JP2001152551A - 柱梁接合部 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】鉄骨構造の柱と梁とにおける施工性のよい接合
部を形成して、柱と梁とを接合する手間を軽減する。 【解決手段】角形鋼管柱の上階柱４と下階柱５とを突き
合わせ配置し、上階柱４の内部から下階柱５の内部に亘
って、上階柱４の内部に位置するダイアフラム９と下階
柱５の内部に位置するダイアムラム１０と両ダイアフラ
ムを連結する連結材８とからなる内挿部材７を配置し、
上階柱４と下階柱５の突き合わせ部分６を間にして相対
するＨ形鋼梁３それぞれを、梁端エンドプレート１３を
介して突き合わせ、Ｈ形鋼梁３の上フランジが上階柱内
部のダイアフラム９に対応位置するとともに下フランジ
が下階柱内部のダイアフラム１０に対応位置し、角形鋼
管柱を通るボルト１５で梁端エンドプレート１３同士を
締結した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は鉄骨構造物の骨格で
ある角形鋼管柱とＨ形鋼梁との接合部に関するものであ
る。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】鉄骨構造物における柱
梁接合部は、一般的にダイアフラムの接合方法により通
しダイアフラムタイプと内ダイアフラムタイプと外ダイ
アフラムタイプとの三種類に大別でき、さらに、工場で
梁ブラケットを角形鋼管柱の側面（スキンプレート）に
溶接してから建設現場に搬出し、その建設現場での鉄骨
建て方で梁ブラケットと鋼梁とをボルト接合する「工場
溶接タイプ」と、建設現場で梁端フランジを角形鋼管柱
に溶接する「現場溶接タイプ」とに、梁端の接合方法に
よっても分類できる。しかしながら、これらの柱梁接合
部を形成する方法はいずれも溶接箇所数や加工工数が多
く、溶接部の品質管理などを含め、コストや施工手間が
かかるものとなっていた。また、角形鋼管柱を間にして
対向位置する鋼梁をボルトを用いて締結するとともにそ
の角形鋼管柱内にコンクリートを充填することで柱梁接
合部の剛性を確保しようとする試みもなされている。し
かし、この方法では、コンクリートを充填するなど鉄骨
建て方とは異なる作業が必要となり、施工性が低いとい
う問題があった。そこで本発明は上記事情に鑑み、鉄骨
構造の柱と梁とにおける施工性のよい接合部を得ること
を課題とし、柱と梁とを接合する手間を軽減することを
目的とする。

【０００３】

【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を考慮
してなされたもので、鉄骨構造における角形鋼管柱とＨ
形鋼梁との柱梁接合部において、それぞれ角形鋼管柱と
した上階柱と下階柱とが突き合わせ配置され、上階柱の
内部から下階柱の内部に亘って、前記上階柱の内部に位
置するダイアフラムと前記下階柱の内部に位置するダイ
アムラムと前記上下の両ダイアフラムを連結する連結材
とからなる内挿部材が配置され、前記上階柱と下階柱と
からなる角形鋼管柱の前記突き合わせ部分を間にして梁
通り心方向に相対するＨ形鋼梁それぞれが、該Ｈ形鋼梁
の端部に溶接固定した梁端エンドプレートを介して角形
鋼管柱に突き合わされて、前記Ｈ形鋼梁の上フランジが
上階柱内部のダイアフラムに対応位置するとともに下フ
ランジが下階柱内部のダイアフラムに対応位置し、角形
鋼管柱を通るボルトにより梁通り心方向に相対するＨ形
鋼梁それぞれの梁端エンドプレート同士が締結されてい
ることを特徴とする柱梁接合部を提供して、上記課題を
解消するものである。

