JP3621947B1 - 構造物の柱と梁の接合構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】地震などにより鉄骨構造物に加わるエネルギーを吸収する座屈拘束ブレースを、鉄骨構造物に容易に取り付けることができる。
【解決手段】構造物の柱11および梁12の各々に固定する一対のガゼット15、16に、内面にコンクリート層23、24を有する一対の鋼材21、22間にブレース板25を挟持させた座屈拘束ブレース14を連結する。ガゼット15、16の各々は、柱11および梁12に固定する平面部31と平面部31から直立する舌部32を備えており、舌部32には座屈拘束ブレース14のブレース板25を受ける切込部36が形成されている。この切込部36にブレース板25の先端を挿入して舌部32とブレース板25とが十字型を構成するように溶接する。
【選択図】 図4
【解決手段】構造物の柱11および梁12の各々に固定する一対のガゼット15、16に、内面にコンクリート層23、24を有する一対の鋼材21、22間にブレース板25を挟持させた座屈拘束ブレース14を連結する。ガゼット15、16の各々は、柱11および梁12に固定する平面部31と平面部31から直立する舌部32を備えており、舌部32には座屈拘束ブレース14のブレース板25を受ける切込部36が形成されている。この切込部36にブレース板25の先端を挿入して舌部32とブレース板25とが十字型を構成するように溶接する。
【選択図】 図4
Description
本発明は、鉄骨構造物の鋼材製の柱と鋼材製の梁間に座屈拘束ブレースを架設して、地震などにより鉄骨構造物に大きなエネルギーが加わったときにそのエネルギーを座屈拘束ブレースで吸収し、構造物の振れを減少させる構造物の柱と梁の接合構造に関する。
従来、鋼材製の柱と鋼材製の梁を骨組とした鉄骨構造物に、鋼管とその内部に配置された鋼材との間にコンクリートを充填した座屈拘束ブレースを架設して、地震などによるエネルギーをこの座屈拘束ブレースで吸収し、鋼材製の柱と鋼材製の梁の永久変形を防止するとともに、地震後に必要に応じて座屈拘束ブレースを交換するだけで耐震鉄骨構造物を再現できる構成の耐震鉄骨構造物が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
特許文献1における構成は、ブレース板の端部を十字型に構成し、鋼材製の梁に十字型の鋼材製取付金具を溶接し、ブレース板の端部と鋼材製取付金具とを突き合わせて鋼製継手板によって結合するものである。
特開平6−57820号公報((0004)、(0006)、(0009)および図1など)
特許文献1における構成は、ブレース板の端部を十字型に構成し、鋼材製の梁に十字型の鋼材製取付金具を溶接し、ブレース板の端部と鋼材製取付金具とを突き合わせて鋼製継手板によって結合するものである。
特許文献1の構成は、大地震が発生したときに、座屈拘束ブレースが弾塑性の挙動をし、座屈拘束ブレースの低降伏点鋼材が降伏して地震エネルギーを吸収することにより、鋼材製の柱と鋼材製の梁の永久変形を防止することができる。
しかし、特許文献1における座屈拘束ブレースは、ブレース板の端部と鋼材製取付金具とをそれぞれ十字型に構成して突き合わせているため、接合部が長くなってしまい地震エネルギーを吸収する座屈拘束ブレース長さに影響を及ぼしてしまう。
しかし、特許文献1における座屈拘束ブレースは、ブレース板の端部と鋼材製取付金具とをそれぞれ十字型に構成して突き合わせているため、接合部が長くなってしまい地震エネルギーを吸収する座屈拘束ブレース長さに影響を及ぼしてしまう。
本発明はこのような課題を解決するもので、接合部長さを短くするとともに、鉄骨構造物への取り付け作業を容易に行え、地震などにより鉄骨構造物に大きなエネルギーが加わったときにそのエネルギーを座屈拘束ブレースで確実に吸収し、構造物の振れを減少させて、構造物の柱と梁の変形を防止することが可能な柱と梁の接合構造を提供することを目的とする。
請求項1記載の本発明の構造物の柱と梁の接合構造は、構造物の柱および梁の各々に固定する一対のガゼットと、内面にコンクリート層を有する一対の鋼材間にブレース板を挟持させた座屈拘束ブレースとを有し、前記ガゼットは前記柱および梁に固定する平面部と前記平面部から直立する舌部とを備え、前記舌部に前記ブレース板を受ける切込部を形成し、前記切込部に前記ブレース板の先端を挿入して前記舌部と前記ブレース板とを十字型に直交させて溶接することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記ブレース板の平面を、前記座屈拘束ブレースを配設する壁面に対して直角方向に配置することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記舌部には前記切込部周辺において切り込み方向に直交する端面を有し、前記座屈拘束ブレースの鋼材端面と前記舌部の前記端面との間に間隙を持たせて前記舌部と前記ブレース板とを固定することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記ブレース板の中央部に幅狭部を形成することを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項3に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記ブレース板の両端部の前記間隙を含む位