5に梁ウェブ2bを高力ボルトで仮締め固
定する。同様にして直交方向の鉄骨梁2も架け渡す。
【0038】(4) 重なったパドルボルト4の平板部4a
と梁フランジ2bとを高力ボルトで締め付けることで、
鉄骨柱1に水平枠体3を介して鉄骨梁2が本接合され
る。最後に、梁ウェブ2bとガセットプレート5を高力
ボルトで本締めし、取付けが完了する。
【0039】以上のような構成の柱・梁の接合構造の応
力伝達メカニズムは、前述した通りであり(図8参
照)、水平枠体により鉄骨柱の四周全体に梁フランジの
応力を分布伝達することができ、剛なラーメン構造の柱
・梁接合構造を構成することができる。
【0040】なお、以上は角形鋼管または円形断面の鉄
骨柱とH形鋼の鉄骨梁について説明したが、これに限ら
ず、その他の閉鎖形断面の鉄骨柱と、上下フランジとウ
ェブを有する鉄骨梁の接合部にも、本発明を適用できる
ことはいうまでもない。
【0041】
【発明の効果】本発明は、以上のような構成からなるの
で、次のような効果を得ることができる。
【0042】(1) 通し鉄骨柱に水平枠体を工場で取付け
るだけでよく、従来の鉄骨柱の切断、穴明け、ダイヤフ
ラムやブラケット梁の溶接などの加工工程を低減するこ
とができると共に、これら工程に必要な精度管理を解消
することができ、大幅な生産効率向上を図ることができ
る。
【0043】(2) 水平枠体の鉄骨柱への取付けは、隅肉
溶接で行うため、溶接作業が容易である。
【0044】(3) 従来のワンサイドボルト方式のように
鉄骨柱にボルト穴を明ける必要がないため、鉄骨柱の横
断面積の欠損をなくすことができ、ラーメン架構の健全
性を損なわない。また、鉄骨柱内部の防食の必要もなく
なる。
【0045】(4) 水平枠体は鉄骨柱の四周から拘束・補
強しているので、従来のような増厚加工や補強板取付け
を施すことなく、剛接合のラーメン構造が得られる。
【0046】(5) 水平枠体、パドルボルト、ガセットプ
レートの3つの接合部品で、閉鎖形断面の鉄骨柱とH形
鋼鉄骨梁とを接合することができ、充分な力学的機能を
有するラーメン構造を最もシンプルな形で具現できる。
【0047】(6) パドルボルトの位置は任意の本数を任
意の位置に取付けることができる。また、太径のボルト
の適用が可能であり、梁端に対して2本のパドルボルト
でラーメンを構成することが可能となる。
【0048】(7) 従来のように鉄骨柱からブラケット梁
が突出することがなく、一度に大量の運搬が可能とな
る。
【0049】(8) 鉄骨柱内部にコンクリートを充填する
構造を採用した場合、ダイヤフラムがないため充填性が
良好となり、またボルト穴を設けないため、モルタルの
漏れ出しがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の閉鎖形断面柱と梁の接合構造の一例を
示す斜視図である。
【図2】本発明の閉鎖形断面柱と梁の接合構造の一例を
示す、(a) は正面図、(b) は横断面図である。
【図3】本発明で用いる水平枠体を示す、(a) は全体平
面図、(b) はb−b線断面図、(c) はc−c線断面図、
(d) はd−d線断面図である。
【図4】本発明で用いる水平枠体の種々の形状を示す断
面図あるいは正面図である。
【図5】本発明で用いる水平枠体の取付方法を示す平面
図である。
【図6】本発明の閉鎖形断面柱と梁の接合構造の鉄骨梁
の梁成が異なる場合の例を示す正面図である。
【図7】本発明の閉鎖形断面柱と梁の接合構造を断面円
形の鋼管柱に適用した例を示す、(a) は全体の平面図、
(b) はその部分拡大断面平面図、(c) はその水平枠体の
正面図および断面図である。
【図8】本発明における応力伝達メカニズムを示す概略
平面図である。
【図9】従来の閉鎖形断面柱と梁の接合部構造を示す斜
視図であり、(a) は通しダイヤフラム方式、(b) はスプ
リットティー・ワンサイドボルト方式を示す。
【図10】従来の通しダイヤフラム方式と本発明を比較
して示す正面図である。
【図11】従来のスプリットティー・ワンサイドボルト
方式の問題点を示す斜視図である。
【符号の説明】
1……鉄骨柱 1a…側板 2……鉄骨梁 2a…上下梁フランジ 2b…梁ウェブ 3……水平枠体 3a…水平材 3a’…リブ 3b…溝 3c…スリット 3d…リップ片 3e…プレート 3f…ボルト係止部挿入用スリット拡張部 4……パドルボルト 4a…平板部 4b…ボルト部 5……ガセットプレート 6……係止用ナット 6’…ボルト頭 7……締付用ナット 8……ワッシャー 9……フィラープレート 10……テーパー座金

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 閉鎖形断面の鉄骨柱と鉄骨梁の接合部に
    おいて、水平材を鉄骨柱の周囲にバンド状に固定して柱
    側の接合金物としての水平枠体を構成し、梁側の接合金
    物にはボルト部先端に係止部を備えた羽子板状ボルトを
    用い、前記水平枠体は、前記羽子板状ボルトのボルト部
    先端部を梁長手方向と直交する方向から挿入可能でボル
    ト部先端の係止部を梁長手方向に係止可能な形状に形成
    し、この羽子板状ボルトの平板部は梁フランジに重ねて
    ボルト・ナットで緊締し、鉄骨柱の側板と梁ウェブを連
    結してなることを特徴とする閉鎖形断面柱と梁の接合構
    造。
JP31708197A 1997-11-18 1997-11-18 閉鎖形断面柱と梁の接合構造 Withdrawn JPH11148174A (ja)

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