【０００４】

【発明の実施の形態】つぎに本発明を図１と図２に示す
実施の形態に基づいて詳細に説明する。図１は鉄骨構造
における柱梁接合部１を示していて、この柱梁接合部１
は角形鋼管柱２に対してこの角形鋼管柱２を間にして梁
通り心方向に相対する二つのＨ形鋼梁３を接合してい
る。図示されているように、この柱梁接合部１において
角形鋼管柱２は上階柱４と下階柱５とが突き合わせ配置
されたものであり、その突き合わせ部分６の内部に内挿
部材７が位置している。上記内挿部材７は上階柱４の内
部から下階柱５の内部に亘っており、上記Ｈ形鋼梁３の
高さ寸法より十分に長い寸法にして角形鋼管柱２の内部
形状に応じた外形状を有している角形鋼管からなる連結
材８と、図１の（ロ）に示すように前記連結材８の内部
に位置する上下のダイアフラム９、１０とからなり、上
のダイアフラム９はＨ形鋼梁３の上フランジ１１に対応
するようにして予め連結材８に溶接固定され、同様に、
下フランジ１０はＨ形鋼梁３の下フランジ１２に対応す
るようにして予め連結材８に溶接固定されている。

【０００５】Ｈ形鋼梁３それぞれは上記突き合わせ部分
６を間にして対向しており、このＨ形鋼梁３の端部に溶
接固定した梁端エンドプレート１３を介して角形鋼管柱
２に突き合わされている。なお、この梁端エンドプレー
ト１３はＨ形鋼梁３の端部に予め溶接されているもの
で、建設現場ではなく設備の整った工場で溶接する。図
１に示されているように突き合わせ状態はＨ形鋼梁３の
上フランジ１１が角形鋼管柱２の内部に配置した上記内
挿部材７におけるダイアフラム９に対応位置し、Ｈ形鋼
梁３の下フランジ１２はダイアフラム１０に対応位置す
るようにしている。そして、この柱梁接合部１では、一
方の梁端エンドプレート１３から角形鋼管柱２と上記連
結材８を通って他方の梁端エンドプレート１３を通る長
締高強度ボルト１４により前記梁端エンドプレート同士
が締結されていて、図示した例では、上階柱側では上フ
ランジ１１の上下となるようにした四箇所の位置で締結
され、下階柱側では下フランジ１２の上下となるように
した四箇所の位置で締結されている。図において長締高
強度ボルト１４はボルト通し位置での仮想線で示した。
また、図において、１５はこの柱梁接合部１に直交梁が
ある場合の上記梁に対して直交する方向のＨ形鋼梁を接
合するときのボルト孔を示しており、ボルト同士がぶつ
かり合わないように位置がずれている。

【０００６】柱梁接合部１では以上のようにして角形鋼
管柱２とＨ形鋼梁３とが接合されているが、Ｈ形鋼梁３
からの応力において、Ｈ形鋼梁３のフランジから引っ張
り力が加わる場合には長締高強度ボルト１４により支持
され、圧縮力が加わる場合には梁端エンドプレート１３
および角形鋼管柱２のスキンプレート１６の面圧力を介
してダイアフラム９、１０に伝達されて支持される。そ
のため、前記ダイアフラムの溶接は連結材８に対してく
っついているという程度でもよく、断続すみ肉溶接程度
で十分である。また、角形鋼管柱２の圧縮軸力は突き合
わせ部分６を経て上下方向に伝達され、引っ張り軸力は
梁端エンドプレート１３を介して上下方向に伝達され
る。従って、突き合わせ部分６での柱同士の溶接は不要
となる。このように上記柱梁接合部１では応力の伝達が
適正に行われる。よって、十分な品質管理が要求される
溶接部は、梁端エンドプレート１３と梁端との溶接部分
のみである。また、梁端エンドプレートの形状、寸法
（厚さ）や長締高強度ボルトの本数は、接合部に期待さ
れる剛性、耐力などの力学性能を満足するように選択す
ればよい。上記長締高強度ボルトには所定の張力を導入
することになるが、Ｈ形鋼梁のフランジに生じる引っ張
り力（想定される引っ張り力）をそのボルトの離間耐力
以下とすることで、柱梁接合部での剛性が確保できる。
また、以下に示す施工時の挿入に必要なダイアフラムの
周辺の隙間を小さくしていて、これによって、長締高強
度ボルトの軸力に応じてダイアフラムに面内方向に圧縮
力が導入され、柱梁接合部の剛性が確保されるようにし
ている。

【０００７】施工手順は以下の通りである。 １）ダイアフラムを有する内挿部材を、突き合わせを行
う角形鋼管柱の端部に挿入し、角形鋼管柱の建て方を行
う。このとき、内挿部材の仮止めや位置決めなどのため
に簡単な治具、ボルトで固定する。 ２）梁の建て方を行う。 ３）長締高強度ボルトを挿入し、仮締めを行う。 ４）建て入れ直しおよび長締高強度ボルトの本締めを行
う。