置に重ね板を溶接することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記切込部を前記平面部に達する位置まで形成し、前記ブレース板の先端と前記平面部とを突き合わせ溶接することを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記ブレース板と前記舌部とを隅肉溶接することを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記切込部の形成を、前記平面部に達しない位置までとし、前記ブレース板と前記舌部とを隅肉溶接することを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記ガゼットの平面部には前記ガゼットを前記構造物の柱または梁に固定するための複数のボルト孔を有し、複数の前記ボルト孔を長孔とすることを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記ブレース板の平面を、前記座屈拘束ブレースを配設する壁面に対して直角方向に配置することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記舌部には前記切込部周辺において切り込み方向に直交する端面を有し、前記座屈拘束ブレースの鋼材端面と前記舌部の前記端面との間に間隙を持たせて前記舌部と前記ブレース板とを固定することを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記ブレース板の中央部に幅狭部を形成することを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項3に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記ブレース板の両端部の前記間隙を含む位置に重ね板を溶接することを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記切込部を前記平面部に達する位置まで形成し、前記ブレース板の先端と前記平面部とを突き合わせ溶接することを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項6に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記ブレース板と前記舌部とを隅肉溶接することを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記切込部の形成を、前記平面部に達しない位置までとし、前記ブレース板と前記舌部とを隅肉溶接することを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造において、前記ガゼットの平面部には前記ガゼットを前記構造物の柱または梁に固定するための複数のボルト孔を有し、複数の前記ボルト孔を長孔とすることを特徴とする。
本発明によれば、地震などにより鉄骨構造物に加わる地震エネルギーを確実に吸収する座屈拘束ブレースの接合部長さを短くしてエネルギー吸収部分の長さを長くすることができるとともに、鉄骨構造物に容易に取り付けることができる。
本発明の第1の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造は、舌部にブレース板を受ける切込部を形成し、切込部にブレース板の先端を挿入して舌部とブレース板とを十字型に直交させて溶接するものである。本実施の形態によれば、ガゼットの舌部とブレース板とを直交させて十字型の接続部を形成するために、接合部長さを短くするとともに、接続部の強度を保ちつつ取り付け作業を容易に行うことができる。また、この十字型の接続部を形成するにあたって、ガゼットの舌部側に切り込みを形成してブレース板には切り込みやボルト孔を形成しないため、接続部における局部座屈を防止することができ、座屈拘束ブレースの機能を損なうことがない。また、ブレース板は鋼材間でコンクリートにより巻かれるので、改めて耐火被覆を施す必要はない。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、座屈拘束ブレースを配設する壁面に対して直角方向に配置するものである。本実施の形態によれば、構造物の柱や梁に加わる力を座屈拘束ブレースによって確実に吸収することができるので、柱や梁の変形を防止することができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、舌部には切込部周辺において切り込み方向に直交する端面を有し、座屈拘束ブレースの鋼材端面と舌部の端面との間に間隙を持たせて舌部とブレース板とを固定するものである。本実施の形態によれば、座屈拘束ブレースの伸縮を間隙によって吸収してガゼットに加わらないようにすることができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、ブレース板の中央部に幅狭部を形成したものである。本実施の形態によれば、降伏点をブレース板の中央部の幅狭部に集中させることにより、座屈拘束ブレースの鋼材およびコンクリートの端面とガゼットの舌部との間隙におけるブレース板の降伏を防止することができる。
本発明の第5の実施の形態は、第3の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、ブレース板の両端部の間隙を含む位置に重ね板を溶接するものである。本実施の形態によれば、このように重ね板を設けることでブレースが耐力的に不利にならないように断面補強を行わうことができる。
本発明の第6の実施の形態は、第1の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、切込部を平面部に達する位置まで形成し、ブレース板の先端と平面部とを突き合わせ溶接するものである。本実施の形態によれば、ブレース板の先端と平面部とを突き合わせ溶接するだけとし、接合耐力をすべてこの溶接部分で伝達できるものとすることで、ガゼットの飛び出し寸法を少なくすることができる。
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、ブレース板と舌部とを隅肉溶接するものである。本実施の形態によれば、ブレース板の先端と平面部とを、またブレース板と舌部とをすべて隅肉溶接することで、挫屈拘束ブレースの接合耐力確保と振れ止めとの二つの効果を同時に満足することができる。
本発明の第8の実施の形態は、第1の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、切込部の形成を、平面部に達しない位置までとし、ブレース板と舌部とを隅肉溶接するものである。本実施の形態によれば、特に低層建物の場合には、ブレース耐力が低いため、このような構成においてもガゼットの舌部の突出寸法を大きくすることなく挫屈拘束ブレースの接合耐力を確保することができる。
本発明の第9の実施の形態は、第1の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、ガゼットを柱または梁に固定するためのボルト孔の少なくとも一部を長孔としたものである。本実施の形態によれば、座屈拘束ブレースを接合したガゼットを柱や梁に固定する際に、ガゼットと柱や梁との位置を調整可能として位置あわせを容易にすることができる。
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、座屈拘束ブレースを配設する壁面に対して直角方向に配置するものである。本実施の形態によれば、構造物の柱や梁に加わる力を座屈拘束ブレースによって確実に吸収することができるので、柱や梁の変形を防止することができる。
本発明の第3の実施の形態は、第1の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、舌部には切込部周辺において切り込み方向に直交する端面を有し、座屈拘束ブレースの鋼材端面と舌部の端面との間に間隙を持たせて舌部とブレース板とを固定するものである。本実施の形態によれば、座屈拘束ブレースの伸縮を間隙によって吸収してガゼットに加わらないようにすることができる。
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、ブレース板の中央部に幅狭部を形成したものである。本実施の形態によれば、降伏点をブレース板の中央部の幅狭部に集中させることにより、座屈拘束ブレースの鋼材およびコンクリートの端面とガゼットの舌部との間隙におけるブレース板の降伏を防止することができる。
本発明の第5の実施の形態は、第3の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、ブレース板の両端部の間隙を含む位置に重ね板を溶接するものである。本実施の形態によれば、このように重ね板を設けることでブレースが耐力的に不利にならないように断面補強を行わうことができる。
本発明の第6の実施の形態は、第1の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、切込部を平面部に達する位置まで形成し、ブレース板の先端と平面部とを突き合わせ溶接するものである。本実施の形態によれば、ブレース板の先端と平面部とを突き合わせ溶接するだけとし、接合耐力をすべてこの溶接部分で伝達できるものとすることで、ガゼットの飛び出し寸法を少なくすることができる。
本発明の第7の実施の形態は、第6の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、ブレース板と舌部とを隅肉溶接するものである。本実施の形態によれば、ブレース板の先端と平面部とを、またブレース板と舌部とをすべて隅肉溶接することで、挫屈拘束ブレースの接合耐力確保と振れ止めとの二つの効果を同時に満足することができる。
本発明の第8の実施の形態は、第1の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、切込部の形成を、平面部に達しない位置までとし、ブレース板と舌部とを隅肉溶接するものである。本実施の形態によれば、特に低層建物の場合には、ブレース耐力が低いため、このような構成においてもガゼットの舌部の突出寸法を大きくすることなく挫屈拘束ブレースの接合耐力を確保することができる。
本発明の第9の実施の形態は、第1の実施の形態による構造物の柱と梁の接合構造において、ガゼットを柱または梁に固定するためのボルト孔の少なくとも一部を長孔としたものである。本実施の形態によれば、座屈拘束ブレースを接合したガゼットを柱や梁に固定する際に、ガゼットと柱や梁との位置を調整可能として位置あわせを容易にすることができる。
以下本発明の実施例について図面とともに詳細に説明する。