【０００８】本発明での柱梁接合部１の内挿部材は上記
の例に限定されない。その例を図２に示していて、角形
鋼管とした連結材８の内部において上階柱に対応する部
分で複数枚のダイアフラム９を設けるとともに下階柱に
対応する部分で複数のダイアフラム１０を設けたり
（イ）、連結材８を角形鋼管とはせずに上下のダイアフ
ラム９、１０の間に渡した一枚のプレートから形成し
て、上下端それぞれをダイアフラム９、１０に溶接した
ものとしたり（ロ）、さらにはその連結材８を断面十字
状のものとしてもよい（ハ）。また、図２（ハ）に示す
ように連結材８を断面十字状のプレートからなるものと
した場合、Ｈ形鋼梁のウエブに対応する位置に連結材の
板状部分を面方向が揃うようにして設置すれば、ウエブ
応力の伝達効率の向上につながるようになる。上記内挿
部材では、ダイアフラムと連結材との接続部分には大き
な応力が生じないため、上述したように断続すみ肉溶接
程度でよく、また、接着接合などの簡単な接続方法を採
用してもよい。また、上記連結材には長締高強度ボルト
の貫通孔を開けることが必要であるが、その径を大きく
して施工性を向上させても力学的な問題は生じないよう
になる。

【０００９】

【発明の効果】以上説明した本発明により、鉄骨加工の
省力化、施工の省力化が行え、それに伴って施工のコス
トダウンを実現できるようになる。即ち、角形鋼管柱用
部材では切断とボルト孔開けのみとなり、Ｈ形鋼梁用部
材では切断および梁端エンドプレートの溶接となり、内
挿部材用の部材では簡単な接合によるダイアフラムの組
立とボルト孔開けとなり、現場施工では、建て方、長締
高強度ボルトへの軸力導入という作業となり、従来の工
場溶接や現場組立に比べて省力化ならびにコストダウン
が図れるなど、実用性に優れた効果を奏するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る柱梁接合部の一例を示すもので、
（イ）は側面から見た状態を示す説明図、（ロ）は上方
から見た状態で示す説明図である。

【図２】内挿部材の他の例を示すもので、（イ）（ロ）
（ハ）それぞれにおいて上段の図は上方から見た状態を
示す説明図であり、下段の図は側方から見た状態を示す
説明図である。

【符号の説明】

１…柱梁接合部 ２…角形鋼管柱 ３…Ｈ形鋼梁 ４…上階柱 ５…下階柱 ６…突き合わせ部分 ７…内挿部材 ８…連結材 ９、１０…ダイアフラム １１…上フランジ １２…下フランジ １３…梁端エンドプレート １４…長締高強度ボルト １５…ボルト孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Ｆターム(参考） 2E125 AA04 AA14 AB01 AB16 AC15 AC16 AG12 AG57 BA55 BB02 BB09 BB22 BC09 BD01 BE02 BE07 BF04 BF08 CA05 CA13 CA14 EA33

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】鉄骨構造における角形鋼管柱とＨ形鋼梁と
   の柱梁接合部において、それぞれ角形鋼管柱とした上階
   柱と下階柱とが突き合わせ配置され、上階柱の内部から
   下階柱の内部に亘って、前記上階柱の内部に位置するダ
   イアフラムと前記下階柱の内部に位置するダイアムラム
   と前記上下の両ダイアフラムを連結する連結材とからな
   る内挿部材が配置され、前記上階柱と下階柱とからなる
   角形鋼管柱の前記突き合わせ部分を間にして梁通り心方
   向に相対するＨ形鋼梁それぞれが、該Ｈ形鋼梁の端部に
   溶接固定した梁端エンドプレートを介して角形鋼管柱に
   突き合わされて、前記Ｈ形鋼梁の上フランジが上階柱内
   部のダイアフラムに対応位置するとともに下フランジが
   下階柱内部のダイアフラムに対応位置し、角形鋼管柱を
   通るボルトにより梁通り心方向に相対するＨ形鋼梁それ
   ぞれの梁端エンドプレート同士が締結されていることを
   特徴とする柱梁接合部。