図1は本発明の実施例1による構造物の柱と梁の接合構造の構成を示す側面図である。鋼材製の柱11と鋼材製の梁12により鉄骨構造物の骨組みが構成される。鋼材製の柱11と鋼材製の梁12の接合は、剛接、半剛接あるいはピン接合により接合される。図1にはボルト13によるピン接合の例を示す。柱11と梁12間には、座屈拘束ブレース14およびその両端に連結された鋼材製のガゼット15、16からなる方杖17が配置され、柱11にボルト18でガゼット15を、梁12にボルト19でガゼット16を固定して架設される。方杖17は鉄骨構造物が地震等により損傷する可能性がある場合に、地震エネルギーを方杖17に集中させる損傷制御部材として作用する。
図1は本発明の実施例1による構造物の柱と梁の接合構造の構成を示す側面図である。鋼材製の柱11と鋼材製の梁12により鉄骨構造物の骨組みが構成される。鋼材製の柱11と鋼材製の梁12の接合は、剛接、半剛接あるいはピン接合により接合される。図1にはボルト13によるピン接合の例を示す。柱11と梁12間には、座屈拘束ブレース14およびその両端に連結された鋼材製のガゼット15、16からなる方杖17が配置され、柱11にボルト18でガゼット15を、梁12にボルト19でガゼット16を固定して架設される。方杖17は鉄骨構造物が地震等により損傷する可能性がある場合に、地震エネルギーを方杖17に集中させる損傷制御部材として作用する。
図2(a)は、座屈拘束ブレース14の分解斜視図である。座屈拘束ブレース14は、断面がL字型、コの字型などの角型あるいは半円型で構成された鋼材の内面にコンクリート層23を形成した上部鋼材21と、同様に断面がL字型、コの字型などの角型あるいは半円型で構成された鋼材の内面にコンクリート層24を形成した下部鋼材22の間に鋼材製のブレース板25を配置させ、上部鋼材21のコンクリート層23と下部鋼材22のコンクリート層24によりブレース板25を挟持させて上部鋼材21および下部鋼材22を結合する。図2(b)に、ブレース板25を上部鋼材21および下部鋼材22で挟持させて結合した状態における端部の様子を示す。
ブレース板25は上部鋼材21および下部鋼材22の両端に延長する長さを有しており、その中央部は幅が若干狭い幅狭部26を形成している。この幅狭部26の作用については後述する。また、ブレース板25の中央部近辺の上下面には鋼製の突起27、28が設けられ、上部鋼材21のコンクリート層23および下部鋼材22のコンクリート層24が固まっていないやわらかい間に突起27、28をコンクリート層23、24に埋め込んだ状態でブレース板25を上部鋼材21および下部鋼材22間に挟持させる。この突起27、28は、座屈拘束ブレース14に地震エネルギーが加えられた際に、ブレース板25が上部鋼材21および下部鋼材22間で滑動しないように作用する。なお、ブレース板25は上部鋼材21および下部鋼材22間でコンクリート層23、24により巻かれるので、改めて耐火被覆を施す必要はない。
ブレース板25は上部鋼材21および下部鋼材22の両端に延長する長さを有しており、その中央部は幅が若干狭い幅狭部26を形成している。この幅狭部26の作用については後述する。また、ブレース板25の中央部近辺の上下面には鋼製の突起27、28が設けられ、上部鋼材21のコンクリート層23および下部鋼材22のコンクリート層24が固まっていないやわらかい間に突起27、28をコンクリート層23、24に埋め込んだ状態でブレース板25を上部鋼材21および下部鋼材22間に挟持させる。この突起27、28は、座屈拘束ブレース14に地震エネルギーが加えられた際に、ブレース板25が上部鋼材21および下部鋼材22間で滑動しないように作用する。なお、ブレース板25は上部鋼材21および下部鋼材22間でコンクリート層23、24により巻かれるので、改めて耐火被覆を施す必要はない。
図3は鋼材製ガゼット15の斜視図である。ガゼット15は柱11に固定する平面部31と平面部31の表面から直角方向に直立する舌部32、および、平面部31と舌部32の間に配置された複数の三角形状の補強部材33から構成されている。平面部31には、ガゼット15を柱11にボルト18で固定するための複数のボルト孔34が設けられている。ボルト孔34はガゼット15を柱11に固定する位置を長さ方向に調整可能とするように長孔形状に形成する。
ガゼット15の舌部32は角部が切断されており、その切断面35に直交する方向に切込部36が形成されている。この切込部36は平面部31に達していることが好ましい。切込部36には、図4に示すように、座屈拘束ブレース14のブレース板25が舌部32と十字型に交差するように溶接接合される。この溶接接合は、ブレース板25の先端と平面部31とを突き合わせ溶接する場合と、ブレース板25とガゼット15の舌部32とをすべて隅肉溶接することによって行う。このようにブレース板25の先端と平面部31とを、またブレース板25と舌部32とを溶接することで、挫屈拘束ブレース14の接合耐力確保と振れ止めとの二つの効果を同時に満足することができる。座屈拘束ブレース14は、地表面に対して角度θだけ傾斜し、ブレース板25の平面が、座屈拘束ブレース14を配設する壁面に対して直角方向となるように配置する。したがって、切込部36の切込方向は座屈拘束ブレース14の設置角度θにより規定される。たとえば、座屈拘束ブレース14の設置角度θが地表面に対して30度であれば切込部36の方向は地表面に対して30度、平面部31に対しては60度である。このとき、座屈拘束ブレース14の鋼材21、22およびコンクリート層23、24の端面と舌部32の切断面35との間には、図1に示すように、微小な間隙20を持たせて接合する。微小な間隙20の大きさは10mm程度が好ましい。この間隙20は、地震エネルギーにより座屈拘束ブレース14が伸縮した場合に、その伸縮量を吸収してガゼット15に加わらないようにするために設けられる。なお切込部36は、図3に示すように平面部31まで達していることが好ましい。またブレース板25の両端部の端面は、図2に示すように平面部31に当接するように傾斜させて構成することが好ましい。
ガゼット15の舌部32は角部が切断されており、その切断面35に直交する方向に切込部36が形成されている。この切込部36は平面部31に達していることが好ましい。切込部36には、図4に示すように、座屈拘束ブレース14のブレース板25が舌部32と十字型に交差するように溶接接合される。この溶接接合は、ブレース板25の先端と平面部31とを突き合わせ溶接する場合と、ブレース板25とガゼット15の舌部32とをすべて隅肉溶接することによって行う。このようにブレース板25の先端と平面部31とを、またブレース板25と舌部32とを溶接することで、挫屈拘束ブレース14の接合耐力確保と振れ止めとの二つの効果を同時に満足することができる。座屈拘束ブレース14は、地表面に対して角度θだけ傾斜し、ブレース板25の平面が、座屈拘束ブレース14を配設する壁面に対して直角方向となるように配置する。したがって、切込部36の切込方向は座屈拘束ブレース14の設置角度θにより規定される。たとえば、座屈拘束ブレース14の設置角度θが地表面に対して30度であれば切込部36の方向は地表面に対して30度、平面部31に対しては60度である。このとき、座屈拘束ブレース14の鋼材21、22およびコンクリート層23、24の端面と舌部32の切断面35との間には、図1に示すように、微小な間隙20を持たせて接合する。微小な間隙20の大きさは10mm程度が好ましい。この間隙20は、地震エネルギーにより座屈拘束ブレース14が伸縮した場合に、その伸縮量を吸収してガゼット15に加わらないようにするために設けられる。なお切込部36は、図3に示すように平面部31まで達していることが好ましい。またブレース板25の両端部の端面は、図2に示すように平面部31に当接するように傾斜させて構成することが好ましい。
座屈拘束ブレース14の反対側の端部におけるガゼット16も平面部31が梁12に固定される点および切込部36の方向以外は図3、図4と同様な構成である。したがって、以下の説明においてはガゼット16の構成および動作は図3、図4と同一の符号により説明する。ガゼット16は、平面部31が梁12に固定されるので、ガゼット16の切込部36の方向は、座屈拘束ブレース14の設置角度が地表面に対して30度であれば平面部31に対しては30度である。また、ガゼット16においても、座屈拘束ブレース14の鋼材21、22およびコンクリート層23、24の端面と舌部32の切断面35との間には微小な間隙20を持たせて接合する。
つぎに動作を説明する。
まず、座屈拘束ブレース14の両端に柱固定用のガゼット15および梁固定用のガゼット16をそれぞれブレース板25が舌部32と十字型に交差するように溶接接合して方杖17を作成する。このとき、ガゼット15、16の切断面36と座屈拘束ブレース14の鋼材21、22およびコンクリート層23、24の端面と舌部32の切断面35との間に微小な間隙を持たせて接合する。
つぎに、柱固定用のガゼット15の平面部31を柱11に当て、ボルト18をボルト孔34に通してナットにより締め付けて固定する。このとき、ボルト孔34が長孔であるので、平面部31と柱11との取り付け位置を調整することができる。また、柱11側のボルト孔を長孔としないことにより構造物の強度低下を防止することができる。
つぎに、梁固定用のガゼット16の平面部31を梁12に当て、同様にボルト19をボルト孔34に通してナットにより締め付けて固定する。このとき、ボルト孔34が長孔であるので、平面部31と梁12との取り付け位置を調整することができる。また、梁12側のボルト孔を長孔としないことにより構造物の強度低下を防止することができる。なお、ガゼット15の柱11への固定とガゼット16の梁12への固定の順序を逆にしても良いことはいうまでもない。
こうして柱11と梁12間に方杖17を架設する作業を、図5に示すように、鉄骨構造物の柱11と梁12の各所に行うことにより鉄骨構造物の損傷制御構造が完成する。
まず、座屈拘束ブレース14の両端に柱固定用のガゼット15および梁固定用のガゼット16をそれぞれブレース板25が舌部32と十字型に交差するように溶接接合して方杖17を作成する。このとき、ガゼット15、16の切断面36と座屈拘束ブレース14の鋼材21、22およびコンクリート層23、24の端面と舌部32の切断面35との間に微小な間隙を持たせて接合する。
つぎに、柱固定用のガゼット15の平面部31を柱11に当て、ボルト18をボルト孔34に通してナットにより締め付けて固定する。このとき、ボルト孔34が長孔であるので、平面部31と柱11との取り付け位置を調整することができる。また、柱11側のボルト孔を長孔としないことにより構造物の強度低下を防止することができる。
つぎに、梁固定用のガゼット16の平面部31を梁12に当て、同様にボルト19をボルト孔34に通してナットにより締め付けて固定する。このとき、ボルト孔34が長孔であるので、平面部31と梁12との取り付け位置を調整することができる。また、梁12側のボルト孔を長孔としないことにより構造物の強度低下を防止することができる。なお、ガゼット15の柱11への固定とガゼット16の梁12への固定の順序を逆にしても良いことはいうまでもない。
こうして柱11と梁12間に方杖17を架設する作業を、図5に示すように、鉄骨構造物の柱11と梁12の各所に行うことにより鉄骨構造物の損傷制御構造が完成する。
この状態で鉄骨構造物に地震エネルギーが加わったとき、柱11および梁12は地震エネルギーにより振動するが、その振動エネルギーは方杖17に伝達される。
方杖17に振動エネルギーが伝達されると、方杖17の強度的に弱い部分が損傷する。前述したように、方杖17はガゼット15、16の舌部32に形成された切込部36にブレース板25の先端を十字型を形成するように嵌合させて溶接しているので、この接合部分は接合断面が大きく強度が大きい。したがって、ガゼット15、16と座屈拘束ブレース14との接続部における拘束が十分であり、接続部において局部座屈をすることはない。
一方、方杖17は図1に示すようにガゼット15、16と座屈拘束ブレース14との接続端部に間隙20を有している。この間隙20の位置には座屈拘束ブレース14のブレース板25しか存在しないので、ブレース板25の間隙20の位置で降伏する可能性がある。しかし、ブレース板25は、図2に示すように、中央部に間隙20の位置におけるブレース板25の幅より狭い幅の幅狭部26が形成されているので、振動エネルギーはブレース板25の間隙20の位置よりも幅狭部26において降伏する。この結果、座屈拘束ブレース14が変形あるいは損傷することにより振動エネルギーを吸収し、地震エネルギーによる構造物の振れを減少させて柱11および梁12の変形や損傷を防止ないしは最小限に抑えることができる。
なお、幅狭部26の長さ、すなわち、ブレース板25の長さ方向に沿った長さを変えることにより降伏位置を調整することができる。
方杖17に振動エネルギーが伝達されると、方杖17の強度的に弱い部分が損傷する。前述したように、方杖17はガゼット15、16の舌部32に形成された切込部36にブレース板25の先端を十字型を形成するように嵌合させて溶接しているので、この接合部分は接合断面が大きく強度が大きい。したがって、ガゼット15、16と座屈拘束ブレース14との接続部における拘束が十分であり、接続部において局部座屈をすることはない。
一方、方杖17は図1に示すようにガゼット15、16と座屈拘束ブレース14との接続端部に間隙20を有している。この間隙20の位置には座屈拘束ブレース14のブレース板25しか存在しないので、ブレース板25の間隙20の位置で降伏する可能性がある。しかし、ブレース板25は、図2に示すように、中央部に間隙20の位置におけるブレース板25の幅より狭い幅の幅狭部26が形成されているので、振動エネルギーはブレース板25の間隙20の位置よりも幅狭部26において降伏する。この結果、座屈拘束ブレース14が変形あるいは損傷することにより振動エネルギーを吸収し、地震エネルギーによる構造物の振れを減少させて柱11および梁12の変形や損傷を防止ないしは最小限に抑えることができる。
なお、幅狭部26の長さ、すなわち、ブレース板25の長さ方向に沿った長さを変えることにより降伏位置を調整することができる。
変形あるいは損傷した座屈拘束ブレース14は外部からの観察により損変形や損傷が確認できるので、地震終了後、座屈拘束ブレース14が変形あるいは損傷した方杖17を柱11および梁12から取り外し、新しい方杖17を当該柱11および梁12に取り付けることができる。
なお、方杖17に振動エネルギーが伝達した際、そのエネルギーにより座屈拘束ブレース14が伸縮してガゼット15、16に振動エネルギーが加わり、ガゼット15、16を損傷させる虞があるが、本実施例においては、座屈拘束ブレース14の鋼材21、22およびコンクリート層23、24の端面とガゼット15、16との間には間隙20を有するので、座屈拘束ブレース14の伸縮は間隙20で吸収される。したがって、ガゼット15、16が損傷することはない。
また、座屈拘束ブレース14に地震エネルギーが加えられた際に、ブレース板25は突起27、28がコンクリート層23、24に埋没して固定されているので、ブレース板25が上部鋼材21および下部鋼材22の間で滑動することはない。
さらに、本実施例においては、図4に示すように、座屈拘束ブレース14は、ブレース板25の平面が地表面に対して角度θだけ傾斜し、ブレース板25の平面が、座屈拘束ブレース14を配設する壁面に対して直角方向となるように配置する。したがって、鉄骨構造物の柱11、梁12に加わる力を確実に吸収することができるので、柱11および梁12の変形を防止することができる。
なお、方杖17に振動エネルギーが伝達した際、そのエネルギーにより座屈拘束ブレース14が伸縮してガゼット15、16に振動エネルギーが加わり、ガゼット15、16を損傷させる虞があるが、本実施例においては、座屈拘束ブレース14の鋼材21、22およびコンクリート層23、24の端面とガゼット15、16との間には間隙20を有するので、座屈拘束ブレース14の伸縮は間隙20で吸収される。したがって、ガゼット15、16が損傷することはない。
また、座屈拘束ブレース14に地震エネルギーが加えられた際に、ブレース板25は突起27、28がコンクリート層23、24に埋没して固定されているので、ブレース板25が上部鋼材21および下部鋼材22の間で滑動することはない。
さらに、本実施例においては、図4に示すように、座屈拘束ブレース14は、ブレース板25の平面が地表面に対して角度θだけ傾斜し、ブレース板25の平面が、座屈拘束ブレース14を配設する壁面に対して直角方向となるように配置する。したがって、鉄骨構造物の柱11、梁12に加わる力を確実に吸収することができるので、柱11および梁12の変形を防止することができる。
図6は本発明の実施例2による構造物の柱と梁の接合構造における柱側のガゼットと座屈拘束ブレースとの接続部を示す斜視図である。実施例1との相違点は、ガゼット40の構成および座屈拘束ブレース14を配置する方向である。その他の構成は実施例1と同様である。
ガゼット40は柱に固定する平面部41と平面部41の表面から角度θを持って立設された舌部42、および、平面部41と舌部42の間に配置された複数の三角形状の補強部材43から構成されている。ここで舌部42は、座屈拘束ブレース14を配設する壁面に対して直角方向となり、ブレース板25の平面は、座屈拘束ブレース14を配設する壁面と平行な方向となるように配置している。平面部41には、ガゼット40を柱にボルトで固定するための複数のボルト孔44が設けられている。ボルト孔44は実施例1と同様に、ガゼット40を柱に固定する位置を調整可能とするように長孔形状に形成される。
ガゼット40の舌部42は、その断面45に直交する方向に切込部46が形成されている。切込部46には、座屈拘束ブレース14のブレース板25が舌部42と十字型に交差するように溶接接合される。なお本実施例においても切込部46は、平面部41まで達していることが好ましい。またブレース板25の両端部の端面は、平面部41に当接するように傾斜させて構成することが好ましい。
座屈拘束ブレース14の反対側の端部における梁に対するガゼットは、平面部41が梁12に固定される点および切込部46の方向以外は図6と同様に構成される。
実施例2の構成によれば、座屈拘束ブレース14のブレース板25が座屈拘束ブレース14を配設する壁面と平行な方向となるように配置されるので、施工が簡単であり、また、壁の厚さを薄くすることもできる。
なお、上記実施例では、補強部材33、43を設けた場合で説明したが、切込部36、46を、平面部31、41まで達するように構成するとともにブレース板25の両端部と平面部31、41とを溶接によって固定することで補強部材33、43を用いることなく構成することができる。
また、本実施例における座屈拘束ブレース14の設置角度θは、地表面に対して45度から30度の範囲とすることが好ましい。
また、本実施例においては、中央部に幅狭部26を形成しているブレース板25を用いたが、幅狭部26を形成しなくてもよい。幅狭部26を形成しない場合には、ブレース板25の両端部に重ね板を溶接することが好ましい。この重ね板は、上部鋼材21および下部鋼材22から突出した箇所でガゼット15、16と接合されていない間隙20を含むように設ける。すなわち、この重ね板の一端側は、上部鋼材21および下部鋼材22によって挟持される位置に配置され、重ね板の他端側は、ブレース板25の端部付近に配置されるように設ける。このように重ね板を設けることで間隙20が耐力的に不利にならないように断面補強が行われる。
また、本実施例においては、ブレース板25の先端と平面部31とを突き合わせ溶接する場合と、ブレース板25とガゼット15の舌部32とをすべて隅肉溶接する場合で説明したが、ブレース板25の先端と平面部31とを突き合わせ溶接するだけとし、接合耐力をすべてこの溶接部分で伝達できるものとした場合には、ガゼット15、16の飛び出し寸法を少なくすることができる。
また、本実施例においては、平面部31に達している切込部36を設けた場合で説明したが、切込部36の深さが平面部31に達していなくてもよい。この場合には、ブレース板25の接合耐力及び振れ止めを確保するために、ブレース板25と舌部32との接触部分をすべて隅肉溶接接合とすることが好ましい。特に低層建物の場合には、ブレース耐力が低いため、このような構成においてもガゼット15、16の舌部32の突出寸法を大きくすることなく実現できる。
ガゼット40は柱に固定する平面部41と平面部41の表面から角度θを持って立設された舌部42、および、平面部41と舌部42の間に配置された複数の三角形状の補強部材43から構成されている。ここで舌部42は、座屈拘束ブレース14を配設する壁面に対して直角方向となり、ブレース板25の平面は、座屈拘束ブレース14を配設する壁面と平行な方向となるように配置している。平面部41には、ガゼット40を柱にボルトで固定するための複数のボルト孔44が設けられている。ボルト孔44は実施例1と同様に、ガゼット40を柱に固定する位置を調整可能とするように長孔形状に形成される。
ガゼット40の舌部42は、その断面45に直交する方向に切込部46が形成されている。切込部46には、座屈拘束ブレース14のブレース板25が舌部42と十字型に交差するように溶接接合される。なお本実施例においても切込部46は、平面部41まで達していることが好ましい。またブレース板25の両端部の端面は、平面部41に当接するように傾斜させて構成することが好ましい。
座屈拘束ブレース14の反対側の端部における梁に対するガゼットは、平面部41が梁12に固定される点および切込部46の方向以外は図6と同様に構成される。
実施例2の構成によれば、座屈拘束ブレース14のブレース板25が座屈拘束ブレース14を配設する壁面と平行な方向となるように配置されるので、施工が簡単であり、また、壁の厚さを薄くすることもできる。
なお、上記実施例では、補強部材33、43を設けた場合で説明したが、切込部36、46を、平面部31、41まで達するように構成するとともにブレース板25の両端部と平面部31、41とを溶接によって固定することで補強部材33、43を用いることなく構成することができる。
また、本実施例における座屈拘束ブレース14の設置角度θは、地表面に対して45度から30度の範囲とすることが好ましい。
また、本実施例においては、中央部に幅狭部26を形成しているブレース板25を用いたが、幅狭部26を形成しなくてもよい。幅狭部26を形成しない場合には、ブレース板25の両端部に重ね板を溶接することが好ましい。この重ね板は、上部鋼材21および下部鋼材22から突出した箇所でガゼット15、16と接合されていない間隙20を含むように設ける。すなわち、この重ね板の一端側は、上部鋼材21および下部鋼材22によって挟持される位置に配置され、重ね板の他端側は、ブレース板25の端部付近に配置されるように設ける。このように重ね板を設けることで間隙20が耐力的に不利にならないように断面補強が行われる。
また、本実施例においては、ブレース板25の先端と平面部31とを突き合わせ溶接する場合と、ブレース板25とガゼット15の舌部32とをすべて隅肉溶接する場合で説明したが、ブレース板25の先端と平面部31とを突き合わせ溶接するだけとし、接合耐力をすべてこの溶接部分で伝達できるものとした場合には、ガゼット15、16の飛び出し寸法を少なくすることができる。
また、本実施例においては、平面部31に達している切込部36を設けた場合で説明したが、切込部36の深さが平面部31に達していなくてもよい。この場合には、ブレース板25の接合耐力及び振れ止めを確保するために、ブレース板25と舌部32との接触部分をすべて隅肉溶接接合とすることが好ましい。特に低層建物の場合には、ブレース耐力が低いため、このような構成においてもガゼット15、16の舌部32の突出寸法を大きくすることなく実現できる。
本発明による構造物の柱と梁の接合構造は、ビルディングや中高層住宅などの鉄骨構造による中高層建築物、あるいは、個人住宅や商業施設、店舗などの鉄骨構造による中低層建築物の損傷制御構造に適用して有用である。
11 柱
12 梁
13 ボルト
14 座屈拘束ブレース
15、16 ガゼット
17 方杖
18、19 ボルト
21 上部鋼材
22 下部鋼材
23、24 コンクリート層
25 ブレース板
26 幅狭部
27、28 突起
31、41 平面部
32、42 舌部
33、43 補強部材
34、44 ボルト孔
35,45 切断面
36、46 切込部
40 ガゼット
12 梁
13 ボルト
14 座屈拘束ブレース
15、16 ガゼット
17 方杖
18、19 ボルト
21 上部鋼材
22 下部鋼材
23、24 コンクリート層
25 ブレース板
26 幅狭部
27、28 突起
31、41 平面部
32、42 舌部
33、43 補強部材
34、44 ボルト孔
35,45 切断面
36、46 切込部
40 ガゼット
Claims (9)
- 構造物の柱および梁の各々に固定する一対のガゼットと、内面にコンクリート層を有する一対の鋼材間にブレース板を挟持させた座屈拘束ブレースとを有し、前記ガゼットは前記柱および梁に固定する平面部と前記平面部から直立する舌部とを備え、前記舌部に前記ブレース板を受ける切込部を形成し、前記切込部に前記ブレース板の先端を挿入して前記舌部と前記ブレース板とを十字型に直交させて溶接することを特徴とする構造物の柱と梁の接合構造。
- 前記ブレース板の平面を、前記座屈拘束ブレースを配設する壁面に対して直角方向に配置することを特徴とする請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造。
- 前記舌部には前記切込部周辺において切り込み方向に直交する端面を有し、前記座屈拘束ブレースの鋼材端面と前記舌部の前記端面との間に間隙を持たせて前記舌部と前記ブレース板とを固定することを特徴とする請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造。
- 前記ブレース板の中央部に幅狭部を形成することを特徴とする請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造。
- 前記ブレース板の両端部の前記間隙を含む位置に重ね板を溶接することを特徴とする請求項3に記載の構造物の柱と梁の接合構造。
- 前記切込部を前記平面部に達する位置まで形成し、前記ブレース板の先端と前記平面部とを突き合わせ溶接することを特徴とする請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造。
- 前記ブレース板と前記舌部とを隅肉溶接することを特徴とする請求項6に記載の構造物の柱と梁の接合構造。
- 前記切込部の形成を、前記平面部に達しない位置までとし、前記ブレース板と前記舌部とを隅肉溶接することを特徴とする請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造。
- 前記ガゼットの平面部には前記ガゼットを前記構造物の柱または梁に固定するための複数のボルト孔を有し、複数の前記ボルト孔を長孔とすることを特徴とする請求項1に記載の構造物の柱と梁の接合構造。
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